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報道官会見要旨 (平成10年9月29日(火)17:00~ 於 会見室)(報道官)まず初めに自分(報道官)の方から一つ申し上げる。カリブ海にハリケーン・ジョージが通過し大変な被害を及ぼしている。因みにハリケーンの名前はかなり以前から男女平等になっている。ハリケーン・ジョージが9月20日から24日にかけてカリブ海地域を通過し、ドミニカ共和国、キューバ、ハイチ、セントクリストファー・ネイビス、アンティグア・バーブーダの5ヶ国に甚大な被害をもたらした。個々の国については記事資料を配っているが、この5ヶ国に甚大な被害がもたらされたという状況を踏まえて、各国からの要請もあり、我が国政府として人道的上の観点から緊急援助を行うこととした。(皆さんの)御手元に一覧表を配っているので詳細は省略するが、5ヶ国あわせて緊急援助物資合計6,692万円の援助を行う。援助の内容は国によって異なるが、毛布、スリーピング・マット、医薬品、医療器材、ポリタンク、浄水器、石鹸、タオル、テント、発電器等それぞれの国の状況・要請に併せて援助物資を送ると共に無償援助として5ヶ国合計25万ドルの無償援助を行うこととした次第である。現在、この物資については送付手続き中であり、緊急援助隊法の下でワシントンとロンドンに備蓄庫があるが、そこに備蓄している物を現地に送るべく手配中である。自分から申し上げるのは以上である。
(問)以前、外報官が会見の際に北朝鮮が発射した物体が、人工衛星であったのかミサイルであったのかという件で、防衛庁が人を派遣し、米国の見方を聞きたいと仰られたが、その後この北朝鮮の発射した物体が地域の平和と安全に重大な影響を及ぼすということには変わらないにしても何であったのかこれまでに解明したこと如何。
(報道官)以前に申し上げたことと今のところ状況は変わっていない。色々な情報があり、色々な分析の仕方のあるわけである。我々が今まで把握している限りでは、これが断定的に人工衛星であったというところまでには至っていないと理解している。引き続き分析は進めている。また、質問の中にあったが、人工衛星であれミサイルであれ、長距離にわたりその様な物体を飛ばす能力を北朝鮮が持っているということ自体、更に、北朝鮮が衛星であるという発表をした際にも、将来これを軍事目的に転用する可能性を示唆しているわけであり、そういったことから見て今回の発射というものが日本の安全或いは北東アジアの平和と安全にとって重大な影響を与えるものであると考えている我々の立場に変わりはない。
(問)米国は人工衛星であるという見方をしているようであり、前回行われた会見の際に米国の見方の根拠について聞きたい旨仰られていたが(現在の見解如何)。
(報道官)防衛庁が人を派遣したということは承知している。その後、防衛庁の人が米国の関係者と協議があったと思うが、その結果として断定的な結論を我が方の防衛庁の当局として聞き出すに到ったとは聞いていない。
(問)それでは米国の見方と日本の見方が異なっているのか。それとも米国自体が未だ決定できないという状況であるのか見解如何。
(報道官)米国については、国務省報道官の会見において、人工衛星を発射したようだが打ち上げには成功しなかったという旨の発表をしたと記憶しているが、米国は米国なりにそういった判断に至ったのかもしれない。他方、日本の専門家というか防衛庁の方が、米国がどのような根拠を持ってそういった判断に至ったかということも聞きながら更に分析を続けているという状況と理解している。
(問)今朝の大臣記者会見で、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への協力見合わせを近く解除するとの考え方を示したが、そのタイミング、段取りはどう考えているか。
(報道官)大臣が言われたことにつけ加えるべき点は特にないと申し上げていいかと思う。大臣がニューヨークにおける日米、日韓、日米韓間の話し合いも踏まえられて、「我が方としては、北朝鮮に強いメッセージを示すという意味で、KEDOの当面の進行を見合わせることは有意義であった。他方、KEDOの枠組みが北朝鮮の核開発を阻止する上で最も有効且つ現実的な手段であるということは我が国としても米韓とともに理解している。当面というのはそう長時間にはならないということであって、凍結をいつ解除するのか真剣に検討しなくてはいけない時期にきている」旨発言された。これに自分(報道官)からさらにつけ加える点はない。
(問)「北朝鮮に強い意志表示をしたから有意義だった」と言われたが、初めからKEDOを壊す気がないのにそう言ったことで、日米韓の間に意見の食い違いがあるということが表に出て、逆に向こう側につけ入るスキを与える結果になったのではないか。
(報道官)我々はその様には考えていない。KEDOについて当面進行を見合わせることなしに、あたかも何事もなかったように振る舞うことは、大臣も何回も言われているように、北朝鮮に対して誤ったメッセージを与えることになったのではないかと考える次第である。我が国がそういう立場を取っていることについては、今回のニューヨークにおいての一連の日米、日韓、日米韓の話し合いを通じて、米国、韓国の理解は得られていると考えている。
(問)「あたかも何事もなかったかのように」ということでないのは、明らかにチャーター便を断るなど他の方法でいくらでも意志表示はできたはずである。それにもかかわらず初めからKEDOを壊すつもりなら別だが、壊さないつもりでKEDOを使ったことはどういうことか見解如何。
(報道官)そこは見解の違いと申し上げるほかないと思う。我々はKEDOを壊す積もりだったというようなことは一度も申し上げたことはない。
(問)北朝鮮に強いメッセージを示すというが、北朝鮮にはメッセージは伝わったと考えているのか。北朝鮮は相変わらず一方的な非難ばかりだが、日本のメッセージは北朝鮮に伝わったとお考えか。
(報道官)我が国がいま申し上げたような立場を取っていることは、公開の場でも言ってきているし、我が国のそういう立場を踏まえて、国連安保理の場においてこの問題を取り上げ、安保理議長の「口頭プレス発表」という形で安保理全体のコンセンサスとしてこの問題に対する懸念も表明されている。また、国際民間航空機関(ICAO)の事務局長に手紙を出し、それが北朝鮮側にも伝えられているようなこともある。我々ものこの問題についての遺憾の念、抗議の念はいろいろなチャンネルを通じて北朝鮮に伝わっているものと考えている。米朝協議においても、米国が北朝鮮と直接話し合っており、その間においても我が国の懸念を踏まえた米国の関心、懸念の表明があったと理解している。
(問)北朝鮮も加盟するICAOの総会がいま開かれている最中と思うが、ここではどの様な意志表示をしているのか。
(報道官)ICAO総会は28日、29日とまだ続いているはずであり、細かい帰趨がどの様になっているかなどは詳びらかにしていない。しかし、我々どもとして本件についての関心を表明するためのしかるべきもの(決議などのような)について努力中と理解している。総会自体は毎年9月中旬から下旬ぐらいに開かれるが、この総会においては先ほど来申し上げているような立場を踏まえて参加してるわけだし、今後の進め方をどうしたらよいかなどを関係国と相談しているところであると理解している。
(問)総会の場で大臣が「近々」と言われたことの意志表示はするのか。
(報道官)繰り返し申し上げていることだが、一方において北朝鮮のミサイル発射の事態、それが国の安全とか北東アジアの平和と安全に与える影響、あるいは大量破壊兵器の拡散等について与える影響、民間航空、船舶の航行に与える影響があるわけで、そういう観点から非常な懸念を有しているということがある。それであるがゆえに、我が国として当面KEDOの進行を見合わせる立場を取ると同時に、繰り返しになるが、米朝の合意された枠組み、その下でのKEDOの枠組みが北朝鮮の核開発を阻止する上で最も有効、最も現実的な手段である立場は米、韓とともに共有しているわけである。こうした立場を踏まえてKEDO総会でも各国と協議しているものと承知している。
(問)米朝テロ協議で米国側が拉致疑惑の問題を取り上げたと伝えられるが、どういう形で問題提起し、それに北朝鮮はどう回答したのか。その内容は日本政府に連絡は来ているか。
(報道官)連絡は来ている。終わったばかりだが、米国側は米朝テロ協議全体で取り上げられる問題は非常にセンシティブな話があるので、米朝の間でビジネスライクに話をした。また、交渉を行う場ではないので北朝鮮をテロ国家のリストから外すために必要な事項を北朝鮮にインフォームしたとの由である。それから、米側からは「よど号」グループの問題、すなわち犯人はテロリストだから日本にしかるべく帰すようにすべきであるということ、また拉致疑惑の問題をきちっと取り上げたと理解している。それに対する北朝鮮側の反応は、「米国が取り上げたということを本国へ伝える」とのことであったと聞いている。
(問)テロ国家のリストから外す条件の一つとして「よど号」、拉致疑惑を取り上げたということか。
(報道官)条件というか、実際に非常にセンシティブな話なので、どういう取り上げ方をしたかは必ずしも詳びらかにしていないが、米朝テロ協議の場で「よど号」グループの問題と拉致疑惑の問題を取り上げたというように米側から連絡があったということだ。それ以上に、テロ国家から外すために必要な事項うんぬんとの連携をどう立てたのか否かについては自分(報道官)は承知していない。
(問)在京オーストラリア大使館がミナミマグロの問題でプレスリリースを出し、その中で日本が行った調査漁獲に疑問を提示している。日本は資源はあるというが実際にはそういうことはない、日本のやり方は間違っているとの趣旨だった。これに対してコメント如何。
(報道官)従来から申し上げている通り、資源はあると考えている。資源があることを確認するためにも調査漁獲が必要との立場から、豪州とニュージーランドに一緒に調査漁獲を行うよう呼びかけた。調査漁獲のやり方について、豪州、ニュージーランドと協議したが、意見の一致を見るに至らなかった。そこで、豪州、ニュージーランドの指摘した点も踏まえて調査漁獲を7月10日から8月31日まで実施した。豪州、ニュージーランドがこれに対する立場を変えていないことは事実である。その後、豪州、ニュージーランドがわが国に対し、わが国の調査漁獲計画の実施はミナミマグロ保存条約に反するとして、条約の下での紛争手続きに則った締約国協議の開催を申し入れてきたと承知している。現在、我が方としては紛争解決手続きに則った締約国協議を開始するために、豪州、ニュージーランド側の見解を詳細に検討しているところである。
報道官会見要旨 (平成10年9月25日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)ロシアでは、軍の大幅な人員削減により生じた多数の退役軍人が、困難な経済状況の中、再就職に当たり多大な困難に直面している。
このような状況を踏まえ、我が国は、極東に於いてロシア連邦軍から退役することとなる、または退役した軍人(将校)の民間職業への転職に向けたセミナーの実施を既に決定し、本年2月から3月にかけて12日間、講師2名を我が国から派遣し、ウラジオストクの日本センターに於いて「自動車販売・サービス」に関するセミナーを開催した。
この2月から3月にかけて行われたセミナーがロシア側国防省関係者及び聴講者より極めて高い評価を得ると共に、再実施の要望も強く表明されたことから、同様のセミナーを、今回、ウラジオストクとハバロフスクで開催することとした。
すなわち、9月28日から10月22日まで、ウラジオストクの日本センター及びハバロフスクの日本センターに於いて、「自動車販売・サービス」に関するセミナーを開催することとなった次第である。(問)2月のセミナーには何人参加し、今度は何人が参加するのか。
(報道官)今回は受講者数がウラジオストクが42人、うち北方4島に勤務したことのある人が2人。ハバロフスクが44人と承知している。2~3月のときの参加者数は手元にないが、今回と同じぐらいの規模と思う。
(報道官)9月8日の自分(外報官)の会見に於いて、北朝鮮が打ち上げたのは人工衛星であった旨発表したことについての国際法上の問題点を指摘したことがあったが、その後、9月21日の国連総会の場に於いて「日本は今までに数多くの人工衛星を打ち上げながら、北朝鮮に対して一回も事前通報を行ったことはなかった」と北朝鮮は主張しているが、右主張は正当性を著しく欠いていると思うので、このことについて再度申し上げたい。
そもそも我が国は、今般の北朝鮮によるミサイル発射に関し、たとえそれが人工衛星の打ち上げが目的であったとしても、事前通報なしに行われたことは、公海の自由を行使する他国の利益等に妥当な考慮を払ったものとは言い難い上に、国際民間航空条約(シカゴ条約)及び国際海事機関条約(IMO条約)の目的から見ても問題があるという立場を採っているし、右立場を再三表明してきた。
先ず、我が国自身のことについて言及すれば、我が国の飛行情報区及び我が国が調整者となっている北朝鮮海域を含む我が国の近海航行警報区域(NAVAREA ?Ⅰ)において我が国が人工衛星やロケットの打ち上げを行う場合、国際民間航空機関(ICAO)条約及び国際海事機関(IMO)の定める手続に従って、この飛行情報区を飛行する航空機及びこの航行警報区域を航行する船舶に対し、これらの航空機や船舶の安全確保に関わる通報を行っている。我が国の飛行情報区、あるいは航行警報区域を航行する北朝鮮の航空機や船舶があれば、それら船舶や航空機に対しても当然右通報は行われる。
また、我が国が他国の飛行情報区あるいは他国が調整者となっている航行警報区域に危険をもたらすおそれのある形で人工衛星やロケットを打ち上げる場合は、当該飛行情報区或いは航行警報区域を管轄する国の関係当局に対して事前通報を必ず行っている。他方、我が国は北朝鮮の飛行情報区に危険をもたらすおそれのある形で人工衛星やロケットを打ち上げたことがないため、そのための事前通報を北朝鮮に対し行ったことはない。我が国の人工衛星の打ち上げは、通常、種子島から東方に向かって行われる。
先般、北朝鮮が発射したミサイルが我が国の飛行情報区及び我が国が調整者となっている航行警報区域に危険をもたらすものであることは明かである。かかる発射が事前通報なしに行われたことは、北朝鮮も締約国であるシカゴ条約及びIMO条約の目的から見て問題であることは以前にも申し上げたとおりである。(問)確認だが、北朝鮮に対してはいままで日本によるロケットあるいは人工衛星の打ち上げの際に通報を必要とする事態は生じたことはないということか。
(報道官)然り。
(問)21日に国連総会の席で北朝鮮が日本批判の発表をしたことに対し、わが国としてはこうした正当性を欠く主張に国連の場での説明ないし意見表明は行っているのか。
(報道官)北朝鮮は「答弁権の行使」という形で行ったと記憶している。これに対して私どもの反論、指摘はこのように公の場を通じてわが方の立場を明らかにするのが一番適当と思った次第である。
(問)本日午後の外国プレスに対する会見で、高村外相の日韓漁業協定交渉が基本合意に達したことへの歓迎表明のようなものが発表されたようだが、10月7日の金大中大統領の来日時にこの漁業協定は調印の運びになったと理解してよろしいか。
(報道官)基本合意が達成されたが、細かい実際の協定の署名・調印に至るまでにはまだ若干の作業が残っていると理解している。今回、金大中大統領が来られたときに完全にプロセスが終了するということではないと思う。できるだけその時までに協定を整えて、イニシャルをするというようなことはあり得るかと思うが、全部が終わるということでは必ずしもない。
(問)暫定水域の問題、沿岸から35カイリの問題等いろいろ報道されているが、これまでのところわが国としては合意に達した成果はかなり、これまでの過程に鑑みた時、満足のいくものと評価しているか。
(報道官)日韓双方の漁業者を含めていろいろな利益が絡む難しい交渉であったが、いままでの交渉努力を通じて基本合意に達したこと自体は満足いくものと考えている。双方が譲り合うということなので、すべての当事者が完全に満足するかとなると、それはなかなか難しいことだと思う。そういう難しい状況の下でお互いに妥協点を見いだして合意に達したことは喜ばしいことだと思う。特に金大中大統領を迎える時期が近づいているときに実質的な妥結を見たことは歓迎すべきことだと思っている。
(問)パキスタンが国連で来年9月までに包括的核実験禁止条約(CTBT)に加盟するとの意向を明らかにし、インドも同様に加盟の意向を明らかにした。CTBT加盟は日本が両国の核実験後求めてきたものだが、これを受けて日本として両国への円借款凍結等の措置を見直す考えはあるか。
(報道官)ご指摘のようにパキスタンのシャリフ首相が国連総会演説でCTBTに触れ、インドのバジパイ首相も同じ問題に触れたようである。それぞれの発言の趣旨がどのようなものかはなるべく正確に把握する必要がある。まずパキスタンは、シャリフ首相が99年9月までにCTBTに署名する旨の意図表明を行ったことは、6月の国連安保理決議、同じくロンドンの主要先進国(G8)外相会議声明の要請に応じた前向きな一歩として受け止め、これを評価するところである。わが国としては核兵器開発の放棄に向け、国連安保理決議等の要求事項のすべてを実施するよう引き続き求めていく所存である。先ずはパキスタンがCTBT署名・批准に向けた所要の準備を速やかに行うこと、そして核兵器、ミサイル関連の資機材・技術の輸出管理厳格化のため国内の法制化に着手すること、兵器用核分裂物質の生産停止などについて早急に実施するよう求めていく考えである。わが国としてはパキスタンのCTBT署名に向けた作業の進捗状況およびその他の要求事項への対応ぶり等を注意深く見極めつつ、2国間関係を含め種々の要素を考慮して総合的に判断する考えである。
インドのバジパイ首相も国連総会演説において「現在、主要な対話者との協議を行っており、99年9月に遅れることなくCTBTが発効するようこの協議を成功に導く用意がある」と述べたと承知している。この発言の趣旨がわが国が従来よりインドに対して求めているCTBTの無条件署名を意味するのか否かについては慎重に見極める必要があると考えるが、いずれにせよバジパイ首相が述べているように99年9月のCTBT発効が可能となるようインドが無条件署名を行うことをわが国としても強く期待している。経済協力の関連においては、パキスタンについて申し上げたと同様、インドのCTBT署名に向けた作業の進捗状況、およびその他の要求事項への対応ぶりなどを注意深く見極めつつ、2国間関係を含め種々の要素を考慮して総合的に判断する考えである。いろいろな要素を考えていくが、CTBTの署名に向かっていくかどうかが一つの重要な要素と考えている。(問)副首相が逮捕されたプロセスに関して日本政府の評価如何。
(報道官)20日夕方にクアラルンプールで、先に解任されたアンワル前副首相兼蔵相が関係したといわれる大規模な集会とデモ行進が行われ、その日の夜にアンワル氏が自宅で逮捕されたと承知している。この逮捕の理由などについては、今後の起訴過程により明らかにされる模様であるが、不法集会や不法デモ行進等を踏まえて治安当局が行動したとの見方がある。マレーシア内政上の動きについてわが国政府として立ち入ったコメントを行うことは差し控えたいと思うが、マレーシアと緊密な関係を有するわが国としては、経済困難の克服に取り組んでいる同国の政局が安定的に推移することを期待しており、事態の行方を注視していきたいと思っている。
(問)逮捕の理由を示さないで拘束するという治安維持法に関して、人権上の問題がいままで指摘されたことはあるか。
(報道官)自分(外報官)の承知している限りでは、先ほど申し上げた通り、マレーシア内政上の動きについて立ち入ったコメントを行ってきていることはないと思う。
(問)マレーシア政府はいま10何億ドルかの円借款協力を要請してきているが、円借款を出すか出さないかの判断の一つに、理由を示さないで重要な政治家を逮捕できる法律(の存在)が勘案されることはあるのか。
(報道官)逮捕の理由などについて今後明らかになってくるものと思うが、当面、我々としてはこの事態を注視していきたいと思っている。
報道官会見要旨 (平成10年9月8日(火)17:00~ 於 会見室)(問)9月28日から大阪で第14回アジア卓球選手権大会があり、これに北朝鮮選手団がエントリーしている。外務省として同選手団の入国に関して何らかの考えはあるか。
(報道官)一般論として申し上げれば、北朝鮮から選手がその大会に出場するということであれば、法務省に入国申請が行われ、審査が行われることになる。しかしいまのところそういう申請、連絡はないと承知している。外務省として卓球協会からも連絡はないと聞いている。もし申請があれば、一義的には法務省の方で個別具体的に検討していくことになると思う。いまの状況ではそこまで至っていないと承知している。
(問)ロシア問題でG7会合が開かれるというが日本からは誰が参加するのか。また、話し合われるテーマはどんなものか。
(報道官)G7議長国の英国政府が中心になって外交、財務当局合同のG7高級事務レベル協議を開催したいということで調整中である。日時が決まる状況にはなっていないが、現在鋭意調整中であり、近く発表があるものと承知している。この協議を開くこと自体、小渕総理とブレア英首相との電話会談があったときに、小渕総理から言われた趣旨に沿ったものであり、わが国としても歓迎するところである。具体的な日取りはまだ決まっていないので、外交、財務当局で誰が行くかも含めて検討中と承知している。
(問)ロシア問題だけに限定して話し合うのか。
(報道官)一義的にはロシア問題を中心に話し合うと理解している。
(問)高村大臣はこの種の話が出たときに、ロシアの首相が決まることが必要条件で政権が出来ないうちは時期尚早ではないかと言われたが、それに変わりはないか。
(報道官)ロシア国内情勢は流動的であるが、ロシア問題についてG7の間で意見交換したらどうかという小渕総理の話に対し、英国もG7議長としてなるべく早く話し合いを持った方がよいとの判断で高級事務レベル協議を開催しようということだ。ロシアの新内閣が決まった状況にはないが、それでもこの会合を開くことには意義があると、日本も含めて関係者は考え、いま調整を進めているものと承知している。
(問)日中間で開くことになっている次官級の経済政策対話はいつごろ開かれるのか。
(報道官)江沢民国家主席が訪日する前にということで調整していたが、訪日が延期となったため、いつ開くかという具体的な時期についてめどが立ったとは聞いていない。
(問)ミサイル発射問題につき北朝鮮が声明を出して「(発射したのは)人工衛星である。事前通報が問題となっているようだが、過去、科学技術衛星を打ち上げる際にどこの国が事前通報をしたか」といった趣旨のことを言っていると伝えられる。コメント如何。
(報道官)人工衛星かどうかについてはいろいろ情報があるが、いまのところ防衛庁、関係省庁の分析では「人工衛星であった」という確証のある材料はない状況と理解している。事前通報の件だが、この問題をわが方が深刻に受けとめているのは、今回の北朝鮮による発射が事前通報もなく行われたもので、運搬手段の一部がわが国の上空を通過させた上で太平洋に落下させた点である。国際法上、公海の自由は他国の利益などに妥当な考慮を払って行使されなければならないことになっており、北朝鮮の今回の行為は他国の利益に妥当な考慮を払ったとは言い難い。国際民間航空条約(シカゴ条約)、国際海事機関(IMO)条約の目的から見ても問題があり、原則に反すると考える。この点は発射されたものがミサイルであれ衛星ロケットであれ同様であり、わが国の立場には変わりはない。
わが国が人工衛星を打ち上げるときは、打ち上げ主体がシカゴ条約の付属書に基づき事前通報を行うこととしている。それに基づいて航空情報が発されるほか、海上保安庁を通じても航行警報が発出される。もう少し具体的に申し上げれば、宇宙開発事業団では原則として打ち上げの前々日15時までに打ち上げを決定し、通報先の関係者に通報する。それに基づいて海上警戒区域名ならびにロケットおよびその落下物、落下予想区域の情報が船舶および航空機に周知されるよう、事前に航空当局に通報する。海上保安庁の水路通報、無線航行警報等漁船無線局からの無線通信、ラジオ放送、航空路誌補足版などにより周知することとなっている。今年2月5日に種子島からロケットを打ち上げた際にも、海上保安庁が2月1日から航行警報を発信した。2月20日に北太平洋にH2ロケットを打ち上げた際にも、2月15日から航行警報を発信したと理解している。従って、人工衛星の打ち上げという場合にも、今のような事前通報は行ってきていると理解している。(問)これは条約の付属書により義務づけられていると考えてよいか。
(報道官)事前通報はシカゴ条約とか国際海事機関の条約に従う。例えば、国際民間航空機の安全を損なう恐れがある行為については、事前に関係国航空当局間で調整を行わねばならないとシカゴ条約付属書では定めている。付属書自体は法的拘束力を有するものではないが、締約国はこの付属書を尊重すべきものとされている。そういう意味でシカゴ条約に加盟する国としてはそうした通報をすべきものと考える。もしこのような規定(シカゴ条約付属書11-2・17「締約国が民間航空機の航行に危険を及ぼす恐れのある活動を行う際には、事前に関係国航空当局間で調整を行わねばならない」)をある締約国が受け入れない場合には、その規定を受け入れない旨の通報「相違通告」を行うことになっている。今回北朝鮮はこの通告を行っていないので、その意味でもこの規定との関係で問題があると考えている。
(問)今月22日から国際民間航空機関(ICAO)総会が開かれるが、総会ではいま言われた立場から問題を提起するのか。
(報道官)総会でどう取り上げるかはこれから検討していくことになると思う。今回の事件については、ICAOとの関係ではわれわれがいま申し上げたような問題意識を持っており、それをICAO事務局長にも伝えているわけで、これを踏まえて何らかの対応があってもおかしくはない。
(問)昨日の次官会見では、北朝鮮の発射についてロシアに問い合わせた結果「確認していない」との回答を得たと言われた。他方、中国が人工衛星と認めたとの報道があるが、中国に対して問い合わせはしているのか。
(報道官)中国との関係で具体的にどういうやり取りがあったかは詳細を知らないが、ロシアも含めいろいろなところに照会し調べた限りでは、「人工衛星が打ち上げられた」とか「人工衛星がいま軌道を回っている」とか「人工衛星からの電波が受信された」とかの情報には接していない。
(問)カンボディア情勢で、先日の大臣会見ではまだ国際社会が乗り出す時期とは認識していない旨の話があった。その後、フン・セン氏の自宅に手投げ弾が投げ込まれたり、警官隊の発砲などの事態が起きている。サム・レンシー氏逮捕へという報道もある。こうした状況をどう見ているか、まだ静観の時期なのかどうか。
(報道官)事態が動いていることは確かだ。手投げ弾がフン・セン第2首相の父、夫人の住む自宅に投げ込まれたが二人とも無事だったとか、デモが行われている状況の下で、サム・レンシー氏を当局が逮捕するのではないかとの話があったことは事実である。この間、昨日深夜からきょうにかけて、在プノンペンの斎藤大使を含む外交団(米、仏、タイ、フィリピン、カナダ、オーストラリア)、国連事務総長特別代表がカンボディア当局、すなわちソーケーン副首相兼内務大臣と話し合いがあった。そういう意味では国際社会、プノンペンの外交団と当局とのやり取りがあったあったわけである。その中で、わが国も含めた外交団はカンボディア政府が自国の法令に則って冷静に対応することを期待するとともに、武力行為がこれ以上発展することのないようにカンボディア政府が法令の範囲内でしかるべく措置を取り、反政府勢力側も事態の沈静化に向けて対処することを望むと伝えている。わが国としては、斎藤大使がほかの国の外交団と一緒に、また直接にも、7日の夜半にカンボディア政府要人に冷静な対応を要請した。小和田駐国連大使も外務審議官時代にフン・セン氏と親交があった関係で、電話で同氏に冷静な対応を働きかけた。その結果、サム・レンシー党首の逮捕はしないことになったと理解している。その後、デモ等の様子が伝えられているが、その間にもわが国としては冷静な対応を求めると随時伝えているものと理解している。
(問)日本大使館に抗議デモがあったと承知している。ほかの外交団より突出しているということでテロの警戒などしているようだが、特別の対応策は取っているのか。
(報道官)在外公館として現地の状況に応じてそれなりの態勢を取っていると思う。突出と言われたが、フランスも今回の選挙結果について「自由公正にに行われた」との趣旨の発表をしている。東南アジア諸国連合(ASEAN)も同様趣旨の発表をしていると承知している。
(問)抗議デモを受けたのは日本だけではなかったのか。
(報道官)デモ隊は米国大使館にも確か行っていると記憶している。
(問)イラン軍が外交団の殺害を理由に3万あまりの軍隊をアフガニスタン周辺事態に移動させている。イラン軍のアフガン侵攻の可能性をどう見るか。日本として何らかの行動を起こす用意はあるのか。
(報道官)イラン革命ガードが軍事演習を行い、それに対抗する形でタリバンがイランと国境を接するヘラート、ニムルーズ両州に約8000人の兵力を展開していると報じられている。わが国としてはもとより関係者のすべてが地域の緊張を高めないよう自制して行動することを強く希望している。実際に攻め入るかどうかの判断は申し上げる状況にはないと言うほかないが、今回のイランとタリバンとの対立の原因となっている「イラン外交官等の拘束」の問題についても懸念を有している。仮にタリバンが拘束をしているのであれば、国際法上重大な問題があると考えている。こうした観点から、先に国連安保理で決議された「1193号」(イラン外交官などの安全かつ名誉を損なわない形での出国確保を要請するもの)は、日本も共同提案国となっている。このほか、イランの外交官の安否などについての関連情報の収集にも努めるなど、この問題の解決のために出来る限りの努力をしている。問題が関係者の間で平和裡にかつ一刻も早く解決されるよう強く希望している。同時にアフガン問題そのものについて、わが国は従来より平和的手段による解決の必要性を主張してきたし、外部勢力による軍事力の行使を含むアフガン介入には反対してきており、現時点においてもこの立場には変更はない。この立場は安保理決議「1193号」にも言及されている。
報道官会見要旨 (平成10年9月4日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)中東・アフリカに関する日ロ局長級協議が9月7日(月)、8日(火)の両日、モスクワにおいて開催される。わが国から天江外務省中近東アフリカ局長ほかが、ロシアからヴドーヴィン外務省中東・北アフリカ局長、ボチャールニコフ外務省アフリカ局長ほかがそれぞれ出席する。
この協議は中東和平問題やイラン、イラク情勢につき意見交換を行なう。中東和平問題については現在の和平プロセスが困難な状況にある中で、和平プロセスの現状分析や今後の見通し及び支援のあり方などにつき協議するとともに、イラン、イラク情勢については最近の情勢や今後の見通し等につき意見交換を行なう。また、近年のアフリカ問題の重要性に鑑み、「第2回アフリカ開発会議」(TICADⅡ)や、大湖地域情勢、エチオピア・エリトリア紛争、ナイジェリア情勢等について意見交換を行なう。
中東・アフリカに関する日ロ局長級協議は、平成8年11月の日ロ外相会談において局長レベル協議を開催することが合意された後、第1回協議が平成8年12月中旬に東京で開催され、第2回が平成9年9月1日モスクワで開催され、今回は第3回である。
ちなみに、中東について定期的に局長級協議を行なっているのは、日ロのほかに日米間で始めることが今年8月高村大臣の訪米の際に合意され、第1回を来年春ごろ行なう予定である。欧州連合(EU)との関係では日・EUトロイカ政策協議を半年に1回行なっており、この中で中東問題も取り上げている。日中局長級協議も昨年12月に北京で行なわれた。日・ノルウェー局長級協議は第1回協議が平成9年6月にオスロで、第2回が今年4月東京で開かれた。(報道官)このミッションはわが国の対シルクロード地域外交における文化遺産保存を中心とする文化協力の一環として、シルクロード地域の文化遺産の修復・保存事業の実施を具体化するために派遣するものである。今回はウズベキスタンにおける有形文化遺産の保存及び無形文化遺産の保存・振興にかかわる具体的な協力の実施を目指して、9月14日(月)から約1週間の予定でウズベキスタンに派遣する。
このミッションは著名な日本画家、平山郁夫(財)文化財保護振興財団理事長を特別顧問、榎泰邦外務省文化交流部長を団長とし、外務省、文化庁の担当者及び国際交流基金の職員が参加する。顧問としてウズベキスタン・テルメズ遺跡発掘に携わった考古学者、田辺金沢大学教授が参加される。
文化遺産保存協力についてウズベキスタン政府関係者との意見交換、関係者からの要望聴取及び関連遺跡の現場視察等を行なうことを目的として、タシケント、テルメズ、サマルカンドを訪問する。
「有形文化遺産」とは基本的に仏教遺跡を考えており、テルメズ付近の仏教遺跡の保存・修復について話し合う。「無形文化遺産」の方はサマルカンド・ブルーというイスラム建築のタイル染色技術の保存・振興を含めて話し合うことになっている。(問)インターファクス通信はロシア国防筋の話として、北朝鮮が5日に2発目のミサイルを発射するとの情報を流している。これに類する情報を承知しているか。
(報道官)そのような報道があることは聞いている。ロシア軍筋の話として北朝鮮が5日にも、射程2000キロ以内の弾道ミサイルの新たな発射実験を行なう予定だという。これ以上のことは、今のところ入手していない。今調査しているところである。
(問)同じような情報は外務省に入っているか。
(報道官)報道を通じてそのようなことが報じられていることを知り、今照会している状況である。
(問)2回目の発射の可能性については、現時点ではどう認識しているのか。
(報道官)昨日来、大臣、官房長官が言われているようにいろいろな情報がある。今朝も大臣は「肯定的な情報も否定的な情報もある」と言われた。そうしたいろいろな情報を分析中である。今の時点で特に確定的なことが言える状況にはないと承知している。
(問)外務省としては5日にミサイルが発射されても対応できる態勢を整えているということか。
(報道官)いろいろな情報があるが、確実な情報はない。情報の入手・分析に努めているところである。それ以上に今申し上げられる新しいことはないと承知している。
(問)確実に発射されることが決まった段階で外務省が取る行動があると思うが、いまの段階ではそれは準備されていないということか。
(報道官)いろいろな情報がある状況の中で、そういう状況に基づいてどういう対応が考えられるかは、関係者の頭の中にあると思う。今の時点で「こうこうこういうことが有り得る」と申し上げるような段階にはない。
(問)第1回目も8月半ばから情報を入手し、北朝鮮に繰り返し思いとどまるよう働きかけてきたにもかかわらず、発射実験が行なわれた経緯があった。今回は働きかけを行なっているのか。
(報道官)働きかけは行なっている。働きかけの意味としては、第1回の実験について強い遺憾の意を表し、強く抗議している。またニューヨークで北朝鮮の代表部と接触した。他の場所でもコンタクトすべく努力している。関係国ともいろいろ話し合っている状況だ。そのようにいろいろな面での努力は引き続き続けており、その中の一つの主要なポイントとして、北朝鮮に対する日本の立場として、北朝鮮がわが方の抗議にもかかわらず、今回の最初の実験について依然として納得できる説明を行なっていないことを極めて遺憾に思っている。また、ミサイルの発射を行なわないよう強く求めると言い続けているわけである。
(問)2回目は北朝鮮の最高人民会議開催、金正日氏の国家主席就任に合わせる発射ではないかとの見方もある。外務省として実験の行なわれる確度、可能性はある程度高いと見ているか。
(報道官)いろいろな情報がある。その中には肯定的な情報、否定的な情報があり、繰り返しになるが、今の時点で「確実にこうだ」と言えるような状況にはまだない。依然として不透明な状況が続いていると理解している。
(問)第1回目の実験に反応してチャーター便の許可取り消し等の措置が取られた。政府として「追加的措置も検討」と言っている。北朝鮮に対する働きかけの中で、先ほど外報官は「関係者の頭の中にはあろう」と言ったが、現在の働きかけの中に、「もし北朝鮮が実験した場合にはこういう行動を取り得る」といったものの提示は行なわれているのか。
(報道官)繰り返しになるが、極めて遺憾に思っていること、ミサイル発射を行なわないよう強く求めると言っている。この問題について一定の措置を取ったが、今後の進展次第では「さらなる措置を取ることを検討する」と明らかにしている。それ以上に「こういうことがあったらこう、こういう措置があり得る」と北朝鮮側に伝えつつ、それをいわば交渉するというようなことは行なっていないのではないかと思う。
(問)北朝鮮が一回目のミサイル発射後、わが国はニューヨークの国連代表部を通じて抗議の意図を直接伝えたようだが、それ以降に北朝鮮側と直接対話あるいは意志の疎通は行なったのか。
(報道官)北朝鮮との連絡は、南アでも行なったことはご存知のことと思うが、北京における接触の努力も引き続き行なおうとしている。その後こういった接触を行いこういう結果であったということを申し上げられるようなことはないが、引き続き努力している。
(問)今後の進展次第では新たな措置という政府の対処は北朝鮮に対して警告の意味を含んでいるのか。
(報道官)先方がどう受け取るかは自分(報道官)から申し上げられるものではないが、今後の進展次第では更なる措置を検討するということを聞けば、わが方の姿勢が相手側に通じて然るべし、と考える。
(問)金正日総書記が国家主席に就任するとの見通しが高まっているが、これによって対日関係を含め対外政策がどのように変わっていくか、どう考えられるか。
(報道官)なかなか難しい質問であるが、金正日総書記が9日の建国50周年記念日の機会に国家主席に就任する可能性は相当あると思うが、対日関係にどういう意味を持つのかということは、ひとつに今回のミサイル発射ということがあり、それが何を意味するかはなかなかはっきりしない。日本との関係を改善しようという意図はなかなかみられないと言わざるを得ないが、なかなか申し上げにくい状況である。
(問)米朝協議についてどう認識しているか。
(報道官)本件協議については、先週来協議が行われてきたわけだが、直近については、3日にニューヨークで再開された協議は不調に終わったと聞いている。今後どうなるかは良くわからない。
(問)そういったことについて日本政府としてどう考えているか。
(報道官)米朝協議の中で何が話し合われているかは、米朝間のことなので、自分(報道官)からは申し上げない。何をもって不調に終わったかも申し上げる立場にはないが、わが国の立場は米朝協議が一方で続いている状況において、このミサイルの発射があり、それによって日本政府及び国民がこの事態を大変憂慮しており、北朝鮮に対して強い遺憾の意を持っており、国内においてもいろいろな議論が起きているということは、米側との接触を通じ米側に指摘して来ていると理解している。
(問)韓国では(米朝協議は)進展していて、双方の事務所開設についての話しも出ている、との報道があるが。
(報道官)進展しているとの報道もあったようだが、最近の情報によれば3日に再開されて、話し合いが行なわれたが、その協議は不調に終わったということのようである。
(問)不調に終わったということは決裂したということか。
(報道官)すべての問題が解決されて、握手したということではないと理解している。御指摘のようなことが議論されているとしても今後どういう推移になるのかわからない。
(問)不調に終わったということは、日本へのミサイル発射の話が北朝鮮に伝わっていないという感じを持つが、その部分については米側からきちんと伝わっているという確認はとれているのか。
(報道官)不調に終わったというのは米朝の話し合いが必ずしも進展していないようだということだが、何が引っかかってどう進展していないかを自分(報道官)が申し上げる状況ではない。
(問)今、報道官がいったような調子だから米側から北朝鮮側に伝わってないのではないかと思うが、その点は米側から伝わっていると理解して良いか。
(報道官)米国としても先程来申し上げているように今回の弾道ミサイル発射について日本がいかに深刻に受け止めており、かつ日本において政府のみならず国会においても国民各位においても懸念が強まっているという状況を当方からも伝えているし、米側としても理解していると認識しているので、米朝協議においてミサイル発射については伝えられていると理解している。もとより日本の立場としてミサイルの発射はそもそも行われるべきではないし、その点については米側もわが国と同じだと理解している。それ以上は関心があるが、米朝協議について第三者として詳細に申し上げる立場にない。
(問)北朝鮮の朝鮮中央放送が北朝鮮が人工衛星を打ち上げたとの報道があるが承知しているか。
(報道官)そのことについては承知していない。
(問)ロシアの内閣人事は、混沌としているが、高村外相訪ロは変更なしか。
(報道官)変更はない。引き続き9月中旬を目途に大臣のロシア訪問を実施する方向で具体的日程を含めロシア側と調整している。
(問)大臣はロシア側のカウンターパートが決まっていなくても訪問するのか。
(報道官)大臣の訪ロが実現するという前提で、行く場合には誰と会うかも含めて調整中である。全く内閣が存在しないという事ではない。首相代行がいてそれぞれのレベルの方々がいる状況の中で調整している。
(問)江沢民中国国家主席の訪ロが訪日と一緒に中止となったという意味では日中間で日本訪問の日程調整は始まったのか。
(報道官)先日延期になったのは、中国国内の洪水の被害のためであったし、そういった状況については当方としても理解している。他方、洪水災害からの復旧が出来るだけ早く行なわれ、なるべく早く江沢民主席が日本に来ていただくという考えのもとに中国側と話し合いを続けていくという状況である。
(問)江沢民主席のロシア訪問と日本訪問が一緒に中止されたが、他方ロシア訪問の日程は固まってきたとの報道があるが。
(報道官)そういった情報は得ていない。決まっていないと理解している。
報道官会見要旨 (平成10年9月1日(火)17:10~ 於 会見室)(報道官)8月30、31両日に東京で開かれた「核不拡散・核軍縮に関する緊急行動会議」について一言申し上げる。
会議の名前は今回の会議での議論の結果、「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム」とすることになった。今回の会合では16カ国18人の実務経験者、安全保障の専門家等が率直且つ友好的な雰囲気の中で、インド、パキスタンの核実験による影響、核不拡散・核軍縮の問題について話し合った。
その議論を通じて、「インド、パキスタンの核実験は国際的な核不拡散体制への挑戦であり、核不拡散体制を維持・強化すべきである」との認識がほぼ共有されたと聞いている。
若干これを敷衍すると、今回の会議の出席者は各国政府を代表するものではなく、個人の資格で参加したものであり、本会議開催についての日本のイニシアティヴについて出席者より高い評価を受けた。
会議の議題は4つの部分に分けられた。先ず第1に一般討論、この中で各参加者が本会議に期待すること、印パの核実験の国際政治への影響等についてそれぞれの意見を述べた由である。第2に地域問題、印パ核実験の当該地域への影響等の話が出た。第3は核不拡散問題、第4が核軍縮であり、第3、第4はグローバルな問題として取り上げられた。これらの議論、特に「印パの核実験の影響」という議論の中で、「印パの核実験は不幸な出来事であり、国際的な不拡散体制に対する挑戦である」との共通認識が示された。また、「核拡散防止条約(NPT)体制は国際社会にとって必要なシステムであり、今後も維持・強化していくべきである」ということで意見が一致した由である。ただ、インド、パキスタンの方も参加していたので、全員のコンセンサスが得られたかというと必ずしもそうではないが、先ほど「ほぼ」認識が共有されたと申し上げたのはそういう意味である。
この他に指摘された点、表明された意見としては、例えば印パ核実験の影響として、中東、北東アジア地域への拡散が懸念されるとの意見が出されている。また、核保有国の核軍縮への取り組みの必要性も強調された。
第2回会合は今年12月18、19の両日、広島で開催されることとなった。第3回会合は来年3月乃至4月に日本以外のところで開催したいということであり、例えば米国での開催の可能性も議論された由である。これらの会議を通じて、来年の初夏に最終報告を取りまとめる予定であると承知している。(問)ミサイルの種類についてだが、3段階に分かれているミサイルとも言われている。今言われている三陸沖の着弾点の更に先に3つ目の弾頭が着水したのではないかということであるが、右について外務省で確認されていることはあるか。
(報道官)今の時点で自分(報道官)から特に付け加えて申し上げることはないが、色々な情報があり、それを防衛庁の方で総合的な分析が続いていると理解しているので、その結果、何か出てくる可能性はあるかもしれない。現時点で自分(報道官)が申し上げられるのは以上である。
(問)(その件については)防衛庁の方で既に「貼り出し」が出ているようだが。
(報道官)自分(報道官)が今色々な可能性があり得るかもしれないと申し上げたのは、今のような指摘の可能性も含めてということである。
(問)日朝関係で具体的に外務省にかかわるKEDO、国交正常化交渉への影響如何。
(報道官)今朝の高村大臣の会見においても、「今回のミサイル発射実験を巡って、日朝関係は一層厳しい状況になろう」という趣旨の話があったと承知している。朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)については、軽水炉の費用負担で最終的な合意が近づいていた訳であるが、昨日の事態を踏まえて、我が国として早急に米国、韓国等の理事会メンバーと協議をした上で対応振りを検討したいと考えている状況である。
それ以上に日朝の国交正常化交渉等、他の色々な話についてはこれらを巡る状況が厳しくなった訳であり、具体的に今後何をどうしていくかについては、鋭意検討している状況である。(問)KEDO合意文書の署名留保というのは、米朝の枠組み合意を破棄することも含んでいるのか、どういう考えで留保するのか。
(報道官)今起きていることは経費負担問題に関する理事会決議案についての折衝を続けているところであり、折衝の結果、ほぼまとまるラインが出てきたという状況であった。それに基づいて決議案の採択が近づいていた訳であるが、採択が近づいてきた状況の下で、このミサイル発射が起きたという状況において、決議案についての対応をどうするか、米国、韓国等の理事会メンバーと協議した上で検討していくということになっている。
(問)米韓はそのままであるところへ日本だけが留保したということではないのか、日本はそこから何か考えるといことか。
(報道官)結果として決議案の採択がまだ行われていないわけであり、それについて米国、韓国等の考え方について更に話し合っていく必要があると思う。いま断定的に「日本だけが留保している」とは言い難いのではないかと思料する。
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