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記者会見

報道官会見記録(平成9年9月)


INDEX


9月26日(金)の記者会見は、橋本報道官の出張につき休止。
9月12日(金)の記者会見は、都合により中止。
9月5日(金)の記者会見は、橋本報道官の出張につき休止。



・報道官会見記録(9月30日付)
 ・中東和平
 ・ミャンマー情勢
 ・在ペルー大使公邸の取り扱い
 ・日米中安保対話
 ・インド(マルチ社社長人事)


・報道官会見記録(9月19日付)
 ・対人地雷禁止オスロ会議について
 ・ミャンマー情勢について
 ・国連のカンボディア代表について
 ・国連分担金について
 ・北朝鮮への食糧支援について


・報道官会見記録(9月16日付)
 ・高村外務政務次官の第9回SPF域外国対話への参加
 ・日本国民の北方領土への旅行について
 ・フン・セン、ラナリット両氏の訪日希望について
 ・日米港運問題

・報道・広報担当審議官会見記録(9月9日付)
 ・ブラヒミ国連事務総長特使の来日
 ・日朝赤十字連絡協の合意
 ・マザー・テレサの葬儀
 ・韓国のAWACS導入
 ・総理訪中時の台湾関連発言
 ・青木大使のアフリカ紛争問題担当大使発令

・報道官会見記録(9月2日付)
 ・対中経済協力について
 ・ODAの減額について
 ・カンボディア関連
 ・台湾の新体制について




報道官会見要旨 (平成9年9月30日(火)17:00~ 於 会見室)

・ 中東和平

(報道官)我が国は、29日、ニューヨークにて行われた米・イスラエル・パレスチナ人との間の会合において、当事者間の合同委員会の再開に関し合意されたことにつき、和平プロセスを軌道に戻すための前向きの動きとして歓迎する。我が国は当事者の努力および米国の仲介の労を高く評価する。
 和平プロセスは正常化に向け未だ様々な困難な課題や挑戦に直面している。我が国は、当事者が交渉進展のために誠実に努力することを期待する。また、この機会に、我が国は、当事者が治安協力を実施し、一方的措置を控えることにより、話し合いにふさわしい雰囲気を醸成することの重要性を強調する。
 なお、我が国はこれまでも当事者に対し、治安協力の実施、一方的措置の差し控を働き掛けてきたが、今後ともこのような働きかけを継続していく考えである。わが国はかかる当事者の和平努力を引き続き支援していく方針である。

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・ ミャンマー情勢

(報道官)国民民主連盟(NLD)の結党9周年記念集会は9月27、28日に開催された。我が国は従来よりミャンマー政府に対して、NLDに対し抑制と寛容の精神でもって対処するよう働きかけを行ってきている。今回、NLD結党9周年記念集会に対し開催が認められたことは一定の評価に値する。
 ミャンマー情勢の改善にはミャンマー政府とNLDの双方が様々な困難を乗り越え、対話により問題を解決を解決していくことが重要であると我が国は認識しており、4月にアジア局長、6月に総理特使として平林外政審議室長及び8月に高村政務次官をミャンマーに派遣し、ミャンマー政府とNLDが対話を実現していくよう働き掛けてきた。政府としては今後ともかかる働きかけを継続していく。

(問)「一定の評価に値する」という表現だが、まだ足りないことがあるとの意味を含むとの理解で良いか。

(報道官)基本的にそのような事である。昨年に比較して、党の記念集会が開催されたこと自体は評価すべきだが、我々としてはやはりミャンマー政府とNLDが直接対話を実現していくということが必要と考えており、そうした面ではまだ我々の望んでいるように事態は動いていない。従って、我が国としては対話の実現につき引き続き働きかけを行っていく考えである。

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・ 在ペルー大使公邸の取り扱い

(問)昨日の次官会見の関連だが、在ペルー日本大使公邸を取り壊して平和公園にするとの報道に関し、次官は現地の区長がそうした事を言っている旨述べていたが、我が国政府が今後どのようにしていく考えか詳しく聞かせて欲しい。

(報道官)救出作戦により在ペルー大使公邸の建物の構造そのものに被害が出ており、技術的に見ても本公邸を修理し再使用することは不可能な状態である。また、無残な姿をこのまま長い間さらけ出したままにしておくということも好ましくない。こうした観点から、ペルー側の協力も得つつ事務的な準備が整い次第、建物の取り壊しをする予定である。
 なお、跡地をどうするかについては、これは我が国の国有財産であり、国有財産法に基づいた処理が必要である。すなわち、適当な機会があれば、適正な対価で売却するということを考えている。現地区長の話がどれほど具体的なものであるか詳らかにはしていないが、区長の話を含め、いずれペルー側から、即ち、中央政府、地方政府もしくは(ペルーの)一般私人から、跡地の利用につき具体的要望等があれば、我が国としては十分に協議しつつそれを検討していきたい。
 いずれにせよ、国有財産法に基づいた処理が必要であり、無償提供は不可能である。

(問)ペルー政府とも話し合いを行っているのか。

(報道官)ペルー政府も一般的な文脈で跡地を平和公園にすることを、かつて考えていたふしも見られる。しかし、跡地の利用には我が国の国有財産法に基づいた処理が必要であり、まだ現実の問題として、私人も含めペルー側とどのような形で跡地を利用していくかにつき具体的な話し合いをしているわけではない。

(問)結局、あれだけの流血があり、人命が損なわれた場所を公邸としておくのは如何なものかとの理由で、こうした計画が出てきたのか。

(報道官)先程申し上げた通り、技術的に見てもあの土地に新たな大使公邸を建てることは無理であり、また、あのような事件が起きた所にまた建てることについても感情的になかなか難しいところがある。
 従って、建物は取り壊し、さら地にする。新公邸については、候補物件を探しているところである。

(問)時期的にはどの辺をメドに新しい用地の選定を済ませるのか。事件発生一年後といった目途はたっているのか。現実に在ぺルー大使がホテル住まいであれば、例えばレセプションを開催する場合でも差し障りが出るのではないか。

(報道官)一方で物理的に候補物件がどれほどあるかということによる。鋭意物色中であるが、そう早い間に結論を出すということにもいかない。また、具体的な予算の手当てがついているわけでもない。
 従って、新公邸をどのようにするかについては、まだ検討に時間がかかる。

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・ 日米中安保対話

(問)中国の銭其シン外相は29日、北京で日本の報道機関の政治部長等と会い、日米中三国間の安全保障対話について、政府レベルでは未だ無理だが、民間レベルでは可能性があるのではと前向きの対応をした旨の報道がある。この銭外相の発言について外務省としてどう考えるか。

(報道官)銭其シン外相の発言については、現在北京を訪問中の日本の報道機関に対し述べたことと承知しており、我々(政府)に対し直接話があったものではない。
 かかる前提の下、我が方の考え方について申し述べれば、アジア太平洋地域において主要な役割を果たしている日米中の三カ国が、この地域の問題について対話を深めることは重要と考える。かかる認識に基づき我が国は、米国及び中国との間で、一般論として日米中の3カ国が対話を深めることの重要性について指摘してきており、これに対し両国とも同様な意見を表明してきている。
 他方、対話の態様等については今後更に米中と協議していくこととなるが、まずは非公式かつ率直な意見交換の枠組みを作っていくとの観点から、民間レベルの対話も有意義と考えている。この観点から、銭其シン外相が日本の報道機関に対し民間レベルでの三カ国対話に前向きの姿勢を示したことは勇気づけられるものである。

(問)「民間レベルの対話」とは、どのようなものが考えられるか。例えばシンポジウムや学者交流といったものか。

(報道官)いろいろ考えられている。こうしたことに経験を有する民間の機関もある。今後、関係者との間で協議をしていくことになる。

(問)外務省として、こうした民間のレベルでの対話を促進するために、何らかのサポートをすることになるのか。

(報道官) まだ具体的にそこまで話し合うところには至っていない。
 いずれにせよ、民間レベルの対話は有意義であり、何が可能か、米国、中国とも協議していきたい。

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・ インド(マルチ社社長人事)

(問)インド政府とスズキ社の合弁会社であるマルチ社で、社長人事を巡り対立がある由である。インド工業大臣は韓国や欧米の企業もあり、嫌ならスズキ自動車は(インドより)出て行っても良い旨発言した由だが、民間企業のこととはいえ、日印関係にも影響するのではないか。

(報道官)マルチ社の新社長の指名手続きに関連し、インド政府とスズキ社との間に意見の相違があると承知している。
 これは質問の通り、民間の会社の人事問題であり、日本政府としてはこの問題に介入する立場にない。
 他方、マルチ社はインド国内の乗用車全体の約8割のシェアを有すると言われ、日印合弁企業のシンボル的存在ともなっている。従って我が国政府としては、この問題が日印関係に悪影響を与えるような事態に立ち入らないことを強く希望する。
 デリー高等裁判所は新社長の指名手続き問題については国際商務仲裁機関の決定に委ねるとの判断を9月22日に下したと承知している。日本政府としては国際商務仲裁機関の判断を見守ることとしたい。
 いずれにせよ、本件が円満に解決されることを希望する。

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報道官会見要旨 (平成9年9月19日(金) 17:00~ 於 会見室)

・ 対人地雷禁止オスロ会議について

(報道官)わが国はこの度のオスロ会議において、わが国の安全保障を確保しつつ、普遍的かつ実効的な条約の作成を目指すという基本的方針に基づき、条約の義務履行に関する猶予期間の設定、検証制度の改善などを提案してきた。猶予期間の設定についてのわが方の提案は受け入れられなかったが、検証制度についてはわが方の主張により改善が見られた。わが国としては、実際に対人地雷の使用、輸出などを行っている国を取り込んだ普遍的かつ実効的な対人地雷禁止条約を実現することが重要であることを従来から明らかにしてきている。このような観点から、対人地雷の使用、輸出などを行っている国が参加しているジュネーブ軍縮会議においても、対人地雷禁止条約交渉を早期に開始するよう、関係国と引き続き努力していきたいと考えている。わが国が今後、このオスロ会議で採択された条約に署名するか否かについては、今説明した基本方針に基づいて、この条約テキストの内容を更に検討した上で判断することとしたいと考えている。

(問)わが国は長い海岸線を持つ地形上、対人地雷の保有は重要であり、なくすわけにいかないとの防衛庁の主張があるやに聞いているが、これは外務省も同じ立場か。

(報道官)この条約については人道的観点と防衛上の必要性の観点との調整など、関係省庁との間で十分に検討を重ねていく必要があると考えている。担当の省庁においては、わが国の地理的な状況等についてのいろいろ考えがあろうし、また18日の全体会合で原則例外なし、留保条件なしの条約案がコンセンサスで採択されたということも十分勘案する必要がある。いずれにせよ、この条約の調印自体はまだ先であり、当省と関係省庁との間でこの2つの観点を中心に今後検討を重ねていきたいと考えている。

(問)対人地雷の必要性について、外務省は必ずしも防衛庁と意見を一にするものではないという解釈で良いか。

(報道官)今度の条約交渉に防衛庁と外務省は一緒になって臨み、わが方のいろいろな主張のうち検証制度については受け入れられることとなったが、他の面については受け入れられなかったという厳しい結果となった。そうしたことも踏まえ、今後更に政府としての考え方を検討し、この条約を調印していくかどうかについて判断していくこととなる。

(問)今朝の閣議後の大臣の会見で、大臣は「条約を認めないということは筋が通らない」という言い方をされたが、今の報道官の「わが国にとっては厳しい結果となった」という言い方とは随分ニュアンスが違う感じがするが。

(報道官)事務官として自分(報道官)が大臣の記者会見での発言に対しあれこれコメントする立場にはないが、自分(報道官)が先程言ったのは、今度のオスロ会議に臨むに際して、わが政府が作り上げた方針、それに沿った同会議での努力が必ずしもその通りにはいかなかったという、今までの経緯である。もちろん、大臣も強調されていたように、地雷除去活動については、わが国は積極的に協力してきており、累計約2920万ドルの資金協力を行ってきているという実績がある。他方、今後のことについても、やはり普遍性、実効性という観点から、ジュネーブ軍縮会議においても条約の早期交渉開始について努力をしていくとともに、この軍縮会議における努力を補完するものとしてのこのオタワ・プロセスというものが多数の国参加をみて、今般条約案が採択されたわけなので、そのあたりも踏まえ、また安全保障の観点等についても更に検討を加え、今後政府としていかなる態度を決めていくかについて更に関係省庁との間で検討を進めていきたいと考える。

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・ ミャンマー情勢について

(報道官)この度、国民民主連盟(NLD)とミャンマー政府との間の対話が実を結ばなかったことをわが国としては残念に思っている。わが国としては、従来から明らかにしているように、双方の間の直接の対話の積み重ねが重要と認識しており、ミャンマー政府とNLD双方に対して、さまざまな困難を乗り越え、対話によって直面する諸問題を解決していくことを期待する。今月27日にNLD結党9周年記念集会開催が予定されているが、この集会の開催を巡り双方の対立が一層激しくなることのないよう、双方に節度ある行動をとることを期待する。

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・ 国連のカンボディア代表について

(問)国連総会への代表団の信任について、カンボディアの代表としてフン・セン第2首相、ラナリット殿下のそれぞれの代表が名乗り、アメリカはラナリット殿下の代表団を信任し、中国、ロシアは逆というような状況があるようだが、本件に対するわが国の立場如何。

(報道官)カンボディアの国連代表権問題については、現在、信任状委員会で審議が行われていると承知している。わが国はこの信任状委員会のメンバーではないため、本件についてはこの委員会においてどのような審議が今後行われていくかを見守っていく必要があると思う。事実関係としては、ウン・フォット第1首相及びフン・セン第2首相の代表団がシアヌーク国王の署名が入った信任状を有しているということがあるが、いずれにしても、この信任状委員会における結論がいずれ国総会での投票で決定されることとなるので、その審議の結果を見て、国連総会での投票が行われる時に、わが国としての正式の態度を明らかにしていく方針である。

(問)まだ(どちらかを)判断するには材料が足りないということか。

(報道官)材料が足りないというよりも、その信任状委員会のメンバーではないということなので、その委員会における審議をメンバーでないわれわれとしては当面見守らざるを得ないということである。他方事実としては、シアヌーク国王の署名が入った信任状というものをウン・フォット第1首相及びフン・セン第2首相の代表団が有しているということがあり、その点をとりあえずは指摘させて頂きたい。

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・ 国連分担金について

(問)国連の分担金について、アメリカは自国分は25%を20%に下げ、日本はもっと出してくれと、言っているやに聞いているが、本分担金についてわが国の立場如何。

(報道官)国連改革との関連でということであれば前からも説明しているとおり単なる支払い能力に応じた分担金の支払いというよりも、責任能力に応じた分担金の支払いにすべきであるというのが従来からのわが国の主張である。今の分担金の支払いについては、いろいろ技術的な問題もあり、関係国とすり合わせを行ってきており、まだその結論には達していない。いずれにせよ、来年度のODA予算10%削減という非常に厳しい状況にあり、わが国として主体的にそれを考え、現行の枠組みの中でわれわれとしての考え方をいろいろと説明しているところである。

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・ 北朝鮮への食糧支援について

(問)北朝鮮に対する食糧支援について何か新しい方向性は出てきたか。

(報道官)今まで説明してきたことに加えて、今この場で何か新たなことを説明出来る状況ではない。

(問)ニューヨークでの4者協議はあまりうまく進んでいないようだが、この協議の状況も(わが国が)食糧援助を考える材料になるのか。

(報道官)食糧援助については、国連からアピールが出ていることを踏まえまして検討しているということである。4者協議、またその準備の協議には、わが国が入っている問題ではなく、関係国から情報等をもらっているという状況である。

(問)では4者協議の進捗状況は、わが国の(食糧援助を)検討する要素にはならないという解釈で良いか。

(報道官)要素になる、ならないかという質問の趣旨が良く解らないが、いずれにせよそれぞれは別個の問題ととらえている。

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報道官会見要旨 (平成9年9月16日(火) 17:00~ 於 会見室)

・ 高村外務政務次官の第9回SPF域外国対話への参加

(報道官) 高村外務政務次官は、9月20日に行われる第9回南太平洋フォーラム(SPF)域外国対話に我が国代表として出席するため、クック諸島を9月19日から20日にかけて訪問する。この会談では、地域協力、国連改革及び二国間関係等に関して幅広い意見交換を行うほか、日本政府が10月に東京において主催する日本・SPF首会議に向けて、各国の協力を要請する予定である。この日本・SPF首脳会議について若干の説明を行うと、先に橋本総理が豪州及びニュージーランドを訪問した時に、本年10月に東京においてこの首脳会議を開催する旨先方首脳に伝達した。SPF首脳会議は1971年以来開かれているが、1989年から先進国との対話を開始している。我が国は89年当初からこの対話に参加している。現在対話の相手としては、日本、米、英、仏、加、中国、EC(現在はEU)、韓国である。域外国対話自体は閣僚レベルで行われており、SPFとこれら対話国との首脳会議は、ブッシュ大統領時代にアメリカが開催したことはあったが、今回我が国が域外国としては2番目に、そして我が国として初めて、日本・SPF首脳会議を行うことになった。日本・SPF首脳会議は、経済的自立達成の為に太平洋島嶼国に独自の創造的な経済開発のあり方を探求する、具体的には、我が国と太平洋島嶼国との間の貿易・投資・観光促進のための方策を討議し、また島嶼国の経済的自立を奨励するための意見交換を行うことが目的である。10月13日に飯倉公館において全体会合が開かれ、翌日の14日には昨年作られた太平洋諸島ンターをこれら首脳が視察をするということになっている。尚、より詳細な会議の日程、議題、行事の内容等については現在調整中である。

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・ 日本国民の北方領土への旅行について

(報道官)11月1日及び2日、クラスノヤルスクにおいて、日露首脳会談が開催される。この会談では、21世紀に向けた両国関係のあり方から国際関係に到るまで、広範な意見交換が行われると予想される。他方、以前会見の場で質問のあった、国内の旅行業者が北方領土への観光目的等による訪問を手配したという報道については、その後の調査の結果、我が国としての措置がとられたので説明する。外務省は運輸省を通じて、大手旅行社各社、具体的には、日本交通公社、近畿日本ツーリスト、日本旅行、東急観光、阪急交通社、日本通運、農協観光等を中心にこの件について調査を行ったが、いずれも北方領土への旅行を手配したとの事実はないとの回答であった。政府としては、この機会に北方領土への入域について、平成元年9月19日付閣議了解の趣旨を十分に徹底する必要があると考え、改めて当省の依頼により、運輸省から本邦全旅行業者に対し、北方領土への旅行の手配を厳に慎むよう周知徹底した。

(問) 外国の旅行会社が企画して、それに日本人観光客が参加する場合はどう対処するのか。

(報道官) この北方領土の問題については、わが国として先方の管轄権を認めるようなことになる行為は、日本国の総意として慎むべきとの考えである。政府として、国民一人一人の旅行の自由を制限する立場にはないが、他方国民一人一人が日本の国益というものを十分に考え、そのような行為は慎んで頂くことが必要と考える。

(問) 大手の業者だけではなく、中小についてはそのような調査はしていないのか。

(報道官) 全てについて調査するというのも時間的にも大変であり、このような旅行を手配する可能性がある所を運輸省を通じて調査して貰った。他方、この趣旨を徹底するために、北方領土への旅行の手配を行うことを厳に慎むよう登録されている本邦の全旅行業者に対して運輸省から所要の措置を取って貰った。

(問)「所要の措置」というのは、具体的には文書を出したということか。

(報道官) より具体的に言うと、8月25日までにヒアリングを終え、8月末までに周知徹底するよう要請した。即ち、平成元年9月19日付の閣議了解の趣旨を踏まえた外務省の考え方を8月25日付の文書にして、それを運輸省を通じて全旅行業者に配って貰った。

(問) その文書を配付してもらえないか。

(報道官) 担当に相談するが、その文書の趣旨は、先程述べた閣議了解に記したものである。発端となった8月12日付の北海道新聞の報道が事実とすれば、この閣議了解を尊重して入域を自粛している他の国民との関係で問題であることはもとより、戦後50年以上にわたり一貫して北方領土問題の解決をめざして努力してきたわが国国民の悲願に水を差すものであって、旅行業者がそのような行為を助長しているとすれば、極めて問題であるということが外務省の立場であり、その趣旨を閣議了解とともに説明したということである。(注:後刻貼り出し配布を行った。)

(問) 具体的にその業者が分かった場合は、旅行業者としての免許に関して何か処分をするのか。

(報道官) 今までのところ、大手についてはそのような事実がなく、ともかく趣旨を徹底するために今回の措置を取ったが、具体的にそれが分かった場合に、どうするかについてはまた考えなければいけない。とりあえずはそういうことがないようにという趣旨の下で今回の措置を取ったところである。

(問) 再発防止のためのそのような措置は分かるが、過去のことについて追及しないのか。

(報道官) 我々は全力をつくして8月25日までヒアリングをしたが、そうした事実はわからなかった。とりあえずはこれ以上の調査は無理かと思う。

(問) 数年前にピース・ボートが同じように上陸を斡旋した際には、運輸省に対して旅行業者としての免許を得た上で行ったと主張していたのではないかと記憶しているが、そうだとすれば、今回の措置との整合性如何。

(報道官) 当該事実関係について自分は承知しておらず、別途、しかるべき説明ができるようにしたい。

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・ フン・セン、ラナリット両氏の訪日希望について

(問) 報道によれば、カンボディアのフン・セン第2首相から訪日の意向が伝えられているといわれる。また、ラナリット前首相からも訪日の意向が伝えられているといわれている。これらの事実の確認及びわが国としてどのように対応するのかお聞かせ願いたい。

(報道官) フン・セン第2首相及びラナリット殿下から一般的な形で来日の意向が寄せられている。しかし、具体的な日程等は決まっていない。既に記者会見で幾度か説明したように、わが国はパリ和平協定の尊重、現憲法及び政治体制の維持、基本的人権及び自由の保障、明年5月の自由かつ公正な選挙の実施という原則的立場を表明しきている。これら両氏の来日が実現すれば、これらの点を政府として直接先方に伝えていくことになると考える。

(問) 今の回答では受け入れるかどうかについて言及がなかったと思うが、フン・セン第2首相はともかく、ラナリット「殿下」というふうに述べたということは、もはや「第1首相」ではない、第1首相はウン・フォット外相であるというようにわが国は見ている、扱っていると考えていいのか。

(報道官) 以前の記者会見でもその点について説明したと思う。カンボディアの国内の手続きによる限り、ウン・フォット氏が第1首相に任命されたということになっているが、まだ国内的には若干分からないところがある。しかし、そのようなことに拘泥するよりも、来年5月の自由で公正な選挙の実施が重要であって、(日本政府としては)それを目指して、今(カンボディア政府が)選挙の準備のプロセスを進めるよう支援していくことや、自由で公正な選挙の実施の前提として、政治活動の自由等の基本的人権を尊重するよう(カンボディア政府に対して)働きかけをしている。なお、ラナリット殿下の来日については、一般的な形でその意向が寄せられてきているが、まだ具体的な日程等が決まる段階には至っていない。いずれにせよ、来日の場合には先程述べたような日本の原則的な立場を説明することになると考える。

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・ 日米港運問題

(問) 日米港運問題について、米国は日本商船の米国入港に10万ドルの制裁を発動しており、現にアメリカの3社の船がアメリカの港に入るごとに10万ドルを取り立てられているが、現在の日米交渉の状況と我が国として今後どのように対応していくつもりなのか伺いたい。

(報道官) 9月4日には本件について制裁が発動され、同日、わが方からアメリカ政府に対して、制裁に対する抗議及び即時撤回を求める外務大臣及び運輸大臣の談話の発表、在米大使館を通じた国務省に対する同様の申し入れという措置をとった。昨15日、国務省担当次官補から在米大使館に対して、わが方の申し入れに対する回答が寄せられた。その中で米国政府は、同政府の求めているのは港湾のサービス及び慣行の意味ある改革であって、制裁ではないということ、そしてこの目的即ち港湾のサービス及び慣行の意味ある改革という目的の達成を支援するために、引き続き日本政府と建設的に協力していく用意があるということで、そのような協力の申し出をしてきた。この問題の解決のためには、政府としては制度改革の実現ということが必要不可欠と考えている。従って当省としては、この件についての国内調整を鋭意進めていく必要があると考えている。

(問) 制裁はなお続行中、制裁は発動されて現在も発動中であるということか。

(報道官) 今のままだと、9月分をとりまとめて10月15日までに課徴金を支払わなければならない。そのような事態に至ることを何とかして避けなければならない。先方政府も、制裁そのものを直接の目的とするわけではないと言っている。この問題について、日本の関係者の間で今までも努力して頂いてきている。制度改革について非常に難しい点があることは分かるが、やはりいろいろな点から考えて、なんとかしてこの制度改革を実現するための国内調整が必要であり、また、それを達成することによって実際に課徴金を支払わなければならないという事態を回避していく必要があると考える。

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報道・広報担当審議官会見要旨 (平成9年9月9日(火) 17:05~ 於 会見室) 報道官が出張中のため、報道・広報担当審議官が代わりに会見を行いました。

・ ブラヒミ国連事務総長特使の来日

(審議官) ブラヒミ国連事務総長特使(アフガニスタン担当)が9月14日から17日まで、わが国の招待により来日する。ラフダル・ブラヒミ特使はアフガニスタンを担当しており、元アルジェリア外務大臣である。特使は滞在中、外務省関係者と会談し、アフガニスタン問題に関する意見交換を行う予定である。わが国政府は従来より、アフガニスタンの和平の早期実現を重視し、国連の和平努力を支援・補完して来た。今回の特使の来日に際しても、わが国としてのアフガニスタン和平に関する考え方を改めて伝達する予定である。なお、ブラヒミ特使はアフガニスタン紛争当事者、関係諸国等との協議を目的とする短期間のミッションを遂行するものとして、7月末にアナン国連事務総長から任命され、現在様々な協議を行っている。

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・ 日朝赤十字連絡協の合意

(問) 北京での日朝赤十字協議につき、先程合意文書が発出され、いわゆる第1回目の故郷訪問については合意文書署名から1カ月後ということである。このことは当初予定していた今月末の実現は難しく、来月上旬にずれ込みそうだという理解でよいか。

(審議官)具体的には、合意文書にあるように、この第1回目の故郷訪問は本合意書が署名された日から可能な限り1カ月内に実現することとなっている。私どもも出来るだけ、私どもも今まで述べてきたようなことに留意しつつ行っていきたいと考えている。

(問)帰国者のリスト、特に第1陣については、この合意書を見る限り、資料が整い次第出すとの由なるも、第1次帰国者の名前がまだ示されていないのはいかなる理由によるものか。

(審議官)私どもは、合意文書にある通り、訪問団の規模は10人から15人程度ということを想定しているが、具体的には双方の協議により毎回ごとに決定することになっている。現在までのところ、そのような予定者のリストの提供を受けていないということである。

(問)その提供を受けることができなかった理由を承知したい。

(審議官)この点については、私どもも本件協議の中で、日本人配偶者の中で故郷訪問を希望している方々の数を早急に把握したいという希望表明を出してきたわけであるが、実際には朝鮮民主主義人民共和国側は全ての故郷訪問希望者に関する必要な調査を先ず行って、資料が確定され次第、日本側に連絡するという段取りである。従って、そういうことが背景にあり、今のところは訪問団の規模はこういうことである、ということを申し上げていると思う。

(問)確認だが、北朝鮮側の全ての帰国希望者の調査が済むまではその先に進まないということか。

(審議官)今後、北朝鮮側が予め提供する資料に基づいて、双方で協議を行った上で確定したいと考えている。従って協議のプロセスといった問題は今後話し合っていきたいということである。

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・ マザー・テレサの葬儀

(問)今朝の大臣会見の際、マザー・テレサの国葬についてのわが国政府の対応を伺ったところ、詳細を承知した上で適切に対応するとのことであった。何らかの方針は出たか。

(審議官)マザー・テレサの葬儀に関しては、橋本総理より6日、カルカッタの修道院「神の愛の宣教者会」代表のシスター・ニルマー宛に、マザー・テレサの長年の救済活動をたたえるとともに、その死去に対し心からの哀悼の意を表するとの弔電を発出した。また池田外相より同日、同女史が純粋な信念に基づき貧者のために一生を捧げたことに敬意を表しつつ弔意を表する旨の談話を発表したところである。インド政府はマザー・テレサの葬儀は13日(土)にインドのカルカッタで国葬として行われる旨発表しているが、現在政府としては、いかなる対応が適切かにつき、葬儀の詳細に関する情報をいろいろ集めており、その上で検討したいと考えている。

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・ 韓国のAWACS導入

(問)先週、アメリカ国防総省は韓国に空中警戒管制機システム(AWACS)4機を売却することに同意を求めているとの報道があったが、韓国のAWACS導入についての事実を承知しているのか。また、韓国のAWACS導入の必要性につき米国が疑問を呈していたとの日本の報道もあったが、わが国としては韓国のAWACS導入は理解できるのかどうか伺いたい。

(審議官)そういった報道があることは承知しているが、その問題は何分にも韓国政府の国防政策の問題であるので、我が国としてはこの問題については何らコメントする立場にないということである。

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・ 総理訪中時の台湾関連発言

(問) 今朝の報道で、橋本総理が訪中の際の発言として中国が発表した、「日本は台湾を中国の1地区として認識しており、国連に加盟する資格は全くない」と語ったということにつき、橋本総理が「それはちょっと不正確な見方だ」との発言をされた旨報じられている。この辺は、何故このようなこういうことになったのか教えて頂きたい。

(審議官)中国側がそのようなブリーフを行ったことを承知している。私どもは、日中共同声明の立場を踏まえ、そもそも主権国家のみを構成員とする国連という組織に台湾が加盟することはあり得ないという立場であるいうことを申し上げているということである。

(問)では中国側の発表は誤解に基づいているということか。

(審議官)これは橋本総理の発言をどのように理解し対外説明するという問題であるが、日本側としては、今申し上げたように、わが国としてはそもそも主権国家を構成員とする国連で、日中共同声明の立場を踏まえれば、台湾が加盟するということはあり得ないということを橋本総理が述べたということでご理解頂きたい。

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・ 青木大使のアフリカ紛争問題担当大使発令

(問)青木盛久・前ペルー大使のアフリカ紛争問題担当大使としての発令につき、今朝の会見の時点で大臣は「まだ発令していない」という発言をされた。この点については、9日付で発令するとの資料も出ていたと思うが、事実関係如何。また、もし発令されているのであれば、青木大使は如何なる職務を担うのか。

(審議官) 先ず青木大使の具体的任務について説明申し上げる。ご承知のように、アフリカの紛争問題は大変に深刻な状況にあり、この解決を促進するためには政治的な安定を先ず実現することが非常に重要であり、国際社会が適切な支援を行ない、関与していくということも重要である。その文脈で日本としては積極的な役割を果たしたいと考えている。そのため、国境を越えた関連性を持つ紛争問題を総括的に把握して、いろいろな国と接触を行い、情報収集をし、また各種の国際会議に出席するということが必要になってくる。そのような意味で、本日午後、青木大使が発令されたわけだが、青木大使には以上述べたような役割を果して頂きたいと思っている次第である。因みに、国連であるとか米国、EUといった主要国もアフリカ大湖地域の紛争問題を特別に担当する大使を任命しているという背景がある。

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報道官会見要旨(平成9年9月2日(火)17:00~於会見室)

・ 対中経済協力について

(報道官)日本のある報道機関が、最近我が国の対中経済協力に疑問を投げかける論評等を一度ならず掲載している。そこで、我が国の経済協力と被援助国の軍事支出等との関係について改めて説明する。途上国に対する我が国の経済協力は、ODA大綱原則を踏まえ、軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避に努めるとともに、軍事支出の動向、大量破壊兵器の開発・製造の動向に十分に注意を払って実施してきている。我が国の対中国経済協力についても、個々の協力案件採択に際しては、十分な事前調査を行い、軍事目的の使用の回避については、先方政府に徹底している。そのようなことから、我が国のODAが中国の軍事力増強に寄与しているとの指摘は当たらない。

(問)最初の日本のODAが軍事予算に回されるのではないかとのことに関連して、中国は別として、例えばカンボディアにはかなりの額のODAを出していると思うが、わが国がODAを出せば軍事予算に回されることも考えられる。このODAについて、開発途上国に対し、国によってよく説明を求めることは考えられないのか。

(報道官)開発途上国援助については、わが国はODA大綱の原則に従い、それぞれの国の軍事支出の動向等を見ながら協力している。開発途上国側において、そのような面で良い傾向が現れる場合には、これを助長するために経済協力の額を増やすとか、かつてイラクなどはその典型的な例であるが、問題があると完全に認められる場合には援助を停止するというようなことで、個々具体的にはそれぞれの国の事情等を考えつつ経済協力をしている。いずれにせよ、被援助国側が自主的な判断に基づいてできるだけ必要な資金を民生、経済発展の方に回していくことが必要であって、そういう自助努力を助長するということで、わが国は経済協力をしている。
 カンボディアについては、同国の予算の中でどれほどの防衛費があるかについて承知していないが、今までの経緯からして日本はカンボディアの民主化、市場経済化について相当の協力をしてきた。今カンボディアにおいては、この前生じた国内の政党間の争いが完全に決着をつけていないが、わが方としては、今のカンボディア政府が来年5月の選挙に向けて国連などと協力しつつ、公正で自由な選挙を実施していくための準備を進め、世界の国々の支持を得た形で選挙を実施していくことが当面、一番重要なことと考えている。この面でわが国としても、相応の協力をしていく考えである。

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・ ODAの減額について

(報道官)8月27日に、アナン国連事務総長から、我が国のODA予算10%減額に関連して、橋本総理宛の書簡が届いている。この書簡は、「直面する予算的制約は承知するが、日本政府の決定が実際に与える影響及び期間において限定されたものとなることを希望するとともに、近い将来それを元に戻し、可能であれば増額させるようになることを希望する。その間、国連の援助関係機関が過度に影響を受けることのないことを希望する。」との内容であった。以前にも説明しているように、緒方難民高等弁務官からも拠出金を減額しないように要望が出ている。
 また既に、スペスUNDP総裁、サディク国連人口基金(UNFPA)事務局長、ベラミーUNICEF事務局長よりも、橋本総理や池田外相宛に、我が国政府が引き続き支援を継続することを期待する旨の書簡が届いている。当省としては、こうした国際機関に対し我が国の厳しい財政事情を説明するとともに、国際機関においても、効率的な予算の編成と執行を一層強化するよう求めている。ODAについては10%削減という厳しい状況にあるが、外務省としては、7月8日の閣議において総理より示された「ODAについては、予算編成過程において所管の枠を超えた総合的調整を行う」との方針を踏まえ、引き続き努力していきたい。
 前述の若干の国際機関については、今のままでは来年度の拠出金が今年度に比べて35%から45%削減されることになるが、そうなると、こうした国際機関がたとえ効率的な予算の編成・執行に努力したとしても、大きな影響が出てくる。我が国としては、国際貢献の実を挙げるためにも、今度の予算編成完成期において、大きな影響がこうした国際機関に出ないよう、今後とも当省一丸になって関係各省に説明等働きかけをしていきたい。

(問)いくつか国際機関の名前があがったが、それらの機関はどのくらい減額になるのか。

(報道官)簡単に説明すると、国連環境計画についてマイナス45%、世界食糧計画(WFP)についても45%、中東難民救済計画は44%、国連児童基金41%、国連難民高等弁務官計画(UNHCR)39%、赤十字国際委員会(ICRC)39%、国際連合大学について38%、国連開発計画(UNDP)37%、国連人口基金(UNFPA)35%、国際熱帯木材機関(ITTO)35%の減額になるということである。

(問)先日の会見の際に、(拠出金を)ゼロにせざるを得ないところが30件ほどあると言ったが、いくつか教えてほしい。

(報道官)ゼロにしなければならないプロジェクトのことだと思うが、本日はその点についての資料を持ち合わせていないので、次の機会に説明したい。

(問)概算要求基準をさらに上回るODA予算を要求していくということか。

(報道官)政府間用語を使うなら、査定の期間において増額の査定をして頂くということが正確な表現だと思う。

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・ カンボディア関連

(問)カンボディアの第1首相に選出されたウン・フォット前外相は、その地位がまだ国際的に定着していないような印象を受ける。フォット第1首相は「承認」と言う言葉はおかしいかも知れないが、我が国政府としてどういう立場で見ているのか、改めて聞かせて頂きたい。

(報道官)ウン・フォット第1首相は、カンボディア国会で選任され、チア・シム国家元首代行が当時、第1首相の交代に関する勅令に署名した経緯がある。他方、シアヌーク国王がウン・フォット第1首相の任命を最終的に認めたとは必ずしも言えない。このように、カンボディアの現在の体制をいかにとらえるべきかについては、難しいところがある。わが国としては、やはりカンボディアの国内の体制については、カンボディアの国民の意思に任せるということが一番重要だと思う。
 他方、今の体制というのは、いずれにせよ来年の総選挙までの体制であるので、先程も述べたように、今最も重要なのは来年5月に自由で公正な選挙が実施されるということであり、またそれまでの間において、国際社会が支持し得るような形で選挙のための諸準備が進められていくということであって、それを我々は求めている。
 なお、この選挙の実施について、我々はこれまで応分の協力を行うということを言ってきているが、具体的には先に選挙の実施についての研修ということで、カンボディアは研修員を10人受け入れたということもある。また国連開発計画の方で来年5月の総選挙のための法的な準備等いろいろ行っている。我々もこれに積極的に参加していって、何とかしてカンボディアで自由で公正な選挙が実施されていくよう、でき得る形での協力を続けていきたいと考えている。

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・ 台湾の新体制について

(問)台湾で新しい体制が固まったが、台湾とはわが国は正式な国交はないが、行政組織としての台湾は国際的に厳然として存在する。わが国として、台湾の新体制についてどのように見ておられるのか、またどういうふうに臨んでおられるのかお聞きしたい。

(報道官)わが国は日中共同声明及び日中平和友好条約の精神に基づいて、中国との関係を進めると同時に、台湾との関係については非政府、実務的な関係を続けている。今質問の台湾における政治システムの変化、交代等について、日本政府として公式にコメントするのはいかがかと思う。いずれにせよ、その実務的関係ということで、重要な関係を結んでいるわけで、われわれとしては先程述べた大きな枠組みの下で台湾との関係を維持していきたいと考えている。

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