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事務次官会見記録 (平成12年8月28日(月)17:00~ 於:会見室)(事務次官)先週は総理の南西アジア訪問、日朝国交正常化交渉があり、先週から本年の後半戦の外交活動が始まったという気がする。20世紀最後をどう締めるかということで、大分いろいろなことが動き出した。総理の南西アジア訪問については論点が出尽くした感じがあるが、やはり改めてあの地域の日本にとっての歴史的、地政学的な重要性というものを認識させられた気がする。それにしても、(総理による訪問が)10年に1度というのは少ないというのが自分たちの実感である。特にインドというのは大変重要な大国であり、これからパートナーシップを考えていかなければならない。
日朝国交正常化交渉およびプーチン露大統領の訪日
(事務次官)日朝国交正常化交渉の方もいろいろと報道、分析が出尽くして、付け加える点もないが、双方の立場の隔たりはいろいろあるが、それなりに論点が出そろった感があり、3回目以降いよいよこれをどう前に動かしていくかを考えなければならないという気がしている。ご承知の通り、今週は大臣が訪中しており、総理も南西アジアから帰られたということで、来週のプーチン露大統領の訪日の準備も相当本格的にいろいろやっていかなければならない。
国連ミレニアム・サミット
(事務次官)それに引き続き、総理はすぐ国連ミレニアム・サミットに出席されるということで、今週は同時並行して2つ準備を進めているところであり、やっていかなければならないと思っている。国連ミレニアム・サミットは、ご承知の通り、21世紀における国連の壮大なテーマであり、安全保障、紛争、貧困、環境等ありとあらゆる話をするわけで、それを各国5分間というのはどういうふうに日本の立場を絞り込んで述べるか、結構知恵を絞らざるを得ないと思っている。作業の状況における実感を申し上げた次第である。
(問)総理が前向きな姿勢を示している、ミレニアム・サミットでの金永南北朝鮮最高人民会議常任委員長との会談について、現段階ではどういう状況か。
(事務次官)現段階ではまだ何も決まっていない。ミレニアム・サミットというのは随分いろいろな首脳がいらっしゃるので、その中でどういう方と会うかというのは大変重要で面白い作業であるが、今のところまだ決まっていない。
(問)対外的な代表とは言え、金正日総書記とは重みが違うということで、総理が金永南委員長に会うことに対しては賛否両論あるようであるが、これについてはどうお考えか。
(事務次官)賛否両論というのは自分はあまり承知していないが、ミレニアム・サミットに首脳として出席する方である。要はどういうふうにするかという話は決まっていない。
(問)ミレニアム・サミットにはいろいろな首脳がいらっしゃるということであるが、金永南委員長以上に総理が会うことを重要視している方はいらっしゃるか。
(事務次官)特に「この人だけは」ということではない。随分会った方もいるし、例えばこれからすぐに会えそうな人もいるし、例えばプーチン大統領はちょうど会ったばかりであろう。各首脳に重要度をつけるというのもいかがかと思うが、むしろこの際会ってない人に会ったり、(何人か)まとめて会う等、いろいろ知恵を出さなければならないと思っている。多元連立方程式を解くようなものである。
最近の外交批判
(問)野中自民党幹事長が外務省の外交を「屈辱外交」と言ったり、与野党内で最近の外交について批判が高まっているようであるが、これについてはどのようにお考えか。
(事務次官)新聞の記事だけを見ているとよくわからないところがあるが、正に日中関係等については、特に最近は調査船等の話をめぐって相当日本国内にいら立ちというのがあり、それはわれわれとしてもよくわかるわけで、その辺のところを正に日中間で忌憚のないやりとりをやっていただく、というのが今度の河野大臣の訪中の1つの眼目であろうと思っている。
(問)最近中国に限らず、政治家の方からナショナリズム的な発言が目立つように思われるが、これについてはどうお考えか。
(事務次官)国内の支持、支援、理解あっての外交であるので、そういう中で受け止めるべきは受け止めつつ、粛々とやっていくということであろう。
北朝鮮元工作員に対する事情聴取
(問)来月北朝鮮に送還されることになっている元工作員の辛光洙と警察当局では接触を持つという報道があるが、外務省としてはどのようにお考えか。
(事務次官)要は、任意と言うか、当人がそれに応じないとできないという状況が障害になっており、こちらとしてはできるのであればやりたいということでいろいろなやりとりを今でもやっているが、今のところうまくいってないというのが現状である。それは、引き続き諦めるという話ではないと思う。
事務次官会見記録 (平成12年8月7日(月)17:00~ 於:会見室)(事務次官)政府としては、先般世界食糧計画(WFP)を通じて行った北朝鮮に対する10万トンのコメ支援について、北朝鮮における支援米の配布、使用状況を把握するために政府職員によって構成される視察団を明日8日から12日の日程で北朝鮮に派遣することとした。使節団の団長は、アジア局の河野参事官である。
政府としては、わが国が援助した政府米が北朝鮮において適正に配布、使用されることを、当然のことながら極めて重視しているため、支援物資の配布、使用状況を把握する機会を持つことが大変重要であると考えてきた。WFPは従来から支援物資の配布、使用状況等を把握するために、支援国により構成されるドナー・ミッションを北朝鮮に派遣してきており、今般わが国としてもその一環として視察団を派遣するということである。発表が間際になってしまったのは、最後まで調整に時間や手間がかかったからである。(問)北朝鮮に対する調査団は、あくまでも前回実施した支援米の状況の調査に限定して、現在の北朝鮮の食糧事情に関する調査は兼ねていないのか。
(事務次官)正に支援した10万トンについてどうなっているかという話である。
(問)今いろいろ取り沙汰されている追加支援に対する政府の考え方と、今回の調査団の派遣には何か関係があるのか。
(事務次官)ない。
(問)これまでにこのような調査は行ったことがあるのか。
(事務次官)後で調べてお答えする。
(問)どのような場所を廻るのか。
(事務次官)今調整中であるが、複数の地域の保育園、孤児院、養老院、産院等である。現在WFPを通じて北朝鮮側と最終的に調整中である。
(問)コメの追加支援は、政府は今のところ考えていないということか。
(事務次官)そうである。
(問)調査団の派遣は、WFPからの要請があったからか。問題の指摘があったのか。
(事務次官)こちらからである。問題があったからというより、供与したものに対してどう使われているかフォローしたいし、すべきであるという当然の判断からである。
(問)確か日本からの支援だとわかるような形で支援するべきであるとの話が自民党等から出ていたように記憶しているが、その痕跡をたどることはできるのか。
(事務次官)実際どのように配られて、どうなっているかというのはフォローするべきだと思う。どう食べているかという話だと思う。
(問)支援したコメが軍隊に廻っているのではないかということがよく言われているが、北朝鮮の軍関係の施設には行かないのか。
(事務次官)今のところ軍関係の施設が入っているというふうには承知していない。そもそもWFPが行っている緊急食糧支援プロジェクトというのは、子供、孤児、老齢者等に配布するということなので、少なくとも軍人に配布するという前提ではない。
(問)派遣団は何人か。
(事務次官)河野参事官および2名、計3名である。
(問)WFPの職員も同行するのか。
(事務次官)政府職員だけである。WFPを通じて北朝鮮側と対応しているということである。
(問)10万トンのコメ全てはすでに北朝鮮に渡っているのか。
(事務次官)8月7日現在で9万トンである。
中国調査船の動向
(事務次官)若干国会でもやりとりがあり、報道もあったので、中国の海洋調査船と海軍艦艇について申し上げたい。昨今の中国の海洋調査船及び海軍艦艇の日本近海における行動については、少なからず国内でも関心を集めているが、政府としても本件を重視して、真剣に対応を検討しているところである。海洋調査船については、最も最近では8月2日から4日まで4隻の海洋調査船が現れたということである。これらがわが国の事前の同意なくしてわが国の排他的経済水域または大陸棚において海洋の科学調査を行う場合には、現場において即時中止を求めるか、あるいはその都度時をおかずに東京より北京の外交ルートを通じてこのような行動を中止するように中国側に申し入れている。8月2日のケースもそうであった。
それに先立ってバンコクで行った日中外相会談でも、大臣から「本件は放置できない問題である」として中国側に責任ある対応を強く求めたところであり、これは引き続き話し合いをしていかなければならない問題と考えている。外相会談においては、唐家セン外交部長からは、「本件は日本から再三申し入れがあり、日本国内世論の関心も高いことも承知している。東海においては未だ境界画定がなされておらず、協議により問題解決を図りたい」という応答があった。同じ外相会談において、わが国近海における中国の海軍艦艇の行動についても、「日本国内の関心は高いし、日本側に通報すべきであろう」ということを申し入れた次第である。
補足説明させていただくと、「東海において未だ境界画定がなされておらず」というのは、ご承知の方もいらっしゃると思うが、日本側は日中間の中間線までが日本の排他的経済水域であるという立場であるが、中国側は中国大陸から伸びてくる大陸棚がストンと落ちるところまでは全部中国のものであるということで、主張がダブっており、係争水域なわけである。しかし、日本からしてみれば、それは日本の水域であるから少なくとも事前の同意が必要であるとの立場をとっているが、係争水域である以上排他的経済水域および大陸棚の境界画定は、ゆくゆく話し合いを通じて解決しなくてはならない問題であるということは確かである。みなみまぐろ事件仲裁裁判の結果
(事務次官)みなみまぐろの仲裁裁判について談話を先程発表させていただいたが、補足説明をさせていただく。実は、仲裁裁判というものに日本の国が関わり合いを持つというのは非常に稀であり、有史以来3件目である。1件目は、1872年の日本とペルーの間のマリー・ルイーズ号事件である。過去100年で言うと、1905年に英国、独、仏を相手に家屋税事件の仲裁裁判があった。この時は日本は負けている。
簡単に説明すると、日本がみなみまぐろの調査漁獲を昨年と一昨年に実施したが、豪州とニュージーランドが「こういう調査漁獲はすべきでない」ということで、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判という手続を開始したのが発端である。その仲裁裁判手続の一環として、豪州とニュージーランド側が常設の国際海洋法裁判所にとりあえずの暫定措置を求めて、その結果昨年夏に暫定措置命令が出た。これは、「調査漁獲はすべきでない」「すでに獲った分は次に獲る分から差し引け」という暫定命令である。今回の仲裁裁判は、そもそもこの紛争は国際海洋法という枠組みではなくて、その特別法であるみなみまぐろ条約の中で対応すべき話であって、従って国際海洋法に基づいて紛争処理を動かし出した仲裁裁判所というものにそもそも管轄権がなく、従ってその仲裁手続の一環として出された暫定命令も無効である、という判断があったというのが全体の枠組みである。但し、同時に今回の判決においても、日本および豪州・ニュージーランドの両当事者の自制あるいは交渉の促進等を促しており、これからこの3者間でどうやって意見の相違を解決をしていくか探求していくということである。みなみまぐろという漁獲資源の重要性という問題もさることながら、仲裁裁判というものが100年ぶりだったので、そういう意味で国際法の秩序という観点から興味深く、意義を感じた。
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