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事務次官会見記録(平成12年10月)


INDEX


・ 事務次官会見記録(10月30日付)
  ・米朝ミサイル協議
  ・日朝国交正常化交渉
  ・対北朝鮮コメ支援
  ・李登輝前台湾総統の訪日申請
  ・ダンピング防止税・相殺関税関連法案


・ 事務次官会見記録(10月23日付)
  ・オルブライト米国務長官の訪朝
  ・ハタミ・イラン大統領の訪日
  ・拉致問題に関する森総理の発言


・ 事務次官会見記録(10月16日付)
  ・朱鎔基総理の訪日
  ・中東情勢
  ・インドネシア支援国会合
  ・教科書検定
  ・アジア・カップ(サッカー)




事務次官会見記録 (平成12年10月30日(月) 17:00~ 於会見室)

・ 米朝ミサイル協議

(次官)日朝国交正常化交渉の方は北京でブリーフさせていただいているということでご了承いただきたい。
 1点朝鮮半島について申し上げると、オルブライト米国務長官の訪朝があり、これを受けて米朝間のミサイル協議がこれから動き出すわけである。これは日本の安全にとっても極めて重要な意味合いを持つ事柄であるので、その進展を多大な関心を持って見守りたいと思っている。ご記憶の方もいらっしゃると思うが、そもそもペリー・プロセスというものが始まった発端は、北朝鮮が核とミサイルの両面に当たって計画を進めると、朝鮮半島の長きにわたってそれなりに維持されていた軍事バランスが崩れて非常に不安定化し、危険であるという問題意識であった。それに対するアプローチとしては、日米韓および北朝鮮がお互いに脅威を削減する方向に歩もうではないかというのがひとつの大きな結論であり、その流れの中でミサイルをどうするかという話である。それがどこまで進展が図られるのかというのが、まだ最終決定されていないと思うが、目下のところクリントン大統領の訪朝につながるのかという当面の話もさることながら、ミサイルの話の道筋というのは日米韓が行ってきた作業のひとつの流れとして非常に重要なものであろうと思っているし、それこそ日米韓が連携して行ってきたポイントだった。その意味で、関心を持って眺めている次第である。

(問)米朝ミサイル協議には、中距離ミサイルも含まれているのか。

(次官)日本からすれば、テポドンだけではなくノドンという話もあるわけであり、そこは日米韓でいろいろやっている過程で、常に間違いなく一緒に話をしてきたはずである。世情は、人工衛星を一緒に打ち上げようという話だけに関心が行き過ぎているが、要はそれよりも大量破壊兵器の一環としての武器の脅威をどういうふうに減らしていくかという話であって、そちらが本筋であり、最大の関心事であろうと思っている。ノドンも含まれるであろう。

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・ 日朝国交正常化交渉

(問)日朝国交正常化交渉が始まったが、今回の交渉に次官として期待することと今後の見通しを改めて伺いたい。

(次官)交渉の途次で、今やっている人に対して今自分がここで見通しを述べるのは失礼だと思うし、自分自身見通しは持っていない。それから、政務協議と違って交渉というのはまとまってなんぼなので、何回目でなんぼというものではないと思う。要は、最終的な解決に向けてどういう意味のある積み上げがどれぐらいできるかが重要であるし、忌憚のないやりとりを期待しているということしか申し上げられない。

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・ 対北朝鮮コメ支援

(問)97年の与党の訪朝時に50万トンのコメ支援がすでに話し合われていたということを官房長官が明らかにしたが、これについての外務省の見解如何。また、そのような密約があったことについては官房長官は否定しているが、これについての見解如何。

(次官)党のミッションであるので、自分らが承知しているのは、非公式な場で50万トンのコメ支援の話はあったということである。ただ、そこで約束したとか密約があるという話では全くないということに尽きる。どこの場でどうこうということは、政府サイドとしては詳細には承知はしていない。

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・ 李登輝前台湾総統の訪日申請

(問)李登輝前総統の訪日に関して、台湾の新聞各紙が「外務省が申請について圧力をかけた」ということをかなり報じているようであるが、これについての見解如何。

(次官)全く事実無根であると思う。

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・ ダンピング防止税・相殺関税関連法案

(問)米国でバード法案(ダンピング防止税・相殺関税関連法案)が成立したが、今後の日本政府の対応如何。

(次官)これは単なる補助金措置に加えて、さらにお金がもらえるという話であるので、要するに国内産業にとっては二重の保護ということになるし、その結果としてダンピング防止提訴が余計に増える可能性があるのではないかということで、前から懸念を表明してきた。このように法律として成立したことは遺憾である。これを心配しているのはわが国だけではなく、いろいろな国が心配しているので、こういった関心を持っている国と連携を保ちながら、WTOの紛争解決手続の中でどういうことができるのかをこれからいろいろ詰めたいと思っている。

(問)「WTOへの提訴を視野に、米国に二国間協議を呼びかける」と通産次官は述べられたが、外務省の見解如何。

(次官)法律が成立した時点で二国間協議というのは何が可能なのかよくわからないし、やはりいろいろなやり方はあり得ると思う。

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事務次官会見記録 (平成12年10月23日(月)17:30~ 於:会見室)

・ オルブライト米国務長官の訪朝

(次官)オルブライト米国務長官が今日から平壌入りしたということで、朝鮮半島の緊張緩和、安定化に向けた大変重要なプロセスの一環であろうと思って眺めている次第である。すでに週末にお知らせしたと思うが、平壌に向かう飛行機の中でオルブライト長官から河野大臣に電話があって、大臣の方から「すでに米側にはいろいろな形で伝えていることであるが」ということでわが国の関心事について説明したという経緯がある。これから23、24日の平壌滞在を経て、25日に日米韓外相会談を開催する方向で今調整が進んでいる。これは6月の南北首脳会談で劇的に始まったプロセスであるが、それに先立ってペリー・プロセスで日米韓がいろいろな連携をやってきたし、好ましい動きを定着させ、前に動かすという観点から、日米韓の連携の重要性は引き続き非常に大きい。その意味で、日米韓外相会談は非常に意味を持つので、開催されれば非常に意義があるであろうと思っている。

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・ ハタミ・イラン大統領の訪日

(次官)目下作業中であるが、ちょうど1週間後にイランのハタミ大統領が訪日する。改革を一所懸命進めているハタミ大統領であるので、その改革努力をどのようにして支援、支持するかというのが日本側にとってのひとつの大きなポイントである。また、石油の状況に心配すべき側面も見えており、そういう観点からイランというのは長年重要な国であったので、それはいろいろ考えるべきポイントであろうと思っている。ホメイニ革命以降21年を経て、首脳レベルでのイランとの対話は初めてであり、いろいろな意味で率直な対話とともにいろいろな成果、経済的な成果をも上げたいと思っている。目下いろいろな案件を関係各所と連絡しながら詰めているところである。

(問)どのような案件があるのか。

(次官)いろいろな石油関係の案件ということで商業ベースであるので、今「これとこれ」というふうには申し上げられない。いくつかある程度まとまった案件を動かそうとしている。

(問)ハタミ大統領の訪日の際に、日本側としては米国の仲介役をするようなことはあるのか。

(次官)米・イラン関係というのは、ホメイニ革命以後非常に難しい状況にあるのはご承知の通りであるが、他方、これは推測であるが、米側にしてもハタミ大統領がやっている穏健路線は好ましいと思っている状況である。他方、国際社会の懸念というのは、就中米国から見れば、テロの支援、中東和平に対する非常にネガティブな姿勢等いろいろあるわけである。それはあると思うが、ただその中で仲介するとうまくいくというような話ではなくて、あくまでも日本として見るところはこうだと、それを動かすのはイランにとっても意味があるのではないかというような話をするのであって、米国の代わりに話す場というようなやりとりではないのではないかと思う。

(問)ハタミ大統領は公賓として招かれるようであるが、イランには大統領のほかに別の 指導者がおり、公賓の定義は何か。

(次官)恐らくイランしかケースがないと思うが、憲法上(大統領は)ナンバー2である。ナンバー1は宗教指導者のハメネイ師がいるので、そこは公賓という整理をするが、ほかに例を見ない公賓であるという意識はある。

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・ 拉致問題に関する森総理の発言

(問)北朝鮮の拉致問題をめぐる森総理の発言について、どのように受け止めているか。

(次官)要するにいろいろな見方、いろいろな整理ができるとは思う。拉致、人質事件等のこの種の、要するに人の命を救うという案件については、ありとあらゆる可能性を考えているということが基本姿勢であるし、そういう姿勢で常に当たるべきであろうと思っている。日英首脳会談のやりとりについて言えば、これは正に総理がブレア首相にこの問題の重要性を理解してもらうために、過去のエピソードとして「こういうことを考えた時期もあった」ということで紹介したというふうに受け止めている。

(問)与野党いずれからも、その内容を公表した事務方の問題を指摘する意見も出ているが、これについてはどうお考えか。

(次官)それは首脳会談でのやりとりであるし、「今こういう交渉をやっている」という話ではなくて、あくまで「3年前にこういう話も出た」という話であるので、これが今の交渉をどうこうという話ではないであろうと思っている。事務的にも、そういう意味できちんと調整した上でブリーフ申し上げたと理解している。

(問)しかし、実際にそういう発言とご紹介があって、与野党でこういう反応が出ている。今後の日朝交渉での拉致問題の扱いに与える影響というものはあると思われるか。

(次官)これは、3年前に党が訪朝し、今度国交正常化交渉が始まって、なかなかどういうふうに取り上げるかということ自体、ご承知の通り難しい案件であるが、これから知恵を出してどうやって動かしていくかということでる。これが、3年前にどういうエピソードがあったかということで、あったが故に動かなくなるとかいう話ではないであろうし、引き続きありとあらゆる可能性を考えるという話であろう。

(問)今後の交渉過程で、拉致疑惑の被害者の方が第三国で発見された形を取るという解決方法も可能性があるのか。

(次官)それは仮定の話であるので、本件拉致事件だけでなくどこの国でもそうであるが、この種の案件は動かなくなるとありとあらゆる可能性を考えるということであるし、本件についてもそういう中でいろいろなことを考えるということである。ただ、難しい交渉であるので、今から「これでいく」とか「これではやらない」という話はとても申し上げられる状況ではない。

(問)このような発言をしたこと自体、総理としての資質を問う声が外務省内からも出ているようであるが、これについてどうお考えか。

(次官)誰が言ったのか。

(問)報道等を通じて、外務省内でそのような声が出ていることが指摘されている。

(次官)自分はそうは承知していない。また、敢えて申し上げれば、「絶句」と書かれるのは若干疑問であり、質問した途端にぺらぺら答えないと「絶句」と書かれるようなことは自分はおかしいと思う。

(問)確認させていただくが、過去の日朝間の交渉あるいはいろいろな会談で、第三国で発見するという方法が提示されたことはあったのか。

(次官)それは、3年前に党の訪朝の時にそういうことも話に出たというエピソードがあったということしか今のところ申し上げられない。

(問)政府間のチャネルではそのようなことはなかったのか。

(次官)政府間ではいろいろなやりとりをやっているが、これは交渉の話であるので、あまり動いてもいないが、途中途中でいちいち「こうだったのでこれは動かなかった」とか「こうだったので動いた」というような話は差し控えさせていただきたい。というのは、いよいよこれからいろいろなことをやっていかなければならないわけである。

(問)森総理が現地で記者団に「あれは訪朝団としての提案であった」という言い方をしているが、外務省としてはあの3年前の提案は訪朝団としての提案だっというふうに受け止めているか。

(次官)あれは政府のやりとりではないので、要するにそういう話がその時出た、ということ以上でも以下でもないと思う。

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事務次官会見記録 (平成12年10月16日(月)17:00~ 於:会見室)

・ 朱鎔基総理の訪日

(事務次官)朱鎔基総理の訪日については、報道し尽くされた観もあるが、東京での日程が終わり神戸に移動する。総括的に言えば、日中両首脳間で両国間の相互理解の増進、信頼醸成の重要性を改めて確認し協力関係を確立していこうという基本姿勢で意見の一致を見たということは、やはり意味があるであろうと思う。自分もテレビで見たが、朱鎔基総理が対日関係重視の観点から、日本の各界や日本国民にも広く接して、対中好感度と申すか、日本国民の理解と友好のためにいろいろ努力した姿勢は印象的であったと思っている。

(問)朱鎔基総理が、TBSの座談会において、「文書による謝罪がまだない」という趣旨のことを言っていたが、これについてはどうお考えか。

(事務次官)わが国から申し上げると、ひとつの原点が1995年の内閣総理談話というものがあって、これでわが国政府の正式な立場を表したものであるが、その中で過去の一時期に植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたことに対し、当然中国をも大きく念頭に置いていたわけであり、「痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします」としている。
 3年後の98年に江沢民国家主席の訪日の際にも、首脳会談の中で、小渕総理(当時)より、今申し上げた95年の内閣総理談話において痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明したことを説明し、「日本政府は改めてこの反省とお詫びを中国に対しても表明する」と明確に伝えている。従って、改めて文書どうこうという話ではないであろうと思う。

(問)日中首脳会談では、対中ODAに関してはどの程度踏み込んで議論したのか。

(事務次官)首脳会談の詳細については別途ブリーフ申し上げていると思う。中国側も日本国内において対中ODAについて厳しい見方を持っているという動きがあることは知っていたわけで、朱鎔基総理の訪日に先立って北京でいろいろ行事をやったりしたわけである。今度の首脳会談でも、森総理の方から「国民の理解と支持の下に行われなければならない」ということを明確に伝えて、対中ODAが中国において非常に役立っているということを、当たり前と言えば当たり前であるが、中国国内において広報活動をやってもらいたいということを伝えたわけである。これに対して朱鎔基総理の方からは、「日本の対中ODAは高く評価しているし、今後は広報を強化したい」という発言があった。それに先立って10日に合意した特別円借款についても、感謝の表明があったということである。日中協力関係は自分らも重要であると思っているが、その枠組みの中で重要な柱を成すのがやはり対中ODAであると思うし、いろいろなご批判もあろうかと思うし、それは重く謙虚に受け止めつつ、しかしこれはやはり双方にとって利益になる話であるし、そういう方向で動かしていくということであろう。

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・ 中東情勢

(事務次官)次に、中東和平について申し上げる。ご承知の通り、本日16日から、エジプトでバラク・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ暫定自治政府議長、クリントン米大統領およびムバラク・エジプト大統領の四者会談が行われる。日本としては、クリントン大統領、ムバラク大統領およびアナン国連事務総長等が非常に真剣に行っている仲介努力を高く評価するものである。
 今年の夏までは、中東和平プロセスの進展、達成に希望をかけるという感じであったのが一転し、ご承知の通り、1週間以上にわたって100名以上の犠牲者、2000名以上の負傷者を出しており、これ以上の事態の悪化にとにかく歯止めをかけなければならないという極めて強い危機意識をわれわれとしても持っているわけである。要は、この首脳会談によって、イスラエルとパレスチナの間で直ちに衝突の停止が合意されることを強く期待する次第である。そのような事態の悪化を止めて、その上でゆくゆく何とか相互の信頼関係を再構築して、今一度和平プロセスの方向に動いていくことに期待したい。そういう方向に動くためにわが国としても協力したいと思うが、まずはこの流血を止めるということが非常に重要であろう。

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・ インドネシア支援国会合

(事務次官)世銀主催のインドネシア支援国会合が明日、明後日に行われる。インドネシア政府に対しては、西チモールでのUNHCRの職員の殺害を契機として、非常に厳しい見方、姿勢もあり、それ自体日本政府としてもきちんとした対応をワヒッド政権に求めたいと思う。他方、インドネシアの経済は依然として困難な状況にある中で、単に経済安定ということだけではなくて、経済が悪化するとインドネシア自体が難しい状況になり得るので、それをどうやって支援によって下支えしていくかというのは、インドネシアが難しい状況に陥って以来ずっと同じ問題意識であるが、アジアの安定という観点から、引き続き経済支援について対応を考えていくということである。

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・ 教科書検定

(問)教科書検定について中国政府から申し入れがあったという指摘もあるが、事実関係如何。

(事務次官)報道等では、中国側がこれについて関心を表明しているということである。申し入れどうこうということになると、従来からいろいろな問題意識を表明はしているが、これは検定のプロセスであるので、今の時点では日本政府としてはそれについて「ああしろ、こうしろ」と言うべきプロセスではないので、教科書をどうしようという話に関与しているということではない。まずは、その検定のプロセスを見守っているということに尽きる。

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・ アジア・カップ(サッカー)

(事務次官)南レバノン国境の極めて近くでアジア・カップが開催されており、見ていて日本の活躍は喜ばしいが、実のところ本当に心配している。本当に国境に近い所である、心配しているというのが本音である。もちろんそこを空爆とかいう話ではないと思うが、事態がこのようになるのを想定していない時期に恐らくプログラムした話だと思うが、地図をご覧になるとすぐわかるが、ヒズボラ等の話がある場所に近いので、そういう目で次の試合を見ていただきたい。本当に心配している。

(問)それに対して、政府として特段の手だてを打っていないのか。

(事務次官)だからと言って「止めて帰ってこい」という話はできない。従って、何かあったらすぐ帰れるように考えていただきたいということは関係者に言ってある。つまり、あれのスイッチを切ってしまうのかと言われると、そういうわけではないと思う。とても悩ましい状況である。

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