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報道官会見要旨(9年8月29日(金)17:05~於会見室)
(報道官) 最近、日本の若干の報道機関がケニア情勢に関連し事実に反する報道をしたり、その報道を引用しつつ我が国の対ケニアODA供与の実態と相反する論評を報じたりしている経緯があるところ、関連報道及び本件報道に対する堀内駐ケニア大使の反論を資料として配布すると共に、当省としての見解を申し上げる。
まず第一に、堀内大使の反論の中にも指摘されており、当省が改めて在ケニア日本大使館に確認し判明したことは、反政府集会の際に日本大使館襲撃予告ビラが送付されたとか、日本大使館に抗議デモがあったというような事実はないということである。
第二に、この共同電を引用しつつ我が国の対ケニアODAがあたかも独裁を支えるものであるが如き結論づけをしている産経新聞掲載の論評の内容は我が国の対ケニアODA実態と相反するものである。(問)この産経新聞の論説については、この場での発表及びこの堀内大使の反論で外務省の意思を表明したということで、これ以上の新たな申し入れ等を行う考えは現在のところはないということか。
(報道官)この2つの報道機関による報道に対し、堀内大使の見解を理解して頂きたいということで、昨日、報道課長及びアフリカ第二課長が2社の幹部に連絡を取り、わが方の考え方を伝達するとともに、堀内大使の見解を報道するよう要請した経緯がある。残念ながら、われわれの要望は受け入れられなかったことから、この記者会見を通じて、わが方の立場を説明させて頂いたということである。
対人地雷問題
(報道官) 我が国は、今般、留保付きながらも米国及び豪州がオタワ・プロセスに相次いで正式参加を決定したこと等を踏まえて、オスロ会合の重要性がさらに高まったとの認識の上、8月28日与謝野官房副長官が明らかにした基本方針に基づき、このたびの同会合に正式参加することとした。
我が国としては、オスロ会合では、我が国の安全保障を確保しつつ、実際に対人地雷の使用、輸出等を行っている国を取り込んだ、普遍的かつ実効的な条約の作成を目指す考えである。
なお、我が国としては、多数国間軍縮条約の交渉経験が豊富で、重要な国を参加国とするジュネーヴ軍縮会議においても条約交渉が開始されるよう、関係国と共に引き続き努力していく考えである。(問)米国は朝鮮半島の非武装地帯での対人地雷使用は例外とすべきとの留保条件をつけているようだが、これを日本としては支持するのか。
(報道官)わが国としては、対人地雷の全面禁止が全世界的な規模で実現されていくことを望むものであるが、同時に関係国、即ち米国あるいはわが国の安全保障もそれぞれ確保されなければならないと考える。そういったことから、全面禁止からの朝鮮半島の例外化といったような国家安全保障上の利益を確保していくとの米国の考え方をわが方としては理解するものである。
(問)現在のところ、この例外化は朝鮮半島だけなのか。キューバ等の例外化もこれから出てくるのか。
(報道官)われわれの理解では、地域として米国が主張しているのは、例外とする対象は朝鮮半島である。
(問)この例外化を認めれば、ここも例外、ここも例外と、結局はザル法になってしまう恐れもなしとしないとの声はあると思うが如何。
(報道官)なかなか難しい質問だが、オタワ・プロセスに参加している国と、またジュネーブ国際軍縮会議のメンバーとは異なっており、対人地雷を多く生産したり使用している国の中には、ジュネーブ軍縮会議に参加していても、オタワ・プロセスには参加していないという国もある。理想だけ言ってみても、実効的な条約がなかなかできないで終わってしまうので、一方において理想を追求するとともに、他方において実効性確保の観点から、現実を正しく認識しながらこのような問題に取り組まなければいけない。従って、オタワ・プロセスにおいて、米国が国家の安全保障の利益上、どうしても必要という考えを持っていることについては、われわれとしても理解をせざるを得ないと考える。
(問)国家安全保障上の利益となると、これはむしろ米国そのものよりも韓国と非常に関係が深いと思うが、これについて韓国の立場を把握している。
(報道官)韓国のこのオタワ・プロセスに対する立場については、正式に参加しているかも含め、承知していない。
日米防衛協力ガイドライン見直しについての韓国側よりの申し入れ
(報道官) 8月28日午前、在韓国日本大使館より韓国外務部に対し、韓国政府から示された立場に対する我が方の考え方を伝達した。その際の申し入れの主要ポイントは、指針見直し作業において透明性を引き続き確保するものとしており、今後とも韓国に対しても折に触れ説明していきたいと考えている。
将来の問題として、実際の日本の活動が韓国の主権と関わるような形で実施される場合には、当然のことながら韓国との間で調整されるべきと考える、の2点である。ロシアの核爆発実験
(問)米国防総省の会見でも話題になっているが、ロシアがノバヤゼムリャ実験場近辺で核爆発実験を行ったのではないか、米国は爆発による地震波を探知したと発表との報道がある。これについてどの程度承知しているか。
(報道官)本件の事実関係については、米国と連絡を取りつつ、現在調査中であるが、いまだ明らかになっていない。引き続き米国と連絡を取りつつ、事実関係の解明に努めていきたい。なお、米側の発表も、「核爆発に固有の特徴を持つ地震波が発生したとの情報を有している、この情報は今なお検討中である、ロシア及び他国と対話を行っている」とのものであり、米国においても現在検証の過程にあるものと理解している。
(問)わが国の観測機関はこの地震波を観測しているのか。
(報道官)承知していない。
(問)もう1つ核実験関連の質問だが、米国が未臨界(臨界前)核実験を9月にも行うとの情報があるが、外務省としてこのことを承知しているか。
(報道官)本年4月4日、米国エネルギー省は本年6月及び本予算年度、即ち9月末までに二度の未臨界高性能爆発実験を実施する計画を有していると発表した経緯がある。そうした発表の下で、実際に7月2日に未臨界高性能爆発実験が実施された。
(問)大臣はこの米国の未臨界実験は、条約で縛られているものではないし、問題はないとの発言をしておられた。これは核実験包括禁止条約交渉の中でまた核実験が拡大されるとの米国に対する批判の声は内外に強いようだが、外務省の立場としては問題ないとの態度なのか。
(報道官)外務省の立場は、既に本大臣よりご説明されている。即ち、包括的核実験禁止条約(CTBT)においては、未臨界高性能爆発実験は禁止されていないというのがわが国を含め国際的な認識である。この核爆発を伴わない実験については、現時点では有効な検証手段が存在していないという事情もあり、将来の課題として検討されるべきものと考えている。
報道官会見要旨(平成9年8月26日(火)17:05~於会見室)(報道官)中国のWTO加盟に関する日中2国間協議が、27日から29日まで当省において開催される。橋本総理大臣並びに池田外務大臣等関係閣僚が機会あるごとに明らかにしているように、わが国は中国のWTOへの早期加盟を支持してきている。その意味でもわが国は今次協議を重視しており、中国側も同じ考えを有していると理解している。
今次協議では、中国側の関税引き下げ、非関税措置(数量制限)の撤廃、サービス分野の自由化などについて交渉を行うことになるが、わが方としては、来週の橋本総理大臣の訪中もあり、中国側がこれまでの日本側の要求を踏まえ、関税、非関税、サービスについて実質的な自由化オファーを行うことを強く期待する。
「指針」見直しと韓国の立場表明
(報道官)当省としては、「指針」見直し作業の透明性を確保するとの観点から、種々の日韓間の協議の場を通じ、この問題について説明していく考えである。今般の19日の韓国外務部からの立場表明については、回答していく予定であるが、まだ具体的な日取りは定まっていない。なお、「指針」見直し自体について、韓国政府と調整すべき性質のものはないと考えている。
(問)回答が出ればはっきりするかも知れないが、これまで日米安保、韓米安保でそれぞれが2国間の安保という形で来たわけで日韓間は軍事的には何もなかった。今度今のような形で説明を求めてきたのは初めてではないか。臨検だとか掃海艇だとか、あるいは韓国の領海に入るとかいろいろと報道されているものだから、ああいう発表になったのだと思うが、その辺の背景はどう受け止めているのか。また、先ほどガイドラインの見直しについては韓国側と協議する性質のものではないと言ったが、韓国側は見直しについて協議してほしいと言っているのか。
(報道官)見直し作業が終わっていない段階で、どこまで説明し得るか若干じくじたるものがあるが、自分(報道官)が申し上げたかった点は一般的に言って、日米防衛協力のガイドラインそのものについてはあくまでも日本とアメリカとの間で考えていくべきもので、そういう意味でその内容について事前に韓国側と協議をしなければならないというものではないということだ。もちろん、新たな指針が確定された後に、韓国の主権と関わるような活動が実施されるような場合には、韓国との関係でしかるべく調整を行うということは当然である。先方は主権国家であり、もしもその主権の及ぶところで何か関連するようなことが出てきた場合には、その国と話し合わなければならないということになると思う。
質問の第1点については自分(報道官)は事実関係を知らないので答えられない。今まで日米の安保条約の運用等について韓国側がどのようなことを言ってきたかということについては、しかるべく勉強させて頂く。安全保障の担当者間でいろいろ意見交換はしてきたが、対外的にこのような話をしたことがあるかは自分(報道官)は承知していない。今度の韓国側の申し入れの中では、透明性を維持して欲しいということを、協力活動の具体的な範囲だとか、要件の明確な規定などの措置を講じることを期待する、といったことが触れられている。その辺のことについて、われわれとして今の段階で答えができることを答えていきたいということで検討している。(問)透明性を確保するために今まで機会あるごとに説明してきたということは聞いて分かっているが、今度は掃海艇が入ってきて臨検だとかするとの話が韓国民に伝わるから、それを払拭する意味で韓国政府は公にしたのだと思う。日本側から回答をする時期というのはそれなりに意味があると思うが、指針が確定するまでは回答しないということか。
(報道官)今の段階で韓国政府が「指針」見直しそのものに対して大きな関心を持っているということであるので、日本側としては出来るだけ早く、今の段階での日本側の考え方を回答して行きたいと考えている。
(問)では指針が日米間で決まった後ではないのか。
(報道官)透明性を確保ということから今説明すべきことは、なるべく早く説明していきたい。
駐留軍用地特措法の代理署名関連
(報道官)地方分権推進委員会において議論されている駐留軍用地特別措置法の手続きのうちの代理署名の問題については引き続き地方分権推進委員会において検討が行われ、9月2日の第3次勧告において結論が出されることになっているので、当省としては、その検討の結果を見守っていきたいと考えている。他方、外務省としては、日米安保条約の施設・区域の提供の義務を果たすため、円滑な提供のための手続きが整備されることが望ましいと考えている。
スパコン問題
(報道官)日米包括経済協議の下に、スパコンの調達に関する協議があり、この協議においてスパコン調達全般に関する議論とともに、ダンピング調査に関する説明をわが方としては米側に求めたいと考えている。前回のスパコンに関する年次レビュー協議が96年2月に行われて以来、既に1年以上経過しており、わが方から米側に対して本年度のレビュー協議実施について申し入れを行ってきているが、具体的な日取りを定めるところまでには至っていない。
(問)昨日、次官はNECが控訴していることでもあり、その経過を見守りたいと言ったが、通産省の方ではこのNECの控訴については、これは民間のことなので一応距離を置き、スーパーコンピューター協議をやっていきたいというふうに言っているようだ。この辺の整合性はどうなのか。
(報道官)当省においても、通産省においても、ダンピング有無については、これは個別企業の問題であって、政府としてコメントを行う立場にはないということを一致して考えている。ただ昨日も次官から説明があったように、ダンピング調査開始以前の米国政府部内の対応については、その不透明な点が見受けられるので、その点については機会あるごとに明確な説明を求めていくということである。この点についてはスーパーコンピューターの年次の協議の場があるのでこの場で先方政府の意見を求めていくことについて外務省と通産省との間で意見の差はない。他方、ダンピング調査そのものについては、先程も申し上げたように個別の企業の問題であるということから、個別企業の努力に委ねるとともに、わが国としては一般的な形ではあるが、米国の所要の機関が公正な判断をしていくことを望むものである。
在京アフガン大使館の取り扱い
(報道官)現在、在京アフガニスタン大使館において、ラバニ政権派遣の外交官(一等書記官)1名が臨時代理大使として駐在している。1979年以降、わが国はアフガニスタンの累次政権を政府承認してきていない。他方、在京アフガニスタン大使館は国家としてのアフガニスタンの公館であり、外交関係に関するウィーン条約上、わが方が在東京アフガニスタン大使館に対して負う義務は、政府が未承認であるということによって消滅するものではないと考えている。わが方としては、この大使館の維持という最低限の必要性に鑑み、この臨時代理大使に対して外交査証を付与してきている。わが国は在京アフガニスタン大使館が代表しているラバニ政権を政府承認しておらず、現在、わが方と在京大使館との間の外交活動ないし接触は制約を受けている。即ち同大使館と外務省との間において、公式の接触がないということであり、公文書の交換といったようなことも行っていない。
(問)臨時代理大使として一等書記官がいると言ったが、わが国としては大使としての扱いはしているのか、それとも認めていないということか。外交活動や接触は制約を受けているということか。
(報道官)わが国としては政府承認をしていないということで、いろいろの制約を受けているわけである。従って、今いる在京アフガニスタン大使館の一等書記官が本来の正式の意味の臨時代理大使としての扱いということでよいのかどうかについては、もう少し調べさせて頂きたいと思う。いずれにせよ、このラバニ政権を代表している外交官ということでその活動を認めているものではなく、あくまでもこの大使館の維持という最低限の必要性ということから外交査証を付与しているということであるので、自分(報道官)が申し上げた臨時代理大使というのは、本来の意味ではなく、通称というようなことを一応理解している。
概算要求でのODAの扱い
(問)各省の概算要求に関する動きが出て、自民党に対する説明も行われている模様だが、外務省の場合、ODA10%カットということも打ち出されている。まだ本予算までは時間はあるとはいえ、このODAをどういうふうにしていくのか、いろいろ悩ましいことがあることはこの間聞いているが、その辺りの事情を願いたい。
(報道官)本日、自民党の関係者に今度の概算要求に臨む当省の基本的な態度を説明した。質問のODA関連については、6月3日の閣議決定に従って対前年度10%減の範囲内で要求するという厳しいことになっている。今までこういった場で何回か説明させて頂いてきているが、ことに国際機関への拠出といったことを考えると、義務的経費の増大ということ、円安ということ、そういった中での10%減ということで、非常に厳しいところが出てきている。既に関係の国際機関の長からもわが政府に対して、あまり大きな削減はしてほしくないという要望が出されているが、今の閣議決定に従って外務省だけでこの問題を処理する場合には、例えば国際機関に対する任意拠出については大幅な削減を行わざるを得ない。例えば、いろいろな拠出の形があるが、約30件の拠出についてはゼロにしていかなければいけない、というようなこともある。
今日の段階では、個々具体的な国際機関についての話は説明出来ないが、国際機関によっては35%から45%の減額ということにもなっていくと思う。いずれにせよ、約20%減というようなことが拠出金の関係で出てくるわけである。またこれは国際機関に対する拠出だけでなく、2国間の技術協力とか無償資金協力にも影響が出てくる。外務省としては、7月8日の閣議において総理大臣より示された「ODAについては、予算編成過程において所管の枠を越えた総合的調整を行う」という方針を踏まえて、概算要求の提出後、できるだけ速やかに技術協力、無償資金協力の2国間援助及び国際機関への拠出金(特に人道、人造り、環境分野)などにつき大幅な追加要求をお願いする予定である。(問)およそ30件の国際機関への拠出をゼロにせざるを得ないというのは確定的なことか。
(報道官)これは、今のところ10%減というものを外務省限りでやるといった場合に、自動的に出てくる結果である。そのようなことにならないためにも、何とか政府部内の中でこの問題について知恵を出して頂き、今までの国際貢献の大きな柱であったODAの事業があまり大きな形で削減となり、関係の国際機関等への負担にならないように、何とかしていきたいと考えている。
(問)予算編成過程での努力によって何とか維持していこうという気持ちは分かったが、その努力によりその拠出をゼロにしないことが可能なのか、それともどう努力してもその拠出をゼロにせざるを得ないところが出るのか。
(報道官)今の概算要求は9月1日に正式に出すものであるが、今のままだと国際機関への任意拠出の面で非常に大きな影響が出てしまうということである。ただ、先程も申し上げたように、7月8日の閣議における総理のご指示もあるので、これから12月にかけての政府部内における来年度概算要求の編成の過程において、何とかして所管の枠を越えて、この問題があまり大きな形にならないで、財政が厳しいという中においても何とか国際貢献を適切な形で進めていくことができるような結論を出していきたいと、外務省も必死になって頑張っていきたいということである。
(問)ODAの関係省庁との調整はいつごろ、どんなレベルで行うのか。
(報道官)まだ概算要求を提出しているわけでもないので、今の段階からそういったことについて言うことは出来ない。ただ今のままの概算要求だけではとてもやっていけないので、是非ともわれわれの苦しい気持ちを分かって頂いて、何とか所管を越えた調整を実現していきたいという考えである。非常に難しいということはよく分かっているが、外務省としては一丸となってそのために努力していきたいと考えている。
報道官会見要旨(平成9年8月22日(金)17:00~於会見室)(報道官)今回のネタニヤフ首相の訪日は、近年イスラエルと我が国の関係が進展している中で行われるものであり、これを歓迎している。我が国としては、中東地域の平和と安定にとって重要な責任を有する同国との協力関係を発展させたいと考えており、今回の訪日を重視している。
首脳会談では二国間関係とともに中東和平問題が主要な議題となろう。中東和平プロセスは、本年2月以降停滞しており、日本としても現状を深く懸念している。特に、先月末の自爆テロ事件以降、交渉再開の動きが中断し、イスラエルによって封鎖措置や税還付金の送付停止が行われ、西岸・ガザ地域における社会環境が困難を増していることは、極めて憂慮すべき事態である。米国はロス調整官を派遣して、治安協力に関する仲介努力を再開したが、このことは評価できる。他方、南レバノンにおいて18日から21日にかけてヒズボラとイスラエル軍等の間で攻撃の応酬が繰り返され、緊張が高まっていることも懸念される。
かかる状況下、基本的にイスラエル、パレスチナ両当事者が和平プロセスの正常化のために前向きの雰囲気の醸成に向けて努力することが不可欠である。我が国は、これまでパレスチナ側に対し治安協力の重要性につき申し入れてきている。他方、封鎖措置や税還付金の送金停止については、パレスチナ経済の自立にとって悪影響を及ぼすのみならず、和平反対派を勢いづけることにもつながっており、封鎖は解除すべしというのが我が国の立場である。
首脳会談では、ネタニヤフ首相より、現状と先方の政策方針について説明を受けるとともに、我が国としても引き続き和平プロセスを支援していく方針を確認しつつ、上述のような我が国の立場をふまえて同首相の和平努力を働きかけることとなろう。
ハタミ・イラン新内閣の発足について
(報道官)我が国政府としては、極めて高い投票率の選挙で国民の大多数の支持を受け、ハタミ師が次期大統領に選出されたことに注目しており、今回「国民の政治参加」、「言論の自由」、「法による支配」推進等を掲げるハタミ内閣の全閣僚が国会で信任されたことを歓迎する。
我が国政府としては、これらのハタミ内閣の施政方針に基づき今後より民主的、開放的、自由なイランへと自ら変革していくことを期待している。いずれにせよ、我が国政府としては、湾岸地域の重要国であるイランの動向について大きな関心を有しており、引き続き同国の動向を注視していきたい。 我が国は従来よりイランに対する国際社会の懸念を共有し、イランがかかる行動振りを改善していく為に、一方的封じ込め政策ではなく、率直かつ断固たる申し入れを行うとともに、現実的な政策をとるよう鼓舞するとの政策をとってきている。
ハタミ内閣の発足は、変革を求めるイラン国民の声が、反映された結果であると認識している。ハタミ内閣は「国民の政治参加」を進めるとしており、民意に基づく施政が、次第に対外関係においても、より現実的な行動につながることを期待している。
日朝国交正常化交渉再開のための予備会談について
(問)日朝予備会談は先程、再開されたとのことだが、現状はどうなっているか。
(報道官)本日未明まで会議が行われ、その後、協議を再開しようということで、お互いに連絡を取り合ってきたが、つい先程、課長級の協議が始まったと聞いている。協議は真面目な雰囲気の下で行われていると承知している。またこれまでの協議では、日朝国交正常化交渉再開に向けての段取り及び日朝間の諸懸案について意見交換が行われたと了解している。
(問)課長級ということだが、審議官級の協議に入れるかどうか、見通しは如何。
(報道官)課長級の協議が再開されたばかりなので、今後どのようになっていくかについては、課長級の協議が終わってみないと見通しについて説明することはできない状況にある。
(問)諸懸案の中で日本人妻の里帰りについては、報道では15人というのもあるが、実際にどのような議題になっているのか。
(報道官)まだ協議が終わっていないこともあり、個々のことについての説明は控えさせて頂きたい。
(問)今回の協議はまだ途中であるが、仮にこの協議が終わった段階で、例えば日朝双方で合意文書を出すとか、今回はその種の協議になるのか。
(報道官)質問について答えるだけの材料を持っていない。いずれにせよ先程申し上げたような2つの議題の下で審議官級の協議と課長級の協議が昨日から今日の未明にかけて行われ、また現在引き続き課長級で行われているということであり、今の段階では申し上げることはできない。日朝国交正常化交渉が中断されて久しく時間が経、今予備協議が行われているという段階であるので、今回の協議でどのようなことになるかについて、見通しはなかなか申し上げられる状況にない。
李鵬首相の梶山発言批判について
(問)中国の李鵬首相がクアラルンプールで講演し、先日から話題になっている梶山官房長官の周辺事態に対する発言を批判しているようであるが、その辺の事実関係はどうか。またこれをどのように思うか。
(報道官)クアラルンプールの「ホテル日航」において、李鵬首相が「21世紀の友好と良き隣人関係に向けて」と題する講演を行い、その際に行われた質疑応答において、質問に応じて日米防衛協力等について発言されたものと承知している。冒頭の講演の中で李鵬首相が述べられたものではなく、質問に答えたものであるということ、そういうものとして受け止める必要があるのではないかと思う。なお、その中で李鵬首相は「日本の一部に軍国主義的な傾向が見られることには懸念を覚えざるを得ない」としているが、わが国の実態を見て頂ければ、日本国民の大多数がそのような軍国主義的な傾向は持っていないということはお分かり頂けるところと思う。その問題も含め、日本が中国との友好関係強化について真剣に取り組んでいくということを今度の橋本総理の訪中の際に直接、橋本総理大臣から李鵬首相にお話をする機会があるわけで、そういったことを通じて、日米防衛協力及び安保体制といったものに対する正しい理解が中国側において進んでいくことを期待する。
米空母の小樽入港について
(問)小樽市長がアメリカの空母が入港することを受け入れることを認める発言をしたが、その点外務省としてどう受け止めているか、また、外務省に対していくつか被害対策などを要望しているようであるが、その辺は如何。
(報道官)小樽市長がこの度、港湾施設の管理に関わる技術的な条件を提示して、それを今海上保安庁を通じて米側に示しているところである。米側において検討をした後、米側が小樽入港ということを正式に決定した場合、それをわれわれに通報してくるという段取りになっていると了解している。小樽市は海上保安庁や外務省に対して条件や要望を出してきている。外務省に示された要望のうち、まず入港に伴って発生する諸経費の補填に最大限努力するということについては、国として何をなし得るか関係省庁とも相談していく所存である。ただし、経済的損失に対する補償措置については、対応は困難であると承知している。 また臨港地区における治安確保のための警備態勢に万全を期すことについては、外務省として警備当局に協力を依頼したところである。なお小樽港入港にあたって、航行安全上遺漏なきを期すべく海上保安庁と米側当局との間で所要の調整が行われているものと承知している。
インディペンデンスの入港ということで、先般の油漏れのことについて一体どのようになっているのかということを懸念する向きもあるだろうが、既に説明しているように、アメリカ側からは船舶の構造上の原因によるものではなく、乗組員のミスによるものと説明を受けている。わが国からも要望をしており、それを踏まえてアメリカ側からは近々、この事故に関する報告を日本側に提出する意向を表明してきている。また、アメリカ側より仮に小樽港に入港するようになった場合においても、艦船の運営には安全等を含め万全を期す旨の説明を受けている。
対人地雷への米国の方針転換について
(問)2、3日前、アメリカは対人地雷禁止条約についてこれまでジュネーブ軍縮会議で行うよう一貫しているように見られていたのを、「オタワ・プロセス」交渉に参加すると方針を転換した。わが国はアメリカと同様にジュネーブ軍縮会議での協議を行うとやや冷淡な姿勢をとっていたが、今回どう対応するのか。
(報道官)わが国は対人地雷を実際に使用、輸出する国を取り込んだ普遍的かつ効果的な対人地雷全面禁止条約を実現するためにジュネーブ軍縮会議におけるこの問題の取り扱いの進展に積極的に取り組んできている。同時に我が国はいわゆる「オタワ・プロセス」についても軍縮会議における議論を補完するものとしてこれを注意深くフォローしてきている。世界最大の軍事能力を有するアメリカが今回、「オタワ・プロセス」に正式に参加することを発表したことは、今後の「オタワ・プロセス」を考える上で重要な要素であり、現在わが国政府はその意味合い、わが国の対応ぶりなどについて鋭意検討しているところである。
(問)わが国も「オタワ・プロセス」をこれまで以上に真剣に検討するという方向にあるのか。
(報道官)我が国はこれまで「オタワ・プロセス」にオブザーバーとして参加してきている。今度のオスロ会議についても、わが国は参加することを予定しているが、参加形態即ち正式参加するか、オブザーバー参加するかについては、目下部内で検討中である。先程説明したようなアメリカの動きは、われわれとしても十分に考慮しなければいけない要素であるが、それも踏まえ、今、鋭意検討中であり、検討結果が終わり次第、また説明させていただきたい。
(問)アメリカの今回の方針転換はわが国としては、寝耳に水であったのか、それともある程度は予想していたのか。
(報道官)予想云々ということについてお答えできる材料は持っていないが、いずれにせよ先程申し上げたように、対人地雷を実際に使用したり、輸出する国を取り込んだ普遍的かつ効果的な禁止条約というものを作っていくということが重要であり、そういう意味でジュネープ軍縮会議における努力というものはわが国は今後とも継続していく。他方、「オタワ・プロセス」については、アメリカはその中に入っていろいろ主張していくということであり、同時にアメリカはジュネーブにおける努力を続けていくとわれわれは了解している。日本としても、「オタワ・プロセス」に正式メンバーとして入って、その中でわが国の主張をしていくということの方が対人地雷全面禁止に向けてのプロセスを全体として促進させることになるかどうか、その辺のことろを今鋭意検討しているところである。
報道官会見要旨(平成9年8月8日(金)17:00~於会見室)(報道官)わが国政府は、本8日、外国に駐在するボスニア・ヘルツェゴビナ大使との接触を停止することとし、在外公館に対してその旨の訓令を発出した。これは、シントラ合意が履行されていないことに対して執った措置である。わが国としてはシントラ合意の履行が極めて重要であると考えており、ボスニア当局が、一日でも早く、ボスニアを対外的に代表する大使ポストを同国の主要構成民族に公平な配分というものに合意し、ボスニアが民族的に一致団結した体制を整えていくことを望むものである。なお、これは、わが国のボスニア・ヘルツェゴビナとの外交関係を停止することを意味するものではない。従って、大使以外の館員との接触を制限するものではない。
(問)大使との接触停止、接触を控えるというのは、具体的には例えばパーティー等に招かないとか、そういったことなのか。
(報道官)パーティー等においてたまたま会った場合にどのようにするかということについて、私(報道官)は細かなことまで詳らかにしていないが、いずれにせよ今回の措置は、ボスニア・ヘルツェゴビナがシントラ合意を履行していないということに対する不快感の表明であり、同時にボスニア・ヘルツェゴビナ当局がこのシントラ合意を履行していくことを求めていくものであるので、そういったことに資するような形で大使との接触を停止していくというものである。
地球温暖化防止京都会議準備会合
(報道官)今般、ボンにて行われた地球温暖化防止京都会議準備会合においては、数値目標、政策・措置、全締約国による約束の推進、組織事項という4つの点について議論が行われた。この会合においては、主要事項についての論点が整理されてきた。今次会合の結果、主要な項目については依然として括弧がついているものの、今後の交渉の基礎となるテキストが作成されるに至った。この作成により、今後京都会議に向けての本格的な交渉が促進されるものと期待され、我が国としてもこれを評価するものである。わが国は、議長国として責任を持って今後こうした問題について対処していく所存である。
数値目標については、政府としてその重要性は十分に認識している。他方、まず最初に今後合意すべき枠組みの基礎固めが必要であり、この観点から今時会合で論点が整理されてきたことが評価される。わが国としては、議長国として、全体のとりまとめに十分配慮しつつ然るべきタイミングで数値目標を提示していく考えである。
国連小火器政府専門家会合報告書
(報道官)我が国政府は、ニュー・ヨーク時間8月7日午前11時、ニュー・ヨークの国連本部においてアナン事務総長に対して提出された国連小火器政府専門家会合の報告書を小火器問題の解決のための本格的・総合的な検討の第一歩として評価する。今後、アナン事務総長からこの報告書が提出されることになっている国連の総会の場で、この報告書を十分考慮し、報告書の中で勧告されている小火器削減のための措置及び予防のための措置が、国際的協力の下に実施されていくよう希望する。我が国としても、次期国連総会にこの報告書の内容をフォローアップするための決議案を提出することを検討している。わが国としては、今後とも小火器問題の解決のために主導的役割を果たしていく考えである。
カンボディア情勢
(問)ウン・フォット外務大臣が第1首相に選出されたことについて、カンボディアの国会第2副議長のソン・ソベール氏が昨日も「不法であり、認められない」という趣旨の発言をしているし、米国も副議長不在での選出は民主的ではないのでこれを認めないという見解のようにとれるが、わが国として、このウン・フォット第1首相の選出をどのようにに見ているのか、第1首相として認めるのか否か伺いたい。
(報道官)まず質問に関連して説明したいのは、カンボディア国会がウン・フォット外務大臣を第1首相に選出しただけでなく、8月7日にチア・シム国家元首代行はシアヌーク国王からの意を受けて、ラナリット殿下に代え、6日の国会にて信任されたウン・フォット外務大臣を第1首相に任命している。また来る12日には、チア・シム国家元首代行がウン・フォット第1首相及びフン・セン第2首相と共にシアヌーク国王に拝謁する予定と承知している。我が国としては、カンボディアの新しい第1首相の任命が憲法に則り行われることが重要と考えており、現在行われている手続きを見守っていきたいと考えている。カンボディア情勢全体としては、これまでの武力衝突が行われた事態から正常な方向へと向かって動いてきている。我が国としては、先般の武力衝突後のカンボディアの安定の回復及び明年5月に予定されている選挙の自由かつ公正な実施の確保が重要と考えており、そのために引き続き人権の尊重と政治的自由の確保につき働きかけを行っていく所存である。このようにカンボディアが現在の憲法及び政治体制の下でいろいろ所要の手続きを経て、今の体制を維持する方向が出てきている。われわれとしては、引き続きそういった状況を見守ると同時に、既に何度も明らかにしている4つの基本的な点についてカンボディア政府によって実施されていくことを今後とも求めていく。
(問)憲法に則ってこの第1首相の選任が行われているかどうか注目しているとのことであるが、現在までの手続きは憲法に則って行われているのかどうか。それからシアヌーク国王に面会をして、そういった一連の手続きが終われば、このウン・フォット氏を第1首相としての処遇をもって対応するのかどうか。米国の場合は、フンシンペック党の幹部としての処遇しかしないとの方向を現在示しているようですが、我が国としてはどうなのか。
(報道官)我が国としてカンボディアの国内制度について細かなところまでコメントしていくのは如何がと思う。また、我が国として最終的な判断ができる立場にもない。いずれにせよ、憲法の条項を見る限り、国会において3分の2以上の賛成投票によってウン・フォット外務大臣が新しい第1首相として選出され、またシアヌーク国王からの意を受けて首相に任命されたということである。ただそれだけで十分かどうかということについては、先程申し上げた3名が今後シアヌーク国王に拝謁する予定ということにもなっており、そこらへんのところも見ていく必要があると思う。
いずれにせよ、我が国としては、これまでの事態によって実際にカンボディアの基本的な政体の変更が行われたわけではなく、今回の第1首相の交代を含めて、政府承認の問題を生じさせるものとは考えていない。日本政府は、カンボディアがいろいろな手続きを踏みつつ、来年の選挙に向けて政治的自由の確保、人権の尊重について、国際社会を納得させるだけの措置を今後とっていくことを望むものであり、またそのために、関係諸国と共にいろいろと働きかけをしていく所存である。
朝鮮半島和平4者協議
(問)米国での4者協議の状況について、外務省はどのように見ているのか。
(報道官)4者協議については、とりあえずは報道されていることを承知している。詳細については、関係国から聞いていきたいと考えている。全部のことについて意見の一致が見られたわけではないようであるが、第2回の予備会談が9月15日の週に開催されるようになったということ、及び4者協議本会合の開催に向けて準備が進められていくということについては、我が国として評価すべきものと考える。
日朝審議官級協議
(問)日朝の審議官級協議の日程の見通しについて如何。
(報道官)今のところ具体的な期日については定まっていない。
日韓漁業交渉
(問)日韓外相会談で合意された8月上旬の漁業交渉に関する実務者レベルでの協議は、どのようになっているのか。8月上旬といってもあと2日しかないが、近く開くことができるとか、感触なりとも如何。
(報道官)日韓漁業協議を8月上旬に開くことがクアラルンプールの日韓外相会談で合意された。われわれとしては、できるだけ早く日韓漁業協議を行いたく、現在鋭意調整中である。日中漁業交渉は今日まだ行われているということもあり、日韓の漁業協議についてもできるだけ早く期日を決めるべく、正に鋭意、今調整しているところである。
ロシアのスパイ事件
(問)以前の会見で、ロシアのスパイが自衛隊情報を収集していたという件について、ロシアに照会中との答えを頂いた経緯があるが、その後ロシアの方から回答みたいなものはあったのか。
(報道官)私(報道官)自身の会見でそのようなことを申し上げたかどうか記憶が定かでないが、この点についての外務省の今の立場を説明すれば、デンバー・サミット以降、本年中の非公式首脳会談の実施など、政治対話の一層の緊密化が合意されるなど、日ロ関係の改善に向けた雰囲気が生じつつある中で、このような事件が起こったことは誠に残念である。他方、この事件は事件として、我が国としては日ロ関係全体の前進に向けた最近の動きを大切にしてまいりたいと考える。
報道官会見要旨(平成9年8月1日(金)15:20~於会見室)(報道官)香港が中国に返還されて一ヵ月がたった。この間香港では経済状況も順調であり、社会状況も治安を含め安定してきている。これは、日本政府として、香港特別行政区の良いスタートと評価している。我が国としては、香港が今後とも「一国二制度」の下、アジアにおける経済・金融センターとして、繁栄と安定を維持し続けていくことを強く期待する。
中東和平
(報道官)中東和平プロセスを正常化するための重要なステップがイスラエル及びパレスチナ両当事者間で合意された矢先に今般のイェルサレムにおける事件が起こったことは残念である。我が国としては、和平当事者がかかるテロの圧力に屈することなく、当該地域の緊張を緩和し、安定と平和を希求する真摯な努力を継続することが必要と考えており、両当事者ができるだけ早く話し合いを再開することを望む。
我が国は外交ルートを通じて両当事者に対し和平プロセスの前進に向けた我が方の立場を伝えてきている。8月下旬にはネタニヤフ・イスラエル首相の訪日が検討されており、これが実現した場合には、我が国としては交渉前進のための努力についての働きかけを含め、和平問題について協議することとなろう。
日本赤軍に対する判決
(問)レバノンで連合赤軍の容疑者に対する判決が出て、服役後退去処分ということであるが、我が国としては容疑者引き渡しの交渉を開始しているのか。
(報道官)判決が出された後に(話し合いが)行われたという事実はない。我が国は従来からレバノン政府に対し、レバノンの司法手続きが終了次第、速やかに日本赤軍メンバーの身柄の引き渡しが行われるよう要請してきているところであり、今後とも我が国としては引き続き引き渡しを求めていく所存である。
(問)控訴したという情報は得ているか。
(報道官)まだ得ていない。色々な意見があると承知している。
(問)法的手続の問題として、司法手続きの終了の解釈に関し交渉が行われていると思う。刑期の終了をもって司法手続きの終了とする解釈がある一方、日本の解釈では、判決が出た段階で司法手続き終了としていると思うが、その交渉はどうなっているか。
(報道官)解釈についてはいろいろと在ると思うが、日本としてはレバノンの司法手続きを尊重していく所存である。現在(の立場)は判決が確定していない段階であるということもあり、司法手続きが終了次第、速やかに身柄の引き渡しが行われることを期待するということである。
(問)司法手続き終了という意味について、日本はどのような立場を採っているのか。
(報道官)レバノンとの間では犯罪人引き渡し条約は結ばれておらず、現在の段階で申し上げられることは、司法手続き終了次第速やかに身柄の引き渡しが行われることを期待するということである。他方、今回の判決の中で国外追放ということが含まれていることについては我が国としても注目している。
(問)日本としては、レバノン政府に対し引き渡しについての交渉はいつから始めるのか。
(報道官)いつ引き渡しについて話をしていくかは、今の段階では答えられない。
(問)今の段階で答えられないと言うのは、答えると外交的に障害があるからか、或いはその件につき検討していないということか。
(報道官)そのような申し入れを行うことにつき、皆さんに話せる状態にないということである。
(問)話せる状態にないと言うのは、どのような状態か。具体的の打ち合わせができていない状態か、或いは、出来てはいるが固まっていないという状態か。
(報道官)我が国として、一般的に何らかの外交措置をとる場合、然るべきタイミングを見計らって皆さんに事前に説明する場合も、或いは事後報告する場合もあるが、本件については今は具体的には何も言えないということである。いずれにせよ、日本としては、レバノンとの関係強化に努めると共に、日本側の関心を伝え、そうした中で連合赤軍容疑者の引き渡しにつき要請をしていく所存である。
カンボディア情勢
(問)ポル・ポト元首相の所在及びポル・ポト派の現在の状況につき外務省として何か情報を把握しているか。
(報道官)ポル・ポト派のいわゆる強硬派が現在どのような状況になっているかは詳らかにしていない。ただ今度のポル・ポトに対する人民裁判については、そもそもポル・ポト派はカンボディア政府によって非合法化された存在であり、勢力内での動きは正式なものとは見なし得ないと考えている。やはり裁判云々はカンボディア国民全体のものとして捉えて行くべき問題と考えている。
(問)ポル・ポト派の強硬派とその他の派の今後の連携の動きがカンボディアの今後の状況に影響を与えると思うか。
(報道官)フンシンペック側の軍隊とポル・ポト強硬派との間の軍事的な連携については、必ずしもよく把握していない。一部のフンシンペック党に属する軍隊が反政府的な動きをしているという情報もある。しかし、全体としては、強硬派等の動きが北部カンボディア情勢に於いて軍事的脅威になっているとは考えていない。
ミャンマー問題
(問)ミャンマーにつきASEANの外相会議でもいろいろと話し合われ、ASEANへの加盟も実現した。他方、国内の状況は必ずしも前向きというか民主的ではないようである。我が国として現在ミャンマーの状況をどのように見ているか。
(報道官)ミャンマーについては、7月17日に、NLD側とSLORC側との間で会談が行われている。ミャンマーがラオスと共にASEAN加盟を果たした7月23日以降現在までのところ国内で大きな動きは見られていない。我が方としては、NLDとSLORC側の間で対話を積み重ねていくことが重要と考える。そういった観点から、先程言及した両者の会談を評価するものであり、今後とも対話が継続され、両者の間に信頼関係が生まれることを期待する。なお、我が国としては引き続きミャンマーが民主化、人権状況の改善に向けて前向きな動きを取っていくよう積極的に働きかけをしていく所存である。
インドネシアの国民車問題
(問)インドネシアの国民車問題で、アメリカがWTOのパネルに参加する交渉を始めたと伝えられているが、これは我が国のWTOのパネル交渉に何らかの影響を及ぼすものか。
(報道官)インドネシアの国民車構想に関するWTOパネルについては、パネリストが7月29日に決定された。9月の後半から10月にかけてパネルにおける第1回の実質審議が行われることになると思う。こういった審議が行われた場合、パネルの最終報告が加盟国に送付されるのは年明け、来年1月から3月頃になると考えている。我が国としては、パネルの手続の進行と並行して、インドネシア側との間でこの問題についての協議を行っていく用意があることを繰り返しインドネシア側に表明してきており、今後もこういった立場を維持していく所存である。ただ、インドネシア側から解決につながる具体的提案は出てきていない。
(問)日本とEU及びアメリカとの間では別の形で審議が行われていくのか。
(報道官)アメリカの要請によりパネルが7月30日設置されたが、これは既に6月11日に設置されている日本とEUの要請に基づくパネルと同一の問題に関するものであり、結果的には単一のパネルとして設置されることとなった。従って、関係諸国は今後、同一の場で審議を行うことになると承知している。
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