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在ペルー大使公邸占拠事件
(問)現地より外相の帰国にあわせ、人質の方々も一緒に帰って来ると聞いているが、その辺について何か情報はあるか。
(報道官)館員については大使を含めて18人おり、そのうち当初人質になっていても早期に解放された者を含めて6人おり、後12人が最後の段階まで人質として残っていた。その6人については引き続きリマに残ってもらう考えであり、青木大使を含め12名については、随時一時帰国をする予定である。なお、青木大使の帰国日程については、リマで外務大臣乃至外務省の同行の者からお話する事になっていると承知している。
(問)一緒に帰ってくると言うことではないのか。
(報道官)青木大使及び一時帰国を今の段階で希望する者にいては、それぞれ話し合った上で対応振りを決める。決定した場合には外務大臣乃至外務省職員の方から皆様方に然るべくお伝えする事になる。いずれにせよ、随時一時帰国してもらうことにしている。
(問)赤十字国際委員会が投降したMRTAメンバーを射殺したことに関連して、人道問題上調査を開始するとの報道もあるが、その辺の事実確認と受け止め方についてお伺いしたい。
(報道官)まだその点について特別にジュネーブのわが方代表部から報告は受けていない。従って報道の事以上には承知していない。また、報道ではと言うことだが、フジモリ大統領はそのような事実はなかったと言っている。ICRCとしてどのような判断でまたどのような形でそういったことについて、関心を表明しているのか報道以上の事は承知していない。
(問)ペルーの無線機について、TBSの無線機が使われていないということであるが、公邸の外で同じ周波数のものを使用していないということなのか、中の一台、つまり公邸の外側で公邸の中にある一台と交信出来るものとの間で交信がないというのか、中の一台が周波数を合わせれば他の無線機と交信が出来るが、中の一台について大使館の方が頼んでから、例えば誰が保管していて、その間一度も使用していなかったと言うようなことは確認されているのか。
(報道官)数ヶ月前になるが、当時TBS報道局幹部から我々が話を聞いたところでは、(TBSは)現地のレンタル会社からウォーキー・トーキーセットを借りた。レンタル会社にきちんとあたってもらって、その周波数で使える無線機を全部把握し、公邸と公邸内に置かれた無線機と通信出来るものは全て回収して欲しいと(要請し)、それを大使館の方で預かった。具体的に大使館の誰がどのような形で保管してたかということまでは承知してないが、いずれにせよそのウォーキー・トーキーが使われるというようなことのない状態にして大使館で管理していた。
(問)TBSが中に置いてきた一台はどういった状態であったか。
(報道官)まだそこまで事情聴取していない。いずれ、調査委員会でTBSの件を含め色々なことを検証していくが、人質になっていた館員も解放されたばかりであり、今の段階では本格的な形で聞けるような状況になっていない。
(問)公邸内の1台が何かの形でどこかと交信したかどうかということについては、未だ分からないということか。
(報道官)それ(交信したこと)はあり得ないと思う。もしも、何かで使われていたとすれば、現地の対策本部で分かるはずである。
(問)その周波数で、どこかで傍受していたのか。
(報道官)その周波数で使えるセットというものは、回収し、その周波数のものは使わないという措置を取った。
(問)周波数を変えられる外部にある無線機と中のものが交信するという可能性はあり得ないか。
(報道官)あり得ないと考える。
(問)(外報官は先に会見で)TBSの無線についても遺憾と言ったようだ。、以前にテレ朝の無線機の件で(外報官は)遺憾と言ったが、TBSの件に対する遺憾とでは意味合いが違うと思うが。
(報道官)全く意味合いが違う問題であり、後者のことについては、あの時の私(外報官)の会見における言い方は、無理矢理そちらの方に質問が行ったいった為にああいう言葉を発し、もしも皆様方の理解に混乱を与えたということであれば申し訳けないと思う。先ず、この場合は質的に違うと我々は考えている。テレビ朝日の件についてはMRTA側の了解の下に取材を目的として大使公邸内に無線電話機を置いてきたということであり、これによって我々は第一義的に当時考えたのは、MRTA側に一方的に宣伝の機会を与えることになる。そうなると、フジモリ大統領がこの事件の平和的な解決を求めて、当時色々な努力をされておられたことそれを阻害することになるということで、我々は遺憾であるということを述べたわけである。TBSの無線機についてはこれは、我々と連絡が取れなかった館員が、恐らく自己の判断に基づいてTBSのカメラマンに「外部連絡用に置いていってくれ」と懇請し、TBSのカメラマンがそれを受け入れて置いてきた。そういった事実をMRTA側が知らなかったということである。もしもこれがMRTA側の知るところになれば、当該館員のみならず、他の人質の生命及び安全に対し危害が加えられる恐れがあるということを非常に恐れたわけである。したがって、一方が頼み、一方がそれに応じて、という行為自体、我々が非常に心配なことであったので、当時記者会見にて「遺憾であるか」という質問があったかと思うが、それに対して「遺憾だ」ということを述べた。
(問)つまり遺憾と言うことでよいのか。
(報道官)あのような行為は我々に非常に大きな心配を与えたということである。いずれにせよ、最後の救出作戦の経緯をみてもそれは本当に危険(な行為)であったと考える。したがって、そういった行為は決して良かったということではなく、我々をあれ程まで心配させた。それに関する報道がなされた時、(私(報道官)は)事実と異なる説明をせざるを得なかったということであるから、そのようなものとして我々捉えていくべきだと思う。
(問)大使館員の方に置いていってくれと、そう言う状況の中で頼まれてTBSには断って欲しかったとか断るべきだったとか思わないか。
(報道官)それは私の個人の考えか、それとも外務省の考え(についての質問)か。外務省の考えと言うことであればそこまで公式に考え方を纏めていない。
(問)頼んだ事についてはどうであるか。
(報道官)それも含めて今後色々検証するということである。しかしながら、今の段階で当人から話も聞かないうちに、我々の方で判断することは差し控えたい。いずれにせよ繰り返しになるが、本当に心配をしたということだけは何度も繰り返させて頂きたいと思う。
(問)日米首脳会談が昨晩のうちに行われたが、これに対しての外務省の評価を伺いたい。
(報道官)我々現地から会談の模様について、取りあえずの報告を受けている。大変良い会談であったということである。既に、橋本総理大臣とクリントン大統領は何度も色々な場所で会談をされている。そういった会談を通じて個人的な関係を密にされてきた。今回、橋本総理大臣は総理大臣として初めてワシントンを訪問されたたわけであるが、到着早々ホワイトハウスに招かれて懇談をする等、こうした個人的な関係が益々密になってきたということは、今後日米関係の発展を考える上で非常に重要であったと考える。また、日本時間の本日未明に行われた会合、即ち少人数会合、全体会合についても日本と米国との関係のみならず、国連改革等、アジア太平洋問題、ロシア、中東、カンボジア、その他色々話題が出て非常に実りある会談が行われたと理解している。こうした会談を通じ、我々としては今後とも日米関係を更に色々な面で発展させて行きたいと考える。
(問)昨日北朝鮮建軍パレードについて何か特徴あったか、また外務省としてどう把握するか。
(報道官)我々は色々な手段を通じて北朝鮮の状況について把握するように努めている。一方において、北朝鮮は経済困難を抱え食糧難という状況にあるということは、我々としても理解しているところである。同時に、これまで我々が理解していたキムジョンイル(金正日)書記が党、政府及び軍を把握しているということについても、今後も注視して行きたいと思う。尚、質問にない点で恐縮だが、四者協議については、あの様な形で先般ニューヨークにおける米国、韓国、北朝鮮との間の話は実らなかった訳であるが、適宜ワーキングレベルで話合いをしていこうということで、四者会合の提案そのものは有効であるということである。日本としても引き続き四者会合の提案を支持し、これが実現の運びとなることを臨むものである。また、南北の赤十字社の事務レベル事前協議というものが行われるようになったとの報道があるが、これは南北のNGO間のひとつの動きであり、本格的な南北対話に繋がっていくことを期待感を込めて注視していきたいと考えている。
(問)パレードの並んでいる順位については如何。
(報道官)軍の指導部のこと、現時点でお答え出来る資料は持っていない。また、担当の方によく聞いておきたいと思う。
(問)ミサイル協議については如何。
(報道官)先週から特別に、少なくとも私(報道官)はご説明出来るだけの情報は得ていない。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)(現地時間24日)池田大臣がフジモリ大統領に会った際、大臣より中断している経済協力につき今後とも従来通り進めていく旨表明した。本日、ある報道機関で対ペルー円借款関連の報道があったので、円借款につき説明する。
本年よりペルーを中南米地域で初めて年次供与国とすることを政府は決定していた。新規円借款の供与については、昨年ペルー政府より要請のあった案件について検討してきた経緯がある。今般、ペルー大使公邸占拠事件が解決を見たこともあり、この検討を鋭意進めていきたいと考える。
(問)従来通りとは昨年決めた額から増額しないとのことか。
(報道官)橋本総理が昨年8月に(ペルーに)訪問して以降、新たにいろいろなプロジェクトが(要請としてペルー政府より)出てきて、それに基づき本年より年次供与国とするということで、これまで検討してきた。まだ4省庁における検討作業が続いている途中であり、案件名や額につき申し上げられる段階にない。
政府は、ペルーを経済協力の重点国と位置づけ、フジモリ政権による経済改革を我が国として高く評価し、この改革努力を支援していきたいと考える。
なお、これまでペルーの持続的成長及び貧困撲滅に資する経済・社会インフラの整備を中心に、円借款を実施してきた経緯がある。我が国としては、ペルー側の要望をよく踏まえた上で、最も適切かつ早期に実施する必要がある案件を選んで、円借款供与の対象としていくよう今、鋭意検討中である。
(問)今回の事件をきっかけに(経済協力を)増やすということではないのか。
(報道官)これまでは毎年ではなく、要請案件がたまった時に適宜供与してきた。今度はそれを毎年ペルーに対し円借款を供与することとした。
しかし、円借款の供与については、先方政府より提出される案件の成熟度、(それに対する)ペルーの経済発展に資するとの我が国の判断が必要であり、毎年、例えば供与額を増やしていくことを前もって決めておくというものではない。
(問)ペルーに対し総合経協調査団を派遣する計画があったが、派遣の時期は今の段階でどうなったか。
(報道官)総合調査団を派遣する準備が出来ていた時に本事件が生じた経緯がある。我が方としては、これを派遣していきたいので、ペルー政府側と協議の上、具体的な時期等につき決めていきたい。
(問)救出された青木大使や大使館員の帰国予定については、池田大臣が現地に行って決まったか。
(報道官)今、大臣と青木大使以下、関係館員との間でその点につきいろいろ話が出ている。決まり次第、説明する。
(問)大使館業務や公邸を今後どうするかについては決まっているか。
(報道官)担当課長が大臣に同行しリマに行っている。いろいろ調べて本省にいずれ報告してくると思う。それを踏まえ検討する。
また、青木大使ほか人質となっていた館員はそれぞれ事情があり、(帰国予定については)どのようになるか分からない。日本に帰ってくるということになれば、大使館が手薄になることもあり、現地対策本部をどの程度存続させるかも考えなければならない。その辺についても現在リマにおいて鋭意、関係者の間で検討がなされているところである。
(報道官)米国上院で化学兵器禁止条約の批准が承認された件につき、橋本総理がクリントン大統領と懇談した際、総理大臣より「良かった。これは当初からのオルブライト国務長官の努力の賜である」と述べた経緯がある。これについての政府の見解を説明したい。
24日、米国上院において化学兵器禁止条約が批准承認されたことを政府として心から歓迎する。今年に入ってからクリントン大統領自らこの批准を重視し、行政府が一体となって批准承認のため多大なる努力を傾注してきたと承知している。化学兵器の廃絶という、この条約の目的を実効的に達成するには、化学兵器保有国である米国の参加は不可欠であり、これが実現したことは誠に喜ばしい。
同時に、ロシアや中国をはじめとする本条約の主要な未批准国が一日も早く批准することを政府としては強く期待する。
(問)本条約の批准について、一日も早くロシアや中国の参加を求めるということだが、何らかの働きかけをする方針はあるか。
(報道官)既に累次に亘り我が国として早期批准を働きかけてきている。今般のアメリカ上院における批准承認自体が両国における批准への今後のプロセスを早めていくことを期待する。
(問)当面はロシア、中国が批准するのを待ち、改めて何らかの働きかけはしないということか。
(報道官)我々が強く働き掛けていることは、両国は十分承知しており、近い将来、何らかの良い答えが出てくることを期待する。
(問)中国との間では遺棄化学兵器問題の交渉を行っており、中国としても批准した方が条約に基づき交渉が出来、有利との話は出ていないか。
(報道官)基本的に中国は批准承認を早く行いたいとの意向と承知している。
ただ、具体的にいつまでに(批准するか)ついては、もう少し見ていかなければならない。
(問)台湾の李登輝総統が記者会見で、WHOに台湾が加盟したい、また、(「中華民国」との)名称にはこだわらない旨発言をしているが、我が国はどう考えるか。
(報道官)我が国が承知しているのは、台湾がこの5月の第50回WHO総会にオブザーバーとして参加を希望しているということであり、正式の加盟の申請を行っているとは承知していない。
我が国は、WHO総会において台湾のオブザーバー参加に関する決議が提出された場合には、台湾に対する我が国の基本的な立場、即ち日中共同声明に基づき、又はWHOの憲章、決議、慣行等を踏まえ検討していくことになる。
よって、現在はまだ方針は決まっていない。
(問)第50回総会は、確か事務局長の人事の時にも当たっているのではないか。
(報道官)事務局長人事問題は、具体的には本年7月中旬より11月中旬までの間に候補推薦の受付が行われる。
従って、(選挙は)本年の総会期間中にもあると思うが、実際の選挙自体はまだ先になる。
(問)アジア開発銀行に北朝鮮が加盟の意欲を有している旨、佐藤総裁が繰り返し述べているが、事実関係及び日本政府の立場はどうか。
(報道官)北朝鮮がアジア開発銀行加盟に関心を有していることは承知している。
他方、アジア開発銀行事務局より北朝鮮が同銀行に対して最終的な加盟の意思表示を行ったとの説明は受けていない。また、開発銀行の方で加盟各国から意見を聴取する具体的な日程等につき考えがあるとも承知していない。
我が国は、開発銀行事務局より我が国に対し、北朝鮮が最終的な加盟の意思表示を行った旨通知がなされるならば、これを受け関係諸国とも協議しつつ対応振りを検討していくことになる。
在ペルー日本大使公邸占拠事件
○冒頭発言
(報道官)冒頭一点説明する。今朝質問のあった総理大臣はじめわが方政府から関係各国への謝意表明についてである。ペルーに対しては23日総理からフジモリ大統領に電話で謝意を表明した。また大臣がペルーを訪問して謝意を伝えることとなる。それからボリヴィアをはじめとする人質を取られていた各国、保証人委員会の関連でカナダ、法王庁、保証人委員会と人道活動の両面から赤十字国際委員会、その他、様々な側面で事件の解決に協力してくれたキューバ、ドミニカ共和国等の諸国に対して総理から謝意を伝えた。謝意の方法についてはペルー、韓国、カナダについては先方首脳との電話会談で謝意を表明している。その他の国については総理や外務大臣より親書、メッセージ等の形で謝意を表明している。
○質疑応答
(問)昨日の救出作戦でペルー政府より事前連絡がなかったことについて、ウィーン条約で大使館、公邸は不可侵となっているが、条約上まったく問題がないと位置づけているのか、条約上は定義できないが、緊急避難的な措置として認めているのかといったことについての外務省の見解如何。
(報道官)昨日橋本総理大臣は、事前通報がなかったことについて遺憾とは思うが、事情は理解するといった趣旨のことを記者会見で述べている。これが日本政府の立場である。更に説明すると、日本側への事前連絡が無かったのは事実であって、これを遺憾という場合には、国際法上の問題を含めて遺憾と政府としては考えるが、緊急事態であったので事前通報をして来るような状況になかったという事情は理解するということである。
(問)TBSの無線機の件で、大使館員に残してくれと言われたということであるが、それを言った大使館員は誰か。また、この行動は問題がなかったのか。
(報道官)今後、この問題を含めて、事件の諸々について詳しく検証していく考えである。調査委員会を立ち上げたということについては説明した。館員から直接聞かないと分からない点が多い。他方人質になっていた館員自身ストレスの問題も含めて、どのような健康状況にあるのかも分からない。その辺りを勘案しつつ我々としては、出来るだけ早く本格的な検討作業を行っていきたいと思っている。朝のブリーフの際にも説明したが、TBSが館員の1人の懇請によって無線機1台をMRTA側に分からない形で置いてきたということを我々は非常に心配した。これは、TV朝日が取材目的で無線機を置いてきたのと本質的に異なる問題である。もしこの事実が発覚しMRTA側が知るところとなった場合には、館員のみならず他の人質の方々の生命及び安全に対して危害が加えられる可能性を真に心配していた。これは、館員であったというより、誰であっても人質がそのような要望をし、それに応じ無線機を外部との通信のために置いてきて、それがMRTA側の知るところとなった場合には、相当危険があったのではないかと思う。従って、このような行為については一方において非常に心配しつつ、ペルー政府を含めて外部の方には伝えないほうが良いと判断したという経緯がある。
(問)この無線機は具体的にどのように管理して、どこに隠していたのか。
(報道官)具体的にどこに隠していたかは、当人から事情を聞く状況になっていない。
(問)他の公邸内の館員もこの事実を知っていたのか。
(報道官)公邸内の状況について、現時点において報告は来ていない。
(問)大使館員の懇請によって無線機を置いてきたというのは、TBS側の説明で理解しているのか。
(報道官)当人から確認したわけではないが、TBS側が事実に反することを自分に説明したとはとても思えない。いずれにせよ、我々とすればこの問題だけではなく色々な問題について、状況がどのようなものであったか人質になっていた関係者から然るべく話を聞いていきたいと考えている。時期的なことは申し上げられないが、ともかく早く検証の作業に取りかかり、報告も早くまとめて大臣に報告していきたいと考えている。
(問)19日の記者会見で報道官は、産経新聞の報道について事実に反すると言ったがこれをどう説明するのか。
(報道官)(19日の会見では)産経新聞で報じられたことの要約を申し上げ、その中で外務省と関連する事項に焦点を当てその問題について外務省から確認を取ることなく事実に反する記事を書いたことを遺憾とするということを申し上げた。その後、TBSが無線機を公邸内に置き忘れたのではないかとの質問が1問あった。これに対し報道課長からTBSに午前中に照会したところそのような事実はないという説明を受けたことを披露すると同時に、自分自身TBS報道局幹部から話を聞いた上で、TBSの幹部は取材のために無線機を公邸内に置いてそれを使用したというようなことはなかったという事実及び、テレビ朝日の件が分かった後にTBSから自分のところに謝罪のために来たということを(TBSが)産経新聞に話したことはないという事実を会見の場で説明したと記憶している。
(問)TBSの無線機放置に関して、午前中に報道官は遺憾という表現をしたが、TBSのカメラマンが館員に無線機を渡した行為について改めて評価を問う。
(報道官)今朝のブリーフの際多くの質問があってまだ整理が出来ていないが、最後のほうでテレビ朝日との比較という質問があり、テレビ朝日の場合は取材を目的として無線機を公邸内に置いてきたということで、これはMRTA側に宣伝する機会を与えるものであり、当時フジモリ大統領が取ってきた事件の平和的解決への努力の阻害するものであり、遺憾であったということを申し上げた。その後何人かの方からそれではTBSの行為はどうであったのかという質問があった。遺憾という言葉をTBSに使ったかどうかは記憶していないが、MRTA側が知らないところでTBSと館員との間で無線機の受け渡しが行われたということ、その事実がMRTA側に知れることになるとこれは当該館員のみならず他の人質の方々の生命と安全に対し危害が加えられる畏れがあるということを強く感じた。そういった行為は、とても褒められるものではない。そういった意味で(今朝のブリーフで)遺憾ということばを使った。テレビ朝日に対して使った遺憾という意味とTBSの問題の遺憾という意味は全然意味合いが違う。
(問)TBSの無線機の放置がMRTA側に知られればテレビ朝日の時よりもっと危険が大きかったのではないか。
(報道官)この事実については対外的に明らかにしないようにTBSにお願いすると同時にそれに使っていた無線機の回収を求め、我々に預からせていただきたいとお願いをした。これに対しTBSは直ちにこれに応じてくれたということである。
(問)外務省の調査委員会の役割についてだが、投降したゲリラを特殊部隊が射殺したとの報道があるがペルー側の作戦についての事実関係も調査委員会の対象になるのか。
(報道官)この調査委員会はあくまで外務省の中に出来た問題であり、大使館員については当然であるが、聞かせてくれる方がいればその方から情報をいただくが主に大使館員から今後の教訓となることを聞いていくつもりである。どのようなところまで聞いていくか具体的には(まだ)決めていない。解放された館員の健康状況によるがひとりひとりから話を聞けるようになれば、段々と公邸内の状況が分かり、また更にその中で種々調べたいことが出てくる。いずれにせよあまり時間をかけても仕方がないので、昨日申し上げたように出来るだけ早く調査を開始し、それほど長い期間をかけずに報告書をまとめて大臣に提出したい。しかし、まだ人質になっていた館員から事情聴取するところまで至っていない状況にある。
(問)救出作戦で死亡したペルー最高裁判事、ペルー国家警察特殊部隊の隊員に対して弔意を表し、許されるなら弔問もしたいと大臣は言っていたが、弔問が出来るかどうか、また、その後何か考えているのか。弔問等申し入れているのか。
(報道官)未だ現地から報告は来ていない。
在ペルー日本大使公邸占拠事件
○冒頭発言
(報道官)自分から説明することが、2点ある。まず第一は在外における我が方公館および邦人の方々に対して、警備と安全に万全を期するよう注意喚起をした訓令を全公館宛に23日発出したことである。特にペルー大使館については、MRTA残党等による復讐といったような二次テロが起こされる可能性も排除されないということで安全に万全を期するよう訓令した。その他の公館についてはこの事件は犯人グループ14名全員死亡という形で終結したので、MRTA支持グループの報復の実施を完全に排除できないということで、訓令した。更に在外公館を通じて、邦人の方々に対して、MRTA残党とか支援者等による動きに注意を喚起するよう訓令した。また任国当局の関係者に対しても在留邦人に対しても警戒等然るべく要請するよう、訓令した。
第2はTBSの無線機の問題である。4月19日付け産経新聞の報道の関連でこの記者会見において、その事実関係を否定した。その点についてあらためて説明する。TBSのカメラマンが現地時間で昨年12月31日在ペルー大使公邸で取材を行った際、人質となっている大使館員一人が、緊急時の対応の為、無線機1台を是非渡して欲しいと懇請され、同カメラマンはこれを渡した。TBS側は日本時間で1月2日この問題について、直ちに当外務省に連絡すると共に対応について協議した。当省としてはMRTA側がこの事実を承知した場合、人質に危害を加える恐れがあると判断し、この事実即ちカメラマンが大使館員のところに無線機を1台置いてきたということについては、外部に一切明らかにしないようTBS側に要請した。同時に当省からTBS側に対してこの大使公邸に置いてきた無線機と通話が可能になっていた。TBS側がすでに借り上げていた幾つかの無線機の回収を求めた。これを受けてTBS側は直ちに使用不能の状況の措置をとった。このような状態にあったので、19日付産経新聞及び他のこの問題に関わる報道について皆様の質問に対し自分は特に人質の生命の安全を考慮に入れて事実関係を否定せざるを得なかった。結果として事実と反する説明になったのは申し訳なく思う。しかし、これはこうした状況においてはやむを得なかったと思う。
○質疑応答
(問)TBSの無線機が公邸内部の状況把握にペルー政府に使用されていたのではないかとの話があるが如何。
(報道官)公邸内でこの無線機がどのような状態になっていたかについては承知していない。この無線機を使った場合には、現地対策本部において分かり得る状況になっていたが、その限りにおいて1度もこの無線機が使われた事実はなかった。
(問)回収した無線機は現地対策本部で保管していたのか。
(報道官)然り。
(問)1度も使わなかったのか。
(報道官)然り。
(問)交信可能な無線機は何台あったのか。
(報道官)正確な台数まで把握していないが、10台以上だと思う。
(問)使わなかった理由如何。
(報道官)館員が使わなかったということであり、如何なる理由で館員が使わなかったかということについてはまだ知り得ていない。いずれにせよもし使うようなことがあれば、またそれがMRTA側に察知されるようなことになれば、当該館員のみならず他の人質の方々にも安全に大きな影響があることを危惧した。
(問)回収した無線機間でしか交信は出来ないのか。
(報道官)然り。
(問)周波数を変えられるようなものではないのか。
(報道官)勝手に変えられるようなものではない。それから自分の全く推測だが、無線機のバッテリーはとっくに切れていたものと推測する。
(問)公邸内の館員とは連絡を行わなかったのか。
(報道官)これ(無線機残置の問題)は非常に微妙な問題であり、我々としてはこれが使用されないことを念じつつ、回収された無線機をそのまま現地対策本部で保管していたということである。
(問)保管していた時はスイッチをONにしていたのか、それとも全くOFFにしていたのか。
(報道官)最終段階においてどうなっていたかはわからないが、事件発生後しばらくの間は何かあるといけないということで、1台だけ受信可能な状態で置いておいた。その後どのような状況になったのか承知していない。おそらく切っていた可能性もある。
(問)受信状態でも1度も交信はなかったということか。
(報道官)1度もなかった。
(問)対策本部から送信はしなかったのか。
(報道官)そのようなことは絶対にするなと強く指示しておいた。
(問)今の説明だと受信はしなかったが、送信もしなかったのか。
(報道官)もちろん送信もしなかった。
(問)大使館員が置いていってくれと言われて置いていったということだが、大使館員はその無線機を使って送信はしなかったようだが、大使館員にその無線機を使って送信しないように何らかの連絡を入れて、指示したのか。
(報道官)我々としてこれ(無線機残置問題)は極めて機微な問題でありそのようなやり取りを行ったと仮定してそれがMRTA側の知ることとなるとその館員の生命に危害が加わる畏れがあるので黙っていたほうが良いという判断をした。
(問)仮に公邸から送信があった場合現地対策本部はどう対応するつもりだったのか。
(報道官)そこまで考えていなかった。
(問)現時点でも危害が及ぶということか。
(報道官)今申し上げたのはその時の状況である。
(問)1月2日にTBSから外務省に相談があり、その日のうちに外務省から回答したのか。
(報道官)午前中のうちに話を聞き、午後に緊急対策本部としての正式な対応ぶりを決めTBS側に伝え、TBS側はそれに従って直ちに対処の措置をとった。
(問)放置された無線機を使わずに別のルートでその無線機を使うなということは言ったのか。
(報道官)もしもそのようなことを試みて、それがMRTA側の察知することになれば、結果としてその館員に危害が加わることを非常に畏れ、そのような指示は出来なかった。
(問)何も行わずただひたすら交信しないように願っていたということか。
(報道官)然り。
(問)一部報道で、ペルー政府はその無線機を使って公邸内部と交信していたという可能性は完全には否定できないということか。
(報道官)いずれにせよそういった問題については、今後、検証していかなければならない。はっきりは分らないが、その無線機が使われたとすれば現地対策本部以外の他の誰も分かり得ない状態にしていたし、もしそこで現地対策本部でそれを切っておいたということであれば、この無線機は外部との連絡に使用し得ない状況にあった。
(問)つまりペルー政府としてモニター出来なかった状態になっていたと理解して良いか。
(報道官)ペルー政府が本件を知っていたとは思わない。現実にこの無線機が使われていたとも思わない。
(問)TBSが無線機を置いてきたのは、現地時間31日(日本時間1月1日)で日本時間1月2日にTBSから外務省に話があったということだが、少なくとも24時間くらいは放置されその間に現地対策本部に対して交信があったかどうか如何。
(報道官)その間に無線機が使われたということについてTBSから一切聞いていない。あの時の状況判断だが、もしも使われていたようなことがあればTBSから恐らく違った説明あるいは態度を示したのではないかと推察する。
(問)その無線機は充電式かそれとも乾電池式か。
(報道官)そこまでの報告は求めなかったので承知していない。
(問)このTBSの行為について外務省としてどう考えるか。
(報道官)本件はテレビ朝日の件と本質的に異なる問題である。テレビ朝日の場合はMRTA側の要請に基づいて置いてきたということだと記憶しているが、いずれにしてもテレビ朝日とMRTA間で交信、取材する目的のためのものであり、MRTA側に宣伝を一方的に行う機会を与えたということ、また使い方によっては人質の安全に影響があり得る。そのような行為がフジモリ大統領のそれまで続けてきた事件の平和的解決を阻害する畏れがあると考え、そういった点から遺憾の意を表明した。このTBSの件についてはMRTAが全く知らないところで、密かに館員がTBSのカメラマンに強く要請して置いていくよう頼んだ問題であってこれは取材を目的として置いてきたものではない。このような事実がもしもMRTA側に伝わったならば当該館員並びにその他の人質の方々の生命や安全に危険が出てくる畏れがあると判断して、TBS側に直ちに使えない状況にする必要があるということで回収を要請し、TBS側として受け入れたものである。いずれにせよそのような行為があったことについて非常に心配した。ただこういったことが外に出るだけで非常に危険なことになるので、外務省としてTBS側に対して本件については一切外に言わないように要請した。
(問)館員がTBSに要請したということだが、大使なり上からの指示があったからか、それとも館員個人の判断か。
(報道官)まだ、事情はよくわからない。いずれにせよ当該カメラマンは、館員の一人からアプローチを受けて強く要請され、無線機を置いてきたということだ。
(問)一般的に無線機は周波数を変えれば交信できるが、そういった形で連絡は取らなかったのか。
(報道官)現地対策本部がその無線機を使用するということは一切していない。
(問)無線機放置で、本件はテレビ朝日の場合と本質的に異なると言われたが、MRTAの要請で無線機を置いていったテレビ朝日の場合よりTBSの場合のほうがもしMRTA側に知られたら人質に危害が加わるという意味ではTBSの場合のほうが危険だったのではないか。
(報道官)先ほど説明したようにテレビ朝日の場合には無線機を置いてきたことによってMRTA側に宣伝する機会を与えたということ、フジモリ大統領がこの事件の平和的解決のためにいろいろ努力していることを阻害する畏れがあること、それが主である。人質の安全について、テレビ朝日の無線機放置の際の会見記録を見なければいけないが、何か使い方によっては影響が出るかも知れないということをいったかも知れない。無線機を置いてきたことが人質の安全に直接関係するというような説明はしていなかったはずである。
(問)TBSの行為を現時点でどう評価しているか。仕方なかったと思うか。
(報道官)この行為自身がもし発覚した場合にどんなことが行われていたかわからない。その原因の如何はともあれ、このような行為が実際に行われたこと自体(について外務省は)あれほど危惧していたわけであり、そのこと自体は遺憾であると考える。しかしながら何よりも、これがわかった場合の人質に対する悪影響を第一義的に考え、この無線機については使用できないようにすること、外部には一切伝えないこと、MRTA側の耳に入らないように最大限の努力をすることが最も重要であると判断した。
(問)ペルー側が承知しているとは思わないと、今明らかにしたがペルー側にはもう伝えたのか、それともこれからこれから伝えるのか。
(報道官)検証ということではいろいろと考えられるが、今のところ措置はとっていない。
(問)原因はともあれ遺憾の意はTBS側に伝えたのか。
(報道官)そもそもTBSから話があった時は具体的にどのような表現を使ったかは別として大きな心配をして外務省に説明に来たということであった。
(問)無線機を置いてきたことについて遺憾の意は伝えたのか。
(報道官)具体的な言葉として遺憾という言葉を使ったかどうかはずいぶん前のことなので記憶していないが、ともかくとんでもないことをしてくれたものだということを表明した。
(問)無線機の存在についてペルー政府に伝えなかった理由如何。
(報道官)それがまたMRTA側に察知されることになると人質に危害が加わる畏れがあると判断したためである。
(問)公邸内から交信がなかったということは、妨害電波の影響があった可能性如何。
(報道官)いずれにせよ無線機が使われたという痕跡はない。
(問)ペルーに出発した大臣の日程は入っているか。
(報道官)現地において調整中で決まったとの連絡は受けていない。
(問)総理が外国の要人に連絡を取るようなことはあるのか。
(報道官)様々な形で謝意表明等を考えており、現在整理しており午後の段階で判明すれば連絡する。
(問)人質の方のうち何名かの方が帰国の途についているという報道があるが把握しているか。
(報道官)今の段階で、答えるための資料を持っていない。
在ペルー日本大使公邸占拠事件
(報道官)先ほどの記者会見において質問のあった、企業の家族の方々が大臣とともにチャーター便でリマに向かうかどうかであるが、これまで関係企業にあたったところ、合計8名の方々がこの飛行機でリマに行くことを要望しているということで、そのように取り計らっている。
また、保証人委員会は現地時間23日午前11時よりステートメントを読み上げると聞いている。
(問)8名の方々はいずれも御家族であるのか、企業関係者の方々であるのか。
(報道官)企業の関係者の方と、御家族の方々と双方が含まれている。
(問)人数は。
(報道官)企業の代表の方は8名中5名である。
(問)それとは別に大使館員の家族はいくのか。
(報道官)大使館員の家族も6名ほど行くことになっている。
(問)現地でのスケジュールとしてわかっていることはあるか。例えばこのような方に会うということは。
(報道官)まだ決まっていない。
(問)救出作戦で3名の方が亡くなったが、この方々に哀悼の意を伝えるということであるが、具体的な形は。
(報道官)具体的にまだどのような形になるか、時差の関係もあり、外務大臣の現地における日程をどのようにしていくか、まだ具体的に動けないところもある。大臣がリマに着くまでの間にそのあたりは煮詰まっていくと思う。
(問)同行者で医療関係者はいないのか。
(報道官)今朝、総理大臣から厚生省関連での医者が行くということを言われたが、そういった関連の方々も同行する。
(問)何名か。
(報道官)医者や看護婦等を入れて5、6名である。
(問)捜査担当者も行くということを総理が言われていたが、捜査担当者は現地でどういったことを行うのか。
(報道官)具体的にどのようなことを行うかは承知していないが、既に現地にいるわが方の警察チームとペルー側との協議に従い、とりあえず2日間大使公邸内では爆弾等の処理が行われるということである。その後、どのような形で然るべく調査等が行われるのか、恐らくはこのチームが現地に行って、ペルー側とも協議しつつ決めていくのではないかと考える。
(問)捜査担当者チームは何名か。
(報道官)警察から行く人は、自分(外務報道官)は名簿を見ただけでは誰が実際に捜査を担当するか、捜査以外の人もいるのかはよくわからない。
(問)対策本部は今後どのような体制で臨むのか。縮小するのか、このまま継続するのか。
(報道官)事件は終わったばかりである。まだいろいろとやることがある。従って、現段階でいつ対策本部を閉めるかということについては決めていない。同時に今朝も説明したように、本事件についての調査委員会が発足したので、必要な人数はそちらでまた仕事をしていくことになる。
(問)先ほど、リマへ向かう8名のうち企業関係者は5名と言ったが、残り3名になるが、何家族、何名が行かれるのか。大使館員の御家族は6名ということであるが、何家族、何名であるのか。
(報道官)何家族、何名になるのか、内訳は承知していない。
(問)名前を公表して欲しい。
(報道官)家族の方々は、できるだけプレスの対象になりたくないという強い希望があるということなので、申し訳ないがその点についてはお話しできかねる。
(問)解放された人質はどうなるのか。基本的にフリーになるのか。
(報道官)既に人質の方々は自由になっている。今後館員については、いずれにせよ、外務大臣がリマに行くこともあり、今後は追々わかってくると思う。各企業については、どのような行動をされるかは今我々のところでは情報を持っていない。
(問)捜査担当者が行くということであるが、解放された人質の事情聴取を行うこともあり得るのか。
(報道官)今度行かれる捜査担当の方々がそのようなことを行うのかどうかは承知していない。
(問)5、6名という医者、看護婦の内訳は。
(報道官)それも役所同士の話であるので、医者と看護婦合わせて5、6名ということで許して頂ければ有り難い。
(問)先日、かなり扇情的な見出しが新聞に出た。韓国において、ファン・ジョンヨプ前朝鮮労働党書記の「北朝鮮は軍事行動を考えており、日本を焦土化する計画もある」という記事が出ていたということであるが、外務省はどのように受けとめているか。
(報道官)ファン元書記が北朝鮮の内部の事情、また対外的な関係についてどのような情報を有しているかということについては、我々も関心があるところである。これについては、韓国政府もいろいろとお話を聞いているところかと思う。韓国政府側と然るべく協議をした上で、然るべき形で情報を得たいと考えている。
在ペルー日本大使公邸占拠事件
○冒頭発言
(報道官)自分(報道官)から2点申し上げる。
1.池田外務大臣は今朝8時10分頃から約1時間程かけて関係各国の大使等に直接電話をし、謝意の表明等をした。具体的に電話をした相手は電話をかけた順に申し上げると在京のペルー大使、ボリビア大使、カナダ大使、キューバ大使、ヴァチカン大使、米国臨時代理大使、英国公使(次席、大使が捕まらなかったため)、フランス大使、ロシア大使、シンガポール大使の以上10名の方々である。池田大臣がその際全体として述べたことは、
(1)若干名の犠牲者が出たことは極めて残念であるが、大多数の人質が無事解放されたことに謝意を表する。
(2)テロに屈することなく事件を解決することが出来た。
(3)以上2点を併せて全体として救出作戦は成功したと考える。
(4)関係国の協力に謝意を表明する、等である。
特にペル-のアリトミ大使に対しては、フジモリ大統領に対する深甚なる謝意を表明し、これまで協力してくれた各国の大使に対しては、国際社会の連帯と支持に謝意を表すると同時に、それが今回の解決に繋がったという事を話した。
カナダについては、ビンセント大使のこれまでの協力に謝意を表明している。
ボリビア大使に対しては、人質になっていたグムシオ大使にご苦労をかけてきたこと、ボリビアが終始一貫してペルー政府、日本と連帯を表明し、出来る限りの努力をしてくれたことに謝意を表明している。
ヴァチカン大使に対しては、シプリアーニ大司教のこれまでの勢力的な活動について特に謝意を表明している。
これらの大使等の方々からは、一致してこの度の救出作戦の成功、また、日本人人質の全員の無事解放を喜ぶとの回答があり、更に早速池田大臣から直接電話を頂いたことに謝意を表明するとのことであった。また、池田大臣からのこのメッセージは早速本国の首脳に伝えるとのことであった。
アリトミ大使との電話会談においては、特に最高裁判事が亡くなったということを(その時は未だ確認されていなかった)アリトミ大使から聞き、池田大臣からお悔やみの意が表明された。更に、自分(大臣)は今夜ペル-に向けて出発するので、よろしくお願いしたい旨発言し、これに対しアリトミ大使からは、早速お電話いただいたことに感謝すると共に、フジモリ大統領に池田大臣のメッセージを伝える旨の話があった。
2.外務省では、本日在ペル-日本大使公邸占拠事件調査委員会を外務大臣の下で立ち上げた。林外務事務次官を委員長とし、以下柳井外務審議官、官房長、外交総合政策局長、中南米局長、国際情報局長及び領事移住部長がメンバーとなる。
本日午前8時、第一回会合をオペレーションルームにおいて行った。その際この調査委員会の任務を定めた。その任務は、今般の事件の解明、反省すべき点、今後の改善点(警備等を含む)等につき調査分析し、大臣に報告するということである。因みに、この調査委員会とは別であるが、在外公館一般の警備強化については、当省としては既に官房長の下で委員会を設置しており、過去7回に亘り強化等を検討してきている。
○質疑応答
(問)ドミニカ共和国は日本に大使が駐在していないと聞いているが。
(報道官)然り。大臣が10名の方々と直接話したが、連絡が取れなかった方々日本における企業の方々等については事務次官以下関係幹部が手分けをして謝意等の表明をしている。
(問)米、ロシア、シンガポールが入っているが如何なる理由か。
(報道官)まず米についてはこの事件が発生以来様々な面で情報交換等をしてきた。そういったことから連絡した。ロシアについては、エリツィン大統領のイニシアティブの下P8がテロリズムに対して断固とした姿勢を貫くということで特にこの事件について声明を発表したということもあって連絡した。シンガポールについてはASEM外相会議の議長国、開催国でありASEM外相会議においてもこの事件について声明をいただいているということで大臣から直接連絡した。
(問)今回の事件で出た犠牲者に対して勲章を授与する等どのように報いるのか。
(報道官)今申し上げ得ることは、総理も述べていたが、この救出作戦に従事して尊い命をなくされた2名の方に対して深い哀悼の意を述べるということだ。また、大臣がペルーを訪問するのでその際にも大臣から直接哀悼の意が表明されると考える。その他のことについては現時点では答える材料を持っていない。いずれにせよ日本政府全体として、大変痛ましいことだが、この尊い犠牲の上に、また、人質の方が1名亡くなられたが、そのほかの方々の命には別状なくこの救出作戦が成功裏に終わったことに対して深く感謝する。
(問)けが人の人数及び程度如何。
(報道官)今把握している方で軽傷を負っている方等はいるが、本来の意味で全く何らの傷も負わなかった方がいるかどうかということについては確認した上で報告する。かなりの方が軽傷程度の傷を負っているようだがその程度も含め具体的なことは把握していない。いずれにしても命に別状はなく、重傷を負ったということは報告を受けていない。
(問)今回の突入についての連絡はなかったが、事態が切迫してきて突入に関係する兆候、情報は入ってきたのか。
(報道官)情報ということの意味合いだが、たとえば数日前からこのような事態が生じるといった意味の情報がペルー側から我々に寄せられていたということはない。前の会見でも説明したようにもしもMRTA側が人質に危害を加えられるようなことがある場合には実力行使もあり得るということは考えていた。そのようなことが起きては非常に困るが、もし起こった場合にどのような対処をすべきかということについては、内々いろいろな場面を想定して検討はしていた。今の質問の具体的兆候という意味では、ペルー政府からの直接の情報も含めて我々が何か起こりそうだということで体制を整えて待っていたというようなことはなかった。
(問)大使館員の帰国日程等如何。
(報道官)まだ具体的予定はなにも立っていない。いずれにせよ大臣がリマに参るので、追い追いそうした点はわかっていくと思う。
(問)解放された人質の家族の方々が現地に行く予定は。
(報道官)その点も含め今日本におられる家族の方々に確認しているところである。
(問)外相のチャーター便に乗せることは。
(報道官)その点も含めコンタクトしているものと理解している。
(問)人質であった駐ペルー・ボリビア大使は、解放後のインタビューで公邸への突入は10分前に知ったと言っているが、青木大使をはじめ日本関係者からの連絡は入っていたのか。
(報道官)我々は現地対策本部からこの突入について連絡を受けたのは、突入後であった。その前に緊急対策本部がそのような情報を得ていたということはない。
(問)ペルー政府が公邸突入に踏み切った理由を承知しているか。
(報道官)承知していない。
(問)ペルー政府から説明はないのか。
(報道官)フジモリ大統領が橋本総理に直接説明したと理解しており、それ以上のことは承知していない。
(問)今回の作戦は、結果的に日本人の人質は皆無事だったが、日本人人質の命を優先した日本人に手厚い作戦だったと思うか。
(報道官)状況が全く分からないので何とも言えない。いずれにせよペルー人の人質の中で、一人亡くなられたということは本当に残念なことだ。いったいどのような状況で救出作戦が行われたかつまびらかにしていないので、説明できないことをお許し願いたい。
(問)今までの保証人委員会とMRTAとの話し合いで、どういう要求がなされてどういうことが話されてきたか。また、どこが合意できなかったのかについて説明願いたい。
(報道官)本件についても先ほど申し上げたように、色々な意味で調査、検証をしていかなければいけないのでここで説明することはお許し願いたい。いずれにせよMRTAの仲間の釈放問題が、この事件が始まってから最後まで大きな問題として残ってきたということである。この点についてフジモリ大統領はMRTAの囚人を釈放するわけにはいかないという方針を示し、他方においてMRTA側は仲間の釈放という要求を下ろさなかったということで、その間に立ってシプリアーニ大司教を中心とする保証人委員会は何とかして合意を見つけようと努力したが、それができないままに事態は進んでいたわけである。
(問)保証人委員会の仲介努力は失敗したと思っているか。
(報道官)保証人委員会の正式なオブザーバーである寺田顧問から今回の状況について報告を受けていない。保証人委員会として今後どのような行動をするのか対策本部として情報を持っていない。そのあたりの情報を見て今後の評価をしていかなければいけない。とりあえず解放された人質の方々の健康チェック等が大事である。追い追い寺田顧問から報告が入ってくるものと思う。
(問)ゲリラ側が報復措置をとると促していたようだが。
(報道官)ベラスコ代表がそのようなことを言ったということ自体は聞いており、現地も承知しているが如何なる意味を持っているかについては判断し得る材料を持っていない。いずれにせよこのようなテロ事件が繰り返されてはならない。そういったことについてはペルー政府も十分心得ていると理解している。
在ペルー日本大使公邸占拠事件
○冒頭発言
(報道官)先ほどペルー当局によって実施された救出作戦については、07時15分から行われた総理記者会見において橋本総理大臣が日本政府の基本的な立場を述べられた。確認されていないが若干名の犠牲者の方がペルーの関係者の中におられるようである。日本人人質全員の安全は確認された。日本人人質には若干名負傷者がおられるようであるがどなたも命に別状はないようである。今状況を確認中である。外務省緊急対策本部としては、先ほど総理が発表されたように、池田外務大臣のペルー訪問について直ちに準備を始めた。また、人質の健康状況の把握確認及び必要な支援、今後とも必要な事項についてのペルー政府との連絡など引き続きペルー政府と所要の措置をとっていく考えである。何分にも現地の状況がわからないこともあり、とりあえず外務省緊急対策本部から申し上げることは以上である。
○質疑応答
(問)緊急対策本部から総理官邸に連絡が行われたのはいつか。
(報道官)まず現地対策本部は公邸付近に設置したモニターテレビを通じ日本時間で午前5時24分に事態の発生を知った。5時25分現地対策本部から緊急対策本部に電話にて連絡があった。緊急対策本部は、この電話連絡を受けて直ちに官邸の関係者等に連絡を始めた。
(問)ペルー政府から事前相談はなかったのか。
(報道官)事前通報はなかった。
(問)近日中に行うという連絡もなかったのか。
(報道官)そういった意味でもなかった。
(問)事後の連絡は入っているか
(報道官)現在に至るも入っていない。
(問)報道官は、常日頃からペルー政府と緊密に連絡を取っていると行っていたが、今回の強行突入については、首脳会談でも事前連絡するということで了解していたのにこれをどう思うか。
(報道官)我々としてはともかくこの事件の平和的解決ということを希求しておりフジモリ大統領はMRTA側が人質に危害を加えたり、人質の健康に大きな影響が出てこない限り実力行使はしないと言ってきた。今回のことについてどのようなことから救出作戦が行われることになったか、現段階では報告を受けていない。我々としては救出作戦がどのような形で行われるか全く予想していなかった。この点についてどのように考えるかという質問については総理が先ほどの会見で申し上げたとおり、遺憾であるけれども現地の事情があったのではないかということを繰り返させていただく。ただ若干名の犠牲者がペルー側に出たということは残念なことである。これについては確認していかなければならないが最小限の犠牲者のもとでこの救出作戦が行われたことは奇跡に近いことであり、このことは総理も言われたとおり我々としても高く評価するところである。
(問)つまり結果OKということか。
(報道官)今の時点で厳しい質問をされるが、我々としては現時点で申し上げられることは結果は良かった、ただ、若干名の犠牲者が出た模様であるということは、これがもし事実であるとすればこれは悲しいことである。したがって手放しで喜ぶわけにはいかないがともかく最小限の犠牲者のもとで救出作戦が行われたことは高く評価する。
(問)寺田顧問から何か連絡は入っているか。
(報道官)まだ入っていない。現在も活発に動いていると理解している。
(問)ペルー関係者に死者が出ていると発言されたが軍関係者以外にも死者は出ているのか。
(報道官)現地の報道のみによるとペルー人の死者が出たとの話はあるが、我々としては確認していない。
(問)昨日までに現地で人質の方々の健康状況の悪化や人質に危害が加えられたというようなことはあったのか。
(報道官)我々にはそのような報告は入っていない。
(問)大臣はペルーに行ってどのような行動をとるのか。
(報道官)4ヶ月以上にわたって大使公邸占拠事件が続いたわけであり、事件が起こったのがわが方大使公邸であり、大臣としてはペルー政府からいただいた諸々の協力に感謝するとともにもしも犠牲者が本当に出ているのであればそういった方々に深い哀悼の意を表明されることと思う。ただ、我々事務的には具体、詳細な内容について承知していない。
(問)大臣の出発の予定如何。
(報道官)チャーター便の確保等を行っている状況であり、判明次第報告したい。
(問)政府専用機ではなくチャーター便で行くのか。
(報道官)然り。
(問)出発時間等は、午前中に判明するか。
(報道官)そのあたりの状況については承知していない。判明次第連絡する。
(問)強行突入について予測はしていなかったのか。
(報道官)自分は予測していなかった。
(問)今日の時点では予測はつかなかったのか。
(報道官)我々とすればMRTAが人質に危害を加えればペルー政府は実力行使を行うということは十分に予想していた。ただそのような事態が発生するとは予想していなかった。
(問)ここ1、2週間のペル-の動きをどう見たのか。実力行使を行うとみていたのか。
(報道官)我々はシプリアーニ大司教を中心とする保証人委員会の仲介努力が重ねられているということを高く評価していた。「シ」大司教は寺田顧問からの報告によれば本当に精力的にこの事態をまとめようと努力してきたわけである。ただ余りにも働き過ぎで体調を崩したという事で、この数日間休まなければならないということは察していた。合意形成のために保証人委員会が努力していくものと我々は予想していた。
(問)人質の解放は喜ばしいが、日本大使公邸での経緯について、外交ルートで全く連絡がなかったことについて改めてどう考えるか。
(報道官)これについては現地の事情もあるかと思う。事前に連絡いただけなかったことは先程橋本総理大臣も会見で申し上げたように、日本政府として遺憾とするものであるが、しかしながらこういった形で救出作戦がほぼ成功裏に終わったという事、その結果を重視していかなければならないと考える。
(問)総理は会見で、支援された関係各国にお礼を言いたいといっていたが、具体的には何処か。
(報道官)現段階で具体的にお答え出来る材料がないが、ご案内のようにカナダではビンセント大使が保証人として寺田顧問と緊密な関係を持ってくれていたし、例えばキューバ、ドミニカ共和国はペルー政府とMRTA側の最終的な合意が得られるならば、受け入れる用意があると言ってくれていたわけである。そういったこの事件に深い関わりを持つ国々、またボリビアの大使は青木大使と共に大使公邸に人質になっておられた経緯がある。そのようなところから関係各国を特定していくことと思う。
(問)事件解決のために、ペルー側に死傷者が出ているという事を前提の上で、通報がなかったことに遺憾の意を表明するのか。
(報道官)通報について遺憾の意の表明という言い方が適当かどうかということはあるが、先程総理大臣が「通報がなかったことは遺憾であった」と言われたことを繰り返したい。
(問)ペルー側に死者が出ているかもしれないと言うことを前提にか。
(報道官)死者が出ているかもしれないと言うことは一方において確認しなければならない。しかしその有無に関わらず事前の連絡がなかったという事に対して先程総理大臣が「遺憾」という言葉を使った。それを自分(報道官)が繰り返すという事である。ただ、結果として若干の犠牲者が出たかも知れないが、ほぼ完全な形でこの救出作戦が終了したことに対しては高く評価されるべきであると考える。
(問)くり返しになるが、ここ1~2週間のペル-での動きを外務省として判断するときに、全く突入というような兆候が見られなかったとの判断をしていたと見て良いのか。
(報道官)MRTA側が人質に危害を加えるような場合には実力行使も有り得べしということは、我々としてはいつも念頭にあった。従って、ともかくそのような事態にならないことを願っており、またそのような事態が生じないためにも保証人委員会の仲介努力が継続することを願っており、まさにそのためにこそ寺田顧問を通じてあらゆる助言と協力を行ってきた次第である。
(問)原則論ではなく、状況判断をどうしていたか。
(報道官)状況判断については、話し合いによってこの問題が解決されるよう今そのプロセスが進んでいるとの判断であった。
(問)強行突破の可能性が高まっていたとの現地での報道があったが。
(報道官)それは全くの憶測と我々は考えている。
(問)根拠がなかったということか。
(報道官)根拠があるとか無いとかいうことではなく、我々がペルー政府から得ていた情報でそのようなことはないということである。
(問)ペルー政府からそのような情報は得ていなかったかも知れないが、総合的な判断として現地対策本部はそういう判断だったという事か。
(報道官)総合的な判断としては、我々としては、ともかくMRTA側が人質に危害を加えるようなことになり、そこから何らかの形で実力行使へと繋がっていく恐れがある、それは何時の段階でもあり得る話であり、この事件が発生以来我々として念頭から去らなかったものである。
(問)MRTAが人質に何らかの危害を加えた可能性如何。 (報道官)今回どのような形で実力行使されたかということについては未だ承知していない。従って、そのあたりのことはもう少し検証していかなければならない。
(問)日本人の救出についての確認はどのようにして行われたのか。
(報道官)現地対策本部では必死に確認した。また、将来の無事解放のことを念頭に解放された人たちが行くであろう病院との連絡体制の強化等行っていた。そのような連絡網を通じて確認したことと思う。いずれにせよ具体的なことは詳しく報告を受けていないが、そのような方法を通じて現地に於いて邦人人質24名の無事を確認した旨、西村審議官より発表した次第である。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間4月21日、リマではフジモリ大統領とシプリアーニ大司教の協議などの動きが見られた。シプリアーニ大司教は、この人質事件の早期平和的解決を求めて、これまで精力的に仲介努力を重ねてきたが、ここ数日間、過労のため体調を崩していると承知している。日本政府としては、事件の進展のために極めて重要な役割を果たしているシプリアーニ大司教が早く体調を戻し、ペルー政府およびMRTA側双方からこれまで示されてきた信頼を基礎に、両者間の合意形成に向けて精力的に仲介努力を継続されていくよう強く期待するものである。
このような時に、楽観的なものにせよ、悲観的なものにせよ、対話の行方について憶測はするべきではない。憶測報道が話し合いの妨げとなることはフジモリ大統領、シプリアーニ大司教、セルパといったこの事件の解決に直接かかわっている人たちが皆述べているところである。外部に対して明らかにできない情報源を基にするような憶測報道は、対話の妨げになるだけでなく、人質及び家族の方々の気持ちを無用に動揺させるだけである。われわれは引き続き静かに事態の推移を見ていくべきである。
(問)次官会見の際にもでたが、国際赤十字の医師団が公邸内に入って健康診断しているのを1週間に1回に制限されるようだが、どんな背景でそうなったのか聞いてみたいと次官が言っていたが、その後、何か背景など分かったか。また、1週間に1回と制限するのは人質等へどんな影響を及ぼすと考えるか。
(報道官)この問題について、セルパが外国通信社と無線交信をして説明した以上の理由について、われわれから発言することは適当でないと考える。他方、赤十字国際委員会としては、「この決定は残念ではあるが、その他の赤十字国際委員会の業務は従来どおり引き続き行う予定である」旨明らかにしている。日本政府としては、赤十字国際委員会が人質の健康管理について引き続き最大限の努力を行っていくと理解している。また、今度の医師団の公邸立ち入り制限によって、人質の方々がどのような反応ぶりを示しているかについては、人質の中で特に緊急の治療を必要とする人がいるとは承知していない。そのことから見ても、今回の制限が直ちに赤十字国際委員会の医療活動に悪影響を与えるとは考えていない。赤十字国際委員会の方も、概ね同様の理解をしていると承知している。他方、先程も申し上げたように、赤十字国際委員会はこうした制限を残念であるとも述べている。赤十字国際委員会の職員は毎日、大使公邸に入っており、このこと自体が人質の方々に大きな安心感を与えている。日本政府としては引き続き赤十字国際委員会と緊密に連絡を取っていきたいと考えている。
(問)赤十字国際委員会のペルー副代表が国外追放になってしまったが、その背景と、その追放が事件にどんな影響を及ぼすのかについての見解如何。
(報道官)国外追放になった件については、前にこの会見や大臣、次官の会見でも説明したと思うが、これは赤十字国際委員会とペルー政府との間のことなので、日本政府としてコメントなり発言をすることは適切ではないと思う。赤十字国際委員会は引き続き人道的な観点に基づく活動を行っていくという話を伺っている。われわれもこうした赤十字国際委員会の活動を高く評価するものであり、これに影響が出ないことを強く望むものである。
(問)インドネシアの国民車問題について、スハルト大統領が日本との協議の打ち切りを指示したとの報道があった。この事実を確認しているか、また、事実ならどう受け止めるのか。
(報道官)われわれが事実関係として把握しているところは、21日にムルデオノ官房長官が記者会見を行い、その中で発言されている内容である。われわれとしては、4月30日に開催予定の次のWTO紛争解決機関会合までの間に、インドネシア側から要請があれば、いつでも協議に応ずる用意がある。他方、インドネシアとしては国民車計画を変更する予定はない、また、ムルデオノ官房長官も2国間協議を中止するといったような発言をされていることも承知している。われわれとしてはこの問題はあくまでもWTOのルールに従って解決されるべき問題であって、長年の友好的な日本とインドネシア2国間関係に悪影響を及ぼさないという姿勢を双方で維持しつつ、解決に努力していくことが重要であると考えている。先の橋本総理大臣のインドネシア訪問の際にもスハルト大統領との間でこの点について合意している。
繰り返しになるが、日本にとってインドネシアとの関係は非常に重要なものであり、今後ともその関係を重視していく考えである。従って、この国民車の問題は、それとは離れてWTOの問題として、ジュネーブにおいて解決が図られるべきと考えており、そのためにはまだ時間がある。インドネシアの方で協議を要望するようであれば、われわれとしてはそれに応ずるということである。
(問)パネルでの解決でのになりそうだが、このインドネシアの国民車は、ほとんど韓国から輸入の車であるということが大きな問題になったと思うが、このパネルになった場合、韓国の参加も予想されるか。
(報道官)それについては具体的にどのような形で今後とり進められるのか今の段階で予断することは差し控える必要があると思う。韓国の参加というよりも、この国民車計画については、繰り返しになるが、インドネシアが自国の自動車産業を育成したいと思っていること自体をわれわれが問題視したことはない。その過程において、差別的な措置がとられる場合、それがWTOとのルール違反の問題が出てくるということなので、そういうことについてはジュネーブで話をしたいということである。国民車に対する考え方それ自体は差別的な措置を伴わないものであれば、われわれとして十分理解するところである。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)今週リマではシプリアーニ大司教を中心として保証人委員会は精力的に仲介努力を重ねてきた。現地時間4月19日は週末ということもあって、リマでは特段の動きは見られなかった。我々としては静かに状況を見守っていきたいと考えている。
(問)内務大臣が辞任し、また国家警察の幹部が相次ぎ辞任しているが、これはペルー政府の取り組みに影響を与えるものか。
(報道官)今のところ各種の報道以上のことは承知していない。目下情報を入手中であり、今日の時点で質問に答えられない。他方において、シプリアーニ大司教自身が非常に精力的に努力されてきていることを高く評価するところであり、この週末は大司教にもゆっくり休んで頂き、これからの週をこれまでと同様に精力的に仲介活動を続けて行って頂きたいものと考えている。
(問)ファン書記がソウルに到着したが、受け止め方如何。
(報道官)本件については関係諸国が国際的な慣例に従って注意深く対処してきた結果と理解する。朝鮮半島情勢についてはKEDOの活動は進展しており四者会合提案についても前向きの動きが見られてきているところである。尚、ニューヨークで米、韓、朝の話し合いが行われてきているところ、北朝鮮側が早急に四者会合提案を受け入れることを期待する。
(問)北朝鮮による日本人拉致事件や日本人配偶者問題等につきファン書記を通じて情報を得る努力をする考えはあるのか?
(報道官)ファン書記のことについては、我が国は第三国である。日本人拉致事件についての質問ということであれば、それについては従来から関連情報に務めているところであり、今後もその政策を続けて行くということである。
(問)一部報道で、北京において日本と北朝鮮の交渉があったと伝えられているが、これについての現状説明如何。
(報道官)一部の日本の報道機関でそのような報道振りが行われているが、政府としては北朝鮮との接触の具体的内容については従来から一貫してその有無を含めてコメントしないこととしている。本件についてもコメントを差し控えたい。
在ペルー大使公邸占拠事件
○冒頭発言
(問)TBSが無線機を置き忘れたことについての事実もないということか。
(報道官)本19日午前報道課長からTBS報道局幹部に照会したところ、今御質問の件につきそのような事実はないとの説明を受けた。産経の記事には私(外務報道官)の名前が出てきていることもあり、同日午後私(外務報道官)から報道局幹部に対して直接事実関係を確かめた。その際、TBS側は公邸内に無線機を残して取材をしたり交信したという事実はない旨、また、テレビ朝日の無線機事件が2月12日発覚して大きな問題になった直後に報道局幹部が外務報道官のもとへ出向いて謝罪したといったようなことを産経新聞に話した事実もない旨の説明を受けた。
(問)ICRCシュレール副代表が国外退去を受けた背景についてのコメント如何。
(報道官)国外退去になったということについては承知している。ただその理由についてペルー政府は説明を行っていないとのことである。午前中のブリーフィングでも担当課長より説明したと思うが、ICRCは人道的な面で活動を続けており、今度のことの理由はわからないが、それによってICRCの活動が影響が受けるとは受け止めていない。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間4月17日、リマではシプリアーニ大司教とフジモリ大統領、保証人委員会とオブザーバーの協議、いわゆる三者協議等の動きが見られた。日本政府としては、フジモリ大統領とシプリアーニ大司教がこうして頻繁に協議を行い、これを背景に保証人委員会が非公式な形で仲介努力を重ねていくことを高く評価するとともに、これが実を結んでいくことを期待する。
(報道官)先の記者会見で質問があったヘルムズ・バートン法に関するアメリカとEUの間の協議について説明したい。現在、アメリカとEUの間で妥協案が議論されている。その趣旨は、アメリカとEUは10月15日までに最終合意に至るべく協議を継続するということであり、これには具体的な内容が入っている。既に妥協案自体については、アメリカ側とEU委側との間で合意ができているが、EUの中でこの妥協案を受けるかどうかについてまだ最終的な結論は出ていない。現在、内部で議論が行われており、早ければ現地時間で18日にEU側でこの妥協案を受けることになるということのようである。この妥協案によると、アメリカ側として主としてとる措置には次のようなことがある。まずヘルムズ・バートン法第4章の、キューバ接収資産について取り引きを行った外国人への米国査証発給拒否については、アメリカの大統領にウェーバーの権限を与える修正を行うため、議会を説得することということであり、もう1つは、同法の第3章の損害賠償請求については、これまでも6カ月ごとに執行停止措置が継続されてきたが、クリントン政権中即ち2001年1月までその執行の停止を継続するということである。他方、この妥協案によると、EU側としてとるべき措置は2つある。1つは、EU企業の対キューバ投資を抑制するということであり、もう1つは、ヘルムズ・バートン法に関するWTOパネル手続きの停止をするということである。ただし、EU側は手続きを再開する権利は留保するということになっている。
こうした妥協案が今、アメリカとEUとの間で一応できており、これを受けるかどうかということでEU側で検討するということになっている。これが仮に現地時間18日に採択されることになると、合意ができて以降、今年の10月15日までに先程述べたアメリカ側及びEU側でそれぞれとる措置が実施されたのか確認し場合、その時点で(10月15日になると思うが)最終的に合意するという内容のものである。なお、ヘルムズ・バートン法の第4章即ちキューバ接収資産について取り引きを行った外国人へのアメリカ査証発給拒否については、これはもしもこのとおりアメリカ大統領がウェーバー権限を持つよう議会を説得し、それが認められることになると、MFNの対象になるということで、日本もここから裨益するということになるとのことである。
(問)この妥協案について、日本政府としてはどういう立場なのか。
(報道官)今の妥協案から出てくる結論は、アメリカは既に通した法律即ちその根底となっているアメリカ国内法の域外適用ということは原則として残るわけだが、ウェーバーの権限を大統領に与えるということで、もしもそれが議会の承認を得るということになると、現実の問題としてはこうしたことが発動されないで済むということである。従ってそうした原則と実行との間で妥協ができるという、非常に現実的な措置になっているわけである。また、損害賠償請求についても実際問題としては6カ月ごとに執行停止措置を継続しているということで、原則はあるが実施しないということだから、実際問題として外国の企業に悪影響を与えないということになる。それはそれとして1つの現実的な解決の方法と考える。しかし、この妥協案に沿って実際に最終合意ができるものかどうか、アメリカの議会がこうしたウェーバーの権限をアメリカ大統領に与えることになるかどうか、これはもう少し見ていかなければならない。従って、10月15日までの間、それぞれアメリカ側、EU側においてとられる措置を見ていかなければならないと考えている。
(問)そもそも日本がキューバに資産を持っている企業はあるのか。
(報道官)実際問題として、このヘルムズ・バートン法から直接に影響を受ける企業は日本の場合にはないとわれわれは理解している。ただ、原則の問題として、アメリカの国内法の域外適用というものはわれわれとしても賛成しがたい。なお、他国特にカナダ等については、現実に被害を受ける会社は出てきているということである。
(問)WTOの関係だが、インドネシアの国民車問題で、わが国はパネル設置等で協議に入ろうということだったが、現在のところそれはどんな状況になっているか。
(報道官)わが国は昨年10月にインドネシアが昨年2月に導入した国民車構想に関してWTOに基づく協議を要請して、これまで2国間協議を行ってきた。残念ながら双方が満足できる解決をこれまでに得るに至っていない。そこでジュネーブ時間の4月17日に開かれたWTO紛争解決機関の会合において、日本側は次のこの機関の会合である4月30日にパネルの設置を可能とするために、議題の登録を行ったところである。パネルの設置を要請するのはあくまでも4月30日の次回の紛争解決機関会合においてである。このパネル設置要請を議題登録した後でも、インドネシア側から要請があれば、いつでもわが方として協議に応じる用意がある。協議の上、次回のこの会合までに日本とインドネシア両国が合意に達すれば、次回の会合におけるパネル設置要請を見送ることも可能である。従って、日本政府としてはインドネシア側が次の会合までにわが方との協議に応じ、何とかこの問題について円満な解決が図っていくことを期待するものである。
(問)大田知事が訪米し、国防総省のキャンベル副次官補に那覇軍港をホワイトビーチに統合するよう打診したというが、これについて外務省の沖縄事務所から何か報告はあったか。
(報道官)沖縄のわが方事務所からの報告ということでは、今、答えられる材料はないので、しかるべく調査して答える。ただ、この問題について当省が把握していることを説明すると、17日の大田知事とキャンベル次官補代理との会談で、大田知事は那覇港湾施設の移設がなかなか進まないことに触れて、移設候補地の一つの例としてホワイトビーチの可能性に触れたと承知している。これが沖縄県の一致した意見かどうかについては分からないところがあるし、これまで沖縄県側から政府に対してそのような話があったわけではない。ご案内のように、那覇港湾施設については、SACO最終報告で浦添埠頭地区への移設と関連してその返還を加速化するため、最大限の努力を日米共同で継続する旨盛り込まれている。現在、政府は地元の理解と協力を得るべく、最大限の努力を払っているところである。
(問)そうすると、ホワイトビーチではなく、やはり浦添市へというのが政府の一応の方針であるということか。
(報道官)われわれは沖縄の方から正式の要請として承っているのは、述べたところでありつ、まりそれを受けてSACOの最終報告に載せられているように、那覇の港湾施設を浦添埠頭地区への移設と関連して返還を加速化するための最善の努力を日米共同で継続するということである。従って、ホワイトビーチ云々ということについては、初めて聞くことでもあるし、果して沖縄県の中で一致した意見なのかどうか、その辺のところを確かめていく必要があるかと思う。同時に政府としては、これまでの了解に沿って、先程申し上げた従来のラインで地元の理解と協力を得るべく最大限の努力を行っているところである。
(問)北朝鮮に対する食糧援助問題について、国務省でバーンズ報道官が「日本政府は政治的理由によって援助をためらっていたが、もう決心しなくてはいけないだろう」といったような発言をしている。これに対してわが国としてはどういうふうに応えるか。
(報道官)バーンズ報道官もこれを決定するのは日本自身であるという意味合いで発言しているものと心得ている。いずれにせよわれわれとしては、北朝鮮の食糧事情についていろいろ勉強もし、またDHAのアピールについての内容についても検討しているが、今の段階でこれまでの方針を変えるということはない。いずれにせよDHAのアピールの内容も踏まえ、種々の要素を考慮に入れて北朝鮮に対する人道援助については総合的に判断していく方針である。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間4月16日リマでは保証人とオブザーバーのいわゆる三者協議等の動きが見られた。
本人質事件が発生してから早4ヶ月が経過しようとしている。日本政府は本事件の早期解決を求めてこれまでペルー政府と保証人委員会に対してできる限りの助言と協力を行ってきたが、残念ながら事件はまだ解決を見ていない。外務省緊急対策本部としては、人質及び家族の方々のつらいお気持ちを胸に刻みつつ、今後も現地対策本部と共に全力を挙げて引き続き寺田顧問を通じてこの助言と協力を行っていく所存である。
現在、シプリアーニ大司教を中心として保証人委員会が非公式な形で精力的に仲介努力を重ねている。我々としては是非ともこの努力が実を結ぶことを望んでいるが人質や家族の方々の気持ちを思うとき、事態の行方について憶測することは有害無益と考える。我々は、連日真剣に行われている保証人委員会の仲裁努力を信頼し、当面これを静かに見守っていくことが事態の進展にもっとも貢献する所以と考える。
(問)4ヶ月が経って人質の方々の健康状態あるいは家族の方々の心労状態如何。
(報道官)人質の方々の健康状態については、この記者会見でも説明している通りICRC赤十字国際委員会からの報告によると今緊急に特別の手当を必要とする方はいないということである。しかしながら、質問にもあるように心労(ストレス)は溜まっていると察している。4ヶ月が経過しようとしており、そういった意味でこの問題の早期平和的解決というものを希求し、今後とも緊急対策本部としてはできるだけの努力をしていきたい。現状はシプリアーニ大司教を中心として今、保証人委員会が非公式な形で仲介努力を重ねているという重要な時期である。我々はこの仲介努力を高く評価しており、何とかしてこれが実を結んでもらいたいと期待している。見通しといったことについて述べることは適当ではないが、いずれにせよ寺田顧問を通じてこの仲介努力が実を結ぶようできる限りの助言と協力を行う所存である。
(報道官)来日中のロバイナ・キューバ外務大臣は、本日高村外務政務次官主催の昼食会に出席し、また本日午後池田外務大臣と会談を行った。現在橋本総理大臣の表敬訪問が行われているものと考える。高村外務政務次官及び池田外務大臣との会談の中で、ペルー事件につきましてロバイナ外務大臣は、いわゆる出口問題について正式要請を受けて人道的観点からMRTAの受け入れを決めた、事件の早期解決を希望する。今後もキューバとして可能な協力を行っていきたい旨述べた。
(問)月曜日の次官会見の際にヘルムズ・バートン法に関し、EUとアメリカとの合意ができたということにつき、見解を聞いたところ、日本としては内容を考慮の上、配慮を考えると答えた。その際伝えられている通り、EU企業のみが適用外の対象になれば問題であると発言があったが、ヘルムズ・バートン法について我が国としてどの程度情報を集めており、どの程度その情報に対処しているのか。
(報道官)我々はまだEUとアメリカとの間に合意ができたとは理解していない。現地時間で昨日EU側でこの問題についての協議が行われる予定になっていたので、その様子については調査し然るべき時に説明する。いずれにせよEU側としてもこの問題についてアメリカの国内法の域外適用ということについては反対の立場を貫いていると承知している。今のところ我が国には直接このヘルムズ・バートン法から受ける実害というものはないが、アメリカ国内法の域外適用については原則の問題として我々としても反対してきている。EUとアメリカのパネル設置にかかる問題については我々も関心を持って見守っているところである。
(問)現在のところはまだこういったことで合意というところまではいっていないのか。
(報道官)そこまではいっていないと了解している。
米国通商代表部外国貿易障壁報告書へのコメント
(報道官)米国通商代表部外国貿易障壁報告書に対し、我が国政府としてのとりあえずのコメントを15日午後(日本時間16日早朝)に米国へ提示した。右コメントは、基本的に、「97年外国障壁報告書」の我が国関連部分について、事実関係や内容の正確性につき指摘する等、我が国の立場を述べたものである。また、米国側の抱える問題点についても指摘している。
(報道官)現地時間4月15日、リマでは佐藤、田中新旧現地対策本部長のフジモリ大統領表敬、フジモリ大統領とシプリアーニ大司教の協議等活発な動きが見られた。現在は保証人委員会が非公式な形で精力的に仲介努力を重ねている重要な時期であり、我々としては保証人委員会のこうした努力を信頼し、事態を見守っていくことが必要と考える。日本政府は、シプリアーニ大司教を中心とする保証人委員会の仲介努力を高く評価するとともに、この努力が実を結ぶよう、寺田顧問を通じて引き続きペルー政府と保証人委員会に対し、可能な限りの助言と協力を行っていく。
本日午後3時より約30分強、当省5階のレセプション・ホールにおいて、第10回本邦企業関係者説明会が開催された。堀村中南米局審議官より、最近の現地の動きについて説明を行った。また、小島領事移住部参事官より、最近の大使公邸内の状況についての説明を行った。説明会は全体的に淡々と行われた。
(問)企業説明会においては出席者よりどのような質問があり、それに対する答はどのようなものであったか。
(報道官)出席者より若干の質問があった。「ペルーでは頻繁に世論調査が行われているが、それはどのように我々としては理解していけばよいか」、「佐藤・田中新旧本部長の交代について、もう少し背景の説明を聞きたい」といったこと等である。これに対しては、外務省側より然るべき説明を行った。
(問)「然るべき説明」とは。
(報道官)既に御案内のように、本部長の交代については、人事上このようなことになったが、この人質事件の早期平和的解決に臨む従来と変わらぬ我々の体制というものを説明した。 ペルー世論調査の動向については頻繁に行われており、我々もこれを一つの参考にしているという説明をした。
(問)企業説明会には何社が出席したのか。また、事件の見通しに絡んで新たな説明は行われたのか。
(報道官)出席者は約25名であった。動きということについては、最近の保証人委員会の仲介努力、フジモリ大統領のボリヴィア訪問の件、ホイ・ワイ・ペルー国会議長来日の件といったことについて、過去2週間の動きについて説明を行った。
見通しといったことについては発言は出ていない。
(報道官)現在ザイールにおいては政府側と反政府側との間で紛争が続いており、サハヌーン特使他国際的な調停活動が進んでいる。そういった中で、ザイール国内の難民帰還問題というものも一つの大きな政治的な課題となっている。この問題について、これまで必ずしも大きな取り組みがなされずにいた。
このたびUNHCRより、「キサンガニ周辺に滞留する約10万人の難民・国内避難民等のうち、孤児、病人等弱者を中心とした一部難民をキサンガニからゴマ経由で関係者をルワンダへ空輸でもって帰還する計画を実施したい。ついては日本からも資金協力をしてほしい」との要請があった。
我が国は本年1月にUNHCRのルワンダ特別計画(大湖地域の難民・国内避難民等の保護、支援のための年次計画)に対して300万ドルを拠出し、これがこのまま留保されてきた経緯がある。UNHCRからの要請を受け、このうち200万ドルを本件キサンガニからルワンダへの空輸帰還計画に充ててもらうことを我が国として決定した。また、残りの100万ドルについてもUNHCR側の要望に従い、ルワンダ国内における再定住のための資金として配分することを決定した。本空輸帰還計画全体として650万ドル程必要との由である。日本からの200万ドルに加え、米国が300万ドル、英国が160万ドル拠出するということであり、これにより、難民の帰還が円滑に進むことが期待される。
(問)10万人の難民のうちの弱者の一部ということであるが、600万ドルで空輸帰還される難民は何名であるのか。
(報道官)できるだけ多くということを考えているようである。10万人というのも概数であり、その中でのルワンダからの難民についても見極めていく必要がある。従って、とりあえずはゴマに空輸し、そこで人定事項等を調べた上でルワンダに行ってもらうということもある。
これ以外にもザイール東部にルワンダからの難民なり、またザイール国内の避難民等も依然滞留しているようである。しかしながら、正確な情報というものを得ていない。従って、今次空輸計画でもって必要なルワンダ難民が全て本国に戻ることができるかどうかということについては依然わからないことが多い。
(問)米国務省バーンズ報道官の北朝鮮への食糧支援についての発言をどう評価するか。
(報道官)このたび北朝鮮の食糧事情を勘案し、米国がWFPのアピールに応えて緊急援助をすると発表した。この中でバーンス国務省報道官はWFPのアピールへの日本の参加決定は日本政府が行うことであるというコメントをしていると承知している。この問題についての日本政府の対応振りについては、これまで何度となく説明申している。DHAのアピールの内容を検討すると同時に、種々の要素も考慮に入れ、総合的にこの問題について慎重に判断していく。
(問)いつも同じ答である。米国から食糧援助の第一陣が間もなく着くかということであるが、いつ頃までの検討であるのか。例えば拉致事件の解明があるまで駄目であるとか、若しくはそれにも関わらずやるかどうかということは、いつ頃までに決定するかということをはっきりしたものを出さなければ国際的な支持を得られないのではないか。バーンズ報道官は「いろいろな事件があることを承知している」という発言をしているようであるが、例えば中国であるとか韓国であるといった他の国々も、依然検討中という日本の主張を理解してくれているのか。
(報道官)日米韓三国の間では、この問題について頻繁に意見交換を行っている。米国も韓国も日本の対応振りというものを理解していると我々は承知している。その他の国については、果たして日本の対応振りについて特別な意見を持っているかどうかということについては承知していない。いずれにせよ、一方において我々は北朝鮮における食糧事情がなかなか厳しいということを踏まえ、DHAの統一アピールについては検討している。他方、拉致疑惑問題、日本人妻の問題といったことに関わる日本の国民感情ということについてもやはり考慮に入れなければいけない点がある。このようなことも踏まえ、現在総合的に検討しているが、御質問のように「いつまでにしなければいけない」といったようなことでなく、ともかく全体としてこの問題を慎重に総合的に判断していきたいというのが政府の立場である。
(問)この姿勢を続けても「世界」の理解は得られると見ているのか。条件を示さずに、現在の形で(言葉は悪いが)引っ張っていっても、例えば餓死者などが出ても支持を得られるのか。
(報道官)「世界」についてに何を意味しているかわからないが、それがもしも米国や韓国といった北朝鮮との関係において深い関係を有する国のことであれば、我が国の対応振りについては理解してくれている。一方において、北朝鮮の事情というものについて我々もいろいろな角度から勉強しているが、我々も我々で人道問題を抱えているということも事実である。やはりそのあたりを勘案した上で、慎重に判断していくということはわかって頂けることではないかと思う。
(問)「我々も人道問題を抱えている」とは、拉致事件、日本人妻の問題と理解してよいのか。
(報道官)然り。
ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間4月14日リマではフジモリ大統領とシプリアーニ大司教の協議が行われる等、保証人委員会の仲介努力は引き続き行われている。
日本のある報道機関は「日本政府内では4月一杯で最終的合意に達し、5月初めに人質解放という見方が強まっている」云々と報じているが、日本政府部内でかかる見方が強まっているという事実はない。こうした報道こそ、私が記者会見で何度となく述べている実態を反映しない憶測に基づく報道であって、これは対話の進展には何の貢献もしない。こうした日本政府に関する憶測報道は止めて頂きたい。
他方、本人質事件が発生して以来、早120日目を迎えようとしており日本政府としては、本事件の早期平和的解決を希求している。事件の持つ本質的な難しさに鑑み、現状に一喜一憂したり、無責任に対話の行方を憶測したりすることは避けるべきである。現在は保証人委員会が主として非公式な形で精力的に仲介努力を重ねている重要な時期である。我々はこうした保証人委員会の努力を静かに見守っていくべきである。
日本政府は保証人委員会の仲介努力を高く評価すると共に、この努力が実を結ぶよう寺田顧問を通じて引き続きペルー政府と保証人委員会に対し可能な限りの助言と協力を行っていく所存である。
(問)本事件に関し、本日閣議後の会見で池田大臣は、我が国は大使召還はしないものの、ハイレベル協議は当面中断する旨発言した。本日、登・中近東アフリカ局長がイラン大使にその旨伝達するとのことだが、我が国も本暗殺事件にイラン高官の関与があったと見ているのか。
(報道官)本日午後4時、登・中近東アフリカ局長が在京イラン大使と会っている。本来の質問に答える前に、登局長が在京大使に伝達した基本的なラインを説明する。我が国はイランの行動振りに対する国際社会の懸念を従来より共有してきており、今回のミコノス事件判決を重く受け止めている。今回の判決を受け、我が国は大使召還を現時点では考えていないが、ハイレベルの要人交流については当面見合わせる旨伝達している。
質問にお答えする。日本は、本判決中に示されたイラン首脳部の本事件への関与につき直接検証し得る立場にはない。しかし、我が国はイランの行動振りに対する国際社会の懸念を共有してきており、今回の判決によりその懸念が強まったということである。日本は本判決を重く受け止め、その結果この度の措置をとることとした旨、登局長から在京イラン大使に伝達した次第である。
(問)平たく言えば、非常に黒に近いグレーとの感じで受け止めているのか。
(報道官)形容詞を使うことがこの際適当かどうか分からない。
いずれにせよ、「関与」につき直接検証することは、我が国として出来ない。判決を重く受け止め、これまで有している「懸念」が強まり、要人交流については当面見合わせるということである。
我が国としては、これまでイラン側に対しこうした懸念を具体的行動振りで払拭するよう申し入れてきた経緯がある。その懸念が強まったことを踏まえ、イラン側がそれを払拭するような具体的措置を取ることを期待する。
(問)これは暫定措置か、それとも今後大使召還に結びつくのか。
(報道官)本日までのところ、大使召還を考える状況にはなっていない。我が国としては判決の内容をも検討した上で、大使召還は現時点では考えないが、ハイレベルの交流を見合わせることにした。
本日の(登局長と在京大使との)会談も踏まえ、またイラン側の対応振り等々を見て、将来いろいろ考えることは出てくるかも知れないが、予断をもって申し上げることは差し控えたい。
(問)北朝鮮「ノドン1号」再配備問題に関し、池田大臣が発言をしたとの報道があり、これに関しバーンズ米国務省報道官は記者会見で「日本政府のステートメントを見て欲しい」旨の発言をした由だが、我が国政府は何か情報を掴み、発表したということがあったのか。
(報道官)「ノドン1号」の配備に関しては、日本政府は報道振りは承知しているが、報道内容の事実関係については確認されていない。
他方、質問の点については、恐らく池田大臣の参議院における質疑応答に関連するものと思われる。その中で、池田大臣はいろいろ情報収集には努めてきているが、現段階で伝えられていることが確認されていると申し上げるわけにいかない旨発言している。従って、恐らく池田外務大臣の真意を反映しない報道が行われ、その報道に基づいて国務省の記者会見となったのかも知れない。
我々としては、本問題については深い関心を有しており、今後とも引き続き関係諸国との間で情報交換をしていく考えである。
ペルー大使公邸占拠事件
○冒頭発言
現地時間4月12日、リマでは保証人とオブザーバーのいわゆる三者協議等の動きが見られた。
復活祭以降、保証人委員会は主として非公式な形で仲介努力を重ねてきており、シプリアーニ大司教は最近の状況について「対話は進んでいる」と対外的に説明している。非公式協議を通じて、事態が一挙に大きな前進を見せることは期待できないとしても、保証人委員会のこうした精力的な努力によって事態が動きを示していることは高く評価されるべきである。日本政府としては、引き続き寺田顧問を通じ、ペルー政府と保証人委員会に対し出来る限りの助言と協力を行って行く所存である。
他方、憶測に基づく報道は依然として続いており、最近ではペルーの特別赦免委員会の活動振りを巡って、同委員会の責任者が報道振りを否定するという事例が見られている。保証人委員会による非公式な形による仲介努力が重ねられている現在の重要な時期に於いて、実態を反映しない憶測報道は対話の進展には何の貢献もしない。我々としては、事態の動きが明らかになるまで当分の間、保証人委員会の努力を静かに見守っていくべきと考える。
○質疑応答
(問)保証人委員会の精力的な努力ということに関して、ここ1週間保証人委員会は活発な動きを見せているが、日本政府としては交渉は大詰めに来ていると見ているか。
(報道官)これまでの記者会見でも説明したように、皆さんに説明できるような具体的進展がまだ見られているという訳ではない。シプリアーニ大司教は「対話は進んでいる」との表現をしている。我々としては形容詞はなかなかつけられないが、ともかく事態が「止まっている」とか、「後退している」とかということではなく、「進んでいる」ということである。話し合いの内容が「煮詰まっている」とか、この事件の核心的な問題についてのペルー政府とMRTA側の乖離した立場というものが、「狭まってきている」とかいうことについては、話し合いの内容にも係わることでもあり、説明できないが、まだまだ予断は許さないと思う。ただ、シプリアーニ大司教も、政府側及びMRTA側もこれまでと異なり対外的に説明をするというより、話し合いに真剣に臨むという態度を見せている訳であり、このこと自体は肯定的な材料であると理解してもらってよいと思う。いずれにせよ、我々としては、ペルー政府もMRTA側も保証人委員会の精力的な努力を信頼して、少しでも事態を前へ向かって進めて行くよう保証人委員会の仲介努力にさらに協力して行ってくれることを望む。我々としても、寺田顧問を通じて、この重要な時期に出来るだけ事態の前進を求めて、成し得る助言と協力をペルー政府及び保証人委員会に対して行って行きたいところである。
ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)保証人委員会は非公式な形でペルー政府とMRTA側との間の合意形成を目指して精力的に仲介努力を重ねてきたところ、現地時間11日には、保証人委員会とMRTA側との個別協議が17日ぶりに開催された。このことは保証人委員会の努力の現れであって評価される。他方、今回の個別協議でみなさんに報告できるような具体的な進展がみられたわけではない。現在は、保証人委員会の仲介努力が精力的に続けられている重要な時期である。政府としては保証人委員会の仲介努力を高く評価しており、寺田顧問を通じ引き続きペルー政府及び保証人委員会に出きる限りの助言と協力を行っていく考えである。いずれにせよ我々は、憶測に基づいて事態の行方を楽観視したり、悲観視することは避けたいと思う。
(問)報告できる具体的な進展が無いと言うことだが、事態は着々と前進していると受け止めて良いのか。
(報道官)シプリアーニ大司教は一方において今、個別協議なり非公式協議の内容について皆様方に説明するのを避けていると同時に、話し合いを色々行っていること自体について少しでも前に向かって進んでいるという表現を使っている。この事件の本質そのものが非常に難しいものであることから、短期間で事態が急に動くと言うことはそもそも無理があると考える。しかし復活祭が過ぎた後、保証人委員会が非公式な形で色々と関係者との間で協議を進めてきており、それによって少しでも良い方向に向かっていくという努力が進められている。従って今の状態ついては、何度も同じ表現になり恐縮だが、一喜一憂すべきで無い。多大な期待も持つべきで無く、また事態が全く動いていないと言ったような悲観的な見方を持つべきでもない。ともかく保証人委員会が精力的に仲介努力をしているので、我々としても全力をあげてこれに協力していきたいと思う。
(問)今回の協議をきっかけに今まで17日間無かったがもう少し頻繁に個別協議が復活するのか。
(報道官)個別協議が今後頻繁に重ねられていくことになるのか、やはりもう少し保証人委員会がこれまで通り非公式な協議を続けていくことの方がいいのか、今の段階で十分に答えるだけの材料がない。どちらになるのかもう少し見ていかなければならないと思う。
在ペルー日本大使公邸人質事件
(報道官)現地時間4月10日、リマではシプリアーニ大司教とフジモリ大統領との協議、保証人とオブザーバーのいわゆる三者協議等活発な動きが見られた。
保証人委員会は非公式な形でペルー政府とMRTA側との間の合意形成を目指して精力的に仲介努力を重ねている。
このように現在事態は重要な時期にあり、我々としては保証人委員会の仲介努力を静かに見守っていくことが重要であって、憶測に惑わされてはならないと考える。憶測に基づく報道は、事態の進展に何の益ももたらさないものであるばかりか、問題解決への障害となる懼れが大である。
日本政府としては、ペルー政府及びMRTA側双方が保証人委員会の仲介努力を信頼して合意形成に向けて早期に具体的な動きを示していくことを期待する。
(問)サンティステバン護民官と3者との会談が行われたようだが、これについて寺田大使の方から具体的な報告がなされているか。
(報道官)先程申し上げた現地における活発な協議については、質問の件も含めて寺田顧問より報告がなされている。その内容の説明は差し控えさせて頂く。いずれにせよ保証人委員会が非公式な形で積極的に仲介努力を続けており、我々としてはこうした努力が実を結んでいくものと信じている。
(報道官)本件は独という第三国の司法手続きに基づき、今後とも同国において係争が続けられる可能性のある案件であり、我が国政府としてこの判決についてコメントすることは差し控えたいと考える。
他方、一般論として申し上げれば、我が国としてもイランの行動振りに対する国際社会の懸念を共有してきており、従来よりイランに対し、再三にわたり、かかる懸念を具体的行動振りでもって払拭するよう申し入れてきたところである。
外務省としては、現在判決の詳細等を調査中であるが、何れにせよ、本件に関し、EU側とも意見交換の上情報収集に努める所存である。
(報道官)ザイールにおいて憂慮すべき状況が続いている。
先般、南アにおいてザイール政府・反政府勢力双方の直接対話が実現し、民主的な変革の必要性や選挙の実施につながる移行プロセスの必要性について両者間でコミュニケが発出された経緯がある。ザイールの当面の課題は、このような民主体制への移行のあり方にあると認識している。その際、ザイールの領土的一体性が保たれつつ、かかる移行が平和的な話し合いにより行われることが大事である。
我が国は、サハヌーン特別代表による調停努力を積極的に支持する。また、我が国は今後とも国際的な取り組みに参画し、自らも機会を捉えて当事者への働きかけを継続していく。
なお、難民については、未だに10万人以上のルワンダ難民がキサンガニとウブンドゥ方面にいることが確認されており、その多くは肉体的にも精神的にも限界に近い悲惨な状態にある由であり、我が国としても懸念をもって事態を見守っているところである。
(なお同国には)4月11日現在26名の邦人が在留しており、政府は既に退避勧奨を発出し不要不急の邦人の早期国外退去を勧めているところである。
(問)米国あたりではモブツ大統領に対する批判の声が高まっているようだが、我が国としてのモブツ政権に対する立場如何。
(報道官)我が国としては、先程も申し上げたように、南アにおけるザイール政府、反政府側の直接対話によって発表されたコミュニケに従って、民主体制への移行を行うことが重要であり、それが平和的な話し合いによって行われることが大事であると考えている。そうした観点から、政府側と反政府側がこの難しい事態をサハヌーン特別代表による調停努力に沿って、平和的に解決していくことを望むものである。
(問)26人の邦人の職業の内訳如何。
(報道官)このうちの半分以上の方々がNGO関係者である。その他、永住者の方、大使館関係者及び若干の宗教関係者となっている。
(問)永住者は何人か。具体的に数字が分かれば教えてほしい。
(報道官)子供4人を含む5人である。
(問)香港で最近、民主制度が果して50年間続くのであろうかということを疑わせるような動きが出ているといった報道もある。例えば考えすぎかもしれないが、集会の自由、デモ規制が強まるという動きもあるようであり、英国あたりも憂慮しているという声も聞かれている。我が国として、香港の民主制度が続くかどうかについては、どのような見方をしているか。
(報道官)香港は法の支配、自由な情報の流通などにより発展してきた。我が国としては、返還プロセスが円滑に進んで、返還後も政治的にも経済的にも自由で開かれた制度が維持されることによって、香港が引き続き繁栄していくことを希望している。質問の件は、現在議論が行われている社団条例及び公安条例改正のことと思うが、我が国としては、返還後も香港において引き続き人権が保障されるよう、こうした改正の動きを注意深く見守っていきたい。
なお、今議論されている社団条例なり公安条例なりの改正の動きが、そのまま(の形で)最終的に実施されるものかどうかは詳かにしていない。また、今議論されていることが直ちに人権状況の後退になるのかどうかについても詳かにしていない。どのような改正が最終的に行われ、またそれがどのように運用されていくかということを見ていく必要があると思う。いずれにせよ、日本としては香港が経済的に自由で開かれた制度を維持していくことが重要であると考えており、それはこれまで香港が享受してきた政治的に自由で開かれた制度にも深く関連していることと考えている。
繰り返しになるが、今のそうした改正の動きというものを注意深く見ていきたいと考えている。
(問)先日の記者会見においても説明が行われた尖閣諸島への抗議上陸計画の問題について、香港では署名活動等も行われているようだとの報道もあった由であるが、現在までに新しい動きといったようなものはないか。
(報道官)質問の点については、この前に説明した以上に具体的な動きは把握していない。
イラクによる巡礼飛行問題
(報道官)イラクによる巡礼飛行問題に関し、日本政府としては、イスラム教徒の巡礼の重要性については、十分理解している。他方、今般のイラクによる巡礼飛行が国連制裁委員会の許可無く行われたことは、遺憾と考えるものである。
(問)「(巡礼飛行の)重要性は十分理解するが、制裁委員会の許可なく飛行することが遺憾である」ということは、制裁委員会の許可を求めれば飛行自体は日本政府としては支持できるということか。
(報道官)従来飛行禁止区域を通過することは認められておらず、また通過することについては許可を求めていくということになっているので、その要件を満たさないで今回巡礼飛行が行われたということ、そういった行為自体は遺憾なことである。
(報道官)現地時間4月9日、リマにおいて保証人とオブザーバーの3者協議等が行われた。保証人委員会は、引き続き非公式な形でペルー政府とMRTA側の合意形成を目指して仲介努力を重ねている。日本政府としてはこうした保証人委員会の努力が実を結んで行くことを強く期待している。
保証人委員会の非公式な仲介努力が精力的に行われているこの重要な時期に我々が最も注意すべきことは憶測に基づいて事態の行方を楽観視してみたり或いは悲観視してみたりすることである。
日本政府としては保証人委員会の仲介努力を高く評価すると共に、寺田顧問を通じ引き続きペルー政府及び保証人委員会に対しできる限りの助言と協力を行っていく所存である。
(問)事件解決の見通しが立っていないが、人質の精神状態如何。またあらたなケアを行う用意はあるのか。
(報道官)人質の拘束期間が110日以上になり精神的には相当辛い気持ちと察している。ただ、急に治療を必要とするような方がいるとは聞いていない。かかる人質の方々のことを思う時、我々としては出来るだけ早くこの問題の平和的解決を図りたいという気持ちである。表面的になかなか動きが見えてこないということで、プレスの方では現状を「膠着状態」と描写し、また、時々悲観的な報道も流れているような感じがあるが、保証人委員会が非公式な形で、真剣に仲介努力を重ねていること自体、事態打開に向けた肯定的な材料と受け止めるべきであると考える。今、その具体的動きについて皆さんに説明出来ないことを心苦しく思うが、我々としては、皆さんとともに保証人委員会の仲介の動きを静かに見守っていきたいと考える。
(問)対人地雷の全面禁止に向けて、超党派での動きがあると報じられているが外務省としてどう対応していくのか。
(報道官)対人地雷の規制の強化については、我が国は昨年6月のリヨンサミットにおいて対人地雷の全面禁止に向けた国際的努力を支持すると共に、地雷の使用などについて一連の自主的措置を講じることを決定した旨橋本総理大臣より発表したことなど積極的な取り組みを行っている。報じられている超党派のこのアピールについては対人地雷問題に関する国際的な問題意識の高まりを踏まえ、有志の国会議員の間で検討がなされているということであり、政府としてはこのアピールの内容を踏まえて今後とも適切な対応を行っていくことになる。
(問)かかる動きが全面禁止に向けての動きを加速させるということで良いのか。
(報道官)全面禁止ということについて、まだまだ色々な動きがある。例えばカナダが主導権を握っているオタワ・プロセスが一方であり、もう一つはジュネーヴ軍縮会議でも動きが見られている。我が国としてはこのオタワ・プロセスとジュネーヴ軍縮会議の動きは相互に補完的であると考えているが、実際に対人地雷を生産し、また広く使用している国々が入っているジュネーヴ軍縮会議における検討及び条約の作成が今重要であると考え、そちらの方面で努力をしていくということである。
(問)北朝鮮の食糧支援に関し、昨日、大臣が政府の姿勢を検討する要素として少女拉致事件、日本人妻問題等、釈然としない気持ちがあるという答弁をされたが、かかる疑惑や日本人妻問題についてある程度のものが出てこない限り食料援助は出来ないという立場なのか。
(報道官)DHAが国連統一アピールを発出しており、日本政府としては北朝鮮の食糧事情が厳しいことは承知している。またそういったことにまつわる人道的な問題があることも承知している。DHAの国連統一アピールの内容を検討することは当然のことであるが、先般来説明申し上げている通り、他方において種々の要素があるわけで、これに対する国民感情も十分に考えに入れていかなければならない。我々としては、かかる全てのことを総合的に判断していく。
(問)ある程度のことが出てこないと援助できないということなのか、あるいは出てこなくても援助できるということなのか。
(報道官)今申し上げた以上に説明する材料は持っていない。国民感情を離れて日本の外交を推進するのは難しいという問題もある。他方において食糧事情が非常に悪いということもある。ともかく、種々の要素を慎重に、総合的に判断していくということである。
コモン・アジェンダ関連
(報道官)4月14日及び15日の両日、コモン・アジェンダ円卓会議の主催により、当省において日米協力ワークショップ「環境教育と日米協力」が開催される。
日米コモン・アジェンダは、今までも官民の密接な連携によって推進されてきた。今回のワークショップは、円卓会議という民間の積極的イニシアティブによって開催されること、今まで必ずしも十分ではなかった環境教育面での国際協力を取り上げることの二点において大きな特色を有するものである。
本年は、6月の国連環境開発特別総会、12月の気候変動枠組み条約第3回締約国会合等環境関連の国際会議が数多く開催されることが予定されており、1992年のリオデジャネイロの国連環境開発会議以来の環境外交の年である。先般のゴア米副大統領訪日の際にも、「環境のための地球規模の学習及び観測計画」を日米コモン・アジェンダの枠組みにより更に拡大することが決定された経緯がある。政府としては、今般のワークショップが環境教育面での国際協力を進める上で極めて有意義なものと考えており、プレスの方々にも広く取材して頂けることを期待する。
(報道官)現地時間4月8日、リマではフジモリ大統領とシプリアーニ大司教の協議、保証人委員会とパレルモ教育大臣との個別協議等活発な動きが見られた。
現在は保証人委員会がペルー政府及びMRTA側双方と非公式協議を重ねながら双方の間で合意形成が可能となるよう真剣な仲介努力を行っている重要な時期である。日本政府は寺田顧問を通じペルー政府と保証人委員会に対し、可能な限りの助言と協力を行っている。
このような時期に、ペルー政府とMRTA側の対話の今後の行方について憶測をしたり予断を持ったりすることは、事態の進展に何の役にも立たない。我々としては、保証人委員会の真剣な仲介努力を静かに見守っていくべきであると考える。
(報道官)4月8日付人民日報は、7日夜に江沢民国家主席がミヨン仏国防相と会見した際、中国はこの国際人権A規約を年内に署名すると発言した旨報じている。わが国としては、中国における人権状況改善の観点から、同国が国際人権規約に加入することが重要と考えてきており、今回の発言はこれに向けての更なる前向きな動きとして歓迎する。
(報道官)4月8日、在ミャンマー山口大使は、先方の求めに応じてニュン・スエ外務副大臣を往訪した。
同副大臣は、6日夜のティン・ウ第二書記の自宅で生じた爆弾事件について、「管轄する郵便局が、書類によって当該小包が日本から航空便で送られてきたことを確認した」として、日本政府に対し「今回の事件について可能な限り捜査して頂くことをお願いしたい」旨要請してきた。
これに対して山口大使より、「まずティン・ウ第二書記の御長女がこの小包爆弾によって亡くなられたことに対し心から哀悼の意を表する。日本政府としてはかかるテロ行為は絶対に許せないものであり強く非難する。要請のあった点については可能な限り協力をしたく本国政府に伝える」旨答えた。
(問)爆弾テロ事件の協力については具体的に如何なることを想定しているのか。
(報道官)当省としては、既に関係当局にミャンマーの今述べた申し入れを伝えた。余り証拠物件は残っておらず今後特定することもなかなか難しいかとも思うが、先ほど説明したように、この航空小包が日本から送られてきたことは管轄の郵便局の書類において確認されているということであるので、これを一つの手掛かりとしてそのような事実が本当にあったかどうかについて今後関係当局において調べていくことになるかと思う。どのような調査が可能か具体的なことについてはまだここでお答えできる材料は持ち合わせていない。
(問)日本から送られてきたことが確認されているということであるが、それは例えば日本のどこであるかといったしっかりとしたものがあるのか。山口大使としては、これは確かに日本からであろうという山口大使自身の心証はあるのか。
(報道官)山口大使としての心証というよりも、先方から御質問の点についてより具体的な情報を入手しているので、それを外務省が関係当局に伝えるということである。今後のことがあるので、その詳細についてこの場で説明することは差し控えたい。
(問)外務省としても日本から送られてきたことはほぼ疑いないという理解か。
(報道官)現時点ではまだ確認できない。あくまでもミャンマー政府の情報によれば管轄の郵便局が書類上それを確認しているということだ。その書類についての情報は先方から入手しているので、その情報に基づいてどこまでそれが確認し得るかということをこれから日本側において行っていくこととなると考える。
ペルー日本大使公邸人質事件
(報道官)現地時間4月7日リマでは特に御報告すべき動きは見られなかった。事件発生から既に110日以上が経過しており、日本政府としては、現在非公式な形で進められている保証人委員会の仲介努力が早期に具体的成果を生むようペルー政府及びMRTA側双方に対し積極的な対応を強く期待する。
(問)大使公邸人質事件で心配なのは、人質の人たちの健康状態であるが、これについての情報如何。今のところ特に悪化している人もいないということでよろしきや。
(報道官)赤十字国際委員会の方々と頻繁に情報交換を行っている。何か特別に治療が必要となっている人はいないと承知している。ただ、人質の拘束期間が110日以上になるわけで、ストレスはかなり溜まっているものと推察している。そういうことから見ても、我々とすれば今一生懸命行われている保証人委員会の仲介努力が早期に実を結んでいくこと、ペルー政府及びMRTA側双方がこの保証人委員会の仲介の努力に積極的な対応を示していくことを望むものである。
(報道官)4月2日に行われたスリランカの民族問題を超党派により解決するというクマーラトゥンガ大統領とウィクラマシンハ野党リーダーとの間の合意についての日本政府の受け止め方を申し上げる。
先ず日本政府はこの合意を歓迎する。日本政府はこの合意がスリランカの民族的融和及び人権の尊重を基礎とした平和的且つ永続的解決に貢献することを強く希望する。この点につき若干敷衍して申し上げると、スリランカ政府とタミール過激派(LTTE)との間で長い間に亘って武力闘争が行われていた。この問題の解決に貢献するために、タミール人が多く居住しているスリランカへの北部及び東部により大きな自治権の移譲を含む措置をとることについて、与野党間で議論が行われてきた。今般、政府と野党との間で超党派的対応の合意が得られ、民族問題の抜本的解決のための政治的な共通基盤が整うこととなった。日本とスリランカは長い間に亘って友好協力関係を発展してきているところ、日本政府としては今般の合意を歓迎し、且つこの合意が民族問題の解決に大きく貢献するものと信ずるものである。
(問)この間から聞いている竹島の港湾工事の関係だが、もう調査報告は入ったのか。
(報道官)竹島での接岸施設建設工事については、4月7日、外交ルートを通じて4月より工事を再開するとの報道が事実であることを確認した。この結果を受けて、我が方は、同日直ちに在韓国我が方大使館を通じて、韓国側に対し、竹島の領有権に関する我が国の一貫した立場を述べ、この立場と相容れないこの工事再開に遺憾の意を申し入れるとともに、その中止を申し入れた。
(問)韓国側の反応、答えはどういったものだったか。
(報道官)韓国側はこの問題に対する韓国政府の立場を述べた。
(問)具体的に日本政府と韓国政府の立場というものをもう一度簡単に説明して頂けないか。
(報道官)我が国の立場は、竹島は我が国固有の領土であるということであり、この点を韓国政府に対して繰り返し明らかにしてきている。韓国側は「独島」と呼んでいるが、同島が韓国の固有の領土であるという主張を行っている。
(問)外務部長官の来日のスケジュールが発表された。当然今度は公式の外相会談であり、この問題についての両国のお互いの立場がそれぞれ述べられることになるのか。
(報道官)この前の記者会見で質問を受けた定期協議になるのかどうかについてまず説明すると、日韓の外相定期協議は87年から93年まで7回にわたって開かれてきた経緯がある。近年は国際会議での場を含めて両国の外相同士が会談を行う機会が増えてきていることから、両国間では特に名称を定めることなく外相会談を行ってきた。今回は韓国側の希望により、定期外相協議とすることとなった。従って今度は第8回目の定期外相協議になる。この会談においては、既に発表したように、二国間関係、朝鮮半島情勢及び国際社会における日韓協力について意見交換が行われる予定である。ただ、その中でいかなる特定の問題が取り上げられるかということについては、予断をもって申し上げることは差し控えたいと思う。いずれにせよ外相会談が行われた後に、その内容についてはブリーフィングさせて頂く。
(問)今まで7回の定期協議で必ず取りあげてきたことを日本がやらないということになれば、日本が態度を変更したということにならないか。
(報道官)いずれにせよ今予断をもって申し上げるのは差し控えた方がよいと思う。
(問)今回、韓国側が定期協議にしたいと言ってきた理由は何か。
(報道官)特にその理由について自分(報道官)が説明できる材料はここにはない。いろいろな場でユ・ジョンハ外務部長官と池田大臣は会談を行ってきているところ、今度は従来行われてきた定期外相会議を行うということで、幅広く色々な問題について話をしたいという希望であると理解している。
(問)竹島の申し入れは、大使館のどういう人が外務部のどういう人にしたのか。
(報道官)レベルについては今ここに答えられる材料を持ち合わせていない。
(問)工事については、(韓国側は)中止にしないというようなことを言っているのか。
(報道官)我が方としては中止を申し入れたが、先方は従来からの対応を繰り返しているということである。
(問)接岸施設というのは、具体的には何をいうのか。埠頭のことか。
(報道官)この記者会見の場では、埠頭工事という言葉を使ったり、接岸施設工事という言葉を使ったりしている。
(問)確認だが、工事再開は外交ルートを通じて確認したのか。
(報道官)そういうことである。
(問)日本側の問い合わせに対して韓国側がその工事を再開するということだったのか。
(報道官)その通りである。それが4月7日にあり、即刻同日、遺憾を表明し、中止を申し入れたということである。
(問)工事自体はいつから再開されたのか。
(報道官)工事が再開されたということは4月7日の時点で確認されているが、いつの時点で工事が再開されたかについては、今答えられる材料を持っていない。
(問)国連の明石人道局長の(北朝鮮への食糧援助の)アピールが出たが、北朝鮮への食糧援助の問題で日本政府の態度に変化というか新たな動きはあるか。
(報道官)これについては既に池田外務大臣や官房長官から説明があったかと思う。我が国としては北朝鮮に対する人道支援について、今後このアピールの内容をも踏まえて、種々の要素を考慮に入れて慎重に検討し、総合的に判断することにしたいと考えている。
(問)慎重に検討と言われるが、今朝の池田外務大臣の会見でも、北朝鮮の食糧事情の逼迫はよく承知している、DHAのアピールが人道的であることもよく承知している、しかしながら、いろいろな要素を考え総合的に判断すべきである、というような回答だった。いろいろな要素とは、これは何なのか。いろいろな要素だけではどうも分かりにくいのだが。
(報道官)種々の要素ということについては、既に池田外務大臣がいろいろな場、国会等においても話されていることと思う。例えば3月18日の参議院外務委員会で、拉致疑惑の問題とか日本人妻の問題などについて、何らかの解決あるいは解明についての進展も見られないままに、人道問題だからといって援助しろということについて、我が国の国民の中には釈然としない気持ちがあるということも事実であるということを言われている。一方において、今般、DHAから正式に国連統一アピールが出たわけであるから、その内容について検討するのは当然だが、やはりいろいろな要素も考慮に入れた上で、全体として総合的に検討し判断していくということである。
(問)釈然としない気持ちの原因になっている拉致事件について、外務省はその後何か調べたりしているのか。
(報道官)外務省としては引き続き関係当局とも連絡を取りつつ情報収集に努めているところである。
(問)少しは何か証拠みたいなものは出てきたか。
(報道官)本日の段階で報告できるものは持ち合わせていない。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間4月5日、リマでは保証人委員会及びオブザーバーの三者協議等の動きが見られた。保証人委員会は、関係者との非公式の話し合いを通じて今後開かれる 個別協議或いは直接対話を実りあるものとして行くよう引き続き努力を行っている 。人質の拘束期間が長引いていることもあり、日本政府としてはペルー政府及びMRTA側双方が保証人委員会の仲介努力に対して、積極的に応えていくことを強く 期待する。
また、同日ボリビアのサンタクルスにおいてフジモリ大統領とサンチェス大統領の共同記者会見が行われた。この度のペルー・ボリビア首脳会談において、両国首脳によりこの人質事件に対する対応に相違点はないとして事件の早期且つ平和的な解決を追求していくとの姿勢が改めて確認されたことはこの事件の打開に向けた肯定的な材料であると日本政府は受け止めている。
(問)ホイワイ議長が成田に到着したが、総理、高村政務次官との会談でどういうことが話されるか、又どういうことを期待するのか。
(報道官)ホイワイ議長はペルー議会の長であり、この人質事件に直接の責任を有している方ではない。同議長は韓国で行われる列国議会同盟出席の途次日本に寄るものである。衆参両院の議長と会い、日本とペルーの議員交流を通じた両国関係の発展について意見交換をすると共に、人質事件についても橋本総理や高村政務次官を含め意見交換をするであろう。2月1日にトロントで開かれた日本ペルー首脳会 談にもホイワイ議長は同行している。ホイワイ議長はこの人質事件について詳しく承知のことと存じている。日本側からは既に事件が発生して以来100日有余となっており出来るだけ早く平和的に解決して行く必要性をホイワイ議長に話していくものと心得ている。
(問)ホイワイ議長との話の中で、フジモリ大統領に事件解決に向け努力して欲しいと伝えるよう依頼するのか。
(報道官)具体的にどのような話になるか、これは話が終わって見なければわからないが、日本の基本的な立場は事件の早期・平和的解決である。また、いま個別協議なり、直接対話なりが開催されていない状況において、保証人委員会はいろいろな努力をしており、我が国としては寺田顧問を通じて引き続きペルー政府及び保証人委員会に対して出来る限りの助言と協力を行っていく考えである旨を先方に伝えることは当然と考えている。今保証人委員会の仲介努力は非常に重要なものになってきている。ペルー政府、MRTA側双方とも保証人委員会のこうした仲介努力を信頼して話し合いによって早期の解決を図るよう具体的に事態を進展させていくことを期待している。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)ペルー大使公邸人質事件に関し若干説明する。復活祭の時期にはペルー及び日本において、楽観論が広く報道されたが、最近では一転して悲観論が報道されるようになってきている。これはいずれも、実態を正しく反映していない。最近、事態は表面的には進展していないように見えるが、保証人委員会は今後の個別協議あるいは直接対話を実りあるものとするよう、精力的に努力を重ねている。この努力自体がこの人質事件の平和的解決に向けての肯定的要素であることを忘れてはならない。
事件発生以来、100日以上が経過し、恐らく人質の方々のストレスも相当高まっているものと思われる。日本政府としては、ペルー政府及びMRTA側双方がこの人質事件を話し合いによって早期かつ平和的に解決するため、保証人委員会の仲介努力に対し、積極的に対応していくことを強く期待する。
昨日の記者会見、今朝のブリーフィングなどの場で個別協議や直接対話につなが る動きが現地で見られているかどうかについての質問があった。この点について簡 単に触れさせていただく。ペルー政府及びMRTA側双方が事件を解決していくという強い意思を共有できるようにならない限り、話し合いの場をつくってみても、現実問題として、事態が進展を見せるものではない。
保証人委員会は現在、ペルー政府及びMRTA双方から信頼を得ることによって 、話し合いによる解決の糸口を探求している。我々としては、しばらくこの努力を 見守ることが大切である。日本政府としては、保証人委員会のこうした努力を通じて、今後の個別協議なり直接対話が実りあるものとなるよう強く期待している。
(問)シプリアーニ大司教はジェット米大使と会談したり、フジモリ大統領がボリビア大統領と会談した由のところ、現地対策本部より関連する報告は受けているか。
(報道官)先ず、フジモリ大統領のボリビア訪問については、まだ現地より報告を受けていない。シプリアーニ大司教がジェット米大使と会った件を含め現地時間の4日における動きについては報告は受けている。その趣旨は先ほど申し上げた通り、何とかして次の協議なり対話が行われた時にそれが実りあるものにしていくために関係者の間で非公式な形で意見交換が行われているということである。個別協議なり個別対話なりが今後どの様なスケジュールで行われるかということについて報告は来ていない。しかしながら保証人委員会のこうした努力が続けられており、現地対策本部からの報告によると、現地時間の4月5日の土曜日においてもそのような努力が続けられるとのことであり、我々としては保証人委員会のこうした努力を静かに見守っていきたいと考えている。
(問)シプリアーニ大司教が海軍所轄刑務所を訪問したとの由だが、ホライ容疑者と会ったかどうかにつき、情報は得ているか。
(報道官)先ほど緊急対策本部に照会したところ、現地においても確認されていないとのことである。現地時間4月5日に寺田大使はシプリアーニ大司教と会う機会があると思うので、シプリアーニ大司教が訪問されたかどうかについても明らかになるかと思う。
(問)先ほどの話だとペルー政府、MRTA双方が事件を解決していくという意思が共有できない限り動きは見られないということであるが、ペルー政府側にもそういった意思は感じられないのか。
(報道官)今のところペルー政府、MRTA双方の立場が大きく隔たっており、これまでそれを狭めるための努力を保証人委員会が行ってきたわけであるが、残念ながら復活祭の時期には右が実らなかった。復活祭を過ぎて保証人委員会は再び努力をしている。具体的にどの様な形になるか別にしても話し合いによってこの事件を解決していく以上、双方が話し合いによる解決という同じ意思をもって対話のテーブルにつかない限り事態は進展しない。今までの予備的対話及び個別協議の経験を踏まえ、保証人委員会としては次にそのような場が設けられる場合には、なんとかして生産的なものにしていこうということで今真剣に努力をしていると我々は理解している。
ベラルーシでの邦人拘束について
(問)ベラルーシで日本人がつかまったとの情報があるが事実関係如何。
(報道官)4月2日にミンスクで、ロシア・ベラルーシ連合条約反対の集会及びデモが行われていた際、デモを見物していた一部の人が当局によって身柄を拘束され、その中に邦人1名が含まれていた。早速、在ベラルーシ日本大使館の館員が所轄の警察署に行き、身元確認と身柄の引き渡しを求めたところ、3日この邦人は釈放された。非合法に行われたデモに参加していたのではないかとして身柄を拘束されたが、その後の調査で単に見物していたにすぎないことが判明したので釈放されたということである。
(問)日本政府としてベラルーシ当局に、慎重な取り扱いを求めるなどの申し入れ等の措置はしていないのか。
(報道官)報告によると、このデモ自体は非合法であり、ベラルーシの警察署はデモに参加していた人たちを拘束したようである。その中にたまたま邦人が入っていたということで、わが方で早速身元確認と身柄の引き渡しを求めたところ、先程のような理由で釈放されたということだから、これでこの事件は(邦人保護業務の面では)終わったものと考えている。
(問)非合法と言われたが、デモ行進は普通、民主主義国家では非合法になることは少ないのではないか。
(報道官) わが国とベラルーシは違っており、集会を行うことは合法であるが、デモについては事前の届け出が必要で、今回は届け出がなく許可されていなかったことから非合法であるということである。デモ自体が非合法な国は世界にいくつもあり、これはその国の内政問題である。
(問) 身柄を拘束されたミンスクの邦人留学生などが引き続き留学することは何の支障もないということか。
(報道官)然り。
(問) 日本政府として事態が止まっていることについてどのような見解か。
(報道官)保証人委員会は今後のペルー政府とMRTA側の対話が実りあるものとなるよう現在、非公式かつ静かに働きかけを行っている。一見して事態は進展していないようでも、現在は重要な時期であると考える。ある意味では、現在が本来の意味の「熟考の時」なのかも知れない。いずれにせよ、わが国政府としては静かな形であるけれども、保証人委員会が今一生懸命いろいろと働きかけを行っていることでもあり、引き続き寺田顧問を通じてペルー政府及び保証人委員会に対して、できる限りの助言と協力を行っていきたいと考えている。
(問) 今のところ政府側とMRTA側との直接対話の可能性は見えてきていないのか。
(報道官) ペルー政府とMRTA側の立場の大きな隔たりがせばめられているという見通しはなかなか立ちにくい状況にある。この次に対話が行われた時に実りあるものとするために、保証人委員会が努力している。われわれとすれば、寺田顧問を通じて何とかして1歩でも2歩でも事態が前に向かって進展していくよう、助言と協力を行っていきたい。
(問)まだ時間はしばらくかかると見ているか。
(報道官)見通しを申し上げるということは必ずしも適切ではないと思うが、いずれにせよ今日明日のうちに事態が動くということではなかなかないということを踏まえた上で、やはり地道にわが国としてできること、助言し得ることを、事態進展のためにしていくつもりである。
(問)一部報道では、ペルーで警察官2人がテロリストにより殺されたというがこの件についてペルー政府より特段の情報が入っているか。
(報道官)特別に報告は受けていない。
(問)MRTAとの関係があるとの報告等はないとのないとの理解でよいか。
(報道官)そのような関係での報告も受けていない。なお、一部日本側のプレスが報じている、MRTAと日本赤軍との関連云々ということについては、当方がこれまでに得ている情報を総合する限り、MRTA側と日本赤軍との関係については確認されていない。
(問)助言、協力と言われるが、なかなか事態を動かし得るまでにはできていないと思うが。
(報道官) われわれは対話の直接の当事者ではないので、なし得ることにはある程度限界がある。しかしながら、事件発生以来 100日以上が経過しており、人質の方々の拘束期間が長引いていることもあり、何とかして事態を進展させていきたいという気持ちで一杯である。高村政務次官の先般の3国訪問によって、いわゆる出口については環境が整備されたわけであるから、何とかしてそちらの方に向かって事態が進んでいくことが重要であって、そのために寺田顧問は骨惜しみせず懸命に働いている。わが方の緊急対策本部も現地対策本部もできる限り寺田顧問がよく働けるよう支持してきている。現在事態は後退しているわけではない。何とかこの次の対話が行われる時に、生産的なものであり、事態が少しでも前に向かって進み出すよう、懸命に努力しているところである。
(問) ペルーのホイ・ワイ議長の際には日本としてどのような話をするのか。
(報道官)総理表敬については国会の日程等もあって、まだ時間は未定である。ホイ・ワイ議長は立法府の長であり、斎藤参議院議長、伊藤衆議院議長とお話しになり、また高村政務次官が昼食会を行うことが予定されている。わが方としては人質事件の早期・平和的解決ということを望んでいる。ホイ・ワイ議長自身、2月1日にトロントで行われた日・ペルー首脳会議に同行されており、高村政務次官とも旧知の仲である。この問題についてホイ・ワイ議長もよく心得ておられる方だと承知しており、何とかして日本政府とペルー政府の共同行動によって、この事件の早期・平和的解決を求めていきたいということを日本のそれぞれの方々から話があるものと心得ている。
(問) 小和田大使はインドでキューバ外相とアポイントメントはとれたのか。
(報道官)まだ報告を受けていない。決まったらお知らせする。
(問) 先日質問した、台湾から尖閣諸島への上陸計画はその後情報は入っているか。また竹島について調査中ということだったが、その後の動き如何。
(報道官) 尖閣諸島に台湾、香港のグループが5月に上陸するという動きについては、その後特に大きな動きは承知していない。報道等によると、関係者が募金運動を行っているというようなことである。しかし、本当に彼らがそのような行動をとるかどうかは分からない。われわれとしては何度も申し上げているように、尖閣諸島はわが国固有の領土である。関係者が冷静に対処することを希望するものである。また竹島については引き続き調査をしているところである。
(問) 引き続き 調査と言うが、竹島もまたわが国固有の領土であるはずで、巡視船が回っているとも聞いているが、調査にこれだけ時間がかかるとはどういうことなのか。
(報道官)調査になぜ時間がかかるかについては、今お答えする材料がない。いずれにせよ、いろいろな形で調査中である。
(問)韓国から外務部長官が来日するというが。
(報道官) ユ・ジョンハ外務部長官については、ASEM外相会議の際、池田外務大臣からユ・ジョンハ長官に対して訪日招請をした経緯がある。その際、長官は喜んで招待を受けたいとの回答をその場でしており、今具体的な日程を調整中である。
(問)これは定期外相会議とかそういう形式的なものではないのか。
(報道官)いわゆる定期ということではないが、ASEMといったような国際会議がある時に会うということではなくて、やはり来て頂いて、ゆっくりと両国間問題のみならず、いろいろ地域情勢とか国際情勢について幅広く意見交換を行いたいというものである。
(問)竹島問題もそこで取り上げるのか。
(報道官) 訪日日程自身、調整中であり、議題がどうなるかについてもまだ定まっていない。
ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間4月2日リマでは保証人とオブザーバーの三者協議等の動きが見られた。現在保証人委員会は大きく隔たっているペルー政府とMRTA側の立場を今後如何にして狭め事態を進展させていくかについて真摯な努力を重ねている。
保証人委員会の役割は今極めて重要となっている。我々としては、同委員会の努力が早期に実を結ぶことを期待しつつ、拘束期間が長引いている中での人質の気持ちに十分配慮の上、不正確な情報に惑わされないよう事態に対する客観的かつ冷静な判断を保持するよう常に心がけていくべきと考える。
日本政府としては、ペルー政府とMRTA側との対話が早期に進展を見せるよう引き続き寺田顧問を通じペルー政府と保証人委員会に対しできる限りの助言と協力を行っていく所存である。
(問)事件が長引いている事に関し、いろいろ報道があり、フジモリ大統領が立場を変えないことを理由としているものもあるが、外務省としてはどう見ているか。
(報道官)昨年12月17日に事件が発生して以来、ペルー政府と共に事件の早期平和解決を求めてきたが、残念ながら100日以上経っている。なかなか事態が解決に向け進展しないのは、ペルー政府及びMRTA側の立場が大きく隔たっているためである。
確かにペルーにおいて様々な報道がなされているが、公開の場で第3者がペルー政府なりMRTA側なりのどちらかを一方的に責めても早期合意形成には資するものではない。現在は、保証人委員会の仲介努力を見守ることが合意形成に最も重要である。
なお事件が長引いているが、事態が止まっているということではなく、保証人委員会が事態進展のために真剣な努力を重ねているということである。我が国としては寺田顧問を通じ出来る限りの助言と協力を行って参りたい。
(問)一部夕刊の報道で、小和田国連大使がインドにおける非同盟諸国外相会議でキューバ外相と会談を行うとあるがどうか。
(報道官) 非同盟諸国閣僚会議が4月7、8日に行われる予定であり、日本はゲストとして招待されており、小和田国連大使が出席する。小和田大使は、この機会を利用し国連安保理改革について出来るだけ多くの非同盟諸国会議のメンバーの代表と会談することを予定しており、関係各国に会談を申し入れ中である。その中にキューバも含まれているが、キューバからの回答はまだ来ていない。
(問)ホイワイ・ペルー国会議長の訪日予定があり、総理や外相との会談もあるかもしれないが、外務省としてこの訪日に何を期待しているか。
(報道官)ホイワイ・ペルー国会議長は、韓国におけるIPU(列国議会同盟)の会議の途次に日本に寄るものである。立法府の長であり、伊藤衆議院議長等との会談が予定されており、議員交流の観点より日・ペルー関係発展のための意見交換を行うものと承知している。
ペルー大使公邸占拠事件は未だ解決していなく、この点についても意見交換が行われるものと思われる。具体的にどのような意見交換が行われるかには詳かにしないが、我が国としては本事件の早期平和解決を求める旨及び出来る限りの助言と協力を行っていく旨先方に伝えることになると考える。
(問)小和田大使も(非同盟諸国外相会談でのキューバとの個別会談で)ペルー大使公邸占拠事件について意見交換することを期待しているのか。
(報道官)必ずしもそうではない。国連安保理改革につき多くの非同盟諸国の外相と意見交換を行うことが主たる目的であるが、(事件が)話題になれば、我が方として早期解決への協力を求めるのは当然である。
(報道官)昨日の記者会見で質問のあったギングリッチ米下院議長の台湾についての発言に関し説明する。
我が国は(中台関係につき)従来からも明らかにしている通り、台湾海峡両岸の当事者が台湾問題を平和的に解決することを望んでいる。日米間でこの点について意見の相違は無いと考えている。
(報道官)昨日の記者会見で指摘のあった点につき確かに報道はあった。 韓国軍合同参謀本部は3月下旬頃、北朝鮮軍は軍・民を対象として全地域において合同軍事訓練を実施した旨発表している。北朝鮮は依然として地上戦力の約3分の2をDMZ(非武装地帯)付近に前方展開すると共に即応体制の維持に勤めており、その動向については今後とも引き続き細心の注意を払っていく必要がある。
(問)竹島における韓国による接岸工事が再開されたとの報道があるが確認しているか、また日本政府としてはどのような措置を執るのか。
(報道官)報道は承知しており、事実関係については調査中である。
我が方としてはこれまでも累次に亘り、韓国側に対して竹島の領有権に関する我が国の一貫した立場を申し入れると共に、接岸施設建設工事の中止等を求めてきているところである。
(問)調査については海上保安庁の巡視船も出ているのか。
(報道官)具体的にどのような形で調査をしているかにつき、答える材料を持っていない。
(報道官)この度ロシア・ベラルーシ連合条約が署名された。
我が国はこれまでベラルーシの民主化・経済改革を支援してきた。最近のベラルーシ内政状況につき民主化に逆行しているとの批判がベラルーシ内外から出ており、我が国としても同国の情勢を注視してきている。
ロシア・ベラルーシ統合の動きがベラルーシの民主化・経済改革の妨げにならないよう我が国として期待する。
(問)ベラルーシの現状に関し、米国は記者会見において「絶対主義」「独裁主義」との言葉を使っているが、我が国としても米国と同じ認識を共有するのか。
(報道官)我が国はG7の一員であり、ベラルーシの民主化・経済改革を支援してきている。
ベラルーシの民主化努力が後退していることに対しては、危惧の念を持っている。米側はロシア・ベラルーシの統合のプロセスが民主的に行われるかにつき問題視している。この度発表されたロシアとベラルーシの相互理解に関する覚書では、今後ロシア・ベラルーシ連合憲章草案が全国民的議論を経て共同体最高評議会の審議に付されるとのプロセスが発表されている。我々としてはそうしたプロセスを見ながら、両国統合の動きが民主化・経済改革の妨げにならないよう注視していきたい。
在ペルー大使公邸人質事件
(報道官)現地時間4月1日、リマではシプリアーニ大司教とパレルモ教育大臣の協議、保証人とオブザーバーの三者協議等引き続き活発な動きが見られた。
保証人委員会は、各種協議を通じて未だに大きく隔たっているペルー政府とMRTA側の立場を今後如何にして狭め得るかについて真剣に取り組んでおり、日本政府はこうした保証人委員会の努力を高く評価している。
残念ながら復活祭を過ぎた今も事態に進展は見られていない。我々としては、一方において事態が後退しているわけではないことを肝に銘じるとともに、他方において一方的な楽観的見通しを持つことも実態を反映していないことを正確に理解すべきである。
現在最も重要なことは、人質の拘束期間が長引いていることもあり、保証人委員会の仲介の下、ペルー政府及びMRTA側が事態を一歩でも二歩でも具体的に前進させる努力を見せることである。日本政府としては、ペルー政府及びMRTA側双方が、保証人委員会の真剣な仲介努力に応え、静かな環境の下で合意形成に向けて話し合いを進めていくことを期待する。
また、本日午後3時過ぎより3時半まで、当省5階のレセプションホールにおいて第9回本邦企業関係者説明会が行われた。
堀村中南米局審議官より、最近の動き、即ち高村政務次官の三国訪問、橋本・フジモリ電話会談、復活祭前後の対話を巡る状況等について説明した。続いて、斎藤領事移住部長より、公邸内の状況、人質の健康状況等についての説明があった。全体として本日の説明会は淡々として行われ、特に質問などはなかった。
(問)企業説明会は何人位参加したのか。
(報道官)約20名である。
(問)質問は全くなかったのか。
(報道官)若干あった。
(問)如何なる点についてか。
(報道官)前回のような例えば対話の行方についての質問が多かったというような特徴のあるものではなかった。
(報道官)柳井外務審議官は、4月3日、ネタニヤフ・イスラエル首相及びアラファト議長と会談し、総理親書を手交する予定である。またレヴィ副首相兼外務大臣に対し池田外務大臣の親書を手交する予定である。なお、レヴィ外務大臣とのアポイントは現時点では未確定である。
柳井外務審議官は、4月4日にイスラエルを発つ予定である。現在のところ、同地においてイスラエル及びパレスチナ暫定自治政府の首脳以外と協議する予定はない。なお、総理親書及び外務大臣親書を先方に手交するのは、和平プロセスの現状にわが国が深い懸念を有しており、和平プロセスの前進のため和平当事者の努力を強く慫慂するためである。
(問)韓国が民間による北朝鮮へのコメ支援を認めるという決定を下し、米国ではそれを歓迎しているが、わが国の北朝鮮に対する態度、立場はまだ特段の変化は見せていないのか。
(報道官)特段の変化はない。
因みに、キャサリン・バーティーニWFP事務局長が、本日午後3時から約20分間林事務次官と会談した。その際、同事務局長は、3月15日から18日まで北朝鮮を訪問して現地の状況、食糧事情等視察してきた旨、また食糧事情が厳しい旨、そしてWFPが発出したアピールに対して日本も協力してほしいと要請してきた。これに対して次官からは、DHAが現地に調査団を派遣しDHAとして統一アピール発出の動きもあると承知しているので、この動き等も見ながら今後対応振りを検討していきたい旨答えた。
(問)国防総省で日本の報道によれば北朝鮮軍が中国国境付近に展開している云々が話題になったようであるが、こういった情報をわが国もつかんでいたのか。
(報道官)調べた上でしかるべくお答えする。
(問)ギングリッチ米下院議長が米国は台湾を防衛するという趣旨の発言をして波紋を広げているようであるが、これは米国の下院議長が自分の責任で発言したこととはいえ、この地域の安定に影響を及ぼしかねない発言だと思うが、外務省としてこの発言の波紋を如何に見ているか。
(報道官)調べた上でしかるべくお答えする。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間3月31日、フジモリ大統領と保証人、オブザーバーの会談など、現地リマでは活発な動きが見られた。他方、熟考の時が過ぎたにもかかわらず、事態の進展は見られず、状況は厳しい。ペルー政府とMRTA側の立場は大きな乖離を見せたままであって、対話の核心となる問題についての諸困難は今なお続いている。こうした状況下において日本政府としては、寺田顧問を通じてペルー政府及び保証人委員会に対し、合意形成のために引き続き可能な限りの助言と協力を行っていく所存である。
(報道官)首都ティラナ周辺はとりあえず落ち着きを取り戻しているが、南部及び北部等の地方への政府の支配は及んでいない模様である。わが国は、国連安保理事会において3月28日、人道援助の促進などを目的とする多国籍防護部隊の設立についての決議が採択されたことを歓迎する。わが国としては、引き続き現下のアルバニアの深刻な事態を極めて憂慮しており、アルバニアの全勢力がこのような国際社会からの協力を得つつ、早急に事態の沈静化を図ることを希望している。
(報道官)東京において行われたアフガン各派との協議について、今般わが国は、タリバーン以外の各派、即ちドストム派、ラバニ派、ハリリ派より各1名を日本に招聘して協議をした。当方より各派に対して、即時停戦及び和平に向けた実質的対話を開始すべきことを訴えた。これに対して各派は、今般3派が一堂に会したことは非常に建設的かつ有意義なものであり、日本のイニシアチブに感謝する旨、また現状はタリバーンが全国を武力で統一すべく4月にも大規模な攻勢を主にアフガン中部にかけてくる可能性が強い旨、さらに国連及び主要国の一層の貢献を求める旨を述べた。今次協議は、わが国における各派会合の開催に向けた第一歩にもなったと考えている。当省としては、昨年に続きタリバーン派の代表を近いうちに再度日本に招聘し、この度他の各派と行った会合の模様を伝えるとともに、わが国における各派会合構想を改めて説明していくことを検討中である。
(問)日本の招請に対してタリバーンの反応如何。
(報道官)タリバーンを昨年2月に日本に招き協議をしている。タリバーン派はこれを多としている。それを踏まえて、わが方としては近いうちに再度、タリバーン関係者を招くという考えであり、同派がこれに好意的に反応することを望んでいる。
(問)これまでにも呼んでいたが反応がなかったという理解でよいか。
(報道官)昨年の2月にタリバーン派を招き、また昨年6月にラバニ派の関係者を招聘した際に、わが方から和平の重要性を訴えてきている。その問題について先方から何か否定的な反応があったということは承知していない。今般、タリバーン以外の各派と話した際に、3派が日本のイニシアチブに謝意を表明したということ、及び他方において、4月にも大規模な攻勢をタリバーンがかけてくる恐れがあるということを述べていたことを踏まえ、まだどのようにしていくかは別だが、われわれとして近いうちにタリバーン派の代表者を日本に招き、これらの会議の内容を伝えるとともに、改めて日本の進めている各派会合構想を説明していくということである。タリバーン派がどういうような対応ぶりなり態度をわが方に示すかは分からないが、それほど否定的だという感じも一方において受けていない。われわれとすれはタリバーン派がわが方の招聘を受けて、日本に来ることを望むものである。
(報道官)柳井外務審議官のイスラエル及びガザ派遣について説明したい。中東和平プロセスは現在、東エルサレムのハルホマ地区における住宅建設問題及びテルアビブでの自爆テロ事件などによって困難な状況にあり、わが国としてもこのような状況を憂慮している。このような状況を踏まえ、わが国として和平当事者に対し和平プロセスの現状にかかわるわが国の懸念を伝達し、和平プロセスの前進のための当事者の努力を慫慂するために、柳井外務審議官をイスラエル、ガザに派遣することとした。柳井外務審議官は4月3日(木)に現地に到着し、イスラエル政府及びパレスチナ暫定自治政府の首脳などに対し、橋本総理大臣の親書及び池田外務大臣の親書を伝達するとともに、中東和平プロセスの現状について協議を行う予定である。
(問)柳井外務審議官はいつまで滞在するのか。
(報道官)何日間滞在するか、またアポイントがどうなっているか、今、材料がないので、分かったら連絡する。
(問)ネタニヤフ首相やアラファト議長に首相と外相の親書を持っていくのか。
(報道官)そういうことである。ただアポイントが今まで取れたかどうかについては分からないので、分かり次第お知らせする。
(問)特使の形で行くのか。
(報道官)外務審議官として現地に赴くと理解している。
(問)アメリカからもロス特使が現地に入っているようだが、柳井審議官がアメリカのロス特使と協議することはあるか。
(報道官)現地においてイスラエル及びパレスチナ暫定自治政府以外に協議の予定があるかどうかも今、ここで答えられる材料を持っていない。何か決まったら、適時にお知らせする。
(問)インドのゴウダ政権はどうももたないようだが、インドの状況をどう見ているか。
(報道官)これは1国の中の、いわゆる内政問題なので、わが国としては事態を注意深く見ていきたい。いずれにせよ、日本はインドとの関係を非常に重視しているところである。そうした関係自体は、内政によって影響は受けないものと理解している。
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