![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() | ||||||||||
|
トップページ > 報道・広報 > 記者会見 |
![]() |
報道官会見要旨 (平成10年2月27日(金)17:00~ 於 会見室)(報道官)2月23日、竜巻がフロリダ州中部地域を襲い、これまでに死者39名、負傷者 258名、行方不明者2名、 357戸の家屋破壊等の深刻な被害を招いた。同州における竜巻による被害としては、過去50年間で最悪のものである。
このような被害状況に鑑みて、わが国政府は本日、この深刻な被害を受けたフロリダ州に対するお見舞いとして、1万ドルを供与することを決定した。同時に小渕外務大臣から、フロリダ州のロートン・チャイルズ知事に、本件竜巻による甚大な被害に対し慎んでお見舞いを申し上げる旨のメッセージを出すこととした。このお見舞金及びお見舞いのメッセージは、フロリダ州における今回の被害の深刻さ及び日米の友好関係に鑑みて送ることとしたものである。(報道官)ゴーハル・アユーブ・カーン・パキスタン・イスラム共和国外務大臣は、同令夫人とともに、3月8日(日)から11日(水)まで外務省賓客として来日する。
アユーブ外務大臣は、滞在中、小渕外務大臣ほか政府関係者と会談するとともに、わが国の経済界関係者と懇談を行う予定である。
なお、同外務大臣の今次来日は、昨年7月の池田外務大臣(当時)のパキスタン訪問の際のわが国からの招請に応えるものであり、日本とパキスタン間のハイレベルでの要人往来の緊密化を示すものと言える。(報道官)日墨シンポジウム:「新世紀の日墨関係-NAFTAの現状と将来をみすえて」は、3月11日(水)、外務省およびラテン・アメリカ協会の共催により、東京(外務省)において開催される。このシンポジウムは、1997年の日本人メキシコ移住100周年および本年の日墨修好110周年を記念する事業の一環として開催されるものである。
このシンポジウムには、日本側スピーカーとして、川本信彦本田技研工業取締役社長、原田勝広日本経済新聞社国際部編集委員、恒川恵市東京大学教授等学術関係者が出席し、メキシコからブスタマンテ北部国境大学学長、セッケリー・コレヒオ・デ・メヒコ大学院大学教授に加えて、メキシコ財界の代表が出席する。更に、米国からはスミス・カリフォルニア大学サンディエゴ分校イベロアメリカ研究所長が、また南米メルコスールの関係者としてヒルツ・ブラジル研究財団理事が出席する。また、シンポジウム冒頭には林屋永吉上智大学イベロ・アメリカ研究所名誉所員(元駐スペイン大使)による記念講演「400年にわたる日墨関係を振り返って」が行われる。
シンポジウムではNAFTAに焦点を当てて構成し、第1セッションでは「NAFTAとメキシコ」、第2セッションでは「日本・アジアにとってのNAFTA」、第3セッションでは「米州にとってのNAFTA」と、それぞれ切り口を変えながらNAFTAを視野に入れた日墨関係のあり方について考察する。
今回のシンポジウムの特徴は日墨のシンポジウムではあるが、メキシコの経済情勢や産業政策といった国内事情をとりあげるのでないという点である。メキシコと関わりのある日本企業の関係者が、NAFTAについて関心を持っているが、なかなか単独での分析を行いにくいテーマであるため、NAFTAやメキシコを取り巻く国際経済環境を今回取り上げた。
その背景はNAFTAのもとで米墨経済関係が強化される中で、メキシコを足がかりに米国市場への接近を試みる日本企業の数も急速に増加したことがあげられる。一つの例を紹介すると在京メキシコ大使館の調査結果であるが、97年1月から11月までに発表された日本企業による対メキシコ直接投資の予定額が、総額で31億ドルに達したが、これは過去の累積総額に匹敵する。このようなことを踏まえこの際NAFTAやメルコスールの問題を議論しようというものである。(報道官)コモン・アジェンダ・オープン・フォーラムは、3月12日(木)、13日(金)の両日、東京(高輪プリンスホテル)において外務省と米国務省の共催により開催される。
このフォーラムには、カーター元米大統領、河野元外務大臣、平岩経団連名誉会長ほか各国要人が参加する。
日米が地球的規模の問題に共同で対処するための枠組みである日米コモン・アジェンダ(地球的展望に立った協力のための共通課題)は、93年7月の発足以来着実に協力分野を広げ、参加団体、協力対象国も拡大してきている。
具体的分野については、たとえば健康、急速な人口増加、災害の軽減、環境といった最も差し迫った地球的規模の問題につき成果を収めてきている。昨年5月にゴア副大統領が訪日した際、新たな協力案件として環境教育、地球変動研究・予測、油流出事故への対応、子供の健康、環境協力の5つの案件を今後どうとり進めていくかということについて意見が交換された。
本件フォーラムでは、これまでのコモン・アジェンダの下での活動のレビューを行い、21世紀へ向けた日米協力の一層の推進のための意見交換を行う。また、民間部門の果たす役割の重要性に鑑み、NGO、学識経験者、経済人、ジャーナリスト等との意見交換を行い、21世紀へ向けたコモン・アジェンダの方向性に提言を与える。(問) カンボディアのラナリット殿下は一方的な停戦を発表したが、日本の4項目の提案が、今後の公正な選挙を実現する上で、どう反映されているのか。また選挙の実施の見通し如何。
(報道官)日本の提案した4項目という中に、正に停戦というのも入っていた。そのようなアイデアについて我が国はラナリット殿下、フン・セン第2首相、その他ASEANや、「フレンズ・オブ・カンボディア」の諸国との協議を続けてきた。高村政務次官が先週の金曜日(20日)にカンボディアでフン・セン第2首相、バンコクにおいてラナリット殿下とそれぞれこの4項目に沿って話をし、両者とも基本的にはこの4項目を支持するということが確認された。ラナリット殿下の行動もこういう私どもの働きかけが影響しているというふうに考えているが、4項目は他の項目もあり、特にラナリット殿下に対する裁判と国王による恩赦というようなこともまだペンディングとして残っているので、これまでの関係各国及びフン・セン第2首相、ラナリット殿下等の関係者との話し合いを踏まえて、更にこの選挙の実現に向けて努力を続けていきたいと思っている。そのために、また近いうちに「フレンズ・オブ・カンボディア」の会合も開かれ、その場で相談をすることになろうかと思われる。
(問)インドネシアの森林火災に対し、わが国として何か援助を検討しているのか。
(報道官)昨年森林火災が発生したカリマンタンとかスマトラであるが、今回火災が発生しているのは主としてカリマンタン島の東カリマンタン州、スマトラ島のリアウ州である。昨年の火災の際には、わが国は緊急援助隊を派遣し、消火機材などを供与するとともに、今正確な人数は手元にないが、確か50人を超す消防隊員等の専門家の方々を派遣した。その後、インドネシアにおける森林火災について、日本のみならずEUやドイツといった複数のドナーが協力しつつ、森林火災対策プロジェクトを実施中である。このいくつかのドナーが協力していく過程で、地域ごとにある程度住み分けのようなものも出てきているが、今回の事態を私どもも関心を持って見ており、他のドナーとの連携を図りながら、今後の様子を見つつ、具体的な支援という可能性が出てくるかどうかということも含めて、検討をしていきたいと思っている。
25日にマレーシアのサラワクで、ASEAN環境相会議が開かれ、今回のインドネシア森林火災に対する緊急国際支援を要請する声明が出たと承知しているがが、これについても現在、その具体的内容、支援要請相手国・機関等の詳細を把握すべく努めているところである。(問)具体的支援も検討しているということは、前回のように人的な貢献も含まれる可能性があるのか。
(報道官)可能性はあり得るが、具体的支援という前に、どこの国に要請がくるかということ、また例えばEUや独、他にも協力している国があり、今回火災が起きている地域というのは独が中心になって見ている地域と聞いているので、役割分担というような点も含めて、検討していく必要があると思う。
(問)ミャンマーの国際空港工事への円借款が行われるという報道もあるが、円借款再開の方向にあるのか。
(報道官)円借款再開の決定が行われたということではない。現在検討が行われているのは、ヤンゴン国際空港拡張計画という円借款の案件だが、1988年以来の政変を契機として貸し付けが中断されている間に、過去10年近くの間に、空港使用頻度が飛躍的に上がってきている。例えば1988年の時点では、利用者数が約30万人であったのが、今日では5倍以上の 160万人になっているということがある。そこで、施設自体はほぼそのままずっと残ってきているので、老朽化が進んできているということもあり、安全対策を真剣に検討する必要が生じてきている。現在検討しつつあるのは、空港拡張計画自体は滑走路の延長を含む空港全体の近代化で、かなり大きなものだったが、その中で誘導灯の補修、増設など安全面に対象を絞って手当てをすることを考えているのであり、規模的にも数十億円程度のものをを検討している状況である。円借款自体を再開するという話ではなく、ごく一部のものについて安全上の考慮から、危険にならないように手当てをするということであるため、言葉として何が適当かということはいろいろ考え方はあるかも知れないが、凍結されていたものを一部解除するというようなものだと思う。
(問)ミャンマーの状況については、米や欧州はかなり厳しく見ており、アウン・サン・スーチー女史の政治的自由も完全に確保されたとはいえない状況にある。更に米はミャンマーの麻薬取り引きについてもかなり激しく批判している。そういったことから、わが国がこうした一時的な凍結解除とはいえミャンマーに対して資金供与を行うことは、米とぶつかることにならないのか。
(報道官)まずご指摘のミャンマーの政治動向、民主化や人権状況の動向については、日本としても引き続き注目しているところであり、累次の機会にミャンマーの双方の当事者に対して話をしてきている。今回の案件については、過去から続いてきた案件の、安全面に配慮した部分的なものであり、ミャンマーの民主化とか人権状況の改善を奨励するという私どもの原則的な立場と矛盾するものとは考えていない。米との関係については、確かに第三国に無用の誤解を生むことは望ましくないため、わが方の検討状況は米を含む関係国に対して理解を得るべく随時説明をしてきている。従って、米国政府も現在のわが国の検討状況は承知している。もう1つ付け加えれば、ASEAN諸国からはこのヤンゴン空港の安全という問題について特別の配慮をしてほしいという声が累次寄せられてきている。
(問)先程、空港の利用者の数が 160万人と言われたが、これはどこの統計か。また、先程から安全問題ということを何度も言われているが、国際基準から見て、いまのヤンゴン国際空港の安全度は一体どの程度なのか。果して国際旅客機が理想的に利用できる安全な環境にあるのか。それに対する注意の喚起は一般旅行客に対してされているのか。
(報道官)30万人、160万人のデータの出所については後ほど調べてお知らせする。国際基準との関係については、ICAOの基準というものがあり、これに照らして改善しなければいけないという指摘はなされていると承知している。
(問)全日空も含めてその空港を利用する航空会社は、利用者に対するその点を含めての説明をしているのか。
(報道官)後ほどその点も確認した上でお知らせしたい。
(問)米時間で26日に、オルブライト国務長官が対麻薬戦争に関する演説を行い、ミャンマー政府は金をためるためにアヘン生産を認めているという趣旨の発言を行っている。日本政府はこの見方を共有するのか。
(報道官)オルブライト長官のその演説自体を見ていないので、その演説について具体的にコメントをすることは差し控えたい。
(問)ではミャンマー政府とその麻薬との関係についての認識如何。
(報道官)ミャンマー政府との間で様々な案件、人権問題あるいは民主化にかかわる問題について、いろいろな話し合いをしてきているので、その中で麻薬問題に触れていることもあろうと思う。具体的に手元に麻薬問題について何月何日に何を伝えたというデータは持っていない。
報道官会見要旨 (平成10年2月24日(火)17:00~ 於 会見室)(問)イラク情勢についてのクリントン大統領の発表についてコメント如何。
(報道官) アナン国連事務総長が日本時間の23日の夕方に、イラクとの間で協議の成果をとりまとめた文書に署名したということであり、まずアナン事務総長の努力を高く評価したいと思う。クリントン大統領も今回のアナン事務総長とイラク政府との協議の結果について、24日のアナン事務総長の安保理への報告を待ちたいとしつつも、一定の前向きな評価を行ったことは承知している。日本も現在安保理非常任理事国であり、このイラクとアナン事務総長との間で署名されたという文書を国連側から内々に入手しているが、国連側からの要請により今その内容を明らかにすることは出来ない。いずれにせよ、イラク側が国連特別委員会即ちUNSCOMの即時、無条件かつ無制限の査察を認めることとしたということだと承知しており、重要なことはイラクが今回の協議の結果を遵守し、誠実に実行していくことであると考えている。安保理における正式なアナン事務総長からの報告というものがこれからあるわけであるが、それを見た上で更にコメントしたいと思うが、わが国としてはイラクが関連安保理決議を完全に遵守し、全ての施設についてのUNSCOMの査察を受け入れるということ、更には今回の協議の結果が誠実に実施されることが肝要と考えている。
(問)米は、今回イラクがアナン事務総長の調停案について合意したことについても、これは米をはじめとした同盟国が兵力を湾岸に展開した、その効果があったのだという趣旨のことを報道官の会見の場でも言っているが、日本もこの見方を共有するのか。
(報道官) 我が方は外交努力が非常に重要であるという基本的な立場に立って、いろいろな努力を続けてきたわけである。その外交努力の成果をあげるために、やはり全ての選択肢を残しておくということも必要だというふうに考えてきたわけである。いま伝えられるところによれば、そういういろいろな国の外交努力をも背景としたアナン事務総長自身の外交努力というものが伝えられるような成果を生んだようであるので、その成果というのがきちっと実施に移されることを期待しているということである。
(問)その外交努力が実を結んだのであろうが、米はこの外交努力の裏付けになったのが兵力展開があったからだと言っているわけである。それについては、如何。
(報道官) 我が方の立場としては、先にリチャードソン国連大使が日本に来られた時に、小渕外務大臣との共同記者会見においても、双方から明らかにした点であるが、日本としてはイラクによる全ての関連安保理決議の完全な遵守に基づく外交的解決が最善の解決であるとともに、全ての選択肢をとる余地が残されているというアメリカの見方を共有したわけであるが、それを踏まえての外交努力というものがいまの状況につながってきているということだ思う。
(問)日本として今後の外交努力にはどんなことがあるのか。
(報道官) 今後というか、今までもいろいろあるわけである。先ず今までイラクに対して累次の申し入れをしてきたということがある。1月の20日、27日、2月の2日、12日と4回にわたる在京イラク臨時代理大使への申し入れがあった。レベルが最初は中近東アフリカ局の石橋参事官から中近東アフリカ局長、事務次官、それから外務大臣と上がっていったことは周知のとおりかと思うが、アナン事務総長がイラクに行かれるに際し、柳井事務次官ら改めて在京イラク臨時代理大使に対して申し入れを行ったということがある。他の中近東諸国にも申し入れを行っており、あるいはオルブライト国務長官と大臣との電話会談とか、クリントン大統領と橋本総理の手紙のやりとりとか、リチャードソン大使が来られたこと、あるいはイギリス、フランスの外務大臣との電話連絡、プリマコフ・ロシア外務大臣との電話連絡というのがある。そういういろいろな場を通じて我が方の外交的解決の方途を探ってきたわけであるが、わが国は今後は、今回の事態を踏まえて、わが国として安保理の場に非常任理事国として参加しているわけであるから、今回の事務総長の努力が実を結ぶことになるように、他の国と一緒に協力していきたいと思っている。
(問)日本は非常任理事国でもあるから、安保理の場でイラクの合意が実施されるために、改めて新しい決議等により意思決定を促すつもりがあるのか。
(報道官) いかなる意思決定が必要となるかというのは、もう少し様子を見る必要があるかと思うが、このアナン事務総長がイラク側と合意した中身がきちっと実施されるようにしていくためには、どうしたらいいかということ自体が、これから安保理の場で議論になるわけであるので、その議論の過程にわが国としても積極的に参加していきたいと思っているわけである。どういう形式をとるかというのは、もう少し見る必要があるかと思う。
(問)これから議論されることになるにせよ、日本政府としての意見が既にあるのか、ないのか、他の意見を聞いてから言うのか。
(報道官)どういう形の議論になっていくかを、もう少し見ていく必要がある。
(問)今朝の大臣会見の際に、イラク危機に際して、日本の基地からも米軍艦船が中東に向かったことにつき、事前協議の必要はなかったのかという質問に対し、大臣は「事前協議の必要はなかった」という答えをされたが、その理由として、以下のように述べた。「日米の間には、日本周辺並びに日本の安全保障のために行う行為について、もし必要とあれば事前協議を行う」という答えがあって、そういうことで今回は事前協議の必要はないという答弁をしたのであるが、これは私どもがこれまで認識していた事前協議の要件とはちょっと違うように思われるが、如何。
(報道官) 日米安保条約の下で事前協議の主題となるのは、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用ということであるが、この場合の戦闘作戦行動とは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものである。例えば今朝の会見における質問では米国の軍艦という一般論だったと理解しているが、例えば空母インディペンデンスの中東湾岸地域への派遣というようなことが念頭にあったのかと思うが、この派遣のように米軍の運用上の都合により、米軍艦船及び部隊をわが国から他の地域に移動させることは、事前協議の対象となるものではないと考えており、このような解釈は我が方として一貫してとってきているわけである。大臣も恐らくいま申し上げたようなことを念頭において答えたのではないかと思う。
(問)その場合に直接出動しなければいけないのか。例えば艦船であれば、いずれかの地域に移動しなければ出来ないのではないのか。
(報道官)いろいろなケースがあるかと思うが、今回起きたことというのは、そもそも機動性を持っているインディペンデンスのような空母が中東湾岸地域へ派遣された、移動したということであって、そこからすぐに戦闘作戦行動というか、戦闘に従事するという段階には至っていないわけであるので、そういう意味での移動ということで、事前協議の対象となるものではないというふうに考えている。
(問)それでは今回、中東に行っている空母から艦載機が飛び立つのはどうなのか。
(報道官) その場合にも中東地域への移動ということ、それから移動してから、またそこからあるべき行動というか、戦闘行動というものとの関係がどうなるかというようなことも考える必要があるのではないか。
(問)中東ではなく台湾海峡あたりだと、変わってくるのか。
(報道官) 地域が近いことによって戦闘作戦行動ということとのつながりがそれだけ強くなるかどうかという問題があるかも知れないが、いま質問されている中東のケースということについて言えば、我が方の従来の解釈からいって事前協議の対象にはやはりならないと考えている次第である。
(問)事前協議の対象になるケースとならないケースの境目は何であるか。
(報道官) やはり先程申し上げた、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動というものになるかどうかというのが境目になるということだと思う。
(問)航空母艦は永遠に事前協議の対象にならないのではないか。
(報道官) いろいろな場合が想定されるのではないかと思う。
(問)従来、空母が派遣された時に、戦闘作戦行動に従事するかどうか明示されないから、日本政府としては不確かでも従ったと思うが、今回コーエン国防長官が艦上で、中東に行って力を見せる必要があると言っており、これは明らかに日本から直接戦闘に参加するために行ったのではないかと言われているが如何。
(報道官) インディペンデンスが中東に展開されていたが、かなり長い期間、現在に至るまで実際の戦闘作戦行動はしていないわけであるし、プレゼンスを見せるというか、軍事的な存在を示すということと、実際に戦闘作戦行動というか、戦闘行為をするということとの差はおのずからあるのではないかと思う。
(問)要するに確認すると、今回は時間的な経過があるから違うということか。
(報道官) いや、今回について申し上げているのは、今回の派遣というのは米軍の運用上の都合によって、米軍艦船及び部隊をわが国から中東地域へ移動させるということであって、そういうものであれば事前協議の対象となるものではないというふうに考えているということを申し上げているわけである。
報道官会見要旨 (平成10年2月20日(金)17:05~ 於 会見室)(報道官)先程官房長官が、本日閣議決定された東南アジア経済安定化等のための緊急対策について発表したが、これについては後ほどブリーフを行う。
(報道官)現在、天江近ア局長が在京中近東諸国13カ国の大使等を外務省に呼び、イラク情勢を巡るわが国の立場を説明すると共に、イラクに対し、国際社会が積極的に働きかけていくことの重要性につき理解を求めている。これも後ほどブリーフを行う。
(問)高村政務次官がカンボディアを訪問しているが、ラナリット氏は日本の4項目にわたる提案について基本的に前向きな反応をした由だが、具体的にはどこに引っかかっているのか。また、最終的にクメール・ルージュとの関係を断つことの可能性如何。
(報道官)高村政務次官のフン・セン第二首相との現地での会談の模様はまだ詳細を承知していないのでその前の時点のことで話すが、ラナリット氏の日本側の4本の柱からなる提案に対する今までの姿勢は基本的に前向きな姿勢を示している。また、第一の柱であるクメール・ルージュとの関係の断絶については、ラナリット氏はフン・セン第二首相側にも同様にクメール・ルージュとの関係を断絶して欲しいという要望があり、これが何を意味するかはもう少々考えねばならぬが、そうとはいえ、ラナリット氏自身がクメール・ルージュとの関係を断ちたくないというわけではない。他の柱についてはラナリット氏自身の裁判に関すること、それから恩赦に関することと思われるが、この辺りはまさに高村政務次官が現地に入っていろいろ関係者と話あっているところであり、今の段階でコメントするのは尚早かと思う。
(問)インドネシアに対し、日本が50万トンのコメ支援をおこなうのではないかと言われているが事実関係如何。
(報道官)インドネシアの食糧事情が非常に厳しい状況であることは承知している。わが国政府部内でもその厳しい状況にあるインドネシアに対して、如何なる支援ができるか検討しているところである。そのためにインドネシア側と情報交換、意見交換をおこなっており、その中で様々なレベルでインドネシア側よりわが国に対し色々な要望もきている。その詳細をつかむため情報収集をすると共に、どのような支援が可能か検討しているところであり、まだ結論は出ていない。
(問)インドネシア側からコメ支援の要望は出ているのか。
(報道官)色々な要望が出ていると承知している。
(問)アナン国連事務総長がバグダッド入りしているが、何か新しい情報を入手したか。
(報道官)今の時点で特に申し上げることはない。アナン事務総長がまさにバグダッド入りするわけだが、われわれの方として天江近ア局長が中近東の13カ国の大使にわれわれの立場を伝える。これは昨日柳井事務次官がイラクのアリ臨時代理大使に対しても改めて申し入れをしたが、それについて申し入れを行っている。それに加えてアナン事務総長が動かれてどうなるかを注視しているところである。
(問)翻訳中であった柳外務長官の慰安婦問題に関する発言について、外務省首脳が今週中にも韓国に何らかの申し入れを行うだろうと述べたが如何。
(報道官)柳長官の韓国議会における発言につき、議事録を入手し確認したところ、その内容は「65年協定締結当時には、慰安婦問題に関する責任は双方の間で議論されなかっただけでなく、不法行為の事実自体を日本が認めていない状態で締結された日韓請求権協定が慰安婦に関連した不法行為についての賠償請求権を全て解決したというのは法理にかなっていないと考える。」というものであった。われわれとしては韓国側に対して、本日ソウルのわが方大使館を通じて次のようなことを伝えた。即ち、「日韓両国及び両国民間の財産・請求権の問題はいわゆる従軍慰安婦問題を含め、1965年の日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであることを改めて明確に想起している。」とのものである。
(問)何時頃、どのような形で行ったのか。
(報道官)本日、わが方韓国大使館の館員から韓国外務部に対して口頭で伝えた。
(問)これは柳長官の発言についての抗議か。
(報道官)われわれの立場を改めて明確に想起し、それを伝えた。
(問)柳長官発言には触れていないのか。
(報道官)柳長官発言の内容が先程申し上げた内容であったので、それを受けて韓国側に対し日本側の立場をこういうものだと改めて想起し、それを伝えた。
(問)「想起」という言葉は、韓国側に想起して欲しいという意味を込めて使ったのか。
(報道官)然り。日本側の立場を改めて伝えたということである。
(問)伝えたレベル如何。
(報道官)事務的レベルである。
(問)柳長官は(慰安婦問題は)65年の協定外の問題であるとはっきり述べていると思うが、それについては何も言わなかったのか。
(報道官)韓国側にわが方の立場を想起し伝えたと申し上げたが、韓国側の今日の時点での反応を申し上げる。「従来からの韓国の立場、即ち、本問題について政府レベルで賠償を求めることはしないが、個人の関係では被害者が希望するラインで解決できるよう日本の対応を期待する。」というものである。
(問)この韓国政府の回答は従来の韓国政府の立場と同じ流れの中にあると考えるか。
(報道官)然り。韓国政府は今までにアジア女性基金との関係で「被害者及び被害者団体が総意として受け入れられる解決策を講ずるよう求める。」という趣旨を述べてきているが、「被害者が希望するラインで解決できるように」ということは同じようなラインに乗っているものと思われる。
報道官会見要旨 (平成10年2月17日(火)17:00~ 於 会見室)(報道官)「旅券の日」の制定及び海外旅券規則制定120周年記念式典の開催について、この度2月20日を「旅券の日」として定め、今後毎年この日を中心として都道府県旅券事務所等の協力を得つつ、旅券の重要性及び国民の認識と「理解の増進を図ることとした。それから、今年は、1878年(明治11年)2月20日に海外旅券規則が制定されてからちょうど120年目に当たるわけだが旅券という用語が法令上使用されたのは、この海外旅券規則というものが制定されてから以降であり、これを記念して2月20日(金)に外務省講堂で記念式典を挙行することとなっている。この式典には小渕外務大臣、高村政務次官が出席し、この式典において旅券業務功労者への外務大臣表彰、当時の旅券のレプリカ贈呈、旅券120年の歩みを紹介するビデオの上映、記念展示等を行う予定である。
(報道官)長野五輪が今行われている訳だが、当省の海外広報課で外務省ホームページの英語版の中にオリンピック特集を開いている。これは子供向けのホームページのオリンピック特集であり、これへのアクセスが非常に増えている。2月7日(土)の開会式以降、15日(日)までの9日間で1日約26万件となっている。これを前月の1月の平均と比べると、前月一ヶ月の平均が1日に15万件であるので、約1.7倍となっている。更にさかのぼって昨年12月の一ヶ月間の平均で見ると、1日に6万8000件ということであり、12月と比べるとオリンピック開会式以降の平均アクセス数は約3.8倍の伸びを示しているというわけである。
(問)安保理でアナン事務総長が調停案を持ってバグダッドを訪れるかということをテーマに話し合いが続いているようだが、わが国としては事務総長調停案、及び事務総長が調停案を持ってバグダッドを訪れることを支持するのか。
(報道官)ご指摘のように現在、国連安保理を中心として様々な外交努力が行われている。アナン事務総長自身、大統領施設等場所等を特定するためにバグダッドに3人の専門家からなる調査チームを派遣している。それとともに常任理事国5カ国の代表とアナン事務総長の協議がまだ続いていると承知している。今朝程(日本時間)のアナン事務総長の会見によれば、5常任理事国との間でアナン事務総長の調停案について緊密な協議が続き、もう少し時間が欲しいとの要望が常任理事国側から示されたということである。ニューヨーク時間17日にもアナン事務総長と5常任理事国との間の協議が続くようである。このような外交努力が続けられており、わが国としてもニューヨークの場においても、安保理非常任理事国として関係国やアナン事務総長とも連絡をとっているが、こうした外交努力が実ることを期待している。ただ、具体的にアナン事務総長と5常任理事国の会談がどういうものとしてあらわれてくるかはもう少々見る必要がある。
(問)サマランチIOC会長等への叙勲が今日の閣議決定により決まる予定であったと聞いていたが、閣議決定されなかった経緯如何。
(報道官)この件については、サマランチ他、副会長の方々等関係者がおられるが、この方々は世界スポーツ全体の発展及びわが国のスポーツ界に貢献されたことが顕著であり、また、長野五輪の実現を導かれた功労があり、叙勲をすることを検討している。まだ、検討は続いており、長野五輪は2月22日に終了することも念頭において、その直前の閣議日に当たる2月20日を目標に叙勲にかかる閣議決定を得たいと調整を行っているところである。なお、付け加えればIOC副会長クラス4名については勲二等瑞宝章を検討中であるが、サマランチ会長については平成2年に国際オリンピック東京総会大会に出席の際に勲一等瑞宝章を既におあげしているということなので、そのことを踏まえ検討している。
(問)IMFの理事も韓国とタイは最悪の状況を脱したが、インドネシアはまだまだだとの発言をしているが、現実に治安も不安定になり、わが国の度重なる支援表明にもかかわらずインドネシアは落ち着かないようだが、状況への所感及び対処方針如何。
(報道官)インドネシアの状況がご指摘のように困難な状況にあるということは確かである。われわれとしても如何なる協力ができるか、更に何ができるかということに関心をもっている。目下元大蔵省財務官である千野団長以下からなるミッションが橋本総理の指示によってインドネシアに行かれ、明日帰国することになっている。このミッションがインドネシアにおいてスハルト大統領をはじめとする関係者と意見交換をした。その前にはシンガポールに行き、指導者とも話をしている。こういうミッションを通じて得られた情報を以て、わが国として何が出来るかをミッションの帰国後に検討し、今後の対策を考えていきたいという状況である。
(問)先月、韓国の柳長官の国会における発言について、テキストの入手に努力すると発言されたが、入手は出来たのか。
(報道官)韓国での国会の議事録は出来たと聞いている。韓国の議事録が丁度送られてきたばかりであり、その内容については翻訳を含め作業中ということである。
(問)翻訳等の作業が終了すればわれわれに公表されるのか。
(報道官)現在作業中であり、その後の取り扱いについては主管の局と話をしていきたいと思っている。
(問)カンボディアのラナリット氏とは、その後も接触を続けているのか。また、ラナリット氏はクメール・ルージュとの接触に関する日本提案について如何なることを発言しているのか。
(報道官)「その後」が何を意味するか定かでないが、確か太田在タイ大使はラナリット氏と2回接触しており、その2回接触した中でラナリット氏自身はわが国の4本の柱からなるアイデアというものについて、概ね肯定的な反応であったということも踏まえて15日(日)にマニラでフレンズ・オブ・カンボディアの会合が開かれた。それ以降に接触しているかについては承知していない。
(問)ラナリット氏は概ね日本側提案をよしとしているとしているとしても、日本側提案の核心たるクメール・ルージュとの関係についてはどうコメントしているのか。
(報道官)クメール・ルージュとの関係を「協力を中断する」或いは「中止する」といった点については即ち、それなりに受け取っているようだが、日本の考えの大体の方向は分かったものの、それをどういう方向で進めていくかについて、各論についてのコメントはあるようである。
(問)クメール・ルージュとの関係を絶つ、ということが4項目の提案の中でも中心的なものである以上、これが曖昧なままでは、折角わが国が提案して他の国が好意的に受けとめているものが頓挫するのではないかと思うが如何。
(報道官)現在われわれがしようとしていることは、4本の柱からなるアイデア、考えている一つの方向についてラナリット氏やフンセン第二首相に伝えるとともに、ASEANのトロイカの国々、或いは米、仏、豪州等の関係国にも話をしつつ、まず、わが国と同じような方向で考えている国々との意思を統一した上で、カンボディアの当事者に働きかけていくという手順である。今の段階では、われわれの考えているアイデアについてフレンズ・オブ・カンボディアの国々は日本の案の基本的な考え方、原則を強く支持するようであるので、それを踏まえてさらにこのような方向の実現をしていくべく、カンボディアに対する働きかけを続けていこうということである。
報道官会見要旨 (平成10年2月10日(火)17:05~ 於 会見室)(報道官)日露投資保護協定の話は、クラスノヤルスクに遡って橋本ーエリツィン・プランの一環となっているわけであるが、1月の日露外務次官協議の際にこの交渉を2月の第二週に行うことにつき意見の一致をみていた。その後、日程の調整を行った結果、第一回交渉を2月12日及び13日モスクワにおいて開くこととなった。日本側からは楠本外務省欧亜局審議官を団長として外務省、通産省の関係者が、ロシア側からボリソフ経済省国際協力局次長を団長として経済省、外務省、財務省、対外経済関係・貿易省の関係者がそれぞれ出席する予定である。
(報道官)ジェニー・シップレーNZ首相が夫君のバートン・シップレー氏と共に3月8日から11日まで公賓として訪日する旨先に発表したが、このシップレー首相の訪日の意義について一言申し上げる。一つは、NZから首相が公賓として来られるというのは1976年のマルドゥーン首相の訪日以来22年振りである。その間に公賓ではない形で首相レベルの行き来はいくつかあり、こちらからは昨年4月に橋本総理がNZを訪問しているが、NZからの賓客を公賓として接遇し歓待するのは22年ぶりである。二つ目は、シップレー首相自身12月に就任されたわけであるが、その後2月19日から20日まで豪州を訪問するが、これはNZ・豪州両国の定期的な非公式協議のためのものである。ということはシップレー首相の本格的な外交訪問としては事実上今回の訪日が初めてということになる。このこと自体が日本とNZの間の緊密な関係とシップレー政権がアジアを重視しているという姿勢を示すものと考える。第三には、シップレー首相の公賓としての日本訪問は昨年4月の橋本総理のNZ訪問に次ぐものであるが、両首脳間の個人的な接触を通じていろいろな分野における日・NZのパートナーシップを再確認するということに意義があると考えている。四番目には、日本国民一般にとって、NZは行ってみたい外国というアンケートでとると常に上位に位置しており、かなり好感の持てる国として考えられているが、他方、やはり地理的に遠いなという感じもあるということなので、今回のシップレー首相の訪日を通じて日本におけるNZのイメージというものを増進するのに役立つのではないかと考えている。シップレー首相は女性の首相であり、NZというのは世界で初めて婦人参政権が実施された国、これは1893年であるが、そういう国から初の女性首相が訪日されるということでNZのイメージを日本の国民一般に印象づけるのに役立つのではないかと考えている次第である。
(問)アメリカのリチャードソン国連大使の訪日であるが、今朝の大臣会見の段階ではまだ日付までは決まっていないということであったが、日付は決定したのか。
(報道官)今日の昼頃に、アメリカ側が発表したが、リチャードソン国連大使は13日及び14日、イラク危機に関して日本政府高官と協議するために訪日するとのことである。リチャードソン大使はイラクによる安保理決議 687違反及び本件を解決するため、米国側がとってきた外交的手段について話し合う予定ということである。
(問)リチャードソン国連大使が訪日した時、日本側の高官とイラク情勢について話し合う由であるが、日本側の高官は誰か。
(報道官)今朝の時点でも橋本総理、小渕外務大臣とそれぞれ話し合うこととなろうとのことであったが、具体的な時間等はまだ承知していない。
(問)本日、アメリカ大使館からプレスリリースが出て、イラク問題に対するアメリカ側の立場を述べているが、そのプレスリリースは承知しているか。
(報道官)オリンピックのいわゆる停戦決議との関連ということか。
(問)然り。
(報道官)そのプレスリリース自体は見ている。
(問)その中に「長野の停戦決議について、平和の呼びかけについては尊重する」というくだりがあるが、これはどのように解釈するか。
(報道官)細かい文言について、いろいろコメントを申し上げるのが適当かどうかというふうに考えるが、あのテキスト自体は、その「尊重する」という後にも、アメリカ側のこの問題に対する基本的な立場というものを述べていたと記憶している。それを全体として見ると、先日、小渕外務大臣とオルブライト長官との電話会談においても、「オリンピック停戦決議に対する関心が日本国内、国際社会において高まっている」ということを小渕外務大臣の方から述べて、オルブライト長官も「日本の懸念を承知している」ということを言っていた経緯があるわけであるが、その時にアメリカ側のこの問題についての基本的な立場にもオルブライト長官の方から触れていたわけであり、全体として見れば本日の在京米大使館のプレスリリースもこのようなアメリカ側の立場を反映したというか、表明したものと考えてよいかと思う。
(問)昨日の事務次官の会見で、北海道沖の自主規制水域内の韓国漁船の操業に伴う日本漁民の漁具被害について、非常に大きな関心を持っているとの発言があった。現在、この漁具被害の状況についてどんな情報を持ち、外務省としてどう対処したのか。
(報道官)昨日までに得ている情報であるが、これは水産庁の北海道の漁業協同組合連合会から報告を受けているところでは、1月27日以降に襟裳町漁協、庶野漁協、広尾漁協管内で、さし網の被害が計12件が発見されたということであるが、これらの被害についてはいずれも韓国漁船の操業による被害かどうか、まだ調査中とのことである。また、12件のうちには自主規制水域内のことなのか外のことなのかが不明なものも4件含まれているということである。従って、関心を持っているということはその通りであるが、実態については今、さらに調査中ということである。
(問)韓国漁船の操業の実態であるが、今も自主規制水域内で行っているのか。
(報道官)今何隻というデータは持っていないが、まだ韓国漁船は操業していると思う。
(問)KEDOの大使級会議がニューヨークで開かれ、その中で韓国は負担に関して減らしてほしいような発言をしたというが、韓国側は何を言ったのか、それに対して日本はどうしたのか。
(報道官)KEDOの理事会のメンバー及び事務局の大使級会合が5日及び6日、ニューヨークで開かれた。この会合においては、軽水炉プロジェクトの経費負担、重油供給、事務局経費等について真剣かつ建設的な雰囲気の話し合いが行われた。この会議において、韓国における金融危機との関係について、韓国側から金融危機との関連で国内の状況が厳しいということを伝える発言はあったが、具体的にどの程度韓国の負担を軽減してほしいとか、どの程度日本とかアメリカの負担を増加してほしいとかいった要請がなされたわけではない。また、次期政権関係者も引き続きKEDOの事業を進めていくとしているとの発言があった。我が方としては、韓国の国内の状況が厳しいということは一方であるが、引き続きKEDOの事業を行っていくことの重要性を韓国側は理解しているということであるので、韓国、アメリカ等々と引き続き協力してやっていきたいと思っている。
(問)北方4島周辺の安全漁業の協定は本来なら既に調印が行われる予定だったのであろうが、その調印の日程等は固まったのか。また、漁民は今シーズンは時期を逃したということで、出漁しないということであるが、これについてどう思うか。
(報道官)まず時期の点であるが、この署名についてはロシア側の手続きが最終的に終了した段階で署名の日をロシア側と調整の上、確定するということになっているが、ロシア側の手続きが最終的に終了したという段階にはまだ至っていない。従って、署名日はまだ確定には至っていない。それからこの漁期の問題というか、スケトウダラの件であるが、本年の今に至っても協定署名ができないという状況の下では、本年のスケトウダラ操業については実施が困難になっていると承知している。
(問)この署名は先日、大臣の会見の際に、チェルノムイルジン首相が国内手続きは終わったのではないかとの発言があったが、その後何か新たなことが必要になったという情報があるのか。
(報道官)新たなというか、全体を含めてロシア側の手続きがまだ最終的に終了という段階には至っていないということである。
(問)日本側の手続きはもう終わっているのか。閣議にかかったという話もないようだが。
(報道官)先程来申し上げたように、ロシア側の手続きが最終的に終了した段階で署名日を確定すると、まあそのロシア側の手続きが最終的に終了したということであれば、それに応じて最終的な署名日を確定するという準備は整いつつあると思うが。
(問)署名以前には日本側としては手続きは必要ないのか。
(報道官)事務的に如何なる文書云々という質問であるとすれば、ちょっと自分(報道官)はその点調べなければならないが、自分(報道官)の理解しているところでは、ロシア側の手続きが最終的に終了したということになれば、署名日をわが方としてロシア側と調整の上、確定するという態勢でいま待っているということであると理解している。
(問)スケトウダラはもう間に合わないということで出漁できなかったわけであるが、外務省としては1月末までに出来なかったことについてはどういうふうに考えているのか。つまり漁民は非常に落胆しているわけだが、外務省としてはこれは残念ではないのか。
(報道官)流氷などの関係でスケトウダラの操業の実施は困難となってきたということ自体は非常に厳しい現実であるから、そういう事態にならないですめば良かったということは言えるかと思うが、今の時点でまだ署名に至っていないということであるので、引き続き署名に至るべく努力しているということである。
(問)これは小渕外務大臣のロシア訪問までには何とかなるという見通しか。
(報道官)そういうことを念頭におきつつ、いま鋭意やっているところであると理解している。
報道官会見要旨 (平成10年2月6日(金)17:07~ 於 会見室)(報道官)長野のオリンピックにおいて、ボスニアの新国旗が披露されることとなった。つまり、ボスニア選手団の団旗は、2月4日にウェステンドルプ上級代表が国旗に関する法案に署名することによって決定された新しい国旗となる。振り返ると、1984年のサラエボ・オリンピックの8年後に、ボスニアでは3つの民族の間の悲劇的な内戦が起こったが、95年12月の和平合意によって、民族の和解と新たな国造りへの道のりを歩み始めた。しかしその後2年間、どういう国旗にするかということについての合意が得られていなかった。そこでこのような状況を打開するために、わが国が提案し、その提案に基づいて昨年12月のボスニア和平履行評議会(いわゆるPIC)ボン会合の結論文書において、「長野のオリンピックに統一国旗の下で参加することを期待する」という文言が盛り込まれた。
その後わが国は、欧米諸国、ウェステンドルプ・ボスニア上級代表に働きかけて、国旗決定の期限を長野オリンピックまでとし、このデッドロックを打開するということで意思統一をしたわけである。そのような働きかけを経て、先程申し上げように、新しい国旗が2月4日に決定された。サラエボで作られた国旗を急遽空路リレーし、今朝現地(長野)に着いたということである。国旗は、黄色の部分(三角形)はボスニアの地形を単純化したもので、また、青地に星の部分は、欧州連合(EU)の旗を模したものである。即ち欧州の一国としてのボスニアという意味と、将来においてEUに加盟することもあろうということを暗示しているわけである。他方、争いの元となった民族的なシンボルというものは入っていない。このような長野のオリンピックという最大の国際イベントにおいて、新たに決定された国旗を3民族に受け入れさせ、定着させることは重要だと思う、その意味ではこのようなメッセージを出すのに非常に適した機会だと思う。その意味で、この新しいボスニアの国旗は長野のオリンピックにおいて平和の一つのシンボルとなるものと考えている。(報道官)日本政府は2月5日、OSCE(欧州安全保障協力機構)のクロアチア・ミッションに対して、日本人要員として、小泉孝さんを派遣することを決定した。このOSCEクロアチア・ミッションは、東スラボニアで活動している。東スラボニアは、位置的にはクロアチアと新ユーゴー連邦の間にある。人種の構成は、約8割がセルビア人で、あとはクロアチア人ということで、そういう人種構成、位置からいっても、このクロアチア人とセルビア人との間の民族的な緊張とか対立の一つの縮図のようになってきているところである。ユーゴーの内戦が終わってから、この東スラボニアはクロアチアにまた再統合されたわけであるが、その間、今申し上げたような背景から少数民族の人権問題とか、難民、避難民の帰還等を円滑に行っていくというような問題が残ってきているわけであり、その観点から、このような問題について引き続き監視を行っていく必要があるということである。本年1月15日までは、UNTAES(国連東スラボニア暫定統治機構)というところがこの管理に当たっていたわけであるが、1月15日にこの国連東スラボニア暫定統治機構の任務が終わったことによって、この地域の行政権がクロアチア政府に移った。クロアチア政府に行政権は移ったが、今申し上げたような人権保障とか難民・避難民の帰還等についての監視というか、モニタリングの仕事というものをこのOSCEクロアチア・ミッションというものが引き受けることになったわけである。
小泉さんは、既に国連東スラボニア暫定統治機構の職員として、その地域で仕事をしてきた方で、そういう方を人権監視官として約1年間、派遣するということである。東スラボニア地域の情勢というのは、ボスニアや新ユーゴーなど旧ユーゴー地域全体に影響を与える問題であり、OSCEクロアチア・ミッションの役割は非常に重要なものである。我が国としても、このOSCEクロアチア・ミッションの重要性に鑑みて、旧ユーゴー地域の和平完成に向けた我が国の取り組みの一環として小泉さんを派遣することとした次第である。(報道官)イスラエルによる東エルサレムにおける入植地建設については、東エルサレムのラアス・アール・アムード地区における入植地の建設をイスラエル内務省が承認したということと聞いているが、我が国としてはこれを当惑の念をもって受け止めているわけである。我が国としては、イスラエル政府による東エルサレムにおける住宅地建設については、これが和平プロセスに悪影響を与えるものであり、好ましくないという考えを持っており、このような立場はこれまでもいろいろな機会に繰り返し表明してきている。本件について我が国としては、今伝えられていることはイスラエル内務省が承認したということであるが、イスラエル政府としてどう対応していくか、今後の対応振りを注視している次第である。
(問)名護のヘリポート建設について、大田知事が(反対の)姿勢を表明したが、日米関係の今後という観点から、外務省はどのように受け止めているのか。
(報道官)そもそもこのヘリポートの問題については、我が国政府としては、大田知事の強い要請を受けて、普天間飛行場の返還につきアメリカ側と合意したものある。その普天間の代替ヘリポートとして、5分の1の規模で、安全で、騒音もなく、環境への影響も少なく、かつ撤去可能な海上施設を現時点で最良の選択肢として提案し、地元の理解を得るために最大限の努力をしてきたところである。大田知事は海上ヘリポートを受け入れられないと表明したが、住民の暮らしと隣り合わせで危険な状況にある現在の普天間飛行場がそのままの状態で残ってしまうこととなるので、極めて憂慮にたえないところである。日米関係という点から申し上げれば、日米両国政府はSACOの最終報告の着実な実施に引き続きコミットしており、政府としては米側と引き続き緊密に協議、協力していきたい。
(問)SACOの着実な実施ができる見通し如何。
(報道官)今の時点で申し上げれば、海上ヘリポートが受け入れられないということであるならば、普天間が残ってしまうということになるので、それは政府として非常に憂慮しているということで、今後の対応については更に考えていく必要があると思う。
(問)本日米側と連絡は取ったのか。
(報道官)取っていると思うが、具体的に何時に誰がということは、自分(報道官)は承知していない。
(問)小渕大臣がクック英外相と電話会談をしたようだが、米側とはどうなっているのか。
(報道官)午前に小渕大臣とクック英国外務大臣との電話会談があった。イラクが関連安保理決議に度重なる違反をおかしているという状況の下で、米、英等の関係国が事態の正常化に向け、真剣な外交的努力を行っているという状況において、その一環として行われた意見交換である。米との間について申し上げれば、イラク情勢を巡って様々なチャネルを通じて、密接な意見交換を行っている。今後もそのような意見交換がいろいろな形で行われる。その手段については、今いろいろ考えているところである。
(問)この(日英)電話会談は朝の会見で大臣が言われた、少なくとも長野オリンピック中には戦火が交えられることがないようどのようなことができるか早急に検討したいと言われが、その流れの中での電話会談と解釈してよいか。
(報道官)この電話会談でのやりとりのポイントは既にブリーフィングで説明しているが、小渕大臣の方から英国の外交努力を高く評価しており、日本としても本件を外交的に解決するための努力を続けていきたい、またこの点につき英とも協力していきたいということを話され、クック英外相の方からも、日本とは緊密に協力していきたいという答えがあったということである。今ご質問の点については、小渕大臣の方から、明日から長野で冬季オリンピックが開かれるということに触れつつ、オリンピック停戦決議の存在について十分に認識して頂きたいということを言ったわけである。そういう形でオリンピックとの関連でのわが方の関心を伝えたということである。
(問)そうであれば、英とはあったのに米とは外相の電話会談が行われないのはどうしてか。
(報道官)先程も申し上げたが、米国との間においても、イラク情勢を巡って様々なチャネルを通じて密接な意見交換を行ってきているわけであり、そのような意見交換を通じて、米国もオリンピック停戦決議の存在を十分認識するに至っているものと考えている。更に今後のさらなる対応というものについても検討しているところである。
(問)オルブライト米国務長官との電話会談の実現に向けて努力されているのか。
(報道官)今後のさらなる対応については、いろいろどのようなやり方があるかということを引き続き検討している。
(問)クック外相と会談したということは、現在、英国や米国が安保理で新しい決議案を準備しているということも、この日英電話会談の理由の1つになったのか。
(報道官)英もいろいろな形で外交的努力を続けているわけである。特にクック英外相は、サウディとクウェートを訪問して、この電話会談があった本日の午前11時半ごろというのは、ロンドン時間では午前2時半であり、帰国されたばかりではなかったかと思う。他方、伝えられるような安保理における英国の努力というものもあるわけであり、全体としての日英というか、英国の外交的努力を私ども聞き及んでおりますし、それを評価しつつ、また英国との関係ということで考えれば、このイラクの問題ばかりでなく他のいろいろな地域における問題について、日英間のいわばグローバルな協力はいろいろ進んできている。それらの一環として一緒にやっていきたいという話があったということだと理解している。
(問)4日にマカリー報道官が「国益以外に考えていることはない」と発言したが、これは先程言われたチャネルで日本政府に伝わっているのか。
(報道官)いろいろなチャネルを通じて、いろいろな意見交換を行っているわけだが、それぞれの立場というか、米国の立場とか、それから私どもとしてはオリンピックがありますよということはお互いに通じ合ってきていると思う。ただ、先程も申し上げたように、イラクが国連の関連安保理決議に度重なる違反をおかしているという状況の下で、いま行われていることは米国も英国も含めて、その他の関係国が事態の正常化に向けて真剣な外交的努力を続けていこうということである。外交的努力はまだ終わっていないし、まだ続けているということを申し上げておきたい。
(問)イタリアのフルチ国連大使が安保理の改革問題で書簡を出し、イタリアとしては安保理改革は非常任理事国の拡大にとどめるべきであるとの趣旨の態度を明らかにした。これは、日本とドイツが擬せられております常任理事国の拡大に反対ということを明らかにしていることにつながると思うが如何。
(報道官)フリチ大使が公表された書簡の中身は私(報道官)は必ずしも詳らかにしていないが、日本としてはこの安保理の改革問題について、安保理の実効性ということと、安保理の正統性というか代表性というか、そういう2つの要請が満たされることが必要であるという立場から、いろいろなアイデアも出しつつ、関係国と協議してきているわけである。イタリアの今回のフルチ大使が言われていることがどういうものかは必ずしも詳らかにしていないが、今までのイタリアの伝えられる立場と同じものであるとすれば、それはわが国の立場と必ずしも相容れるものではないと申し上げておいた方がよいかと思う。
(問)ルービン米報道官が米が北朝鮮に対して20万トンの食糧援助を行う旨発表したが、わが国に対しても新たな食糧援助の要請があると思うが、わが国の立場如何。
(報道官) ご承知のように、我が国の北朝鮮に対する食糧支援は、1995年6月に赤十字を通じて無償15万トン、延べ払い輸出で15万トンの計30万トンのコメ支援を行った。また95年10月に20万トンを追加的に延べ払い輸出している。それから昨年4月にまた国連の統一アピールがあったわけで、これに対して米、韓国等が供出を行ったということがある。昨年10月になってまた国連統一アピールがあったのに対して、わが国は世界食糧計画が行う幼児及び医療機関に対する緊急に必要とされる食糧の調達等に対し、2700万ドルの貢献を行うこととした。この中でわが国政府米が6007万トン調達ということであるが、そういう援助を続けてきているわけであり、いま要請があればどうするのかということであるが、それはその時の状況を踏まえて検討していくということである。
(問)現在までに特に要請といったものはあるのか。
(報道官)私(報道官)が承知しているものはない。
報道官会見要旨 (平成10年2月3日(火)17:00~ 於 会見室)(報道官)橋本・エリツィンプランの柱の一つであるロシア企業経営者の養成計画関連の話だが、この計画自体は振り返るとクラスノヤルスクで両首脳が合意した橋本・エリツィンプランの下でロシア国内に設置している日本センター等において、ロシアの企業経営者および公務員の養成を助けるために、当面1000名程度を現地講座の受講生として受け入れる。同受講生の中で成績優秀者を中心に当面500名程度を目途として、日本企業等その他研修機関で行われる研修のために招聘する。その第一陣が今回日本に招聘される。55名のロシア企業経営者が2月15日(日)から3週間わが国を訪れ、金融、銀行、経営管理、マーケティング等の分野の研修を行う。今回招聘する研修生はモスクワ、ハバロフスク、ウラジオストク、及びユジノサハリンスクにある日本センターにおいて、昨年実施された講座の成績優秀者、ロシア政府からの推薦者等である。一行は東京到着後東京の研修機関で研修を受けたり、講義を受けたりする。例えば、日本の社会、文化や日本の伝統工芸、日本的経営管理、戦後日本の経済復興等のトピックについて話を聞いた後に、東京または北海道の民間企業において視察研修を行うこととなっている。また、今回の研修には今申し上げた55名のロシアからの研修生の他にキルギス、ウクライナの日本センターの成績優秀者約10名が参加することとなっている。これが第一回目であるが、二回目については3月末から3週間経営管理及びマーケティングの2分野について研修することを予定している。
また、イラクの関係で丹波外務審議官が在京のアラブ諸国の大使に話をしているが、現在も行われており、この件に関してはこの会見の後ブリーフが行われることとなっている。(問)丹波外務審議官が12カ国の大使を呼んだのは、UNSCOMの査察が完全に行われるようにという協力要請を行うというのが目的と考えてよいか。
(報道官)この件に関しては昨日、柳井事務次官よりイラクの在京臨時代理大使に対して申し入れしたように、われわれが事態が緊迫した段階にさしかかってきていることを極めて憂慮しているわけで、そのような状況の下、イラク政府がUNSCOMと完全に協力するように強く申し入れを行った。同様の立場に立つ他の関係国と共に様々な外交努力を行っているところであるが、その一環としてアラブ諸国の大使の方々にもわれわれの立場を説明するというものであった。
(問)今日の人事で北海道大使がなくなったが、どのようないきさつか。
(報道官)北海道担当大使は、北海道に随時いて北海道の住民の方々に対して外交問題等をを説明するために置いてきたが、そういう役割の大使が重要な役割を果たしてきたものと認識している。ただ、同時に国内の皆さんに外交問題の理解を深めていただくという観点から、逆に北海道だけではなく、他の地域の方についても随時話をしていけるような立場の者が必要であろうとの判断から、今回木村大使には国際貿易・経済関係、地球環境問題、そして今お話のあった外交政策広報担当ということで3つの帽子をかぶってやっていくことになる。外交政策広報担当に関しては様々な国際問題についての知事等への助言、および地方自治体との意見交換、わが国の外交政策および国際情勢についての様々な都道府県の方々に対する広報活動をしていただくということを考えている。北海道と特定されていたのが一般化されたと考えて頂くのがよいと思う。
(問)自民党の一部から北海道担当大使の廃止が意見として出されていたが、逆に広報担当の大使が必要ではないかとの意見が省内の議論にあったのか。
(報道官)省内でいろいろ検討した結果である。
(問)今までそういう部分が欠落していたという認識だったのか。
(報道官)一般論として地方の方々にわれわれの行っている外交政策および国際情勢についてのお話をしていくことが重要であると考えている。特定の人間でなく、様々な人が出ていって講演の中で話をすること等も必要と思われ、これからもその努力は続けていくつもりであるが、必ずしもそれがわれわれの思うほどに充分にはいっていないということがあるので、この一人の大使に外交政策広報ということも担当して頂いてやってもらったら宜しいのではないか、との結論に至った。
(問)外務報道官組織との関係如何。
(報道官)補完しあうと考えて頂いてよいと思う。
(問)講演、シンポジューム等を補完して行うのか。
(報道官)補完するというのは、外務報道官組織の国内広報課が中心となってアレンジする行事がもとよりあるが、そのような場において外務省から参加して各県等に伺って話をする人は、色々な人が行くわけである。それと同時に知事の方々と話をしていくとか、地方自治体の方々と意見交換をするとか、都道府県の方々に話をしていくとか、木村大使について言えば木村大使の仕事の一環として特定されるということによって、報道官組織の仕事と相俟ってざまざまな効果が上がってくるもの期待している。付け加えるとするとアメリカで「パブリック・ディプロマシー」という言葉がよく使われる。これは外交は外の国のこと、外の国の人々に対することを相手にしているものであるにしても、国内でいろいろ理解して頂くことが必要であるという意味で、外交政策に対しての国内の理解を深めていくためにどういう努力が必要かという問題を含んである言葉である。例えて言うならそのようなことをやって頂いたらどうかということである。
(問)報道によると遅浩田国防部長が千鳥ヶ淵の戦没者公園に献花をするということであるが、外務省からそのようなことを打診したりしたことはあるのか。
(報道官)その報道を見、チェックしたが、打診したということもないし、千鳥ヶ淵で献花を行うという予定もない。
(問)イラクはロシアに対し条件付き査察受入案を出したが、これがどう実現していくと見ているのか。また、これで緊張が若干も緩和されると見ているのか。
(報道官)ロシア大統領特使としてバグダッドに行ったポスヴァリュク外務次官がフセイン大統領と会談して、8つの大統領関連施設についてUNSCOMの査察を条件付きで認めるということをイラク政府が言ったと報道があったが、その後の報道ではイラク政府はそのようなことはなかったということを言っているということもあり、今の時点でコメントしにくい。最初の報道だけに基づいて言えば、8つの大統領関連施設についてのみ、条件付きで、例えば国連代表でなく、各国から権限を委託された代表者で査察団を構成し、国連安保理常任理事国の外交官が必ず同行するということを言っているようだが、もし、そういうことだとすると、そもそも湾岸戦争の停戦のための条件として「イラクは無条件で査察を受け入れる」ことを定めた安保理決議678を遵守しないということになってしまうという問題がある。他方イラク側の対応が必ずしもはっきりしないという点があるので、その詳細を確認しつつ慎重に検討する必要があると考える。
(問)アナン国連事務総長がイラクの石油総額、現在20億ドルに32億ドル追加するよう案を出したようだが、わが国としてこれをどう評価していくのか。
(報道官)いろいろな努力の一環としてそのような勧告があったようだが、今後更に安保理等によって検討を加えていくものであると思う。現時点でわれわれがどうこう言うのは早いと思っている。
(問)先週も伺ったが韓国の外交部長官の国会での答弁において、韓国側に政策の変化があったかどうか確認は取れたのか。
(報道官)韓国外務部長官が実際に国会で何を発言したのかという点に関し、在韓国大使館を通じて韓国外務部に照会したところ、「未だにその発言の議事録が作成されていない。議事録が作成されるまで、発言の正確な内容は確認できない。」ということであり、それと同時にわが方の大使館から韓国国会事務局に対して議事録の作成状況について照会したところ、「議事録作成には通常2週間程度かかる。」との回答を得た。柳長官の国会での発言内容の確認にはもう少々時間がかかるということであり、その点はご理解頂きたい。この件について、柳長官の発言の内容自体は今申し上げたような事情で確認出来ていないわけだが、報道されているような柳長官の政策変更と見るべきか否か、その点について変更があったという確認が韓国政府からあったというわけではない。
(問)議事録は先方がそう言うにしても、そういう変更があるのかどうか、日韓漁業協定についても今まで言っていることと違うし、もう一つの従軍慰安婦の問題についても明らかにあれは政策の変更だと思うが、それについてもそういう変更があるのかどうかは外務部に直接大使館から照会できるのではないか。
(報道官)その点も含めて発言内容を、実際に長官が国会でどういう発言をされたかという点を確認中である。
(問)もし発言されていなくても、またその議事録が出来なくても、そういう変更があるのかどうかは確かめられるのではないか。
(報道官)事実関係について自分(外報官)が今申し上げられることは、事実関係について今申し上げたような形で照会している訳であるが、韓国側から来ている回答は今申しあげたような事情で、発言内容自体はまだ確認出来ない、議事録もまだ作成中であるということである。ちなみに柳長官の国会答弁に当たって、外務部の事務方は同行していなかった由であり、外務部を通じての内容の確認も出来ていない。従って、政策の変更があったかのような報道があったわけだが、その事実を外務部として確認してきたということはない。
(問)では、「あなた方は方針変更をしていないですね」という確認はしていないのか。そういうことは日本政府としてはしていないということか。発言の有無の確認が今の段階であるのか。
(報道官)われわれとしてしていることは、慰安婦問題についての日本政府の法的立場は今まで明らかにしているとおりであり、それを繰り返してきている。それから、そういう報道があったが、その報道で言われている柳長官の発言は正しいものか否か、ということを確認している状況であり、それについての確認は得られていない。
(問)わが国として、こうした発言が行われていたのであれば、これは重大な問題であるという認識を持っているのか。
(報道官)まず、発言の内容を確認することが先決であると考える。
(問)ただ、これだけの発言内容と言われるが、一応これだけのものが流れているわけであり、これをどう認識するのか、そして重大な問題だから確認をしよういうのか。それとも、それほど大したことでもないけれども一応確認するというのか、そこはどういうことになっているのか。
(報道官)これまでも申し上げているように、漁業協定の終了通告ということがあったわけだが、それと同時に日韓の友好的な関係は維持していく必要があると思っている。そういう意味で漁業協定の問題が他の分野に波及しないようにしていきたいという気持ちをわれわれは強くもっているわけであり、そのこと自体は韓国側にもさまざまな形で伝えてきている。そう言う観点から、この柳長官の伝えられる国会での発言についても、まず事実関係を確認する必要があると考えて、その確認を行っているところである。
BACK / FORWARD / 目次 |
| ||||||||||
![]() |