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林次官の広島訪問について
(報道官)林外務事務次官は6月6日午前、広島において被爆者団体の代表の方々(被爆者7団体の各代表)と懇談の機会を持つ。同次官は核軍縮をはじめとするわが国の外交政策に関して、被爆者団体の方々と率直な意見交換を行う考えである。若干経緯について説明すると、平成6年12月に、当時の斉藤事務次官が広島を訪問し、被爆者団体の代表の方々と懇談した。その席で、このような会合を今後も持つことで双方が合意したことを受けて今回、第2回目の懇談会を開くこととなった。
(問)林次官の広島訪問は、前回の斉藤次官の訪問に続くものというが、その招待はどちら側からの働きかけで行われることになったのか。
(報道官)今回については、外務省と広島の関係団体との間で協議して決めたものだが、そもそも当時、斉藤事務次官が広島に赴いて、これらの関係の団体と話をさせて頂く機会を持つようになった背景には、平成6年6月の衆議院の外務委員会で、当時の秋葉忠利参議院議員から当時の柿沢外務大臣に対し「外務省幹部も被爆者と懇談して体験を聞いてほしい」と述べ、柿沢大臣がこれを了承したという経緯がある。これを受けて同年12月に斉藤次官が広島に赴き、被爆者団体の代表の方々と、当時は核兵器使用の国際法上の違法性の問題や核不拡散条約の延長問題、核軍縮努力の必要性などについて意見を交換した。
(報道官)先般の記者会見で、NATOとロシアとの間の基本文書について説明した経緯があるが、その際、この基本文書の持つ世界的な意味について質問があったので、追加説明させて頂く。
今後NATOとロシアとの間で設置される常設共同理事会においては、欧州のみならず広くアジアの安全保障にも影響を及ぼし得る問題や、世界的意味合いを持つ問題も取り上げられるものと予想している。例えば、基本文書の中で触れられているが、軍備管理、核・生物・化学兵器の不拡散、国連、PKOといったような問題だが、これらがNATOとロシアとの協力の分野としてあげられている次第である。これらが、これまで軍縮委員会その他の国際的なフォーラムで、わが国が積極的に意見を表明してきている問題であることから、わが国としても常設共同理事会における議論の推移に大きな関心を有している次第である。わが国はNATO及びロシアを含む関係国と対話を強化し、広く安全保障問題に関する認識を共有していくことが重要であると考えている。このような観点から、わが国はNATO及び関係国との間で種々の機会をとらえて、緊密に意見交換を行っていきたいと考えている。
(問)今朝の大臣会見および官房長官の会見で、コンゴ民主共和国(旧ザイール)について黙示の承認と理解して頂いて結構との表明があった。一方、国連安保理が難民の状態に懸念を示しているが、この状況・虐殺はそれほど心配の必要はないとの判断か。
(報道官)政府の承認制度を持っている国は必ずしも世界の中で多くないが、わが国はその1つである。わが国としては、この度、今質問のあったように、政府間の関係を結ぶようになった。既にその前の段階から非公式な形で先方に伝え、また官房長官の記者会見においてわが国のコンゴ民主共和国との関係について3つの点を強調してきている。即ち、第1は、カビラ大統領のもとの新政権が幅広い国民的基盤に立って、民主化移行への明確な取り組みをしていくということ、第2に、真の国家建設に取り組むこと、第3に、人権を尊重し、残留難民に対しても人道上適切な対応をとっていくこと、以上3点が重要であるとの認識を我が国は表明してきている。今後、今質問にあった難民のことについては、UNHCRなどがいろいろ活動していくことになると思う。われわれはその活動を支持していく。わが国としては直接公式にコンゴ民主共和国政府に対し、わが国の考え方を伝え、ともかくこうした新しくでき上がった外交ルートを通じて、質問の問題も含めていろいろと良い方向に動いていって頂くように努力をしていく考えである。
(問)シエラレオネで内乱状態が続いているようだが、邦人には現在影響はないか。
(報道官)内乱が発生した当時、在留邦人は5人いた。4人は既に脱出している。1人は地方にいるが、その方は「自分の身は安全である」として現地にとどまる意思を表明している。
(問)インドネシアの総選挙で与党が大勝利との報道だが、これについてコメントはどうか。
(報道官)本日午後12時半の時点における開票速報によると、与党ゴルカルが得票率73.4%で圧倒的な多数の国民の支持を得ている。今次総選挙結果を通じて表明された国民の総意に立って、インドネシアの国家と国民の繁栄に向けた国造りが今後とも着実に進むことが期待される。今回の選挙の結果によって今後、インドネシアの政局に大きな影響が出るとは思われない。他方、今回のキャンペーン期間中、前回の総選挙の際を上回る暴動、衝突の発生が報道されており、今後の政局の動きを考える上で、こうしたことは注目すべきものと考えている。なお、今次総選挙では外交問題は大きな争点とはなっていなかった。今次総選挙の結果、インドネシアの対日政策に変更が加えられるとは予想していない。
(問)今回の総選挙で表された国民の総意と言われたが、今回総選挙ではかなり露骨な選挙干渉が行われたとの報道もある。今回の総選挙は、真に国民の総意が表れたと認識しているか。
(報道官)第三国における選挙のことなので、わが国として具体的なコメントをすることは必ずしも適切ではないと思う。いずれにせよ、前回に比べて暴動だとか衝突ということは件数は多いということなので、今後の政局を考える上でよく見ていかなければならないと思う。他方、投票率などを見ると、相当多くの住民がこの選挙に参加しているということである。そうしたことも今後のインドネシアの政治を見る場合に、肯定的な要因として見ていく必要があるのではないかと思う。
NATO・ロシア間の「基本文書」の署名について
(報道官)本日27日、パリにおいてNATO加盟国及び露首脳、並びにソラナNATO事務総長との間で、NATOと露の間の相互の協力に関する「基本文書」に署名が行われる。今次の署名に至ったことは、冷戦後の欧州の安全保障の枠組みに一定の結論が得られ、欧州の平和と安定が増すものと考えており、日本政府は本日の署名を歓迎するものである。
NATO拡大は、冷戦後の国際秩序構築の重要な動きの一つであり、21世紀に向けて、欧州の平和と安定のみならず、グローバルな平和と安定に関わるものである。このような観点から、我が国としてもNATOと露間の関係について、引き続き大きな関心を持っていきたい。
(問)NATO拡大絡みの露との「基本文書」署名については、グローバルな面から歓迎するという話であるが、この基本合意が、アジア太平洋地域特に極東にどのような影響を及ぼしてくると見ているか。
(報道官)米ソ冷戦時代には、欧州における色々な動きというものがすぐにでもアジア太平洋地域に大きな影響をもたらし得るものであった。今はそうした時代とは異なっているが、こういったNATO・露間の動きというものについては、色々な意味で世界的な影響を与え得るものと考えている。今後、双方の間で常設の協議の機関が出来るということであり、そこでどのような話し合いが行われるか、我々としても関心を持ち、推移を引き続き注視していきたい。
具体的にどのような影響が出てくるかということについては、もう少し見ていかなければならないと考えるが、この度の基本文書の署名というものは、グローバルな意味合いを持つものとして、我が国として大きな関心を持っていきたい。
(報道官)26日付外務報道官談話に関連し追加説明を申し上げる。
今次クーデターの発生により、96年11月のアビジャン合意に基づく和平プロセスが頓挫したことに対し、我が国政府は強い遺憾の意を表明する。我が国としては、近隣諸国、国連及び地域機関が仲介し、シェラレオネにおいて民主的な和平プロセスが早期に再開されることを期待しており、これが実現する場合には、安保理理事国として積極的に支援していきたいと考える。
(報道官)今般のタリバーンによる北部地域制圧により、アフガンにおける内線がタリバーンによる全国支配という形で終結する可能性が出てきたことは事実である。しかしながら、反乱グループとタリバーンとの関係及びカブール北方に残るマスード指令官(ラバニ派)の動向等の不安定要素も依然残っている。従って、今般の動きがアフガン問題の根本的な解決に繋がるか否かは依然不透明であるところ、我が国としては、現地情勢の推移を勘案しつつ、国連とも協力しながら、今後とも持続可能なアフガン和平実現に向けて貢献していく考えである。
(問)タリバーンによる全国制圧が間近ということであるが、我が国は暫く前三派の代表を招請し東京で会議を行い、タリバーンの代表も招きたいとの意向を示していたが、この(タリバーンの代表を招くという)日本政府の計画は、今般のタリバーンの全国制圧の動きで変更を余儀なくされるのか、それとも計画(方針)はこれまで通り続けられるのか。
(報道官)先程も説明した通り、今般の動きがアフガン問題の根本的な解決に繋がるかどうか依然不透明なところがあり、我が国としては事態を引き続き注視していきたい。御指摘の我が国が提唱してきたアフガン各派の会合については、今後持続的な和平の実現に向けた国際的努力の中で、開催の必要性が生じてくる場合には、我が国としてこの会合のための場所を提供することを含めて対応していく考えである。
(問)他の国ではタリバーン承認は始まったのか。
(報道官)報道によれば一ヶ国についてその動きがあるようだが、詳しくは承知していない。
(報道官)ハタミ師が国民有権者の圧倒的多数をもって当選したことは、イラン国民各層の変化を求める声を反映したものと考えている。
我が国は、新政権の組閣人事をはじめとする今後の国内の動向を注視していく。イランがより開放的、現実的な政策を採用するとともに、同国の行動振りに関する国際社会の懸念を具体的行動振りをもって払拭することを期待するものである。
(問)承認といえば、コンゴ民主共和国を宣言したザイールについて、報道によれば集会デモの規制、虐殺が行われているのではないか等々言われており、米国当たりでもかなり危惧の念が強まってきている由であり、昨日の次官会見においては「もう暫く様子を見たい」ということであった。
こういった事態を受けて、我が国のコンゴ民主共和国(旧ザイール)に対する対応については、現在もザイールとして承認しているのか、コンゴに対する承認については、次官も話したようにかなり遅れると考えて良いのか。
(報道官)政府による政府承認問題については、昨日次官が会見で説明したことに本日付け加えることはない。非常に時間がかかるとか、ある程度短い期間で承認の運びなのかということについては、現時点で昨日以上のことを申し上げることは出来ないが、今までも説明してきたとおり、我が国としては、新しい政権が幅広い国民的基盤に立って、民主化への明確な取り組みを示し、また、人権の尊重及び在留難民に対する適切な対応をとることを強く期待するということ、更に、真の国家建設に取り組むことを期待するということを表明してきた経緯がある。こういった点については、我が国として引き続き注視していく必要があると心得ている。
(問)本27日はミャンマーの1990年の総選挙で民主派が勝利した記念日であり、これに向けてNLD側が暴動を計画し、軍事政権側がその規制で大量拘束を行ったと伝えてられているが、本日のミャンマーの状況如何。
(報道官)先程入手した山口大使からの報告によると、アウン・サン・スーチー女史自宅前の道路に加えて、これに通ずる道路並びにNLD本部に通ずる道が新たに広範囲に閉鎖されている模様であり、治安警察官が配置されている模様である。このようなことで現地時間午前9時から予定されていたNLD選挙7周年記念集会は事実上開催を阻止されている。なお、市内は平穏であり、一般市民にも動揺は見られていない由である。また、封鎖空域外にNLDのメンバーが集まっているということは大使館としては把握していない。全体として静かなようである。
(問)オルブライト米国務長官は、ミャンマー軍事政権に対し強い非難を行っており制裁強化の動きもあるようであるが、我が国は必ずしも米国と軌を一にするものではないと承知しているが、この状況を鑑みて、(ミャンマー情勢の)悪化傾向が続いていると考えられないか、また、何らかの強い働きかけを行うべきではないかと考えられないか。
(報道官)昨年の選挙記念集会においても、NLDの多くの関係者が拘束されたが、しかしその時は集会自体は約250名の関係者の出席を得て平穏に開催された。それに比べると今年の場合は、そもそも集会自体が阻止されているということであり、そういう意味で事態は一歩後退していると考えられる。
既に御承知の通り、23日山口大使よりミャンマー政府に対して、NLD関係者の拘束停止及び被拘束者の即時釈放を求めるとともに、節度ある対応をとるよう希望する旨申し入れたところである。
この度のNLD集会阻止は、ミャンマーの民主化への流れに逆行するものとして遺憾である。我が国としては、引き続き粘り強く我が国の考え方を軍事政権側に伝えていく。我が国の政策は米国の政策とは若干異なっているが、ミャンマーにおいて民主化の努力をしてもらいたいと言う方向においては同じところであり、我が国のもっている手段とかやり方をもって働きかけを行っていく所存である。
(問)現在行われているOECD閣僚理事会で、国際商取引における賄賂の規制についての話し合いが行われていると聞いているが、これはどういったことか。
(報道官)この度OECDにおいて、外国公務員への贈賄への刑罰導入の問題について結論が得られた。それによれば、刑罰を導入する法案をOECD加盟国に対して、1998年4月1日までに立法府に上程することを勧告するとともに、この実現に資するよう、条約交渉を行うことを決定したということである。
条約については、本年中の署名を目指すこととしている。我が国としては、国際商取引における公正な秩序を増進していく上で、OECD加盟国が共同歩調をとって刑罰を導入することが重要と考えている。この度、条約交渉の開始が決定されたことを我が国政府は歓迎するものである。我が国としても真剣に交渉に参加したいと考えている。
(問)この外国公務員の贈賄に関する措置については、どこか特定の国でこういう行為があったから、このような話し合いが行われたのか、それとも全般的に特定することはないが、作っておこうということなのか。
(報道官)OECDの場において、既に10年程この問題について議論が行われてきている。OECD加盟国の中には、既に外国の公務員に対して、自国の企業が贈賄する場合刑罰を科するという法律を整えている国もある。これまでの10年にわたる議論を踏まえ、今般、一方において条約を作っていくということと、また、一定の期限をもって加盟国が国内法の整備をしていくということが合意され、今までの努力が結実していくことになったということだ。
(問)来年の4月ではかなり時間がないのではないか。
(報道官)これはかなり急がなければならないことである。条約については、今年の末までの署名ということを目指し、98年中の発効というものを念頭に置いているわけである。また、この条約が発効するということを念頭に置いて、98年4月1日までにそれぞれの国において国内法を立法府に上程し、98年の末までにそれを発効させていくということであるので、相当の努力というものがOECD各加盟国に要請されることになる。
ただ自分(外報官)が承知している限り、既に10年にわたって議論されていることでもあり、各加盟国とも論点というものについては、相当理解が進んでいるということなので、早急に交渉が始まり、早急にこれがまとまることを期待する。
(問)EUがKEDOへの参加及び資金拠出につき昨日正式なアナウンスをした次第であるが、このアナウンスの中で、正式なメンバーとして加盟すると謳っているが、次官の会見においては、EUのKEDO参加については、他の日米韓と同じものになるかどうかはまだ分からないものがあると発言されていたが、今回の(EUの)KEDOへの参加については、日米韓と同じ資格、発言権を与えられた参加となるのか。
(報道官)簡単に経緯を説明すると、昨年秋以来、EUのKEDOへの加盟に向けた交渉が行われてきており、今月15日にKEDO事務局長と欧州委員会の担当局長との間で加盟合意書の仮署名が行われた。今後EU加盟国及びKEDO理事国において必要な手続きを経て正式な署名が行われることとなる。それによって加盟が実現するということなる。
なお、御指摘の加盟国としての地位については、正式加盟ということが実現する場合には、条約上EUはKEDO理事会のメンバーとなり、日米韓と同等の地位を有することになる。ただ実際的な問題として、日米韓が引き続き基本的に重要な役割を果たしていくことは従来通りである。
(問)EUの人道援助に対する見方如何。又、日本の対北朝鮮援助に与える影響如何
(報道官)事実関係として、EUが北朝鮮に対して人道援助を行うことを決定したということ、そして、先般の国連の統一アピールはこのEUの支援決定によって満たされることになったということを承知している。我が国の北朝鮮に対する食糧援助の問題については、新たに説明することはない。引き続き色々な要素について総合的に考えていくということである。
尖閣諸島上陸問題
(報道官)香港、台湾の人々が来週早々にも尖閣諸島への上陸、あるいは付近での魚釣り大会を行う計画を有していることが報じられているが、わが国国内法に違反するこのような行動は、日本と台湾との関係、日本と香港との関係の発展に貢献するものではないと考える。日本政府としては、これら関係者に対し、尖閣諸島を巡る一連の事態について冷静に対処するよう、また特に今回の計画については自制を求める。
(問)冷静に対処することを求めると言われたが、計画について香港や台湾に対して何かをしたか。
(報道官)既に香港、中国政府当局、台湾当局に対して、われわれの考え方は伝達してある。ただ一方において、これら当局においても実際に抗議活動に出る人の自由は侵すことはできないというところがある。従って、外交ルートでわが方の関心事を伝えるのみならず、こうした機会を通じて直接、関係者の方々に自制を呼びかけるものである。
(問)香港や中国の当局にはどんな形で、どんな申し入れになるのか。
(報道官)こうした行動は日本と中国、台湾、香港との関係発展に資さないということで、冷静に対処する必要があるという点、こうしたことを通じて日本と中国等々との関係を損なうようなことがあってはならない、従ってわれわれとしては、これらの関係者の方々が実際この計画に沿って日本の国内法に違反するような行動をするのは問題がある、といったことを先方に伝えている。
(問)止めてほしいとの要請ではないのか。
(報道官)そこまではなかなか難しいところがある。香港から既に船が出ているようだが、向こうの法体制の下ではこうした抗議活動の自由も認められているということである。
(問)先方から説得してくれないか、というところまではいってないのか。
(報道官)われわれとしての考え方を先方に伝えて理解を求めるということである。
(問)上陸しそうになった場合、日本政府の対応はどうなるのか。
(報道官)今の時点で申し上げることができるのは、上陸その他国内法違反の行為を行なおうとするのであれば、日本政府としは、適切な方法によってそれを排除するというのが方針である。しかし、そのようなことが行われるということ自体、不幸なことなので、その前に何とか関係者がそのような行動を起こさないことを望みたい。いずれにせよ、冷静に対処して頂きたいという気持ちである。
(問)周辺海域では特別の態勢をとっているのか。
(報道官)具体的な態勢等についてはこの場で説明するのは控えさせて頂きたい。
(問)海上保安庁巡視船の観閲式が中止になっている。それは、巡視船を大量に尖閣諸島方面に配置すると理解してよいのか。
(報道官)大量かどうかは別にして、いずれにせよ尖閣諸島でのいろいろな動きがあるので、観閲式は延期されたと理解している。
(報道官)今次暫定政権のメンバーには、チセケディ派をはじめとする前政権時代の野党に属していた政治家を含めた構成をとっており、これは前向きのものと評価できる。今後、新政権が実質的にも国民の幅広い層を代表し、真の国造り、民主化にその指導力を発揮していくことを期待する。なお、先般の記者会見で質問があった政府承認の問題については、近く承認を行い得るよう準備を進めているところである。
(報道官)6月2日及び4日のアフリカ統一機構首脳会議の機会をとらえ、5月31日、ジンバブエの首都ハラレにおいて、太湖地域情勢検討大使会議を開催する。その中で域内の大使、小和田国連代表部大使等域外の大使、また本省幹部の間でザイール情勢、ルワンダ情勢、ブルンジ情勢、難民問題について等の意見交換を行い、今後の大湖地域に対する政策立案、意見交換等を行っていく考えである。
(報道官)第2回アジア・アフリカ・フォーラムが6月11日から13日まで、バンコクにおいて開かれる。その目的は、明年開催予定の第2回アフリカ開発会議に向けた準備の一環として、アジア・アフリカ協力の一層の推進のための具体的方途を探ることである。
このフォーラムの意義について3点ほど説明したい。
第1は、93年10月に東京で開かれたアフリカ開発会議のフォローアップとして、94年12月、インドネシアのバンドンで第1回アジア・アフリカ・フォーラムが開かれた。その際、今後同様の会議を2年ごとに開催することが合意され、この度の第2回のアジア・アフリカ・フォーラムが開催されることになったわけだが、この第1回のフォーラムにおいて、日本がアジア・アフリカ協力の推進役となることが要請されたという経緯がある。このフォーラムの開催などを通じ、こうした要請に積極的に応えていくことはわが国の対アフリカ政策上、深い意義がある。同時にアジア諸国との間における新たな協力分野を拓くものである。
第2に、来年開かれる第2回アフリカ開発会議において、このアジア・アフリカ協力が主要テーマの1つになることが見込まれている。そのような観点から、このフォーラムにおいて、その更なる推進のための方策を議論することに意義があるということである。
第3に、欧米諸国において、いわゆる「援助疲れ」という兆候が見られている。そうした中で、アフリカの世界経済からの「周辺化」といったことが懸念されている。そういう状況の下において、アジアの新興援助供与国のアフリカ開発への取り組みは注目に値するものである。日本政府としは、アフリカへの開発協力に意義を見出しているアジア諸国の動きを欧米の諸国が歓迎し、このフォーラムを支持するきっかけになっていくことを期待するものである。いずれにせよ、このフォーラムを通じて、アフリカの開発問題への関心を欧米において再び喚起することを考えていきたいと思っている。
(問)ミャンマーでNLDの拘束者が90人以上にのぼると報道されている。ミャンマーに対しては、米国が制裁を強化し、また今回の大量拘束を受けてさらなる制裁強化をせよとの声もあるが、わが国としてはこのミャンマーの現状にどう対処するのか。
(報道官)昨日、官房長官がこうした事態に対して憂慮の念を表明するとともに、日本政府としてミャンマー政府に対し、これ以上のNLD関係者の拘束停止と被拘束者の即時釈放を求める旨明らかにした。わが方としては、駐ミャンマー・山口大使を通じてミャンマー外務省に対して、こうしたわが国の認識を申し入れる次第である。
(問)申し入れたのか。
(報道官)申し入れるところである。
(問)ミャンマーの人権問題は常に話題になっているが、なかなか改善が見られない。わが国として友情ある説得といったものにも限界があるとは考えないか。
(報道官)わが国としては引き続きSLORC側及びNLD側に対して、双方が直接話し合いを行い、民主化の実現に向けて努力することを期待し、そのための努力をしている。こうしたわが国の努力はなかなか実を結んでいないが、引き続き忍耐強くそうした面での働きかけを継続していく所存である。ただ、わが方はEU、米国とは異なり、経済制裁といったようなことをする考えはない。
(問)青木前ペルー大使にペルー国最高勲章が今日にも授与されるということだが、外務省としてはどういうふうに受け取っているか。
(報道官)青木前ペルー大使に対する勲章伝達については、先程行われた官房長官の記者会見において官房長官から説明した通りである。外務省としては、今回の勲章授与については、フジモリ大統領が大使公邸占拠事件に際しての青木大使の対応を高く評価し、そうした気持ちを込めて今回、勲章を授与することになったものと理解している。
(問)コスタリカ日本大使館職員が偽装書類で税関で問題になったというが、何か情報はあるか。
(報道官)その話は承知していない。
バングラデシュのサイクロン見舞い
(報道官)外電等によれば、現地時間19日、バングラデシュのコックスバザー地区を中心にサイクロンが来襲し、現時点で判明しているところでは、死者500人、行方不明100人といった被害が生じている模様である。政府としては現在、事実関係の把握に努めているところである。いずれにせよ、バングラデシュ政府に対しては、今回のサイクロンにより大きな被害を受けていることにつき、お見舞い申し上げる。
(報道官)ジュネーブ軍縮会議における対人地雷についてのわが国政府の努力について触れたい。5月15日の本会議において、黒河内大使が演説した際、わが国は対人地雷の使用、貯蔵、製造及び移転を禁止する効果的で、法的拘束力のある国際合意を交渉する特別委員会を軍縮会議に設置するための提案を、ハンガリーと共同提案した。これに対し5月16日、マカリー米報道官は米国としての対人地雷問題に関する方針を発表しているが、その中で、この日本及びハンガリーによる対人地雷についての特別委員会のマンデート提案を歓迎している。わが国としては、日本・ハンガリー共同提案を受けて、今会期中にもこの条約交渉が開始する運びとなるよう努力していく考えである。
(問)この特別委員会が今会期中にも交渉開始となるよう努力すると言われたが、その開始の見通し、目途はどうか。
(報道官)まだ目途というところまできていない。英国とか欧州連合がそれぞれマンデート提案を既に提出している。わが国とハンガリーの共同提案の特徴は、一般的な内容のものであり、こうしたものを通じて条約交渉についてコンセンサスが得られることを強く希望している。しかし、この問題についてはまだ留保している国も委員会の中にはいるので、まだ予断は許さない。われわれとしては、努力を重ねていき、できるだけ今会期中に交渉開始にこぎ着けることを願っている。
(問)今朝の大臣会見でも出たが、ザイールの反政府民主勢力がコンゴ民主共和国として新政権樹立に向かっていることに米国の報道官は非常に明解に「将来にとって歴史的な好機となった」との表現で、承認する意向を発表したが、わが国はこの承認の運びはどうなっているのか。大臣は「流れがそうなれば」とややあいまいな答えだった。わが国の見解如何。
(報道官)わが国としては、新しい政権が、幅広い国民的基盤に立って、民主化移行への明確なコミットメントを示し、また人権の尊重、及び残留難民に対する人道上の適切な対応をとることを強く期待するものである。カビラ議長は、現地時間で20日中にキンシャサに入って閣僚名簿を作成する予定ということであり、わが方として情報を収集中である。わが国としては、先程の期待感に沿って事態が進むことを望むものであり、承認ということについては、カビラ議長の下での政権の樹立、その支配の確立などを見ていく必要がある。いずれにせよ、事態が先程申し上げたようにいい方向に進んでいくことを期待しつつ見ているところである。
(問)そうすると承認は急がないということか。
(報道官)決してそういうことではない。われわれの目でもって、そのように動いていることを確認していくということで、あえて急がないというような判断をしているわけではない。
(問)中国の浙江省杭州市で日本人会が活動停止命令を受けた。上海でも同様のことがあったが、これはどうしてかという不安も広がっているようだが、これについて外務省は調べているか、または中国へ問い合わせなどしているか。
(報道官)本件については、昨年12月に開かれた日中領事協議でわが方から取り上げている。現在までのところ、北京の中国日本人商工会を除いて、他の土地にある商工会については中国側から正規の団体として認可されていない。こうした商工会等は各地において、わが国関係省庁の連絡調整等を通じて日中経済関係の順調な発展に重要な役割を果たしてきている。今後これらの組織が中国政府によって正規の団体として許可されることは、今後の日中経済関係の発展にとっても重要と考えている。そうした観点から日中領事協議において、中国側の協力を得たいと要請した経緯がある。今度の浙江省の件については、当該組織「西湖友好会」の方から上海総領事館の方に事情の説明がきている。また、他の土地における類似のわが方の組織からもいろいろとお話を伺っている。従って、そういう各地方におけるわが方の組織のお話も踏まえた上で、引き続き中国側の協力を得ていきたいと考えている。
(問)事情の説明はきているということだが、それは如何なる内容か。
(報道官)西湖友好会の活動は登記されていないので、活動を停止し、登記の手続きを踏むよう中国側から指示があったということである。
(問)これは、正規の許可を得ていないのに活動していたから、この際新たにということは、いわば規則を厳格に適用することにしたということか。
(報道官)これはわが方で理解する限り、中国には外国商工会議所管理暫定規定というものがあって、その第5条によると、1つの国で1つの機関と定められているということで、それに従って北京の中国日本人商工会は中国政府から認可されている。複数の団体について認可してもらえるかどうかは1つのポイントである。昨年12月の日中領事協議においても、各地における日本商工会の活動が日中経済関係の発展にとって非常に重要なので、そうした各地における商工会についても許可して頂けるよう協力を求めたいということを中国政府に対して申し入れた次第である。従って、今度のことについても、中国側の法制に直接かかわることなので、各地の要望を踏まえ、また中国政府に対して昨年12月と同様の協力要請をしていくことになると心得ている。
(問)こうした停止措置は返還後の香港にも適用されるものなのか。
(報道官)それについては自分(報道官)は承知していない。
(問)中国は他の国にも同じ扱いをしているのか。
(報道官)同じ扱いとわれわれは心得ている。われわれの要望が他の国の商工会の取り扱いとどのような関連になっていくかということは詳らかにしないが、いずれにせよ、われわれの把握しているところでも、北京のみならず上海、瀋陽、杭州その他において日本商工会が設立されており、良い活動をして頂けているわけなので、他の国の類似の商工会の取り扱いは取り扱いとして、わが方として複数の団体に対する認可を求めていきたいと考えている。
(問)米国の上海における扱いも同じ扱いということか。
(報道官)同じ1国1機関という規定が他の国の商工会等の組織にも適用されていると、われわれは理解している。
(問)1国1機関の適用について日本だけ特に変更してくれという趣旨を主張しているのか。
(報道官)日本だけ変えてくれという趣旨を主張している訳ではない。他の国との関連はどのようになるか分からないが、とりあえずそらちの方はそちらの方としても、日本としてこれら各地で立派な活動をして頂いているので日本商工会について、かかる点を中国側に引き続き説明していき、所要の協力を得たいということである。
NATO・ロシア間の「文書」の合意について
(報道官)第一に、14日、モスクワにおいてソラナNATO事務総長とプリマコフ・ロシア外相との間で、NATOとロシアとの間の協力に関する「文書」について原則合意に達したことは、欧州の平和と安定の一層の促進の観点から、日本政府はこれを歓迎するものである。また、今回の合意に向けて、関係者がこれまで積み重ねてきた努力に敬意を表する。
第二に、NATO拡大は、冷戦後の国際秩序構築の重要な動きの一つであり、21世紀に向けて、欧州の平和と安定のみならず、グローバルな平和と安定に関わるものである。かかる観点から今後の推移に関心を有している。
(報道官)(南西アジア地域の日本にとっての重要性)
第一に、この地域は巨大な潜在市場を提供している。地域内の協力の具体的な動きが見られる中で、米国、英国、加、独、韓国、東南アジア等の同地域に対する様々な活動が活発化しているが、日本は出遅れている感が深い。日本としてもっとこの巨大な潜在市場ということに関心を持つべきと考える。
第二に、この地域においては国際社会における発言力が増してきており、我が国としても緊密な対話・協力関係を築いていく必要がある。
第三に、この地域は世界で最大の貧困人口を抱え、テロ、核拡散、エイズ、麻薬等のグローバルな諸問題が先鋭化している地域であり、また、建国以来一貫して民主主義国である印をはじめ、他の域内国も民主化が進展しつつある。日本の地球的規模の問題についての国際貢献を考えていく上での試金石となる地域である。
(日本にとってのSAARCの重要性)
第一に、SAARCの主目的は域内協力を推進し、域内国民の福祉増進、経済発展を達成することにある。印・パキスタン関係等の様々な緊張を抱える南西アジア地域の安定と発展の枠組みを提供し得るものであると日本政府は認識している。こうした地域内の緊張緩和というものは、アジア地域全体ひいては世界の平和と安定に貢献するものである。我々としては、SAARCとの協力関係を進めていく必要があると考える。
第二に、南西アジア諸国のダイナミックな発展過程に関与していくことが日本として重要である。
(問)本日の閣議で青木大使のペルー駐剳を免ずることについて了解された。先日も質問が出ていた青木大使の辞意についてであるが、これは大使のみの辞意なのか、或いは外務省職員を含めた辞意であるのか、もう一度確認のために伺いたい。
(報道官)先の記者会見において、自分(報道官)は必ずしも実状を完全に把握していなかったことから、明確な説明が出来なかったことを恐縮に思う。改めて今ご質問の点につき説明申し上げる。
青木大使は、5月9日、調査委員会の結論を待たずに職を辞したい旨外務大臣に申し入れた由である。青木大使の真意は外務省を辞職させて頂きたいということであり、これに対し、外務大臣は、5月13日既に説明した理由で以て、在ペルー大使の職を解くことを決定した訳である。現在、青木大使は待命中である。
他方、この事件について現在調査委員会において調査が鋭意進行中であり、青木大使には引き続き調査委員会の作業に協力して頂く必要がある。なお、この前の記者会見で照会のあった外務省としてこのペルー事件というものについて、責任を取るべきではないか云々の件については、外務省としては、事件解決後直ちに省内に調査委員会を設置し、現在この委員会において、事実関係、反省点、改善点等の調査分析を行っているところであり、責任の有無等については、その結果を踏まえて判断されるべきであると考えている。
(問)青木大使については、フジモリ大統領が橋本首相に留任を希望するという発言をしていたと思うが、今回青木大使がペルー大使の職を去られるということについて、ペルー側から何らかの反応が届いているのか。
(報道官)公式の反応というものは、まだ寄せられていないと理解している。
(問)青木大使が外務省を辞職させて頂きたいということについて、外務大臣はどう受け止められたのか。
(報道官)外務大臣は青木大使の申し入れに対して、在ペルー大使の職を解くということを決定した。職員としては、まだ留まってもらい、待命という形でもって引き続き調査委員会の仕事に協力してもらうということである。
(問)それについては青木大使は了解しているのか。
(報道官)勿論了解している。ただ、青木大使の申し出自体は外務省を辞職させて欲しいということである。
(問)それでは確認であるが、外務省から身を引きたいという申し出に対して、外務大臣が慰留したという形なのか。
(報道官)外務大臣がとった決定は、在ペルー大使の職を解くということである。何れにせよ、我々は今調査委員会でもって色々な調査を鋭意行っている次第であり、青木大使には引き続きこの面で省員として協力して頂く必要があると考える。
(問)青木大使が一部の週刊誌に手記を発表しているようであるが、これについては、外務省として了解しているのか。
(報道官)我々は調査委員会の仕事を鋭意行っている。例えば、元人質の館員については、一人を除いてすべてのヒアリングを終えている。青木大使としては、今まで色々なことを言われてきたということから、調査委員会での仕事に反しない範囲において、青木大使曰く自らの人権を守るために色々と話しているものと心得ている。
(問)こういった(週刊誌への手記)ものについては、外務省員としても自由に発表しても良いのか。それとも一応、こういったことがあるので宜しいかというような伺いを出してから、(外務省より)許可のようなものを受けて、手記を発表するといったようなことになっているのか。
(報道官)青木大使がペルーから帰国した後、各社から個別に同大使にインタビューの申し入れがあった。その時調査委員会でのヒアリング等が予定されていたこともあり、外務報道官組織としては、個別取材については応じて頂くのは難しいということを、皆さんに話していた経緯がある。
しかし、その間、青木大使が発言出来ない状況において、青木大使曰く自らの人権が傷つけられるような記事等が雑誌等に掲載されてるということであり、青木大使としては、そういうことについて発言をしたいという意思表明があった訳である。青木大使としては、調査委員会に色々話したこと及びこれから調査委員会で纏めていこうとしていること、そういうところに反しない範囲でもって、今発言しているものと心得ている。
(問)青木大使は、調査に協力してもらうために外務省職員として残っているということか。
(報道官)その点は自分(報道官)として言い過ぎたかもしれない。外務大臣はそいう言い方をされず、「責任を痛感し、調査委員会の結論を待たずに職を辞したいという青木大使の気持ちが強いことを組んで、また、色々な観点から熟慮した結果、青木大使のペルー大使の職を解く」と判断された訳である。
自分(報道官)が申し上げた趣旨は、調査委員会が今まさに作業を行っているところであり、青木大使にはともかくその作業に協力していただかなければならないということである。今の質問は、調査委員会の結果が出たところで、大使の処遇がどうなるのかということについてであると思われるが、それについて、自分(報道官)から申し上げることが出来るのは、調査委員会の報告が出た後のことについては、現段階では予断をもって申し上げることは差し控えたいということである。ただ、先般の自分(報道官)の記者会見において、青木大使の真意というものを掴んでいなかったので、充分な説明が出来ず恐縮であった。個人的には、青木大使が辞職願いを申し入れたこと自体青木大使の潔さを表すものと受け止めている。
(問)確認であるが、青木大使の辞職願いというものは、文書でなされたものか、それとも口頭でなされたのか。また、その理由については、事件が起こったことについての結果責任をとって出されたのか。
(報道官)態様については自分(報道官)は承知していない。理由については、去る5月13日青木大使自ら参議院外務委員会で発言したとおりであり、それに自分(外報官)から付け加えることはない。
(問)朝の大臣会見において、北朝鮮が日本人妻の帰国容認かという質問が出されたときに、外務大臣よりは明確な回答がなされなかったが、実際(外務省には)何も入っていないのか。
(報道官)池田外務大臣は、今朝、我が国はこれまで日本人配偶者の里帰り実現のため、種々の努力をしてきているということを説明をされた次第である。他方、北朝鮮側の反応云々については、政府としてはコメントを差し控えるというのが正式の立場である。こうした問題については、皆さんに静かに見守っていただきたいということである。
(問)確認であるが、(政府の本件に対する公式な立場は)コメントを控えるということか。
(報道官)然り。
(報道官)インドとパキスタンの首脳会談開催について、外務報道官談話を発表した。わが国は、5月12日、インド・パキスタン両新首脳の間の会談が開催されたことを歓迎する。今回の首脳会談によって、一連のインド・パキスタン間の対話路線が更に確固としたものとなり、インド・パキスタン両国関係改善に向けての環境が更に改善されたものと評価している。今後、両国間の対話が更に進展することを期待する。
(報道官)最近、我が国において、安保理改革に関し、ラザリ国連総会議長が、新常任理事国へも拒否権を付与するなどの修正案を提示したとの報道があった。その点について若干説明したい。
ラザリ議長が総括発言を行った中で、この点について「拒否権を制限ないし廃止する方法がないのであれば、新常任理事国も同じ権利を有するべきであるとの主張がある」と述べており、ラザリ議長として修正案を提示したという事実はない。なお、ご案内のように、わが国としてはラザリ提案がめざしたモメンタムを維持して、この提案を今後の改革を進める交渉のベースとなる枠組みとして活用すべきであるとの立場である。今後とも引き続き各国と緊密に協議して、話し合いの推進に努める方針である。
(報道官)先般の会見で質問があったロシアの国防政策に関し説明したい。
ロシアの安全保障会議において、かねてから作成中と伝えられていた国家安全保障の基本理念が5月7日に承認されたと承知している。これは、まだ内容が公表されておらず詳細は不明だが、ロシアにとっての脅威に対する戦略、国際軍事・政治・経済その他の分野における安全保障の基本方針を包括的に規定したものと伝えられている。現在ロシアは93年11月に制定された連邦軍の行動の指針を示した軍事ドクトリンに代わる、新ドクトリンの策定が進められており、近くその作業が終わるとのことである。現行軍事ドクトリンの中で、非核兵器保有国に対する核使用条件が定められている。即ち、非核保有国に対して基本的には核攻撃は行わないとしているものの、一定の場合には先制使用を認めている。こうしたことから考えて、核の先制使用を認めたベルロフスキー安全保障会議副書記の今回の発言は、必ずしもロシアの国防政策の変更を意味するものではないものと見られている。しかし、冒頭に申し上げたように、国家安全保障ガイドラインの内容が公表されておらず、また新軍事ドクトリンの策定作業は終わっていないことから詳細は分からない。いずれにせよ、引き続きロシアの国防政策または安全保障政策については注視してまいりたいと考える。
(報道官)これも前の会見で質問があった仏独英の3カ国外相が発表した対人地雷に関する共同コミュニケについて説明したい。この共同コミュニケは、対人地雷禁止条約交渉プロセスの促進を重視するとの3国の共通の意思を示すことをめざし発表されたものと理解している。これは、昨年12月の国連総会で採択された対人地雷禁止決議に沿ったものであり、従来のこれら3国の立場を確認したものと考える。わが国としても、この3国の声明と立場を同じくするものである。なお、この12日からジュネーブ軍縮会議第2会期が始まっており、わが国としては、軍縮会議における条約交渉開始のため、引き続き関係国への働きかけを行ってまいる次第である。
(報道官)政府と経済協力におけるNGOとの連携については、政府としては、途上国の開発に共に取り組むパートナーとしてNGOを位置づけている。政府とNGOとの人的交流は行うべきものと認識しており、専門調査員や派遣員制度などに関心を有するNGOのメンバーがこうした制度に応募できるよう、その内容を周知せしめることは今後検討すべき課題と考えている。他方、一部の報道にあったような、外務省として経済協力スタッフや海外の日本大使館への派遣員としてNGOを本格的に採用し、仕事の場をNGOメンバーに提供していくことを12日までに決めたという事実はない。
また、昨年4月にはNGO・外務省定期協議会というものを設置しており、NGOの抱える問題、即ち人材育成及び開発教育(これが主だが)の問題とか、既存のNGO支援制度、即ちNGO事業補助金、草の根無償資金協力などについて討議をしてきている。その結果、NGO事業補助金メニュー検討部会というものを設置して協議を重ね、NGOからの提案に基づいて対象とするプロジェクトを拡充していくことについて協議してきている。草の根無償資金協力については、改善要望のあったソフト面についても一部改良した。また、本年度から草の根無償資金協力の案件発掘審査の質的な向上のために、これはNGO職員には限定されないが、現地専門家の委託費として約2600万円を予算計上している。このように、われわれ政府としては、NGOとの連携を今後とも深めて行ってまいりたいと考えている。
(報道官)前の会見で質問があったEUの日本産サクラの輸入検疫問題だが、これは既に日本の一部の報道機関で報道されているので、ご承知の方が多いと思うが、ごく簡単に説明させて頂く。
サクラについては長年、日本からEU加盟国に輸出されてきたが、1992年12月のEU指令によってEU植物検疫統一規則が導入され、93年6月以降、日本産サクラのEUへの輸入は原則禁止となった。日本とこれら諸国との友好親睦の強化に貢献するということから、各種日本の団体から引き続きEUの関係国にサクラを輸出したいとの要望が寄せられてきている。それらを踏まえ、わが国政府としては、従来どおり日本産サクラのEUへの輸入が可能となるよう、先般のブラッセルにおける日本・EUハイレベル協議の際に欧州委員会側に対して問題の解決を申し入れた次第である。それに沿って、具体的な案件であるスペインやオーストリアに対するサクラの輸出問題についていろいろと話し合いが進んでいる。
(問)インドネシアの国民車問題に最近、何か動きがあるとの情報もあるようだが、どうか。
(報道官)インドネシアの国民車の問題について、5月23日にWTO紛争解決機関会合が開かれることになっているが、そのための議題の登録をする期限が5月12日までであり、日本政府としては、今回はパネル設置要請を見送ることとした。これは、5月の会合が当初の予定より繰り上げられて行われることになり、時間的な制約もあったということ、またインドネシアにおいては総選挙期間中であることもあって、政策的判断ができにくい状況にあることなどを考慮に入れたものである。他方、この問題に対するわが国の基本的立場には変化はない。インドネシア側より何らかの前向きな対応が見られない限り、しかるべくタイミングで再度パネル設置要請を行う予定である。しかし、累次説明しているように、われわれは依然インドネシア側が具体的提案をとりまとめて、わが国と協議をしていき、このパネル設置ということに至らないで解決していくことができれば適当であると考えている。
リビア沖合での日本漁船だ捕について
(問)リビア沖合で拘束された漁船員らのその後の状況は何か入っているか。また、なぜその漁船はリビア当局に拘束されたのか。
(報道官)今朝貼り出しを配布した以降、現時点で新しい動きはない。わが方としては、できるだけ早くだ捕された船員に直接会って領事事務上の作業を行っていきたい。しかし、まだそこまでに至っていない。いずれにせよ、リビア側から聞いた話によると、乗組員22人全員は健康であるということである。リビアにおいては、金曜日が休暇であるので、その辺も考慮の上、できるだけ早く面会して直接、健康状態等について把握していきたい。また、いかなる理由でだ捕されたかについては、先方が調査している最中ということである。その調査の進行状況を踏まえ、先方に照会していく。
(問)捕まえてから徹底した調査をして拘束理由を明らかにするわけでもないだろうし、やはりなぜ捕まえられたのかは最も関心の高いことではないかと思うが如何。
(報道官)既にその点については先方に申し入れている。ただ先方政府としては今、軍の当局において取り調べを行っているところであり、その取り調べが終了することがまず第一に必要であるということであり、先方には先方の調査の方法があるかと思う。いずれにせよ、わが方としては乗組員の安全を確認するとともに、できるだけ邦人保護の観点から全力を尽くしてまいる考えである。
(問)在リビア日本大使館の体制は今、臨時代理大使を含めて3名と思うが、この館員の数が少ないことが、こうした情報収集に支障を来たしているのか。
(報道官)そのようなことはないと理解している。
(問)EUが現在、日本から桜の苗木の輸入を止めているが、それは桜の苗木に病原菌がおり、その対策がとられていないためのようだが、この経緯、またこれに対するわが国の立場如何。
(報道官)現在回答できる材料を持ち合わせていない。
(問)米政府当局者が、北朝鮮は「日本の疑問もしくは憂慮に答えるべきである」との趣旨で、拉致事件等について北朝鮮が何らかの釈明をすべきであるとの発言をしたと伝えられている。これについて外務省としてどう思うか。
(報道官)8日の定例記者会見でバーンズ米国務省報道官が今質問にあったような趣旨のことを述べていることをわれわれも承知している。われわれとしても、既に外交ルートを通じた情報交換を含めて関係各位と連携しながら情報収集に努めているところである。
(問)ということは、北朝鮮はなるべく早く拉致事件等についても何らかの情報を出すべきであると考えているということか。
(報道官)われわれとしては、既に様々な機会で申し上げているように、こうした問題について北朝鮮からの情報なり考え方なりが得られることを求めている。
(問)今朝の大臣会見でも出たが、ペルーの(殉職した)2人の軍人に対して勲章が授与されることについて、この勲章と勲等について妥当なものと考えるか。
(報道官)この救出作戦によって尊い2人の陸軍の軍人が命を落とされたわけである。その功績をたたえるために、これまで外務省は関係当局にお願いして叙勲の運びとなるよう努力してきた経緯がある。この度の叙勲については、この2人の方の陸軍における階級を勘案した上で、また日本国内における殉職した警察官などと同様の考え方によって等級を定めたと承知している。わが方としては、こうした形によって少しでも犠牲になられた方々の功績に対して、われわれの気持ちを表したいところである。橋本総理大臣自ら叙勲をされることになっている。
(問)以前、東京大空襲を指揮した米空軍のカーチス・ルベー大将が、航空自衛隊の育成に力を貸したとして確か勲1等だったというふうに記憶しているが、今回の等級は階級の差で止むを得ないものか。
(報道官)それが比較の対象になるかどうかについては議論があると思う。同様な事件がないので、なかなか比較は難しいが、1つの比較としては、昭和44年、わが国貨物船「昭華丸」が台湾南方洋上において遭難した際、わが国の捜査供助要請によって出動した米軍機に搭乗していた方々が殉職して、その方々に対して叙勲が行われた経緯がある。それを1つの材料として見た場合、今度の叙勲が手厚いものであったと考えることができると思う。
ザイール情勢について
(報道官)4月28日に庄司アフリカ第一課長がゴマにおいて、カビラ議長と会談し、ザイールにおける民主的、平和的な政権の移行が重要であって、日本政府としてはこれに深い関心を持って見ている旨伝達するとともに、難民問題に対する適切な対応を要請した経緯がある。これに対しカビラ議長は日本側の申し入れを理解する旨回答している。また、キンシャサにおいて岡本臨時代理大使がその民主的、平和的な政権の移行の重要性につき、ザイールの外務副大臣に対し同じく4月末に申し入れをし、先方はその申し入れを了解している経緯がある。
その後、5月4日にモブツ大統領とカビラ議長の直接会談が行われた。これが行われたこと自体は評価出来るものの、事態打開に向けて合意には至らなかったことから、事態はより重大な局面に入ったと認識している。このような情勢に鑑みて、在ザイールの大使館の執務体制を現状3名から2名と縮小することとした。今ザイールにおいては、退避勧告が出ている。在留邦人は大使館員を含めて現時点では14名、しかし館員を3名から2名に減らすこととなっているので、間もなくこれは13名になるが、そのうち地方に2名、残りはキンシャサにいる。報道関係者がその中に2名いるが、それ以外は全て現地に残留する意思を表明している。そのような体制でわが政府は関係各国等と情報交換を、引き続き行っているところである。
(問)反政府勢力は首都まで60キロに迫っているとの報道もある。この報道関係2名の他の人たちは現地残留というが、まさかの場合、例えば救出しなければならなくなる事態も考えられるかも知れない。そのような場合の手配など態勢はとれているか。
(報道官)キンシャサにいる人達と大使館は頻繁に連絡をとっている。他の主要国の大使館もまだ開いているし、わが大使館としては事態の変化に応じて、こうした邦人の方々に危害が加えられるような状況にならないよう、最善の努力をしている。なお、既に首都近くまで反政府勢力が来ているようだが、キンシャサ市内は格別不穏な動きなどは見られず、日常と変わりない状況が続いているようである。いずれにせよ邦人保護の点については遺漏なきよう努めて参りたい。
(問)残る2名の大使館員はどなたか。
(報道官)岡本臨時代理大使と警備官の1名である。
(問)その2名は大使館における情報収集に必要なぎりぎりの人数か。
然り。対岸のブラザビルにこれまで大使館で執務していた館員が移っており、そこで執務を行っている。従って、邦人保護の必要の場合、対岸から受け手として対応ができるような措置が既にとられている。
(問)今朝の大臣会見でも質問が出たが、石原元運輸大臣らが船上で見守る中、尖閣諸島に新進党の西村代議士ら4人が上陸したことにつき、大臣の答えは明確ではなかったようだが、その後の情報あるいは外務省としての対応はどうか。
(報道官)この問題については、既に官房長官が日本政府の立場を明らかにされている。西村議員等数名の方が尖閣諸島に行ったという事実はわれわれも把握している。尖閣諸島はわが国の固有の領土である。しかしながら、この尖閣諸島の土地所有者は同諸島への上陸等を認めていないということであり、西村議員などはこれを無視して尖閣諸島に上陸したものであって、これは遺憾なことと考えている。いずれにせよ、尖閣諸島を巡る一連の事態によって、アジア・太平洋地域ひいては世界の平和と安定にとって極めて重要な日中関係全体が損なわれることがあってはならないと考えており、関係者は冷静に対処することを希望するものである。
(問)中国の方から特に発言とか申し入れはないか。
(報道官)現時点では、中国などからの正式な申し入れはなされてきていない。
(問)明日の日米韓の事務レベル協議において北朝鮮の食糧問題がテーマになるのか。
(報道官)然り。この事務レベル協議では、北朝鮮情勢のほか4者会合提案など、最近の朝鮮半島を巡る情勢について広く意見交換を行うものと承知している。従って、その一環として食糧支援というよりも北朝鮮の食糧事情等についても議論が行われると考える。またその関連で韓国及び米国が既に北朝鮮に対して国連の機関を通じて援助することを決定したことについても話があるかと思う。いずれにせよ、この協議はあくまでも3国間の意見交換を行う場であるから、ここから何か決定を行うという場ではない。
(問)北朝鮮の方が、日本は政治的な絡みを捨てて、人道的に援助してほしい旨言っておられたが、これをどう考えるか。
(報道官)この問題については、先に橋本総理大臣がいろいろの場で答えておられる。この会見でも従来より説明してきているように、国連人道問題局の統一アピールが発出されており、われわれもそういったことについて検討を加えているが、北朝鮮に対する食糧支援については種々の要素を考慮に入れて、総合的に検討し判断していくということである。
(問)従来の姿勢を変えることはないということか。
(報道官)然り。
(問)その種々の要素の中に、問題の西村議員が提起した(少女拉致疑惑の)問題があると思うが、その後、何か新しい要素が加わったことはないか。
(報道官)私(報道官)から申し上げられるのは、この問題に対して総理大臣が言われたように、日朝間には複数の拉致疑惑や日本人配偶者の一時帰国問題など困難な問題が存在する他、最近も北朝鮮からの覚せい剤密輸事件が発覚するなど、わが国の対北朝鮮世論に厳しいものがあるということである。そうした日本国内の動向を見極めつつ慎重に、総合的に考えていくということである。
(問)先週、大臣が参議院の決算委員会で新たな発言をしているが、あれはどういうことか。西村議員が言っていたことにプラスするような要素が何か加わったのか。
(報道官)外務省としては従来6件9人と言っていた拉致疑惑(の件数)が、捜査当局において拉致の疑いがあるということで今、横田めぐみさんの事件を含めて7件10人となっていることと理解しているということである。史実を認定した判断等については、警察庁の方に答えはまかせたいと思う。
(問)外交ルートで新たな事実を何か入手したということではないのか。
(報道官)ご質問の件については、私(報道官)は今お答えする材料を持っていないが、何か新しいことがあったというようなことは特に聞いていない。
(問)確認であるが、わが国の対北朝鮮への世論に厳しいものがあると言われたが、これは何か外務省の調査等でそのようなデータを持っているのか。
(報道官)これは総理大臣が最近いろいろな所で述べたことを紹介申し上げたということである。
(報道官)在ペルー日本大使公邸占拠事件調査委員会は、事件発生に至る事実関係の究明、反省点、警備等を含む今後の改善点等につき調査・分析したものを池田大臣に報告するため、4月23日に設置され、同日第1回会合を開いた。その後、昨5月1日及び本日2日、それぞれ第2回及び第3回の会合を開いた。
昨日(1日)、調査委員会は青木大使より取りあえずの概略の事情を聴取した。本日、関係者より聴取すべき具体的事項や今後の取り進め方等の詳細につき協議した。今後、関係者のヒアリング等を精力的に実施し、調査・分析の結果は、報告書の形で公表する。
今後、調査委員会は人質となっていた大使館員、(調査に)協力頂ける他の人質の方々、ペルー政府等関係者より話を伺いつつ、十分な調査と分析を行っていく。報告書提出の時期は、6月中旬を一応の目途とし、精力的に行っていきたい。
(問)総理が近くペルーに行くような報道があるが、日程についてどのようになっているか。
(報道官)我々が承知しているのは、本件に関する官房長官及び総理の発言である。指摘の一報道機関の報道については、まだ何も決まっていない。
(問)早い日程を日本から提示し返事を待っている状況か。
(報道官)その点は自分(報道官)は承知していない。いずれにせよ、まだ何も決まっていないということである。
(問)今後、調査委員会の日程はいずれ加速するだろうが、どのように進めていくのか。
(報道官)我々は、なるべく早く調査したいと考えているが、どの程度の頻度で調査委員会を開くかについては、調査自体の進捗状況に応じて随時行っていくとしか現段階では申し上げられない。
6月中旬が目途であるが、人質となっていた大使館員は全員が日本に戻ってきたわけではない。また、どの程度協力頂けるか分からないが、他の(日本人の)人質の方々やペルー政府の方々からも話を聞くわけであり、ともかく出来るところから始めていく。
(問)6月中旬の報告は最終報告になるのか。中間報告の性格か。
(報道官)最終報告との理解である。我々としては、ともかくその段階(6月中旬)を目指して報告書をまとめ、大臣に報告し、皆さんに公表するつもりである。現実にどのようになるかは、実際に調査の過程を見ていかなければならないが、始めから中間報告(を発表する)との方向で作業をするということではない。
(問)青木大使から昨1日はどんな話を聞いたのか。週明け以降も大使からまたさらに聞くのか。
(報道官)取りあえずの概略の話である。具体的には、例えば公邸内の生活ぶりだとか、人質となっていた期間の心構えとか、人質とMRTAの関係だとか、衛生状態といったような、いわば青木大使が4カ月余りにわたって経験をしてきた人質としての生活状況についてである。調査委員会としては、青木大使への詳細のヒアリングを改めて実施していく考えである。
(問)調査委員会が開催される場合、取材の便宜を図ってもらえるか。
(報道官)依頼の件は担当部局に依頼の件は伝える。他方、調査委員会は随時行うので、その過程につき説明出来るかどうか(分からない)。様々な形で、様々な項目につき調べることを今朝の第3回調査委員会で決定したものであり、むしろ調査に専念し、出来るだけ早く結果の全貌を皆さんにお知らせする方が主なる任務と考える。
(問)昨日の(青木大使への)聴取は時間的にどの程度だったか。
(報道官)1時間強であった。
(問)(人質となった)大使館員で帰国した人は何人か。
(報道官)青木大使と共に2人帰国したが、それ以降については承知していない。後ほど連絡する(会見終了後、「5月2日の時点で青木大使含め6名である」旨連絡済み)。
(問)報道官は事件発生以来、ほぼ毎日記者会見し、日本政府として「平和的解決」の重要性を訴えてこられたたが、今回の事件の解決が結果的に実力行使によるものとなったことを報道官自身どう思うか。
(報道官)緊急対策本部が設置されて以来、外務省員は事務次官以下、一丸となって人質全員の早期かつ平和的解決を求め、なし得る努力を行ってきた。
救出作戦が行われることは事前に通報されておらず、実際に救出作戦が起きた際には緊急対策本部で働いていた職員は率直に言って驚いた。フジモリ大統領は事件発生当初より、人質に危害が加わるような場合には、実力行使の選択肢を残してきていた。従って、今回のような救出作戦という形では必ずしもなかったが、実力行使が行われた場合の対応については、日本政府としてもいろいろ検討し、心づもりもいろいろな面でしてきたことは事実である。ただ、それは平和的解決への努力を削ぐものでは全然なかった。最後の最後まで我々は寺田顧問を通じ、シプリアーニ大司教を中心とする保証人委員会の仲介努力が成功するよう、助言と協力を行ってきた。
救出作戦の結果、3人の犠牲者が出て、非常に残念であったが、ともかく71人の人質が救出された。自分(報道官)は、救出直後の記者会見で「(今回の救出は)奇跡に近い」旨の感想を述べたが、その後若干分かってきた事情を見ても同じ感慨を有している。(武力突入による救出作戦により)緊急対策本部がこれまで行ってきた平和解決への努力は無駄になったとは決して思っていない。71人の人質の生命が助かったという結果の重みは何よりも重要である。
(問)本日、英国下院総選挙結果で、労働党が歴史的な地滑り的大勝利を収めた。速報では417議席獲得だが、この地滑り的大勝利をどう見るか。また、我が国の対英政策、EU統合への影響はどうか。
(報道官)労働党の勝因については、若いブレア党首の率いる労働党が改革・現実路線を積極的に進め、「組合の党」、「増税の党」から脱却に成功したとのイメージが国民に受け入れられたものと考える。
我が国の対英政策については、ブレア労働党党首はアジア・太平洋地域を新政権の外交の最重点地域に位置付けている。また、昨年1月来日した際にも、政権獲得後も日英関係を重視する旨強調している。日本政府としては、労働党のかかる姿勢を高く評価する。
我が国は、現メージャー政権の下で、これまでグローバルな視野を共有する特別なパートナーとして日英関係を進展させてきた。日本政府としては、新労働党政権の下でもこうした関係を更に強化させていきたい。また、日英の貿易・経済関係においては、様々なプログラム等が実施されている。我が国の対英投資だが、労働党は日本からの対英投資を歓迎しており、今後とも投資拡大を日本に強く求めてくるものと思う。これは保守党政権と同一路線であり、日本政府として歓迎するものである。(更に)これまで保守党政権と共にアクション・ジャパン・キャンペーンを英国のイニシアチブの下で進めてきた。当初3年間ということで今年3月に終了するものをメージャー政権との間で4月以降も継続することで合意していた経緯がある。日本政府としては、新労働党政権下でも、本プログラムを進めてまいりたい。
最後に、EU統合への影響については、ブレア労働党党首は選挙戦中、EU加盟を維持し指導的立場を取ることこそ英国の望むものであり、英国は欧州に建設的に参加する必要がある旨強調していた。他方、通貨統合については、英国の国益に配慮しつつ、最終的には国民投票で最終決定するとしている。
日本政府としは、今後の事態を見守ってまいりたい。
(問)本総選挙結果を受け、総理がメッセージを出したとの情報があるが、どうか。
(報道官)承知していない。
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