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記者会見

報道官会見記録(平成11年10月)


INDEX


・ 報道官会見記録(10月29日付)
  ・ 天江中近東アフリカ局長のイラク訪問
  ・東チモール暫定行政機構(UNTAET)人事


・ 報道官会見記録(10月26日付)
  ・ 日本の核軍縮・小火器決議案提出(冒頭発言)
  ・日本の核軍縮・小火器決議案提出(質疑応答)


・ 報道官会見記録(10月22日付)
  ・ WTOローザンヌ非公式閣僚会合(冒頭発言)
  ・アフリカ民主化セミナー開催(冒頭発言)
  ・ロシア・チェチェン情勢
  ・キルギス邦人拉致事件(対タジキスタン関係)
  ・日韓閣僚懇関連


・ 報道官会見記録(10月19日付)
  ・ コンゴ情勢
  ・キルギス邦人拉致事件
  ・ユネスコ事務局長選
  ・村山訪朝団


・ 報道官会見記録(10月15日付)
  ・ ボリビア外相来日(冒頭発言)
  ・パキスタン情勢
  ・ユネスコ事務局長選挙


・ 報道官会見記録(10月12日付)
  ・ 平成11年度「日蘭架け橋計画」
  ・大臣の沖縄訪問予定


・ 報道官会見記録(10月8日付)
  ・ 2001年ボランティア国際年(冒頭発言)
  ・ ビジョン2020第1回会合(冒頭発言)
  ・ 三沢基地米軍機事故関連
  ・ キルギス邦人誘拐事件


・ 報道官会見記録(10月5日付)
  ・ 北方四島住民支援(択捉島からの心臓病女児の受け入れ)
  ・ 北方四島住民への緊急人道支援実施(国後島住民に対するディーゼル燃料の供与)
  ・ 西チモールへの「自衛隊機派遣」


・ 報道官会見記録(10月1日付)
  ・ 東海村事故
  ・ 中国建国50周年
  ・ CTBTウィーン会議
  ・ 米国の未臨界核実験




報道官会見要旨 (平成11年10月29日(金)17:00~ 於 会見室)

・ 天江中近東アフリカ局長のイラク訪問

(問)中東アフリカ局長がイラクを訪問された経緯、日本政府としての目標などについて教えてほしい。

(報道官)まず経緯について申し上げると、湾岸戦争以来バグダッドのわが方大使館は91年1月に事実上閉鎖し、その後在イラク大使館員が在ジョルダン大使館に併任発令され、ジョルダンにて執務を行ってきている。イラクとの間では、イラクに関する情報収集、イラク政府との対話、在イラク大使館仮事務所の維持管理、イラク政府との事務連絡等の業務を行う必要があり、定期的にミッション(テクニカル・ミッション)をイラクに派遣してきている。
 いままで在ジョルダン大使館にイラク併任で発令された大使館員が中心となって2、3カ月に1回、1ないし2週間程度をめどに出張してきている。いままで24回、そういうミッションが行っている。今回、天江局長が団長として行ったミッションは第25次テクニカル・ミッションということである。
 今回の天江局長の出張の目的は、過去24回にわたって派遣してきた定期的なミッションの一環であり、その目的も情報収集、イラク政府との対話、意見交換などを行うことを目的とした従来のミッションと同じである。今回、天江局長は25日から28日までイラクに出張した。イラク出張中に天江局長はサッハーフ・イラク外務大臣ほかイラク側政府関係者などと会談した。
 以上が今回のミッションの性格である。

(問)大使館を再開するなどの合意があったわけではないのか。

(報道官)(そういう合意は)ない。わが国としては、イラクが大量破壊兵器の廃棄、抑留クウェート人の帰還などいろいろな要素が入っている決議687をはじめとする関連安保理決議を誠実に履行して、国際社会と協調できるようになることを望んでいる。イラク側関係者との会談を通じてもそういうメッセージを伝えたと思う。ちなみに、イラクの通信事情は良くなく、電報を送れる状況ではないので、詳細はまだ必ずしも把握していないが、基本的な目的はいま申し上げたとおりである。イラクが関連安保理決議を履行することによって国際社会との協調に移り、そういうことを通じて一日も早くわが国との2国間関係を従来のレベルに戻せるような環境が整うことを期待しているが、現時点で在イラク大使館の今後の扱いについて何ら決定は行っていない。

(問)局長級ということはかなり久しぶりということだったのか。

(報道官)局長級のテクニカル・ミッションで行ったのは今回が初めてである。ただ、中近東第2課長が行った例は97年に1回、今年2回ある。昨年の3月には石橋中近東アフリカ局参事官(当時)がテクニカル・ミッションのヘッドとなって行った例はある。

(問)日本が率先してイラクとの対話などを進め、関係を正常化していくというようなメッセージを伝えるものではないということか。

(報道官)そういうことではない。ちなみに、主要国との比較を申し上げると、ロシアと中国がバクダッドに大使館を開設している。フランスは利益代表部を設置している。米、英については現時点では公館を有していない。他方、最近フランス、オーストリア、スイス、スウェーデン、ロシアなどから局長級以上の人がイラクを訪問している。そういう意味で、日本が特に突出しているということではないと思う。

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・ 国連東チモール暫定行政機構(UNTAET)人事

(問)国連東チモール暫定行政機構(UNTAET)の人事で、代表は既に決まっているが、すぐ下に就く次長ポストがあると思う。これは日本から推薦していると思うが、国連の方からの決定の通知の見通しなどはいまどうなっているか。

(報道官)25日に採択された国連安保理決議で国連東チモール暫定行政機構(UNTAET)の設立が決定した。かねてから申し上げている通り、わが国としてもUNTAETに積極的に貢献を行いたいと思っている。人員の派遣という面においても積極的に貢献を行いたいということで、いま検討を進めているところである。国連とも連絡を取りつつあるが、まだいまの時点で具体的に「だれが候補になっている」とか、「どのポスト」ということについて申し上げることは差し控えさせていただきたいと思う。なるべく意味のある貢献ができるようなポストを考えているが、まだ申し上げるのは早いかと思う。

(問)国連の方からタイムスケジュールのようなものを示されているか。

(報道官)特に何月何日までということではないと思う。そんなにいつまでも時間をかけられることではないと思うが、安保理決議で設立が決まって動き出さなければならないわけで、国連事務総長としてデメロ事務次長をUNTAETのヘッドにしたいとの意思を表明して、安保理でさらにそれを決定するというプロセスが残っていると思う。長となる人のめどが着いて、その下のいろいろなポストについて国連でもいま人を決めていこうとしている段階である。急いでいるとは思うが、何月何日までというような話であるとは承知していない。

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報道官会見要旨 (平成11年10月26日(火)17:00~ 於 会見室)

・ 日本の核軍縮・小火器決議案提出(冒頭発言)

(報道官)国連総会第1委員会において軍縮関係の審議が行われているが、このほど日本が提出した決議案二つについて申し上げる。
 先週の金曜日、第1委員会に対して核軍縮に関する日本決議案と小火器に関する日本決議案を提出した。今後、これについての審議が行われていくことになる。いずれも今まで何回かにわたって日本が提出してきた決議案である。
 核軍縮に関する決議案については、昨年までの内容にさらに「東京フォーラム」において議論された点を幾つか盛り込んでいる。盛り込まれた内容は、前文において、「東京フォーラム」の報告書への言及が含まれている。主文部分では、昨年と同じく兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約交渉の早期妥結をうたい、それに加えて核分裂性物質の生産モラトリアムということを言っている。また、昨年と同様に第2次戦略兵器削減条約(STARTⅡ)早期発効、STARTⅢ交渉の早期開始に加え、その後の交渉継続ということを呼びかけている。さらに、解体された核兵器から生じる物質の安全管理並びに余剰核分裂性物質の申告及び国際管理への移行というものを入れている。それから、国際原子力機関(IAEA)追加議定書の重要性を強調し、各国に早期締結を呼びかけている。
 来年2000年に核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が行われることとなっているが、この再検討会議への地ならしという意味で、再検討会議の重要性及びこの会議で新たな目標に合意を得るための努力の必要性というものを入れている。
 最後に、核不拡散、核軍縮に関する市民社会の建設的役割というポイントを入れている。
 小火器に関する日本決議案については、かねてより2001年に小火器および軽兵器の不正取引についての国際会議の開催が言われていたわけであるが、2001年の6月、7月にこの問題についての国連会議の開催を決定するということを言っている。そのほか、それに向けての準備委員会会合を2000年2月28日から3月3日までニューヨークで開催することを具体的に言っている。
 今後審議が行われて採決に至ることとなるが、採決は11月8日の週になると思われる。まず第1委員会で採決し、その後国連総会で採択することとなる。

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・ 日本の核軍縮・小火器決議案提出(質疑応答)

(問)こういった二つの決議を日本が出すのは極めて異例と言えるか。

(報道官)異例ではない。例えば小火器も1994年から、核兵器に関する決議案も94年か95年、何年か前から出してきている。今回の特に核軍縮の決議については昨年のインド、パキスタンの核実験を契機としてG8国および幾つかの関係国の民間有識者の間で、日本が音頭を取って議論してきた結果、「東京フォーラム」の報告が出たということで、その要素をも勘案して幾つかの新しい要素が入っているということである。

(問)それは毎年可決されているのか。

(報道官)採択されて来ている。例えば、昨年の核軍縮決議案の投票結果が賛成160、反対0、棄権11で、核兵器国はすべて賛成し、棄権国の中にインド、パキスタンが含まれている。小火器の方はちょっと今、手元に無いが、大体そういうことである。

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報道官会見要旨 (平成11年10月22日(金)16:00~ 於 会見室)

・ WTOローザンヌ非公式閣僚会合(冒頭発言)

(報道官)世界貿易機関(WTO)ローザンヌ非公式閣僚会合が10月25、26の両日、スイスのローザンヌにおいて開催される。この会合には4極(日本、米国、カナダ、欧州委員会)のほかに25カ国から閣僚級の出席が予定されている。わが国からは深谷通商産業大臣、東外務総括政務次官が出席する。
 ローザンヌ非公式閣僚会合は、11月30日から12月3日までシアトルで開かれる第3回WTO閣僚会合に臨むに当たって、新ラウンドを開始すべきとの立場の国(フレンズ・オブ・ザ・ニューラウンズ)が中心となって4極さらにはインド、ブラジルなど必ずしも新ラウンドに積極的とはいえない国々も参加してシアトル会合の在り方、次期ラウンドの方向性などについて議論を交わす場となっている。
 この会合では、WTO次期交渉を立ち上げる「シアトル閣僚会議」に向け、閣僚レベルで交渉テーマ、交渉方式等について自由な議論をする予定である。
 わが国としてはこの会合で積極的にわが国の立場を表明していくほか、主要国とも積極的に意見交換を行う考えである。

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・ アフリカ民主化セミナー開催(冒頭発言)

(報道官)アフリカ民主化セミナーを10月24日から11月3日まで東京および地方において開催する。これは外務省が主催し、国際協力事業団(JICA)の協力を得て開催するものである。
 この民主化セミナーについて一言申し上げると、まず、平成3年に発表した政府開発援助(ODA)大綱で、わが国は被援助国の「民主化促進」「市場指向型経済の導入の努力」などの観点に十分配慮するとの考え方を打ち出した。この考え方の下で、平成4年度からJICAの協力の下に、いろいろな国における民主化を推進するための「民主化セミナー」を開催してきている。対象としては、例えば南米、中央アジア、アフリカ、アジアの国などを対象としてきている。
 今年度のアフリカ民主化セミナーの特色を申し上げると、一つは対象をアフリカに絞るということである。特に昨年の第2回アフリカ開発会議(TICAD 2)のフォローアップの一環として、アフリカの中で特に民主化への歩みを進めている東アフリカ3カ国(ウガンダ、ケニア、タンザニア)を対象としていることである。第2に、参加者であるが、いままでのほかの国々を対象としてきた民主化セミナーにおいては、各国の立法府、国会議員もある程度参加していたが、行政官が割合多かった。今回については、3カ国の与野党の国会議員を各国5名ずつ計15名と、国会議員に対象を絞っていることである。かなり有力な各国の国会議員の大臣経験者なども参加するが、そういう国会議員の方々を対象に、わが国がたどった近代化および民主主義の道程と現状を紹介する。そういうことを通じて、これら諸国における民主化政策の下での経済開発、社会開発の努力の一助となることを目的として行うものである。
 本邦滞在中に、日本の国会議員の方々との懇談、例えば愛知和男議員との懇談とか、鈴木宗男前官房副長官が中心となってやっておられるアフリカ議連メンバーとの懇談などわが方の立法府の方々との懇談が予定されている。また、わが省幹部をはじめとして、行政府の人たちとの意見交換があり、宇都宮市を訪問する予定である。

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・ ロシア・チェチェン情勢

(問)チェチェン情勢だが、ロシア軍が首都グローズヌイに迫っていて集結しているとの報道があるが、外務省の認識はどうか。

(報道官)チェチェンの北3分の1ぐらいのところにある川までをロシア軍が抑え、そこから南にチェチェン人が多く住んでいるところで、いかなる攻勢を展開するかが注目されているという状況までは承知しているが、今日いまの時点でどうなっているか、そこまで細かくは詳びらかでない。

(問)グローズヌイを制圧するのではないかという報道もあるが、その場合外務省のスタンスはロシアを支持するということか。

(報道官)チェチェン問題一般について申し上げれば、チェチェンに関するテロリスト的な活動というようなこともあるようなことなので、それらについてはわが方も憂慮をもって見ているということである。

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・ キルギス邦人拉致事件(対タジキスタン関係)

(問)大臣会見でも質問したが、キルギスの事件でタジキスタン政府が交渉に乗り出したとの一部報道がある。政府は過去にタジキスタン政府に協力を要請したと思うが、それ以降、タジキスタンに対して日本政府はどのような対応を取られているか。

(報道官)この問題が起きて間もなくのときに、タジキスタンを含め近隣諸国に協力を要請したということは事実である。その後、キルギス政府と密接な連絡を取りつつ、全力を尽くしてこの問題に対応しようとしているわけである。その間にいろいろな情報収拾に努めているが、個々の国々とのやり取りやオペレーションに関わる詳細については、今朝ほど大臣からも言われたことだと思うが、事柄の性質上発言を差し控えさせていただきたい と思う。

(問)オペレーションに関わるが、キルギス政府との場合には「キルギス政府と緊密な連絡を取って、人質の無事解放に向けて全力を尽くす」という見解だったが、タジキスタンに対しても同じ見解ということか。

(報道官)事件がキルギスで起きたということがあるので、キルギス政府と密接に連絡を取りつつ協力しながら、キルギス政府が一生懸命努力し、私どもそれと密接に連絡を取りながら、問題の解決のために力を尽くしている状況である。他方、周辺の国々に対してもこの問題について協力できることがあれば協力してほしいということは言ってきているわけであり、いろいろな情報収拾等の面で連絡は取っているということであるが、それ以上の詳細を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思う。

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・ 日韓閣僚懇関連

(問)日韓閣僚懇談会では経済関係について何か話し合うか。

(報道官)ご承知の通り両国の経済閣僚も含めて多数の方が参加される。わが方からも通商産業大臣、農水大臣、経済企画庁長官、運輸大臣、大蔵総括政務次官も参加される。そのカウンターパートの方々も参加するわけなので、昨年10月の「日韓共同宣言」「行動計画」にうたわれた「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」を構築するための対話を強化していくということである。この新たな日韓パートナーシップというものは非常に広範な分野をカバーするものであり、そういう意味で経済分野での協力についてもこの場を通じて、あるいは個々の閣僚同士の、カウンターパート会談を通じて取り上げられることになると思う。

(問)議題は決まっていないか。

(報道官)個々のカウンターパートの閣僚の方々の間ではそれぞれの所掌しておられる分野ということなので、自ずから議題と分野が絞られると思うが、全体会合では一般的な話になるかと考えている。非常に精密にこの問題、あの問題を取り上げるというふうな形で必ずしも進むものではないと思っている。

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報道官会見要旨 (平成11年10月19日(火)17:00~ 於 会見室)

・ コンゴ情勢

(報道官)コンゴ民主共和国情勢(和平合意の履行)について申し上げる。わが国は、コンゴ民主共和国の和平に関わる「ルサカ和平合意」(8月31日成立)が時機を逸することなく、関係者により誠実に履行されることの重要性を再度強調したいと思う。
 わが国は関係者による同国の平和と安定に向けた努力を支援し、また、和平合意の確実な履行に向けた良好な環境を形成するために、本年9月、「99年国連統一アピール」に応えて、同国を含めた大湖地域難民支援のために国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対し、791万ドルの拠出を行ったところである。
 また、わが国は「ルサカ和平合意」に従い、国連平和維持活動(PKO)が展開さされるまでの間、停戦監視等の業務を行うこととなっている合同軍事委員会が早急に体制を整え活動を開始すること及び和平合意の重要な柱である同国における国民和解と民主化のための国民対話が早急に開始されることを強く希望している。
 わが国としても、このための国連、アフリカ統一機構(OAU)等関係者の努力に対し、可能な貢献を行いたいと考えている。

(問)最後のところで「可能な貢献を行いたい」ということだが、どのような貢献を行うことを想定しているのか。

(報道官)基本的には財政的貢献ということになると思う。例えば、OAUに平和基金、国連に平和協力基金というものがあり、また、いずれPKOが展開されることになれば、その分担金ということになる。そういう面での財政的貢献が中心になると思う。因みにすべての紛争当事者による和平合意ということを申し上げたが、紛争当事者の数が非常に多く、コンゴ民主共和国政府、それに対するすべての反政府勢力、それにルワンダ、ウガンダ、アンゴラ、ジンバブエ、ナミビアといった国々が関係しており、非常に入り組んだ構造になっている。その下で何とか「ルサカ和平合意」にまでこぎ着けたわけで、その実施がまだ遅れ、非常に複雑でなかなか難しい状況であるが、和平合意の計画に基づいて進展がみられるよう見守っていきたいということである。

(問)人を出すことは考えていないか。

(報道官)なかなかすぐそういう話にはならないのではないかという感じがする。何故かといえば、まず停戦監視等の業務を行うために合同軍事委員会ができ、それが活動しなければならないが、まだその活動が軌道に乗っていない状況であるからである。まだ前途に色々な問題を克服していかなければいけないのではないかという感じである。そういうことから考えると、今後の問題になるかと思うが、わが国としてすぐ人を出すというようなことが容易にできるような状況ではないのではないかという感じがする。

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・ キルギス邦人拉致事件

(問)今夕までのところでキルギス情勢如何。

(報道官)その後特に変化はない。私どもとしては日本の人質の方々の一日も早い解放のために引き続きいろいろな情報を分析しつつ、全力を尽くしている状況である。それ以上に申し上げられる状況にはない。

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・ ユネスコ事務局長選

(問)ユネスコ事務局長選の第1回投票が行われ、きょう夜にまた投票が行われる予定だが、情勢分析をしてほしい。

(報道官)第1回の投票においていずれの候補も過半数を獲得できなかった。ご指摘の通り、本日第2回投票が行われることとなっている。松浦候補は過半数こそ越えなかったが、多くの国の支持を得て先頭にいることは確かである。ただこれからまだ投票が続く状況にあるので、私どもとしては松浦候補がさらに票を積み上げて当選できるよう、引き続き全力を尽くしていきたいと思っている。いまそれ以上に申し上げられる段階にはない。

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・ 村山訪朝団

(問)一部の報道で、いわゆる村山訪朝団が、野中前官房長官も行かれるそうであるが、来月中にも実現しそうであると、見込みが固まりつつあるというような報道が出ている。これについて外務省としてどういう準備段階なのか、あるいは本件に対するコメント如何。

(報道官)そういう報道があることは承知しているが、特にいつ訪朝が実現するかということについて具体的な動きがあるとは承知していない。

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報道官会見要旨 (平成11年10月15日(金)17:00~ 於 会見室)

・ ボリビア外相来日(冒頭発言)

(報道官)ムリリョ・ボリビア共和国外務大臣の来日について申し上げる。ムリリョ外務大臣および令夫人は10月17日から22日まで、外務省賓客として来日される。本年は日本人のボリビア移住100周年に当たる。6月には清子内親王殿下がこの関連で公式にボリビアを訪問された。今回のムリリョ外務大臣の訪日も100周年を祝しての公式訪問である。
 ボリビアには日系人の方々が約1万人おられるということもあって、伝統的に日本との友好関係を維持してきている。また、ペルーの大使公邸占拠事件の際にボリビアの在ペルー大使も人質に取られ、その際、ボリビア政府がペルーの左翼ゲリラ「MRTA」メンバーの釈放など融和的な措置を取ることを断固拒否したこともある。ユネスコ事務局長選挙におけるわが国候補への支持を表明していることもあって、両国間の協力関係が評価されつつあるという背景がある。
 滞日中に、ムリリョ外務大臣は河野外務大臣と会談するほか、清子内親王殿下とのご接見、衆参両院議長への表敬、経団連主催のわが国企業関係者との懇談などが予定されている。
 外務大臣会談の際に、本年度の対ボリビア文化無償資金協力にかかる交換公文の署名が予定されている。ボリビアにはプレインカの文明の遺跡があり、遺跡発掘関係の機材についての文化無償資金協力である。

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・ パキスタン情勢

(問)大臣が会見で「民主主義に逆行するもの」とおっしゃったが、今後パキスタンに対し何らかの制裁措置を発動するお考えはあるか。

(報道官)現地はまだ流動的な情勢にあり、15日未明にパキスタン軍部が声明を発表して非常事態を宣言し、憲法および国会の機能を停止したということである。こういう動きは今朝ほど大臣からも言いましたように、民主主義に逆行するものとして大変憂慮している。そこで、今朝ほど川島事務次官が在京のフセイン・パキスタン大使に対して、「こういう動きは極めて憂慮されるものであり、パキスタンがこのような方向に進めば、国際社会との関係で困難な立場におかれることになる。経済面でも、パキスタン国民との関係でも決して良いことはないと考える」旨申し入れた。そこで、そういうことになってはいけないので、現在の事態が民主的な憲法手続きに則り、早急に収拾されることを強く期待するということを申し入れた。また、この事態が南西アジア地域の不安定化を招くことを回避して、さらに核不拡散体制の弱体化につながることのないようにするためにも、民主的な憲法手続きに則って早急に収拾されるという方向性が早期に打ち出されることを希望すると申し入れた。
 経済上の措置、援助などについてのご質問かと思うが、ご承知の通りパキスタンに対してのわが国の政府開発援助(ODA)については、昨年5月のパキスタンの核実験を受けて、緊急人道的性格の援助および草の根無償を除く新規の無償資金協力および新規の円借款を原則停止する措置を取ってきている。今回の事態を踏まえてさらに何らかの措置を取るか否かについては、今後の状況を見極めた上で検討すべきと考えている。その間に、民主主義に逆行する動きについて国際社会からの批判が高まって、そういう観点からもパキスタンの国民がさらに苦しむようになるようなことは極めて望ましくないとの観点から、先ほど申し上げたような申し入れを本日行った次第である。

(問)現在パキスタンにいる日本人の状況で何か情報は入っているか。

(報道官)パキスタンには長期滞在邦人が本年6月現在で813名、首都イスラマバードに252名、カラチに413名。ちなみに邦人企業の数は会社として数えると、合弁企業を含めて35社である。現地大使館から在留邦人の方々に緊急連絡網による連絡をしてきている。これまで大使館および総領事館は一部の方々を除いて、日本人学校、本邦企業、国際協力事業団(JICA)等政府機関などの関係者および家族全員の無事を確認している。「一部の方」と申し上げたのは、在パキスタン大使館の管内および在カラチ総領事館管内のそれぞれ14名の方について、電話が設置されていないとか電話が通じないとか引っ越しなどをされて安否未確認の方々がいるが、この方々は国内出張されている1名を除いて全員永住者であると把握している。

(問)いま確認されていない人は何人か。

(報道官)それぞれ14名である。

(問)それぞれということはどういうことか。

(報道官)在パキスタン大使館管内14名、在カラチ総領事館管内14名ということである。1名の国内出張者を除き全員永住者である。

(問)35社は、両方に出ている場合は2社として数えたものか。

(報道官)1社として数えたものである。これをなぜ申し上げたかというと、昨日であったか官房長官の会見で「56社」という数字があったと思うが、それは会社の数え方の違いのようである。

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・ ユネスコ事務局長選挙

(問)ユネスコの事務局長選挙で現時点での票読みはどうか。できれば正式に支持を表明しているのは何カ国か教えてほしい。

(報道官)18日(月)に第1回投票があり、その結果次第で何回か投票があり得るという状況にあり、今の状況で申し上げるのはなかなか難しいが、11人の候補者がいる中で松浦大使が非常に有力な候補となっていることは間違いないことと思われる。具体的にどの国からの支持が得られるかは、秘密投票ということでもあり、なかなか難しい要素があるが、国によっては態度を一切明らかにしないとか、内々明らかにしても外には言わないでくれというような国が非常に多く、具体的にどの国が支持しているかは、非常に明示的に言っている国以外は申し上げにくい。

(問)ボリビアのように支持を表明している国は何カ国あるか。

(報道官)きちっと何カ国と言うのは難しい。ごく大ざっぱな言い方になって恐縮だが、公式に、公表される形で支持を表明している国は5カ国とか6カ国ぐらいの単位だと思う。私も必ずしもすべてのリストを持っているわけではない。

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報道官会見要旨 (平成11年10月12日(火)17:00~ 於 会見室)

・ 「日蘭架け橋計画」

(報道官)平成11年度「日蘭架け橋計画」の実施について申し上げる。「日蘭架け橋計画」は戦後50周年を契機として、アジア近隣諸国等との間で未来に向けて友好関係を構築していくことを目的として実施してきている、「平和友好交流計画」のオランダ向け事業の一つである。目的はオランダの戦争犠牲者や交流団体などを訪日招聘し、わが国関係者との交流や各地の視察を行うことによって日蘭間の草の根レベルでの相互交流・相互理解を促進することにある。
 今回この計画の下に、オランダの戦争被害者団体「対日道義的債務基金」のバウマン会長ほか関係者24名を10月18日から30日まで、わが国に招待する。一行は滞在中、山本外務政務次官を表敬するほか外務省関係者などと意見交換を行い、オランダにゆかりのある長崎市、福岡県水巻町等を訪問する予定である。その間、東京と長崎において大学生との懇談を行い、あるいは長崎において原爆資料館を視察、水巻町では中学生との交流を、大阪では高校生との交流などを予定している。
 この「日蘭架け橋計画」の下での「対日道義的債務基金」関係者の訪日は、96年9月が第1回で、その後98年3月、98年10月と続き、今回で第4回目を迎える。

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・ 大臣の沖縄訪問予定

(問)現段階で外務大臣の沖縄訪問の予定は詰まっているか。

(報道官)大臣は就任以来「早い時期に沖縄を訪問したい」とお考えになっているが、いまのところ日程を含め、具体的なことは決まっていない。

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報道官会見要旨 (平成11年10月8日(金)16:00~ 於 会見室)

・ 2001年ボランティア国際年(冒頭発言)

(報道官)「2001年ボランティア国際年推進協議会」発足式典について申し上げる。この式典は10月12日(火)、東京の国連大学本部で開催される。「2001年ボランティア国際年推進協議会」の主催、外務省、経済企画庁、国連開発計画、国連ボランティア計画の共催で行われる。
 同協議会は、平成9年の第52回国連総会でわが国政府が提唱し制定した「2001年ボランティア国際年」に向けて、わが国の民間ボランティア団体がそれぞれの活動分野を越えて、いわば横に協力し合う枠組みとして設立されたもので、15団体のボランティアから成っている。この協議会が12日に正式に発足する運びとなった。協議会代表には有馬実成NGO活動推進センター理事長、堀田力さわやか福祉財団理事長、山崎美貴子東京ボランティア市民活動センター所長が就任する予定である。
 12日午後行われるこの式典には河野外務大臣が出席して挨拶を行うとともに、記念シンポジウムが行われ、堺屋経済企画庁長官がスピーカーとして出席する予定である。また、「2001年ボランティア国際年」の準備・実施・フォローアップのための中心的役割を果たす国連内部の機関として、国連ボランティア計画(UNV)が指定されているが、UNVのケイプリング事務局長(女性、カナダ人)が出席する予定である。

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・ ビジョン2020第1回会合(冒頭発言)

(報道官)「ビジョン2020日・ASEAN協議会」第1回会合の開催について申し上げる。この会合は10月10日から13日まで、ベトナムのハノイおよびハロン湾において開催される。
 昨年11月にハノイで行われた日・ASEAN首脳会議において、小渕総理の提案に基づいて、日本およびASEANの民間有識者による賢人会議としてこの協議会を設置することになった。この会合の運営に当たるのが、日本側は日本国際問題研究所、ASEAN側はASEAN戦略国際問題研究所連合(ASEAN各国のシンクタンク等)から成り、窓口はベトナム国際問題研究所である。
 この協議会には日本側から小和田日本国際問題研究所理事長、行天国際通貨研究所理事長、畠山日本貿易振興会理事長、鳥海丸紅会長、山影東京大学教養学部教授、小島日本経済新聞論説主幹の6名が出席される。ASEAN側からはファン・ベトナム国際問題研究所所長ほか22名がそれぞれ出席する。
 ASEANにおいては1997年に「ASEANビジョン2020」を採択し、昨年はこのビジョン実現のための最初の6カ年計画である「ハノイ行動計画」を採択している。今回の協議会では、この「ASEANビジョン2020」および「ハノイ行動計画」の実現に向けての日本の役割や、この二つだけに限らず、日本とASEANの協力関係を21世紀に向けてどう進めていったら良いかについて、いろいろな観点から自由な議論を行って提言を取りまとめることとなっている。
 今後1年間で3回会合があり、その結果を取りまとめた提言を来年末にシンガポールで開催予定の日・ASEAN首脳会議に提出する予定である。

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・ 三沢基地米軍機事故関連

(問)昨年7月の米軍三沢基地F16機の事故について伺いたい。この事故で報告書に添付された地図には、北海道南部の上ノ国の小学校の所に印があり、これは明確に目標物と取れる。9月17日の外務報道官会見の時にも本件が出たが、その後外務省として米軍に直接照会をされたことはあるか。あるいは外務省として独自の調査はされたか。

(報道官)この前の会見でも申し上げたと思うが、まず第1に、この問題について申し上げたいと思うのは、米軍機の飛行訓練は米軍の即応態勢の機能を維持する観点から通常行われている訓練であって、日米安保条約の目的達成のためには極めて重要なものであるということである。
 他方、米軍が全く自由に飛行訓練等を行って良いというわけでなく、わが国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることはもちろんである。私どもはいろいろな機会に閣僚レベルを含め、いろいろなレベルで米側に対しこの点を申し入れてきている。そのようなやり取りを通じて、本年1月14日に日米両政府は米軍の低空飛行訓練に関し、安全面に最大限の配慮を払うとともに地域住民に与える影響を最小限に止めるとの観点から、具体的措置を取りまとめた。その主なポイントとして、訓練区域を継続的に見直し、原子力エネルギー施設や民間空港を回避する、また人口密集地や公共の安全に関わる建造物(学校、病院等)への妥当な配慮を払う、国際基準やわが国航空法に規定される最低安全高度を用いること等が含まれている。
 昨年7月の事故自体はご承知のように三沢の飛行場で起きたことだが、米側で調査しその結果が報告書として出された。その報告書に付いている地図の中にいくつかの地点が示されているということで、ご指摘の上ノ国に当たる地点が示されているということからのご質問だが、この地点がそのままいつも米軍が使っている飛行経路を示すか否かという点は必ずしも明らかでない。それから、この調査報告書自体には、事故を起こしたF16機が北海道の上ノ国町の小学校を目標に模擬対地攻撃訓練を行う予定であったといったような記述はない。と同時に、この問題についての報道があったので、私どもの方から米側に対して事実関係の確認をこの報道があった直後に求めた。それに対して米側の方から、「三沢飛行場に展開している米軍機は昨年7月24日、事故が起きたときの訓練の際を含めて、またその後も小学校を訓練の目標としたことは一切ない」旨の返答が返って来ている。それと同時に、米側よりは「在日米軍のパイロットは日本の国民の方々の気持ちを十分認識しており、日本国民を危険にさらすような区域を目標として訓練を行うことはない」という旨の説明を従来よりしてきている。

(問)添付された地図を見た専門家が「これは何らかの目標物に違いない」と言っているが、外務省としては米軍が先ほど返答してきたことで「これは目標物ではない」と断定されているということでよろしいか。

(報道官)米軍に対して事実関係の確認を求めたのに対して、米側から先ほどの繰り返しになるが、「三沢飛行場に展開している米軍機が昨年7月24日の訓練の際を含め、またその後も小学校を訓練の目標としたことは一切ない」という返答が来ている。

(問)その返答によって外務省はそれと同じ判断をされているということでよろしいか。

(報道官)米側のこの返答を疑うべき理由はないと思う。

(問)このごろ米軍の事故がかなり相次いでいると思うが、例えば訓練の前にその情報を公開するとか、そうしたことを今後求めていく積もりはあるか。

(報道官)米軍の事故、特に飛行訓練に関わる事故等について、関係の地域の方々のお気持ちは場合によって強いものがあるということは、私どもはかねてより認識してきている次第である。そこで、かねてより米軍に対して、先ほど申し上げたこととまた繰り返しになるが、わが国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきであるということを申し入れてきている。そういうやり取りを通じて、いろいろ話し合った結果、今年1月14日に先ほど申し上げた取りまとめが両国政府の間で行われたわけである。その中で、米軍の低空飛行訓練に関し安全面に最大限の配慮を払うとともに、地域住民に与える影響を最小限に止めるとの観点から、具体的措置が提起されているわけである。この具体的措置に基づいて、米軍の訓練の安全性確保をさらに徹底させていきたいと思っている。

(問)地図の記号の件に立ち返るが、添付された地図に書いてあった番号は何を示すものだったのか。

(報道官)そこは私どもとして必ずしも「こういうものであるに違いない」ということを言う立場にはないと思う。地図に地点が書いてあったことはその通りであるが、先ほど申し上げたようにそれがいわゆる通常使われている飛行経路を示すものかどうかは必ずしもはっきりしないし、それから、もしご質問が対地攻撃訓練の目標を示しているのではないかということであるとすれば、それに対しては、米軍にきちっとその点を確認したのに対して、米軍の方から先ほど申し上げたように、当該日時の訓練のときあるいはその後も小学校を訓練の目標としたことは一切ないという返答があった次第である。

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・ キルギス邦人誘拐事件

(問)一部報道でキルギスの下院議員が今週末に人質の半分を連れて帰国するとあるが、これはご存知か。

(報道官)ご指摘の報道自体がどうかは詳びらかにしていないが、本件についていろいろな報道がなされているが、いつも繰り返していることだが、私どもはキルギス政府と密接な連絡を取りつつ、人質となっている方々の早期無事解放に向けて全力を尽くしている次第である。その間にいろいろ報道、情報があるが、人質の方々の生命の安全が最大の考慮であるので、そういう観点から申し上げると、いろいろな情報の具体的な内容について私どもがいろいろ申し上げることがプラスの効果を持つとは思えないので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思う。

(問)同人がバキルウル下院議員であり、アフガニスタンに入ったと言われているが、こういう報道に関しては知っているか。

(報道官)いろいろな報道が行われていることは承知している。ただ、報道されていることについてどうかということであれば、先ほど申し上げた理由でいろいろコメントすることは差し控えさせていただきたいと思う。

(問)この下院議員はいまどこにいるのか。

(報道官)その点についてもコメントは差し控えさせていただきたいと思う。

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報道官会見要旨 (平成11年10月5日(火)17:00~ 於 会見室)

・ 北方四島住民支援(択捉島からの心臓病女児の受け入れ)

(報道官)今年度の北方4島住民支援の一環として、択捉島に在住していて北海道での検査・治療を希望する心臓病の女児(エヴゲーニヤ・ロジオノーヴァ、2歳11カ月)とその保護者、同島医師各1名を札幌市の北海道大学医学部付属病院にて受け入れることとした。
 患者と随行の方々は先週から北方4島に派遣している日本人医師調査団とともに、今まさに船に乗ったところと聞いているが、明6日(水)根室港に到着する予定である。まず北大付属病院で専門医による詳細な検査を受けることになるが、その後の処置については、検査結果を待ってさらに検討されることとなる。
 北方4島住民への医療協力については、今年2月の日露外相会談において、昨年拡大された緊急人道支援の枠組みの下で、4島において不測の事故により住民に重大な障害等が発生し、それが生命に関わるような場合には、4島住民を速やかに北海道等に受け入れて治療できるようにすることが望ましいとの考えで意見の一致を見ていた。
 今回の件については、今年8月、択捉島のホドリヤン地区長から鈴木宗男内閣官房副長官に寄せられた支援要請に基づくもので、2月の外相間の了解を踏まえて緊急人道上の観点からその実施を決定したものである。

(問)女児らが根室港に到着する時間は分かっているか。

(報道官)正確な時間は分からない。あの海域はかなり海が荒れることもあるということで、場合によっては遅れるかもしれないということである。もう少し詳細が分かれば知らせることにする。

(問)到着は午前か午後か。

(報道官)先ほどチェックしたら、船に乗り込んだというところまでは分かっているが、出港したかどうかはまだ確認できていない。その辺も含めてより詳細が分かったら連絡する。

(問)本年2月の外相会談において枠組みが決まった中で、「緊急人道上の観点から可能な支援を行うべく実施を決定したもの」とあるが、これは何例目となるのか。

(報道官)先ほど「昨年拡大された緊急人道支援の枠組み」と述べたが、その元は94年の北海道東方沖地震の災害復興ということで始まった緊急人道支援である。これをもう少し一般的な緊急人道支援にしようということになり、本年2月の外相会談で「不測の事故で生命に関わるような場合に北海道等に受け入れて治療できるようにする」ということにしたわけである。2月の外相会談以来ということであれば、このケースは初めてだと思う。ただ、昨年11月、平成10年度の北方4島住民支援の一環として、国後、択捉、色丹島から各1名の小児患者3名を札幌市の北大医学部付属病院にて受け入れた例はある。今年になってからは、このようなケースは初めてと承知している。

(問)4島住民への医療協力は昨年の緊急人道支援が拡大された中で既に入っているのか。それとも2月の外相会談で初めて入ったということか。

(報道官)昨年は一般的な緊急人道支援に広げようということになり、昨年10月末から11月にかけて現地で直らないような病気にかかっている小児患者3名を連れてきたケースがある。そういうものを踏まえて今年2月の日露外相会談で、そのようなケースをどうするか念頭に置いて話し合った結果、先ほど述べたように「不測の事故で4島住民に重大な障害等が発生し生命に関わるような場合には受け入れよう」ということをよりはっきりして、それに基づいて今回の受け入れになったわけである。

(問)今年の2月までに既に3人受け入れている実績があるなら、事後的に確認したという形になるわけか。

(報道官)事後的にというか、そういうケースがあるということを踏まえて、一つの方針を明らかにしたとご理解いただければと思う。

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・ 北方四島住民への緊急人道支援実施(国後島住民に対するディーゼル燃料の供与)

(報道官)同じく今年度の北方4島住民への緊急人道支援の一環として、国後島住民に対してディーゼル燃料(軽油)750トンを供与することとして、このための支援団を6日(水)から現地に派遣することになった。
 国後島ではディーゼル燃料が不足していて、住民は水や電気の供給制限を受けており、極めて困難な生活を強いられている。このような状況を踏まえて、国後島住民に対しディーゼル燃料を緊急人道支援として供与することとしたものである。この件については、7月24日、鈴木内閣官房副長官の国後島訪問の際に、国後島および色丹島住民に向けてディーゼル燃料2000トンを供与するとの意図表明を行った。その後、8月23日に色丹島の住民に対してディーゼル燃料250トンを第1次供与分として供与、今回は第2次の供与分ということになる。

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・ 西チモールへの「自衛隊機派遣」

(問)野呂田前防衛庁長官がお別れ会見で、西チモールへの自衛隊機の派遣について含みを残した発言をしている。また、一部報道によると、政府の中でもPKO 法の中で国連のような国際的機関から要請があった場合には(自衛隊機を)出せるということで、それを受けて野呂田長官は「医療あるいは物資の輸送程度であれば自衛隊機を派遣できるのではないか」との考えを述べている。外務省として現時点で具体的に検討に入られたか。

(報道官)一般論として申し上げれば、東チモールの状況から避難民が多数生じ、西チモールにもかなりの数の避難民がいる状況である。こうした東チモールの避難民のためにどの様な支援ができるかについて、目下現地の状況や具体的ニーズの把握に努めている。そうした把握をしながら政府部内で鋭意検討を行っているところである。ただ、現時点で具体的な内容がどうかを申し上げられるような段階にはないが、いろいろな検討を行おうとしているということであり、その検討が済んだところでできるだけ早期に方針を決めたいと考えている。いま質問のあった非常に具体的なことについて申し上げるのはまだちょっと早いかと思う。

(問)報道官はいま「具体的な検討を行おう」と「おう」に力が入っていたが、ということは現在検討に入っていないということか。

(報道官)まずどういうニーズがあるか、現地の具体的な状況がどうかということを把握しようと努めている。把握したことに基づいて、いろいろ具体的な検討が行われるというプロセスにあると理解していただいたらよろしいかと思う。

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報道官会見要旨 (平成11年10月1日(金)17:00~ 於 会見室)

・ (冒頭発言)

(報道官)本日の話題としては、東海村核燃料加工転換施設における被ばく事故がある。今朝外務大臣が会見でこの件について言及があったが、いまの時点で私から特に申し上げることはない。

・ 東海村事故(質疑応答)

(問)建築危険度診断専門家チームの内訳は。

(問)海外に対して情報面での協力を要請したということだが、それ以上の接触なり、あちら側からの働きかけなりはないのか。

(報道官)時差の問題もあろうかと思うが、例えばロシアのアダモフ原子力大臣に申し入れを行ったときに、たまたまリチャードソン米エネルギー省長官が訪ロ中で、米ロ一緒に何か考えられないかと言う話があり、その後、リチャードソン長官がCNNとのインタビューだったと思うが「米ロ一緒に何かやることも考えられる」というようなことを言われたということがある。しかし、それ以上に具体的な形で今こちらに来ているということではない。具体的な何かがあれば、科学技術庁等関係当局にそれをつなぎ、どういう協力が得られるか、どういう面に役立つかを検討していくという状況である。
 なお、米国については事故に対する対処のノウハウを含めて協力を要請しているのに対し、「米国として協力を惜しまない」旨の反応がある。クリントン大統領も同じ趣旨を言われていると理解している。

(問)こちらから協力を要請するということでなく、逆に先方からぜひ調査をしたいという申し入れの一環として、IAEAから何か具体的にミッションの派遣等についての打診が今までにあったか。

(報道官)どれだけ具体的なものかは必ずしもはっきりしていないと思う。国際原子力機関(IAEA)については、昨晩、この事故と同じような事故についてのデータと資料の提供を要請した。その際、今回の事故の概要についてもIAEAに知らせた。一部報道等でIAEAが人を派遣するというような話があるが、まだ具体的な形でそれを言って来ているとは承知していない。

(問)国とかIAEAとかの機関から「日本政府に対してこういう協力をしてあげようか」とか、「こういう調査をしたい」などの申し入れは、正式なルートでは政府としては一切聞いていないということか。

(報道官)科学技術庁ルートで、ということが場合によっては有り得るかもしれない。先ほどチェックしてきたが、今そういうことが私どもを通して来ているというようには承知していない。他方、昨日から今日にかけてこの施設の近くにおける核分裂反応、それによる放射線の影響が非常に心配されたが、ご承知の通り先ほど核分裂反応は収まり、施設周辺半径10キロ以内の住民の方々に対する屋内退避の呼びかけも解除されたという状況の下で、これからの焦点は原因の究明、事故を起こした施設の事後処理などに移っていくと思うが、その関連で今後各国の今までの経験から学ぶことあるいは具体的な協力を必要とする局面があり得るかと思う。それは今後の具体的なアプローチを見て、どういうものが適当かを検討していくことになると理解している 。

(問)基本的なことで申し訳ないが、今回「レベル4」ぐらいの事故とされるが、国際的な取り決めなどの中で、例えばどのレベル以上であればIAEAに通告義務があるとされるのか。また、もし通告義務があるとすれば、どの程度の内容でいつごろまでにといったことなのか。

(報道官)必ずしも詳しいことを承知しているわけではないが、この種の事故が他の国に対して影響を与える場合に通告する義務が生じると理解している。今朝の大臣の会見でも同じことを大臣が言われたかと思う。レベルでとらえるというより他の国に対する影響ということで分かれると理解している。それから、今回の事故と例えばチェルノブイリ、スリーマイルアイランドなどの事故との比較が言われているようだが、チェルノブイリとかスリーマイルアイランドの場合はまさに炉でメルトダウンが起きて、大変な影響を与えたということである。今回の場合は炉の中でなく、炉に入れるものを作っている段階で臨界状況に達して核分裂が起きたということで、濃縮ウラン自身は建物の中にあり、核分裂反応が一時的に起きて中性子がそこから飛んでいって放射線の影響が出たということだが、それはいま既に収まりつつあり、だいぶ事故の性質が違うのかなと思う。私もそれほど技術的な権威ではないので、その程度にとどめておいた方がよいかと思う。

(問)その場合の対応だが、通報義務がとりあえずはないということか。

(報道官)とりあえずはない。ただし、IAEAに対してこのような事故に対してのデータとか資料等の提供を要請したわけであり、その時にこういう事故が起きたのだけれどもデータとか資料等を提供して下さいということの一環として、IAEAに対して事故内容は通報されたと承知している。

(問)直ちに今回の事故原因についてIAEAの査察受け入れ義務が生じることはないのか。

(報道官)少なくとも条約上から言えば通報義務があるというものではない。そういうことから違いが出てくるものかと思う。

(問)一部報道によれば「レベル2」以上の場合はIAEAに報告しなければならないと伝えられているが如何。

(報道官)その報道は承知している。答えは先ほど申し上げた通りである。

(問)米国、ロシア、IAEA側に過去の事例なりを情報提供して欲しいと申し入れたということだが、それに対して回答なり何なりはあったか。

(報道官)いままだ具体的な、どういう回答が来ているとは聞いていない。

(問)確認だが、情報だけでなく例えば防護服などの物資を要請したことはあるか。

(報道官)具体的に「こういうものを」と要請したという話は聞いていない。

(問)科技庁に聞くべき質問かもしれないが、民間で核材料を作っている会社があるということを私も初めて聞いたが、こういうところはIAEAの査察対象施設になるのか。

(報道官)私はそこの詳細についてはにわかに答えをもっていない。

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・ 中国建国50周年

(問)中国がきょう建国50周年を迎えたが、政府として何かコメントはあるか。

(報道官)建国50周年の国慶節ということで、日本政府のコメントは小渕総理から江沢民国家主席および朱鎔基首相に対して出された祝電の中に集約されていると思う。すなわち「中国が建国以来一貫して国際社会において重要な役割を果たし、改革開放政策の下で大きく発展したことに敬意を表する。今後も日本と中国が揺るぎない信頼関係を基礎に世界の平和と繁栄のために貢献していくことを希望する」という趣旨である。この祝電に尽きていると思う。

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・ CTBTウィーン会議

(問)CTBT会議へのミッション派遣について、大臣自身は「私自身が言うのは潜越だが、外務省内部に対しては強く言っている、重要な会議だ」との発言があり、それから8時間たった。新しい外務大臣はウィーンへ行かれるのか。

(報道官)大臣のご発言は今朝会見で大臣が言われた通りである。今省内で鋭意検討している状況であると承知している。まだ結論が出ているとは承知していない。

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・ 米国の未臨界核実験

(問)米国が臨界前の核実験をしたが、コメント如何。

(報道官)いわゆる未臨界実験であるが、これは核実験を行わずに貯蔵している核兵器の安全性および信頼性を確保する目的で行っているものであると承知している。包括的核実験禁止条約(CTBT)の下において禁止されている核爆発には該当するものではない、というのが国際的認識であると考えている。わが国は核兵器のない世界を目指す立場から、このような実験の取扱いについては今後の核軍縮の取り組みの中で検討すべきものと考えている。そういう観点から今後各国とも話し合っていきたいと考えている。

(問)そうすると、政府としては今回の米国の実験を支持ないし理解を示しているということでよろしいか。

(報道官)CTBTにおいて禁止される核爆発に該当するものではないという国際的認識を共有しているということである。

(問)今後の取り組みによって決定するとは国際会議の場であるいは今度のCTBT会議などで決めるということか。

(報道官)今のCTBTの条約自体ははっきりしているわけである。今のCTBTの下においては未臨界実験は禁止されていない。そういう意味で今回のCTBT会議でどうという話ではないのではないかと思うが、もう少し中長期で考えていった場合に、核兵器のない世界を目指すということから考えていくと、この種の実験についていろいろ議論は現にあるので、そういう中でどういう取扱いが適当かということが将来の問題として議論されることはあり得るかと考えている。

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