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報道・広報担当審議官会見要旨 (平成9年11月28日(金)17:00~ 於 会見室)
報道・広報担当審議官が代わりに会見を行いました。(審議官)対人地雷全面禁止条約の件につき、本日の外務大臣及び官房長官の記者会見でも明らかにしたところであるが、それを敷衍して、その記者会見で述べられている「今後5年を度に100億円程度の支援パッケージ」といった新たなイニシアティブの具体的内容について説明したい。その内容は
この関連で昨日出した中米での米州機構の対人地雷除去活動に対する資金拠出についての記事資料があるが、これについて是非注目してもらえば有り難い。日本政府としても対人地雷の除去活動をしている米州機構(OAS)の特別基金に対し5万ドルの拠出を行うことを決定しており、これはまさにこの一環である。さらに中米に対しては今までもニカラグア、ホンジュラス等に支援を行ってきており、その一環として捉えて頂ければ有り難い。
- (1)国連等に対する拠出金を通じた国連の地雷問題担当部門の強化
- (2)カンボディアが明年5月に予定している被埋設国間の地雷除去に関する南南協力会議開催の支援
- (3)我が国の地雷除去関連機材・技術の供与
- (4)義肢製作、職業訓練等についての技術協力
- (5)医療、リハビリテーション等にかかわる施設、機材の供与等を想定している。
(審議官)本日及び明日にかけて兵庫県の神戸においてG8神戸雇用会議が開催されている。これについても記事資料が出ているので着目して頂ければ有り難い。本件会議は、過去二回のG7雇用会議(デトロイト、リール)に続くものであり、リールにおいて永井労働大臣が提唱し開催する運びになったものである。この会議にはG8各国の雇用担当大臣及び産業担当大臣が招待されている他、オブザーバーとしてOECD,ILO,国際自由労連、国際使用者連盟といったところが招待されている。我が国からは堀内通産大臣、伊吹労働大臣はじめ外務、通産、労働各省の事務方が参加している。これは橋本総理の世界福祉構想の一環であり、また来年のバーミンガム・サミットに向けての日本の一つの貢献であると考えている。
(問)クメール国民党のサム・ランシー党首がカンボディアに帰国したと伝えられ、これを皮切りに現在外国にいる政治家たちが帰国するのではないかと見られているが、これはカンボディアでどういう影響を及ぼすと見ているか。
(審議官)我々が従来から述べていることは、明年のカンボディアにおける選挙の自由公正な実施、その前提となる国外滞在中の政治家の早期帰国を非常に重視していることである。先般来日したフン・セン第2首相に対しても、カンボディア政府による反対派政治家の安全な帰国の保証について確認を求めたところである。また先般来日したサム・ランシー・クメール国民党党首に対しても帰国を慫慂してきたとこである。これを受け、今般、サム・ランシー党首が27日にカンボディアに帰ったわけであるが、我々としては、日本のこのような働きかけが成功した例であると考えている。事実、タイ政府から我が方大使館に対し、まさに日本のそういう働きかけのおかげで今般サム・ランシー氏が帰ったと述べている旨連絡が入ってきている。我々は、まだ現時点で14名ほどの政治家というか、必ずしも野党という区分ではないが、政治家がまだ国外に残っているわけである。我々は、国外にいる政治家の安全な帰国と自由な政治活動の保証が非常に重要であると考えており、引き続きそうした方向で働きかけを行いたいと思っている。また、国連もその方向で現在考えており、まさにモニタリングの実施を国連がやることを決めたところであるが、その関連で要員も(今はまだ派遣されていないが)これから行くということであると承知している。我々はそういう政治家の帰国、特にサム・ランシーといった有力政治家の帰国というものは、それなりに前向きなシグナルだろうと思っている。他方、選挙法というものも重要であり、これを早く国会を上程するということも重要だと考えている。ラナリット前第1首相の帰国という問題も残っている。我々は(ラナリット前第一首相が)早く戻るという方向で関係者に働きかけを行っていきたいと考えている。
(問)ソウルでの漁業協定交渉(審議官級)の進捗状況如何。
(審議官)自分(審議官)が先程聞いた限りにおいては、まだ交渉は続行中である由であり、その意味でとにかく我々は韓国政府の協力も得て、できるだけ早く本件につき実質的な進展を図っていくこと、可能であれば11月中にもと申し上げてきた。そうした意味で、とにかく最大限出来ることをやっていくということであろうと思う。今述べたとおり、協議はまだ終わっているわけではないし、そういう意味でもう少し進展を見守りたいと思っている。
(問)日本の金融システム不安について外国からかなり厳しい不信の目が向けられているようである。大蔵大臣の会見或いは日銀総裁の会見で株が乱高下したり、ジャパン・プレミアムも放出しているようだが、外務省として日本の金融システムに対する不信感除去で何らかの手だてを打っているのか。
(審議官)我々としては、金融・通貨の問題については、第一義的に大蔵省が対処しているという政府部内での区分がある。しかしながら、それを前提に金融・通貨問題がここまで大きくなったその過程を振り返ると、その国々、例えばタイ、インドネシア、韓国といったようなところで大変な経済問題が惹起されてきたわけである。そういう意味で、どういうような国内経済体制にあるのか、どういうような状況にあるのかについて、現地の大使館、特に大使のレベルにおいて先方政府からの申し入れを受け止め、それを(大蔵省を含めた)政府部内にきっちりと伝えていくということが主要な役割である。また、それに基づいて、今回のAPECのような場において、首脳レベルできちっとした対応ができるような準備を外務省としてやってきている次第である。
報道・広報担当審議官会見要旨 (平成9年11月21日(金)17:00~ 於 会見室)
報道・広報担当審議官が代わりに会見を行いました。
(審議官)高村外務政務次官とミニグ国際赤十字委員会前ペルー代表との昼食懇談会についての一部報道の中で、政務次官の発言について、政務次官の真意と違う点があったので、誤解のないように指摘しておきたい。
政務次官が言ったのは、「フジモリ大統領は、周到に武力衝突の準備を進めながらも、一方で、かなりぎりぎりの時点まで、平和的解決の可能性も追求していたと思う。」という趣旨である。この点を明らかにしておきたい。(審議官)2001年を「国際ボランティア年」として宣言する旨の決議が11月20日、ニューヨークで開催されている第52回国連総会において、わが国の提案に基づいて採択された。本件決議には、わが国を含め 123カ国が共同提案国に加わった。
本件決議により、次の事項が実施されることが決定された。
(1)2001年を国際ボランティア年と宣言する。
(2)各国政府、国連システム、政府間機関、ボランティア団体、NGO等に対し、互いに協力してボランティア活動の認識を高め、助長し、ネットワークを構築し、促進するための方法につき模索することを慫慂する。
(3)国際年の準備、実施、フォローアップのための中心的役割を果たす機関として国連ボランティア計画を指定する。
(4)国内、地域及び国際レベルにおいて、マスメディアの積極的な参加を含む、ボランティアの促進及び広報キャンペーンを実施することを呼びかける。
このボランティア年の制定は、わが国のみならず、世界のボランティア活動に対する認識の向上及びその活動の促進に寄与するものと期待している。(審議官)20日午後、安保理は、イラクが米国籍職員を含めUNSCOMのイラクへの復帰を受け入れるという意図を表明したことを受けて、非公式協議を開催し、プレスステートメントが出た。日本としては、今般のイラク側の決定を受けて、UNSCOMの職員がイラクに戻り、査察活動が再開されるに至ったことを歓迎する。今後は、22日より再開される予定のイラクでのUNSCOMの査察活動の状況を注視しつつ、関係国と緊密に協議しながら引き続き安保理での対応に取り組んでまいりたい。
(問)米はなお空母、戦闘機及び空軍機の増派を続けており、イラク領内には空軍機180機とのことであり、武力衝突の危険性は去っていないようだが、外務省の認識如何。
(審議官)私どもは米がP5の会合を受けて、外交的な解決を図っていくという意図表明をやっていること、また現在のオペレーションは、いってみれば予備的、プレコーションというか、予防的な色彩を帯びているものと承知している。
(問)予備的、予防的といいながら空母等、ミグ、ミサイル攻撃に向けた増派であり、湾岸戦争以来の軍事展開だと言われるが、これは準備的措置というにはちょっと大きすぎるものではないか。
(審議官)国際社会として、どういうふうにイラクの今回のUNSCOMを巡る問題に圧力を高めていくかという、その過程での米国のいろいろな行動は、両面あり得るわけで、米国自体もミリタリー・オペレーションというか軍事活動がまだ時期尚早であるという発言をしているということも承知しており、そういう意味から自分(審議官)は、予防的というか、そういうような色彩であろうと思っている。いずれにせよ、今後我々は、今回の合意を踏まえて、イラクが国連決議をきちっと順守していくことが非常に重要であると思っている。
(問)日韓漁業協定交渉の再開が遅れている。APECの際に日韓外相会談も行われるそうだが、漁業協定交渉再開の糸口につながってくるのか。
(審議官)これは何分にも交渉であり、交渉相手もあることである。私どもは、今回の漁業協定交渉は国連の海洋法条約の趣旨を踏まえた、新たな漁業秩序を確立するという意味で、非常に重要な作業であると考えている。難しい交渉が続いており、交渉妥結の見通しについては、まだまだ予断を許さないが、一日も早く協定締結に至るべく、全力を尽くしているところである。今回のバンクーバーにおける日韓の外相レベルでの出会いといった場を通じて、韓国側の協力も得て、11月中にも実質的な進展がみられるように、最大限の努力を傾注する考えであることには変わりはない。ただ、見通し如何との質問に答えるのはなかなか難しい。要するに我々だけで交渉をやるわけでは無いので、日本側としては最大限の努力を傾注するということである。
(問)韓国で金融不安が伝えられているが、日本に対する支援を求める声もあったというふうに伝えられているところ、外務省の現状認識及び対応如何。
(審議官)私どもは現在の韓国経済のファンダメンタルズは、基本的に強固なものであると考えている。19日に発表された韓国の金融市場安定化政策を含めた適切な経済・金融政策の断行により、市場の信頼を回復して、早期に韓国の通貨・経済の安定が図られることを期待している。
(問)日本の支援がなくても、この韓国の政策の断行により、回復できるというふうに考えるのか。
(審議官)IMFに支援を求めるとか、わが国に支援を求めるとか、いろいろな報道があるが、まずIMFについては本日午後、韓国の財政経済院長官が記者会見で「IMFへの支援要請についてはまだ正式決定はしていない」と述べたと承知している。また、日本に対する支援についても、韓国からの具体的な支援要請は、現在のところきていないと承知している。日本としては、韓国の今後の経済・金融政策の動向等を注意深く見守っていきたい。
報道官会見要旨 (平成9年11月14日(金)17:00~ 於 会見室)
(報道官)最近日米中ロ4カ国の安保対話について報じられていることもあり、その点についての当省の考え方を説明する。
我が国を含むアジア太平洋地域の平和と安定を確保していくためには、この地域における米国の存在と関与を前提とした上で、域内諸国間の信頼醸成を促進することを通じて、安全保障環境を向上させていくことが重要と考えている。このような観点から、我が国としては、中国及びロシアを含め周辺諸国との間で、二国間及びARF等の多国間の様々な場において、安全保障対話を行い、その強化に努めているところである。
また、この地域の安全保障のためには、日、米、中、露の4ヶ国の間に良好で安定的な関係が構築されることが重要と考えており、この観点からは、我が国としてはこれまで通り日米関係を基軸としつつ、同時にこれら4カ国の関係がそれぞれ前向きに前進していくことが肝要と考える。なお、政府としては日米中ロの4カ国の間で政治対話の場が設けられれば、各々の二国間関係を補完するものとして、地域の信頼醸成に資するものと考えるが、その実現に至る道筋等は種々検討していく必要があると考える。(問)与党訪朝団が間もなく帰国するが、今回の訪朝団の交渉の成果と政府の見解、今後の日朝交渉に関する現在の姿勢如何。
(報道官)与党3党代表団の帰国後十分にその内容を聞く必要があるが、とりあえずの受け止め方としては、この度の与党訪朝団が北朝鮮側との間で率直かつ有意義な意見交換が行ったことを外務省として評価する。他方、今後の日朝正常化交渉の再開については、既に行われた予備交渉でできるだけ早く再開していくということで、日本と北朝鮮との間で合意をみているという経緯がある。今回この関連で、如何なる話し合いが党と党との間で行われたかについて、我々としても聞いていく必要があると考える。
さらなる人道支援については、森団長も触れられているようであるが、国際機関からまだ実際にアピールが出されていないので、今の段階で何をするか考えるのは時期尚早であると思う。
拉致疑惑問題については、今回、北朝鮮側が一般の行方不明者として調査を行うこととする、と与党訪朝団に述べたと承知している。その具体的内容や意味合いについても、帰国後、十分話を聞く必要があると思う。(問)本件については、国連へ訴えるという計画もあったと聞いているが、これも訪朝団が帰国後話合いの内容を聞いてから行うのか、それとも並行してやるのか。
(報道官)本件については、既に小渕大臣が先般国連総会出席のためにニューヨークに出張した際に、国連側とコンタクトした経緯がある。なお、今度のこと(拉致疑惑)については、我々はとりあえずのところを承知しているだけにとどまっており、森団長をはじめ訪朝団に参加された方々から十分にお話を伺っていく必要があると考えている。
(問)話を聞かなければ分からないことであろうが、一般行方不明者として調査するというのは従来より大分踏み込んだ発言だと思うが、この言葉自体どのように評価しているか。
(報道官)「一般行方不明者」という言葉が具体的にどのような意味合いで使われているかは、直接聞いた話ではないので、よく分からないところがあり、森団長の話を聞かないと評価は難しい。この言葉が我が方がこれまで取り上げて来た、いわゆる「拉致疑惑」と実質的な意味で同じか、そうでないのかということも分からない。いずれにせよ国交正常化予備交渉において、わが方はこのいわゆる「拉致疑惑」について取り上げ、それからわが方の赤十字と北朝鮮赤十字との間で日本人配偶者の一時帰国についての協議をした際にもこれを取り上げたが、政府としても、機会を見て取り上げてまいりたい。
(問)予備交渉の際に日朝の連絡協議会で、行方不明者の調査をすることでは合意していると思うが、その文脈と今の一般行方不明者の調査は同じだというような判断か。
(報道官)記者会見の模様を聞くと、いわゆる拉致疑惑というものは存在しない問題であり、それを取り上げることは国交正常化交渉の再開に向けた環境醸成という訪朝団の趣旨に沿わないというのが、北朝鮮側の立場であったわけであるが、日本側の立場を考慮し、朝鮮民主主義人民共和国と関係のないことであるとしつつ、一般の行方不明者としてその調査を行うことにすると述べたということである。それが実際上、どのような意味合いのものか、今までわれわれが取り上げてきたことと合うものか、今の段階ではお答えしかねる。
(問)現時点で今回の訪朝団について、韓国側から何か言ってきているか。
(報道官)今のところ担当の課からそのような話は聞いていない。
(問)本日中近東アフリカ局長からイラクの臨時代理大使に対し申し入れを行った際、イラク側が、日本がイラクの石油輸入に絡む人道物資のイラクへの持ち込み、購入を邪魔している趣旨の発言をしたことに対し、わが国は反論したと聞いているが、その詳細如何。
(報道官)わが国は人道物資の対イラク輸出に関して安保理決議661を忠実に守って実施してきている。奢侈品、建設資材、テレビ、カメラといったような物資は、医療目的や人道上の物資以外の輸出を禁止する本件決議では認められないので、過去にそのような要請がイラクからなされた時、我が国として輸出を承認しなかった経緯がある。これは国連の決議に沿ったことであり、イラク側から何ら非難を言われる所以はない。なおこの 国連決議661号は、医療目的や人道上の食糧等の輸出に関するものであるが、わが国はそれだけではなく、基礎的な民生品、即ち歯磨き、石けん、衣料といった身の回りの品についても輸出を認めてきており、本当にイラクの国民が求めているものについては積極的に対応してきている。従って、アジズ副首相の非難は正しいものでなく、われわれの行っている措置をイラク側は理解すべきであると考える。
(問)アジズ副首相の非難は国際世論をミスリードすることになり、日本にとって誠に不快なものだと思うが、抗議は考えているのか。
(報道官)当に今朝、登中近東アフリカ局長からアリ臨時代理大使に対してこの点につき申し入れを行った。なお、質問にも関係があるので、今朝の大臣記者会見における質疑に関連し若干説明すると、もしもイラクがU2機撃墜といったような軍事的挑発を行うならば、国際社会の強い反発を生むことになる。わが国としては、イラクがこのような軍事的挑発を行わないよう強く要求する。わが国としては、このようにイラクに対して最大限の自制を働きかけつつ、この問題の外交的努力による解決を図りたい。この関連で、10月23日の安保理決議1134の採択の際と同様、今回東京、ニューヨーク、パリの3カ所においてイラクへの外交的働きかけを行っていく所存である。その際に、人道物資の対イラク輸出についてもきちんと説明していく考えである。
(問)港湾荷役協議に関し、FMCによって課せられた日本3社に対する課徴金150万ドルは支払われたと承知している。これに対し日本としては日米友好通商航海条約に基づく協議を要請していたと思う。これに対する米側の反応如何。
(報道官)日米通商航海条約に基づく協議の開催自体に米側が反対しているわけではないと承知しているが、いつ、どのような形で行うかについては、まだ先方から具体的な回答は無く、現在調整中である。
(問)この協議がもたれた場合、わが国としては150万ドルの返還を求めていくのか。
(報道官)9月分の課徴金として既に徴収が行われた 150万ドルについては、返済しない旨オルブライト長官発斉藤駐米大使への書簡の中でも明らかにされているようである。いずれにせよ、この課徴金の徴収は、われわれとして認めることはできず、この制裁措置にかかわる問題をこの協議の場で話していきたい。
報道官会見要旨 (平成9年11月11日(火)17:00~ 於 会見室)
(報道官)本日(11日)の大臣会見で触れられたイラクによる査察妨害の件だが、これまでのイラク政府の対応は、国際社会との間に緊張関係を生じさせることなっており、我が国はかかる事態を極めて憂慮すべきものと考えている。我が国としては、イラクが関連安全保障理事会決議に従って、直ちにUNSCOMと完全に協力するとともに、その義務を無条件、かつ完全に履行することを期待している。
そのような認識に基づき、本日(11日)午前、登中近東アフリカ局長より、来訪したアリ在京イラク臨時代理大使に対し、米国人のみを拒否するイラク政府の決定は受け入れがたいこと、UNSCOMの行動を妨げるような行為を撤回すべきこと、U2偵察機の撃墜警告は容認し難く、最大限の自制を強く要請したいこと、このままイラク側が適切な行動をとらなければ、安保理として必要な措置をとることとなろうこと、以上のような点については、安保理の中で基本的な意見の違いはないこと、等を強く申し入れた。
これに対し、イラク側はUNSCOMの査察体制の下で、対イラク制裁解除の見通しがつかない状況であり、制裁解除に向けて検討が開始されるべきである。米国人査察官がいる限り、制裁解除は困難と考えている。イラクの主張に対する日本政府の理解と支援を求めたい、等を主張した。また、我が方の申し入れについてはいずれにせよ本国に伝達する旨述べた。(問)このままイラク側が適切な措置をとらなければ安保理としては必要な措置をとることで意見が一致とのことだが、この「必要な措置」とは具体的に何か。
(報道官)具体的にはいろいろな動きがあるかと思うが、我々として承知しているのは、既に発表されているが、米国が新たな決議案を検討しているということである。4点からなる決議案であるが、バランスのとれたものであり、日本としても本決議案が正式に安保理に提案されるならば支持することが可能と考えている。また、この4点の内容を見る限り、安保理メンバー中でも反対する国はあまり無く、本決議が採択されるのではないかと考える。
他方、イラクが安保理関連決議を完全に履行していくかについては予断を許さない。まだ事態は深刻である。
いずれにしても、我が国は現在、安保理メンバーであり、今後の安保理における本問題の審議に積極的に参加していく考えである。(問)米国は既にU2偵察機を飛ばしており、U2機に対する攻撃が行われた場合には武力行動をとることを明らかにしている。これに対し、中国、ロシアの外務大臣は武力行動に関しては慎重であってほしいとの姿勢である。我が国はどちらの立場であるか。
(報道官) 米国がいかなる選択肢も排除しない旨述べていることは承知している。また、過去においてもイラク軍がミサイル照準を米軍機等に合わせた際は米国は自衛上の観点から措置を取ったことも承知している。
いずれにせよ、今回の状況は極めて憂慮すべきものとなっているが、実際にイラクがU2機等に対しミサイル照準を合わせるような事態に陥らないよう、安保理の決議等に基づきイラクが所要の措置を取ることをを期待する。従って、現段階で実際に武力行使が行われた場合、どのような対応振りをするかについて日本の考えを述べることは時期尚早と考える。(報道官)9月の橋本総理の訪中以来、日米中露の首脳レベル等の直接接触が活発化している。首脳レベルでは、先般の米中首脳会談、クラスヤルスクにおける日露非公式首脳会談があり、本11日には橋本総理と李鵬総理との間の日中首脳会談が予定されている。また、13日には小渕外務大臣とプリマコフ外相との日露外相会談が予定されている。このことは、冷戦が終了したことを如実に示すものであって、日米中露首脳間の直接の接触は、21世紀に向けた新たな国際秩序を形成していく上で積極的な意義をもつものと考える。我が国としては、アジア太平洋地域の安定のため、主要国間の政治面でのより一層の協力関係が進むことを希望する。
他方、我が国はクラスノヤルスクでの日露非公式首脳会談において、APECへのロシア参加への支持を表明した。21世紀におけるアジア太平洋地域の更なる繁栄のためには、今月末にヴァンクーヴァーで開催が予定されているAPECの成功が極めて重要であると考える。我が国としては、ヴァンクーヴァーAPECの成功に向け可能な限り努力して参りたい。(問)昨日(10日)の次官会見の際、フンセン第二首相のラナリット殿下に対する措置に関し、ラナリット殿下は裁判を受けるべきで、有罪になれば恩赦を受けることに「フ」第二首相は反対しない旨述べており、次官は、(「フ」第二首相にとり)精一杯の対応であり理解する旨述べた。一方、「ラ」殿下は「フ」第二首相発言に反発する声明を出し、公平な裁判であれば受け入れる用意がある旨の発言もしている。外務省として、「ラ」殿下発言の詳細を確認しているか。
(報道官)「ラ」殿下の発言に関しては、我が国としてその真意が如何なるものであるか確認はしていない。ただ、現実問題として、既にカンボジア国内で司法手続きが取られている。例えば有罪判決が出た段階で、「フ」第二首相はシアヌーク国王に恩赦を求めることも来日の際に明言している。
重要な点は、フンセン第二首相来日前のソー・ケン内務大臣来日の際に、日本が来年5月の自由で公正な選挙の実施のために、いろいろな面での努力につき働き掛けをし、「ソ」内務大臣の帰国後、こうした我が国の考え方や米国またはASEANがこれまで述べてきた事に沿って、具体的行動をとり国会における選挙関連法の審議においても着実に成果が上がっているということである。従って、我が国としては、来年5月の選挙実施に向け、全体として良い方向に進んでいると認識している。
「ラ」殿下個人に対する裁判が今後どのようになっていくかは状況を見守らなければならない。その間、果して「ラ」殿下が裁判の判決が出るまでに帰国するか、判決後に「フ」第二首相が言っているように恩赦、自由な政治活動の保証が出来てから「ラ」殿下が帰国するかは見ていかなければならない。
いずれにせよ、着実に自由で公正な選挙に向けての準備が進められていることは、我が国として評価する。今後ともカンボディア政府が議会と一緒になり、そうした方向で着実に準備を進め、実際に5月に自由で公正な選挙が実施される運びになることを強く期待する。(問)アムネスティー・インターナショナルが日本における外国人拘禁者への虐待で日本政府を非難しているとの報道があるが、事実関係如何。
(報道官)本日(11日)午前、スーザン・ウォルツ「ア」国際執行委員長は高村政務次官と会談した。先方の述べたところは概要以下のとおりである。
日本の人権状況については改善していると認識している。日本が今後国連人権委員会をはじめ国際場裏において人権分野で一層積極的な役割を果たしていくことを期待する。「ア」は今般、日本に関する人権報告書を作成したが、外務省がこの報告書を日本政府部内で関係省庁に配布し、政府としての取りあえずのコメントをとりまとめてくれたことを感謝する。他方、日本に関する人権報告書を提出せざるを得なかったことは残念である。日本は拷問等禁止条約、市民的・政治的権利に関する人権規約の選択議定書を未締結のところ、締結に向けての検討が進んでいるか伺いたい。
これに対し、高村政務次官より概要以下のとおり述べた。
「ア」が世界の人権状況改善のために努力を行っていることに心より敬意を表する。本件報告書については、担当省庁からの取りあえずのコメントを外務省として取りまとめて既にお渡してある。日本においては憲法等において拷問は厳に禁止されている。拷問等禁止条約の締結については更に関係省庁とも良く検討していきたい。
なお、本件の直接の担当は法務省、警察庁であるが、「ウォ」執行委員長はおそらく今法務大臣を表敬訪問しているところと思われる。この発表された報告書について高村政務次官は我が国よりの取りあえずのコメントを出している旨述べたが、我が国のコメントでは、同報告書は全体的に一方の当事者の一方的な主張のみに基づく記述が見られ、不正確な点が少なくない。我が国の拘禁施設は法令に基づき適切に運営されており、日本人被収容者の人権と同様に、外国人被収容者の人権にも配慮した処遇が確実に行われている、と指摘している。
報道・広報担当審議官会見要旨 (平成9年11月4日(火)17:00~ 於 会見室)
外務報道官に代わって、報道・広報担当審議官が会見を行いました。(審議官)「フ」第二首相が、5日から10日までメディカル・チェックのため非公式に訪日する。この機会を捉え、日本政府関係者と会談を持ちたいと考えているが、日程は未だ確定していない。
現下のカンボジア情勢に鑑み、来年5月に予定される選挙が自由かつ公正に行われることが極めて大事であり、この機会を捉えて「フ」第二首相に3点申し入れしたい。
第一は、現在国外に逃れている政治家の安全帰国及びその政治家の国内での自由な選挙活動が出来るよう配慮すること。第二は、ラナリット殿下が来年の選挙より排除されないよう配慮すること。第三に、選挙結果が尊重されること、である。(問)「フ」第二首相に申し入れる3点のうち一番問題は「ラ」殿下の処遇と思うが、日本政府としては3項目を全部絶対的に受け入れるべしとの姿勢で申し入れるのか。
(審議官)「ラ」殿下が出来るだけ帰国できる条件を整えることが非常に重要である。カンボジアの「フ」第二首相側と「ラ」殿下側の2つの意思が働く問題であり、条件が整っても「ラ」殿下の判断もある。我々が重視しているのは「ラ」殿下が帰国出来る条件を整えるということである。
(審議官)沖縄ハワイ会合を11月4日(火)、5日(水)の両日、沖縄県読谷村において開催している。この会合は沖縄政策協議会第10プロジェクト・チーム「国際協力・交流の推進」の一環として沖縄県、ハワイ州、外務省が主催して開催されるものである。
この会合には、大田沖縄県知事、カエタノ・ハワイ州知事ほかが出席する予定であり、「知的・技術協力」、「観光開発」および「環境と開発」を3つの柱として意見交換し、今後の相互協力の方向性を明らかにしたいと考えている。(問)北朝鮮拉致疑惑に関し、外務省幹部がこれまでの政府見解を変えたとの報道があり、その後にそのような事はないとの報道があった。外務省としてはどのような事情だったのか。
(審議官)外務省幹部が亡命者証言の信憑性に重大な疑義を呈したという事実はない。同幹部は記者からの質問に答えて、韓国に亡命した元北朝鮮工作員の証言が、いわゆる拉致疑惑事件というものが明るみになったきっかけとなったとの経緯を述べつつ、一般論として国際的な捜査には種々の困難が伴うとの個人的見解を述べたものと承知している。
北朝鮮拉致疑惑については、捜査当局において所要の捜査が進められており、当局が7件・10名と言っていることをきちんと受け止めている。外務省としても関係機関と連携しながら情報収集を行っている。
北朝鮮に対しては、国交正常化交渉再開のための予備会談、日朝赤十字連絡協議会といった場を捉え、本問題をきちんと取り上げている。また、自民党等からの申し入れを受け、国連に対しても協力を求めている。
いずれにせよ、本件に関しては、従来種々の機会に明らかにしている通り、我が国国民の安全に係わる重要な問題であると認識しており、効果的な方法を考え真剣に対処していく考えである。その方針には全く変更はない。(問)本件に関し、何か働きかけのレベルを強める予定はないか。
(審議官)一般的な方針は申し上げた通り。機会を捉え申し入れていく。
(問)以上の説明は外務省幹部から審議官への説明によるということか。
(審議官)外務省としての見解である。
(問)日韓で排他的経済水域(EEZ)を巡り協議中と思うが、関連して漁業協定交渉は韓国漁船拿捕により韓国側がキャンセルしたとの報道があるが、事実関係如何。
(審議官)EEZ確定協議を行い、引き続き、漁業についても非公式かつ少人数の会合を行うアイディアもあったが、先方(韓国)の都合もあり実現出来なかった。漁業交渉については引き続き調整していくことになっった。
いずれにせよ、早期妥結に向け全力で努力していく。(問)日本当局による韓国漁船の拿捕が(キャンセルの)理由か。
(審議官)全く別問題と考えている。漁業協議は漁業協議ということで全力で早期妥結に向けて努力していく。
(問)対人地雷に関し、日米協議が行われているが、現状如何。
(審議官)対人地雷は我が国の安全という直接的な影響がある問題であり、種々の観点から慎重に検討する必要がある。署名の方向で調整せよとの総理からの指示に基づき、現在関係省庁間で作業中である。その一環として関係諸国、就づく日米安全保障条約を締結し、我が国の安全に直接係わりのある米国と本件につき協議を行うことは極めて重要である。
具体的には、例えば日本が仮に(対人地雷全面禁止条約の)締約国になった場合、駐在する外国軍の管理の下にある対人地雷については我々に条約上の義務はないと考えている。こうした観点でいろいろ検討を加えて、詰めを行っておくことは重要とのことで開催されているものである。これは本日(4日)、明日(5日)と外務省で行われている。米国は明示的に禁止条約に署名しない方針を明らかにしており、そこからの日米間のちぐはぐが起こらないよう、細部の詰めを行うものである。(問)イラク査察拒否で米国がイラクに対し軍事行動を起こす可能性もあるとの見方が出ている。国連特使をイラクは受け入れるようだが、外務省として現地情勢をどのように見ているか。
(審議官)イラクがいわゆるUNSCOM(大量破壊兵器の廃棄に関する国連特別委員会)の米国人査察官の入国を拒否したり、その他UNSCOMに対する協力を拒否している問題に関し、2日、国連事務総長がブラヒミ・アルジェリア前外相をイラクに派遣することを決定し、アジズ・イラク副首相は同特使の受入れを表明したと承知している。また、フセイン大統領も国連に対話を呼び掛けたとも承知している。
これまでのイラク政府の対応は、国際社会との間に緊張関係を生じさせるという見地から極めて憂慮すべきものである。日本としては、イラクが関連の安保理決議に従い直ちにUNSCOMとの完全なる協力を要請する。義務の無条件かつ完全なる履行を期待したい。今週一杯は(イラク側と)特使との対話(結果)を待つという状況と思う。その結果を踏まえ、新たな判断もあり得る。日本はいろいろなチャネルを使いイラク側に懸念を伝えてきている。
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