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記者会見

報道官会見記録(平成10年3月)


INDEX


3月31日(火)の記者会見は中止。



・報道官会見記録(3月27日付)
 ・カンボディア情勢(ラナリット殿下の帰国問題)
 ・日露次官級協議



・報道官会見記録(3月24日付)
 ・ 「ケシ代替開発に関する麻薬セミナー」の開催
 ・ロシア内閣総辞職関連
 ・インドネシア問題



・報道官会見記録(3月20日付)
 ・ 第3回日本・中米対話と協力フォーラムの開催
 ・平成9年度中東和平支援セミナーの開催
 ・日韓外相会談
 ・カンボディア情勢



・報道官会見記録(3月17日付)
 ・ 中・東欧投資促進セミナーの開催
 ・ウェステンドルプ上級代表の訪日
 ・インドネシア問題経済
 ・日韓外相会談



・報道官会見記録(3月13日付)
 ・ 「東アジア経済危機対策会合」の開催について
 ・北朝鮮の軍事演習について
 ・米大統領の訪中等について
 ・エリツィン露大統領の急病について
 ・インドネシア問題の関連



・報道官会見記録(3月10日付)
 ・インドネシア問題について
 ・イラク問題について



・報道官会見記録(3月6日付)
 ・コソヴォ情勢
 ・「2001年国際ボランティア年決定記念
  セミナー」の開催

 ・対インドネシア医療支援等
 ・日本の景気対策
 ・イラク関連
 ・対ミャンマー円借款関連



・報道官会見記録(3月3日付)
 ・キューバによる政治犯等を含む囚人の釈放
 ・コソヴォ情勢
 ・ロシア連邦政府職員に対する研修の実施
 ・イラク(安保理決議案)



報道官会見要旨 (平成10年3月27日(金)18:15~ 於 会見室)

・ カンボディア情勢(ラナリット殿下の帰国問題)

(問)カンボディアのラナリット殿下の帰国につき、本日、同殿下は太田大使と話をしたのか。

(報道官)本日午前、太田大使がラナリット殿下と会う機会があったようであり、その時にラナリット殿下は「予定どおり3月30日に帰国するつもりである」との趣旨のことを述べたと聞いている。

(問)それは数日間の滞在か。

(報道官)今回は短期間という報道もあったと承知しているが、何日間と述べられたか詳細はまだ聞いていない。

(問)これにより、ラナリット殿下の選挙参加、7月の選挙への足どりは確かなものになったと考えてよいか。

(報道官)なりつつある、というふうに言った方がより正確と考える。
 なお、日本が他の諸国と協力しつつ提案してきた4項目があるが、停戦については、それぞれの側が停戦を宣言し、かなり戦闘は終わっているようだが、まだ一部で小競り合い的なものはあるようであり、きちんとした停戦合意を行う必要はあると考えられる。ラナリット殿下の裁判が2回行われ、その結果恩赦を基としてラナリット殿下が3月30日に帰国するということを言っているが、帰国にあたり、同殿下の安全を確保するということで、カンボディア政府が安全を保証し、国連もその他の反対派政治家の帰国の際と同様に、ラナリット殿下の安全が保証される状況をモニターするということを言っているので、そういうことが必要である。しばらく前に比べて事態は改善しつつあると思うが、まだいくつかやっていくことがあると考えており、引き続き7月に自由かつ公正な選挙が行われるように関係者、また関係国とも連絡をとりつつ努力して参りたい。

(問)まだいくつかやっていくべきことがあるとは、例えば何か。

(報道官)例えば、申し上げたとおり、停戦をきちっとすることが必要になると思う。それから、ラナリット殿下の安全の確保ということをカンボディア政府が保証するということと、国連がそれをモニターすることによって、ラナリット殿下の安全というものが確保されることもある。その他、日本が提案した4項目を細かく見ていくと、必ずしも出来ているといえない点がいろいろあり、その詳細について更に詰めていく必要はある。

(問)以前の会見で、選挙の事務を民間会社に委託することについて、関係国と協議の上申し入れようとの話があったが、この点につき現状如何。

(報道官)わが国のみならず、いくつかの国から、カンボディア政府に問い合わせを行っている。わが国も先週金曜日であったと思うが、カンボディアの斎藤大使より照会した。本件はカンボディア政府の内部の問題とも考えられるが、国際社会が非常に関心を持っていることでもあり、これまで(選挙の実施に向け)カンボディア政府と緊密に協議をしてきたので、しかるべき相談をしてほしかったということ、また本件は、進展次第によっては国際社会のカンボディア政府に対する信頼にもかかわる、との問題提起を行った。それからその他の国も、具体的な日時は手元にはないが、わが国が照会したのと前後して、カンボディア側に同様の提起を行ったと承知している。現在カンボディア側のこれらの問題提起に対する反応を見ている。

(問)斎藤大使からの照会により、何らかの申し入れを行ったということになるのか。

(報道官)然り。確かこれは20日に行われたと承知している。

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・ 日露次官級協議

(問)昨日の日露次官級協議の評価如何。

(報道官)昨日、平和条約締結問題日露合同委員会の次官級分科会が行われ、その後短時間ではあるが大臣へのカラーシン外務次官の表敬があった。分科会には、丹波外務審議官とカラーシン外務次官の他に少人数の双方の外務省の関係者が参加して友好的な雰囲気の下で協議が行われたと承知している。今回、双方はこれまでに平和条約作業部会を含め、日ソ、日露間で行われてきた平和条約交渉の過程で蓄積された諸要素を踏まえて、平和条約に関するクラスノヤルスク合意を前進させるために、平和条約のあり得べき内容についても協議を行った。また4月の日露首脳会談に向けて、その首脳会談の進め方、橋本・エリツィンプランの進捗状況、防衛交流、今後の日露間の政治日程、その他の実務案件についても話し合いが行われた。またこの協議を通じて、カラーシン外務次官の方から、最近のロシア国内の政局に関わらず、エリツィン大統領は予定どおり訪日するという固い決意であるという旨の発言があったと聞いている。平和条約締結交渉についての双方の立場が表明され、それを通じて交渉当事者間の理解は深められたと承知している。ただし、この平和条約締結交渉自体の中身については、ロシア側との了解もあり、申し上げるのは差し控えたい。

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報道官会見要旨 (平成10年3月24日(火)17:00~ 於 会見室)

・ 「ケシ代替開発に関する麻薬セミナー」の開催

(報道官)「ケシ代替開発に関する麻薬セミナー」は3月31日及び4月1日、ミャンマーの首都ヤンゴンで、我が国政府、ミャンマー政府、国連麻薬統制計画(UNDCP)の共催で開催される。この背景を申し上げると、ミャンマー、タイ、ラオス3カ国を中心とする、いわゆる黄金の三角地帯と称される地帯は、世界有数のケシ栽培による麻薬生産地である。この地における麻薬生産の問題というのは、ミャンマーにとって非常に重大な問題であるばかりでなく、周辺のASEAN諸国あるいは同盟諸国等にとっても共通の関心事である。わが国としてもこの問題にミャンマーが取り組んでいく努力を助けるという観点から、既にKR(ケネディ・ラウンド)の援助の枠組みの下で、食糧増産の無償援助を96年に10億円出しており、これは農業機械及び肥料であるが、更に今回この関係国と一緒になり、こういうセミナーを開催してこの問題を話し合おうということである。もう1つの要素は、本年6月に国連麻薬特別会期が予定されているところ、この国連麻薬特別会期ということも含めて、東南アジアにおける麻薬撲滅事業への国際社会の関心を高めるとともに、この地域の麻薬問題に対する我が国のイニシアチブの一例として、こういうセミナーを開催しようというわけである。このセミナーには、我が国からは外務省アジア局の樽井参事官が出席して共同議長を務め、その他ASEAN各国、カンボディア、中国、米国、英国、仏、独、イタリア、オーストラリア、インド、バングラデシュの参加を予定しているほか、ミャンマーに大使館・事務所を有する各国及び国際機関等もオブザーバーとして参加することが予定されている。

(問)他の2つの国においてはこの問題はかなり解決していて、ミャンマーだけ残っているということで、このシンポジウムをミャンマーで開くのか。

(報道官)他の2つの国の具体的な状況がどうなっているかというのは、自分(報道官)は、必ずしも詳らかにしていない。ミャンマーにおける問題というのが大変重大な問題であるし、それからミャンマーということを考えた場合に、ミャンマーの抱える問題は他にも民主化の進展、人権状況の改善というのもあるわけで、それについても関心を有しているわけだが、このミャンマーが国際社会で行動していくにあたって、この麻薬問題というのも1つの重要な要素であるわけだから、そういう麻薬を巡る状況を改善していくということの必要性は、ミャンマー政府のみならず先程申し上げたような欧米諸国とかASEAN諸国とも共通の関心事であるということで、そういう国々と一緒にこの問題を考えようということを考えたわけである。

(問)米国政府がミャンマー政府に対して、この麻薬の販売金をもって自国の財源に当てていると強力な非難をしていました。そういったことも考慮にあるのか。

(報道官)米国政府も正にこの問題に関心を持っているわけであり、米国政府も確かミャンマーの代替作物の育成支援ということについては、今回の私どものセミナーを一緒に開催するUNDCPのプログラムに貢献している。こういうUNDCPへの貢献という道を通じるか、あるいは自分(報道官)が申し上げたようなケネディ・ラウンドの援助を通じての貢献、あるいは今回のようなセミナーを通じての貢献と、いろいろな貢献の仕方はあると思うが、基本的には同じ方向を向いた協力だと考えて結構と思う。

(問)肝心のミャンマー政府は、今回のセミナーにはどの程度、積極的な対応なのか。

(報道官)ミャンマー政府と共催で開催するということであるのだから、真剣に取り組んでいると考えて頂いてよろしいと思う。

(問)今度の会議の機会に、もう一度食糧援助あるいは麻薬からの代替作物を奨励するための援助を表明する用意はあるのか。

(報道官)今度の会議の機会になるかどうかというタイミングの点は自分(報道官)は必ずしも定かではないが、食糧援助の可能性というのは検討の対象になり得るものと考える。今回のセミナーとタイミングを合わせてということとなるかどうかということは自分 (報道官)は承知していない。

(問)前回、空港への円借款の供与の時に、国会議員に対するビザの供与、アウン・サン・スーチー女史との対話の問題といった要請をしたわけですが、これに対するミャンマー政府の本国からの回答は来ているのか。

(報道官)ご指摘のような点について、随時ミャンマー政府に対して申し入れはしてきている。空港への円借款の一部凍結解除ということと、今のような問題も含めて、ミャンマー政府に話をしていたし、それから正に空港の借款の一部凍結を解除するということを高村政務次官からミャンマーの在京大使館に申し入れた時にも、今のような点についての申し入れをしたというふうに聞いている。

(問)それに対する返答はあったのでしょうか。

(報道官)具体的にどのような返答があったかということは、自分(報道官)は情報を持っていない。

(問)今度の麻薬の会議をするに当たって、ミャンマー政府は既に拘束している、麻薬王と言われているクン・サーの処遇についてどういう説明をしているのか。

(報道官)その点は後ほど回答させて頂く。

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・ ロシア内閣総辞職関連

(問)昨日のロシアの変事について、ロシア政府から日本政府に特に説明めいたこと、あるいは公式な話はあったか。

(報道官)今回の人事について、外交上影響があるのか否か、あるいは日露関係について何か影響があり得るのか否かという点については、まず23日のエリツィン大統領のテレビ演説において、「政府の総辞職は、われわれの政策の変更を意味しない」ということを明らかにしているし、プリマコフ外相も「政府の総辞職はロシアの外交政策の変更とは何ら関係ない」ということを言っている。それからエリツィン大統領の訪日自体については23日、ヤストルジェムスキー大統領報道官が「新政府はエリツィン大統領の訪日までに決まり、訪日日程に変わりはない」というふうに述べているわけなので、我が方としても大統領の訪日が変更なく行われることを期待している次第である。今モスクワでいろいろと政府が変わるという、流動的な状況であるので、いろいろ現象、状況というのを把握しているところだと思うが、今は自分(報道官)が申し上げられることは以上である。

(問)カラシン次官は、ハイ・レベル事務協議には来られるのか。

(報道官)26日に正に次官級協議があるわけだが、その予定に変更はないというふうに聞いている。

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・ インドネシア問題

(問)インドネシア政府の新チームの経済政策をどのように見ているか。

(報道官)ハビビ副大統領が来日し、いろいろな関係者と話しをした。そのなかで、日本の方から改めてわが方の立場を伝えたわけである。即ち、橋本総理に対してスハルト大統領が言われた「一度結んだ約束は必ず守る」ということ、要するにそういうことも踏まえてIMFと新しい経済チームとの協議が早急に妥結することを期待している、ということをもう一度伝えたわけである。ハビビ副大統領の方からは、インドネシアとしてもIMFとの話し合いを円滑に進めていきたいし、IMFも弾力的な対応で交渉に臨むようになっているし、インドネシアとしても早期の妥結が得られるよう弾力的に対応していきたい、という話があった。まだIMFとの話は現地において続いていると理解しているが、まあ順調に進んでいるということのようである。以上のようなやり取りを通じて、私どもの関心というのを改めて伝えることができたということであるし、今回の新しい政府において、ハビビ副大統領はいろいろ重要な役割を担い、対外的な関係でも重要な役割を担っているハビビ副大統領が訪日し、経済ということで言えば、日本との関係の深いギナンジャール調整大臣が居るわけであり、こういう新しいチームとの意思疎通という面で、かなり密度の濃い話し合いというのはハビビ副大統領の訪日を通じて行われたと思う、今後ともそういう話し合いを通じつつ、一緒に協力していきたいと思っている。

(問)特にファミリー企業の改善ということも指摘されている問題で、この手順の状況はどうなのか。

(報道官)いろいろ問題があるかと思うが、インドネシアの新政府が発足してからまだ旬日を経ていないので、いろいろな話し合いを通じて、お互いの関心事を伝え合っているというか、私どもの関心事も伝えているということで、その間、IMFとの話し合いも進行しているわけであり、私どもとしてはどういう話し合いを通じて、事態がどういうふうに動いていくかということを引き続き関心を持って見ていくということである。

(問)復習というか確認というか、このファミリー企業については、インドネシア側は今後、どういうことができるのか。

(報道官)今までインドネシア側との話で出てきているのは、IMFの示唆している改革、一般的に改革を進めていくことが必要であるということはもちろんのこと、物によってはそのまま実施するのが難しいという点もあるので、IMFにも弾力的な態度で臨んでほしいし、インドネシアとしても弾力的に対応していきたいということである。具体的にIMFとインドネシアの交渉の中身がどうなっているかということについては、まだ話し合いは進行中であり、その個々の問題について私どもは必ずしも交渉当事者ではないので、それについてのコメントするのは差し控えたい。

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報道官会見要旨 (平成10年3月20日(金)17:00~ 於 会見室)

・ 第3回日本・中米対話と協力フォーラムの開催

(報道官)第3回日本・中米対話と協力フォーラムを3月26日、エル・サルバドルの首都サン・サルバドルで開催する。わが方からは田中外務省中南米局長他、中米からは、中米5カ国即ちエル・サルバドル、グアテマラ、ホンデュラス、ニカラグア及びコスタリカの外務次官が出席することとなっている。この日本・中米対話と協力フォーラムがどういう経緯でできたかを申し上げると、中米地域にてはグアテマラ、ニカラグア及びエルサルバドルで内戦が続いていたところ、1990年代に入って、ニカラグアが90年、エルサルバドルが92年、グアテマラが96年とそれぞれ内戦が終結し、平和が達成された。かかる状況の下で中米諸国も平和と民主主義の定着、経済復興と発展が重要課題となってきた。こういう状況の下に、中米諸国として、国際社会との対話を更に強化する素地が整ったと判断し、我が国との定期協議の場を設けたいという希望が出てきたことを背景として、1995年9月の第50回国連総会の際の日本・中米外相会談において、日本・中米対話と協力フォーラムの設置が合意され、それ以来、95年11月にエル・サルバドルで第1回フォーラムが、96年7月に東京で第2回フォーラムが開催された。この際にはわが方から池田外務大臣が、中米側からも外務大臣等が出席しした。今回の第3回フォーラムでは、日本・中米間の相互理解の増進を目的に、アジア情勢、中南米情勢や、国際機関における協力、日・中米経済関係、日本の中米に対する経済協力等について意見交換を行うこととなっている。

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・ 平成9年度中東和平支援セミナーの開催

(報道官)我が国の中東和平支援の一環として、この中東和平支援セミナーという形の研修を行う。具体的には、3月22日から4月5日まで淡水化技術、3月30日から4月30日までが観光というテーマでそれぞれ実施することとなっており、中東地域から研修生が招請され、参加することになっている。
 背景を申し上げると、1991年10月にマドリッド会議が行われ、その枠組みの下で、パレスチナ、シリア、レバノンそれぞれの和平交渉が始まったが、92年の1月にはモスクワで多国間協議が始まった。これは平和のために資する環境を作るためのいろいろな努力をするという場として、多国間協議というものが始まった。日本はアメリカ、ロシア、カナダ、EUとともに、この多国間協議の共同議長を務めてきており、特に環境作業グループの議長、経済開発水資源作業グループの副議長を務めてきた。いろいろ活動を行ってきているが、本体の和平交渉の方がなかなか進まないということもあって、この多国間協議もこの2年間ぐらいあまり活発な状況ではないが、かかる状況の下で、こういう活動のモメンタムをなるべく維持していこうという観点から、私どもはその中東和平プロセスの多国間協議に対する支援活動の一環として、今回のセミナーのような研修を実施してきているわけである。

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・ 日韓外相会談

(問)小渕大臣が明日から訪韓されるわけだが、韓国側としては小渕大臣を歓迎する意向を示しながら、報道によれば、従軍慰安婦問題について日本政府は犠牲者、つまり元慰安婦の方々に補償すべきだという見解を公式に示したと伝えられている。これは韓国政府の姿勢を大きく変えるものだが、これについての外務省の立場如何。

(報道官)御指摘の報道は承知している。この報道について我々は韓国側に確認をしたところ、朴定洙(パク・チョンス)長官の発言の趣旨は「日本政府が自らこの問題について、人権の次元において厚意を示してほしい」との内容であって、韓国側は本件につき立場を変更したということはないとのことであった。いずれにせよ、日本政府としては、いわゆる従軍慰安婦問題は、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとの認識の下で、心からのお詫びと反省の気持ちを表明してきており、そのような認識の下で、政府としては今後とも、元慰安婦の方々に国民的な償いの気持ちを行うこと等を目的として設立された「アジア女性基金」が所期の目的を達成できるように最大限の協力を行っていく考えである。

(問)外務省としても韓国政府の従来のこの問題についての発言等から考えて、姿勢は変わっていないと理解しているということか。

(報道官)然り。実際に韓国政府に確認したのに対して、先程申し上げたような回答があったわけであり、韓国側が本件につき立場を変更したということはないと考えている。その場合の立場というものは、前にも申し上げたことがあるかと思うが、韓国側はこの問題について「政府レベルで賠償を求めることはしないが、個人の関係では被害者が希望するラインで解決できるよう、日本の対応を期待する」というものである。今回報じられた朴長官の発言の趣旨も、いま申し上げたようなラインを超えるものではないという説明があった。

(問)これはあくまで朴長官の希望的な発言というか、朴長官がここまでやってほしいということを発言したものではないかと考えるが如何。

(報道官)自分(報道官)が申し上げているのは、報道された朴長官の発言の趣旨について韓国政府に照会したのに対して、いま申し上げたような回答があったということである。

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・ カンボディア情勢

(問)カンボディア情勢に関し、2日ほど前に、カンボディア西部でラナリット殿下の影響下にある部隊が政府軍と銃火を交えたとして、これがラナリット殿下の帰国にも影響を及ぼすのではないかという報道があったが、これについての見解如何。

(報道官)我々としては、いわゆる4項目案に沿って、7月にカンボディアの自由かつ公正な選挙が実施に至るように、「フレンズ・オブ・カンボディア」の諸国、即ちASEAN諸国やあるいはアメリカ、フランス、オーストラリア等の諸国と、いわば国際社会と一体となって努力をしてきているわけであるし、数カ月前に比べると、いくつかの要素は出てきている。その一端として、それぞれの側による停戦の宣言というものもあったわけであるし、先般のラナリット殿下の1回目の裁判が行われ、昨日は2つ目の容疑についての裁判の結果が出たわけである。一部には報道されたようなこともあるが、我々としては日本が考えているだけでなく、他の関係国も一致して希望しているこの4項目のシナリオに基づき、事態が進展していくことを引き続き希望している次第であり、そのために関係国、国際社会と協調しつつ、引き続き外交的努力を行っていきたいと考えている。

(問)戦闘再開に関する情報は有しているか。

(報道官)どの程度の戦闘が行われているかということはなかなか確認が難しい。双方が停戦を宣言したが、それがなかなか定着するに至るまでは紆余曲折があり、かかる状況の下で私どもとしては早く停戦が定着して、その後の先程申し上げたような4項目の下でのステップがとられていくことを引き続き希望している。

(問)シアヌーク国王が4項目提案を批判したとも言われているが、事前にシアヌーク国王への根回しというか、了解を取り付けるということは行わなかったのか。

(報道官)いろいろな形でシアヌーク国王との連絡はしていると思うが、シアヌーク国王のインタビューにおける発言については、我々としてはシアヌーク国王の意向を忖度する立場にはなく、今回伝えられている発言自体についてコメントすることは差し控えたいと思う。ただ我々としては、7月のカンボディアの自由かつ公正な選挙実施に向け、カンボディアの関係当事者が当面の政治的問題を解決する一助として、4項目案を作成して国際社会と協力、協調して努力してきているわけであり、このような国際社会の努力が成果を上げるためには、カンボディアの関係当事者自身の努力も必要と考えている。シアヌーク国王自身に対しては、シアヌーク国王がカンボディア国民統合の象徴として引き続き影響力を行使されることを期待している。

(問)シアヌーク国王はいま言われた関係当事者の一人ではないのか。

(報道官)関係当事者と言うかどうかは別として、同国王は、カンボディア国民統合の象徴として、影響力を行使され得る存在にあるわけで、シアヌーク国王がそういうお立場から影響力を引き続き行使されることを期待している次第である。

(問)シアヌーク国王に対する連絡はきちんとしてあったのか。

(報道官)シアヌーク国王自身もこの4項目というものがどういうものであるかということはよくご存じだと思う。

(問)カンボディア政府が民間の会社と選挙実施の事務について契約を結んだように伝えられているが、これは先程言われた国際社会の選挙を支えていこうという合意の中で、そういう援助は得られないような形でも選挙を強行しようととれるような動きである訳だが、これに対する日本政府の立場如何。

(報道官)今月の6日に、カンボディア政府がアルゼンチン系の企業と選挙事務委託の合意書に署名したと承知している。これは基本的にはカンボディア政府内部の問題とも考えられるが、これまで今年7月に自由かつ公正な選挙を実施するという目標に向けて、わが国を含む国際社会がカンボディア政府と緊密に協議を行ってきているわけであり、今回の合意書署名に当たり、事前にしかるべき説明がなかったことについては遺憾であると考えている。また正に我が国を含む国際社会のメンバーとしては、今後カンボディアの選挙を支援していこうとしているわけであるので、かかる国際社会のカンボディア政府に対する信頼にもかかわる問題と考えている。従って、政府としては関係諸国とも協議しつつ、カンボディア政府に対し今回の件については必要な申し入れを行っていきたいと考えている。

(問)それは「フレンズ・オブ・カンボディア」の諸国と協議の上で申し入れを行っているのか。

(報道官)協議をしつつ申し入れを行っていきたいと考える。

(問)申し入れはもっと早期に行うべきではないのか。

(報道官)一方では事実関係の確認ということもあり、国際社会の関係国が一体となって努力しているわけで、申し入れを行うということであれば、関係国とも連携をとりつつやっていく必要があると思う。なお、申し入れには時間がかかるのではないかとのご主旨であれば、そう時間はかからないと思う。

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報道官会見要旨 (平成10年3月17日(火)17:00~ 於 会見室)

・ 中・東欧投資促進セミナーの開催

(報道官)「中・東欧投資促進セミナー」が、我が国政府の主催により、3月24日(火)及び25日(水)の両日ウィーンに於いて開催される。このセミナーには、中・東欧諸国、すなわちポーランド、チェコ、ハンガリー、スロヴァキア、ルーマニア、ブルガリア及びスロヴェニア、また中・東欧諸国ではないがリトアニアから、投資関係省庁で実務を担当しているシニアなクラスの方、すなわち次官・局長クラスが出席する予定である。また、これらの国々で実際に事業を展開している日本企業の方々、即ち社長クラスの方々、並びに、EBRD及びEUからも中・東欧及びバルト諸国の投資環境・経済情勢等に関して専門的知見を有する関係者が出席する予定である。即ち中東欧諸国の投資等を扱っている官庁の方々、これらの国々で実際に仕事をしている日本の企業の方々、そして国際機関として欧州連合の関係者が出席するということである。また、オブザーバーとしてだが、オーストリア政府及びオーストラリア政府関係者が参加を予定している。
 若干、背景を説明すると、昨年10月上旬に経団連のミッションとして、豊田会長、樋口副会長、那須副会長の3人が手分けをして中東欧を訪問した。その後そのフォローアップとして、中東欧の国々の様々な情勢等について経団連の方々に情報を提供するということを進めてきたが、その後、それに繋がるものとして、日本の企業の方々及び日本企業が進出しておられる国々の投資関係の官庁の方々との間で、直面する諸問題について率直な意見交換を行える場を提供しようというのが今回の発想である。

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・ ウェステンドルプ上級代表の訪日

(報道官)ボスニア問題に関するウェステンドルプ上級代表は、3月21日訪日し、25日、日本を出発することとなった。ボスニア問題は、欧米を始めとする世界各国が注目する重要な問題である。このボスニア問題についての民生面での和平履行の調整に当たっているのがウェステンドルプ上級代表である。前任者がスウェーデンのビルト氏であったが、ウェステンドルプ上級代表はその後任に当たっている。
 ウェステンドルプ上級代表は、1995年12月から96年5月までスペインの外務大臣を務め、その後国連の常駐代表を務められて、97年の6月から現職に就いている。
 今回のウェステンドルプ上級代表の訪日については、一つには、ウエステンドルブ上級代表との種々の意見交換を通じて、我が国自身のボスニアの民生面での安定化についての貢献につき、同代表に正しく理解して貰うというのが一つの目的である。ボスニアの復旧・復興支援への我が国の貢献として、96年から99年までの4年間で無償・有償合わせて5億ドル程度を考えているが、それ以外に人道・難民支援であるとか、選挙の際の人的貢献等を行ってきているわけである。そのような現状について同代表に正しく理解していただくという事である。第二には、今後も我々としてボスニアに対する民生面での貢献をしていきたいという意思を伝えるということである。第三には、ボスニアの今後の情勢とか、今後の協力の可能性について意見交換をするということである。従って、滞在中は外務省関係者、柳井次官、及び国会等の関係もあるが、外務大臣、政務次官等との会談をセットすべく努力しているところである。その他、日本記者クラブに行かれたり、日光に旅行されるといった日程を検討している。

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・ インドネシア問題経済

(問)インドネシアのハビビ副大統領が明日、訪日するが、日程及び一連の会談における内容如何。

(報道官)ハビビ副大統領の日程は未だ種々調整中である。因みに、ハビビ副大統領は18日から21日まで訪日するが、ラメラン研究技術大臣(これはハビビ副大統領が前に担当していたポストである)が随行する。日程は先程自分(報道官)が確認した範囲では、具体的な日時は確定していないが、総理を表敬することとなっている。小渕大臣とも会い、場合によっては食事を共にすることもあり得る。また、国会等の関係はあるかも知れないが、大蔵大臣、通産大臣、農水大臣といった関係大臣との会談をセットしようとしていると承知している。
 橋本総理がこの週末ジャカルタを訪問した際に、自民党、社民党、さきがけの政調会長が同行し、ジャカルタでこの3政調会長がハビビ副大統領とも会ったわけだが、これら政調会長との会談もいまアレンジすべく努力している。その他、経団連及び金融関係者等、あるいは先程触れた政調会長の方々以外の議員との会談をセットしようと努力しているところであると承知している。
 会談の内容についてであるが、この週末に橋本総理とスハルト大統領がテ・タ・テでほぼ2時間半近く話し合ったわけだが、それを踏まえて日本としてインドネシアの今の困難な状況についてどのような支援をすることができるかという問題がある。ジャカルタにおいて、橋本総理の方からも、例えば日本としてインドネシア国民のために医薬品などの供与や食糧支援、貿易保険の引き受けなどを行うということを発言したわけだが、そのうち例えば医薬品などの供与ということからいえば、10億円の無償協力が既に始まっており、昨日の夕方に透析用機器などの第1便がジャカルタの空港に着いたと承知している。総理はスハルト大統領に対してこの10億円の支援はこれから順次届いていくが、他に20億円から30億円の、例えば医薬品やあるいは子供用の粉ミルク等、インドネシアがいま緊急に必要としている物を供与したいがどんな物がいいかインドネシア側の要望を聞きたいということを発言しているところ、そのフォローアップもあり得るかと思う。食糧支援も検討しているが、例えばコメの支援を実施する場合にいくつかの方式が考えられるかと思うが、それぞれの方式をとった場合にどうなるかとか、それぞれの方式の利害得失というようなことも話し合う必要があると思う。また、ルピアの価値を安定させるためどういう方式が考えられるかというような問題も双方の関心事であり、このような問題が取り上げられるのではないかと考えるか。

(問)今までインドネシアの副大統領と首相あるいは外務大臣が会われたことはなかったのではないかと思うが、ハビビ副大統領の役割として、これまでの副大統領とどのような違いがあると考えるか。

(報道官)今まで副大統領と日本の総理が会われたことがあるかどうか今手元の資料でははっきりしたものはないが、インドネシアの新しい政権の下でハビビ副大統領はかなりいろいろな任務を負われていることは確かである。インドネシアの新内閣の下で、経済政策の調整やあるいは政治、安全保障の調整等、それぞれの調整大臣がおられるわけだが、その上にさらにハビビ副大統領がおられて、経済問題の総括、今インドネシアの直面しているいろいろな難しい問題についての対策の総括というような任務が与えられており、また、国際的な面で種々の会議等(大統領が高齢だということもあるかと思うが)にハビビ副大統領が出ていかれるということも考えておられるようである。そういう意味で相当守備範囲が広い立場におられると承知しており、かかる立場を踏まえての話し合いになると思われる。これまでのインドネシアの政府の副大統領の方々とは、そういう意味で役割が違うというか、広がってきていると言ってもよいのではないかと思う。

(問)柳井外務次官は以前、記者会見でインドネシアの新内閣の経済チームに注目していると言われたが、新内閣の特に経済チームについて外務省として今現在、どのような評価をしているか。

(報道官)基本的に新しいチームと協力して、インドネシアの現在の厳しい経済状況を克服していくため、我が国として支援をしていきたいと考えているわけであるが、日本との関係ということで申し上げれば、ギナンジャール経済問題調整大臣は、空軍の軍人であるとともに、経済面での専門家でもあり、かつ、日本に留学経験を持っておられる方である。このような方が経済問題の調整の任務に当たられるということもあるので、協力していきたいというふうに考えている。それ以上に現在の新しいインドネシアの内閣について、個々の閣僚についてこれがどういう方であるといったコメントを申し上げることは必ずしも適切ではないのではないと思う。

(問)外務省が期待している強力な経済チームというのは、例えばどういった問題に対するチームを想定しているか。

(報道官)期待というか、新しいチームに注目していると申し上げる場合には、今回、橋本総理がインドネシアに行かれてスハルト大統領にも言われたことだが、インドネシアが国際的ルールというか、インドネシアとか日本が一緒に参画して作り上げてきた国際ルールに基づいて国際社会と協調、協力していくことが重要であると考えられ、そういう考え方の下に、改革を進めていくことが重要であるということであるので、そういう改革を進めていくに当たって、この新しいチームとも協力していきたいと考えている。

(問)オルブライト国務長官と小渕大臣が電話で会談し、オルブライト長官の方から今回の橋本総理のジャカルタ行きを評価するという表明がなされたようだが、こうした一連の動きを見ていると、あたかもわが国が今後インドネシアの国際機関(IMF)との合意の遵守に日本が責任を持つ、日本が積極的に今後インドネシアの世話というか、かかる責任を引き受けるというようなイメージが持たれているのではないか。

(報道官)必ずしもそうではないと思う。オルブライト国務長官の今朝の小渕大臣との電話での際には、オルブライト国務長官の方から、現在のインドネシア情勢に重大な懸念を有しており、この観点から総理のインドネシア訪問を高く評価するということを言われたようであるが、「評価する」という意味は、総理が今回の訪問の際に日本がインドネシアを支援するという立場を明示されたこと、それからIMFとの約束の重要性を明らかにされたということを評価しているということだったと理解している。橋本総理が急拠インドネシアまで行かれたのは、やはり長年のインドネシアの友人として、インドネシアがいま非常に困難な立場に立っており、その困難な立場に立っておられるスハルト大統領と、直接じっくりと話し合われて今後どうしたらいいかということを相談したいという気持ちから行かれたということであり、その話し合いの結果出てきたメッセージが、先程申し上げたように日本とインドネシアが共に参画し、また作り上げてきた国際的ルールに基づいて、国際社会との協調、協力の下でいろいろ改革を進めていく必要があるということであるので、その呼びかけというのは、日本とインドネシアの2国だけに限られるものではなく、他の関係国あるいは広く国際社会に向けられているものであり、かかる意味から申し上げれば、日本が責任を全部自ら引き受けているということではないと考える。

(問)スハルト大統領はこの間の総理との会談の中で「国際社会が弾力的に対応するなら私自身も弾力的な対応を考えたい」というふうに一方的に言ったという形になっているが、これを日本政府はどのような形で支えようとしているか。

(報道官)スハルト大統領は今指摘されたことを言われる前に、橋本総理の方から「インドネシアが現在直面している経済的な困難を深く憂慮し、スハルト大統領が今回の難局を克服するに当たり、勇気ある選択を行うことを期待する」ということを言われたわけである。それに対してスハルト大統領の方から「同感である。国際社会も弾力的にやってほしいし、自分も弾力的になる用意がある」というふうに言われているわけで、その元となるのは先程来申し上げているように、国際的ルール(これはボゴール宣言とかマニラAPECでのフレームワークとかいうものあるかと思うが)に基づいて国際社会と協力、協調してインドネシアの国内改革を進めていくことが重要であるという認識である。その中でスハルト大統領も「国際社会も弾力的になってほしいし、自分も弾力的になる用意がある」ということが言われているわけで、そこから先は今後のインドネシアと国際社会、正にIMFを含めた国際社会との話し合いの中で、考えていかれることではないかと思う。

(問)アリ・アラタス外相の会見では、先程の総理とスハルト大統領の会談で、50項目のIMFの経済改革を完全に実施するのは困難だという認識で一致したという説明だが、事実か。

(報道官)50項目のうち何項目という話まで橋本総理とスハルト大統領の間で、かかる細かい取り上げ方があったかどうかというのは自分(報道官)は必ずしも詳らかにしていない。この改革のプログラムの中でかなりの部分は実施できるが、いくつかの難しいものがあるという話がハビビ副大統領かギナンジャール大臣から、総理との会談ではなく、与党政調会長等と会談をされた方からあったというような報道には接している。全部が全部を実施することは難しいかもしれないという発言はあったかと思うが、それは改革をしないということではないし、さらにスハルト大統領自身、橋本総理に対してIMFとの約束のみならず、インドネシアは約束したことは守るということを言われたわけであり、基本的にはIMFとの合意に基づいて改革を進めていこうという決意が表明されたものと思う。その実施面において、種々IMFと話し合っていくということはあり得ると思う。

(問)かかる面を日本政府としても助けていくということか。

(報道官)助けていくというか、IMFとインドネシアとの間で行われるべき話し合いの中で日本政府が介入していくのは適当ではないのかも知れない。しかしIMFとインドネシアとの間の話し合いが円滑に進んでいくことを我々も期待しているわけであるし、かかる観点から我々の関心の所在をしかるべき形でその当事者に伝えていくということはあり得るかと思う。 

(問)日本が弾力的にやるようにIMFに対してこれから言うことになるのか。

(報道官)弾力的にというか、どういう言い方になるかは別として、我々の考え方として、このインドネシアと国際社会が国際的ルールに基づいて協調、協力していくようにしていくことは重要だと思うし、そのためにその当事者にもいろいろ協力してほしいということを何らかの形で伝えることはあり得るかと思う。

(問)経済チームに関しては、一般的にIMFの改革路線を支持していた閣僚たちが首を切られたという評価が一般的になされているが、その点、その経済チームに注目していた外務省はどのように見ているのか。

(報道官)新しい経済チームがこの国際的ルールの下で、インドネシアが国際社会と協調、協力していく方向に努力することを期待している。

(問)選ばれた新しい内閣の経済チームについて、今までとどういう変化があると見ているか。

(報道官)まずインドネシアのどういう閣僚が選ばれるかということは、インドネシア自身が決められることであり、ある意味ではそれはインドネシアの国民が決められることであるというのが第1点である。第2点として、インドネシアが今非常に厳しい問題に直面している時に、国際社会と協調、協力してこれに立ち向かっていくということは非常に重要であると思うし、かかる意味でこの新しい経済チームを含むインドネシアの新しい内閣が国際社会との協調、協力の下に問題に取り組んでいかれることを我が方として期待しているということであり、それ以上にインドネシアの新しい内閣について我々としてその顔触れがいいとか悪いとかいうことを言う立場にはないと考える。

(問)外務省としてはどういう観点から、インドネシアの新しい経済チームに注目しているのか。

(報道官)基本的には改革を進めていくという点であると思う。

(問)評価した結果如何。

(報道官)実際に今回のスハルト大統領と総理との話し合いを通じても、国際的ルールに基づいて国際社会と協調、協力していくことは重要であるという面では、その点について私どもと認識を一緒にされているわけであるし、改革を進めるという決意も明らかにされているわけであるので、我々としてはこのインドネシア政府全体がこのような国際社会の信任を得るための努力をしていくであろうと考えている。

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・ 日韓外相会談

(問)週末に日韓外相会談を行うことは確定したのか。

(報道官)実現の方向で動いていると理解している。国会の承認を得られればという前提であるが、昨日、小渕外務大臣と朴定洙(パク・ジョンス)外交通商部長官と電話会談を行ったわけであるが、韓国の新内閣の発足を受けて、出来るだけ早く両国の政府間の対話を進めていきたいという観点から、国会の承認が得られれば今週末、小渕外務大臣が訪韓して朴長官との間で外相会談を行う方向で韓国との間で調整中である。場所は今朝の大臣の記者会見の時にも言及があったと思うが、ソウルということになると理解している。ソウルに行かれるということであれば、朴長官との外相会談に加えて、場合によっては金大中(キム・デジュン)大統領を表敬するということもあり得るかも知れない。

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・ 中国の首相人事

(問)今日、中国の全人代で朱鎔基氏が新しい首相に選出されたが、これに関する見解如何。

(報道官)朱鎔基総理が選出されたのを受けて、橋本総理からも就任を祝うとともに、近くお会いできることを楽しみにしているという祝電を出されたと理解している。朱鎔基・新総理は、経済運営の面で大変な実績を上げられている方であり、大変有能な指導者と承知しているが、朱鎔基総理との間で引き続き日中関係、日中の協力関係を築き上げていきたいという気持ちを総理も持っておられることと思う。

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報道官会見要旨 (平成10年3月13日(金)18:05~ 於 会見室)

・ 「東アジア経済危機対策会合」の開催について

(報道官)本会合は3月20日、バンコックにおいて開催されるが、これは今後わが国が今回のアジア経済危機に取り組むに当たり、現状を分析し、今後の対応策を検討するために行うものである。
 本年1月に外務省において開催された「平成9年度アジア大洋州地域大使会議」の際に、官民合同会議というか、官側と民間との合同の会議を早急に開催し、こういうことを話し合うべしという提言が行われたのを受けて行うものである。外務省からは、薮中アジア局審議官、渋谷経済局審議官他が出席するとともに、アジア地域8カ国・地域の在外公館幹部が参加する予定である。また、民間からは、経団連に加え、アジア地域に駐在する民間企業の関係者に参加して頂くことになっている。
 今回の会合では、昨年7月以来のアジア通貨・金融危機に焦点を当てて、通貨・金融危機の原因と教訓、現状認識、今後取るべき施策等につき広く官民参加者間で集中的に議論することとしている。なお、アジア地域8カ国・地域と申し上げたのは、インドネシア、韓国、中国、香港、シンガポール、タイ、フィリピン、マレイシアである。

(問)在外公館の幹部というのはどういったレベルの参加を想定しているのか。

(報道官)通常であれば、公使あるいは経済担当ということになると思う。公使或いは参事官レベルの参加となろう。

(問)民間の参加者如何。

(報道官)例えは経団連の角田国際本部副本部長、また、只今申し上げた国、例えばジャカルタのジャパン・クラブの理事長であるとか、バンコック日本人商工会議所会頭他役員の方々、ソウルのジャパン・クラブの理事長その他各地の日本人商工会議所の会頭或いは副会頭・理事というような方々である。

(問)大蔵省からの参加者如何。

(報道官)大蔵省及び通産省に対しても参加を呼びかけたようであるが、(今次会合には)欠席となっている。他方、政府関係機関としては、例えばバンコックのJICAの方、或いは海外経済協力基金の方、日本輸出入銀行の方、あるいはJETROの方、また、ゲスト・スピーカーとして日本輸出入銀行顧問の木下俊彦氏も参加されることとなっている。

(問)(本会合の)主な狙いは、現地の日本企業の声を聞き、各地の現状を把握することか。

(報道官)然り。要すれば官側の中だけで議論するのではなく、それぞれ各国に進出している企業の話を伺い、そういう方々が政府にどういうことを期待しているのか、或いはそれぞれの国において、日頃の経験を通じて(民間として)どのように対応しているのかといったことを伺った上で、今後、政府及び民間としてどういうことをやっていったらいいのかという対応につき討議するというようなことを考えている次第である。

(問)いわゆる日本の在外公館、日系企業が参加するもので、(第三国の)企業関係者とか政府関係者は入れないということか。

(報道官)会議の性格として、各国に進出している日本政府関係者と日本企業の方々で話し合う性質のものだと理解している。

(問)この時期に行うのは、少し遅すぎるのではないかと感じられないか。

(報道官)1月の大使会議で(こういった会合を)早急に開催すべしということが検討されたが、こういう官と民の合同会議というのは、しばしば行われているものではあるも、色々実際のアレンジ等の関係でこの時期になったものだと承知している。

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・ 北朝鮮の軍事演習について

(問)北朝鮮が大規模軍事演習として軍の動員を行いつつあるという報道が伝えられており、また、外国人の入国禁止という情報も存在しているが、右につき外務省に入っている情報如何。

(報道官)そういう報道がされていることは承知している。何か定例の演習であるというような報道もあるが、自分(報道官)は特に異常なことが起きているという情報には接していない。

(問)特に異常なことは起きていないということは、この時期に大規模な軍事演習を行うのは、これまでのいわば慣例であるということなのか。

(報道官)定例の演習という報道があったようであるが、それ以上の事実関係はまだ承知していない。しかしながら、一つ申し上げておかなければいけないのは自分(報道官)は本日は外出していたため、記者会見の数分前に戻ってきたところであり、完全にチェックはできていないかも知れないので、そこは念のためチェックしたいと思う。

(問)当然のことながら、こういった動きが行われているということは、関係各国及び防衛庁とも協議しながら情報を集めていると理解して差し支えなきや。

(報道官)然り。

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・ 米大統領の訪中等について

(問)米国国務省によれば、クリントン米国大統領が6月か7月に中国を訪問する(秋になるかも知れないとの情報もあるが)とのことであり、その際に、我が国にも中国の後に立ち寄るのではないかということをカーター元大統領が発言したとの由であるが、それに関する情報如何。

(報道官)「カ」元大統領が、「ク」大統領が訪日をすることになるのではないかという趣旨の発言をされたということは承知している。ただ、「ク」大統領の中国訪問というのが、今年中ということで言われているが、その訪問時期についてはまだ色々な可能性が取りざたされているようであり、未だに何月ということで正式な決定が下されたとは承知していない。従って、具体的に何月にクリントン大統領が中国に行かれるのかというのは、まだ決まっていないという状況だと思われる。
 また、「ク」大統領が中国を訪問される際に、日本も併せて訪問することになるのかということについては、外務省として米国と具体的な連絡をとっている訳ではない。

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・ エリツィン露大統領の急病について

(問)エリツィン大統領が今日、執務を一旦中止したようであるが、これはどういうふうに報告を受けているのか。

(報道官)自分(報道官)は、まさに官邸から戻ってきたばかりであり、そのまま本会見を開始したものであるので、本件については後刻回答したいと思う。
 (注:会見後(1.13日ロシア大統領報道局が、(1)エリツィン大統領は現在「ゴルキ9」(モスクワ郊外)の別荘にいる。(2)今朝から熱はなかった。(3)急性呼吸器系疾患とは、声のかすれを伴う急性喉頭気管炎である。(4)抗生物質を用いた抗炎症治療が開始された、と発表した。2.本件については、在モスクワ日本大使館より大統領府に事実関係を確認済み。)旨追加説明した。)

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・ インドネシア問題の関連

(問)橋本総理がインドネシアを訪問するが、(その機会に)新たな支援策を提示するのか。

(報道官)スハルト大統領との間でアジアの友人として、今の困難な状況についてじっくりと話をするということであり、その中で日本が今までどういう支援を行ってきたかということ、また、これからどういうことができるかということも話題になると思われるが、新たな支援策により、何か具体的なものになるかどうかというのは、まだ申し上げるのは時期尚早だと思われる。
 また、今回総理が訪問されるが、その後間もなく(まだ具体的な日程等は必ずしも固まっている訳ではないが)、ハビビ副大統領が訪日するという話もあるので、総理とスハルト大統領との話というものがこの週末にあって、その後あまり時を経ずしてハビビ副大統領が訪日するというような一連の話し合いを通じて、仮に具体的な話が出てくるとすれば出てくるということではないかと思う。

(問)ハビビ副大統領の訪日は決定ということで理解してよろしきや。

(報道官)(先方が)非公式に打診をしている状況であるが、まだ具体的な日程が固まっているという訳ではない。ただ、ハビビ副大統領が訪日を希望しているという話は非公式に聞いているところであり、訪日する可能性が高いのではないかという状況だと思う。

(問)総理はジャカルタにおいて、記者会見なり、あるいはインドネシアの国民に向かって何か喋るような、そういう機会は作られるのか。

(報道官)滞在時間の制約もあり、そういう中でどういう形があり得るのかはいま検討中である。

(問)外務省からの随行者如何。

(報道官)外務省からは、原口外務審議官、加藤総合外交政策局長、自分(外務報道官)、アジア局長、経済協力局長等が随行する。

(問)他省庁からの随行者如何。

(報道官)他省庁からも随行者はある。例えば大蔵省の国際金融局長、通産省の通商政策局長等及び農林水産省の経済局長、経済企画庁の調整局長等が訪「イ」すると思う。

(問)インドネシアのメディアから、日本は米国ばかり見ているのはないか、米国に追随しているのではないか、もっと積極的に直接的な支援をして欲しいという声が出ているようであるが、右についてはどう回答されるのか。

(報道官)現在のインドネシアが直面している問題というのは、インドネシア1国だけではなく、アジアにも非常に影響があるものである。また、右は非常に広く世界にも色々影響があり得る問題であり、こういう状況でインドネシアを助けていくに当たり、やはりインドネシアの近隣諸国、それからもっと遠い所にある国も一致して、協力して助けていくことが必要ではないかというふうに思っている。
 そういう意味で、国際社会として、あるいは国際社会が協調してインドネシアを助けていく、その際その目的として、一番大事なことは、今後、国際社会や国際市場からのインドネシアに対する信認をまた取り付けることかと思われるが、そういうことであるとすれば、やはりそのための国際社会共通の1つの枠組みとして、具体的にはIMFのプログラムというものがあるわけであり、そういう国際社会からインドネシアに対する信認を取り付けるためにも、IMFのプログラムを履行することが重要であると考えており、また、そのIMFプログラムを中心として、我が国のみならず国際社会、色々な国々、或いは国際機関からの支援がある訳であり、それらがなるべく早く実施される状況にしていくことが大事だと考えている次第である。それと同時に自分達としても、例えば医療機器、人工透析の関係の機器や透析液といった10億円の無償援助が今既に始まりつつあるようであるが、右のように我が国としての援助も行いつつ、基本的には、今申し上げたような枠組みの下で、国際社会と協調して行っていくことが必要ではないかと考えている次第である。

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報道官会見要旨 (平成10年3月10日(火)17:00~ 於 会見室)

・ インドネシア問題について

(問)インドネシアの新政権発足に伴い日本からの円借款の実施は先送りされるということであるが、それについての見解如何。

(報道官)ご質問いただいたのは97年度の200億円の円借款のことであると承知するが、これについては既に調印は済ませているが、貸し付け実行について世銀、ADBの構造調整融資と歩調を合わせて行うこととされている。
 このわが国の円借款もインドネシアの構造調整に資すると、そのために足の速いものということになっているわけであるが、世銀、ADBの考えている同じような融資と相まって、同じような目的を持っているものとして、IMFの改革支援プログラムの枠組みの中で実施していこうというものである。
 そういった事情があり、IMFの動き、それに世銀、ADBというものが実際問題として連動するということがあるので、そういう状況の下で当面わが国としては、世銀、ADBの対応などインドネシアを巡る状況を慎重に見守りつつ、この円借款に関する対応、実際のディスバースについて検討していくことになる。

(問)世銀、IMF等が動かなければ、日本も動かないということになるのか。

(報道官)世銀、ADBの構造調整融資と歩調を合わせて行うということであるので、基本的には一緒に動くという考え方に立っている。

(問)今朝の大臣会見の際の質疑応答で大臣は、「既定方針どおり進むものと考えている」という返答だったが。

(報道官)既定の方針と言う場合に、若干テクニカルなことになるかと思うが、交換公文を結んでいる場合にそれを実際にディスバースしていくにあたっては、世銀、ADBの構造調整融資の動きと歩調を合わせて、その動きも見つつ実施していくということ自体が、今までのこの円借款の背景となる考え方の中にあるので、そういう状況を踏まえて世銀、ADBの動きも見つつ、今後の実際のディスバースについて考え、決めていくということと理解している。

(問)大臣の答はもっと積極的に、「約束した借款、援助は早期に実施していきたい」というニュアンスであったように聞こえたが。

(報道官)細かいニュアンスは別として、まずインドネシアのいま直面している非常に厳しい状況をインドネシア側が乗り切ることを、日本ほか関係国、あるいは関係国際機関が助けていくにあたって、IMFの改革支援プログラムというものが非常に重要であって、その改革支援プログラムの枠組みの中で世銀やADB、あるいはIMF自身の融資、それから日本ほか関係国の努力というものが相まって進められていくということであるので、その連関をもって対応をしていきたい。

(問)インドネシアのスハルト大統領7選自体を日本政府としてどう見ているか、政治状況、社会状況にどう影響し、変化してくるか。

(報道官)スハルト大統領は正に7選されたわけだが、インドネシアの政治状況、社会状況にはいろいろな動きがあるが、今までのところ比較的に安定していると言えると思う。インドネシアの地域によっては、学生デモというようなこともあるようであるが、これも治安当局とそれほど激しい対立をするという形をとっていないこともあって、それほど大きな混乱には至っていないと思う。こういう状況の下において、7選されたスハルト大統領の下で新しい内閣が発足することになるわけだが、我々としては現下のインドネシアが直面している経済的な困難に鑑みても、この7選されたスハルト大統領の下でのインドネシア政府の経済チームの顔ぶれがどのようなものになるか、その経済チームがIMFと合意したプログラムを如何に実施していくかということについて注目をしており、そのような観点から新政権の下で編成されるべき経済チームに対して、我々のそのような関心をしかるべく伝えるとともに、インドネシア政府がIMFと十分相談して、そのIMFと合意したプログラムを守っていくように働きかけていきたいと思う。

(問)「情勢は安定している」と言われたが、大統領は特別に自ら求めて権力集中を図った、つまり「戒厳令」というか、そういう状況ではないのか。

(報道官)「戒厳令」と言うかどうかという問題はあるが、社会情勢についていろいろな動きはあるが、それほど大きな混乱という状況にはまだ至っていないという事実を申し上げている。

(問)今までに一度解除したものを、もう一度ああいう措置をとったということ自体、状況が非常に悪化しているとは見ていないのか。

(報道官)経済的状況がかなり難しい状況にあるということ、それに伴って社会的にいろいろな問題が生じてきているということはその通りである。それに対して我々もいろいろな形で経済的、社会的な問題というものをインドネシアが乗り切るための支援というのも行っている。具体的な例で申し上げれば、先週発表された医薬品及び医薬機器、腎臓透析のための薬だとか、腎臓透析機といったようなものがインドネシア各地に行き渡るような支援も行いつつある。あるいはまたこの前の2月20日の閣議で決められた緊急対策に基づく輸銀を通じてのローンというか、インドネシアの輸出産業を助けるための手だてというようなものも行っている。よって自分(報道官)が申し上げているのは、問題がないということを申し上げているわけではなくて、経済的問題、それに伴うある程度の社会的不安というものも見られるが、いまの状況からいえば、まだ大混乱という状況には至っていないと、それと同時にそういう問題、インドネシアが克服していくための支援の手だてというものは我々も一生懸命考えているということを申し上げたわけである。

(問)「経済チームに対して我が方の関心をを然るべく伝える」と言われたが、これは具体的にまた誰かを派遣するということか。

(報道官)経済チームの発足はまだ数日後になるかと思うので、どういう形をとるかというのはいろいろ考えていく必要がある。

(問)スハルト大統領は7選と共に、非常事態の大権も同時に付与されたわけだが、そういう政治体制そのものについての日本政府としての評価如何。

(報道官)インドネシアの体制として、スハルト大統領が大統領として選ばれ続け、今回の選挙に至る経緯を見ても、やはりスハルト大統領を指導者としていくということをインドネシア自身が選んでいるわけであるので、そのこと自体について我々がどうこうということではないと思う。それと同時にインドネシアの政情自体が全体として安定した情勢で推移していき、経済問題も乗り切っていくことがもちろん望ましいわけであるから、そういう観点から我々としても引き続き関心をもって、先程来申し上げている支援の努力も続けていきたい。

(問)非常事態大権を与えられているのが安定した政権と言えるか。

(報道官)それは議論をすれば、いろいろ議論があり得るが、自分(報道官)はここで政治学的な議論をするつもりはない。

(問)それをどのように外務省は見ているのかを伺いたい。

(報道官)スハルト大統領が非常事態大権というものを得たということについて、わが国としていま何か注文をつけることを考えているか否かということが質問の主旨であるならば、自分(報道官)は我が方政府としてそういうことを考えているというふうには承知していない。

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・ イラク問題について

(問)対イラクについての軍事力行使問題では、米国はこれまで新たな決議がなくても軍事力行使ができるという立場であったが、マカリー大統領報道官が今回これまでの姿勢を改めるような発言をしているようで、安保理で協議するということを明言したようであるが、これは日本政府としてもこれまでの立場から歓迎すべきことであると考えるのか。

(報道官)安保理決議1154に立ち戻って考えると、この安保理決議1154自体は、先般のアナン事務総長とイラクとの合意を安保理として承認して、イラクに対して義務違反についての警告のメッセージを送るというものである。この決議自体は、イラクが違反行為を行った場合に、自動的に武力行使が容認されるといった問題につき触れたものではない。また、仮にイラクが違反行為を行ったといった事態に至る場合に、安保理でまた協議が必要であるか否かということについては、今次決議は何ら予断していない。他方、今後事態が再び緊迫する場合には、実際問題として安保理で議論が行われるということは予想される。マカリー報道官の発言の詳細はまだ見ていないが、そのような事態を頭においているのかとも思われるが、いずれにせよ本件について引き続き安保理各理事国との間で緊密に連絡、協議していく考えである。

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報道官会見要旨 (平成10年3月6日(金)17:00~ 於 会見室)

・ コソヴォ情勢

(報道官)先日火曜日の記者会見に於いて、コソヴォ情勢についての外務報道官談話を発表したが、その後、現地の状況が悪化したことに鑑み、本日午後4時、飯村欧亜局審議官がヨービッチ在京ユーゴスラビア連邦共和国臨時代理大使を招き、コソヴォ情勢につき以下の申し入れを行った。第一に、我が国はここ数日間のコソヴォ情勢の悪化を深く憂慮している。脚注として申し上げれば、先日、外務報道官談話を出した際には、2月28日から3月1日にかけて、コソヴォ解放軍、つまりアルバニア人の武装勢力とセルビア当局との間で武力衝突があり、双方あわせて20名以上の死者がでたことを申し上げたが、昨5日セルビア当局がコソヴォ解放軍の拠点であるドレニッツア地方に治安部隊を投入した。その結果、20人のアルバニア人及び2人のセルビアの警官が死亡した。こういったことを踏まえて日本政府はここ数日間のコソヴォの情勢の悪化を深く憂慮しているということである。
 第二に、我が国を含む国際社会は、平和的手段による政治的要求に対する抑圧も、暴力的手段による政治的目的の達成も受け入れられないということ。第三に、コソヴォ情勢の悪化はヴァルカン全体の不安定化に繋がりかねないこと。第四に、新ユーゴ当局とコソヴォ・アルバニア人との間で対話が早期に開始され、アルバニア人が新ユーゴ内で自治及び人権を享受できるよう新ユーゴは努力すべきである旨、申し入れを行った。当方の申し入れに対し、ヨービッチ臨時代理大使からは、日本側の申し入れを至急本国政府に伝えるとのことであった。

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・ 「2001年国際ボランティア年決定記念セミナー」の開催

(報道官)3月8日から14日までケイプリング国連ボランティア計画事務局長が日本を訪問することとなっているが、右訪日の機会に「2001年国際ボランティア年決定記念セミナー」というものを開催することになっている。このセミナーは、国連開発計画(UNDP)と国連ボランティア計画(UNV)の共催により、外務省、郵政省及び国際協力事業団の後援の下、3月1日(日)、東京(国際協力事業団本部)に於いて開催される。このセミナーには、3月8日(日)から来日する、カナダ出身の女性であるケイプリング国連ボランティア計画(UNV)事務局長が出席するほか、外務省、国際協力事業団関係者、および学識者、NGOの代表者などが出席する予定である。
 一言付け加えると、この「2001年国際ボランティア年」を提唱したのは、中田武仁UNV(国際ボランティア計画)の名誉大使であるが、ご記憶かと思うが、中田武仁氏のご子息がカンボジアで国連ボランティアで働いておられるときに命を落とされたわけだが、その父親である中田武仁氏の提唱に基づき、昨年秋の国連総会に於いて我が国が中心となって決議案を作成し、コンセンサス(全会一致)で採択された国際年である。このセミナーには中田UNV名誉大使も出席する予定である。

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・ 対インドネシア医療支援等

(問)今朝、大臣会見の際に、インドネシアに医薬品を中心とした支援を行う旨発表があったが、他方、(インドネシアでは)火災が起こっており、わが国も如何なる支援が出来るか検討しているとのことであったが、その後、新しいものが出てきているのか。また今回の医薬品等の支援がこの火災現場の方にも振り向けられるのか。

(報道官)先ず後者の点から答えると、今回の輸入品価格が非常に高騰しているという状況で、特に製品輸入に依存している透析用医薬品及び器具が不足しているということで、場所によっては病院での透析の価格が10倍にまで高騰しているところがある。そこで、当面4ヶ月インドネシア全土で必要とされる、透析用チューブ、透析用フィルター及び透析用液といった物資及び器具を供給するということである。その際、支援は物資及び器具の購入と輸送の両方の費用を含むものと理解している。支援対象地域に関しては、インドネシア全土ということで理解しているが、具体的に現在火災が起きている地域が何処まで含まれるかという詳細については自分(報道官)は承知していない。
 森林火災の件については、本会見直前に調べたが、援助等につき新しい動きが出てきているということはない様である。先日も申し上げたように、火災がまだ続いている状況の下で、一つには当事国であるインドネシア政府からどういった要請があるか否かということ。二つには、昨年の火災以来、EUとかドイツとか他のドナーと一緒に協力してきているということもあり、若干の棲み分けもあり、今後火災が続いてくればインドネシア側の方から要請もありうるが、今のところは特に具体的な話しが来ているということではない。

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・ 日本の景気対策

(問)宮沢元総理に対し、米側から内需拡大、減税等による景気刺激策を求められたという報道がある。外務省ルートではこういった声は届いているのか。

(報道官)先ず、宮沢元総理とルービン財務長官がニューヨークで会談されたということであるが、この会談には外務省からの出席者がいないため、具体的な詳細については承知していない。一方、宮沢元総理御自身が現地で記者ブリーフをされて、それによれば、30分程度の会談の中で、先方より当面の日本経済について問題提起があり、それに対し、宮沢元総理から御自身の考えを説明されたと理解している。従って、自分(外報官)は会議の内容自体についてここで申し上げる立場にはない。
 他方、一般論としては、米国政府は従来、種々の当方とのやり取りを通じて、日本は景気刺激策を採り、内需主導の経済成長を図るべきであると主張してしてきている。そういった米側の期待はあるわけだが、具体的に我が国として如何なる政策を採るかは、日本政府が考えることであるとの姿勢を日本政府は採ってきている。

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・ イラク関連

(問)安保理決議が行われた日、米国務省での会見で、ルービン国務省報道官は右決議中の「severest consequence」という表現につき、米側の解釈を述べている。これは軍事行動を意味する外交用語というか外交表現であるという趣旨の発言をしているようである。わが国は必ずしも軍事行動を容認するものではない、軍事行動の可能性はないという立場であったが、その整合性如何。

(報道官)ルービン国務省報道官の会見と同時に、例えばアメリカのホワイトハウスのマッカリー報道官の記者会見というのもあるが、マッカリー報道官の記者会見の中で、この決議(第3パラグラフ)が、「自動性」と訳すのか「Automaticity」という言葉を使っていたと思うが、自動的に武力行使を容認するということを意味しないという立場をとっている国は沢山あるし、その点についてアメリカと異なる立場をとっている国も多々あるということを発言しているわけである。日本政府としては、この決議をイギリスと共同提案したわけであるが、その共同提案国としての立場からわが国の小和田国連大使が「今回の決議がイラク側の違反により自動的に武力行使を容認することになるといった問題を扱うことを意図したものではない」ということを明らかにしており、共同提案国であるイギリスをはじめ他のかなりの国が同じ立場をとっていると理解している。

(問)ルービン報道官が述べている「severest consequence is diplomatic code for military action」という表現についてはどうか。

(報道官)「code」というのは「暗号」とか「印」とかいう様に解釈されるが、「code」であるかどうか、そう認めるか否かということも受け取る側の判断によると理解している。

(問)少なくともわが国政府として、外務省として米政府と同じ立場には立たないということか。

(報道官)日本政府の立場は、これが自動的に武力行使を容認するとかいった問題を扱うことを意図したものではないという立場である。

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・ 対ミャンマー円借款関連

(問)先週、ミャンマーへの円借款の話があったが、政府の最終的な方針決定はされたのか。

(報道官)自民、社民、さきがけ3党の与党政策調整会議と相談しているという状況であり、与党政策調整会議の最終的な結論がどうなったかについては未だ確認しかねている状況である。

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報道官会見要旨 (平成10年3月3日(火)17:00~ 於 会見室)

・ キューバによる政治犯等を含む囚人の釈放

(報道官)2月12日、キューバ政府が囚人299人釈放し、そのうち政治犯が含まれている旨発表したわけであるが、我が国として一般犯罪者と政治犯と両方ということであったので実際に政治犯が釈放されたのかにつき確認するため情報収集を行ってきた。その結果、70人程の政治犯が確かに釈放されているようだということが判明したので今回談話を出した次第である。談話は、我が国はキューバ政府が、バチカンをはじめとする国際世論の要請に応えて、今般政治犯等を含む囚人の釈放措置をとったことを歓迎する。他方、キューバでは現在でも政治活動の自由、集会・結社の自由、表現の自由の制限等の人権侵害が続いており、我が国は引き続きこのような情況を憂慮している。従来から我が国は、キューバ政府に対し、同国の人権状況の改善等を強く促してきているが、今回の釈放措置が更なる民主化、人権状況の改善、各種経済改革につながることを期待する、というものである。

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・ コソヴォ情勢

(報道官)コソヴォは、ユーゴスラビア連邦共和国のセルビア共和国にあるが、約2百万人の人口のうち9割以上がアルバニア人であり、ユーゴ連邦共和国からの分離独立を主張してきて、セルビア共和国政府と激しく対立してきたという背景がある。そうした意味でセルビア当局とアルバニア人の武装勢力との衝突があるが、それを背景として談話は次のとおりである。2月28日から3月1日にかけ、ユーゴスラビア連邦共和国のセルビア共和国にあるコソヴォにおいて、セルビア警察とアルバニア人武装組織との間で衝突事件が発生し、双方あわせて20名以上の死者が出た由である。我が国は、この事件を深く憂慮するとともに、関係当事者に対し自制を求める。暴力の行使は、セルビア共和国政府とアルバニア人との対立が続くコソヴォ情勢を更に悪化させ、これらの問題解決を困難にさせるだけである。我が国は、コソヴォ情勢に関し、コソヴォのアルバニア人に対する人権抑圧も、コソヴォの分離・独立もともに受け入れることは出来ないとの国際社会の立場を共有するものである。セルビア共和国政府とコソヴォのアルバニア人が早期に対話を開始し、問題解決に向け努力することを希望する。

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・ ロシア連邦政府職員に対する研修の実施

(報道官)これはクラスノヤルスクで橋本総理とエリツィン大統領との間で合意された橋本ーエリツィン・プランの柱の一つ、特に経済分野の協力の一環としての柱の一つである公務員養成計画への協力の一部である。3月中旬から4月上旬にかけてロシア連邦政府より3グループ計20名の職員を我が国に招聘する。3グループというのは公務員制度についての研修をする人達が約5名、経済統計指標についてが5名、競争政策についてが10名、合計20名の職員がこの3分野における行政研修を我が国の関係省庁の協力を得て実施することになっている。

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・ イラク(安保理決議案)

(問)安保理で採択された安保理決議案の関係で米の高官の発言として伝えられたところでは、「一連の安保理決議は完全に履行されなければならない」と主張し、その中で「湾岸戦争の時に米国から派遣された数百人の捕虜と行方不明者の消息が明らかにされることも決議の中に盛り込まれており、これが履行されなければ決議の完全履行とは認めない」という趣旨の発言が伝えられている。この見方について、日本政府の立場如何。

(報道官)この決議の中で言及している一連の安保理決議というものはあるわけであり、いま言われたような具体的な問題に言及していた決議はどの決議であったかは今ちょっと手元にはないが、それはこの決議の結果、何か具体的なアクションを想定するに当たって、それに関連する決議、その決議の下で想定されている行動について、何と何と何があるかというようなことは、更に詰めた議論が必要なのではないかと思う。いま一般論として、(報道官)はその場で今言われたような具体的なポイントについて、どうこうというのは今の段階では差し控えさせて頂きたい。

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