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報道官会見要旨 (平成10年10月30日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)町村政務次官が23日から26日までカンボディアを訪問し、シアヌーク国王、チア・シム前国会議長、フン・セン第二首相らの要人と会談したこととの関連で、27日に太田在タイ大使がバンコクに滞在中のラナリット殿下と会談して同殿下に帰国を慫慂したことについて申し上げる。
町村政務次官がカンボディアで上記の要人に会われた際に、カンボディアの要人(特に人民党サイドの要人)は「人民党はあくまで連立政権を目指している。そのためにフンシンペック党とは柔軟に話し合い、妥協する用意がある。既に人民党とフンシンペック党の共同国会議長案をフンシンペック側に提示したが、何の反応もない。現在の行き詰まり打開のために、ラナリット殿下の早期帰国を希望する。ラナリット殿下が帰国次第、両党の首脳会談を実施したい」と述べた。
シアヌーク国王は町村政務次官に対し、「国会議長のポストの問題は重要である。この問題の決着がなくては国会機能の回復や新政府樹立問題に進展が見られない。人民党とフンシンペック党の和解・協力が不可欠であり、国会共同議長案は世界でも例がないが、現在直面する問題解決に有効と考え、これを支持する。問題解決のためにラナリット殿下の帰国が必要不可欠であり、日本からもラナリット殿下の帰国を働き掛けてほしい」との発言があった。
これを受けて、27日に太田在タイ大使がラナリット殿下と会談し、「早く帰国するよう」とのメッセージを伝達した。これに対して、ラナリット殿下は「帰国に当たっては身の安全が保障されなければならない」と答えた由である。
以上のような町村次官のカンボディア訪問時およびその後の状況については、特に我が方からラナリット殿下の帰国を慫慂したことも含め、カンボディア問題にともに関心を持っている関係国にも伝えつつあるところである。
第二に、今朝、沖縄で米軍公用車両による当て逃げ事件があった。その関連で申し上げる。
今朝、午前10時半ごろ、海兵隊所属の米軍公用車両が、2名の乗員が乗っていたが、公道を走行中に車両4台(うち1台はオートバイ)に当て逃げし、乗員2名が事故現場から逃走した。本件事故の被害はいずれも軽微なものであったが、オートバイの日本人運転者1人が小指に軽傷を負った。本日午後1時ごろ、日本の警察当局が現場付近にいた容疑者と思われる外国人2名の身柄を確保したところであり、現在この2名の氏名、所属等を確認するとともに、事実関係を調査している状況でる。
以上のような事実が判明したところで、外務省から在京米国大使館に対して、また外務省沖縄事務所より海兵隊司令部の参謀長に対して、遺憾の意を表明するとともに再発防止のために一層の綱紀粛正を申し入れた。また、本日午後、野中官房長官からフォーリー在京米国大使に対し、この事故についての遺憾の意を表明するとともに再発の防止および綱紀粛正を強く要請した。これに対してフォーリー大使は「遺憾の意を表明するとともに、再発防止のために一層の綱紀粛正に努めたい」旨の応答があった由である。(問)海兵隊参謀長からの回答はどうだったか。
(報道官)とりあえず申し入れたという状況であり、いま警察当局でも事実関係を調べているところであるが、米側の反応は先ほど申し上げた通り、米国大使から野中官房長官に対して「遺憾である」ということと「再発防止のため一層の綱紀粛正に努めたい」という言葉があったが、現時点での反応はそれに集約されていると思う。
(問)米国人2名は沖縄県警当局の逮捕下にあるということか。
(報道官)まだ逮捕状が出ているというふうには理解していない。身柄を確保して事実関係を調査しているところであると承知している。
(問)2名は海兵隊員か。
(報道官)1名は海兵隊員で、もう1名は「空軍所属の模様」とされ、今、確認中である。
(問)その近くで当て逃げをした米軍公用車も確保されたのか。
(報道官)そこまでは申し訳ないが事実関係を承知していないが、車両がしばらく離れた民間駐車場で見つかったということで、乗っていた2名は車から下りて逃げていたところで身柄を確保されたということかと思う。
(問)野中官房長官はフォーリー大使にどういう形で伝えたのか。
(報道官)官房長官はたまたま今日の午後、大使と会われる機会があったとは承知しているが、フォーリー大使と会われたときに「遺憾の意」と「再発防止と綱紀粛正」を強く申し入れたと承知している。
(問)先日のひき逃げ事件があった際も再発防止を申し入れたと思うが、また起きてしまったことに対し、外務省としてどうとらえているか。
(報道官)まさにこういう事件が起きないようにということで、再発防止、綱紀粛正を申し入れてきているわけで、今回の事件の事実関係をさらに把握する必要があるが、当て逃げというような事件が起きたことについては、非常に遺憾に思っている。今後どうするかということについては警察当局が調査中なので、その状況を見つつ今後の方針を考えていくという所である。
(問)ラナリット殿下はまだ国を離れているということでいろいろと事情があるのだろうが、、率直に言って国外にいる期間が極めて長いと見受けられる。彼は「身の安全保障が必要」と太田大使に言明したというが、日本政府としてラナリット殿下が国を離れなければならない状況というものは理解できるものなのか。
(報道官)客観的に見て、ラナリット殿下が国外におられる期間が長いというのはそうだと思うが、今のカンボディアの置かれている状況の下で、人民党とフンシンペック党との間での協議が非常に必要だと思っているわけで、シアヌーク国王ご自身が「問題解決のためにラナリット殿下の帰国が必要不可欠であり、日本からも帰国を働き掛けてほしい」と言われたことについて、私どもはカンボディア内部の当事者ではないが、目下のカンボディア問題の解決のためにはカンボディア国内において両党首脳の話し合いが行われることがぜひとも望ましいと考えている。そうであるからこそ、シアヌーク国王の要請を受けて太田大使から働き掛けたということである。それから、「身の安全の保障」は基本的にはカンボディアの当事者間の問題かと思うが、太田大使からラナリット殿下に働き掛けたのに対して、ラナリット殿下からの反応が先ほど申し上げたようなものであったことについては、プノンペンにおいて人民党側の要人にもわが方の大使を通じて伝えている。
(問)先の北朝鮮の発射したミサイルについて防衛庁が最終報告書を発表し、その中で、「今回のミサイル発射によってノドン・ミサイルの開発は終了した」との記述がある。その点についてノドン・ミサイルの射程距離は日本全域をカバーするということだが、外務省はこれをどう受け止め、今後、対北朝鮮外交に当たってどの様な点に留意しなければならないと考えるか。
(報道官)ノドン・ミサイルの開発と今回の北朝鮮の発射したミサイルを併せ見て考えても、まさに北朝鮮が弾道ミサイルの長射程化を目指して発射実験等を行っているということであるから、それはわが国の安全保障に直接かかわる極めて憂慮すべき行為であると思うし、また、北東アジアの平和と安定および大量破壊兵器の不拡散の観点からも極めて遺憾であると考えている次第である。8月31日の今回のミサイル発射直後に私どもの態度を明らかにしているが、改めてその感を強くしている状況だ。
(問)現在「追加制裁措置」などは考えていないのか。
(報道官)今回の防衛庁の報告を見ても、今、申し上げたような感じを改めて確認しているわけだが、それに鑑みてわが国としてはミサイル発射後にわが国が取った一連の措置のうち、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)については協力を再開することを決めた。KEDOに関するもの以外は一連の措置を維持していくとともに、引き続き北朝鮮によるミサイルの開発・配備・輸出の中止を強く求めていきたいと考えている。
(問)本日、高村外相は「小渕総理の訪露は予定通りか」との質問に「その通りである」との趣旨の返答をした。エリツィン大統領の健康状態が気になるが、小渕総理は訪ロしてエリツィン大統領と会える保証は取り付けているのか。
(報道官)現時点で申し上げれば、引き続き両国間で既に合意している時期に総理がロシアを訪問されることに向けて鋭意準備を進めている状況である。他方、小渕総理がロシア滞在中に具体的にどういう日程になるかは、今のような前提の下でロシア側と調整中であり、いまの時点では確定したものはない。一言で言えば、予定通り行かれるという前提で準備を進めているし、既に合意している時期のロシア訪問を「変えるべきである」「変える」あるいは「変えなければいけない」という連絡にはまだ接していない。
報道官会見要旨 (平成10年10月27日(火)17:00~ 於 会見室)(問)エリツィン大統領の病状について何か情報はあるか。
(報道官)エリツィン・ロシア大統領は27日に予定されていたオーストリア訪問を医師の勧告により、健康上の理由から中止し、プリマコフ首相が代わってオーストリアを訪問することになったと聞いている。我々としては、これはエリツィン大統領の体調回復のために万全を期すために取られた措置と推察しているところである。いずれにせよ、エリツィン大統領が早く回復されることを期待したいと思っている。
(問)小渕総理の予定される訪ロに関連して、ロシア側から日本政府に対して何か連絡は入っているか。
(報道官)特に小渕総理のロシア訪問の予定について「変更する必要がある」あるいは「変更がある」という連絡は来ていない。従って、先に明らかにされているように、11月10日から13日まで、小渕総理はロシア連邦を訪問するという前提で準備を進めつつあるところである。
(問)今月末に予定されている日ロ次官級協議は予定通りか。
(報道官)これも予定通り開かれるということで準備を進めているところと理解している。10月29日、30日の両日で、いまのところ変更はない。
(問)コロンビアで誘拐された邦人の無事が確認されたとの報道があるが、これについて詳しい情報はあるか。
(報道官)志村昭郎氏という現地在留邦人の方が、9月22日にコロンビアのパスカにおいて誘拐されたことは承知している。他方、本件は人命にかかわる事件であり、また現在進行中の事件でもあるので、いま申し上げた以上に現段階で我々から色々と申し上げるわけにいかない点は是非ご理解願いたい。
この機会に報道関係者の方々に申し上げたいことは、本件は人命にかかわることであるので、報道内容や取材活動においてぜひ人命尊重の観点から最大限の配慮をお願いしたい。特に現地における取材等については控えられるようお願いしたい。
その関連で一つ付け加えると、コロンビアには2つの左翼系反政府組織、すなわちコロンビア革命軍(FARC)と民族解放軍(ELN)があり、コロンビア政府とFARCの間で7月から和平交渉のためのプロセスが継続されている。しかしながら、このFARCは8月にも20数カ所で軍や警察に大攻勢をかけるなど、いま危険な状況が続いているところである。そうした事情もあって、いま申し上げたようなお願いをしている次第である。
報道官会見要旨 (平成10年10月23日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)私の方から包括的核実験禁止条約(CTBT)の検証のためのグローバル地震観測研修について申し上げる。
今朝の大臣記者会見の際にもインド、パキスタンなどCTBT未批准国に対して条約の早期発効を目指した働きかけをしていきたいと言われた。CTBTの検証は世界の色々なところで行っていく必要がある。かなり技術的なものであるが、4つの検証方法がある。地震学的な監視、放射性核種の監視、水中音波の監視、微気圧振動の監視がある。特に、CTBTの下で問題になるのが地下核実験をどう探知するかである。その意味では地震学的な検証が非常に重要な役割を占めている。CTBTの下での国際監視制度の主要な位置づけとして全世界に地震の主要観測所を50ヶ所、補助観測所120ヶ所を設けることになっている。世界各地の観測所で観測に当たる人達を養成していくことが必要となっている。
以上を背景として、我が国のイニシアティブで平成7年から国際協力事業団(JICA)の主催によりグローバル地震観測研修を行ってきた。今回で4回目になり、平成7、8、9年度を通じて延べ25カ国の人が研修に来ている。今年度は10月27日から2カ月間に亘り、建設省筑波建築研究所等において研修を行う。本年度は10名の研修生を受け入れることになっている。参加国は中央アフリカ、フィジー、カザフスタン(2人)、韓国、キルギスタン、ネパール、ルーマニア、スリランカ、ベネズエラである。
研修の実施に当たり、JICA筑波国際センター、気象庁(本庁および松代精密地震観測室)、日本気象協会、京都大学防災研究所が研修施設の提供等の協力を行っている。地震学の世界的権威で元気象庁長官の末広外務省参与らの専門家が講師として参加することになっている。
先程50ヶ所の主要観測所、120ヶ所の補助観測所と申し上げたが、今年の研修を終わるとこれまでの4回でこれら観測所で任に当たる世界各地の人達の研修がほぼ一巡することになると聞いている。
私から申し上げるのは以上である。(問)須田審議官がパキスタンで昨日、今日と(パ側)局長と会談しているが、例えば経済制裁を含めてどういう話をされ、どういう交渉経過になっているのか。
(報道官)パキスタンとの接触の機会は色々あったが、そういった接触を通じてパキスタンに対してCTBTへの無条件署名・批准、核兵器・ミサイル関連資機材・技術の輸出管理の厳格化等6月のG8の外相会議共同声明にあるこれらの実施に向けてのパキスタンの動きを注視している旨を言ってきた。更に国際金融機関によるパキスタンへの融資の緩和問題、我が国の「経済協力上の措置」の緩和等の関連で、今申し上げた点をパキスタン側に指摘してきた。今回、須田審議官と一緒に通産省の輸出管理の専門家も行っている。一言で申し上げれば、いままで原則論として指摘してきた点について、パキスタン側の実際の実務者の人たちと輸出管理の法制化などの問題についてもう少し詰めた話しをするということで、須田審議官らは現在協議をしているところである。
中・露のBMDへの懸念表明について
(問)昨日、中国とロシアの国防大臣が会談しTMDへの懸念で立場が一致しているようだが、この件での日本外務省の立場如何。
(報道官)弾道ミサイル防衛の問題については、先般の「日米2プラス2会合」でも話題に上がった。その際、日米間で共同技術研究を実施する方向で作業を進めていくことを言ったが、まだ決定に至っているわけではない。政府部内で作業が進められており、日本の立場としては、BMDはわが国の防衛政策上も日米安保体制の上でも重要な問題であると考えており、検討を進めているわけである。そういう検討が進むに連れて、ご質問の中国やロシアなどにも随時説明していくことになると思う。
ノドン1号の飛距離問題
(問)北朝鮮のノドン1号が太平洋に達した旨を米国が昨年日韓に通報していたとの報道があるが、その確認及び何故これを公表しなかったのかの2点についての見解如何。
(報道官)いま言われたような趣旨の報道があったことは知っている。この件について色々な情報がある中で、いま申し上げた報道にあるような情報もあったということは承知している。いずれも非常に断片的なもので、当時関連情報の収集も行ったが、言われているようなことを裏付ける事実は確認できていない。従って、その情報の真偽については必ずしも明かではないという状況である。
(問)米国から情報がもたらされたが、日本として確認したが裏付けることが出来なかったという趣旨であるのか。
(報道官)情報がもたらされたか否かは答えにくく、この種の問題についての情報ということなので、「いつどこでどういうふうに」ということを答えするのは適当でないと思う。色々な形で我が方の関係当局が受けた情報の中に、この報道にあったような情報もあったということのようである。その情報はいずれも断片的なものであって、当方としての関連情報収集も行ったが、その伝えられることを裏付けられる事実は確認できなかったということである。
北朝鮮の北方四島周辺の操業問題
(問)今月1日と記憶するが、北朝鮮の漁船が北方4島でロシアの許可を受けて操業し、外務省として在モスクワの大使館を通じてこちらの意向を伝えたと承っている。その後の経過は如何。また、今後北朝鮮の漁船はロシアの許可を得て四島周辺で操業するようなことはないと見てよろしいか。
(報道官)この前も申し上げたが、伝えられた北朝鮮漁船の操業問題についてモスクワにおいてロシア外交当局に対して、我が方の許可を得ないでこの水域で北朝鮮の漁船が操業することは我が方として受け入れられないとの立場を伝えた。その後、ロシア側との話し合いもあったが、ロシア側はロシア側としての立場を持っており、互いにその立場を伝えたという状況である。もう一つ、ロシア側とのやり取りの中で重要な点は、先に日露の北方四島周辺の枠組み協定ができ、それに基づいて操業が始まっているが、その操業自体と北朝鮮の問題とは水域も違うし、枠組み協定の下における漁業問題は円滑に進められていくべきものであり、いまの北朝鮮の問題とは関係がないというか、日露間の合意に基づく漁業は円滑に進めていくべきであるとの点では意見の一致を見ている。
(問)北朝鮮の漁船が再びその周辺海域にロシアの許可を得たとして出てくることが考えられるのか見解如何。
(報道官)我が方の懸念なり関心というものはロシア側に明確に伝わっている。ロシア側はロシア側の立場を維持しているということである。
(問)ロシア側の善処を期待するしかないということか。
(報道官)我が方は我が方の立場と関心をロシア側に明確に伝え、ロシア側はわが方と異なる立場を持っているというのが現在の状況である。それ以上に「どうなるこうなる」と予測して申し上げるのは不適当ではないかと思う。
報道官会見要旨 (平成10年10月20日(火)16:30~ 於 会見室)(報道官)ネパール王国首相ギリジャー・プラサード・コイララ閣下は、令嬢および随員とともに11月3日(火)から6日(金)まで公式実務訪問賓客としてわが国を訪問される。滞在中、天皇陛下への謁見、小渕総理とのワーキング・ランチが予定されている。 ネパールから首相が訪日されるのは1990年にネパールが民主化されて以来初めてである。さかのぼれば、1956年に首相が訪日したことがあり、今回の訪日はそれ以来42年ぶりとなる。ネパールとわが国の間では皇室と王室の交流を中心に、これまで伝統的な友好関係が継続されてきた。天皇、皇后両陛下が皇太子殿下、同妃殿下として60年および75年にネパールを訪問され、現在の皇太子殿下も87年にネパールをご訪問になり、また昨年2月には秋篠宮殿下、同妃殿下もネパールとの外交関係樹立40周年に際して訪問されている。ネパール国王、ビレンドラ国王夫妻も1978年、83年、85年に訪日されている。
政府間のハイレベル対話は近年になって活発となり、96年にポウデル下院議長、98年3月にデウバ元首相、10月には参院議長の招待でカルキ上院議長が訪日している。先ほど申し上げた通り、首相が訪日されるのは非常に久しぶりのことである。
わが国としてはネパールとの経済関係の強化を重視している。ネパールは南西アジアで最も所得水準の低い国であるが、内陸国としての厳しい条件の下で社会経済開発に努め、民主主義の定着と経済の自由化を進めている。1980年以来、88年だけを除いてわが国はネパールに対する最大の2国間の政府開発援助(ODA)供与国となっている。また、ネパール側の日本に対する期待は民間企業による投資の増加、観光客の増加にあり、今回の首相訪日に当たり15人のビジネスマンを連れて来られ、ネパールの経済界の方々と一緒に日本商工会議所主催による日本の経済界関係者との懇談も予定されている。ネパールは本年を「ネパール観光年(VISIT NEPAL 98)」として観光客の誘致、観光業の育成に重点を置いているという背景がある。(報道官)タンザニアで9月17日、自宅前で強盗に襲われて不幸にも命を落とされた国際協力事業団(JICA)の専門家、花岡理英子さんに対する外務大臣表彰等の授与について申し上げる。
花岡理英子さんはタンザニアの母子保健プロジェクトの専門家としてJICAからプロジェクト方式技術協力の臨床検査技師として派遣されていた。花岡さんの生前の諸外国との相互理解と友好親善の促進および国際協力の推進への貢献に対して、「外務大臣表彰」を行うことを決定した。また、JICAから故人の生前の国際協力への貢献に対し、「国際協力功労者表彰」を行うことを併せて決定した。
この「外務大臣表彰」と「国際協力功労者表彰」の授与は10月25日、宮崎県庁において宮崎県知事ほかの同席を得て、武見外務政務次官、東JICA副総裁よりそれぞれ花岡さんのご遺族に対して行われる予定である。授与式には現在第2回アフリカ開発会議出席などのために18日から来日されているスマイエ・タンザニア首相も出席する予定である。韓国の日本大衆文化開放
(問)韓国が日本大衆文化の開放の内容を発表したが、日本政府としてこれをどう受け止めるか。
(報道官)先般金大中大統領が訪日された際にも、対日本文化開放という方針を表明されたが、今般の韓国政府の決定はこの韓国政府の方針を具体化する第1歩と受け止めている。わが国としてはこれを歓迎し、さらに今後の施策につき関心をもって注目していきたいと思っている。わが国はこれまでも国民間の相互理解が進むことにより日韓両国の友好協力関係が一層強化されることを期待しつつ、文化交流などさまざまな交流の促進に努力してきた。金大中大統領が来られた時に日韓首脳により署名された「共同宣言」および「行動計画」の具体化を中心に今後とも有益な交流の促進に努力していきたいと考えている。
(問)金大中大統領は会見時に文化開放については日本と共同の協議会を設立したい旨表明したが、この件についての日本側の検討状況は如何。
(報道官)金大中大統領が来られた時に、韓国における日本文化の段階的開放を相当な速度で実施していきたいと言われ、いまご質問にあったように「日韓文化交流協議会」を設けて、これを通じて具体的な協議を進めていきたいということだった。「日韓文化交流協議会」の具体的な目的や構成、機能等についてはこれから韓国側より詳細の説明を受け、その上で検討を行いたいと考えている。先ほど、「本日の韓国政府の決定は、対日文化開放に関する韓国政府の方針を具体化する第1歩」と申し上げたが、今後この「日韓文化交流協議会」での話し合い等を通じて、わが国として有益な日韓間の交流の促進が行われ、それを通じて国民間の相互理解が進み、これにより日韓の友好協力関係が一層強化されることが大切であると考えている次第である。
(問)そうすると、日本側はこの協議会に参加する意向だということか。
(報道官)この場を通じていろいろ相談していくということになると思う。ただ具体的な詳細はこれからということである。
KEDO協力の凍結解除問題
(問)KEDOの署名問題で、今朝の閣議後の会見で大臣は「そろそろ」という言葉を使われたが、その後何か変化はあったか。
(報道官)その後、本日午前、自民党の政審および総務会において政府の方針につき報告をした。自民政審、総務会における報告を受けて、政府としては「近々」朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への協力再開を決定すべく、現在最終決定を行っているところである。今朝ほど大臣は「そろそろ」と申されたが、いまは「近々」と申し上げている次第である。
報道官会見要旨 (平成10年10月16日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)最初にインドとパキスタンの外務次官級協議の再開について申し上る。今年5月のインド、パキスタン両国の核実験実施後、印パ間に緊張が高まっているが、7月29日の南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議の折、また9月23日の国連総会の際にも両国の首脳会談が行われて、両国間の対話再開の方法論について協議が行われてきた。9月の首脳会談とそれに引き続く外務次官の会談の結果、両国は外務次官級協議を10月15日から18日までイスラマバードで開催することおよび対話再開のメカニズムにつき合意した。
わが国としてはこのインドとパキスタンの外務次官級協議が10月15日に再開されたことを歓迎するものである。今回の外務次官級協議はインド、パキスタンの5月の核実験実施後初めて開催されるものであり、両国間の緊張緩和、相互理解、関係改善に向けて対話のプロセスを確実なものとし、さらなる進展が見られることを期待している。(問)中国と台湾の対話の動きをどう評価しているか。
(報道官)かなり長い間行われていなかった対話が再開されたということであり、我々としては歓迎している。今回、中台双方の民間窓口機関、すなわち中国側の海岸両岸関係協会の汪道涵会長、台湾側の海峡交流基金会のコ振甫理事長であるが、今回、コ氏の中国訪問により両窓口機関のトップ会談が5年半ぶりに行われたことを歓迎したいと考えている。わが国としては台湾をめぐる問題が海峡両岸の直接当事者間の話し合いを通じて平和的に解決されることを強く希望している。また、その旨を累次表明してきている。この両者の会談は上海で行われ、本日午後、コ理事長は北京に入り、18日(日)に北京にて江沢民国家主席、銭其シン副首相との会見も予定されている由である。今回のコ理事長訪中によって今後の中台間の話し合いが進展し、問題の解決に資することを期待している。
ユーゴ情勢と人道援助
(問)北大西洋条約機構(NATO)のユーゴスラビアに対する武力行使は当面回避されたようである。この状況は今後も回避されたままで続いてくれるのかどうかの見通し、また先日の会見で出た人道援助の内容、実施時期は如何。
(報道官)欧米諸国の粘り強い外交努力、特にホルブルック米特使をはじめとする関係者の努力によって、ミロシェビッチ・ユーゴスラビア大統領が国連安保理決議の完全履行に同意したことにより当面の危機は回避されたということは歓迎している。ただ、今後コソボ問題の最終的政治解決のために残された問題がまだいろいろあり、特に国連安保理決議の履行ということについての検証をどうするか、コソボの地位に関する交渉の進め方とどうするかというようなことがまだ残っている。検証については欧安保協力機構(OSCE)の常設理事会が15日に検証ミッション派遣を承認し、本16日に欧州ベオグラードでゲレメクOSCE議長が検証ミッションの合意文書に署名する予定であると聞いている。それから、NATOについては15日夕刻、ソラーナ事務総長ほかNATO幹部がベオグラードを訪問して、航空監視に関する文書に署名したということである。航空監視活動は本16日にも開始されるかも知れないとの報道がある。これらを通じて、ミロシェビッチ大統領が表明した完全履行の約束を担保するための措置ができつつあるということである。こうした措置の下にホルブルック・ミロシェビッチ合意が着実に履行されていくことを期待している次第である。
それから、人道援助の問題だが、6月に「コソボ難民支援についての国連統一アピール」が出され、6ー8月を対象に1800万ドルのものであったが、これについてはわが国は167万ドルを拠出、別途、赤十字国際委員会(ICRC)へも拠出した。これまでの拠出総額は231万ドルである。更に本年8月に、国連アピールを12月まで拡大される形での国連統一アピール(6ー8月分を含めて総額約5400万ドル)が出されている。これについての対応振りを、今、鋭意検討中である。今月下旬ごろまでには何らかの貢献策をまとめて発表することにしたいと思っている。読売記者の北京強制退去問題
(問)先日次官に質問した件だが、読売新聞の特派員が北京を追放された。これに対し、ニューヨークの民間ジャーナリスト組織が抗議の意を含めた書簡を出したとの報道があった。外務省はこれをどうとらえているか。
(報道官)この件については中国政府から外交ルートを通じて、「取材活動をめぐって読売新聞北京常駐記者に対し出国を命じるとの措置を取った」旨の通報を受けている。私どもとしてかかる事態が生じたことは残念であると考えている。他方、この問題は記者の取材活動との関連で生じた事態であり、基本的には中国政府当局と報道機関との間で話し合われるべきことであると考える。従って、現時点で政府として特段の措置を取ることは考えていない。ニューヨークのジャーナリストの団体からそういう表明があったことは報道で承知している。それぞれの記者の立場からいろいろな意見の表明は有り得ると思うが、先ほど申し上げたように、基本的には中国政府と報道機関との問題だと思うので、現時点で特段の措置を取ることは考えていない次第である。
(問)前回、共同通信の記者が中国から退去させられたことがあったが、その時は確か現地の日本大使館から抗議だったか遺憾の意の表明だったかがあったと記憶している。前回と今回のケースとの違いはどういうことか。
(報道官)前回は大分前の話だったと記憶しているが、先ほど申し上げたように中国政府から外交ルートを通じて本件についての通知はあったわけで、その間において中国政府と私どもとの間でやり取りがあった。その時に、かかる事態が起きたことは遺憾であるとのわが方の受け取り方は伝わっているわけである。前回の詳細と比べて今回がどうだったかは必ずしも記憶がはっきりしていないが、基本的には、読売記者の方も帰ってきているが、中国政府と取材活動に従事している記者との間で話し合われてきた問題だと感じている。
報道官会見要旨 (平成10年10月13日(火)17:00~ 於 会見室)(問)北方4島周辺で北朝鮮漁船がロシアの許可を得て操業している問題で、昨日の次官会見では明確な答えが頂けなかった。しかるべく問い合わせをしているであろうとの次官の話だったが、その後どうなっているか。
(報道官)今月1日に北方4島周辺の200カイリ水域で北朝鮮の漁船が操業しているという報道があった。1日にわが方の在ロシア大使館からロシア外務省に対して事実関係の早急な究明を要請した。その後、7日にロシア側から「北朝鮮の漁船がロシアの許可を受けて北方4島の200カイリ水域で操業している」との回答があった。これに対して、わが方からわが方の立場を申し入れた。すなわち、「わが国固有の領土である北方4島の200カイリ水域において、本件のようにロシア側が第3国漁船に対して操業許可を行っていることはわが国の法的立場とは相いれず、遺憾なものである」との申し入れを行うとともに、引き続き具体的な操業水域について関連情報の提供を求めているところである。
(問)わが方からの遺憾の意表明に対して、ロシア側の回答はどうか。
(報道官)ロシア側はわが方の表明を聞いていたということであると理解している。それと同時に関連情報の提供をさらに求めたので、それをまだ待っている状況であると理解している。
(問)当面は遺憾の意を伝え、かつ向こうからの情報提供を待っているというが、新たな情報提供があった場合に抗議などに発展する可能性はあるか。
(報道官)わが方の立場は既に伝えているわけで、その後の操業状況等についてさらに詳細なことが判明した場合に付け加えて何か言うことになるかどうかは今後考えていくべき問題かと思う。
(問)モスクワ発の時事電でエリツィン大統領が肺気腫の恐れがあり入院を検討しているという。大統領の健康状態について日本政府はどの様な情報を持っているか。
(報道官)いろいろな報道があることは承知している。エリツィン大統領の健康状態については11日、ウズベキスタンに到着した時の話としてヤクーシキン大統領報道官が「大統領にとって今週は極端に多忙であり、飛行機による移動も重なった。大統領は通常風邪を引いた時の健康状態と変わりない。これがウズベキスタンにおける公式歓迎式典が短縮された理由である」との説明を行ったものと承知している。カザフスタンへは12日に公式訪問したが、当初1日半の予定であった滞在を数時間に短縮し、カザフスタンに宿泊することなく12日夜に帰国の途に着くといったように、日程が短縮されたと承知している。推測はいろいろあるかと思うが、われわれとしていま申し上げたこと以上にエリツィン大統領の健康状態について特に申し上げるべき点はないと思う。いずれにしてもエリツィン大統領がなるべく早く快復されることを期待しているところである。
(問)高村大臣は今朝の会見で「今週末にロシアを訪問したい」と述べた。面会予定の名前も挙げたが、その中にエリツィン大統領は入っていなかった。これは、エリツィン大統領と会えないということか。その理由は健康問題とは関係ないのか。
(報道官)「週末」ということで大臣の訪問を考えている。週末であることも考えて、大臣の今回の訪問の主眼はカウンターパートであるイワノフ外務大臣と会うことであると考えている。そういう意味で「エリツィン大統領」ということは特に予定されていないが、いま質問のあったようなエリツィン大統領の健康云々と大臣の会われる相手は関係ないものと考えている。
江沢民国家主席の訪日日程について
(問)江沢民国家主席の訪日日程について、けさ大臣も調整中と述べている。ただ、11月25日ごろが有力ではないかとの情報、報道もあり、「非常に有力」と漏らす有力者もいるようだが如何。
(報道官)けさ大臣も言われたように、江沢民主席の訪日を年内に実現したいという強い希望を日中双方ともに持っており、そういう希望の下にまさに日程の調整を図っているところである。それぞれの希望する日が相手側の都合に合うかどうかというような調整をいま行っているところであり、いま申し上げたこと以上に具体的な日取りについてどれが有力云々と自分(報道官)から申し上げる状況にはない。
北朝鮮への潜水用具等輸出について
(問)北朝鮮に潜水用具、潜水艦の部品を輸出した容疑で商社員が逮捕されたとの情報がある。外務省はこの件をどう受け取っているか。
(報道官)警視庁がある商事会社について、外為法により輸出規制されている非磁性スクーバ用ダブルバブル約2,300個を通商産業大臣の許可を得ることなく、北朝鮮向けに輸出した疑いが明らかになったとして、本日警視庁が関係個所数カ所の捜索を行うとともに、被疑者の同社代表取締役1人を逮捕したということは承知している。それ以上は今後の捜査にかかわることでもあり、いまコメントすべきことは特にない。捜査当局による捜査の状況を見守って行きたいと考えている。
(問)輸出されたという品物は軍事転用が可能ということか。
(報道官)その辺の詳細も今後の捜査の中で明らかになっていくと思うが、いくつかのものについては通商産業大臣の許可を得ることが要求されているわけで、その許可を得ずに輸出した疑いで逮捕されたということなので、先ほど申し上げたように、場合によってはいまご指摘になった点も含めて今後の捜査によってどういうことが明らかになっていくかをわれわれとして注視していきたいと考えている。
(問)そうすると現在のところわが国が米国、韓国などに説明しなければならない状況ではないということか。
(報道官)まだ逮捕が行われ、捜査が始まったばかりの状況であり、それ以上に踏み込んでいまいろいろ申し上げ得る状況にはないということである。
コソボ情勢について
(問)ユーゴスラビアに対する「待機命令」が出たという報道がある。いよいよ武力行使、航空攻撃が迫っている印象だが、外務省はどう見ているか。
(報道官)「待機命令」と言われたのは、北大西洋条約機構(NATO)の理事会で現地時間13日午前2時(日本時間同9時)ごろ、「アクティベーション・オーダー」(臨戦態勢準備命令)の発出が決定され、実際の軍事行動の開始まで96時間の猶予を与えることになったことを指しているのかと思う。ただ、NATO理事会のこの決定に至る前に、現地でミロシェビッチ・ユーゴ大統領と何回も交渉をしてきたホルブルック米特使が12日も交渉を継続して、12日夕刻まで交渉した結果一定の進展があったということで、その交渉の模様に関してNATO理事会に報告したと聞いている。それから、96時間の猶予をなぜ与えるのかという質問がソラーナ事務総長に対する記者会見であったのに対して、同事務総長は「ミロシェビッチ大統領により多くの時間を与えるためである」と発言したと承知している。ホルブルック特使は13日もベオグラードに戻り、ミロシェビッチ大統領と交渉を再開する由である。その間に皆さんも聞いておられるかと思うが、ニューヨークでクリントン大統領が声明を出したと言う報告もあり、これを見ると、ミロシェビッチ大統領が国連の要求を受け入れる、このため陸および空からの国際的な査察を受け入れる、コソボ・アルバニア人の自治をめぐる交渉のタイムテーブルについても合意ができつつあるとかを述べた上で、そうしたコミットメントがあったからといってそれが順守されるとは限らず、順守することが大事であるとの発言を行ったと理解している。すなわち、交渉の努力、武力行使に至らない解決への努力もいま精一杯続けられているという状況であると理解している。
報道官会見要旨 (平成10年10月9日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)規制緩和問題については、日米間で1997年6月に開始された「規制緩和に関する強化されたイニシャティブ」に基づく対話が行われてきた。その結果、98年5月の日米首脳会談で、進展のあった規制緩和措置につき確認を行った。10月7日、米通商代表部(USTR)からわが方に対して、新たな規制緩和要望リストが伝達された。米側はこの中で270以上の項目について規制緩和を求めている。規制緩和については「強化されたイニシャティブ」の日米間の対話の中で、わが方と米側が「双方向性の原則」の下に行っていくことになっている。そこで、今回の米側からの要望事項に対して、本9日、日本政府は「米国の規制緩和等に関する要望事項」を米国側に伝達した。具体的には今日午後4時頃に大島経済局長から在京米大グリーンウッド公使に伝達した次第である。
日本側から提起する要望事項については、構造問題・競争政策・透明性・法的サービスなどに関する制度的な問題で、これらは分野横断的な問題。その他に個別の分野については住宅、電気通信、医療器具・医薬品、金融サービスの各分野の問題について、米国に対する具体的な要望事項を提示している。
今月中から分野別の問題について担当実務者レベルの対話を行っていくことになる。11月ぐらいには外務審議官レベルの規制緩和上級会合が執り行われることになろうかと考える。こうした場を通じて、米国側と引き続き双方の問題について協議していくという状況である。(問)身柄引き渡しを巡って日米の合同委員会とかで取り扱われるような話があるが、現時点における本件の状況如何。
(報道官)今回の米海兵隊員による轢き逃げ事件の現況を申し上げると、10月7日早朝に事件が発生、被疑者立ち会いの下に沖縄の警察が実況検分を実施し、更に被疑者および同乗者の取り調べを行うなど、米軍当局の協力を得ながら所要の調査を行っている状況である。今、被疑者の身柄は米軍当局にあり、地位協定17条5項Cの下で、被疑者が起訴されるまでは米軍当局が身柄の拘禁を継続するものとされている。沖縄県警が本件被疑者につき逮捕状の発行を受けたことから、捜査の一環として刑事特別法第10条第1項に基づき、被疑者の逮捕状の執行に関する同意を米側に要請したが、これに対して、現地米軍司令部は「既に米軍当局側において被疑者の身柄を拘禁している」として、沖縄県警の要請には応じなかったと承知している。
今後、更に捜査が続いていく訳であるが、質問の趣旨は刑事裁判手続きに関する平成7年10月25日の日米合同委員会合意(一定の場合「起訴前の拘禁移転」の要請を行うことができる)に係わるものと思う。この合同委員会合意の下では、「殺人又は強姦」という凶悪な犯罪と特定された場合に、被疑者の起訴前の拘禁移転についての如何なる日本側の要請に対しても、米側は好意的考慮を払うことになっている。また、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について、日本側が合同委員会に提示することがある特別の見解を十分に考慮することを規定している。そこで、合同委員会合意に基づく起訴前の拘禁移転の要請を行うかどうかについては、捜査当局の捜査の状況等を十分踏まえる必要があるので、現段階でどうなるかを申し上げる状況にはない。
一点付け加えると、事故の時に海兵隊員が乗っていた車と、それからもう1台別な車があって、高校生の少女は非常にお気の毒なことに海兵隊員が乗った車に轢かれた後、更に別な1台の車に轢かれたということがあるようだ。現在もう1台の車がまだ特定されていないという状況であるので、その辺の事情も含めて、今捜査が進められているところであり、それらの状況等を十分踏まえて検討する必要がある。(問)轢き逃げは「凶悪な事件」ではないということか。
(報道官)先ほど申し上げたように、「殺人または強姦」という凶悪な犯罪と特定の場合というのが一つあり、それからもう一つ、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について、日本側が提示することがある特別の見解を十分考慮するということだ。殺人や強姦ははっきりしているが、後者の場合にどういうものが該当するか、色々な要素を考慮すべきである必要があると申し上げている。前者に該当しないという結論に達したとは言っていない。
(問)沖縄県警は身柄引き渡しの要請を行い、米軍当局は今のところ右に応じていない。沖縄県警当局は身柄引き渡しが必要な事件と判断しているが、これだけでは十分な考慮を払えないということか。
(報道官)刑事特別法第10条第1項に「米軍の施設または区域内において日本の逮捕状を執行しようとする場合に、米軍側の同意を求める」と定めている。この種の事件が起きたときに、日本側警察当局が逮捕状を執行するために米軍側の同意を求めるという例は他にも色々あるようだ。ただ、その場合に被疑者の身柄が既に米軍当局の手中にある今回のような場合も多々ある訳であり、先ほど申し上げたように、地位協定第17条5項Cの下では被疑者が起訴されるまでは米軍当局が拘禁を継続することになっているので、この逮捕状の執行についての同意を求めた場合に米軍側が請求に応じることはないというのが通例であると理解している。
それとは別の問題として、先ほど申し上げた合同委員会合意に基づく起訴前の拘禁移転の要請があり、それがどういう場合に考慮されるかは先述した二つの場合がある。右との関連では、今後の捜査の進展状況等を踏まえてこれから検討していくこととなろう。(問)確認だが、沖縄県警が行ったのは日米合同委員会合意による起訴前の拘禁移転でなく、これまでの通常の手続きによるものか。そして今後この合意に基づく拘禁移転の申し出を行うかどうかは今後の捜査の進捗状況によるということか。
(報道官)通常の手続きによるものと理解している。今後の捜査の進展状況を踏まえて更に検討するということだ。
コソボ情勢について
(問)コソボ情勢の関係で、NATOの攻撃があるのではないか等かなり緊迫している状況であるが、安保理決議は武力行使を直ちに認めるものではないと思われるも、米国等はそれでも武力行使を認める立場を取っているようだ。右に関する日本の立場如何。
(報道官)日本の立場がどうかは今の段階で申し上げるのは時期尚早ではないかと感じる。コンタクト・グループの外相会合が8日に開催され、ホルブルック米特使が再びベオグラードに派遣された。コンタクト・グループ外相会合の結果としては、「安保理決議1199号」の履行基準として、次のように言っている。第1に敵対行為の停止、第2に治安部隊の3月以前の地点への撤退、第3に人道機関の自由なアクセスの確保、第4に国際刑事裁判所への完全な協力、第5に難民帰還の促進、第6に3年間の暫定自治に基づく交渉の開始及びその検証のために全欧安保協力機構(OSCE)の役割に期待すると言っている。
このようなことを踏まえて、ホルブルック特使がさらに交渉に当たっている状況である。即ち今回の政治会合で、NATOの武力介入開始の命令が出されるのではないかと見られていたが、今回の会合はもう一度ホルブルック特使を派遣するという外交努力を払うことになったという状況である。その結果はまだ出ていないので、その先のNATOによる武力行使を前提として、それについて(日本が)どういう立場かを申し上げるのはまだ早いのではないかという感じがしている。今後とも色々な状況を踏まえて判断していく必要があると考えている。(問)状況が改善されない場合には安保理決議がなくとも武力行使を認めるという判断か。
(報道官)その辺も含めて諸般の状況を検討していく必要があると考えている。
(問)欧亜局審議官が現地周辺に赴かれたが、「放置できない流血の事態に何か手を打たねば」と考えているということか。
(報道官)飯村審議官が現地に赴いたのは、9月25日から10月2日までであり、コソボ問題に関する調査のためだ。訪問先はコソボ、マケドニア、モンテネグロである。人道支援についての調査をするとともに政治的解決を慫慂するためであった。
既に、周辺に避難民が多数出てきており、避難民の方々に対する支援総額として5,400万ドルの国連人道機関の統一アピールも出されているため、これに我々としてどういうことができるかも含めて意見交換をしてきた。その時点でも状況は厳しかったと思われるが、その後さらに厳しい状況になってきているので、我々としてはどういう人道支援ができるか、欧亜局ミッションの調査を踏まえて検討しているところである。(問)それは比較的早く結論が出てくるのか。
(報道官)今後の状況にもよると思うが、今鋭意検討中と承知している次第である。
報道官会見要旨 (平成10年10月6日(火)17:00~ 於 会見室)(報道官)「日蘭架け橋計画」は、政府が戦後50周年を契機として、アジア近隣諸国等との間で未来に向けた友好関係を構築していくことを目的として実施している「平和友好交流計画」のオランダ向け事業の一つである。その目的は、オランダの戦争犠牲者や交流団体等を訪日招聘し、わが国関係者との交流や各地の視察を行うことによって、日蘭間の草の根レベルでの相互交流・相互理解を促進することにある。
平成10年度の計画に基づいて、オランダの戦争被害者団体「対日道義的債務基金」の関係者23人(代表=レーンダース会長代行)を10月7日(水)から19日(月)まで、わが国に招聘する。
同基金は、戦争中に旧蘭領東インド(現在のインドネシア)における戦争犠牲者(元捕虜、民間抑留者等)の任意団体として1990年4月に発足した。会員数は約7万9000人で、オランダでもかなりの影響力を有している。
この交流計画の下での「対日道義的債務基金」関係者の日本訪問は96年9月に第1回があり、今年3月に平成9年度計画が第2回で、今回が3回目である。一行は日本滞在中に武見外務政務次官への表敬をはじめとして外務省関係者と意見交換を行うほか、オランダにゆかりのある長崎市、福岡県水巻町等を訪問する予定である。ちなみに、福岡県水巻町は戦争中に日本全国で約800人のオランダ人捕虜が亡くなったが、うち50数人が水巻町にいた関係で、日本で亡くなったオランダ人捕虜の人たちのお墓がここにある。また、関西で高校を訪問する計画である。これは同じく平和友好交流計画の下で「日蘭若人交流計画」によりオランダ人高校生8人が日本に滞在中で、うち1人が来ている関西の高校を訪問することになっている。(問)「対日道義的債務基金」の会員は7万9000人ということだが、オランダの元戦争捕虜、民間抑留者のほとんどがこの基金に結集しているのか。
(報道官)そのように理解している。かなりの人数だが、オランダの場合には特に旧蘭領東インド、現インドネシアに住んでいた人が多く、何代かにわたって住んでいた人もずいぶん多かったと記憶している。戦争の時に民間人として収容された人がかなり多いということである。
(問)96年9月が第1回、今年3月が第2回、そして7カ月後にすぐ第3回と第2回までが間が空き、今回連続して行われるのはどういう事情によるのか。
(報道官)こういうプログラムをできれば毎年実施していきたいということでやっていると思うが、かなりご高齢の方々でもあり、オーガナイズするための時間といったこともあると思う。今年3月に行い、また10月になったのは先ほど言ったように3月の第2回は年度末で、年度としては別の計画である。
(問)英国にも戦争捕虜の問題があるが、英国との間には「日蘭架け橋計画」のような計画はないのか。
(報道官)ある。手元に資料がないので記憶で申し上げるが、英国の戦争捕虜の人たちで、例えば、戦争中、和歌山県入鹿というところに銅山があり、そこで働いていた捕虜が何人か亡くなった。入鹿の町の人々は亡くなった英国人のお墓を戦後何10年間も維持してきた。その町の出身者で英国人と結婚された(現在は未亡人だが)日本人女性がボランティアとして、その町から帰還した人たちを日本に連れてくる計画を何回かやっておられたことがある。これを軸として、英国の元捕虜の方々が日本を訪れる、あるいは入鹿の町の方々が英国を訪れる交流計画が何回も続けられている。これも平和友好交流計画の下で政府としてもいろいろ支援しているわけである。
それ以外にも、平和友好交流計画の下で英国人の元捕虜の人たちのお孫さんを日本に連れてきてホームステイする計画も行われてきている。私の記憶で申し上げれば、今年まででこうしたいろいろな交流計画で日本に来た英国人捕虜とその家族の方々の数は、百数十人に上っていたと記憶する。
報道官会見要旨 (平成10年10月2日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)第8回日EU閣僚会議を10月12日(月)、外務省飯倉公館で開催する。日本側から高村外務大臣、与謝野通商産業大臣、堺屋経済企画庁長官ほか、欧州連合(EU)側から欧州委員会のブリタン副委員長(対外経済担当)、マンゲマン委員(産業・諜報・技術担当)、グラディン委員(移民・司法・越境・犯罪担当)ほかが出席する予定。日EU閣僚会議は96年4月の第7回会議以来2年6カ月ぶり。今回は国際経済における重要度を増しつつあるEUとわが国の関係閣僚が一堂に会して、幅広いテーマについて意見交換を行う予定である。
特に、日EU間で現在協議を進めている「相互承認協力」(例えば、テレコムの端末、電子機器、科学上の実験データ、医薬品の基準認証制度などを相互に承認しあう協力)、規制緩和対話などの協力事項の進捗を確認するとともに、電子商取引や麻薬など国際社会が直面する新たな課題についても意見交換を行う予定である。(報道官)バングラデシュでは7月中旬以降、洪水が発生しており、大変な被害を及ぼしている。バングラデシュの国土の8割が洪水被害を受けていた時期もあり、いまも6割ぐらいがまだ被害を受けている状況で、「今世紀最大の洪水」といわれている。被害規模は死者918人、被災者3,100万人、農産物被害面積182万ヘクタールに達している。道路、橋梁、堤防、家畜などに多大の被害が発生しているのに加えて、最近ではコレラなど下痢性疾病が急増している。
わが国は8月末に輸送費を含め総額約3,000万円相当の緊急援助物資(医薬品、医療資材、浄水剤、プラスチックシートなど)を供与したが、10月1日には、さらに3000万円相当の医薬品、浄水剤等の緊急援助物資を供与することを決定した。また、国際緊急援助隊専門家チーム7人を派遣することを決めた。7人のうち2人は医師で、被害地域のチャンドプール県にある6つの診療所を巡回して井戸水の汚染等の調査、消毒を行うほか、下痢性疾病にかからないような指導を行う。専門家チームは本日2日出発し、約2週間滞在する予定。さらに本日、バングラデシュに対する緊急援助として新たに40万ドルの災害緊急無償援助を供与する決定を行った。40万ドルの小切手を送り、これにより疾病関係の医薬品等の購入に充てることになっている。これらに加えて食糧援助を含むさらなる追加援助についても検討中である。(報道官)第8回国際協力フェスティバルを10月3日(土)、4日(日)に日比谷公園において行う。主催は国際協力フェスティバル実行委員会(委員長=大河原国際協力推進協会理事長)。同委員会は外務省、国際協力事業団(JICA)、海外経済協力基金、NGO活動推進センター、開発教育協議会で構成され、そのほか関係各省の後援、東京都、NHK,日本新聞協会、日本民間放送連盟、自治体国際化協会、青年海外協力協会、経済団体連合会等の後援も得て行う。フェスティバルに参加する団体としてはNGOが約100団体、政府関係機関、国連やユニセフ、ユネスコ、FAO(食糧農業機関)、国連工業開発機関(UNIDO)などの国際機関を含めると約160団体となる。
昭和62年以来、10月6日を「国際協力の日」と定めており、今年のキャッチフレーズは「小さなことからはじめよう」。行事としては例えば、4日にはトークショーがあり、アフリカなどに何回も旅行されたアフリカに関心のあるミュージシャンのもんたよしのりさん、NGOの代表、青年協力隊の経験者らのアフリカでの体験談を披露することで国際協力の身近さを伝える。3日の夕方にはワールドエスニック・コンサートとしてアフリカ・ギニアの伝統音楽舞踊団ワラバなどの公演が予定されている。(問)クリントン大統領の訪日日程を確認したい。
(報道官)先般米国側より、マレーシアにおけるアジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳会合にクリントン大統領が出席した後、日本訪問を希望している旨申し出があった。本日わが方からクリントン大統領の訪日を歓迎すると回答したが、具体的には11月19、20日に日本を訪問されることになった。詳細日程は今後、調整することになっている。地方へ行かれるかどうかも含めてこれから検討し、調整していくこととなっている。
(問)直前にAPECでも日米首脳会談があると思うが、その直後に日本で首脳会談を行う意味はどこにあるか。
(報道官)APECの場でも両首脳が会われることはあるかと思うが、この前ニューヨークにおいて日米首脳会談も行われたわけで、日米の抱える共通の関心を有する問題は世界経済の直面する問題、そういう問題に関する日米両国の協調、北東アジアを含む国際情勢などいろいろな問題がある。この機会にさらに両首脳の間で話し合いが行われて日米間の政策協調がさらに深められることを期待しているわけである。
(問)クリントン大統領は日本の後に韓国へ行くのか、韓国の後に日本に来るのか。
(報道官)韓国も訪問されることは承知しているが、後先の具体的な日程は詳びらかにしていない。
(問)米朝ミサイル協議の結果について教えてほしい。
(報道官)ミサイル協議は1日、2日ということでいま協議が行われているところである。10月1日の米国務省の定例記者ブリーフでルービン報道官が米朝ミサイル協議について質問を受け、答えているところがあるので、参考までに以下紹介する。
「今朝(1日)ミサイル協議を開催した。本件協議は96年4月および97年6月の協議のフォローアップである。この問題は8月に行われた米朝交渉において北朝鮮側に対し前進を強く求めた問題の一つであった。米国は北朝鮮のミサイル輸出および8月に極めて小型の衛星を軌道に乗せるためにテポドン1号の使用を試みたことを含むミサイル活動に強い懸念を有している。この打ち上げは北朝鮮のミサイル開発プログラムが一段と進んだことを示しており、米国にとって深刻な懸念のタネである。このような長距離ミサイルのさらなる打ち上げあるいはこのようなミサイルの移転が米国の国益および米国の同盟国に対し脅威を与え、地域におけるミサイル軍拡競争の原因となり得るからである。米国は北朝鮮に対し、北朝鮮がさらなる打ち上げあるいはそのようなミサイルの輸出へと進む場合は米国の政策に非常に否定的な結果を生じることを明確にする積もりである。」
以上であるが、協議自体の全体の概要は入っていない。(問)金大中大統領訪日を前に日韓漁業協定交渉、歴史認識問題での日本側の表明など着々と準備が進んでいるようだが、アジア女性基金の問題で韓国側はやめてくれとの意思表明をしていると伝えられるが、現状はどうなっているか。今回の訪日と併せて何らかの方針が打ち出される可能性はあるのか。
(報道官)今回の金大中大統領の訪日、日韓首脳会談との関連で特にこの問題について新たな動きがあるかどうか、また首脳会談で大きな問題として取り上げられるのか否かは、必ずしもそうでないのかもしれないという感じがする。この問題については、韓国側が韓国としての措置を取り、日本としてはこの問題が多数の女性の名誉と尊厳を傷つけたとの認識の下にどの様な対応が可能か国民的な議論を行った結果、日本国民の償いの気持ちを表すことなどを目的にしてアジア女性基金を設立して、その事業が行われてきているわけである。政府としては、このような日本政府の立場やアジア女性基金の性格につき韓国側の理解が得られるよう努力してきたし、今後とも努力を続けていきたいと考えている状況である。
(問)現在わが国としては、元従軍慰安婦の人々に対するアジア女性基金からの償い金の給付を韓国側に対してもやめるという方針はまだ決めていないわけか。
(報道官)やめるという方針を伝えているということはないと思う。ただ、いま申し上げた状況を踏まえてアジア女性基金が現在の形態を含め、今後いかなる対応を行うべきか、アジア女性基金としてもさまざまな観点からの検討を行いつつあるところと承知している。その結論が出たとは承知していない。
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