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記者会見

報道官会見記録(平成9年7月)


INDEX


7月8日(火)の記者会見は、橋本報道官の出張につき休止。



・報道官会見記録(7月29日付)
 ・中東和平
 ・ASEAN拡大外相会議
 ・カンボジア情勢
 ・日露関係
 ・日朝関係
 ・日韓外相会談


・報道官会見記録(7月25日付)
 ・リベリア大統領選挙
 ・カンボジア情勢
 ・厚相のジンバブエ訪問
 ・台湾旅券による査証発給
 ・「女性基金」活動家に対する韓国入国禁止措置


・報道官会見記録(7月22日付)
 ・アフガニスタン問題への対応について
 ・国連軍縮会議について
 ・日本人妻の里帰り問題について
 ・小泉厚相とジンバブエの問題
 ・カンボジア問題


・報道官会見記録(7月18日付)
 ・インド大統領選挙について
 ・国連改革について
 ・カンボジア問題について
 ・北朝鮮の関連
 ・日韓漁業協定について


・報道官会見記録(7月15日付)
 ・カンボジア情勢
 ・北朝鮮問題
 ・国際機関への拠出


・報道官会見記録(7月11日付)
 ・NATOマドリッド首脳会議について
 ・カンボディア情勢


・報道官会見記録(7月4日付)
 ・開発に関する沖縄会議
 ・アフリカ担当大使任命について
 ・カンボディア情勢
 ・北朝鮮への食糧支援問題




報道官会見要旨(平成9年7月29日(火)17:00~於会見室)

・ 中東和平

(報道官)28日、レヴィ外相とシャアス計画・国際協力庁長官との会談が行われ、一週間以内に委員会レベルでイスラエル・パレスチナ間の和平交渉が再開されることが発表された。
 我が国としては、右交渉の再開が和平当事者間で懸案となっている諸課題の解決と相互の信頼醸成につながることを期待している。

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・ ASEAN拡大外相会議

(報道官)日本政府は、28日の「ASEAN+10」会議において、ASEANと域外の諸国が国際社会の幅広い諸問題について意見交換を行うことが出来たこと、また本日の「ASEAN+1」会合では、12月に予定されている日・ASEAN首脳会議の成功に向けて準備を進めていくことが確認されたことを高く評価する。

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・ カンボジア情勢

(報道官)28日、カンボジア国会が再開され、第一首相を選出する手続きが開始された。第一首相選出は、一義的には「カ」自身が決める問題ではあるが、我が国としては、フンシンペック党等反対派議員の身体の安全及び自由な政治意思表明の確保並びに、これについての国際社会への明確な形での説明がなされることが重要と考える。
 また、我が国は機会あるごとに、日本政府の4つの基本的立場を説明してきている。我が国はカンボジアの安定と国民的和解のために基本的人権の尊重が重要と考えており、「カ」政府に対し、フンシンペック党員及び兵士に対して行われたと言われる処刑事件の事実関係の確認と国際社会への明確な説明についても再三申し入れている。

(問)日本政府は、カンボジアに対し処刑事件についての明確な説明を求めているようだが、カンボジア側から明確な説明を得ることを期待できるのか。

(報道官)今のところ、これまでの記者会見において説明している以上の事実関係は承知していない。基本的人権及び自由は、なかなか難しい問題だが、やはりあれだけの事件が起きたことでもあり、今後カンボジアが自由で公正な総選挙を実施していくに当たり、いま国際社会が大きな関心を持っている、こうしたことについても説明していくことが必要であって、わが国としては引き続きカンボジア政府に働きかけをしていく所存である。

(問)日本政府の申し入れについて、カンボジア側から前向きの反応はないわけだが、この点はどうなのか。

(報道官)今のところ具体的にお知らせできるような状況にはなっていないとお話できるだけである。

(問)ということは、カンボジア側から前向きのレスポンスはないということなのか。

(報道官)今まで以上に新しいことは聞いていない。

(問)既にカンボジア国会が再開され、第1首相の選出が行われる段階となっているが、20数名のフンシンペック党議員が国外にいる中で開かれた国会で選ばれる第1首相をわが国は受け入れるのか。

(報道官)国会召集の定数は既に確保されている。しかし、反対派議員たちがカンボジアにおいて実際に安心して政治活動に従事できるようになることが必要である。フン・セン第2首相、ウン・フォット外相もこの点については確約しているが、フンシンペック党員自身がそれを確信していくことが必要と考える。外国にいるフンシンペック党系議員のうち何人か既にカンボジアの国内に戻っているが、わが国としてはできる限り多くの国会議員がカンボジアに戻り、それらの議員の出席のもとで、憲法に則った民主的方法で第1首相の選出が行われることを期待する。

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・ 日露関係

(問)橋本総理が経済同友会で行った新対ロ外交三原則についての演説をエリツィン大統領、プリマコフ外相が相次いで評価したことをどう受け止めるか。

(報道官)28日に行われた日ロ外相会談が非常に実りあるものであったことを評価する。この会談においてプリマコフ外相から「同演説は肯定的トーンであり、評価する」との発言があり、大臣から「日ロ関係についてはこの演説の精神及び東京宣言に基づいて進めていく必要がある」という発言をし、これに対してプリマコフ外相から「正にその通りであり、そうすることが必要だ」と答えたと承知している。われわれは橋本総理が演説で新たに明らかにした3原則に基づく日ロ関係の発展に対する強い政治的意思が、短期間でロシア首脳に伝わり、ロシア側からも肯定的な反応が出ていることを歓迎する。日ロ外相会談で、総理の訪ロという形で今年中に非公式な形で首脳会談を行うことができるよう時期、場所などについて日ロ間で引き続き調整していくことについて意見の一致が見られたが、こうした日ロ双方の努力は高く評価されるべきである。

(問)日ロ関係でエポックメーキングな新段階に入ったというような見方をしているのか。

(報道官)外務大臣初め外務省では日ロ関係の雰囲気の改善が急速に進んでいることについてこれまでいろいろな形で説明してきている。また、9月に枠組み交渉が再び行われ、その際できるだけまとめていくよう、今後双方政府が努力していくなど、具体的問題についても進展がある。このように日ロ関係は進み始めている。こういった好機を捉えて日ロ両国首脳が会って胸襟を開いていろいろな問題について話し合っていくことは、今まで以上に日ロ双方の関係を改善していきたいという意志の現れである。われわれ事務方としても、何とかしてそういった方向で日ロ関係の改善について具体的な成果が現れるよう努力していく所存である。

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・ 日朝関係

(問)8月にも日本人妻の里帰りが有ると具体的な人数を上げての報道があるが、日本政府の公式見解としては話し合いはどの程度の段階にきていると受け止めているのか。

(報道官)いつの段階で、どのレベルで日朝間の接触が行われるかについては、これまでの基本方針通り話すことはできないが、既に説明しているように、わが国としては、日本人妻といった人道的問題について現在見えている前向きな動きが、今後さらに具体的に進展していくことを期待するものである。なお拉致疑惑、覚醒剤密輸事件といったことにもわれわれとしては関心があり、北朝鮮側に提起してきているが、こうした問題について具体的な進展が見られているわけではない。わが方としては関心を有するこうした問題を引き続き今後とも北朝鮮側に提起して、先方の前向きな対応を得るべく努力を傾注していきたいと考えている。このようなわが国の考え方は、これまでも北朝鮮側に伝えてきている。

(問)干ばつが伝えられているが、これが続けばまた食糧事情に影響が出ると思うが、干ばつの実態をどの程度つかんでいるのか。

(報道官)干ばつについては関係する諸国、関係する国際機関からもいろいろ情報を得るよう努力している。北朝鮮における食糧事情が困難なものであることはわれわれも理解しているところだ。ただ、今後のことについては、今まで説明していること、すなわちいろいろな要素を総合的に勘案して検討していくことに変更はない。

(問)現在の干ばつが北朝鮮の食糧自給に影響を及ぼす可能性についてはどうか。

(報道官)一般的に非常に厳しい状況にあるということ以外に、今の干ばつがこれまでの苦しい状況に具体的にどの程度の影響を与えるかということについては詳らかにしていない。

(問)北京で日本人妻の里帰り問題について非公式接触があったと承知しているが、その中で拉致問題や覚醒剤密輸などの問題も提起しているのか。

(報道官)そのように具体的に追及されるとなると、当方としては非公式接触の中身については説明できないとの立場を繰り返すことになる。これまでもそのような問題についてのわが国の関心は北朝鮮側に伝達してきているということでご理解願いたい。

(問)外務省の立場は分かるが、当面の問題となっているのは日本人妻の里帰り問題であって、その問題を話しているのか、それとも同時に拉致疑惑、覚醒剤密輸問題まで提起しているのか。非公式といえども議論の俎上に挙げていることは大きな違いがあると思うが、中身はともかくその点を確認したい。

(報道官)日本側が関心を有する問題について、わが国の考え方を北朝鮮側に然るべく説明している。そうした中で日本人妻の里帰りについてはすでに前向きな反応が出てきている。拉致疑惑、覚醒剤密輸事件については現時点では具体的進展が見られるというわけではないが、こういった問題についても北朝鮮側の前向きな対応を得るよう政府として努力していきたいというところだ。

(問)総理は次回から審議官級に格上げすると言っているが、その場合も非公式接触なのか。

(報道官)今まで非公式接触というものについては、事前にどのようなレベルで、どこで、いつ行われるといったことを説明することは控えさせて頂いているので、それをここで踏襲させて頂く。総理が日朝の非公式接触を格上げする必要性があるということについては、NYでの日韓首脳会談においても既にそのお考えを明らかにされている通りである。具体的なことについてこの場で言及するのは避けさせて頂きたい。

(問)確認したいのは、審議官級のものも非公式接触かということだ。

(報道官)いま行われているのは非公式な接触である。日朝の正式な交渉の再開ということについては従来ご説明させて頂いている状況に変わりはない。

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・ 日韓外相会談

(問)日韓外相会談の成果についてどう評価しているか。

(報道官)日韓外相会談でいろいろな問題が取り上げられたが、やはり焦眉の急ということでは漁業交渉の問題だ。実務者協議を8月上旬に東京で開催し、新たな漁業協定交渉妥結のために、われわれとして最大限努力する。韓国側も最大限の真剣さをもって成果を目指すと言っている。何とかしてそうした双方の意欲が具体的にご報告できるようになりたいと思う。なお、直線基線の問題や、拿捕事件については事務レベルや、専門家会合が開かれることになった。これらを通じて韓国の方々が日本政府の立場、考え方、また事実関係について正しく理解して頂けることを期待する。いずれにせよ、日韓外相会談は非常に実りあるものであった。

(問)日韓漁業協定交渉の再開は決まったが、韓国側は竹島を問題にし、譲ってくれそうもない。となると早期解決は非常に難しいと考えるが、その点はどうか。

(報道官)わが国としては、あくまでも竹島問題に触れることなく日韓の漁業関係を新しい(海洋法の)体制の下で構築していきたいと考えてる。そういった精神で漁業交渉に臨んでいるところであり、韓国側の理解を引き続き得たいと思う。

(問)韓国側はこの問題について譲る姿勢を全く見せていないのか。

(報道官)竹島の問題については日本は日本として立場があり、また韓国は韓国において主張がある。しかし、そのような問題を直接取り扱う限り漁業協定の進展は難しいわけだから、そういった問題は別として、今までも行ってきた漁業関係を基礎として、新たな国連海洋法条約体制の下での漁業関係を構築していきたいというのが日本の考え方である。

(問)政府与党が一応の期限とした7月20日を過ぎたが、今後の進展具合によっては現協定の破棄を通告することもあるのか。

(報道官)日本の関係漁民の方々また国会議員の方々で、この問題について非常に強いご意見を持っている方々がおられることは十分承知している。われわれとしてはいずれにせよ、今度8月上旬に開かれる交渉において最大限努力し、交渉の妥結に持っていきたいと考えている次第だ。

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報道官会見要旨(平成9年7月25日(金)17:00~於会見室)

・ リベリア大統領選挙

(報道官)リベリア共和国における大統領選挙等につき、本日外務報道官談話を発出した。7月19日に、大統領、副大統領、上下両院選挙が国連等の国際的な監視の下に実施された。同選挙が秩序ある形で、自由、公正かつ透明に行われたことを歓迎する。
 89年以来続いてきた同国の内戦に終止符を打ち、リベリア和平プロセスを完結させる重要な歴史的意義を有するものである。我が国としては、リベリア国民の全てが今次選挙の結果を尊重し、今後、真の民主制の下に国家の再建と政治的安定、復興と開発に努力を傾注するよう切に期待する。

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・ カンボジア情勢

(報道官)7月24日、内藤大使は離任に際し、フン・セン第二首相と懇談する機会があり、その際、日本政府の4つの基本的立場を改めて説明した。「フ」第二首相はその立場は「カ」の基本的立場でもある旨述べると共に、海外にいる20数名のFUNCINPEC系議員のうち4名が同24日帰国した旨述べた。
 なお、フン・セン第二首相はカンボディア情勢に対する国際社会の関心が奈辺にあるかをよく把握しているように見受けられた。
 我が国は「カ」の安定と国民的和解のために基本的人権の尊重が重要と考えており、「カ」政府に対し、FU党員等の人権保護、FU党員及び兵士に対して行われたと言われる処刑事件の事実関係の確認と国際社会への明確な説明を再三申し入れている。
 パリ和平協定が遵守され、現憲法及び政治体制が維持され、自由で公正な選挙が来年予定通りに実施されることは「カ」の国内のみならず、地域の平和と安定にとって死活的に重要である。
 我が国は、ASEANが「カ」問題に引き続き関与していくことを支持すると共に、今後ともASEAN及び関係各国と協力しつつ、「カ」の国民的和解の確立に向けて「カ」政府と話し合って参りたい。
 今般、ラオス及びミャンマーのASEAN加盟は実現したが、「カ」の加盟は実現しなかった。ASEANの加盟の問題はASEAN自身が決定すべき問題であり、現下の情勢を踏まえた結論としてASEANの決定を尊重する。今後、「カ」情勢の安定に向けASEANが適切な役割を果たしていくことを期待する。

(問)処刑の事実関係についての明確な説明は経済協力に影響を与えるのか。

(報道官)経済協力そのものについては、前回の記者会見で説明したように、我々の基本的立場は「カ」における(我が国の4つの立場の)実施状況を見極めつつ、これが実施されるという理解も下、行うというものである。4つの基本的立場のうちの「基本的人権の尊重及び自由」については、「フ」第二首相は当時の内相の殺害について「残念である」とし、殺害が行われたことを認めた。
 他方、国連人権センターは、内相の他、数十名の関係者の処刑があったと言っている。内藤駐カンボディア大使より「フ」第二首相、その他関係閣僚に対し、この点についての説明が必要な旨申し入れを行っている。我々の関心事項につき「カ」政府が十分考慮を払い、説明等の適切な措置をとることを期待する。

(問)「カ」のASEAN加盟見送り決定について、政府は「尊重」と言うが、見送りは「当然」と見ているのか、それとも「やむ得ない」と見ているのか。

(報道官)我が国はASEANの東南アジアに果たす役割につき高く評価するものである。従来より言われてきた「ASEAN10」が発足することになれば、東南アジア全体を包含する協力体となり、地域情勢の安定や地域経済の発展の上で、有益なものになると思っていた。
 御承知の経緯で、「カ」加盟は見送りとなったが、どの国が参加するかはその組織自体が決めることであり、我が国としては、該当する機関が決定することを尊重する以外に発言する立場にはない。
 他方、「カ」の将来については、日本もASEANも大きな関心を示しており、国際社会の関心に対し「カ」政府が適切な措置を取ることにより、ASEAN加盟が再び具体的に検討されるようになることを期待する。

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・ 厚相のジンバブエ訪問

(問)小泉厚生大臣がジンバブエ大統領と会談出来なかったことに関連し、「援助されて当然」という姿勢は問題で、ODAの再検討が必要である旨発言をした。外務省は小泉大臣より話を聞き、総理より経済協力の再検討の指示を受けたとのことだが、これをどう受け止めるか。

(報道官)小泉大臣が帰国され、同大臣より話を伺った。
 また、本日、登中近東アフリカ局長が在京「ジ」臨時代理大使に会い、正式に遺憾の意を伝え、また塚原駐「ジ」大使より本日にもハイレベルで同様の申し入れを行うよう訓令を発出済みである。遺憾の意の申し入れは、今回の事件に「けじめ」を付けるということである。
 経済協力については、小泉大臣は総理に我が国の「ジ」への援助を削減や凍結すべきと報告をしたとは承知しておらず、真に戦略的なODAにつき検討すべきとの報告をされたと承知している。
 外務省としては、効率的・効果的な援助の実施との観点より、重点地域・分野等含めODAの見直しを総合的に行っていく考えであり、今後ともこうした努力を強化していきたい。

(問)戦略的ODAの検討についての総理の指示については、どうか。

(報道官)そもそもODAの10%削減(決定)の際も、効果的・効率的ODA実施、ODAの質向上について政府全体として明らかにしている。外務省としては「21世紀に向けてのODA改革懇談会」を設ける等をして、こうした面で努力をしている。
 総理も当然ながら、外務省がこうした努力をしていくことを強く望んでおり、外務省としてもこの方向で懸命に努力していく所存である。

(問)「ジ」大統領に会えなかったことが経済協力見直しにつながることがよく分からないが。

(報道官)今回アポイントメントを取れなかったことについては遺憾の意を伝え、けじめを付けた。経済協力の見直し一般については、政府は全力をあげて取り組んでいく。この2つが今回対外的に明らかにされたことである。

(問)アフリカへの「ばらまき援助」が見直されて当然との小泉大臣の発言についてはどうなったのか。

(報道官)小泉大臣の総理への報告については、先程申し上げた通りである。
 総理よりは、アフリカへのODAについては、教育、保健・医療の重要性もあり、その点も小泉大臣の言われるODAの戦略性の観点から検討するようにとの指示があった。
 外務省としても関係省庁とこの点について議論していきたい。

(問)小泉大臣より会談のキャンセルと経済協力見直しを結びつけたことについて反省の弁はあったのか。

(報道官)お答えする材料がない。

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・ 台湾旅券による査証発給

(問)台湾からの渡航者に対し、台湾旅券も旅券と見なすとの報道があったが、どうか。

(報道官)本件に関し、関係省庁間で入管法の改正が検討されてきていることは事実である。若干経緯等を含め説明したい。
 現行入管法では、日本国政府の承認した外国政府に該当しない当局の発行した旅券は有効な旅券に当たらないこととなっている。このため台湾住民が日本に渡航を希望する場合には、外務省が当該人に対し渡航証明書を発給して我が国への入国を認めてきている。
 他方、平成8年度には台湾住民に対する渡航証明発給件数が57万6840件にのぼり、我が方における事務処理上の困難が極めて大きくなってきている。事務合理化の観点より、本事情を踏まえ台湾旅券を通常の旅券と同様の取り扱いをし、その旅券に査証を発給することが可能となるよう従来より関係省庁で入管法の改正を検討してきている次第である。
 なお、現在検討している入管法の改正は、我が国が国家として承認していない地域に対する政策を変更する意味合いのものでは全くない。

(問)通常の旅券と同様の取り扱いというのは、どういうことか。

(報道官)現行法では台湾発給の旅券は旅券と見なすことが出来ず、外務省が渡航証明書を発給してきた。入管法改正が実現すれば、渡航証明書を発給することがなくなり、台湾の旅券を(通常の)旅券と同様の取り扱いをし、それに査証を発給することになる。
 質問の趣旨が、国家承認との関連であれば、一般国際法上、旅券の有効性と国家承認は直接関係はない。例えばフランス、カナダでは現に台湾旅券を有効な旅券と国内的に認めている。我が国が今後どうするかはまだ関係省庁間で検討中であり、何とも言えないが、そのようになったとしても、単に国内法上の扱いであり、国家承認云々を意味するものでは全くない。

(問)未承認の北朝鮮についてはどうかなるのか。

(報道官)これ(入管法の改正)は台湾に関して申し上げたものである。

(問)(渡航証明書の)発給数が多いという理由か。

(報道官)然り。

(問)査証についてはどうなるのか。

(報道官)査証については、従来より一次査証と数次査証となっている。

(問)7月1日より何か変わったのではないか。

(報道官)発給地がバンコクに変更された。

(問)法改正の目標はいつ頃か。

(報道官)見通しにつき話ができる段階にない。

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・ 「女性基金」活動家に対する韓国入国禁止措置

(問)日本の市民団体「戦後責任をはっきりさせる会」代表の女性が、韓国への入国禁止決定の報道がなされている。これは従軍慰安婦への一時金支給に協力したためと伝えられているが、どう受け止め、どのような対応をしているか。

(報道官)査証発給、入国管理そのものは当該国が決めるものであり、第三国としてコメントは出来ない。政府としての正式な立場は昨日(24日)、与謝野官房副長官より説明した通りである。具体的な理由については詳らかにはしないが、アジア平和基金関連事業にあるということであるなら、韓国で本事業に対する理解が深まるよう、政府としても「基金」と一緒になって更に努力を続けていきたい。

(問)拒否の理由を問い合わせているか。

(報道官)いろいろコンタクトはしているが、具体的な理由については承知していない。

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報道官会見要旨(平成9年7月22日(火)17:00~於会見室)

・ アフガニスタン問題への対応について

(報道官)わが国の対アフガニスタン問題に対する対応ぶりについて説明したい。既に何度か説明した経緯があるが、わが国はアフガニスタンにおける各派をこれまで日本に招聘してきている。昨年2月にはタリバーン関係者1名、同6月にはラバニ派関係者1名、今年3月には反タリバーン3派関係者ということでマリック派、ラバニ派、ハリリ派より各1名を招聘した。この度、タリバーン派から3人の代表を本邦に招聘した。本日、登・中近東アフリカ局長とタリバーン関係者3名との間の非公式な意見交換が行われた。この意見交換において、登局長から先ず「日本は中立的立場から、国連の和平調停努力を支援、補完しつつ、和平努力のため意見交換を行いたい」、第2点として、「日本は紛争継続を深く憂慮しており、日本と国際社会は即時戦闘中止と和平手続き開始を要求する」。第3点として、「タリバーンと反タリバーン派が真剣な対話をするならば、日本は手伝う用意がある。即ち各派の会合を国連の下、東京で開催する用意がある。また、和平実現後わが国として復興のために協力する用意がある」旨を述べ、第4点目として、周辺国からの武器供与停止の必要性を訴えた。
 以上の発言に対し、タリバーン関係者から大略次の3点についての反応があった。第1は、日本のような平和な国が支援をしてほしいということ。第2は、和平をもたらすために一番重要なのは、皆がイスラム教を尊重することであり、次に大事なのは武装解除プロセスであるということ。第3点として先方から、タリバーン政府を承認するよう求めてきた。これに対して登局長は、日本政府はタリバーン政府を承認していないし、今回の非公式意見交換は政府承認を意味するものではないという点を明らかにした。

(問)東京での和平会議実施についての何らかの前向きの意向のような反応(レスポンス)はなかったか。

(報道官)今回はそうした前向きの反応は示されなかった。

(問)今後とも各派の代表を日本に呼び、こうした対話を続けるつもりか。

(報道官)具体的に今後各派の代表をどのような形で、また、いつの時期に日本に招聘するかについては、まだ決まっていないが、いずれにせよ、いろいろな形でアフガニスタン問題の平和的解決のためにわが国は努力していく。また、今アフガニスタン問題で非常に大きな関心を有しているパキスタンに池田外務大臣が訪問しており、先方大臣との間でもこの問題についての意見交換が行われたかも知れない(まだ報告は受け取っていない)。いずれにせよ、いろいろな場を通じて、日本はアフガニスタン問題の平和的解決のために働きかけをしていく所存である。

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・ 国連軍縮会議について

(問)(アフガニスタンの)今の話の中で、周辺国からの武器の供与停止があったが、以前の次官の会見でも、わが国はアジア太平洋地域全体の通常兵器のコントロールについて、前向きの対応をしていくとの趣旨の発言があった。今、札幌で国連軍縮会議が開かれているが、この軍縮会議でそうしたことはテーマにならないものなのか。

(報道官)まず通常兵器の移転については、国連の登録制度についてわが国がイニシアチブをとって実現してきた経緯がある。武器の移転そのものについては、実際問題として、なかなか禁止するところまでいかず、透明性を高めるといったことがまず第一歩として国際的に取り組まれて来ているわけである。アフガニスタンの各派の状態を見ていると、いろいろな国から武器が供与されている状況にあるように考えられるので、関係各国に対してそうした武器の供与は停止すべしということを働きかけている。今、質問の国連軍縮札幌会議については本日から25日まで札幌市において国連の主催、外務省の後援等によって行われるもので、このテーマは「軍縮及び地域安全保障のための新たな課題」ということで、今後の大量破壊兵器及び通常兵器にかかわる軍備・管理・軍縮の問題並びに地域安全保障の問題などに関して議論が行われる予定である。高村政務次官がこの会議に出席して、日本政府の考え方を包括的に説明し、今この分野で取り組んでいる日本の政府の全般的な姿勢について話をした。国連軍備登録制度についても、政務次官は発言しており、また、その中での小火器に関する規制についてのいろいろな動き、わが国政府の努力といったことについても説明をしているが、当面は軍備の透明性、公開性を向上させるといった段階において努力が続けられているということである。

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・ 日本人妻の里帰り問題について

(問)日朝間の日本人妻里帰り問題について、現時点で報道官から何か説明できることがあったら知りたい。

(報道官)日本政府は人道問題として日本人妻の帰国問題を重視し、日朝国交正常化交渉でもこれを取り上げてきた。今回の非公式接触の内容そのものについては説明できないが、現在見えている前向きの動きが更に具体的に進むことを期待する。いずれにせよ、引き続き北朝鮮当局と日本政府との間での話し合いを進めていくことによって、この問題の解決を図っていきたい。

(問)北朝鮮側からは今言われた前向きな動きが見られたと判断してよいか。

(報道官)はなはだ官僚的で恐縮だが、この前行われた北京の会談のそのものの評価となると、前向き、後ろ向きを含めてコメントできない。今後の問題として現在見えている前向きの動きが更に具体的に進むことを期待しているということでもって、その辺りの事情を理解して頂ければありがたいと思う。

(問)以前は接触があったか否かも言えないとしていたが、今回はそれが変わったのか。

(報道官)まず事前には話をしていない。事後においても本来コメントはしないということであるが、日本人妻という人道的な問題について皆さんも非常に大きな関心があるということも1つの要素として、事後にある程度の説明をさせて頂いているということである。

(問)今後の見通しはどうか。更に進めたいとか考えているか。

(報道官)今後のことについては誠に申し訳ないが、コメントを差し控えさせて頂きたいと思う。

(問)交渉のレベルの格上げはどうなるか。

(報道官)一般論として、既に総理大臣も触れられているが、われわれとしては、政府間の協議を効果的に進めていくため、実務者のレベルを上げることを含めて検討している。

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・ 小泉厚相とジンバブエの問題

(問)小泉厚相がジンブバエで大統領との会談ができなかったことについて、総理が援助は当たり前だと考えているのではないかと言い、これは経済援助の見直しもあり得るととられるように聞こえるが、外務省として今後の援助のあり方についてどう取り組んでいくか現段階での考え方を聞きたい。

(報道官)まず質問の冒頭にあったが今回、結果として小泉大臣とムガベ大統領との会談が実現しなかったことは誠に残念な次第である。小泉大臣の帰国後説明を十分にお聞きしたい。小泉大臣のお気持ち、また質問の中にあった橋本総理大臣のお考えもやはり小泉大臣が帰られて話を十分に伺った上で対応ぶりを検討していかなければならないと思う。(対ジンバブエ)経済協力については、会見ができなかったことをいいとか悪いとか新たに何か説明しようということではなく、あくまでも実現できなかったことは誠に残念であるという大前提の下でだが、若干説明しておく。日本はそもそもジンバブエに対してはこれまで常にトップのドナーの地位を占めてきてはいなかった。92年、93年、94年と日本は4番目とか5番目、それ以下のドナーの地位にあった。それが円借款供与ということもあり、95年に日本がトップのドナー国になったという経緯がある。他のアフリカの諸国と比較しても、ジンバブエはわれわれの言う新開発戦略というものを適用し得る、ある程度限られた国の1つであると考えてきていた。即ち、経協担当者はオーナーシップという言葉を使うが、同国は援助を受けるに当たっての主体性とか自助努力の面ではかなりいい成績を収めてきている。例えばガーナは援助吸収能力が高い国として理解されているが、(ジンバブエは)ガーナと並んで援助実施能力が高い国である。国によってはわが国が無償援助するとか、円借款を供与するとかいうことを決めても、なかなか実施できない国もあるが、そういう実施率でも同国はかなり高い国である。同国がそういう国であるということは1つの客観的な事実として説明させて頂きたい。ただ、今度の事件についてはいくら現地の慣行であるからとはいえ、われわれは数週間前から今回の訪問の趣旨を先方に説明し、単に口頭で説明しただけではなく、2週間前にはきちんと文書でも小泉大臣のジンバブエ訪問の趣旨を説明してきたということである。従って、ムガベ大統領にはその日他にどうしても避けられない用があったということのようだが、いずれにせよ会談が実現しなかったことは誠に残念なことと考える次第である。

(問)会談が流れたことについて、外交ルートを通じてきちんと説明とか釈明みたいなものはあったか。

(報道官)そもそも、先方の外務当局である外務次官のところに大使館の公使が出かけている。大統領へのアポイントの取り付けについては、伝統的のようだが、その日になってしか分からないということで、公使が外務次官のところに午前中行って、早く実現してほしいということを直接要請していた。ただ、ムガベ大統領が他の会合に出ておって、なかなかそこから離れられないという状況が長く続いてしまい、結果として会談は成立しなかったということのようである。

(問)細かいことだが、事前に何時に会うということでなく、こちらの申し入れを向こうに伝えて待っていたということか。

(報道官)先方からは最終時間の設定というのは当日にならなければ分からないが、大統領には会えるとの内諾をとっていたということで、午前中に既に小泉大臣はジンバブエの保健大臣と午前11時過ぎにお会いになっていたようだが、その時からわが方の公使は先方の外務次官のところに訪れて、早く時間を決めて教えてほしいということで督促に努めていた。

(問)アメリカとか他の国に大臣が行って大統領と表敬ができるか否かということはある。その場合、小国だからすぐに会えるのではと考えたとしたら発言が軽率のようにも見える。これからのジンバブエのことを考えると、すぐに会えるか会えないかということだけで経済援助問題を云々するのはちょっと早過ぎるのではないかと思うが、その点はどうか。

(報道官)いずれにしても小泉大臣が戻られてから十分にお話を伺うということにしたいと思う。

(問)開発途上国の中には、援助は当たり前という発想があるのか。あるとすれば、それは由々しき問題ではないのか。

(報道官)質問に答えるのはなかなか難しいが、いわゆるLLDCという開発途上国の中でも1人当たり国民所得が低い国では、外国からの援助がなければそもそも国家財政が成り立たないとか成り立ち難いという所があることは事実である。そういう所については、できるだけ自助努力を促していくということで、そもそもIMFとか世界銀行が一緒になって彼らと共に経済発展のための青写真を作り、それを1つの参考にしてわれわれドナー諸国が援助していくというような仕組みになっている。国によってはそうした国際機関や他の主要のドナー国にかなり依存しがちな国があることも事実である。

(問)その依存が日本外務省としていけないことだと思っているか。

(報道官)われわれは、自助努力がなければ発展はないと考えている。自助努力がない場合には、いくらわれわれが援助してもそれが無駄に使われてしまうということで、例え国によっていろいろ状況は違っていたとしても、基本的にわれわれは自助努力を促すように努力してきている。

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・ カンボジア問題

(問)カンボジア問題について、アメリカのソラーズ元下院議員と池田大臣の会談では必ずしも意見は一致しなかったようだが、大臣が現地に行かれる時にフン・セン第2首相の政権の実効支配を実質的に認めるような発言をしていたが、現在の状況でもそうか。

(報道官)われわれは今回の問題について、そもそも政権承認の問題があるとは考えていない。ただ、あの事件が生じた時からパリの和平協定を順守し、現在の憲法及び政治制度を維持していくといったような基本的なことを先方に求めてきている。アメリカはわれわれの理解するところでは、まだ最終的な対応ぶりを決めたわけではなく、わが国をはじめ関係国といろいろ意見交換をして、ソラーズ元下院議員やオルブライト国務長官にクアラルンプールで報告をしていくということと理解している。いろいろな細かなところでの解釈の仕方等をご質問かも知れないが、全体としてアメリカも日本も目指すところは同じだ。例えばフンシンペック党員の政治的活動の自由について、ソラーズ元下院議員は約20名のフンシンペック党の議員が海外にいるというようなこと、彼らがカンボジアに戻ることを恐れているのではないか、そういう意味で政治的な自由は今の体制の元ではなかなか認められないのではないか、といったことについて関心を持っている。われわれも同様の関心を持っている。フン・セン第2首相が人民党とフンシンペック党との連立政権の維持を公約していることを踏まえて、海外にいるこうしたフンシンペック党の議員を含め、フンシンペックのカンボジア国内での政治的自由が認められるよう、内藤大使からカンボジア側に働きかけている。このように個々具体的なことについて先程申し上げた日本の基本的立場が実現されるように努力していることであり、こうしたことに対してフン・セン第2首相の理解が進み、結果として関係各国のカンボジアに対する対応ぶり、考え方について広い意味でのコンセンサスを得ていくようになることを期待するものである。

(問)そうすると現在、フンシンペック党の中で複数の議員たちが帰ってきていないことは、わが国としても現在のカンボジアにおける政治的自由に危惧を感じているのか、それとも違うのか。

(報道官)というよりも彼らが心配しているようあって、フン・セン第2首相自身彼らに対してカンボジア帰還を勧めている。われわれとしても実際に彼らがカンボジアに帰ってきた時に、政治的な自由が認められるよう、そうした保証をしてもらえるようカンボジア側にも努力して頂きたいということで、内藤大使から機会あるごとに先方に話をしている。今月の28日にカンボジアの議会が再開されるようである。それまでの間にどうなるか、もう少し事態を見ていく必要があるかと思う。

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報道官会見要旨(平成9年7月18日(金)17:00~於会見室)

・ インド大統領選挙について

(報道官)14日行われたインド大統領選挙が17日に開票され、その結果、ナラヤナン副大統領が投票総数の約95%の得票によって圧勝した。ナラヤナン氏は外交官出身で、わが国での勤務経験もある親日家であり、同氏の大統領選出をわが国として歓迎するものである。なお、ナラヤナン副大統領の次期大統領選出を受けて、橋本総理大臣より昨日、祝電を発出した経緯がある。

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・ 国連改革について

(報道官)最近、アナン国連事務総長が第2段階目の国連改革案を発表し、またアメリカ側が安保理改革について新たな立場を表明するなど、国連改革を積極的に進めて行こうとの姿勢が、こうした形で具体的に示されたことをわが国は高く評価するものである。これらの動きによって、国連改革の議論自体に一層弾みがつくことを期待する。
 わが国は全体として、均衡のとれた形で国連改革が進められていくことが必要と考えているが、安保理改革問題については今般発表された米国のイニシアチブを生かしつつ、途上国を含む各国が安保理改革に一層積極的かつ具体的に取り組み、改革案の早期取りまとめが図られるよう最大限努力する所存である。その過程において、わが国としては関係各国の積極的協力も併せて得ていきたいと考えている。

(問)国連改革についての「米国のイニシアチブ」というのは、今般発表されたリチャードソン国連大使の「常任理国入り先進国2、開発途上国から3カ国という提案について受け入れも可能」との提案のことか。

(報道官)その通りである。

(問)そうすると、わが国としてはこの米国の方針を支持するということか。

(報道官)わが国の基本的な立場は、今国連会期中に改革の枠組みについて一般的合意を形成していきたいということであり、アメリカ側が今回このような形で新しい立場を表明したということは、安保理改革の早期決着に向けてのアメリカ側の真剣な決意の表れであり、わが国としてこのような積極的な姿勢を高く評価するものである。まだ最終的なパッケージの形がどのようになるかについては分からないが、今回、リチャードソン国連大使が発表したこと(要約すれば6つの点があるが)については、わが国としても支持するものである。

(問)積極的な分だけを支持するだけでなく、内容そのもの、つまり6つの点すべてを支持するということか。

(報道官)そうである。その中で例えば、拒否権のことについて最近、セネガルの国連大使が提案した拒否権についての特別の作業グループを作って検討するということについて、アメリカ側は賛意を表明している。拒否権をうやむやにするということについては途上国は懸念しているわけだが、わが国としては従来から述べている、最終的・包括的な改革パッケージの一環としてこの拒否権の問題を取り扱っていこう、最終段階で取り扱っていく問題であるという基本的立場を踏まえつつも、セネガルの提案、アメリカ側の今回のそれを是とする考え方につき、われわれとしてもこれに異存はなく、交渉を加速化させ得る1つの現実的な方法と考えるものである。

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・ カンボジア問題について

(問)ウン・フォット外務大臣の第1首相就任が確実視されている中で、アメリカは第1首相はなおラナリット殿下であるというフォット外務大臣の就任に否定的な態度を示しているが、わが国としてこのフォット外務大臣の第1首相就任の背景をどう位置づけるのか。

(報道官)わが国としては、現在の憲法及び政治体制の維持が重要と考えている。他方、第1首相を誰にするかはカンボジア国民が決定することであると考える。今質問のアメリカのこの問題に対する態度、見解だが、アメリカ政府は民主的な手続きに沿って今後、第1首相が選任されることを求めているのであり、ウン・フォット外相個人のことを念頭において反対しているというわけではないと思っている。日本としても、第1首相が民主的な手続きに沿って選任されることを期待するものである。

(問)現状ではラナリット殿下が国外に居るままの状況で手続きが進んでおり、第2副議長は海外から無効であり、ラナリットがいなければ選出できないはずと言っている。こうした状況で第1首相が選ばれたらそれは有効か否かの論議が出てくると思うが、わが国としては有効であると考えるか。

(報道官)繰り返しになるが、わが国としてはカンボディアの現在の憲法及び政治体制の維持が重要だと考えている。今の憲法の下ではまだラナリット第1首相の地位に関して、カンボジアの国会は何の決定もしていないと理解している。今後、ラナリット第1首相のことについてどのような決定をし、第1首相就任についてどのようなことになるか、これは基本的にはカンボジアの国内のことなので、わが国としてはそれを見守っていくわけだが、現憲法の下でそうした手続きが民主的に行われていくことを期待するものである。

(問)ラナリット殿下が帰らぬままフォット外相が第1首相に就任した場合、わが国としてはその手続きが民主的に行われたと判断すれば、承認というわけではないが認めるということになるのか。

(報道官)これはあくまでもカンボジアの憲法の下で、いろいろそうした手続きが進んでいくということが重要で、それ以上に進んで誰々がどのような形で第1首相に任命されたということについては、わが国としてコメントするのは差し控えたい。いずれにせよ、これはカンボジア国民、カンボジアの国会が決めることであると考える。

(問)大臣は渡航自粛の解除を検討中であり、この解除は経済協力の再開にもつながるとも受け取れるような発言をされたが、その渡航自粛解除の目途如何。

(報道官)外務大臣も申し上げたように、その点(渡航自粛勧告の解除)については、首都プノンペンの都市機能は正常化が進んでおり、また主要な国際航空会社も定期便の再開を始めつつある状況にあるので、カンボジアわが方大使館とも協議の上、検討を進めているところである。他方、観光旅行自粛勧告については、引き続き慎重に検討していくことが必要と考えており、要するに今後、渡航自粛勧告を解除する時が来るとしても、渡航自粛勧告と観光旅行自粛勧告とは2段階に分けて考えていく必要があると考えている。
 また、経済協力については、わが国としては既に何度も説明しているとおり、パリ和平協定の順守、現在の憲法及び政治体制の維持、基本的人権や自由の保障、明年5月の自由で公正な選挙の実施などが重要と考えており、カンボジア政府がこれらの実施に向けて努力するとの前提の下で、現地の治安状況の改善等を慎重に見極めつつ、カンボジア王国に対する援助を引き続き実施することとしている。従って領事移住関係の措置が全部解除されなければ経済協力関係の事務ができないということではないと理解している。

(問)しかし現実には領事移住関係で国外に出ている関係者が戻らなければ再開は難しいのではないか。渡航自粛解除があれば自然に戻られると思うが、踏み切るにあたっての何か足りない要件がまだあるのか。

(報道官)実際問題としてはそういう人たちが戻らなければ援助の再開は難しいと思うが、渡航自粛解除の行為自体1つの行政行為であるので、いろいろ調べる必要があり、現在検討中で今日の段階で結論を出せるものではない。

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・ 北朝鮮の関連

(問)青森県で、北朝鮮から日本が輸入した物資が支援物資の横流しではないかと報道されているが、これは中国の物が単に北朝鮮を経由して入ってきたものなのか確認しているか、明らかに輸入貿易なのか。

(報道官)直接これを担当する省が地元の担当課と連絡を取り合った上で、今回の輸入が中国産トウモロコシを北朝鮮経由で輸入したものが確認されたというようにわれわれは理解している。

(問)あえて北朝鮮の船を使ったのは、チャーター料が安いからか。

(報道官)輸送期間の短縮のために従来、大連経由で輸入してきたものを輸送ルートを変更したというように聞いている。

(問)日本人妻の里帰り問題についてアジア太平洋平和委員会の関係者が前向きの談話を発表したが、これは北朝鮮に対するわが国の食糧支援を考える場合、この日本人妻の問題が解決されれば、それではと日本は腰を上げるのか、それとも拉致事件についても何らかのものが出てくることを待つのか。

(報道官)これまでも説明の通り、わが国が対北朝鮮への緊急人道援助を検討するに当たっては、質問の点も含めていろいろな要素を総合的に検討していくということで、それらの要素の1つ1つを援助の問題に直接関連づけているわけではない。今度のアジア太平洋平和委員会スポークスマンの談話については、既に官房副長官が説明しているように、日本人妻の一時帰国の途を開くものと考えられ、これを歓迎するものである。これまでの関係各位のこの問題に対する熱い思いにも鑑み、政府としてはこの日本人妻の一時帰国の早期実現に向けて引き続き努力していきたいと考えている。こうしたことによって、北朝鮮とのいろいろな関係について雰囲気の改善が実際に現れるということを期待するものである。

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・ 日韓漁業協定について

(問)日韓漁業協定については、一応の期限としていた20日が目の前だが、現在の状況では韓国政府は日本側による韓国漁船の拿捕問題を大きな理由として交渉再開に応じないと言っているようだが、どう考えるか。

(報道官)わが方としてはできるだけ早く日本と韓国との間の漁業交渉をまとめ上げたいという気持ちで、そのために引き続き努力を傾けていく所存である。他方、質問のように今難しい問題が起きているということも事実である。わが国としては、拿捕の問題については、韓国側においてわが国の立場が広く理解されるようになることを望むものである。なお、今度のASEAN拡大外相会議において、日韓外務大臣の間で話し合う機会があるかと思うので、そうしたところも通じて、何とかして日本と韓国との間の理解が進んで、交渉に弾みがつくことを強く望むものである。

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報道官会見要旨(平成9年7月15日(火)17:00~於会見室)

・ カンボジア情勢

(報道官)カンボジア情勢は依然、地方において局地的な武力衝突の可能性は排除されないが、全体としてカンボジアの情勢は沈静化の方向にある。特に首都においては市民生活は元に戻りつつある。わが国を含めて国際社会は、カンボジアの現政権がパリ協定の順守、現憲法及び政治体制の維持並びに明年5月の自由で公正な選挙の実施を求めている。これに対してフン・セン第2首相は、13日付声明で王制の維持・護持、複数政党制の維持、基本的自由の尊重、人権擁護措置を表明しており、わが国としては、この公約の実施を見守っていきたいと考える。今回の事態の中で、フンシンペック政府高官が殺害されたことに関連し、去る10日、政府は内藤大使からソー・ケン副首相兼内務大臣に対して、このような事件の再発防止、対立政党党員の人権擁護などを申し入れ、同副首相から最大限の努力を尽くす旨の回答があった経緯がある。さらにフン・セン第2首相も先程申し上げた13日付声明において、人権擁護に言及している。わが方としては繰り返しになるが、先程申し上げた3つの基本的な立場についてのカンボジア政府側による実施の状況を引き続き見守っていきたい。

(問)局地的な武力衝突の可能性も排除されないということは、既に衝突が起こっているのか、それとも可能性があるということか。

(報道官)わが方は必ずしもカンボジア、特に地方における状況について詳しく把握しているわけではない。しかし、北部3州等においては緊張がある模様である。

(問)その北部3州等の緊張状況の中に、ポル・ポト派の動静はあるのか。

(報道官)ポル・ポト派の動きについても具体的にはまだ皆さんに説明し得るほどの状況把握はできていない。

(問)昨日の次官会見で今回の自衛隊機派遣について、領事移住部長名で防衛庁に対し準備を要請したとのことだが、領事移住部長名での要請と外務大臣名で要請することの違いと、その法的根拠について聞きたい。

(報道官)自衛隊法の第100条の8に規定されている自衛隊機の派遣が実施されることになる場合は、その条項に基づいて、外務大臣が防衛庁長官に依頼することになっている。今度の場合は、第100条の8を根拠としているが、緊急事態の発生ということではなく、輸送機の待機態勢の確立等の準備行為を行うということなので、あのような形でわが方としての依頼を伝えたということである。

(問)大臣と部長の違いはどういうことか。

(報道官)準備行為については(自衛隊法に)明示的な条項がないので、今の第100条の8を根拠として、あのような形で依頼したということである。

(問)第100条の8に基づく状況があった時には大臣のはずであり、領事移住部長名で要請することについては根拠はないのではないか。

(報道官)準備行為について、わが方から防衛庁に依頼する場合には、緊急事態の前の段階なので、担当の部長から担当の局長へというやり方をとったと理解している。

(問)つまり、国外に動かすのに外務省の中で格を落とすことで何か変わるのか。

(報道官)「格を落とす」というよりも、先程の説明の繰り返しで恐縮だが、準備行為そのものについて規定した条項がないということで、第100条の8を援用し、そこに根拠をおいてこのような措置を取ったということである。何も要請しないということではやはりいかないと考える。

(問)海外に(自衛隊機を)出すときの責任は外務大臣にあるはずなのに、局長名で要請するのはどうか。

(報道官)要請の主体を法律で決めておらず、あのような処理をした。

(問)局長である根拠はないのではないか。

(報道官)法律上、定められたものではないが、各省庁との間で協議の上、こういう形を取ることになったものである。

(問)「準備行為」の定義はどうか。紛争国に入らないということか。

(報道官)われわれとしての頭の整理は、防衛庁長官は、外務大臣から現地の情勢が急変して緊急事態となる可能性がある場合、自衛隊法第100条の8第1項に規定する依頼をする可能性があり、その判断が示された場合には、同条を根拠として輸送機の待機態勢の確立等の準備行為を行い得ると解される。かかる判断は、全く現地の情勢に無関係に行うということではなく、現地の情勢が急変して正に第100条の8第1項に規定するような緊急事態となり、外務大臣が依頼をする可能性があるという判断の下において、輸送機の待機態勢の確立等の準備行為をするということである。

(問)地域的な制限はあるのか。例えばカンボジアへの準備行為で今これから依頼する可能性があるからプノンペンまで行けるということか。

(報道官)実際に起こった場所はカンボジアであり、その周辺国ということで各国もよく利用しているタイの基地が選ばれたということである。それ以上の特別の意味合いがあるとは私(報道官)は理解していない。

(問)プノンペンまで行くのが準備行為か。

(報道官)プノンペンに行くのは準備行為ではない。

(問)プノンペン以外に行くということは地域的には可能なのか。

(報道官)カンボジアの隣接国であって、このような救出活動に便宜を供与し得るだけの施設があるということで、その基地にとりあえず飛行機を派遣することを決定したということであると理解している。

(問)つまり、準備行為という明確な規定はないということか。

(報道官)まず法律の体系があって、その中でどこの地域ならば準備行為に当たるといった対応をしたのではない。実際に起こった場所がカンボジアであって、もしも現地の情勢が急変して緊急事態となる場合には、沖縄から自衛隊機を派遣するとしても時間がかかるので、カンボジアの周辺のタイのウタパオ基地が一番適切であり、タイに許可を求めて派遣したという、現実的な対応である。

(問)情勢が沈静化して、不安な状況でなくなれば引き上げの判断も必要になろうが、その判断と手続きはどうなるのか。

(報道官)手続きについてまだ正式に決まったものはないと承知している。ただ、事態の沈静化についての見通しがついたところで、政府としてC130の撤収についての判断を下すことになると了解している。その具体的なやり方等については、その段階で決めていくということだと思う。

(問)カンボジア当局者が軍用機は入れるつもりはないという報道があったが、確認しているか。

(報道官)このことについては既に今朝の大臣の記者会見でも質問があり、大臣から答えている。われわれは、この問題についてはカンボジア政府側と話をしており、今そのような(救援機を派遣する)状態にないということについては、カンボジア側も日本側も同じ意見である。しかし、将来そのような事態が生じた場合については、カンボジアは(我が方に)協力的な態度を示している。

(問)これまで邦人保護に関し、退避勧奨を発出して邦人に対し出国を呼びかけるという手順であったと理解しているが、今回は退避勧奨等を出さずに出国を勧めている。このことは、何かこれまでのシステムを変えるということであるのか。

(報道官)これからシステムを変えるかどうかというところまではまだ判断していない。ただ、実際問題として事態は全体として沈静化しつつあるが、地方ではまだ武力衝突の可能性が排除されないということもあり、(政府としては)長期滞在者も含めて出国をして頂きたいという趣旨をカンボジアにいる邦人の方々に述べているわけである。これはわが国だけの措置ではなく、関係各国の中でも同様な措置をとっているところもある。退避勧奨の前に、個々の人についてそのような形で出国を求めていった方がいいという事態が、今後も他の国で起こるようならば、同様の措置をとっていくであろうし、また、新たな措置を作った方がよいということであれば、そういう(新たな)ものを作ることも可能性としてはあり得ると思う。

(問)今まで退避勧奨をもって(邦人に対し)「出て下さい」としてきたが、今回それも出さずに出国を要請するというのは、明らかに正式な手続きを踏まずにやっていることになる。こういうきちんと姿勢を示さないでやっているのは政府として何か責任を持たないことにならないか。

(報道官)今外務省で持っている制度としては、あるところに「行かないで下さい」という勧告と、そこにおられる方に「自主的に帰って下さい」という二つの勧告である。その間隙で実際にいる方に対して、「全体的には事態は沈静化しているが、局地的にいろいろ難しいところもあるので出国されたら如何ですか」いった勧告は、今までは外務省領事移住部の持っている制度としてはなかったことは事実である。しかしそのような形でも求めていった方がよいだろうという判断で邦人に対し(現実に)勧告を行っている。いずれにせよ、今の質問の趣旨のように何か制度として両方の間隙を満たすものがあった方が国民の理解が得られやすいということであるならば、貴重なご意見として検討をしていくことは可能である。

(問)きちんとしたスキームにのせて勧告を出さずに事実上出国を勧めるということは、何か政治的、外交的な意図があると受け取られかねない。今のやり方だと何か別な意図があるように取られないか。

(報道官)そのような質問をされる方もあるかも知れないし、反対に今ある制度の下で退避勧奨を出すのが遅れ、そのようなことでいいだろうかという意見もあるかも知れない。われわれとして最も重要なのは、邦人保護において、適切な措置をとることである。(カンボジアでは)まだ事態がどうなるか分からないというところがあり、われわれの基本的な立場としては引き続き事態を見ていくということであるが、今ある制度ではないものの邦人の方々の安全を考えて、われわれとしては事前に手を打っているところである。ただ、当然のことながら、本当に事態が沈静化し、元と同じように治安の問題等を心配することなく仕事ができるということになる場合には、それに応じて在留邦人に対する考え方をわれわれとして明らかにしていかなければならない。

(問)準備行為でタイに依頼したのが外務省であれば、その撤収の判断も外務省がすることになると思うが、どういう状況であれば撤収の判断になるのか。

(報道官)具体的にいつの段階でどのようにするということについては、まだ申し上げられないが、先程来申し上げているとおり、当省としては事態は全体として沈静化しつつあるというふうに考えている。今後の見通しについて、われわれとして事態沈静化ということで問題なしと考えた時に、関係省庁との間で至急連絡をとり合い、政府全体としての意思を固めるということになると思う。

(問)その判断ができるのは近いか、それともまだしばらくかかるのか。

(報道官)これについては現実にそのような判断をする時まで答えはできかねる。

(問)その外務省の判断を踏まえて官邸が実際に撤収命令のようなのもを出すのか。

(報道官)(今回援助機を)実際に派遣するに当たっては、先程説明したように、法律そのもの(自衛隊法第100条の8)というよりも、それを根拠として関係省庁間で派遣方法を決めたということであり、撤収の仕方についてその時に同時に決めてはいない。従って、今の段階でこういう決め方になっているということを申し上げることはできないが、いずれにせよ、外務省は外務省としての判断をしていくということになると考える。

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・ 北朝鮮問題

(問)北朝鮮幹部が日本財団の笹川理事長に、近い将来、日本人妻の里帰りを認めると言ったという一部報道があるが、外務省はこの情報をつかんでいるか、また報道の事実関係如何。

(報道官)北朝鮮当局と日本国政府との間の話については、具体的な進展はまだ見られていない。あのような報道があるということはわれわれも読んで知ったが、具体的にそれが政府レベルで取り上げられた話であるということでなはない。

(問)笹川理事長からは話を政府として聞いていないか。

(報道官)伺っていない。

(問)今後、直接聞くことはないか。

(報道官)われわれとしては、やはりこうした問題は政府間レベルできちんと話し合いをしていくことが必要と考えている。ただ、先程来申し上げているように、まだ具体的な進展があるわけではない。

(問)北朝鮮に関連して、米がWFPの要請を受けて北朝鮮に10万トンの食糧を追加支援するというが、これに関して米もしくは韓国からわが国に対して新たな支援要請はなかったか。

(報道官)新たにわが国に対して支援を要請してきたということはない。今度の米の追加支援については、われわれも話は聞いている。われわれとしても北朝鮮の食糧事情は厳しいものと認識している。

(問)北朝鮮への食糧支援についての立場は現在なお変わっていないか。

(報道官)従来どおり、総合的にいろいろな要素を勘案していくということである。

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・ 国際機関への拠出

(問)本日の外国記者会見でわが国のODA10%カットの影響で、UNHCRとか具体的な国際機関の名前を挙げ、国際機関への拠出、義務的経費は考え直さざるを得ないとの発言をされたと聞いているが、これは実際にカットしていくということなのか。

(報道官)具体的に来年度のわが国のODAの配分について、現段階で政府の方針が定まったということではない。しかし、国際機関に対する予算といった場合には、一方において義務的な拠出、即ち分担金が来年は今年以上に上がる可能性があり、円安の問題もある、またODAの予算が10%削減になるということ等からして、任意拠出については、1つの予想としては今のままでは邦貨で見てもドル・ベースで見ても、減ることになってしまう。実際にUNHCRといった日本から大口の拠出を行っている国際機関にも大きな影響が出てしまう。今のままではそうした国際機関の中で特によく働いていてくれるUNHCRとかユニセフといったところの活動にも悪影響が出る可能性がある。それを今後いかにしていくかについて、政府の今抱えている問題というものを説明したものである。日本の報道機関においても既にこうした国際機関に対する任意拠出金を減らすことを政府が決定したといったような報道が流れているが、そのような事実はない。われわれとしては、ODAの1割カットや、円安といった厳しい状況の中にあって、何とかして効率のよいODAを実施し、国際機関についても非常によくやっているところについては、そうした活動を阻害しないように、われわれとして手当てしていく必要がある。また、関係の国際機関の行財政上の改革についても引き続きわれわれは求めていくつもりである。いずれにせよ、非常に厳しい予算状況の中で来年度わがODA予算のあり方、支出のやり方を決めていかなければならないということで、外務省のみならず政府全体として知恵を出していかなければならないと心得ている。

(問)いずれかの機関が影響を受けるのは免れ得ないということか。

(報道官)(来年は)義務的拠出が今年以上に増えるので、任意拠出を見た場合、単純計算をすると邦貨で平均3~4割の削減、実際に支払うドル・ベースでは平均4割から5割減ってしまうという計算になる。果してわれわれがそのままその通りにしてよいのかどうか。今まで日本が国際貢献ということでいろいろ努力してきたわけだが、それを4割から5割と大きくカットすることでいいのであろうかということを自問自答しつつ、何とかしていい形でもってODA事業を実施していきたいということである。今後12月にかけて、いろいろとわれわれも知恵を出していかなければならない。

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報道官会見要旨(平成9年7月11日(金)17:00~於会見室)

・ NATOマドリッド首脳会議について

(報道官)この度のNATOマドリッド首脳会議におけるNATO拡大についての合意は、先のNATO露間の基本文書の合意を含めて、NATO加盟国のみならず、アジアを含めた域外国にも意を用いた形で交渉がなされ、最終的に欧州及びその他の地域の安全保障を損なわない形でなされたものであり、我が国としてこれを評価するものである。この度の首脳会議において、NATO拡大にとりあえずの結論が出され、今後の方向性が明らかになったことは、21世紀に向けて欧州の平和と安定を高め、ひいては国際社会全体の平和と安定にも貢献するものであり、冷戦後の国際秩序構築の重要な節目として評価している。
 今後のNATO拡大の具体的なプロセス・動向については、我が国をはじめとするアジア太平洋地域にも影響を及ぼし得るものとの観点から、我が国としては多大な関心を有している次第である。

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・ カンボディア情勢

(報道官)カンボディアの全般的情勢は沈静化されつつあるが、流動化する可能性も排除されず、事態を引き続き注意深く見ていく必要があると考える。我が国はパリ和平協定の遵守、現憲法・政治体制の維持、明年5月の自由で公正な選挙の実施を関係当事者に対して強く求めるものである。
 我が国はカンボディアの加盟延期についてのASEAN緊急外相会議の決定を理解するものであり、また、ASEANの3人の外務大臣が、シハヌーク国王及び第一、第二両首相に対し、国民的和解を実現するよう働きかけていくとする決定を評価する。我が国としては、関係各国、国連等と協力しつつ関係当事者に対し引き続き事態の平和的解決を求めていく所存である。

(問)C130輸送機派遣については、総理から指示があったようであるが、今どういったスケジュールで動いているのか。

(報道官)(総理の指示の趣旨は)緊急事態になることが排除されない事態において、万が一に備えるものとして、C130をタイへ派遣するものと我々は認識している。自衛隊法第100条の8の枠内において、現在、法的要件について政府部内で検討中である。また、タイとの間においても、C130の受入について協議を行っているところである。

(問)(C130の)受入許可はいつ頃出るのか。

(報道官)我々としては、出来るだけ早く結論を出していきたいと考えており、先程も申し上げた法的要件についての検討も進めているところである。

(問)出来るだけ早くということであるが、いつ頃までという目標を有しているのか。

(報道官)主務官庁が防衛庁であり、同庁としては出来るだけ早い期間にということで、非常に急いで検討をしており、我々とも色々協議を行っている。

(問)法的要件について、那覇からタイに移動する際に、色々な「根拠」が必要になるのか。

(報道官)本件についても詳しいことは主務官庁である防衛庁に照会して頂きたいが、第100条の8に規定されている色々な手順といったことについて部内で検討中であるということである。

(問)手順という意味では、邦人の救出については、外務大臣の(防衛庁長官への)依頼というものがあるが、タイへのC130の派遣についても大臣の依頼というものが必要なのかどうかというようなことを部内で検討されているのか。

(報道官)我々としては、冒頭にも申し上げた通り、今緊急事態というものがカンボディアにおいて発生しているとは捉えていない。従って、今の段階でこの自衛隊法第100条の8に基づいて、緊急事態を前提として外務大臣が防衛庁長官に要請をするといったことではないと理解している。
 繰り返しで恐縮であるが、万が一に備えるものとして、C130をカンボディアの隣国であるタイ国へ派遣するというものであり、これについての手順ということについて、今第100条の8の枠内において政府部内での考え方の統一を鋭意図っているところである。

(問)2~3日前のタイのC130による邦人救出時の状況ならいざ知らず、今の比較的平穏な現状で(C130を)飛ばすことの法的要件というものが良く理解できないが。

(報道官)これはプノンペンに直接自衛隊機を邦人保護のために直ちに飛ばすということではない。(カンボディアに於いて)緊急事態になるということは排除ず、そういう場合に備えて隣国のタイに派遣するということである。なお、カンボディア情勢については、プノンペンでは事態が沈静化しており、(カンボディア)全体としても沈静化しているようであるが、冒頭に説明した通り、流動化する可能性も排除されず、事態を引き続き注意深く見ていく必要があると考える。その関連で一つ説明申し上げる。まだ当省としてカンボディアの在留邦人に対して、退避勧奨とか退避勧告をするというような状況に立っているとは判断していないが、これまで短期滞在者に対しては、不要不急の場合出来るだけ民間機を利用して早期の出国を求めてきた。本日、今後の緊急事態発生の可能性を完全に排除し得ないということから、長期滞在者に対しても、通常の民間機を利用して早期に出国するよう働きかける指示を出したところである。
 このように、我々はカンボディアの情勢そのものが完全に沈静化していると考えているわけでなく、反対に緊急事態発生の可能性というものを完全に排除しえないということから、色々な措置をとってきている。

(問)外務大臣が防衛庁長官に要請していないのに、C130が飛ぶことになるということは、どういう法的枠組で解釈されるのか。例えば、訓練飛行でタイに赴くこととするのか。

(報道官)本件については今政府部内で検討中であるので、最終的な結論については、部内の検討が終わったところで説明させていただきたいが、先程来説明しているように、今政府部内では、自衛隊法第100条の8の枠内において、今度のC130のタイへの派遣ということに関わる法的要件を検討しているところである。

(問)その自衛隊法第100条の8とは具体的にどういうものか。

(報道官)条文が必要であれば後でお渡しすることとしたいが、何れにせよ、緊急事態に際して、外国における邦人の生命・身体の保護を要する場合に、外務大臣が防衛庁長官に依頼して、一定の条件の下に航空機による輸送を行うことを定めた条項である。

(問)政府部内の法的要件に主眼が置かれているようであるが、タイ政府の(C130)受入に対する反応如何。

(報道官)時間的制約があるので、一方において政府部内で法的要件について検討を続けるとともに、タイとの間においても鋭意協議をしているところである。まだ最終的な結論を得るに至ってはいないが、タイとの協議も鋭意進め、政府全体として、出来るだけ早く総理の指示に基づくC130の派遣というものの実現に努めていきたい。

(問)カンボディア政府とはC130の派遣について協議を行っているのか。

(報道官)今はしていない。タイとしているのみである。

(問)在留邦人の早期出国を働きかけていくということであるが、その他の主要国の状況如何。

(報道官)他の主要国についても既に色々な処置をとっているようである。例えば米については大使館員の数を減らすということからはじめ、民間人についても減らしているということである。なお、その場合も情勢が危険であるとの判断から緊急事態に対応した退避オペレーションをしているというのではなく、我々と同じように緊急事態発生の可能性や、治安上の理由等から、基本的には商用機の利用等によって出来るだけ早く出国をするよう指導していると理解している。

(問)そこでいう緊急事態とはどういうことを想定しているのか。例えば大虐殺といったものか。

(報道官)虐殺が起こるかどうか別として、やはり武力集団同士の衝突が発生するというようなことである。

(問)その場合、地理的にも詰めているのか。例えばプノンペンでの話なのか。

(報道官)具体的な話は詰めていないが、実際にどういう形で起こるかということを事前に予測することはなかなか困難である。ただアフリカにおける色々な緊急事態を見てみれば、実際に邦人が緊急事態に巻き込まれ、色々な形で退避していかなければならない事態は生じ得よう。
 従って、我々としてこれまでのカンボディアにおける色々な事件等を、一応考慮に入れた上で、武力衝突等が起こったとしても、邦人が安全に外に出ることが出来るよう色々考えていきたいということである。

(問)仮定の話であるが、C130で邦人を輸送する際に、その他の国の人間も輸送することはあり得るのか。

(報道官)C130がタイに行った後、実際にカンボディアに派遣されることになるため分からない。まさに質問のように仮定の話であるが、この自衛隊法の改正が行われた時の閣議決定によると、当該の外国人の属する国の政府から要請がある場合、その外国人の輸送を行うということも、一定の条件の下で出来る形となっている。

(問)タイには他の国の輸送機も集結しているのか。

(報道官)自分(外報官)は詳しくは知らないが、記憶によれば豪州のC130が、自国民をプノンペンからタイの空軍基地へ運んだという事例があったと思う。

(問)カンボディアへの援助について、米独は期間のずれはあるが、援助の凍結をする方針を打ち出している。日本の場合も、現状では経協実施というわけにはいかないということであろうが、今後の方針としてはどうお考えか。

(報道官)先ず米の対カンボディア援助の一ヶ月間の停止については、米として、あらゆる選択肢をオープンにするという判断から取った措置であると理解している。これによって、永久に援助を停止するということを決めた訳ではない。我が方の対カンボディア経済協力については、ご指摘のように現在ような不安定な状況の下では、実際問題として経済協力事務を継続していくのは困難である。
 今後の対カンボディア経済協力については、状況が依然流動化していることもあり、現時点で政策判断を下す状況にはない。事態の推移を見守りつつ慎重に検討していく考えである。

(問)C130派遣に関する法的要件を整理すると、タイまでは大臣の要請は不要であるが、タイからプノンペンに向かうことになった場合には要請を行うということか。

(報道官)一般的にそのように理解している。

(問)カンボディアへの援助について、どのような状況になったとき凍結を行うのか、或いは再開を行うのか。

(報道官)経協実施の物理的な面については、カンボディアの国内政局が安定しなければならない。フンセン第二首相は、フンシンペックと人民党との連立政権を維持していくと言っているが、今後現在の連立政権が続くものかどうかについては、もう少し見ていく必要がある。
 勿論、我々としては、両党間の平和的な話し合いによって事態が解決することを望むものである。他方、対カンボディア経済協力を今後どのようにしていくかということについては、我が方もODA大綱を持っており、ODA大綱に沿うよう色々やっていかなければならない。ただ、事態はまだまだ流動化しており、行く末も分からないので、全体として経済協力をどうしていくかについて、今の状況で判断を加えることは困難である。また、どのような状況になった場合に、日本が凍結等をしていくかということについても、これは仮定の議論として今の段階で答えられる状況ではない。

(問)これは橋本総理が午前中に話したことであるが、外務省が極めて慎重であり、総理の方から強く指示をしたというような話をされているが、仮に外務省が慎重であり、慎重な意見があるとすれば、どういう意見であったのか。

(報道官)外務省として特に総理大臣と意見を異にするということではなく、第100条の8に規定されている緊急事態との関連で、色々な状況について把握しようとしているということである。
 総理大臣としては、万が一のことを考え、那覇にC130を集結させ、また今般タイに派遣するということについて指示をした。我々としては、総理大臣の指示に従い、各方面からの詰めを行っているところである。何か、外務省として総理大臣の見解、判断に異を挟むというようなことはないと理解している。

(問)先般特使としてカンボディアを訪問した今川前カンボディア大使が、本日のプレスセンターでの会見の際に、現在の状況はクーデターというふうにラナリット殿下が言ったのはこれは早計である。これは内政問題である、というような発言をしているようだが、これは外務省として認識を同じにするのか。

(報道官)否。我々としては、単なる内政問題というようには捉えておらず、地域の平和と安定に関わるものという捉え方をしている。
 何れにせよ、カンボディア和平の達成については、国連をはじめ、我が国も色々とイニシアティヴをとってきたところであり、何とかしてこの和平というものを継続してもらう必要がある。来年5月の総選挙を自由で公正な形で行う必要があり、引き続き人民党とフンシンペック党、両党が話し合いによって事態の解決を図り、そのような形で総選挙を実施していく必要があると考えている。

(問)ラナリット殿下が国連事務総長に経済制裁を要求したという報道がなされているが、これに対しては日本政府としては支持しないということでよろしきや。

(報道官)国連安保理において、どのような議論が行われ、どのような結論が出ているのか、自分(外報官)は現時点では承知していない。何れにせよ、人民党、フンシンペック両党が今までのパリ和平合意をはじめ、現行の憲法及び法的枠内において、事態の収集を図っていくということが重要と考えている。

(問)内政問題でないという判断であるが、ということはフンセン第二首相の行為をクーデターと理解しているのか。

(報道官)実際に如何なる状況の下で、如何なる判断の下で武力衝突が発生したか、ということについては、未だつまびらかにしない。
 我々としては、何れにせよ武力衝突が生じ、国内が流動化し、パリの和平合意が危機に瀕するようになってはいけないという強い気持ちである。これは単なる内政問題ではない。クーデターかどうかということについては、フンセン第二首相、ラナリット第一首相との間で意見が分かれているようであり、それについて、我々として今の時点で有権的な解釈が出来るような状況ではない。

(問)日本がそのような解釈をするためには、つまびらかでないところを詰めていくという努力をする用意はあるのか。

(報道官)事件の背景をつまびらかにするというよりも、こうした事態が生じてしまったことは事実である。和平合意というものが崩壊に帰するとか、現憲法、現法律体制というものが維持できなくなる、といったような事態を何とかして避けるということで、友好国、国連等と協力しつつ、事態を平和的な解決に持っていくよう努力していくということに尽きる。

(問)基本的なことであるが、今のカンボディア国内の在留邦人数及び移動の状況等如何。

(報道官)現在の在留邦人数は370名である。内プノンペン361名、シェリムアップ8名、シアヌークビルに1名。因みに、事件発生後、出国した在留邦人は139名と把握している。

(問)今残っている370人の人の出国の希望の度合いというものは、どんな感じであるか。

(報道官)在留邦人の中に、残りたいと言っている人もいるようであり、また、早く退避したいと考えている人もいる。ただ、先程より申し上げているとおり、今までは短期滞在者に対して、早期出国を働きかけていたが、今後長期滞在者も含めて、早期出国を求めていくことになる。
 因みに370名のうち、長期滞在者は271名、短期滞在者は99名であり、長期滞在者については、色々な事情がある方もおられるが、実状を把握しつつ、出国を働きかけることになると理解している。

(問)その働きかけについて、何か退去勧告のようなものを行うのか。

(報道官)そのような正式な手段ではなく、今は国内情勢が沈静化の方向にあるが、万が一の事態ということも排除できないので、できるだけ出国、通常のその運輸手段によって出国するよう働きかけるということであり、我々としては、個々にそういった方々に当たって、政府の考え方を説明していくこととなる。

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報道官会見要旨(平成9年7月4日(金)17:00~於会見室)

・ 開発に関する沖縄会議

(報道官)今月24、25日の両日、沖縄県の協力を得て宜野湾市の「沖縄コンベンションセンター」において、開発に関する沖縄会議を開催する。
 本会議には、先進国及び開発途上国双方の国連常駐代表又は本国の閣僚、次官、局長等のハイレベル並びに世界銀行、UNDP、UNHCR等の国際機関の代表等、約50名が参加する見込みである。議長は小和田国連大使が務め、大田沖縄県知事の挨拶等を予定している。
 この会議の開催目的については以下の3点が挙げられる。
 第一点に、我が国は93年の東京サミット以来、開発問題について、「新たな開発戦略」という考え方を提唱している。この考え方はリヨン・サミットにおいて支持を得て、また、先般のデンヴァー・サミットにおいても取り上げられた。かかる考え方を今後如何にして、具体的に行動に移していくかを検討することがこの会議の一つの目的である。色々な角度からこの問題を検討することが出来るが、大きな柱としては、アジアとアフリカと間の協力を日本をはじめ、援助国が支援していくという形でこの新開発戦略というものを具体化していくということである。量から質への転換ということで、日本のODAの事業の新たな展開を考えていかなければならない時期において、ODA事業の観点から見ても、我が国にとって、この会議というものは重要な意味を持つものである。
 第二点としては、沖縄が国際都市形成を目指していることは御承知の通りであり、外務省としてもこのような国際会議の開催を通じて、こうした沖縄県の努力に協力していくという狙いがある。
 最後に開発途上国の方々も含めて、可能な限り多くの国の方々に、沖縄を知っていただくということが重要であると考えている。
 会議終了に際して、「開発に関する沖縄宣言」というものが発出されることになると思われるが、この会議が今後の国連等の場における開発問題に関する議論の一つの基礎というものを提供できればと考えている。
 なお、来年我が国で開催される第2回アフリカ開発会議(TICAD II)に関連して、既にバンコックにおいて第2回アジア・アフリカフォーラムが開催されており、そこでもアジアにおける経済発展の経験、知識というものが、アフリカの将来の発展に対して伝えていきたいということで議論が行われているが、そういったものの成果というものが、この「開発に関する沖縄会議」において紹介され、議論が行われるものと思われる。そういった意味で今度の「開発に関する沖縄会議」は、来年のTICAD Ⅱに向けた一つの準備作業の一環と解することができる。

(問)「開発に関する沖縄会議」について、本会議は公開されるのか。また、NGOの本会議への参加は認められるのか。

(報道官)本会議は、例えば、リオにおいて開催された国連環境開発会議といったようなNGOの方々を含めた会議とは異なっており、国の代表及び国際機関の代表が参加するというものである。また、来年開催予定の第2回アフリカ開発会議についても、基本的に国と国際機関の代表が参加することになっており、NGOの方々に参加して頂き、始めからオープンな形で行われるものではないと自分(報道官)は了解している。ただ、その中には、オープンで行われる冒頭の部分とか、終わった後の宣言の採択によって、中身について説明を行うということはあるかと思われる。
 基本的には国連の常駐代表の方々や、関係国との間でブレインストーミングをしながら、今後いわゆる南南協力を中心に開発戦略をどのようにしていくかということを具体的に議論を行い、具体的な行動につなげていこうという趣旨のものである。

(問)非公開ということは新聞やテレビの取材は不可能ということか。

(報道官)細かいところは改めて説明することとしたいが、当然のことながら、新聞、テレビの方々の取材の場というものは、設けられることになると思われる。

(問)本会議の開催主体はどこになるのか。外務省と沖縄県の共催なのか。

(報道官)これは外務省の主催であるが、沖縄県の協力を得て開催することとなる。そういう意味で、大田知事にも挨拶をして頂くし、この機会に色々な国の方々に沖縄の中を見て頂きたいと考えており、沖縄の方々にも色々協力をして頂くこととなる。また、会議は2日間と短いものであるが、JICAのセンターも設置されているので、そういうところを見て頂くということも考えている。
 そういったところで、外務省と沖縄県の間で協力して事業をやっていきたいということだ。

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・ アフリカ担当大使任命について

(問)今朝の大臣会見で、(青木大使の話は別として)アフリカ担当大使を置くくことについて如何と質問した際に、大臣より、まだ何も考えていないという趣旨の回答を得たが、自分の記憶では、大使会議の提言を受け、アフリカ担当大使を置こうという動きがあったのではないかと思われるが、その点如何。

(報道官)御指摘の通り、5月31日にジンバブエの首都ハラレにおいて、大湖地域情勢分析大使会議が開催され、その際、「大使の提言」というものが提出された。その中で、大湖地域を中心とした問題を扱う特命事項大使の早期任命というものが提言された経緯がある。この問題については、6月3日の記者会見において、自分(報道官)より、本省としても真剣に検討していきたいと説明した経緯がある。改めて、現時点における当省としての検討状況を説明申し上げる。
 アフリカの平和と安定、就中大湖地域の紛争問題の解決というものは、先般の色々な事件をみても、国際社会にとって重要な課題と認識しており、我が国も従来からこの地域の諸問題に積極的に取り組んでいる。また、大湖地域問題の重要性を踏まえて、主要国及び主要国際機関は既に大湖地域を担当する大使級の代表者を任命して、色々な機会に相互協議を行っている。例えば、サハヌーン大湖地域担当国連・OAU共同特別代表については、良く耳にすると考える。外務省としては、このようなアフリカの情勢を踏まえて、大湖地域を中心とするアフリカの問題を担当する大使が、我が国にも必要であるとかねてから考えている。今、その点についての事務的な検討を行っているところであり、まだ結論は出ていない。

(問)事務的に検討を行っていると言われるが、既に各国等の大使級の方々が大湖地域において活動中であることもあり、我が国としても早くプロセスを進める必要があると思われるが、大使を任命するのはいつ頃になると思われるか。

(報道官)先般の大湖情勢分析大使会議においては、出来るだけ早く設置して欲しいという要望が出されたこともあり、本省においても検討を続けている。何分にもこのようなポストを作る場合に、色々な面で考慮せざるを得ないものがあり、今の時点で何時までに発表できるという状況にはなっていない。基本的にはこうした大使会議の提言を踏まえて、まさに、真剣に検討を行っているというところである。

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・ カンボディア情勢

(問)カンボディアで2日、またしても武力衝突が発生し、3日、山本臨時代理大使が申し入れを行ったということであるが、先般の今川特使の訪カの際に色々な話を行い、カンボディア側も努力するということで大きな成果もあったと見ていたと思われるが、依然としてこうした状況が続いていることについての今後の対応如何。

(報道官)今川特使がカンボディアに赴き、国際社会の懸念を伝え、また、ラナリット第一首相、フンセン第二首相の協力を得て、総選挙を実施していって欲しいということを伝え、それに対し先方から基本的に前向きの答を引き出したという意味で、今川特使の派遣というものは意義があったわけであるが、残念ながらその後、武力衝突が発生しているのも事実である。
 我が国としては、サミット8ヶ国等関係国と今後とも協力しつつ、引き続きカンボディア政府に対して、カンボディア指導者の協力による内政の安定と選挙実施による民主化の強化の必要性というメッセージを伝えていきたいと考えている。そうしたことによって、我々も少しでも協力しつつ、カンボディアの民政安定、経済発展が今後とも阻害されないで続いていくことを望むものである。

(問)武力衝突がまた発生したわけであるが、現状はまだ不安定な状況が続いているのか。それとも暫く安定してくれそうだという感触を持っておられるのか。

(報道官)一国の内部のことであり、我々としてもなかなか分かりにくいところがある。しかし、まだ安心はできないと考えている。我が国は、先般、カンボディア支援国会合に出席し、他の国々と共に、カンボディア政府と色々な意見交換を行った。カンボディアの復興、将来の発展ということで、我が国は経済協力を重点的に実施している訳であるが、一方において政治的に不安定なままであると、経済協力をしようとしても実際問題としてなかなか難しいところがある。
 我々としても、国内の政治に無関係で経済協力をするわけにもいかず、なかなか悩ましいところもあり、そういうところを踏まえて、やはり、カンボディア政府に色々努力をしていただきたいということを申し上げてきた次第である。何れにせよ、せっかくあのような経緯を経て、和平が達成されたわけでもあるので、本来の意味での民主化といったものが進んで行ってもらうように、彼らに努力してもらうと同時に、我々として出来るだけの助言と協力というものを続けていく必要があると考えている。

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・ 北朝鮮への食糧支援問題

(問)国連の明石次長が北朝鮮訪問後、我が国を訪問し、北朝鮮への食糧支援を呼びかけ、また、与党の幹部が米国を訪問した際に、国務省幹部より北朝鮮への食糧支援を要請されたようであるが、こうした動きは、我が国がこれまでとってきている総合的勘案のデータの一つとして受け止めているのか。

(報道官)池田外務大臣及び柳井新次官は明石国連次長と会い、明石次長が直接北朝鮮において調べてきたことの説明を受けた。それを踏まえた上で、我が国としては、引き続き色々な点を総合的に勘案して、この問題について慎重に検討していくという立場である。

(問)その色々な点を慎重に総合的に勘案するというデータの中に、先日発表された金正日書記の「帝国主義国家からの支援を受けるべからず云々」の論文も含まれるのか。

(報道官)その個々の中身のことと、これから北朝鮮に人道的援助をするかどうかということについて、直接に結びつけるということは如何なものかと思われるが、一方において、北朝鮮における体制がどうなっているかとうことについては、我々としても引き続き注視していくとともに、北朝鮮に対する援助を考えるに当たって、どうしても我々が考慮しなければならないことは、日本の方々の大方の意見であり、日本の抱えている人道問題について、政府としては充分考慮に入れていかなければならない。

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