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記者会見

報道官会見記録(平成10年4月)


目次



・報道官会見記録(4月28日付)
 ・モンゴル大統領の来日について
 ・京都議定書への我が国の署名について
 ・北朝鮮への重油供給、軽水炉建設資金について
 ・ルワンダ情勢について



・報道官会見記録(4月24日付)
 ・在外選挙法案の成立について
 ・ペルー人質事件1周年について
 ・カンボディア情勢について
 ・総合経済対策と外務省との関係について
 ・イラク情勢について



・報道官会見記録(4月21日付)
 ・ 元韓国慰安婦への支援金支給について
 ・日韓文化交流について
 ・カンボディア情勢について



・報道官会見記録(4月17日付)
 ・カンボディア情勢(ラナリット殿下の声明)
 ・ポル・ポトの死去
 ・我が国の働きかけ
 ・エリツィン大統領訪日



・報道官会見記録(4月14日付)
 ・高村外務政務次官のASEANトロイカとフレンズ
  ・オブ・カンボジア会合、国連アジア太平洋経
  済社会委員会(ESCAP)第54回総会出席

 ・日米地位協定室の新設
 ・在沖縄米軍に対する教育広報用ビデオの
  引き渡し式

 ・エリツィン大統領訪日
 ・韓国従軍慰安婦への保障金支給報道



・報道官会見記録(4月10日付)
 ・多国籍文化ミッション総括会合の開催
 ・日韓漁業交渉
 ・ポル・ポト元首相
 ・ペルー事件解決1周年



・報道官会見記録(4月7日付)
 ・英仏の包括的核実験禁止条約(CTBT)批准
 ・エリツィン大統領の訪日時期について
 ・インドネシアの経済状況
 ・インドネシア等の森林火災への対応
 ・円借款による東南アジア諸国の負担増
 ・カンボジア問題


4月3日(金)の記者会見は中止。




報道官会見要旨 (平成10年4月28日(火)17:10~ 於 会見室)

・ モンゴル大統領の来日について

(報道官)ナツアギーン・バガバンディ・モンゴル大統領は、夫人および随員とともに5月11日(月)から15日(金)まで日本国政府の招待により、日本を公式訪問される。同大統領は滞在中、天皇皇后両陛下と会見する。また、同大統領は、わが国政府、経済界要人と会見等を行う予定である。バガバンディ大統領は昨年5月に実施された大統領直接選挙の結果、第2代モンゴル国大統領に選出された。モンゴル国大統領の来日は、即位の礼への参加および立ち寄りを除けば、今回が初めての公式の来日となる。同大統領自身にとっては、1994年にモンゴル国家大会議議長としてわが国参議院議長の招待により夫婦で来日して以来、2度目の来日である。
 ちなみに、同大統領の長男は日本の大学に留学中で、北陸大学3年生だと思うが、大変親日的な方のようである。モンゴルと日本との関係については、昨年2月、当時のエンフサイハン・モンゴル首相が来日した時、日・モンゴル共同発表を出して両国間の総合的なパートナーシップをうたっている。これらを踏まえて両国関係の原則と方向を再確認し、幅広い協力関係の構築を促進していこうとしている。

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・ 京都議定書への我が国の署名について

(報道官)昨年12月京都で採択された気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書にわが国が署名することについて、本日閣議決定を得た。これを受けて現地時間の本日28日午後5時、日本時間29日午前6時に国連本部において木村崇之地球環境問題等担当大使が署名を行う予定である。この旨は本日午前の閣議の後に村岡官房長官より発表があったところである。今回のわが国による署名は主要先進国の中では最初のものになる。現在までのところ12カ国が署名しており、その中でスイスが署名しているがほかはモルディブ、サモアなどの島嶼国、アルゼンチンなどが署名している。スイスも先進国だが、我が国が主要先進国の中では最初の署名となる。今後多くの国が署名することによって、国際社会の地球温暖化問題への取り組みの推進力とするとともに、この議定書の実施のための国際的検討を加速することになると確信している。今後はこの議定の実施のための課題を検討するために、6月にボンで開催される補助機関会合、および11月にブエノスアイレスで開催される第4回締約国会議(COP4)に向けて、わが国は第3回締約国会議議長国として積極的に貢献していく考えである。

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・ 北朝鮮への重油供給、軽水炉建設資金について

(問)本日オルブライト国務長官が共同記者会見の際に、北朝鮮の深刻な状況および朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)について意見交換したとの趣旨の発言をしたが、北朝鮮の食糧難の状況とKEDOへの支出、特にアメリカが重油の資金に不足を来しており、それを日本に求めるのではないかとの趣旨の報道があったと思うが如何。

(報道官)本日の会談自体はかなり限られた時間の中でいろいろな問題に触れられたわけで、必ずしもそれぞれのトピックスについて詳しいやり取りがあったわけではないが、北朝鮮の情勢も話題にはなった。北朝鮮の食糧不足の問題については、かなり深刻な状況にあるとの認識があり、わが国について言えば、昨年10月に決定した前回の世界食糧計画(WFP)のアピールへの支援を現在実施中であり、まずはこの実施が先決であると考えている。KEDOの問題については今朝のオルブライト長官と小渕外務大臣との会談でも取り上げられたが、二つの問題がある。軽水炉プロジェクトの経費の問題と重油供給のための資金の問題である。
 アメリカはKEDO が北朝鮮に重油を供給するための資金の確保にいろいろ苦労しているわけであり、ほかのKEDO の理事会メンバー、すなわち日本、韓国、欧州連合(EU)やその他の国に対してできるだけ重油供給のための資金をKEDO に供出してほしい旨かねてより広く呼びかけている。わが方としては、現時点においては軽水炉プロジェクトの経費負担に全力を上げる必要があると認識している。それ以上のKEDO のいろいろな資金負担の件については、日本、米国のみならずほかの第3国も絡んでいる問題なので、具体的にどこが幾らぐらいというようなことについていま申し上げるのは控えさせていただく。

(問)当面、重油についてはわが国は受け入れられない、軽水炉に全力を上げるということか。

(報道官)私が申し上げているのは軽水炉プロジェクトの経費負担にまず全力を上げる必要があると考えているということである。

(問)米国政府がKEDOの重油資金を日本、韓国、EUに拠出を求めてきた背景についてはどのように説明しているのか。本日の外相会談とは離れてお聞かせ願いたい。

(報道官)背景を言えば、KEDO は北朝鮮に年間50万トンの重油を供給することとなっており、そのために年約6000万ドルの資金を必要としている。また、KEDO は現在約4700万ドルの重油関連債務を負っている。これに対し本年見込まれる重油供給に充てることのできる大口拠出は米国からの約3100万ドル、EU からの約1500万エキュー(約1670万ドル)に過ぎず、債務は返済できたとしても今年度の重油の供給見通しが立たない状況における話であると理解している。

(問)重油の供給についてアメリカが責任を負うという前提が変わってくることに対して日本政府はどう考えているか。

(報道官)重油の供給についてアメリカが責任を持つという理解でやってきているわけなので、それも含め、先ほど私が申し上げたように、現時点においては軽水炉プロジェクトの経費負担に全力を上げる必要があると認識していると申し上げた次第である。

(問)軽水炉建設資金の負担問題はいつごろをめどに決着をつけるのか。

(報道官)何回か大使級の協議が行われてきたが、まだどの時点で結論が出ると申し上げる段階には至っていない。

(問)日本の立場としては、重油供給のための資金を求められても応じられないということか。

(報道官)繰り返しになるが、現時点では軽水炉プロジェクトの経費負担に全力を上げる必要があると考えているということである。

(問)日本政府は軽水炉建設の費用負担をアメリカ政府に求めているのか。

(報道官)軽水炉についてもアメリカ政府が負担することができれば望ましいとは考えているが、アメリカ政府について申し上げれば、先ほどらい申し上げているように重油供給のための資金が難しい状況にあるので、なかなかその余裕はない状況にあると理解している。

(問)軽水炉プロジェクトの負担は韓国が主体で、日本は意義のある負担をするということになっているが、日本が軽水炉の経費負担に全力を上げると言われるのは、割り振りが決まったからか。

(報道官)まだ割り振りが決まったという状況ではないと思う。いま言われたように韓国が中心的な役割、日本が意味ある役割、貢献という言葉だったと思うが、それをどういう数字にするかは関係各国の協議の対象となっているわけで、まだ最終的な構図がきちっと決まっている状況には至っていないと理解している。

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・ ルワンダ情勢について

(問)ルワンダで大量の公開処刑が行われ、各国が異様な眼差しを注いでいるかと思うが、ルワンダにはルワンダの論理、理屈があるようだが、これについてわが国の立場は如何。

(報道官)国際社会の関心が寄せられており、この様な状況のもとで、一つの民族によるほかの民族の大量殺傷ということがあったという背景、さらにそれに続く今回の処刑についていろいろ私どもとしての関心は持っているが、今までのところこの問題について特に我が国として何らかの場で立場を表明していることはないと承知している。

(問)国際法廷の設立が含まれているとの指摘があるという報道があるが、これについては如何。

(報道官)そういう報道があればそういう点も含めてわが国としての対応を検討していくことになると思う。今この時点で断定的なことを申し上げる状況にはない。

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報道官会見要旨 (平成10年4月24日(金)17:10~ 於 会見室)

・ 在外選挙法案の成立について

(報道官)本日(24日)、在外選挙の実施のための「公職選挙法の一部を改正する法律案」が成立したことは、海外在留邦人に選挙権の行使の機会を保障する大きな前進であり、外務省としても非常に喜ばしく思う。
 近年、様々な分野において国際化が一層進展し、これに伴い海外に多数の国民が居住するようになり、この10年間を比較してもその数は約50万人から約76万人に増大している。国際社会における日本の存在感が増大し、また国内の出来事が海外に居住する邦人に影響する度合いというものも増している。このような中、海外に居住する邦人にとっても、選挙権を行使し日本の国内政治に参画することは大きな関心事となっていることが、今回の法案の成立の背景にある。
 在外選挙の実施に当たっては、外務省としては在外公館を中心に、選挙人の登録準備、投票事務、更に自治省と協力しつつ在外選挙制度の周知という面においての業務を司ることになる。これらの業務は、外務省にとって全く新たな且つ追加的な事務であり、今後、外務省、特に在外公館がその業務を円滑に実施し得るよう、職員への指導・研修の実施、必要な人員の確保、更に必要に応じこれらの体制の整備のための予算の確保等の面において、実施体制の整備に努めていく所存である。

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・ ペルー人質事件1周年について

(問)昨日(23日)ペルーで行われた人質事件1周年の追悼式典に橋本首相から感謝のメッセージが送られたとの報道がなされているが、そもそもこの事件はペルーで発生し、日本人と日本政府が損害を受けたものであるが、フジモリ大統領から橋本首相の(感謝)メッセージに対応する何か謝罪のようなメッセージはあったのか。

(報道官)昨日ペルーで追悼式典が行われ、その場においてフジモリ大統領の挨拶があったことは承知しているが、今指摘されたフジモリ大統領から日本に向けた謝罪のメッセージというものが今回あらためて(日本側に)来ているということは承知していない。

(問)その挨拶の中でも、人質になった邦人及び大使公邸を壊さねばならなくなったことなどに対して何も謝罪はなかったのか。

(報道官)今手元に挨拶文の中身自体を持っていないので承知していない。

(問)更地になったところをテレビで見たが、(更地の)賠償等についてペルー側と話し合ったのか。

(報道官)更地の処理の問題については、今検討中と承知している。

(問)現在小西大使はホテルを公邸に使っていると承知しているが、公邸の建設計画如何。

(報道官)ご指摘の通り小西大使はまだホテルに居住中であるが、新公邸自体の物件は購入してある。これから警備対策をはじめとする増改築を行う予定となっている。しかしながら、この事件の経緯もあり、警備上の問題もあるので、増改築の終了までは住所などの公表は差し控えることとしたい。

(問)物件の購入について、ペルー政府側から特別の配慮といったものは提供されたのか。つまりあの場所は血が大量に流れた所であり、既に使えなくなったわけであるが。

(報道官)物件を購入するに当たって色々ペルー政府との相談は行われたと思うが、旧公邸跡地自体の処理については(一部に公園にするとの提案も一時あったようであるが)、まだ何も決まっていない。今は新たな公邸の候補地を探して物件を購入したという状況であり、右物件を購入するに当たっての具体的なペルー側との話し合いがどうだったかということについては、自分(報道官)は承知していないが、何らかの連絡はあり得たかと思われる。

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・ カンボディア情勢について

(問)カンボディアにおいて、ポル・ポト派との交渉が暗礁に乗り上げたというか、決裂したという報道が一部なされているが、右についての状況如何。また、このことが選挙に向けての歩みにどのような影響を及ぼすと思われるか。

(報道官)(ポル・ポト派との交渉が)暗礁に乗り上げたと言われるのが、どの報道を指しているのか必ずしもつまびらかにできないが、ラナリット派軍のニュック・ブンチャイ将軍が、KRの残存勢力等を糾合して政府への抵抗活動を継続するという発言をしたという報道がなされているが、同将軍自体が、その後、昨日(23日)また新たな声明を発表しており、その中で「私(ニュック将軍)がアンロンヴェンのKRと関係を有しているとのメディアによって広められた噂を否定する」云々ということで、先の報道を自ら否定する声明を出しているとのことである。
 KRの残存兵は既にかなり縮小しているとも言われており、これらの抵抗勢力が今後どれだけ実質的な抵抗活動を行えるのか、今後の情勢を見極める必要はあるが、物質面及び精神面で兵士の士気は極めて低いと言われているので、何れ政府側との話し合いがつくものと期待している次第である。

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・ 総合経済対策と外務省との関係について

(問)本日(24日)、総合経済対策の発表が行われる模様であるが、外務省に関係するものとして今のところどういったものが考えられるか。

(報道官)未だ発表に至っていないので、現時点で申し上げることは控えさせて頂く。なお、東アジアの経済対策ということも一つの項目としてあり得るかと思われ、そのような面に外務省としても当然関心を有していることとなるが、具体的な中身については、あと何時間後かに出されると思われるので、現時点で申し上げることは差し控えることとしたい。

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・ イラク情勢について

(問)イラクの状況について、米国で現在湾岸に配備中の兵力を減らすべきではないかという議論がそろそろ起きているようであり、また、経済制裁を緩和すべきではないかという声も米国以外の国からも出てきており、そろそろ国連の場でも経済制裁解除が話題に上ることになるのではないかと思われるが、日本政府としては、現在のイラク状況をどう見ているのか。

(報道官)一部にそういうような声も有り得るかもしれないが、今の指摘の中の「経済制裁解除」ということについて考えてみると、その前提となるのは大量破壊兵器についての色々な疑惑というものがあるわけであるが、そういうものが払拭されているかどうかか問題となる。この点についてUNSCOM及びIAEAの今までの査察の結果というものが安保理に報告されているようであるが、右報告については、安保理で更に取り上げて考えていくことになると思われるが、今までのところ、そのような査察を行った結果として、完全に疑惑が払拭されたという状況ではないわけであり、そういった観点から考えれば、今すぐ「制裁解除」を行うというのは時期尚早と考える次第である。

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報道官会見要旨 (平成10年4月21日(火)17:00~ 於 会見室)

・ 元韓国慰安婦への支援金支給について

(問)韓国政府が従軍慰安婦に対する支援金給付を決めたようだが、それについてのコメント如何。

(報道官)本日韓国政府が国務会議において、民間団体が募った募金を含め、元従軍慰安婦の方に一人当たり3800万ウオン(約380万円)を支給すると決定したと承知している。わが国政府としては、いわゆる従軍慰安婦問題は多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であると認識しており、今回の韓国政府の措置は韓国政府のこの問題に対する取り組みの表れと理解しており、これがすべての元従軍慰安婦の方々の生活状況の改善につながることを期待している。

(問)日本政府も関与しているアジア女性基金に関し、韓国政府の決定の中にこれを拒否するとの表現が入っているのか。

(報道官)入っていないようである。今回の韓国政府の措置についての韓国外交通商部スポークスマン声明の中には、わが方のアジア女性基金を通じての措置については何ら言及はなかった。

(問)これからもアジア女性基金から韓国の元従軍慰安婦に対して、人数は少ないながら支援を続けることができるとお考えか。

(報道官)先ほど申し上げた通り、今回の韓国側の措置は韓国政府のこの問題に対する取り組みの表れと理解しているので、すべての元慰安婦の生活状況の改善につながることを期待している。わが方の基金については、この問題が多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとの認識の下で、従来より同基金に対しては政府としても最大限の協力を行っている次第で、今後もそうした協力を続けていきたいと考えている。

(問)金大中大統領は日本政府に対する政治的道義的責任の追求を放棄しないと述べているようであるが如何。

(報道官)本日の韓国外交通商部スポークスマンの声明の中で、「日本は過去に行った反人道的な行為に対し、心から反省し、謝らなければならない。」ということが言われている。この点については、日本政府としてかねてより、この問題は多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であると認識しており、日本政府はこれまでもおわびと反省の気持ちをさまざまな機会に表明してきているわけであり、このようなおわびと反省の気持ちは今日においても変わるものではない。加えて、本日の韓国政府の声明の中には、日本政府に対する個人補償の要求を行わないということは含まれていないが、この点について韓国政府に事務的に照会したところ、韓国政府より「韓国政府としては日本政府に対し個人補償を求めることはしない。」との立場であるとの説明を受けた。

(問)それは今日のことか。

(報道官)本日の発表を受けて、問い合わせをしたのに対する回答である。

(問)一部にはアジア女性基金に対して韓国政府が反対をしているやに伝えられているが、その際反対しないということも確認されているのか。

(報道官)われわれがいま承知しているのは、本日のスポークスマンの声明において、いまのご質問にあったわが方のアジア女性基金についての言及は何ら行われていないということである。

(問)「韓国政府としては日本政府に個人補償を求めることはしない」ということだが、これは従前の立場と比べてどうか、従前は明言はしていなくても国連人権委員会の特別報告書を引用する形で間接的に要求していたという受けとめ方もあると思うが。

(報道官)従前というのは金大中政権の発足前ということかと思うが、当時の柳外務部長官の国会答弁があった時に、韓国側は「本問題について政府レベルで賠償を求めることはしないが、個人の関係では被害者が希望するラインで解決できるよう日本の対応を期待するという立場である」との連絡があった。従って、従前ということが前政権の立場のことをさすのであれば、「本問題で政府レベルで賠償を求めることはしない」ということは、今回のわれわれの照会に対する回答と共通しているものであると思われる。

(問)「個人のレベルでは被害者の希望に沿う形で解決するよう期待する」と従前言っていることに比べて、今回の韓国政府の「個人補償を求めることをしない」ということは、一歩踏み込んだものと考えて良いか。

(報道官)「日本政府に対する補償の要求を行わない」ということは以前(前政権時に)われわれが韓国政府に照会して確認した立場と共通しているものと考えている。

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・ 日韓文化交流について

(問)日韓関係では、金大中大統領が表明された日本の大衆文化の解禁については何か動きがあるか。

(報道官)先週の金曜日だったと思うが、金大中大統領が文化の問題について国内で指示を出されたというか、発言されたということが報じられた。17日午前に文化観光部長官から金大中大統領に報告が行われた際に、金大統領が日本文化の問題について、「日本文化の流入を止めることによってむしろ暴力等の下級文化が入る恐れがある、恐れることなく対処せよ」ということを言われたと伝えられた。われわれとしてわが国の文化の問題について韓国内でいろいろ真剣な議論が行われていることは承知しており、この問題について韓国が今後どう対応していくかについては強い関心を持ってきている。同時に、金大統領は大統領就任前からいわゆる文化鎖国主義に批判的な発言を行っており、良い文化と悪い文化があるけれども、良い文化は広く一般化することが望ましいとの立場を取られてきていることもわれわれは承知しており、そういう意味では先に紹介した金大統領が文化長官に言ったことも同じような考えに基づいて発言されたものと思うし、日韓間の文化交流が今後一層自由に拡充されていくことをもとより希望しており、それが両国国民の相互理解と友好協力関係の強化につながることを希望している。

(問)その具体的なステップになりうるようなものはまだ見えてきていないか。

(報道官)17日の発言であるので今後の動きを見る必要があると思う。

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・ カンボディア情勢について

(問)その後ラナリット殿下の声明は実行に移されているのか。

(報道官)ラナリット殿下の声明の後、先週末にはバンコクでフレンズ・オブ・カンボディア会合が行われ、わが国からは高村外務政務次官が出席したわけだが、この会合で関係国が前回のマニラ以降の前向きな動きを評価し、自由公正な選挙が可能になりつつあるとの認識で一致した。その中には御質問の4月17日のラナリット殿下の自治区の返還、それから軍の再編入を含め、この声明を評価するとの点も含まれていた。わが方の提案した4項目はほぼ実現する見通しとなったということは言えると思う。それと同時に、例えばラナリット殿下が停戦を声明したことに対し、フン・セン第2首相の方の反応が必要なわけで、その上できちっとした合意の停戦が必要だと思うし、そういう意味ではラナリット殿下の声明を受けて停戦問題の協議が速やかに進めていかれることが必要と考えている。すなわち、わが方の4項目がほぼ実現しつつあるが、細部についてみればまだいくつかなされるべきことが残っており、われわれは引き続き現在のカンボジア政府を含め関係国と協力しながらいろいろな連絡を取っていきたいと思っている。

(問)つまり実際にラナリット殿下の影響下にあった部隊が王国政府に編入するといった具体的な動きは見られているのか。

(報道官)まさに再編入するとラナリット殿下は声明されたわけだが、声明は先週の金曜日で、実際上行われているかどうかについてはわれわれも関心がある。また、停戦についてもラナリット殿下が停戦をすると言ったことに対して、フン・セン第2首相の方が受けて、きちっとした合意にしていくことがまだ必要だと思が、実際上の力関係から見れば、最近の動きによって戦闘が実際に行われるという可能性は相当に低くなっており、そういう意味では停戦というか、戦闘が行われない状況に相当近づいているように感じている。

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報道官会見要旨 (平成10年4月17日(金)17:00~ 於 会見室)

・ カンボディア情勢(ラナリット殿下の声明)

(報道官)本日午後、バンコク滞在中のラナリット殿下が声明を出したということにつき申し上げる。同声明の骨子については配布したとおりであるが、要点の一つは、「ラナリット殿下自身はクメール・ルージュとの如何なる協力関係も有していないということを繰り返したい。したがって、自分(ラナリット殿下)に忠誠な軍隊がオンロンヴェーン付近でクメール・ルージュを支援しているという現在流れている噂は真実ではない。仮にかかる軍事作戦に参加している王国政府軍部隊があるとすれば、右は自分(ラナリット殿下)に忠誠な軍隊ではなく、よって自分(ラナリット殿下)は彼等との関係を断絶する。」ということが一点。第二に「自分(ラナリット殿下)は停戦に関するシハヌーク国王の私案を完全に支持する。従って、一方的停戦を宣言することに加え、自分に忠誠な部隊が支配する地域を返還するとともに、この自分に忠誠な部隊に対して王国政府軍に再統合するよう指示をする。」ということが主なポイントである。
 御承知のように、我が国は今年の1月以降カンボディア情勢の打開のためにラナリット殿下及びフン・セン第二首相の双方に対して四項目の案を提示して積極的な働きかけを行ってきた。その結果、ラナリット殿下への恩赦が付与され、3月30日にはラナリット殿下の帰国が実現した。その後、我が国としては残された大きな課題である停戦をめぐる諸問題について、関係者に積極的な働きかけを行ってきた。本日のラナリット殿下の声明は、このような我が国の働きかけを受けて発出されたものであり、クメール・ルージュ及びその協力者との断絶、ラナリット派の自治地域のカンボディア政府への返還、停戦及びラナリット派軍の国軍への再編入を明らかにしており、我が国としてこれらの諸点を高く評価している。我が国としては、ラナリット殿下による今回の声明を受け、カンボディア政府が今後ラナリット殿下側との協議に応ずる等前向きな動きを示すことを期待しており、引き続き必要な外交的努力を行っていきたい。

(問)(日本政府の)4項目はこれですべて満たされたと考えられるということか。

(報道官)ラナリット殿下が停戦するというわけであるが、全部停戦ができたのかどうかは議論の余地があるかと思う。他方、北部のクメール・ルージュの勢力が実質的に陥落したということが伝えられているので、ラナリット殿下の声明も含めて考えると、問題の大きさはずいぶん小さくなっているということが言えると思う。

(問)わが国の働き掛けでこうした声明が出てきたことは分かるとしても、(ラナリット殿下の声明が)17日付で出てきたということと、伝えられている15日のポル・ポト元首相の死去との間に何らかの関係があるとは考えられないか。

(報道官)いろいろな状況の積み重ねということはあるかと思うが、クメール・ルージュの最高指導者といわれていたポル・ポトの死亡について申し上げれば、彼の死亡によってクメール・ルージュの強硬派の生き残りの道は断たれたということだと考える。クメール・ルージュの軍事的崩壊とポル・ポトの死亡によってカンボジアの状況は一段と改善され、総選挙実施のための好ましい環境が醸成されてきていると期待しているわけである。そのようなことも背景として、我が方からの働きかけもあって、本日のラナリット殿下の声明に至っていると考えている。

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・ ポル・ポトの死去

(問)ポル・ポト元首相の死去について、今朝の大臣会見の際に大臣は日本国政府としてタイ国政府に問い合わせた結果、ポル・ポト元首相は15日深夜カンボディア領内で死去したと確認したとの趣旨の情報を得たと述べたが、タイ政府はポル・ポト元首相が完全に死亡したと認めているという解釈になるのか。

(報道官)大臣が言われたように、タイ側に確認したところ、ポル・ポトは15日深夜にカンボディア領内で心臓発作のため死亡したということであるから、その死は確認されたと考えている。

(問)その情報提供を受けたのはいつか。

(報道官)昨16日というふうに考える。

(問)本当にポル・ポト元首相なのかどうか。例えば、以前のテレビの映像では白髪だったのに遺体の映像とされたものは髪の毛が黒いではないかといった疑問の声もあるようで、米国などは検死をやるべきであり、その支援も惜しまないといった発言もしているようであるが、こうした確認作業についてわが国はどういう立場なのか。

(報道官)我が方は直接に確認作業に当たっていたタイ側との連絡等を通じて、タイ側からきているポル・ポトが死亡したとの情報は信頼するに足るものだと考えている。

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・ 我が国の働きかけ

(問)フン・セン側への働きかけとしては具体的にどのように行うのか。

(報道官)停戦というものをきちっとしていくこと、及び選挙の実現に向けて国際社会が支持していくことがあるわけであるから、そういう意味で今後まだいろいろ働き掛けをしていくことは必要かと思われる。具体的に言えば、本日のラナリット殿下の声明を受けて、停戦問題についてのカンボジア政府とラナリット殿下側との協議を速やかに進めるようにといった働き掛けが必要になるかと思う。また、週末19日、フレンズ・オブ・カンボディア会合が(バンコクで)行われるが、一つ焦点になっているのが、7月に予定されている選挙の実施に向けていろいろな準備を進めていくということがあり、一方において選挙をちゃんとやるように働き掛けると同時に、国際社会として選挙に対する支援を行っていくこと、また本日外務大臣の会見でも触れられたと思うが、その間に至る国連のモニターに対する支援をしていくといった作業が残っていると考えている。

(問)この声明についてフン・セン側から「交渉の土台となる」といったようなとりあえずの反応は出ているのか。

(報道官)まだ入っていない。

(問)カンボディア政府とラナリット殿下との協議というのは日本が直接両当事者に働き掛けるということか。

(報道官)日本だけには限らないと思う。フレンズ・オブ・カンボディアとかいろいろな国が一緒になって努力してきているわけであるので、ある程度役割分担というのもあるかと思うが、いろんな国と一緒になって働き掛けていくということだと思う。フン・セン第二首相自身、たしか母親が亡くなってまだ喪に服しているということであるが、彼の配下の人々を通じて間接的ではあるが伝えているわけで、そうした努力は今後も続けていくということだと思う。

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・ エリツィン大統領訪日

(問)エリツィン大統領の訪日は予定通りとの情報は現在までのところ変わっていないか。

(報道官)然り。変化はない。自分(報道官)も明日川奈に行く。

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報道官会見要旨 (平成10年4月14日(火)17:00~ 於 会見室)

・ 高村外務政務次官のASEANトロイカとフレンズ・オブ・カンボジア会合、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)第54回総会出席

(報道官)ASEANトロイカとフレンズ・オブ・カンボジア会合が4月19日バンコクで開催され、これに高村外務政務次官が出席する。また、ESCAP第54回総会が4月16日から22日までバンコクで開催され、高村政務次官が首席代表として出席する。
 ASEANトロイカはタイ、フィリピン、インドネシアで、タイのスリン外務大臣、フィリピンのシアゾン外務大臣、インドネシアのアラタス外務大臣が出席され、米、仏、ドイツ、ロシア、EU、豪州等から政府高官が出席する予定である。わが国からは高村外務政務次官が首席代表として出席するが、この会合では、本年の自由公正な選挙に向けて現下のカンボジア情勢をレビューし、今後の国際社会の対応を検討することになっている。具体的にどういう項目について議論することが考えられるかというと、一つには日本が提案した4項目のうち、まだ必ずしも実現に至っていない部分、例えば停戦、ラナリット殿下帰国を踏まえて国際社会からカンボジアにおける選挙を支援するコミットメントを明確にすることが主な議題として考えられるかと思われる。
 次にESCAPというのは、国連の経済社会理事会(ECOSOC)の下部機関としてアジア太平洋地域の経済社会開発についての調査、研究、諮問を行う機関である。加盟国が多くなっており、準加盟国を含めると加盟国が60カ国、そのうち域内加盟国が47、この中には南太平洋の諸国、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、トルコまで入っており、かなり広い地域の国が入っている。域外加盟国としては仏、英、オランダ、米である。それから準加盟メンバーとして北マリアナ諸島や香港、マカオなどが入っている。
 今回のESCAPの会合では、21世紀に向けたアジア太平洋社会開発の見通しと東アジア経済危機等が話題に上るかと考えられるが、当方としては例えば、アジアの経済危機の社会的弱者に与える影響というような点について取り上げることが考えられる。そういう観点からアジアの経済危機についてわが国がいかなる措置を取ってきたか、最近の一連の措置についての言及があると思われる。わが国の協力、特に社会的弱者に着目した協力として、1992年の総会でアジア太平洋障害者の10年(1993ー2002年)というものを決議しており、この後半5年間をより実りあるものとするための決議案を提出することを考えている。この決議案の趣旨説明をしていただくのが八代英太衆議院議員である。
 それからもう一つの課題としてESCAPの効率的な改革を図るための行財政改革というようなことも話題に上るかと思われる。
 総会の際に、大阪NGOで老若男女、障害の有無に関係なく手織物を楽しむ「さをり」というグループが、アジア太平洋障害者の10年との関連でバンコクのESCAPの会議場で展覧会を行う。高村政務次官がこのオープニングにも出席して挨拶を行う予定である。

(問)高村次官の一連の日程の中でバンコク訪問に関し、今朝の大臣会見の際に大臣は国際会議出席の折りにイランを訪問すると言っていたが、このバンコクの二つの会議が大臣の言った国際会議に当たると解釈してよいか。

(報道官)然り。バンコクの会議に出た後イランに行くことも今検討しているが、イランに行くとすればタイの後ということになる。まだイラン訪問についての詳細日程は決まっていない。調整中である。

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・ 日米地位協定室の新設

(報道官)先般の平成10年度予算の成立に伴って、日米安全保障条約課の下に新たに日米地位協定室が設置されることとなり、4月15日付で実質立ち上がることとなった。日本国に駐留する米国および国際連合軍の事務の取扱いに関するもので、なぜ新設するかというと、在日米軍基地問題に関係する業務が増大する中で、関係自治体が各省庁と円滑な調整を図りつつ沖縄に関する特別行動委員会(SACO)の最終報告の着実な実施や、事件、事故発生時の迅速な通報等の日米地位協定関係業務の遂行に遺漏なきを期するとともに、地位協定に関する知識、ノウハウを蓄積して今後の政策に反映させるためである。

(問)確認だが、報道官は今、日本国内に駐留する米国および国連軍と言ったのか。

(報道官)日本国に駐留する米国軍について国際連合軍地位協定というのがある。国際連合軍地位協定に関する事務というのはそれほど多くないと思うが、形式的にはそういうことになる。

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・ 在沖縄米軍に対する教育広報用ビデオの引き渡し式

(報道官)4月17日午前10時半から本件ビデオの引き渡し式が沖縄で行われる。外務省としてビデオ制作を進めていたところ、今般完成の運びとなり、沖縄米軍基地キャンプ・バトラーの将校クラブにおいて米軍側に引き渡す式を行うこととなった。日本側より原島沖縄大使、島内外務省報道・広報担当審議官ほか、米軍側から沖縄の陸海空海兵隊4軍の各司令官が出席の予定である。このビデオは沖縄に駐留することとなった米軍兵士が地元沖縄の文化、歴史を学ぶことを通じて、自らを取り巻く環境や住民感情への理解を深めることによって、地元との間に起こり得る問題を未然に防止するとともに、積極的に地元との交流を呼びかけ、良好な関係を構築する一助とすることを目的として作成されたものである。
 引き渡し式にはプレスの方をお招きし、その際ビデオをご覧になれることもできるが、霞クラブとしてご要望がある場合には、沖縄とタイミングを合わせてご覧いただくアレンジは可能である。

(問)そのビデオは外務省のどこの部署が作成したのか。

(報道官)海外広報課である。ビデオを作るに当たっては現地の関係者、米軍の関係者とどういう中身にするか相談して作ったものである。もう少し申し上げると、2部構成になっており、パート1が沖縄の歴史と文化、パート2が実りある沖縄の滞在のためにということで、この中で例えば原島大使と米軍の司令官、確か海兵隊の司令官が心構えについて語っているひとこまがあり、また車の運転とか犯罪を犯さないためにどの様なことに注意したらよいかなどがある。全体のアンカーは空軍の女性1等兵が当たっている。

(問)全部で所要何分間か。

(報道官)33分34秒で、パート1が16分27秒、パート2が17分07秒である。

(問)海兵隊司令官と言われたが、第3師団長か。

(報道官)名前がヒギンボサム少将となっている。師団長かは確認していない。

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・ エリツィン大統領訪日

(問)エリツィン大統領の訪日関係で滞在日数が2日間とか3日間とかいわれれているが最新情報如何。

(報道官)今のところこれまで発表しているものに付け加える内容はない。今の状況は昨日の晩にロシア側に確認したところ、現時点においてエリツィン大統領の訪日が予定通り行われることが確認されている。それから日程の詳細については今ご指摘の点も含めて、ロシア側と引き続き調整中という状況である。

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・ 韓国従軍慰安婦への支援金支給報道

(問)韓国の従軍慰安婦に支援金を払うことが報じられているが、これについて日本政府の対応如何。

(報道官)そういう報道があることは承知している。本日の韓国国務会議でそういう決定がなされたと報じられたと承知しているが、本日の韓国の国務会議、これは日本の閣議に相当するものであるが、本日の国務会議では韓国政府はこのような支援金の支給に関しいかなる決定も行っていない、ということであった。従って一旦報道されながらも決定は行われていないというのが一番最近の状況だと承知している。

(問)一部報道で、決定したが保留にしたとの情報が流れたようだが、何の決定もなされていないということか。

(報道官)当方で聞いているのは、韓国政府が本日の国務会議においてはいかなる決定も行っていない、というのが最新情報である。

(問)本件について日本政府から韓国政府に対して何らかの意思表示をしているのか。

(報道官)正式な決定を下していないということであるから、当方としてもコメントは差し控えたい。韓国において支援金の支給ということが伝えられているが、まだ決定は下されていないということで、これについてはわれわれも注視していきたいと思っている。

(問)韓国の次官会議では決まったのか。

(報道官)次官会議で議論されて国務会議にいずれかかる、という話であった。3月28日だったか、次官会議でうんぬんと報道されたときに当方で承知していたのは、いずれにせよ韓国政府としての最終決定のためには国務会議の審議を得る必要があり、未だ最終決定はなされていないというのがあの時点の詳細であり、本日の国務会議でも決定はなされていないというのが状況である。

(問)日本政府としては次官会議で決定されたというのを聞いて、韓国側と本件について協議したのか。

(報道官)動向を注視しているということで、情報は収集していると思うが、まだ正式な決定を下していないということで、下されていない決定についてわが方として何らかの立場を表明するということはしていない。

(問)次官会議で決定された趣旨はどういうことかとか、そういう詳細を尋ねることぐらいのことはしてもよいのではないか。それはしていないのか。

(報道官)情報収集は関係者によって行っていると思うが、であるからこそ先ほど申し上げたように韓国政府としての最終決定には国務会議の審議を得る必要があり、未だ最終決定はなされていないという説明を受けていたものだと承知している。

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報道官会見要旨 (平成10年4月10日(金)17:00~ 於 会見室)

・ 多国籍文化ミッション総括会合の開催

(報道官)昨年の1月に橋本総理がシンガポールで政策演説を行なった際に、日・東南アジア諸国連合(ASEAN)の文化関係者からなる多国籍文化ミッションをASEAN各国に派遣するという構想を提唱した。その後、この構想に沿って昨年11月シンガポールで第1回ミッション会合が行われ、12月の日・ASEAN非公式首脳会合で第1次アクション・アジェンダが発表された。
 この背景となる考え方は、今までの日本とASEAN諸国との文化交流の関係は、二国間の関係はそれぞれ進んで来たにしても、ASEANの地域全体でとらえた文化面での交流はまだ進める余地があるであろうということが一つある。第2に、日・ASEAN諸国の文化交流を考えた場合に、日本から色々お金を出して相手国との文化交流を進めるといったことが多かったが、いわばこれはタテの関係で、もっと平等なイコール・パートナーとしての交流を進めていけないということである。第3に、政府レベルの交流ばかりでなく民間の関係者も一緒になって交流を進めていこうということである。
 そこで、イコール・パートナーシップ、地域内における多角的な交流と協力の促進及び政府と民間セクターとの建設的な連携という3つの指針の下に、昨年12月の日・ASEAN非公式首脳会議において発表された第1次アクション・アジェンダで、優先分野として次の4つの環が出た。
 第1は「文化的知的対話」である。第2が「文化的伝統の継承」、噛み砕いて言えば、一方において各国が継承している伝統があり、他方で今日の大衆文化が入ってきているが、そのバランスをどうやって取っていくかである。第3にASEANの中でも他の国の文化を必ずしもよく知らないという状況があるかも知れないということから、互いに文化に関する理解を促進し知識を普及することである。第4がメディアと情報の普及である。
 以上を背景に今回、多国籍文化ミッション総括会合が4月14日から17日まで東京の全日空ホテルと中禅寺金谷ホテルでセッションを分けて開催される。
 これに参加するのは、わが国とASEAN各国の民間有識者および政府関係者20名(各国2名ずつ)からなる文化ミッションである。このミッションは日ASEAN各国を巡回訪問し、メンバー全員による意見交換を通じて、21世紀に向けた多角的な文化交流、文化協力に関する提言をまとめることを目的としている。
 わが国からは文化人類学が専門の青木保東京大学先端科学技術研究センター教授、伊佐敷真一内閣外政審議室国際文化交流担当室長がメンバーとして参加している。
 このミッションが、今年の2月に3つのグループに分かれてASEAN各国を巡回訪問した経験を踏まえ、今回の総括会合で今後進めていくべき文化交流、文化協力の具体的提言を盛り込んだアクション・アジェンダの第2号を採択する予定になっている。
 ちなみに、14日の開会式では有識者とのセッションがあり、それには平野健一郎東京大学教授、河合隼雄国際日本文化研究センター長、映画監督の崔洋一さん、有名な日本画家であり文化財保護振興財団理事長である平山郁夫さん、日本国際ボランティアセンター顧問の星野昌子さん、ファッションデザイナーとして有名な森英恵さんらが参加する。
 それから15、16日は日光に籠もり集中討議をするという日程になっている。16日は東京に戻り官房長官主催のレセプションがあり、17日には午後3時から国際交流基金国際会議場で記者会見が行われる。開会式と官房長官主催レセプション、記者会見がメディアにオープンとなっている。

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・ 日韓漁業交渉

(問)日韓漁業交渉は4月中に再開ということだったと思うが、日程は見えてきたか。

(報道官)ご承知の通り、小渕大臣が韓国を訪問し外交通商部長官との間で漁業交渉を早期に、4月にも再開しようと合意し、それを受けてアジア欧州会議(ASEM)の際の日韓首脳会談で橋本総理大臣と金大中大統領との間で、外務大臣同士の話し合いを踏まえて双方で真剣に努力していこうということとなったが、まだ具体的な日程が設定されたとは承知していない。

(問)柳井次官は日本記者クラブでの会見で、金大中大統領訪日が秋になるのではないかとの前提の下に、それまでにはめどをつけたい、これは若干願望であるという趣旨で発言したが、そのためにも早めの立ち上がりが必要ではないか。

(報道官)早期に再開しようということであるし、大臣同士が話し合った段階で4月にもということで話があったわけだから、なるべく早く交渉を再開しようという気持ちは双方にあると思う。今まさに色々な調整をしていると理解している。

(問)特に何か引っかかっているということではないということか。

(報道官)そのようなことは別に聞いていない。ご承知のように、大臣同士の話し合いの他に、民間関係者の話し合いもあったので、そのようなものを踏まえて交渉をまた始めるという打ち合わせをいまやっているところである。

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・ ポル・ポト元首相

(問)米大統領よりカンボディアのポル・ポト元首相を逮捕・拘束せよとの指示が出た云々の報道が流れ、米国国務省の記者会見でも質問が出ていた。はっきりとは言ってないが全体としては、国務省としてもポル・ポト元首相は戦争犯罪人であると位置づけ、彼が国際法廷に出ることを望むといった趣旨であった。わが国としてはこういう見方は米と共有するのか。

(報道官)ルービン報道官が9日の国務省定例ブリーフィングで質問を受け、裁判云々という話について、選択肢には国際裁判、第3国での裁判、究極的には犯罪発生場所での裁判等が含まれると述べたが、ご指摘のようなアイディアというのはあるようである。
 我々としてポル・ポト政権下のカンボディアにおけるジェノサイド等の犯罪が非常に残虐なものであったことはその通りであるし、そういう行為に関与した犯罪者を処罰する必要性は認識している。そういう意味で米国の意図がどういうものか具体的に詰める必要があると思うが、目的そのものについては反対するものではない。
 他方、今回出ているのは旧ユーゴ国際刑事裁判所のマンデートを拡大し、ポル・ポト等に対する裁判を実施するということのようだが、これについてのカンボディア側の意向も確認する必要があると考える。また、このアイディアについて、やはり色々慎重に検討すべき点があると感じている。旧ユーゴ国際刑事裁判所とのマンデートとの関係がどうなるか、国際法上の一般的な問題としての関係、わが国の法制度との関係がどうなるか等の観点からまだ慎重に検討を加える必要があると考える。とりあえずの感じであるが以上である。

(問)「犯罪」という言葉が出たが、ポル・ポト元首相は戦争犯罪者であると認定したと受け取れる。その根拠法令は国際的にどういった法律に基づくものか。

(報道官)行為自体が非常に残虐なものであって、そのような行為に関与した犯罪者を処罰することは必要であろうということである。その裁判をどういう法令を通じて行うか、どういう場で行うのが一番適当であるかということについては、もっと色々な観点から検討する必要があるということを、現時点では申し上げるのにとどめたいと思う。

(問い)元首相の逮捕、拘留がカンボディアの和平、7月に予定される総選挙にプラスになるのか。

(報道官)その点もあるので、先ほど述べたようにカンボディア側の意向がどういうものであるかも勘案していく必要があると思っている。

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・ ペルー事件解決1周年

(問)ペルー事件の関係者、元人質から改めて話しを聞く予定はたっているか。

(報道官)本日の衆院外務委員会で、ペルー事件について松沢議員より質問が出たのに対し、大臣から、事件解決1周年の機会をとらえ、元人質や企業関係者の今の気持ちを率直に伺う方法の一つとして、こういう方々をお招きしてお話を聞きたいと考えているということを大臣から発言された。そういう場を実現すべく考えているが、具体的な方法や日程調整は今後検討していくことになる。

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報道官会見要旨 (平成10年4月7日(火)17:00~ 於 会見室)

・ 英仏の包括的核実験禁止条約(CTBT)批准

(報道官)6日、英及び仏は核兵器国として初めて包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を行った。包括的核実験禁止条約は、地下核実験を含む全ての核実験を禁止しており、核兵器のない世界に向けた歴史的な一歩となる条約である。我が国は全ての核実験の禁止を永年希求してきたところであり、核兵器国の両国が本条約を批准したことを心から歓迎する。我が国としては、本条約が全ての国の署名・締結を得ることを引き続き強く期待している。特に、本条約に反対の立場を表明している国が核軍縮の推進という大局的な見地からその立場を再考し、この条約を早期に締結することにより本条約が可能な限り早期に発効することとなるよう強く希望する。
 因みに、本日現在で本条約に署名している国は149カ国、そのうち批准を了したのが今回の英・仏を含めて13カ国となっている。我が国は、昨年の7月8日(日本時間7月9日)国連事務総長に対し本条約の批准書を寄託したが、これは世界で4番目の寄託となる。
 本条約の効力発生のためには条約の附属書二に掲げられる44カ国、これはジュネーヴ軍縮会議の構成国かつIAEAの「世界の動力用原子炉」等の表に掲げられているものといった2つの条件を満たす44カ国の批准が必要であり、さらに先述の締約国13カ国の中で44カ国の中に入っているのが日本、ペルー、スロヴァキア、オーストリア、英、仏ということである。この44カ国全てが批准書を寄託した後、180で発効する。

(問)(CTBTの効力発生に必要な)44カ国にはまだまだ道遠しという感じであるが、他の国、特に他の核保有国について如何。

(報道官)道遠しというか、一つには他の核保有国にも一日も早く批准してほしいということであるし、米国とかその他の国々も真剣に検討していると思う。より道が遠いということで申し上げれば、先ほど44カ国と申し上げたが、その中には北朝鮮とかインド、パキスタン、イスラエルというような国々がある。特に北朝鮮それに核兵器の問題をめぐっていろいろ対立しているインド、パキスタン等が条約に署名し批准していくよう呼び掛けていくのが今後の大きな課題だと思う。であるからこそ先述したような本条約に反対の立場を表明している国がその立場を再考してこの条約を早期に締結してくれることを強く希望する。

(問)他の核保有国、特に米国、中国、ロシアといった国で(批准が)日程に上ってるところはあるのか。

(報道官)いまのところ詳細は承知していない。いろいろ検討が行われているというふうに承知しているが、いつ批准に至るかというようなことまでは把握していない。

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・ エリツィン大統領の訪日時期について

(問)今朝の大臣会見の際に、エリツィン大統領の訪日は現在までのところ橋本総理との電話会談で18日から19日と了解しているが、20日までになるのではないかという、未確認情報を得ているとの発言があったが、その後エリツィン大統領の滞在日程が延長されるかどうかの情報は如何。

(報道官)いまのところは18、19日を目途に日程の詳細を調整しているところである。今の状況では、今申し上げたことに尽きると言わざるを得ない。ただ18、19日を「目途に」日程の詳細を調整中ということであるので、まだ完全に確定しているという事ではない。

(問)わが方としては20日まで延びてもよいという、そういう準備態勢を取っているということか。

(報道官)調整中というところである。

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・ インドネシアの経済状況

(問)インドネシアの経済状況であるが、3月半ばに橋本総理が直接スハルト大統領と会って経済改革について話し合いをした後の進展状況如何。

(報道官)アジア欧州会合(ASEM)の会議で橋本総理がロンドンに滞在中の4月2日にスハルト大統領から橋本総理に電話があり、国際通貨基金(IMF)との交渉が最終段階にあり、その旨を他のASEM参加している首脳にも橋本総理から伝えてほしいという連絡があって、橋本総理はその旨を会議の場で披露されたわけであるが、まさに最終段階ということであり、当方としてもなるべく早く妥結するよう期待しているところである。まあ、そう遠くはないだろうという前提の下に早期妥結を期待しているところである。

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・ インドネシア等の森林火災への対応

(問)インドネシアの森林火災の被害状況及びマレーシアでもそうしたことが伝えられているようだが、その状況如何。

(報道官)その後も火事が続いていることは承知しているが、どの程度広がっているかということや、これに対する今後の対策をどうするか、特に今後の対策については検討中と理解している。

(問)現在までのところ、わが国が新たな支援、援助を検討する段階ではないということか。

(報道官)そういう具体的な要請が来ているという状況ではないと思う。前に申し上げたかと思うが、昨年の火事の時には消防関係の方々、確か50人かそれを超える人数を派遣したわけであるが、その後インドネシアの森林火災について日本とか欧州連合(EU)とかあるいはドイツとかいろいろな役割分担もあるという状況でやってきていたわけであるが、今後何か具体的な行動を取るとすれば、それは相手国からの要請に基づいて行動を起こすことになると思う。しかし、そういう具体的な話が来ているとは承知していない。

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・ 円借款による東南アジア諸国の負担増

(問)インドネシアも含め東南アジア各国で財政削減を行っているが、それに伴い円借款で進めている援助費用のローカルコスト負担ができないということで、追加的に借款で補填してもらえないかという要請がでているようで、これは自民党の外交部会でも先週取り上げられたようだが、外務省経済協力局の対応如何。

(報道官)円借款についてご指摘のような問題が生じつつあることは事実であると思う。そうしたことに対し何か手当をする道があり得るのかどうかということについても、検討は行われているものと思うが、それ以上今の時点で詳細に申し上げることは承知していない。

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・ カンボジア問題

(問)カンボジアでクメールルージュの動きがまた活発になったという報道があるようであり、要地を占領したとのクメールルージュ側の発表があるようだが、状況如何。

(報道官)カンボジア北部の動きについてはいろいろな報道というか情報があるが、先ず3月26日にカンボジア北部、拠点はアンロンヴェーンというところであるが、クメールルージュが3000から4000人と推定されており、その兵士約1500人と一般市民約4000人がポル・ポト指導部から分離したという旨発表され、その時点でカンボジアがこの動きを歓迎する、またアンロンヴェーンを制圧したと発表したということである。他方、その時にクメールルージュの地下放送がそうした事実を否定したということで、その後いろいろな情報があるようである。いずれにせよ、クメールルージュの一部から投降兵が出ているようで、数百名単位ということが言われているようであるが、完全に強硬派クメールルージュが投降したとの確認は取れていないという状況だと承知している。

(問)この動きが今進められている選挙に向けての準備作業や政治的状況への影響如何。

(報道官)昨年7月の事変以来、ラナリット殿下がクメールルージュと連携してきたといわれている。それは事実であるし、わが方の4項目の中でもラナリット殿下とクメールルージュとの軍事的協力関係を絶つということが入っているわけであるが、前述したクメールルージュ強硬派からの投降者発生と、例えばラナリット殿下帰国ということの間に何か因果関係があるのかどうかということについて、今回のラナリット殿下が帰国を断行したことによりクメールルージュの内部に混乱が引き起こされたともみられるが、詳細についてはそれ以上はっきりしないということだと思う。

(問)旧フンシンペック党系軍の王国軍への復帰は進んでいるのか。

(報道官)詳細な事実は把握していない。

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