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在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)3月26日の記者会見において、自分(報道官)はプレスでは実態と異なり、期待感が高まりすぎていると受け取っている旨、また報道ぶりと実態とがあまりにも大きな隔たりを見せるならば、人質の家族のお気持ちにも将来、動揺が起こりかねないことを恐れる旨を申し上げた経緯がある。本日、この場を借りて3月26日のこの自分(報道官)の発言を再び繰り返させて頂く。事態の進展を願う気持ちは分からないことではないが、そうした期待感からのみ事態を評価し、この人質事件の本質に関わる困難な側面を(視することは、MRTA側に誤った認識を持たせ、それが交渉にも影響を与えることともなりかねない。また、関係者の期待感が実態を離れて高まりすぎる場合、人質の心理や人質の家族の心理に将来悪影響を与えかねない。われわれとしては、誰が見ても事態が最終局面に入ったことが分かるまで、常に冷静かつ慎重に事態を分析、評価していく必要があると考えている。
先般の高村政務次官の3カ国訪問によって、いわゆる出口問題について環境整備が進むなど、2月11日に始まった第1回予備的対話以降、これまで事態が一定の進展を見せてきていることは事実である。この間、保証人委員会がペルー政府及びMRTA側双方に対し、合意形成のために精力的な働きかけを行い、フジモリ大統領がその努力を高く評価していることも事実である。しかし、対話の核心となる問題について、諸困難が存在している状況は今でも変わりはない。従って、この核心の問題について、早期に解決が得られると一方的に期待感を高めてみても、それが実態を反映しているわけではない。日本政府としては、この熟考の期間を経て、ペルー政府もMRTA側も熟考の良い成果をもって合意形成に向けて真剣な努力をするよう、寺田顧問を通じてペルー政府及び保証人委員会に対し、できる限りの助言と協力をしていく考えである。しかし、それによって事態が実質的な進展を見せるかどうかは、来週に再開されるであろう各種の話し合いを待たなければならない。これまでの話し合いの経緯を見れば、困難な状況はなかなか変化を見せない可能性も十分ある。当緊急対策本部としては、事態は引き続き困難な状況にあるものの、心からこの事件の早期平和的解決を願って、現地対策本部と共に寺田顧問を支えてまいりたいと考えている。
(問)対話の核心について諸困難があるというのは、具体的にはどういうことか。
(報道官)この点については、事件発生以来ずっと念頭にもあることで、説明はできないが、皆さんお分かりのことと思う。
(問)MRTAメンバーの刑務所からの釈放を含むと考えてよいか。
(報道官)具体的に質問があると、それに対して答えができなくて恐縮だが、いずれにせよ、この事件が発生した時以来、MRTA側が強く求め、またフジモリ大統領が自分の考えを全く変えていない問題があるわけである。保証人委員会としては、もちろんそうしたフジモリ大統領の考えを踏まえた上で、MRTA側とも協議を重ね、何とかして合意形成を目指して努力してきているわけである。以前、この機会に何度か説明したことがあると思うが、MRTA側が現実的な対応を示すことによって、この熟考の期間を経て、保証人委員会の仲介、努力の下で事態が実質的に進み始めることを強く望むものである。
(問)ロシアの情勢はまだかなり乱れているようで、大規模なゼネスト、2千万人行動などが予定されるなど揺れ動いているが、ロシアの情勢をどう見ているか。
(報道官)ロシアについては、内閣改造についてほとんど作業が終わったと思っている。全体として改革志向の強い政府の陣容になったと考えている。こうしたことでロシアが全体として改革路線を進むことを期待するわけだが、指摘のように保守勢力の強い議会や改革に疲れた国民がこの改革路線をそのまま受け入れるかどうか、難しいところもあるようである。政府と議会、また国民との間でいろいろ綱引きがあるかも知れない。その辺のところを注意深く見守るとともに、繰り返しになるが、全体としてロシアが改革路線を進めていくことを期待するものである。
(問)当面、日ロ間には領土など懸案もあるが、それらに影響はないと考えているか。
(報道官)新しい内閣ができたということで、昨年以来、日ロの交流が深まっているが、また今まで設定された路線に従って交流が進み、日ロ関係が進展することを望む次第である。
(問)G7のG8化についての報道官の発言に関連してロシア側から何か反応があったようだが如何。
(報道官)自分(報道官)の理解では、橋本総理大臣の発言に対してリアクションがあったようである。いずれにせよ特定の経済問題についてはやはりG7の中で話をしていかなければいけないということである。また日ロ関係を発展させていくためには、もちろんこの領土問題から目をそらすことなく、法と秩序の原則の下で解決していきたいということである。そういった日本政府の気持ちがロシア側にも正しく伝わることを望む次第である。橋本総理大臣もそのようなことで発言されたと理解している。
(問)ダライ・ラマが台湾を訪問して李登輝総統とも会ったようだが、これに対して中国はかなり反発しているようだ。これがどんな影響を及ぼしていくと考えるか。
(報道官)質問のようにダライ・ラマの訪台については、中国政府は祖国分裂活動であるとして、強い反発を示している。わが国は、台湾を巡る問題の平和的解決の方途を見出すよう、強く希望している。即ち、両岸の直接の当事者がそうした方途を生み出すよう強く希望している。ダライ・ラマの訪台が海峡両岸関係に否定的な影響を与えないことを期待するものである。
(問)希望は希望として、分析としては影響は大きくならないと見ているか。
(報道官)中国外務省の記者会見を見ても、原則の問題として中国はダライ・ラマの訪台について強い反発を示している。チベットの地位を巡る問題については、従来から中国の内政問題であるとの立場であって、かかる立場に変更はない。いずれにせよ、両岸の直接の当事者がいろいろ難しい問題はあったとしても、何とかして台湾問題を巡る問題の平和的な解決の方途を見出すよう希望していくというのが、われわれの立場である。
(問)台湾関係で、また尖閣諸島に上陸しようとの動きが台湾にあると伝えられるが、その情報を入手しているか。またそれをどう見るか。
(報道官)そのような報道があることは承知している。ただ事実関係については未確認である。尖閣諸島がわが国固有の領土であるとのわが国の立場は、繰り返し明らかにしてきたとおりであり、関係者に対し不法上陸などの事態を二度と繰り返さないよう強く求めるものである。いずれにせよ、政府としては、尖閣諸島を巡る一連の事態によって、近隣諸国、地域との関係全体が損なわれるようなことがあってはならないと考えている。関係者が冷静に対処することを強く希望する。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)御案内のように、今朝、橋本総理大臣とフジモリ大統領との間で電話会談が行われた。この会談において総理は、高村政務次官のペルー訪問につきお礼を述べるとともに、フジモリ大統領とともに、この事件についてのレビューを行った。政府としては、熟考の時期と言われている聖週間を経て、事件の早期かつ平和的解決に向けて実質的な進展が見られることを期待する。
(報道官)一部の報道において、今般日本政府がアフガン関係者を招聘している旨の報道があった。この点に関連して若干説明する。政府は今般、アフガンの紛争当事者である、ドストム派、ラバニ派、ハリリ派より各1名、日本に招待している。因みに昨年の2月タリバーン、同6月にラバニ派よりそれぞれ1名日本に招待した経緯がある。タリバーン関係者についても、今年再度日本に呼ぶことを検討している。3月26日及び27日の2日間にわたり、外務省関係者はドストム派、ラバニ派、ハリリ派各代表と個別協議を行った。これを踏まえ、明28日、登中近東アフリカ局長が三派との合同の協議を行う予定である。アフガニスタンでは戦闘が依然として続いているが、我が国としては紛争当事者に対し、紛争の平和的解決を直接働きかけて行くことが重要と考えている。こうした努力が将来我が国における各派会合につながっていくことを期待するものである。
(問)我が国における会合についての見通しは立ったのか。
(報道官)まだそこまでは行っていない。従って今般の各派との協議が直ちに将来の我が国における各派会合につながるとは必ずしも言えない。しかしながら、そういったことを期待して今後とも我が国の和平への努力を継続していきたい。
(問)各派と協議を行っているのは我が国だけか。
(報道官)自分の記憶に関する限り、周辺諸国において各派との会合を求める努力は行われている。ただ、各派全てが集まっての会合は行われていないと承知している。
(報道官)以前に記者会見においてパプア・ニューギニア情勢につき質問を受けたが、本日付けのある報道によれば、パプア・ニューギニアのチャン首相が辞任したとのことであったが、我が方の大使館に確認をとったところ、チャン首相は一連の傭兵問題の調査委員会が設置されたことを踏まえて、同委員会の調査結果が出るまでの間、一時職を離れるとの発表を行った由である。チャン首相は辞任したのではなく、委員会の調査結果が出て身の潔白が証明されるまでの間首相としての公務に就かない旨を明らかにしたものである、と我が方大使館は分析している。なお、来る6月13日に5年間の任期満了に伴う総選挙が行われることが決まっているが、先ほど、チャン首相が国会において、出来ればこの調査委員会の調査結果を踏まえた上で、6月13日より早い時期に総選挙を行いたい旨の発言をしたということである。
(問)情勢は平和的に解決する方向に向かうのか。
(報道官)生活に不満を有する人たちがデモに参加したり、また、他の形で行われたデモに横から参加するといったことは今まで何度か行われてきたようである。しかし今度の件については、国防軍が何ら特別の行動を起こす意思はないということのようである。いずれにせよ、ブーゲンビル銅山問題を契機として色々と国内で動きがあるようだが、この調査委員会の設置によってチャン首相は事態の鎮静化を図っていると我々は考えている。
(問)傭兵問題に関する我が国の評価如何。
(報道官)これは外国の国内問題である。チャン首相が調査委員会を設置して、その委員会の調査結果を待つといっており、大使館が得ている情報によれば、4月早々にもこの調査委員会の活動は開始され、中旬、遅くとも下旬には結果が出るということである。我々としてはそれを見守っていきたいと考える。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間3月25日、ヴィンセント大使及び寺田顧問、また一部にミニグ代表が加わり、MRTA側との個別協議が行われた。この協議では、人道的な問題を含め、これまでの個別協議のレビュー等が行われたと承知している。
現地は既に聖週間に入っており、シプリアーニ大司教もアヤクーチョ教区に戻っている。聖週間はペルーにおいて、宗教上最も重要な期間であり、この間に対話において大きな動きが見られるとは予想されない。フジモリ大統領もシプリアーニ大司教も、今は熟考の時期であるとしている。特にシプリアーニ大司教は、プレスに対して何度となくその趣旨を説明していることをここでも指摘させて頂きたい。
(問)大きな動きは予想されないということであるが、個別協議のようなものが行われる可能性はあるのか。
(報道官)我々は現地対策本部から、具体的にどのような動きがあるかの報告は受けていない。
(問)現地で様々な報道が乱れ飛んでいるようであるが、その背景はどのように見ているのか。
(報道官)御指摘のように、フジモリ大統領とシプリアーニ大司教が熟考の時期であると言っている間に、それに相反するようにプレスでは多種多様な報道が盛んに流れている。事態の進展を願う気持ちはわからないではないが、実態と異なり、期待感が高まりすぎていると考える。報道ぶりと実態とが余りにも大きな隔たりを見せるならば、人質の家族のお気持ちにも将来動揺が起こりかねないことをおそれる。
対話の内容を説明できず心苦しい次第であるが、我々の現状評価を簡単に言えば次のとおりである。先般の高村政務次官の三か国訪問により、所謂出口問題についての環境整備は進んだが、ペルー政府とMRTA側の直接対話について見れば、双方の立場はいまだに大きく乖離したままである。このような状況下で保証人委員会は、ペルー政府及びMRTA側双方に対し、合意形成のために精力的な働きかけを行ってきた。しかし、聖週間の開始を前にしても、事態は実質的に進展を見るまでには至らなかった。こうした事情を踏まえ、シプリアーニ大司教はフジモリ大統領と同様の考えに立って、今は熟考することが最も適切と判断したと我々は理解している。
冒頭でもお話申し上げたように、復活祭の期間中に対話において大きな動きが見られるとは我々は予想していない。この期間中には、ペルー政府及びMRTA側が今後合意形成に向けて実質的な動きを示すよう、前向きに考え方をまとめていくことが期待される。政府としては、聖週間を経てこの成果があらわれることを強く期待する。政府は寺田顧問を通じ、引き続きペルー政府と保証人委員会にできる限りの助言と協力を行っていく所存である。同時に、直接対話の行方は今後とも紆余曲折が予想される。従って、我々としては事態に対して一喜一憂することなく、基本的に冷静な態度を持ち続けることが重要であると考えている。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間3月24日、シプリアーニ大司教とフジモリ大統領との会談、保証人とオブザーバーの協議などが行われた。現地では既に聖週間に入っているが、日本政府としてはこの期間にペルー政府及びMRTA双方が早期合意形成に向けて、事態を実質的に進展させることを真剣に考えていくよう強く求める。
(問)現地の報道によると、エルモサ法務大臣がMRTAを含む政治犯約200人を赦免、釈放すると言っているというが、事実関係如何。
(報道官)そもそもラジオ報道が行われたのが現地時間の24日の夜であり、その報道によると23日に法務大臣が今の質問のようなことを言ったということである。24日中にこのような発言は外には出ていないし、われわれとしてもそのような発言があったということは承知していない。今念のため調べている。
(問)法務大臣にこのような権限はあるのか。
(報道官)われわれの理解するところによると、赦免云々ということについては、サンテイステバン護民官が長になっている赦免委員会が要請を受けて検討し、その結果に基づいて大統領に検討をお願いするというプロセスである。サンテイステバン護民官の方からそのような発言がされたということはわれわれは承知していない。現地ではいろいろと多種多様な報道があるようだ。しかし、全体として聖週間に入っているということで、シプリアーニ大司教が言っているように「熟考の時」であり、それぞれ関係者がいろいろな面で考えているということだ。それは非常に重要なことと思う。(他方)具体的にどのような動きが今後あるか予測することは全く不可能だ。復活祭が始まる前に何か大きな動きがあるといったような情報を緊急対策本部として持っているわけではない。
(問)報道について念のため調べているというのは、法務大臣が23日にそういう発言をしたという事実を確認しているのか、あるいはそういう200人以上の釈放を計画しているということがあるのかどうかなど全体についてペルー政府に確認を求めているのか。
(報道官)(事実を)確認するよう訓令した。
(問)同じ報道で、フジモリ大統領が25日に声明を出す予定だと伝えているが、それについてはどうか。
(報道官)われわれは皆さんのありとあらゆる報道にただただ驚いているところだ。われわれの理解では今は「熟考の時」だが、皆さんの方はなかなか熟考しないで行動しているようだ。ペルーにとって宗教上最も重要な期間を今迎えているということだから、日本人にはなかなか分かりにくいところとは思うが、そういった期間を経て、われわれとすればまたペルー政府、MRTA双方が実質的な合意形成を目指して真剣に努力していって頂くことを期待する。保証人委員会の精力的な努力は今後も続いていくと思う。シプリアーニ大司教も非常に熱心にやっておられるが、この期間中どうしても教区に帰らなければならないということで、それはそれとしてわれわれとしても理解しなければならないところである。従って、この期間に膠着化するというような後ろ向きな解釈の仕方ではなく、正にそれぞれ関係者に熟考して頂いて、その後また保証人委員会を中心とする真剣な努力が続けられていくことを強く希望する。
(問)大臣会見でも質問したことだが、ミャンマーの市民への強制労働に対し、EUが特恵措置を外すというが、この強制労働の事実はわが国としてはどう見ているのか。実際あるのか、それとも確認していないのか。
(報道官)この点は国連の人権委員会が関心を持ってフォローしているところだが、国連人権委員会の報告官の役目を持つ人が、(前のミャンマー担当は横田教授で、その時はミャンマーを訪問することができたが)その後私(報道官)の理解するところでは、ミャンマーに入っていろいろ話を聞くということはできていない。国連においてもなかなかミャンマーの人権状況については把握できていないと理解している。わが方大使館として、しかるべく(大臣の言葉もあるので)把握するということだろうが、実態をつかむには困難があると考えている。
(問)例えば、わが国がミャンマー政府なりSLORCに対し、EU等の調査を受け入れるように働きかけるということは考えているか。
(報道官)これまでの国連とミャンマーとの関係を見ると、非常に微妙なところがあり、国連の方も非常に慎重に行動している。ミャンマーも重要な国連のメンバーであり、われわれとしてもこうしたことについては、やはり慎重に見ていかなければならない。
在ペルー大使公邸占拠事件
○冒頭発言
(報道官)現地時間3月22日フジモリ大統領及びシプリアーニ大司教はそれぞれプレスに対して、今や「熟考の時」に入ったと述べた。ペルー政府及びMRTA側の立場が大きく乖離している状況下で双方が今後、如何に合意を見つけていくべきかについて冷静に考える時間が必要となっていることを意味する発言と我々は理解している。
シプリアーニ大司教は「これから聖週間、そして熟考の時期に入る」と述べており、日本政府としては、ペルーに於けるこの宗教上の最も重要な期間を通じて、ペルー政府及びMRTA側双方が保証人委員会の真剣な仲介努力を信頼して合意の形成に向けて歩み寄りを見せることを強く期待する。
○質疑応答
(問)政府の立場としては解決の時期が更にずれ込んで来ざるを得なくなって交渉事態難航していると言う受け止め方で良いのか。
(報道官)ペルー政府及びMRTA側の立場が大きく乖離している事は事実である。シプリアーニ大司教は他の保証人とオブザーバーと一緒になり、何とかして合意形成に向けて事態の進展を図ろうと努力して来たが、シプリアーニ大司教として最も重要な宗教行事を行う復活祭が目前に迫っていることもあり、今の時期熟考の期間を置くことが必要と判断し、また、フジモリ大統領の判断とも一致した訳である。従って、我々としては今の状況についてことさらに悲観的になることなく、人質の方々も精神的に大変だとは思うが、引き続き平静さと忍耐をお願いする。同時に、保証人委員会の仲介努力無くして事態の平和的解決は図り得ない事は明らかである。政府としてはこの熟考の期間がペルー政府に対してもMRTA側に対してもプラスに働くものと信じている。
(問)これはイースターの期間は、動きそうも無いという何らかの情報があるのか。
(報道官)何らかの情報と言うよりも、いわゆる三者協議が終わった後で、次の段取りは何も発表されなかった。復活祭の行事にはシプリアーニ大司教はどうしても教区に帰る必要があると理解している。シプリアーニ大司教が教区に帰るまでの間具体的にリマに於いてどの様な動きがあるかということについては、緊急対策本部はまだ現地から何も報告を受けていない。シプリアーニ大司教自身これから熟考の時期に入ると言つている。今の段階で既に冷静に考える時間が必要というように考えたのかも知れないが、具体的な段取り等についてはまだ何も報告を受けていない。今後、イースター前にどの様な動きがあるかという事については、緊急対策本部としては承知していない。
(問)シプリアーニ大司教がリマを空けるイースターの休暇は何時から何時までか。
(報道官)具体的には何時になるかは解らない。ヨーロッパとかアメリカの復活祭の場合と違ってペルーの場合は木曜日から既に重要な宗教行事が始まるとの事である。(シプリアーニ大司教が)その前に何時から教区に戻る必要があるのか具体的なことについては承知していない。
(問)ペルー政府とMRTAとの間で大きな乖離があると言われたが、逆にそう言う具体的な交渉に入ったのか。
(報道官)保証人委員会はMRTA側及びペルー政府側と個別協議をこれまで何回かにわたって行ってきた。その中で正に右と左に分かれるような色々な観測が報道されている状況であるが、実質的には具体的ご報告出来るような進展は見られていない。そうした中でシプリアーニ大司教及びフジモリ大統領は熟考の時が必要と言っており、我々としてはこれが結果としてプラスに働くことになることを期待すると申し上げている。復活祭に関連して、保証人委員会のそうした個別協議の努力ということが事実上難しくなるかも知れないが、人質の方々はそういった事態を平静に受け止めて頂ければ有り難いと考える。
(問)政府としては復活祭を一つの節目と言うか、大きな鍵になると見て、なるべくそれまでに大きな動きが出て来ると期待していたと思うが、事件の長期化と言うか、更に長期化する心配が出てきたと言うことか。
(報道官)ご指摘のように政府としてはイースター前にでも事態が少しでも実質的な進展を見せ始めることを強く期待していたが、これはある程度の努力目標というものを頭に描いて、それに向かって事態進展のためにいろいろ考えて行くことが重要とのことからである。そのために我々として出来る限りの努力をしてきた。しかしながら、シプリアーニ大司教も述べているように対話自体は対話者の間で行われるもので、色々な経緯があって必ずしも十分な時間的余裕をもってイースター前に話し合いが出来るようには行かなかった。シプリアーニ大司教としてはこのまま対話を続けるよりも、少し冷却期間を置いた方が結果として良い方向に行くと判断したのでは無いかと我々は理解している。前にも記者会見で説明したが、(本事件は)デッドラインがあってその時期迄に纏め無ければいけないといった性格のものでないところに難しさがある。一番重要なのは保証人委員会の精力的な努力、真剣な努力というものをいかにペルー政府及びMRTA側が信頼してこれに協力していくかであり、これが今後の重要なポイントである。この方向に向けて日本政府としても寺田顧問を通じて引き続き助言と協力を行って行きたい。従って、今度のシプリアーニ大司教の発言を以て事態を悲観的にとらえる必要はない。ペルーの人達にとって、最も重要な宗教的な期間が来るので、その期間を経た上でまた事態は動き出すものと信じている。
ペルー大使公邸人質事件
(報道官)現地時間3月21日、リマではフジモリ大統領と寺田顧問との会談、保証人委員会とMRTA側との第3回個別協議、また、サント・ドミンゴでは高村総理特使とフェルナンデス・ドミニカ共和国大統領の会談等活発な動きが見られた。
高村特使の3カ国訪問を通じて、MRTA側の第3国への出国について、キューバ及びドミニカ共和国からの協力が確認出来たことは本人質事件の早期平和的解決を図っていく上で大きな外交的成果である。
他方、第3国への平和的出国に向けてのペルー政府とMRTA側との間の対話は現在重要な局面を迎えている。現地時間3月21日、MRTA側との第3回個別協議終了後、シプリアーニ大司教は保証人委員会の努力にも限界があるとして、早急な解決に向けて歩み寄るようペルー政府及びMRTA側双方に訴えた。
日本政府は保証人委員会のこうした真摯な訴えを支持するものであり、イースター前にでも少なくとも事態が実質的な進展を見せ始めるよう寺田顧問を通じ、ペルー政府及び保証人委員会に対し、可能な限りの助言と協力を行っていく所存である。
(問)シプリアーニ大司教は努力が限界に来ていると発言していた由であるが、日本政府としては、今後の展開に危機感を有しているか。
(報道官)危機感を持って受け止めているというよりも、シプリアーニ大司教の今回の発言は、短期間で合意形成に向けて真剣に努力する必要性を、ペルー政府及びMRTA側双方に訴えていると我々は理解している。そういった意味で、日本政府は保証人委員会の真摯な訴えを支持するものである。保証人委員会はこれまで、ペルー政府及びMRTA側の提案の提示を受けて、何とかしてその二つの間の乖離を狭めようと努力してきた。しかしながら、本事件が発生して既に3ヶ月以上が経過していることもあり、時間をこのまま無駄に使うわけにはいかないので、MRTA側の第3国への平和的出国を実現するため、ペルー政府に対しても合意形成に向けて具体的に取り得る措置を保証人委員会に示すように訴えていると我々は理解している。同時に保証人委員会はMRTA側からも合意形成に対する現実的対応を引き出すことによって、事態を早期に進展させようとしているものと理解している。
我々は、保証人委員会のこういう努力を支持するとともに、寺田顧問を通じてペルー政府及び保証人委員会に対して、出来る限りの助言と協力を行っていきたい。
(報道官)我が国は、21日、イスラエルのテルアビブにおいて発生した爆弾テロ事件を強く遺憾とする。我が国は多くのイスラエル市民が犠牲となったことに対する心からの弔意を申し上げる。同21日、橋本総理大臣よりネタニヤフ首相、池田外務大臣よりレヴィ副首相兼外相に対し、我が国のかかる弔意を伝達した。
このようなテロ行為は許されないものであり、特に、和平プロセスの前進に向けて当事者及び国際社会が多大な努力を行っている中で、かかる悲劇が発生したことは誠に残念である。
我が国は、東エルサレムにおける住宅建設着工を巡って、双方の当事者が冷静と自制をもって対応することを求め、その期待をこめて1100万ドルの緊急無償援助を21日に決定したところである。我が国としては、和平当事者が今回のテロ事件を乗り越えて、事態の沈静化に努めるとともに、和平プロセスを前進させることを強く希望する。
米露両国大統領が複雑な問題を抱えながらも、協調することにより問題を解決しつつあることを我が国は歓迎し、評価する。今後とも、米露両国が世界の平和と安定のため、広範な協力関係を築いていくことを期待する。
NATO拡大問題については、このNATOの拡大と並行して、NATOと露との間で建設的な関係が構築され、この拡大プロセスがより安定した欧州の実現に資する形で進められることを期待する。
露の国際機関等への加盟参加問題については、我が国としては、露が改革努力を継続し、世界経済社会への統合を進め、国際社会において建設的パートナーとしての役割を果たそうとしていることを歓迎する。
こうした国際機関等への加盟参加には、それぞれの機関等で必要とされる基準用件を満たすことが必要であるが、我が方としては、これらの基準用件を満たしていこうとする露の努力を支持し、また、そのような努力に対し、引き続き可能な協力を行っていく所存である。
(問)国際機関等の「等」について、その中にはクリントン大統領が言った8カ国首脳会議、G7への参加の問題も含まれているのか。
(報道官)G7サミットの今後のことについてのクリントン大統領の発言については、露のサミットへの参加の度合いは、先のリヨン・サミットに比較して、デンバーでは深まることになるのではないかと考える。他方、特定の経済問題については、従来のG7の間で話し合いが行われる必要があり、デンバー・サミットにおいてもそのようになると我が国は考えている。いずれにせよ、露のサミットにおける協議への具体的参加の仕方については今後詰めていくこととなろう。
(問)(露が)経済討議を含めて完全な正式メンバーとして、いわゆるG8と呼ぶことには、現時点では日本政府としては反対するということか。
(報道官)そういうことではない。名称については基本的に議長国の考え方が尊重されることになっている。ご案内のようにクリントン大統領は「8カ国のサミット」と呼ばれることになるであろうと発言している。いずれにせよ、具体的なことについては、今までのG7での種々の機会、種々のレベルでの話し合いの延長線上において、今後具体的に詰めていくことになると考える。
(問)クリントン大統領は8カ国首脳による会議と言われているが、経済問題については、ものによっては露が参加したり、ものによってはG7だけで行うということになるであろうということは、米との間ではすり合わせが出来ているのか。
(報道官)特定の経済問題といっても、まだ、具体的なことについてまで事務的なすり合わせが出来ている訳ではない。本件については今後デンバーサミットが開かれるまでの間に詰めが行われ、最終的な決定が行われていくものと了解している。
(問)日本政府としては、とりあえずデンバーサミットについては、G8という名称を認めるが、それ以後については認めないということか。
(報道官)名称について、今の時点でどれほど我々としての考え方を持っていくか、まだ必ずしも明らかではないが、いずれにせよ先程も述べたように議長国の考え方が尊重される。実態的に露のデンバーサミットにおける参加の度合いが深まるとしても、G7だけで話さなければならない事項というものはある訳であり、それはデンバーサミットにおいてもそのようになると我々は理解している。名称については、ともかく今度のサミットについてクリントン大統領が、「8カ国のサミット」と発言していることを我々も十分承知しているので、右も踏まえ、細かな点について今後詰めていくと理解している。
(問)露が種々の対話に参加し、対話を深めること自体については、日本としては歓迎しているのか。米等とのすり合わせは出来ているのか。
(報道官)先に述べたように既に政治問題については、露は完全にG7と一緒になって会議に参加しており、また、テロ及び環境等についても対話をしている。どうしてもG7だけで話さなければならない経済問題については、今後右問題を特定していって、その部分については従来通りのやり方を行っていくが、もちろん、他の分野については、政府としては露の参加を高く評価している。
(問)例えば経済宣言の中で、露が全面的にコミットしないという可能性もあるということか。
(報道官)その辺の具体的なモダリティについては、まさにシェルパの会議等を通じ具体的に話していくことなると思われる。
(問)つまり経済討議自体には露は参加できるが、特定の問題については露は討議に加われないということか。
(報道官)露が討議に加われないという言う方がいいかどうか別にして、同じ経済体制を持っているG7の間でどうしても話し合わなければならない問題がある。その辺と、露が参加して一緒に話し合って行くべきものの仕分けについて、今後詰めていくことなると理解している。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間3月20日、保証人委員会とパレルモ教育大臣との第2回個別協議が行われた。同協議では、現地時間3月17日に行われたMRTA側との第2回個別協議、18日の高村・フジモリ会談、19日の高村・カストロ会談などを踏まえ、保証人委員会は合意形成の作業を加速化させるよう努力を行った。個別協議を通じる保証人委員会の仲介努力は、今後とも精力的に続けられると理解している。
(問)高村次官がドミニカ共和国のフェルナンデス大統領と会う意義如何。
(報道官)先般、フジモリ大統領がドミニカ共和国及びキューバを訪れ、出口についての意見交換をそれぞれ行った。ドミニカ共和国としては、まだこの問題について正式な対応ぶりについて発表していないが、非常に大きな関心を表明し続けている。そういうことを踏まえて、高村総理特使もフェルナンデス大統領と会って、最終的にペルー政府とMRTA側の合意が成った場合の第三国への出国の候補地としてドミニカ共和国から協力が得られれば、日本としても有難いということで、広くこの問題についての協力について意見交換をするものと心得ている。
(報道官)わが国は、最近のイスラエル政府による東エルサレムにおける住宅建設着工措置を巡って、当該地域の状況が緊張の度を高めていることを憂慮しており、こうした中、関係当事者が冷静と自制をもって対応することが重要と考えている。19日、池田外務大臣からレビ外相及びアラファト議長に対し、この趣旨のメッセージを発出した経緯がある。本日発表した日本・パレスチナ基金に対するわが国の1100万ドルの緊急無償援助は、中東和平プロセスが困難な状況にあり、パレスチナ暫定自治地域の経済状況の悪化が進んでいる中で、関係当事者の1つであるパレスチナ暫定自治政府が冷静と自制をもって対応することを期待して行われるものである。最終的地位交渉を9月末までに終了させるとのネタニヤフ首相の提案については、わが国としては、これまでの合意を踏まえ、両当事者間で話し合っていくことを期待する。
(問)イスラエルの住宅建設着工だが、このこと自体についてわが国の立場はどうか。
(報道官)先般、レビ外務大臣が訪日した際、池田外務大臣から、新たに中東和平のプロセスに難しい状況が生じることを避ける必要があるといった趣旨を申し上げている。今回、具体的に住宅着工措置をとるということになって、地域の状況が緊張の度を深めていることもあり、改めてこの点について憂慮の念を表明するとともに、イスラエル側もパレスチナ暫定自治政府側も冷静と自制をもって対応することが重要であるということを申し上げたい。
(問)米露首脳会談が始まったが、これについてのコメント如何。
(報道官)アメリカとロシアとの関係は国際政治上非常に大きな意味を持つものであり、われわれとしても関心を持って米露会談を見ている。特にNATO拡大の問題については、基本的には欧州の安全保障の文脈の中で考えられるものと認識しているが、わが国として注目している。NATO拡大と並行して、NATO・ロシア間で建設的な関係が構築され、より安定した欧州の実現に資することになるよう期待している。
(問)国連総会議長の国連改革案が報道されているが、日本政府はもう連絡を受けているか。またコメント如何。
(報道官)これについては朝の外務大臣の記者会見におけるコメント、先程行われた官房長官の記者会見における日本政府の評価、その2つで包括的に表わされている。いずれにせよ、政府としてはラザリ国連総会議長のこうしたイニシアチブを歓迎するものである。同時に、ラザリ総会議長の示した総会決議案の内容については、常任理事国及び非常任理事国双方の拡大、途上国に配慮した議席拡大等、わが国の主張と一致する部分もあり、評価できる。しかし、新常任理事国に拒否権を付与しないとしているなど、問題点もあり、さらに検討し安保理改革作業部会の場などにおいて、わが国の立場を主張し公表していく方針である。なお、新常任理事国への拒否権付与については、仮に新常任理事国に拒否権が与えられない場合、常任理事国間に権限の上で差異が生じ、原則上の問題が生じると考えている。政府としては、拒否権の問題に関しては、包括的な改革パッケージの一環として議論されるべきものと考えている。なお、この総会決議案の内容及び取り扱いに関しては、今後、安保理改革作業部会において議論されていくこととなると理解している。
(問)確認だが、支持できること、評価できないことを分けて、評価できないこととして拒否権の問題をあげている。ということは、ラザリ案に示されている、いわば先進国から2カ国、開発途上国から3カ国、そのほかに非常任理事国4カ国という全体的に数を増やすという、この数字の問題については支持するわけか。
(報道官)ラザリ総会議長の個々の提案について、わが国の具体的な立場をこの場で説明することは差し控えさせて頂きたい。われわれとしては、今後この内容について、安保理改革作業部会において議論される際に、わが国としての立場も説明していくつもりである。いずれにせよ、総会議長がこのようなイニシアチブを発揮し、案を示したということを歓迎するものである。
(問)いわば総論賛成、各論についてはなお賛成できないこともあるということか。
(報道官)(今後、包括的な改案)パッケージを作るにあたっては、拒否権を持っている理事国のアメリカやフランスは既にその中の特定の項目について賛成できないと言っているようであり、われわれとしては、そういうことも勘案しなければならない。個々具体的なものについてのコメントは差し控えさせて頂きたいと思うが、いずれにせよ今、国連改革へ向けてのモメンタムを盛り上げていくという意味で、ラザリ議長のイニシアチブを歓迎する。
(問)先程、新常任理事国に拒否権を認めない場合には、新旧理事国間に差異が生じ、原則上の問題が生じると言われたが、この原則上の問題というのはどういう意味か。
(報道官)拒否権というものは今、常任理事国に与えられている。もともとの理事国には拒否権が与えられるが、新しい常任理事国には与えられないということになれば、同じ常任理事国との間で権限上の差が生じるという、そういう原則的な問題が生じるという意味である。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間3月19日の高村・カストロ会談に於いて、カストロ議長は、ペルー政府とMRTA側との間で合意ができれば、MRTAメンバーを受け入れる用意がある旨を明らかにした。日本政府としては、本事件の解決に向けた、このような動きを歓迎する。また、政府としては高村総理特使の今般の3ヶ国訪問が、ペルー政府及びMRTA側双方の対話を加速化させ、今後の事態の具体的な進展につながっていくことを強く期待する。以上の点について若干敷延して申し上げると、高村・フジモリ会談を通じて本人質事件の早期平和的解決を求めるフジモリ大統領の方針が、再確認された。また、カストロ議長が述べたペルー政府とMRTA側との信頼醸成の重要性については我が国も同じ考えである。日本政府としてはこうした両国首脳との共通の理解の上に立って、第3国への平和的出国による本事件の早期解決に向けて、MRTA側から現実的な対応を引き出せるよう、今後寺田顧問を通じ、ペルー政府及び保証人委員会に対し、助言と協力を行っていく所存である。
(問)「第3国への平和的出国」という表現を引用するのは初めてだと思うが。
(報道官)昨日の記者会見でも同じ表現をした。いずれにせよこの問題は進展をみせていないが、高村政務次官も幾たびか発言しているように、MRTA側がジャングルに戻ることによって事態の解決をはかることは全く不可能である。唯一の現実的な方法は、第3国への平和的出国である。その点について、ペルー政府とMRTA側との間で合意が得られるのならば、カストロ議長はMRTAメンバーを受け入れる用意があることを表明したわけである。したがって、日秘両国政府とも今後そのような出口に向けてMRTA側を説得していかなければならない。この度、フジモリ大統領との忌憚のない意見交換を通じ、早期の平和的解決を求める日本側の姿勢は、フジモリ大統領に十分わかっていただけたと我々は理解している。他方、MRTA側に対しては保証人委員会を通じ、早期の平和的解決の必要性を訴えていかなくてはならない。この度カストロ議長が述べたペルー政府との信頼関係醸成の必要性について、MRTA側は正しく理解すべきであり、ペルー政府との話し合いによって第3国へ出国するよう真剣に話し合いに望んでいくことを期待する。
在ペルー大使公邸占拠事件
○冒頭発言
(報道官)ペルー人質事件に関連して二点発言する。
第一に、現地時間3月18日、高村総理特使はフジモリ大統領との会談を始め関係者と精力的に会談を行った。高村特使より「トロントでの合意に基づいてこの問題の早期且つ平和的な解決について一層の努力を要請したい」との趣旨の総理親書をフジモリ大統領に直接手渡した。その上で、高村特使とフジモリ大統領は、重要な局面を迎えた現段階において、この人質事件を如何にして早期に平和的に解決を図るかについて忌憚のない意見交換を行い、今後とも両国政府はその目的達成のため協力し合っていくことを確認した。フジモリ大統領は、高村特使のキューバ及びドミニカ共和国訪問を歓迎、支持する旨述べた。政府としては、高村特使のこのたびの三国訪問によって、MRTA側も第三国への平和的出国による早期解決に向けて現実的な対応を示していくことを期待するものである。
第二に、本日午後3時5分から40分まで、当省5階レセプションルームにおいて、第8回本邦企業関係者説明会が行われた。冒頭、堀村中南米局審議官より最近の現地における動きを説明した。特に予備的対話の最近の状況、また高村政務次官の三国訪問についての説明をした。続いて、斎藤領事移住部長から公邸内の状況について説明を行った。その後質疑応答が行われたが、出席者の方々の関心は今後の対話の見通しということであった。
○質疑応答
(問)今後の見通しについては外務省側から如何なる説明があったのか。
(報道官)特に質問が「以前シプリアーニ大司教が「イースター前にでも解決を図りたい」という発言をしていたが、その点について如何に思うか」ということであり、それに対して堀村審議官より「このような努力目標を設定することは合理的なアプローチと思うが、第9回予備的対話と第10回予備的対話との間で1週間が過ぎてしまったというようなことから見て事態は厳しく、焦りは禁物と思う」といった趣旨の説明があった。
(問)出席者は何人位であったか。
(報道官)約20名であった。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)事件発生後3カ月が経過した現地時間3月17日、ペルーでは保証人委員会とフジモリ大統領との会談、保証人委員会とMRTA側との第2回個別対話等と活発な動きが見られた。高村総理特使は現地時間3月18日、フジモリ大統領と会談の予定である。日本政府としては、こうした一連の関係者の努力を通じて、この人質事件の早期解決に向けて事態が進展を見せることを強く希望するものである。
「早期解決を強く希望する」という点について、若干敷衍して説明したい。第9回予備的対話で、ペルー政府及びMRTA側がそれぞれ示した具体案の中では、双方の立場が大きく乖離していることは事実である。こうした状況下、保証人委員会が合意形成のため、精力的な努力を重ねており、ペルー政府及びMRTA側双方が保証人委員会の努力を支持していくことが事態の進展につながる。人質の拘束期間がはや3カ月を過ぎ、事態にいっこうの進展が見られない中で、仮に何らかの不測の事件が生じることがある場合、そこからペル政府、MRTA側双方が得るものは何もない。現段階においてはペルー政府及びMRTA側が早期に話し合いをまとめようとする気持ちになることが重要である。日本政府としては、高村特使のペルー、キューバ及びドミニカ共和国訪問がその一つの契機となることを期待する。
(問)ペルー政府とMRTAの双方が早期に話し合いをまとめる気持ちになることが重要と言うが、話し合いが進展しない理由はMRTAとペルー政府の双方にあると日本政府は見ているのか。
(報道官)どちらに責任があるというより、この問題の難しさは、具体的に、いつまでに結論を出さなければならないという形で話し合いが進められているわけではないということである。シプリアーニ大司教がイースター前にでも解決することを望む旨発言をしたが、その後第9回予備的対話から第10回予備的対話が開かれるまでの間、1週間が無駄に過ぎたことにより、なかなか事態は進んでいないということは事実である。
いずれにせよ、話し合いなので、双方が早く話し合いをまとめようという気持ちにならないと、なかなか事態は進まない。高村総理特使としては、フジモリ大統領ほか関係者の方々に会って、今保証人委員会が真剣に精力的に行っている仲介の努力をなんとかして短期間の間でまとめ上げるよう訴えていくと我々は考えている。
(問)これまでペルー政府側にも早期にまとめようという気持ちが薄かったのではないかと判断せざるを得ない面もあるか。
(報道官)そういうことではない。
第9回予備的対話において、双方から具体的な提案が出されたが、双方の立場は大きく異なっていたのであり、そこから合意を形成していかなければならないが、やはりこれを進めるには機運が重要であり、今まさに保証人委員会がそのために非常に大きな努力を払っている。
従って、こうした契機をなんとかして実質的な進展に向けていく必要があるということで、日本政府としては双方に対し出来るだけ早くまとめていくことの必要性を訴えていきたいということである。他方、話し合いに出されている問題自体が非常に難しい問題であり、我々の期待通りに実際に話し合いが進むかどうかは別である。しかしながら、今ある機運というものを是非とも盛り上げてもらいたいということを高村特使はフジモリ大統領及び関係者に伝えるものと考えている。
(報道官)現地時間3月17日、アナン国連事務総長が発表した10項目の国連改革具体案についての日本政府の評価につき説明する。
我が国は従来より、国連の機能を強化する「変革」が必要であると主張してきた。国連改革の全体は、加盟国が推進すべき問題だが、今回のアナン事務総長の改革案は国連事務局の問題を中心に国連改革を具体化するものであり、我が国としても事務総長のかかるイニシアティブを高く評価する。
具体的な点につき、3点申し上げる。
第1に、非プログラム関連経費を節約し、開発活動に再投資するということについては、昨年のリヨン・サミットにおいて、我が国の提唱により取り入れられた、合理化により得られる節約資金を開発事業へ再投資するとの考えに沿うものであり、我が国としてはこれを歓迎する。
第2に、経済社会分野の事務局三部局の統合については、これもリヨン・サミットにおいて提案されたものを具体化するものであり、我が国として評価出来るものである。
第3に、通常予算の削減については、実質1.23億ドル減の予算をアナン国連事務総長は提案している。国連の機能強化を目的とした合理化を通じて、実質ベースの予算削減が達成される見通しであることは歓迎される。
アナン国連事務総長のこうしたイニシアティブが、国連改革へ向けた動きの一層の活発化の契機となることを我が国として期待する。
(報道官)昨日(17日)の次官会見で質問のあった対ベラルーシ政策につき説明する。
ベラルーシでは、ルカシェンコ大統領は、1994年の大統領選出以降、ロシアとの統合を目指す親ロシア政策を進めるとともに、国内では反対派の活動を制限したり、プレスの自由な活動を制圧するといった強権的な政権の運営を行い、内外の批判を惹起しているところである。昨年11月には、国民投票の実施により憲法を改正して、大統領権限を大幅に強化したことが民主化への逆行であるとして、特に欧米をはじめとする国際社会の強い批判を浴びたところである。
この様な状況の中で我が国としては、人権状況を含む同国の民主化を巡る情勢や、これに対する国際社会の評価を慎重に見極めつつ、その中で今後の両国関係の進め方につき慎重に検討していきたいと考えている。
なお、我が国は(ベラルーシに)大使館を開設しており、またベラルーシは東京に大使館を開設している。我が国は同国に対し、これまで人道支援、技術的支援(特にベラルーシはチェルノブイリ発電所事故の被害を一番被った国であり、チェルノブイリ関連の支援を含むものである)、また非核化支援を実施している。両国の関係は、全体として実務的な交流にとどまっているが、我が国として当面、この交流を拡大することは考えていない。
(問)在沖縄米軍用地強制使用問題に関し、政府は特別措置法の改正を考えているようだが、与党の社会民主党の中には在日米軍兵力削減の話し合いの推移を見てから決めた方がいいのではとの強い意見が出ている。外務省としてはどう考えるか。
(報道官)外務省としては、内閣と一体になってこの問題に取り組んでいる。沖縄収用委員会における審理についても日程的に大変厳しいものがあるということは十分承知している。他方、外務省は日米安保条約の円滑な運用ということを非常に重視している。
我々が今努力すべきことは、5月14日の使用期限までに使用権原が得られるよう、現在進められている公開審理をはじめ、裁決書送達の各手続きが円滑かつ迅速に行われることを期待し、そこに向けての関係者の協力が得られるよう最大限の努力をすることである。
いずれにせよ、日米安全保障体制の円滑な運営については、日米の首脳レベルの会談で討議されると思う。政府としては、各方面の理解を得て、実質的な運用上の問題が生じないよう、最大限の努力をして参りたい。
(問)北朝鮮の黄書記亡命に関し、関係国から何か情報を得ているか。
(報道官)従来、関係国と緊密な情報、意見交換を行ってきており、そうした過程において情報は得ている。
(問)既に(中国を)出国したのか。
(報道官)韓中両国が17時の時点で発表する予定と聞いている。その通り発表したかどうかは、確認は出来ていない。
(問)「出国した」と発表する予定ということか。
(報道官)然り。
(問)この亡命事件の朝鮮半島情勢全体に与える影響、北朝鮮の日本や韓国に対する接し方への影響をどう考えるか。
(報道官)昨日(17日)事務次官が記者会見で述べたように、この問題がアジア・太平洋情勢に否定的な影響を与えてはならないと関係各国が思っている。
ただ現実に出国が確認され、それが(北朝鮮に)どのような受け取られ方をするかについては、もう少し見ていく必要がある。
日本を含め関係各国は、これにより、この地域の平和と安定に悪影響を受けることは是非とも避けたいと考えている。
(問)出国の場合、悪影響が及ぼされる可能性は低くなると見ているか。
(報道官)それについては、出国についての韓中両国の発表振りがどういうものかを見なければならない。日本政府としてのコメントということであれば、もう少し時間を頂ければ有り難い。
ただ、これまで関係国は非常に注意しつつ、この問題の処理に当たってきたと我々は理解している。
(問)北朝鮮による拉致疑惑事件に関し、昨日、総理は自民党の会合で外務大臣に対し指示をすると言っていたが、何か話はあったか。
(報道官)具体的にどのような話があったか等につき承知していない。もし何かあれば別途説明したい。
(問)パプア・ニューギニアで首相と軍部が対立しているようだが、新しい情報は入っているか。
(報道官)報道にあるように、軍は動いていないとのことである。今それ以上説明できる材料は持っていない。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間3月15日シプリアーニ大司教は3月17日保証人委員会とMRTA側との個別協議が行われる旨発表した。これ以外に現地では特に御報告すべき動きはない。この機会を利用して最近の状況につき簡単に評価をしておきたい。
ペルー政府とMRTA側の立場の大きな隔たりを狭めていく為、第10回予備的対話において保証人委員会は双方と夫々個別対話を行うことを決めこれまで第1ラウンドを終えたが、皆さんに御報告できるような進展は見られていない。
他方、保証人委員会はペルー政府及びMRTA側から夫々具体的提案が示された新局面を捉え、徒に時間を浪費することなく合意形成に向けて事態が進展するよう精力的な活動を行っている。この人質事件が発生して以来、間もなく3ヶ月間が経ようとしており、日本政府としても保証人委員会のこのような努力を高く評価し、寺田顧問を通じ対話のプロセスの加速化の為に出来る限りの助言と協力を行っている。
高村政務次官はこのような重要な局面を踏まえ、ペルー、ドミニカ共和国、キューバの3国を総理特使として訪問する。ペルーに於いては、現在精力的に進められている保証人委員会の仲介努力のプロセスを如何にして促進し、事態の具体的進展を図ることが出来るかについて高村特使はフジモリ大統領と忌憚のない意見交換を行うこととなろう。
高村特使はドミニカ共和国及びキューバに於いて事件の平和的解決への努力について夫々首脳と話し合うことになろう。なお先日記者会見に於いて高村特使のこれら2国訪問はMRTA側の態度を硬化させることにならないかとの趣旨の質問があった。予備的対話においては第3国への出国問題についても当然議論されているわけであり、出国問題についての日本とペルー両国政府の努力やドミニカ共和国及びキューバの対応振りについてMRTA側に関心を抱かせることはむしろ予備的対話の促進に貢献するものと考える。従って、御質問のような危惧を持つには及ばないと考えている。
いずれにせよ政府としてはこの事件の平和的解決に向けて事態が早期に具体的進展を示していくようペルー政府と保証人委員会に対し出来る限りの助言と協力を行っていく所存である。
なお、来る3月19日水曜日本省5階レセプションホールに於いて第8回企業説明会が開催される予定である。
(問)高村政務次官はドミニカ共和国、キューバの最高首脳と会うことになったのか。
(報道官)ドミニカ共和国については、フェルナンデス大統領との会談が決まっている。キューバについては、引き続き首脳との会談を調整中である。
(報道官)日本時間本(16)日の午後4時在キンシャサ日本大使館の岡本臨時大使より連絡があったところによると、ザイール第3の都市キサンガニが陥落したとの信頼しうる報道(フランス国際放送の報道)がキンシャサで流れているということである。キサンガニと首都キンシャサの間には陸路もないことからこれがキンシャサの政権崩壊に直ちに結びつくとは考え難いものの、日本政府としては事態の進展を懸念をもって見守っている。なお、現在ゴマにいるサハヌーン特使の調停の試みは、反ザイール勢力指導者カビラ氏の拒否にあっているようである。ザイールの在留邦人は大使館員を含め51名であるが、全員の無事が確認されている。岡本臨時代理大使の話によれば、現在キンシャサは16日の朝であるが、市内は平穏であるとのことである。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)
(報道官)我々は高村政務次官のペルーその他二ヶ国の今度の訪問を非常に重要と考えている。この質問が対話の促進にどの様な貢献となるかという質問であるが、先ず、第10回予備的対話以降、保証人委員会の仲介努力の下、合意形成のための話し合いが行われているが、その行方は必ずしも楽観できない。他方、この重要な局面に於いて保証人委員会は出来るだけ時間をかけずに合意形成のプロセスを進めようと大変な努力をしており、日本政府としてもこのような努力を高く評価している。高村特使は保証人委員会のこのような努力を踏まえ、いかにして早急に事件の解決を図り得るかについて、フジモリ大統領と忌憚のない意見交換をすることになると思う。このこと自体、対話の促進に貢献するものと我々は考えている。また、フジモリ大統領のイニシアチブを踏まえ、ドミニカ共和国及びキューバ両国首脳とこの事件の平和的解決への協力について話し合うことも、今後の予備的対話の促進に貢献する事と考えている。
(問)通信社電によると、フジモリ大統領がボリヴィアに向かうとあったが、発表できることはあるか。
(報道官)先ほど、現地対策本部を通じて照会したところ、ペルー外務省この件についてまだ確認をしていないとのことだった。
(問)ボリヴィアに行く事は正式に決まっていないとして、一般論としてボリヴィアに訪問する事はどの様な意味があるか。
(報道官)ペルー政府にとってはボリヴィアは重要な隣国である。その国の大使が未だに日本大使公邸に人質となって拘束されている。また、ボリヴィアにおいてはMRTAメンバーが囚監されている。従って、ペルー政府とボリヴィア政府の連帯感の維持ということは重要なことであり、数週間前だと記憶しているが、フジモリ大統領はボリヴィアを訪問している。その後、予備的対話が始まり、またフジモリ大統領がドミニカ共和国及びキューバを訪問したという事態もあるから、一般論としてフジモリ大統領がボリヴィア大統領と緊密に話をしたいということは理解しうるところである。
(問)個別協議で進展はあるのか。シプリアーニ大司教の個別協議後のコメントについての日本政府の見方如何。
(報道官)【個別対話については】ワンラウンドが終わったばかりである。言ってみれば合意形成に向けてのプロセスが始まったばかりであって、性急に進展を期待することは難しいと考える。他方、保証人委員会が出来るだけ早い合意形成のため真剣な努力をしており、日本政府としてはこれを高く評価するものである。対話の具体的な進展ぶりというものについてまだ報告出来るようなものはないと理解しているが、日本政府としては寺田顧問を通じ、また今度高村政務次官がペルーに行かれるわけであり、そういったことを通じてこの合意形成のプロセスが少しでも早く進むよう、出来る限りの役割を果たして行きたい。言ってみれば、我々とすれば事態進展を期待したいが、現実にどれほどの進展があるかというとまだまだなので、ペルー政府、保証人委員会双方と協力しあい、助言しうることは助言してこのプロセスを早めて行きたいということだ。
(問)現時点で高村政務次官が会われる首脳のとの会談等は決まったのか。
(報道官)今各国の最高首脳と会談が出来るようにアレンジ中である。まとまったところで皆様方に発表する。高村政務次官は総理特使として総理のメッセージを携えて行かれるわけであり、最高首脳と直接に会ってお話いただくということが最も効果的である。
アルバニア情勢について
(報道官)アルバニア情勢につき外務大臣談話が以下の通り発表された。
(報道官)我が国政府が把握している邦人の数は、ティラナに在住している13名である。これら邦人の安全は確認されている。残念ながら我が国はティラナに実館を持っていない。アルバニアを兼轄している我が方在オーストリア大使館から現地の我が国友好国の公館に連絡を取ったり、また、それら友好国の本国政府に連絡を取ったりして、国外への退避についての協力を要請している。具体的にいつ、いかなる段階でこれらの邦人が国外に退避できるかどうかについて、まだ説明できるだけの状況になっていない。
(報道官)本日(14日)、池田外務大臣からレヴィ・イスラエル副首相兼外務大臣に対し、弔意の意を表明するメッセージを発出した。
我が国としては、この事件の犠牲者に弔意を表するとともに、イスラエル政府及び同国国民に対し、お見舞いを申し上げる。かかる暴挙は強く弾劾されるべきであり、また、同時に今回の事件が地域の情勢に影響を及ぼすことがないよう強く希望する。この点で関係当事者が冷静な対応をとっていることを我が国は評価する。
(報道官)現地時間3月13日、保証人委員会とMRTA側との個別対話が行われた。これは第10回予備的対話に於いて合意されたプロセスが開始されたということだ。対話の内容については申し上げられないが、寺田顧問よりの報告によれば、保証人委員会とMRTA側との間で真剣なやりとりが行われたとのことである。政府としては、こうしたプロセスが事態の進展につながっていくことを期待する。
また、先ほど官房長官よりも発表されたように、高村政務次官は3月17日から23日までの間、総理特使として、ペルー、キューバ、ドミニカ共和国の3カ国を訪問する予定である。
(問)高村政務次官をこのタイミングで南米に派遣する理由如何。
(報道官)官房長官から既に説明があったかも知れないが、ペルー政府及びMRTA側が合意形成に向けて話し合いを始めたという重要な局面を迎え、高村特使は如何にして早期に事件の平和的解決を図り得るかといった観点から、ペルーはじめ関係国と緊密に話し合うこととした。先般、フジモリ大統領はドミニカ共和国及びキューバを訪問し、事件解決に向け自らイニシアチブをとられた経緯がある。我が国としても、キューバ及びドミニカ共和国と事件の平和的解決への協力を話し合うことが適切であると判断したものである。
(問)これまでの日本政府の立場としては、ペルー政府を信頼し、その取り組みを支援するという立場だったと理解しているが、今回は日本政府が自ら動いたという形に見受けられるが、そのように受け止めてよいのか。また、キューバとドミニカ共和国を訪問するとはどういう意味合いを有しているのか。
(報道官)先程も説明したように、フジモリ大統領は既にドミニカ共和国及びキューバを訪問して、この事件の解決に向けてイニシアチブをとった。我が国はこれまでペルー政府とこの事件の早期平和的解決ということで、緊密な連絡を取りながら協力関係を結んできている。そういったことから、我が国としてもフジモリ大統領の訪れたキューバ及びドミニカ共和国と事件の平和的解決への協力を話し合うことが適切であると判断した。
なお、ペルー訪問については、先程説明したように、いよいよペルー政府及びMRTA側が合意形成に向けて話し合いを始めたという重要な局面に入り、我々としては、従来から求めている早期解決ということについて、フジモリ大統領はじめペルー政府の方々と現実に会って高村政務次官が会談することが適切であると判断したということだ。
(問)MRTA側の出国先として、キューバ若しくはドミニカ共和国に絞られたということか。
(報道官)ペルー政府とMRTA側の対話に関しては、事態はまだ質問のような形で進展を見せてはいない。しかし、フジモリ大統領自身、キューバ訪問の際の記者会見で述べているように、当事者の間の最終的合意が得られるということになった場合に、キューバとしては色々と協力して頂ける可能性があるということだ。(ペルー政府とMRTA側との間には)まだまだいろいろと話すべき難しい問題があるが、我が方としてもやはり日本大使公邸で起こった事件であり、高村政務次官が総理の特使としてドミニカ共和国及びキューバ政府の首脳と直接会って、この問題解決への協力について話し合うことが今の段階で適切と判断したということだ。
(問)ペルーからの要請を受けてドミニカ、キューバへ行くのか。それとも日本政府の独自の判断で行くことになったのか。
(報道官)フジモリ大統領はあのような行動をとり、一つの大きな政治的意思を表明したわけであるが、我々としても、ペルーとの協力関係を考えていく場合、このようなフジモリ大統領のイニシアチブを高く評価するものである。我が国は我が国として出来る限りの協力をしていくということで、重要な局面を迎えたこの時期を選んで両国を訪問することとした。もちろん、この両国訪問についてはペルー側にも十分話をしている。
(問)フジモリ大統領又はペルー政府側から事前に日本政府に対してキューバ及びドミニカ政府への協力要請の話があったということか。
(報道官)これ(本人質事件)は両方で協力し合って解決していくということだ。こうした問題の性格だから、平和的解決という大きな基本方針については、ペルーも日本も同じ考えであり、その中でフジモリ大統領がとったイニシアチブを我々は支持し、我々としてもそれをバックアップし、また、直接こうした国の首脳と協力の問題について話をしていくことが適切と考えたということだ。
(問)ペルー訪問時のフジモリ大統領との意見交換の際に、改めて我が国として伝えたいメッセージはあるのか。またあるとしたらその内容は如何。
(報道官)先程申し上げたことの繰り返しで恐縮だが、この事件が発生して随分長い期間が経ち、予備的対話が始まり、やっと最近ペルー政府とMRTA側との間で具体的な提案が出され、合意形成に向けての努力が始まったという、正に重要な局面に入ったところである。もちろん、我々は電信等により現地対策本部を通じてペルー政府と緊密な情報交換、協力関係を結んでいるが、節目節目に責任者が行って直接話し合うことは重要なことである。日本とペルーの間ではこの事件の早期平和解決という基本方針は一致しているが、その中でやはり新しい重要な局面を迎え、顔と顔を合わせて話し合い、意見交換し合うことはハイテクの時代であっても極めて重要だ。
(問)いわゆるトンネル事件での、事態への対処の方針は出たのではないかと推測されているが、その点についても考慮に入れて話し合われるのか。
(報道官)あの問題については、1週間という時間は経ってしまったが、MRTA側も対話に出るという決定をし、またペルー政府側も対話を行うということで、真剣なやりとりが行われている。従って、今一番重要なのは、いかにして、出来るだけ短い期間で平和的な解決を図っていくかということである。そういうところで日本とペルーの責任者が話し合うということは極めて重要である。他方、こうした話し合いが行われるからといって、直ちに事態が具体的な進展をもたらすかどうかは、また別のことである。いずれにせよ扱っている問題が非常に難しいものであるから、ペルー政府とMRTA側の話し合いそのものは、まだまだ紆余曲折があると予想される。従って、軽々に楽観論なり期待を口にすることは出来ないが、こうした重要な局面で双方が実際に顔を合わせていろいろと意見交換することは、今後の対話の円滑な継続の上にも有益であると考える。
(問)今回のキューバ、ドミニカ行きはペルー(フジモリ大統領)側が協力を要請したと思われるが、MRTA側を第三国へ出国させるというペルー政府寄りの立場でキューバ、ドミニカを訪れる高村政務次官と、ペルー政府とMRTA側との間に立つ保証人委員会のオブザーバーを務めている寺田大使の果たしている役割の整合性について如何。
(報道官)寺田顧問は保証人の人たちと一緒になって、この事態の進展に向けていろいろと協力、助言を行っている。先程も申し上げたように、まだ第三国へ出るというような形で事態が進展しているというわけではない。しかし、フジモリ大統領がこれら両国を訪れ、先程申し上げたような政治的な意思を表明したことを、日本政府は支持している。高村政務次官がペルー及びキューバ、ドミニカ共和国の3国を訪れるということと、寺田顧問の努力が何か相矛盾するとかいうことは一切ない。事態はまだそういった(第三国への出国といった)ところには進んでいないが、ともかくそういった問題も含めて、ペルー政府とMRTA側の話し合いが実際に真剣に行われるようになった局面を迎え、高村政務次官はこの3国を訪問するわけである。これは、寺田顧問の今後の仕事の上でも大きくプラスになるものと我々は考えている。
(問)昨日の沖縄に関する決議の件だが、「承認して」という表現は「認める」ということか。
(報道官)指摘のとおり「認める」ということである。
(問)十分に認識しているということか?
(報道官)然り。認識するということである。特に重要性を認識しているということで、沖縄県民に対する配慮を示したものである。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間3月12日に第10回予備的対話が行われた。第9回対話でペルー政府及びMRTA側が示したそれぞれの具体的提案には双方の立場が乖離している点がいくつかあり、当面保証人委員会及びオブザーバーがペルー政府、MRTA側双方と個別会合を開きつつ、合意形成に向けて仲介努力を行うこととなった。人質の方々の拘束期間が長引いていることもあり、日本政府としては寺田顧問を通じペルー政府及びMRTA側に対し早急に合意形成に向けて真剣な努力をするよう働きかけていく所存である。
また、現地時間3月12日、国連人権委員会本会議において議長声明が発出され、我が国及びペルー政府の立場に国際的な支持が表明されたことを日本政府は歓迎する。
(問)シプリアーニ大司教が「イースターの頃を目指して」と述べてから1週間がたったのにも拘わらず、その1週間で1回の予備的対話しか行われていないが、この状況をどう考えるか。
(報道官)御指摘のように現地時間3月7日に保証人委員会は、ペルー政府及びMRTA側に対し早急に合意形成のための真剣な努力をするよう強く訴え、また同日に「シ」大司教はイースターまでに問題の平和的解決がもたらされることを希望する趣旨の発言を行った。第9回対話以降、第10回対話が行われるまで対話の行方が不明確な1週間が経過し、その間の人質の方々のご心労はいかばかりであったかと同情を禁じ得ない。もちろん、我々としてもイースター前に合意形成が行われれば望ましいと考えている。人質の拘束期間が長引いていることもあり、日本政府としては、ペルー政府及びMRTA側双方が今後時間をかけることなく、合意形成に向けて真剣な努力をするよう寺田顧問を通じ働きかけていきたいと考えている。
(問)保証人委員会がペルー政府及びMRTA側と個別会談で調整するというやり方は、対話の一時的中断という事態がなくとも個別会談で調整するという流れであったのか。それとも一時的中断という事態により、話し合いのやり方に変化があったのか。
(報道官)1週間という時間が経過したことの影響かどうかは、現在正確に回答することは出来ない。第9回予備的対話においてペルー政府及びMRTA側から具体的提案が示されたが、双方の立場に大きな隔たりがある。今回、双方の間で話し合いはしたが、いくつかの点について合意が出来ていない。両者の立場に大きな乖離があり、保証人委員会としては、このまま対話を続けても合意形成には至らないということで、自ら仲介の役割を演じ、個別に会談し妥協点を探っていくという方式をとることになったものと思う。もちろん、最終的にはペルー政府とMRTA側で合意が出来なければならないが、現時点において両者の立場が大きく離れている以上、我々としても保証人委員会の役割に期待し、寺田顧問を通じ早期合意に向けて日本として出来る限りの協力をしていきたい。
(問)いくつかの重要な点について合意が出来ていない、ということだが。
(報道官)今まで何回かにわたり「シ」大司教がステートメントで述べていると思うが、ポイントはいくつかの重要な実質的な点について合意が得られていないといことであり、その状態が続いている。その最も難しいところに取り組んでいる保証人委員会としては、このハードルを何とかして越えたいということで真剣な努力をしている。ペルー政府とMRTA側の間に合意が出来ていて、合意が出来ていない部分がいくつか残っており、その部分を調整している(のが現状)と解釈するよりも、今までずっとあったいくつかの(重要な困難な)問題にいよいよ取り組むことになったと考えた方が実態に合っていると考える。
(問)合意が為されていない点について具体的に寺田顧問から報告はあったのか。
(報道官)具体的な報告は来ているが、その内容について自分(報道官)から説明することは差し控えたい。
(報道官)本日午前に公表したイラク特使の来日について追加説明を行う。
1994年7月にアル・ザハウィ特使が訪日した経緯があり、イラク政府特使による同一目的による訪日は今回が初めてではない。わが国は従来より、湾岸の平和と安全の回復にはイラクによる関連安保理の諸決議の完全履行が不可欠との立場を堅持している。今回のイラク特使の受け入れは、この機会にイラク政府の考え方を直接聴取すると共に、改めてわが国の立場を明確に伝えることは有益と判断したものであり、我が国の基本的立場の変更を意味するものではない。イラク特使の来日に際し、3月19日に登中近東アフリカ局長が会談を行う予定である。
(報道官)今般、総務庁より一般旅券発給の居所申請手続きの改善について斡旋が行われた。この点についての外務省の見解を説明する。
居所地における一般旅券の発給申請は、旅券法において認められている。これまでも一時帰国者については全都道府県において、また学生については32の県においてそれぞれ居所申請が認められている。他方、単身赴任者等の扱いについては県により違いがあることもあり、当省では従来から居所申請に関わる統一的発給基準を作成すべく研究してきたところである。今般、総務庁より斡旋をうけたこともあり、統一基準の制定等所要の措置を可能な限り早急に講じる考えである。
なお、この斡旋文書の中には、単身赴任、長期出張者からの居所申請について、その者の身元確認が出来る場合でも一律にこれを受け付けないこととする指導を当省が行っている旨の記述があるが、このような指導は行っていない。
(報道官)現地時間3月11日米国下院本会議において「沖縄に関する決議」が採択された。本件決議において、下院として日米安保条約が米国、日本及びアジア太平洋地域諸国の安全保障に関わる利益の促進に不可欠であるとの認識が表明された。又、この決議において沖縄の方々の貢献に関する特別の承認及び謝意が表明されているが、このことは、正に米国の下院として、沖縄の基地問題に強い関心を留意している事の表れと考える。かかる認識の表明について、歓迎、評価するところである。
(問)沖縄県民の貢献に対する特別の承認の意味如何。
(報道官)下院として貢献を特別に認め、それに対して謝意が表明されたという事である。
(報道官)米国政府は兼ねてからNTT及びKDDの外資規制の撤廃、NTT調達取り決めの延長を日本側に要請しているが、これらはNTT及びKDDによる認証申請とは何ら関係のない事項である。米側が両者の関連づけを試みているとすれば我が方として理解に苦しむところである。日本政府としては、米国政府に対し更なる説明を求めた上で、関係する国際約束と整合性を検討することを含め適切に対処して行く所存である。
(問)外資規制との関連性につき、米国政府は何か明示的に言っているのか。
(報道官)この点については、関連付けを試みているのか否か必ずしも明確でないので、米国に対し更なる説明を求めて行く考えである。
(問)タイミング、或いはどのような場でということについてはどうか。(報道官)後刻連絡申し上げる。
(報道官)3月11日、アルバニア大統領と野党各党との間で騒乱の平和的解決のために合意が得られたことを日本政府として歓迎すると共に、アルバニアの全勢力に対し、この合意を尊重するよう呼びかけた経緯がある。この合意にも拘わらず、未だに流血が続いていることに対し、日本政府は憂慮している。アルバニア人は、アルバニア本国の他にも、新ユーゴーのコソボ地域に約170万人、ギリシャに約30万人、マケドニアに約40万人居住しており、アルバニアの安定は周辺地域の安定にとって大きな意味を有している。このような観点から、日本政府としては欧州諸国と共にアルバニアの全勢力に対し合意の尊重を改めて呼びかけるものである。今回の騒乱のきっかけである「ねずみ講」問題は、アルバニアにおける金融分野の未整理に起因すると見られている。わが国としては、アルバニア国内情勢の安定が回復される場合には、民主化、市場経済化に向けた同国の改革努力を支援する為、今後とも技術協力を含めて協力を行って行く考えである。
(問)(ミャンマーとの取引のある企業からの調達を禁止する)米マサチューセッツ州法についての米国よりの回答如何。
(報道官)未だ連邦政府から回答を得ていない。
(問)かなり時間が経つが・・・。
(報道官)時間はかかっているが、他方、マサチューセッツ州法の対象となり得べき日本の関連企業が現実に同州のいわゆるビルマ法の適応を受けていないことでもあり、我が方としては連邦政府の回答振りを待ちたい。
(問)イリューシン・ロシア第一副首相(今度変わるようだが)が訪日せずにスイスに行ったことについて(ロシア政府に)問い合わせをしていたと思うが、回答如何。
(報道官)未だ回答は得ていない。
(問)回答を督促する予定はないのか。
(報道官)チェルノムイルジン首相の下で、内閣が改造されようとしている時である。我々としてはロシア側の体制整備を待つ必要があると考えている。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間3月11日、パレルモ教育大臣と保証人及びオブザーバーとの会合が開かれた。保証人及びオブザーバーは、予備的対話の早期再開を求めるとともに、今後の対話の円滑な継続について「パ」教育大臣と幅広く意見交換を行った。次回対話の具体的日取りは未だ発表されていないが、人質の拘束期間が長引いていることもあり、日本政府としては、保証人委員会の努力により早期に第10回予備的対話が開催され、ペルー政府とMRTA側の双方が合意形成に向けて真剣な話し合いを開始することを強く期待する。
(問)次の対話に向けては、以前悲観的には見ていないと言われたが、この点についての見解は変わらないのか。
(報道官)現地時間3月11日現在、保証人・オブザーバーがいろいろと努力している。ペルー政府は、実際に対話がスタートしたとしてもMRTA側が合意形成に向けて現実的な対応をするよう求めている。保証人委員会としては、今後の予備的対話において、ペルー政府とMRTA側との間で、この合意形成に向けて真剣な話し合いが行われ得るよう、現在環境づくりに努力している。事態は今このようなプロセスの中にあると我々は理解している。
日本政府としては、寺田顧問を通じて保証人委員会に対し、できる限りの協力をしている。現地時間3月12日の保証人委員会の努力を政府としては見守っていきたいと考えている。
(問)橋本総理が提唱したASEANとの定期首脳会議について、マハディール首相は中国、韓国とも(首脳会議を)行ってはどうかという発言をしているが、それに対してはどういう考えか。
(報道官)まず、質問の件に答える前に、今年1月の総理のASEAN訪問の際に、総理から公式であれ非公式であれ、あらゆる可能な機会をとらえて日本・ASEAN間の首脳レベルの対話を緊密且つ頻繁に行っていくことを提案された。それを受けて、現在ASEAN側において内部で検討を行っているが、まだ結論は出ていないと承知している。日本との対話を行う際にASEANが今御指摘のような国を別途呼ぶかどうかについては、ASEANが決める問題と考えている。
(問)マハディール首相がインタビューに答えて、ミャンマーのASEAN加盟は早ければ早い方がいいという発言をしたが、我が国としてはマハディール首相の発言をどのようにに受け止めているか。
(報道官)今年1月の橋本総理大臣のASEAN訪問の際、橋本総理はミャンマーのASEAN加盟問題について触れている。総理はミャンマーが周辺諸国と良い関係を保っていくことは重要であるということを指摘するとともに、ASEAN加盟がミャンマー自身の民主化努力を遅らせる隠れ蓑になってはならないといった趣旨を述べた。いずれにせよ、この問題はASEAN側が決めるものであるから、ASEAN10と言われるプロセスが今後どのように進んでいくか、日本として注意して見ていきたい。
(問)ミャンマーの人権抑圧ということでも米国側が強い姿勢であったが、最近は、例えば、マンデラ南ア大統領も(内政問題と南アとの経済関係拡大を)切り離し、むしろ積極的に「ミ」を、国際社会に迎え入れた方が良いという趣旨の発言をしているようであるが、これは我が国と全く同じ理解か。こういった認識には我が国からも何らかの働きかけがあったのか。
(報道官)御質問のあった方々に対して、日本がいかなる影響を持っているかについては、つまびらかにしない。いずれにせよ、わが方としてはミャンマーが孤立することのないようSLORC側ともアウン・サン・スー・チー女史側とも対話を進めている。なかなか難しい状況が続いているが是非ともNLD側とSLORC側との話し合いによってミャンマー全体の民主化が図られていくことが重要であると考えている。日本政府としては、経済制裁といったやり方がそのような両者の対話を促進するものとは考えていない。
(問)ミャンマー当局者から、日本からの円借款はもう要らないような発言があったが、それが事実であるのかどうか調査したか。
(報道官)我々としては、ミャンマー政府とはいろいろな形で話し合いをしている。御質問の件がヤンゴン国際空港拡張事業であるならば、ミャンマー政府が独自に一部工事を実施しつつあることを承知している。この事業をミャンマー側が独自に実施するか否かは、ミャンマー側が判断するべき問題であると考えている。
他方、ミャンマー政府から日本政府に対して、円借款が不要であるという申し入れは行われてきていない。この事業に対する円借款供与というものが今後必要かどうかについては、ミャンマー政府の見解、考え方というものを今現在確認中である。
(問)ミャンマーと取引のある企業と州当局間との契約を制限するというマサチューセッツ州の法律に対し、我が国からの連邦政府に対する申し入れに対する回答はまだ来ていないのか。
(報道官)本件については正確には改めてチェックした上で次の機会に回答させて頂きたいが、自分(報道官)の理解では、まだ回答は来ていない。
アルバニア情勢
(報道官)アルバニア南部で発生している騒乱に関し、ベリシャ大統領と野党各党との間で対話が行われ、騒乱の平和的な解決のため、連立政府の樹立、早期の議会選挙実施等について合意が得られたことを我が国は歓迎する。
わが国としては、アルバニアの全ての勢力に対してこの合意を尊重するよう呼びかけるものである。
(報道官)国連・イラク間の石油と食糧の交換合意に関し、日本がアメリカ、イギリスと共に食糧輸出契約の承認を意図的に遅らせている旨のイラク貿易大臣発言が報道されているが、日本の立場を説明させて頂く。
イラク貿易大臣によれば、イラクは222件の申請を行ったものの、国連制裁委員会は9件しか承認していない旨述べているが、これは必ずしも実態を反映していない。
イラクの石油売却に基づく収入がイラクより国連の特別勘定へ振り込まれたことが確認されて初めて、国連事務局より制裁委員会に対し、具体的申請案件として上がってくるという仕組みが出来上がっている。この仕組みに従い、現在まで制裁委員会が受領している申請案件は222件ではなく、37件である。うち承認済みは9件、不承認案件はゼロ、現在審査中の案件が13件、制裁委員会がイラクから申請として受け取ったものの資料が十分でなく、追加情報の提供をイラクに求めている案件が15件、計37件である。この追加情報を求めている案件中には、例えば申請してきた品目の価格が市場価格に比較して大きな乖離のあるもの、荷揚げ地点が明記されていないもの等がある。
いずれにせよ、国連制裁委員会は国連決議を誠実に履行しており、日本を含め制裁委員会が意図的に食糧輸出契約の承認を遅らせているとの事実はない。
(問)イラクは222件といい、今の説明では37件とかなり数字が違うが、どうしてこんな差が出るのか。
(報道官)イラク側の説明では、石油を売却したが、まだ収入が特別勘定に入っていないものを含め222件申請があるとしている。他方、(国連のスキームでは)申請があっても、石油売却に見合う金額が国連の特別勘定に入らなければ、国連事務局は国連制裁委員会に対し具体的申請案件として上げて来ない。(こうしたことを踏まえ制裁委には)現在37件が上がってきているということだ。
イラク側が222件の案件を持っているということ自体は国連制裁委員会として否定するものではないが、石油売却による収入がまだ実際に特別勘定に入ってきていないことから、37件(の申請)のみ事務局から制裁委員会に上がってきているとのことである。
なお、イラク側に更なる情報提供を求めている点について、イラク側が国連制裁委員会の非を追及するのはいかがなものかと考える。
(報道官)現地時間3月10日に予定されていた第10回予備的対話は、パレルモ教育大臣が欠席したため延期となった。人質の拘束期間が長くなっていることもあり、日本政府は寺田顧問を通じ、ペルー政府及び保証人委員会に対し、次回対話の早期開催を強く働きかけている。
(問)寺田顧問から延期した理由等、詳しい報告や新たな情報は入っているか。
(報道官)寺田顧問より報告は来ている。パレルモ大臣は記者会見で対話再開のための条件が未だ十分に整っていないとして、第10回予備的対話には出席しない旨述べているが、我々としては、パレルモ大臣発表の個々の内容につき云々することは差し控えた方が良いのではないかと考える。
対話の再開につき日本政府はペルー政府に強く働きかけているところ、対話を通じての事件の平和的対決に向けてのペルー政府の姿勢に変更はないと理解している。
具体的にいつの時点で次回対話が開催されるかについては、現時点でまだ何も分かっていないが、外務省緊急対策本部としては、諸情報を総合した上で、次回対話の再開に悲観的になる必要はないと考えている。
(問)対話再開の働きかけとは具体的にどのようなものか。
(報道官)個々具体的なアクションについての説明は差し控えさせて頂きたい。
そもそも3月7日に第10回予備的対話が予定されていたところ、MRTA側の一方的な理由により成立しなくなり、今度は3月10日に予定されていた予備的対話がペルー側の理由により成立しなくなった。人質の拘束期間が長くなっており、我々としては、出来るだけ早く対話を開始して頂きたいとのことで、保証人委メンバーとも十分に連絡をとりつつ、その方向でペルー政府に働きかけている。
何度も説明しているように、たとえ次回対話が開催されたからといって、ペルー政府の立場とMRTA側の立場は離れており、合意形成に向けまだまだいろいろな道をたどらなければならない。従って、今まで双方に理由はあったのではあろうが、対話がなかなか始まらないことは残念であり、ともかく第10回予備的対話を早急に開いてもらい、我々としては寺田顧問を通じ、双方の合意形成に向けて出来るだけの助言と協力をしていきたい。
(問)説明を聞いていると、今回ペルー政府が対話を成立させなかった理由はなかったとも取れるが。
(報道官)理由が無かったということではなく、(パレルモ大臣が発表した個々の点につき)池田大臣が言っているように、詮索することはない(ということだ)。諸情報を総合した上のことであるが、我々の方で疑心暗鬼になったり、悲観的になったりすることはない。この段階で一喜一憂しても始まらない。この人質事件の平和的な解決(自体)が重要であり、ともかく双方にテーブルに座ってもらい、実質的な話し合いをしてもらいたいと考えている。
(問)対話再開に悲観的ではないと言ったが、寺田顧問もそのような認識をもっているのか。
(報道官)寺田顧問の報告そのものについては説明を差し控えさせて頂きたい。 寺田顧問の報告その他いろいろを総合的に見ると、現段階で我々が悲観的になる必要はない。ペルー政府の対話による事件の平和的解決に対する方針には変更はない。戦術的な面でいろいろなことはあるかも知れないが、一喜一憂することもない。最も重要なことは寺田顧問を通じペルー政府に対し、早く対話の席につくよう働きかけることである。その結果、ペルー政府がどのような反応を示すかについては、もう少し見ていかなければならない。
在ペルー大使公邸占拠事件
○冒頭発言
現地時間3月7日に発表された保証人及びオブザーバーの声明文及びその直後に行われたシプリアーニ大司教の個人的コメントによれば、保証人委員会としては、次回予備的対話以降、ペルー政府及びMRTA側に対し早急に合意形成のための真剣な努力をするよう強く訴えており、しかもシプリアーニ大司教は今月末のイースターまでに問題の平和的解決がもたらされることを希望する趣旨の発言を行っている。日本政府としては、保証人のかかる発言を十分理解すると共に、このように事態が進展するよう、寺田顧問を通じて、ペルー政府及び保証人委員会に対し最大限の助言と協力を行って参りたい。
○質疑応答
(問)今の発言に関し、日本政府としてイースターまでに解決されるだろうと見ているのか。
(報道官)我々としてそのように見ている訳ではない。保証人の方で、イースター迄に問題の平和的解決がもたらされることを希望する趣旨を発言しているという事である。対話及び対話を通じる合意はあくまでもペルー政府とMRTA側との間で行われるものであり、今のところペルー政府及びMRTA側が示した具体案を見ると双方の立場には大きな乖離がある。少なくとも保証人委員会としては対話の円滑な継続のために努力していきたいとのことであり、日本政府としてこれを十分理解し寺田顧問を通じて助言と協力を行って行きたいということだ。
(問)保証人がイースターまでにという希望を実現するためには早期に対話が再開されなければならないが、これについて見通し如何。
(報道官)対話の再開については報道で3月9日にでもMRTA側と保証人委員会との協議が行われると言われているがこれは確認されていない。昨日の会見でも説明したとおりMRTA側としては現地時間3月7日に行われたフジモリ大統領と保証人委員会との会談で示されたペルー政府の本事件に対する対応振りについて、保証人委員会から直接話を聞きたいと希望していると思う。先程の質問の関連でもう少しご説明させて頂きたいことは、保証人委員会の方で、イースターが始まる前にでも問題の平和的解決がもたらされることを希望すると強く訴えているが、そのことと対話がその訴えに沿って進展する事とは別の問題であるということだ。政府としては次の予備的対話が始まったとしても、この対話の行方を楽観視することは出来ない。あえて、イースター前にと保証人が言ったということについて、政府としては、ある程度の目処を示してペルー政府及びMRTA側に対して合意形成に向けて真剣な努力をするよう訴えていくことの重要性を十分理解出来る。今後、この大きく離れた双方の立場というものをいかにして狭めていく事が出来るか、まだまだ見通しというものは出てきていないが、一つの時期的な目処を頭の中におきつつ、こうした強い意欲を示した保証人委員会に対して、日本政府としては寺田顧問を通じ、最大限の協力をしていきたい。
在ペルー大使公邸占拠事件
○冒頭発言
現地時間3月7日、フジモリ大統領はパレルモ教育大臣同席の下、保証人及びオブザーバーと会談した。この結果、2月1日の日本・ペルー両国首脳による共同記者発表で明らかにされた本人質事件の平和的解決と人質全員の早期解放に向けての一層の努力が再確認された。同時に、次回対話の早期開催に向けて保証人及びオブザーバーがペルー政府及びMRTA側双方に対し最大限の協力を求めていくことが確認された。
このようにペルー政府と保証人委員会との間で対話の継続による事態進展への強い意志が改めて明確にされたことを踏まえ、日本政府としてはMRTA側がこの動きを正しく理解し、早急に対話の再開に応ずることを強く期待する。
○質疑応答
(問)具体的に次の対話について来週早々とか何か見通しがあるか。
(報道官)寺田顧問から報告は入ってきているが、MRTA側の反応についてはまだ承知していない。ペルー政府側と保証人委員会との考え方が一致したのでそれを踏まえて、恐らく保証人委員会としてMRTA側にペルー政府の意向を説明することになるのではないかと思う。それを踏まえ、いつとは決まっていないが、出来るだけ早く次の予備的対話が開催されることを強く望む。
(問)明日以降保証人委員会が公邸に入ってMRTA側と話すといった具体的に決まった動きはあるのか。
(報道官)具体的に決まった動きというものは承知していない。寺田顧問から受けた報告によると、7日に予定されていた第10回予備的対話にMRTAが欠席を通報してきた経緯に鑑みて、保証人及びオブザーバーはこの人質事件の平和的解決と人質全員の早期解放に対するフジモリ大統領の強い意志を再確認した、また、保証人及びオブザーバーはペルー政府とMRTA側の円滑な対話の継続のためにますます重要な役割を演じていく決意を表明したということである。保証人及びオブザーバーのプレス・ステートメントの中にも述べられているが、ペルー政府及びMRTA側の立場には大きな乖離があるとして保証人及びオブザーバーはペルー政府及びMRTA側双方に対してそれぞれ立場を近づけるよう早急に真剣な検討をするよう訴えている。即ち、保証人及びオブザーバーは、対話を通じてしか事態は進展しないと考えていること、そして今までの対話においてはペルー政府とMRTA側の立場が大きく離れていることから、今やペルー政府及びMRTA側がそれぞれ立場を近づけるように真剣な検討をすべきと考えていること、そこに早急にということで、時間的なな要素を持ってきているということに注目したいと思う。今後のスケジュールは決まっていないが、保証人及びオブザーバーは出来るだけ早く次の対話を開催し、その中で出来るだけ早く双方の立場を近づけるようペルー政府及びMRTA側に働き掛けて行くという強い意志を持っていると理解している。
(問)寺田顧問から報告を受けたという話だが、武装グループ側を通じてトンネルの存在については何か具体的な報告はあったか。
(報道官)MRTA側がペルー政府は実力行使によって公邸を奪回する計画であると非難して7日に予定されていた予備的対話に欠席することを無線で外国の報道機関に伝えたということだけでなく、実際にそういう考えであるということを確認したこと、それを踏まえ保証人及びオブザーバーがフジモリ大統領とこの欠席の問題について意見交換をし、その結果、この会談から出てきた重要な点であるが、事件の平和的解決に対する努力及びMRTA側との対話の再開に対しペルー政府及び保証人委員会双方が強い意志を表明したこと、こういった報告を寺田顧問から受けた。
(問)具体的にトンネルの存在に関する報告はないということか。
(報道官)会談の中身について説明は差し控えるが、質問の点に関して答え得ることは、フジモリ大統領と保証人委員会との話し合いにおいては7日に予定されていた第10回予備的対話にMRTA側が欠席を表明した経緯について討議が行われたということ、それからこの会談後に大統領官邸報道局が発表したプレスリリースにおいてはトンネル云々については直接にはふれられていないが、同じプレスリリースの中で事件の平和的解決に対する努力及びMRTA側との対話の再開に対する強い意志というものが表明されたということである。
(問)日本政府としてはトンネルはあったと考えるのか、それともなかったと考えるのか。
(報道官)この問題についてはコメントを差し控えたい。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)MRTA側は現地時間3月7日に予定されている次回予備的対話に出席しないとの意向を明らかにした。事件の平和的解決及び人質全員の無事解放は話し合いによってのみ実現し得るものであり、政府としてはMRTA側が前回対話で合意されたように、次回対話に出席することを強く求める。
このMRTA側に出席を強く求めるという点について、若干敷衍して説明する。過去9回にわたる予備的対話において、ペルー政府もMRTA側も事態の進展に向けて真剣な話し合いを行ってきた。また、第9回対話において双方は、本事件の平和的解決に対するそれぞれの具体的提案を提示した。こうした経緯から見ても、MRTA側が対話に出席しないことから得るものは何もないと考える。日本政府としては、MRTA側が前回対話で合意されたように、次回対話に出席することを強く求めるものである。
(問)MRTA側が出席拒否の理由にしているトンネルの掘削の事実について、報道によるとペルー政府は一部に認めるような発言もあるようだが、日本政府にそういう掘削についての説明はあったか。
(報道官)報道では現地の一部の方がそのようなことを認めたというようなこともあるようだが、ペルー政府としてのこの問題に対する見解が示されているとは、我々は理解していない。何度もこの場で説明しているように日本政府はペルー政府とは常に緊密な連絡をとっている。MRTA側が次回対話に出席しないと述べたことについても、当然のことながらペルー政府と連絡を取っている。なお、この関連で保証人及びオブザーバーとして今後とも対話の円滑な継続のために、積極的な役割を果たそうとしており、日本政府としてはこうした努力を多としている。
(問)日本政府としては、MRTAが主張しているトンネルについて、事実関係を確認ずみか、あるいは調査中か。
(報道官)この点については、事柄の性質に鑑み、コメントを差し控えたい。
(問)聞き方をかえると、なぜ今回MRTA側が出席しないと表明したのか、その理由について日本政府としてはどのように分析しているのか。
(報道官)MRTAのセルパ容疑者が無線交信を通じて外国報道機関に対して、ペルー政府が実力行使によって公邸を奪回する計画であると非難し、次回予備的対話を「中断」すると表明したということは承知している。承知しているのみならず、わが方から保証人委員会のメンバーと連絡を取った結果、MRTA側の次回会合「中断」の意向について確認をした。他方、ペルー政府のみならずMRTA側も話し合いによってこの人質事件を解決していくという意欲はずっと持ってきた。また、MRTA側が対話そのものを拒否したとは我々は理解していない。従って、ともかくMRTA側に対して再び早急にこの対話に出て、いよいよ重要な局面に入ってきている合意形成に向けて努力を続けていくことを強く求めるものである。
(問)今、MRTA側は対話そのものを拒否したとは理解しないと言われたが、それは何か根拠があってか、それとも希望として言っているのか。
(報道官)我々の理解ということである。
(問)根拠があると理解してよいか。そう受け止めているということか。
(報道官)受け止めているということであり、またMRTA側は対話そのものを拒否するというような言い方を無線を通じて外国の報道機関にしているとは、我々は理解してない。
(問)報道機関に言った内容は分かるが、その後、保証人も(MRTA側に事情を)聞いているわけだから、そういうことも通じて今言われたようなことになるか。
(報道官)総合的にそういうことを踏まえた上での我々の理解である。
(問)今回は「中断」という理解でよいのか。
(報道官)MRTA側は少なくとも3月7日に予定されている次回対話には出席しないということを述べている。本当にその通りになるかどうかについては引き続き保証人及びオブザーバーの今後の努力を見ていかなければならない。他方、3月7日の予備的対話が成立しなかったとしても、我々としてはMRTA側に出来るだけ早く予備的対話に応じてもらうことを望んでおり、その点については、保証人及びオブザーバーが今後多大な努力をしていくものと我々は承知している。従って、政府として「中断」という言葉を使わない(方が良かろう)。3月7日に予定された対話には出席しないという意思を今、MRTA側は表明しているということであり、我々としては引き続き早く対話に出てきて欲しいということを求めていくということである。
(問)以前から対話の関連でペルー政府とMRTAの相互理解、信頼がまず重要だと言われているが、MRTA側にそう言うのは分かるけれども、ペルー政府側に対しても何らかの申し入れはするのか。
(報道官)この問題についてもペルー政府といろいろ連絡をとり合っているが、現時点においては、一部報道で、一部の政府の機関がなにがしかのことを言ったとは報じられているものの、ペルー政府としてはまだ何も述べていない。そういうことを踏まえて、日本政府としてこの問題についてコメントすることは差し控えさせて頂きたいと考える。
(問)地下道を掘っていたとしたら、それは日本政府は聞いていなかったと言えないのか。
(報道官)ペルー政府として正式な立場なり説明なりがなされていないわけであり、今の段階ではコメントを差し控えさせて頂きたい。
(問)MRTA側は話し合いにより解決する意欲もっていると(報道官は)先ほどコメントしたが、ペルー政府も話し合いにより解決することに意欲を持っているのか。
(報道官)ペルー政府及びMRTA側双方とも(意欲を)持っていると我々は考えている。
(問)ペルー政府が武力突入することはないと考えているのか。
(報道官)フジモリ大統領は人質に危害が加えられない限り、実力行使といったようなことはしないということを再三にわたって述べている。我々として、そうしたフジモリ大統領の方針をこれまでも支持してきたし、今後とも支持していく。
(問)公邸周辺でいくつか土砂が排出された写真も報じられているようだが、それについて政府としてはどんな見解か。
(報道官)今のところ見解はない。
(問)それについてペルー側に事件と関係があるのかなど照会することはないか。
(報道官)それも含め現時点では政府としてのコメントは差し控えさせて頂きたい。保証人、ペルー政府の関係者の方々と緊密な連絡を取っているが、それらを踏まえて、関係者全てが事態を冷静に受け止めているということを報告させて頂きたい。そうした中で、保証人及びオブザーバーがペルー政府及びMRTA側双方に対して、対話の円滑な継続について今大きな努力を行っているところである。
(報道官)3月6日にロシア議会に提出されたロシア大統領年次教書の中で触れられた、対日関係部分についての外務省の評価を申し上げる。この対日関係部分は、東京宣言を基礎として日露関係を進展させていくという両国共通の立場を、エリツィン大統領として改めて確認するものであると受け止めている。また、大統領の年次教書としては初めて北方領土問題に言及している。わが方としては、この問題の解決に向け、領土交渉(帰属の問題)と領土問題解決のための環境整備という両分野において、同時に努力を傾ける方向で日露双方が一致して進んでいくことを期待している。なお、領土問題解決の環境整備のための措置については、領土問題に対する双方の立場を害さない形で考えていくことが必要である。昨年11月日露外相会談でプリマコフ外相の触れた共同経済活動については、その後ロシア側から詳細な提案はまだ示されていない。
(問)このロシア年次教書が対日関係に触れているのは歓迎すべきこととして、以前の会見で明らかにされたイリューシン・ロシア第一副首相の訪日延期について、説明を申し入れているということだったが、その後説明はきたのか。
(報道官)現在に至るもまだ回答は寄せられていない。我が方としては、引き続きロシア側から責任ある説明がなされることを期待している。
(報道官)中国関係当局と直接協議を行うため、政府は海上保安庁、警察庁、法務省、外務省等関係省庁の職員からなる代表団を3月17日から1週間程度の予定で北京、福州及び上海に派遣する方向で今準備中である。
(問)米下院の国際関係委員会で、沖縄に関する決議案というものが全会一致で採択されたと聞くが、それについて外務省はどういう情報を得て、どんな評価をしているか。
(報道官)ご指摘のように、沖縄に関する決議案が現地時間3月5日に国際関係委員会に属しているアジア太平洋小委員会で全会一致で可決され、また翌日の6日に国際関係委員会において再び全会一致で可決されている。この決議案は、まだ下院本会議における投票には付されてはいない。近く投票に付されることになるのではないかと考えている。
既に審議されているこの決議案を読ませて頂いた。政府は沖縄問題を最重要課題の一つとして取り組んできているところ、今審議されている決議案の中で、日米安保条約の重要性について謳うとともに、日本特に沖縄の人々がこの条約の実施の確保のために行っている貢献が認められるべきであるとの下院の認識を表明するという言葉がその中に入っている。米国議会下院において、このような認識を示す決議案が現在審議されていることを高く評価する。
(問)このように沖縄の方々の努力、協力を評価するといった文言が入った決議案が米国の上院下院を通じて出てきたのは初めてのことか。
(報道官)これは今、下院において審議されている。具体的に沖縄の人々の貢献について言及される決議案は、恐らく前にはなかったのではないかと思う。
(問)関連して聞くが、大田知事が要望している「5・15メモ」について、今日の朝刊の一部でその主要部分だということで日本文を含めて報道されている。確か総理は公表を検討すると太田知事に対し述べたと思うが、その後の政府部内の検討状況というか作業はどうなっているか。
(報道官)この「5・15メモ」については、現在、関係省庁間において公表に向けた作業を行っているところである。政府としては、この作業に引き続き真剣に取り組んで、出来るだけ早期に公表が行われるよう、米側とも協議しつつ、鋭意作業を進めている。他方、公表について米側と調整中であるということ、分量が非常に多く相当な時間を必要とするといったことなどから、日程について今申し上げるわけにはいかない。鋭意取り組んでいるということである。ご指摘の報道については、今「5・15メモ」の日本語訳については政府部内で作業をしているところであり、現時点で確定した日本語訳が存在するわけではない。
(問)公表日程については「申し上げられない」と言われたが、ある程度のメドはつかないのか。
(報道官)鋭意作業をしているというところから察して頂ければ有り難い、いずれにせよ、大変な分量なものであるし、やはり米側とも協議していくものであり、また、正確を期さなければいけないということもある。時期的なメドについては今まだ申し上げられないが、ともかく今、一生懸命努力しているところである。
(問)全部公表ということで作業しているのか。
(報道官)今の段階で自分(報道官)から確定的なことは言えないが、いずれにせよ、先般、総理大臣から大田知事にお伝えした「前向きに検討させて頂く」ということを踏まえて、真剣に今関係省庁間でも作業に取り組んでおり、米側との間でも公表に向けて調整を行っているということである。
(問)公表に向けて鋭意検討中というが、国防長官の訪日前に公表はあるのか。
(報道官)コーエン新国防長官については、我々の承知しているところでは、4月上旬に日本を含むアジア訪問が米国防総省において検討されているということだが、まだ時期は決定されているとは承知していない。しかしその問題はその問題であり、この「5・15メモ」の公表については、今時期的なメドを申し上げることは出来ないわけだが、出来るだけ早期に行えるよう、ともかく今一生懸命作業を進めているというところである。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)御案内の通り、現地時間の3月5日、第9回目の予備的対話が行われた。ペルー政府及びMRTAの双方より事件解決のための具体的な提案が示されたが、今回の対話では報告出来るような具体的な進展は見られていない。次回の対話は現地時間の3月7日に開催される旨発表された。
事態は合意形成に向けての重要な局面に入ったものの、対話の行方については予断を許さない。政府としては寺田顧問を通じ、合意形成に向けて、ペルー政府及び保証人委員会に対し出来る限りの助言と協力を行っていく所存である。
(問)双方の提案は、かみ合っているというか、打開の糸口が見えるというような感じなのか。
(報道官)今度の第9回の対話の性格は、プレス・ステートメントにも表されているが、ペルー政府及びMRTA側がこの事件に関する具体的な提案を示し、保証人がその提案内容のいくつかの点について、明確化のために質問をした、ということである。今後双方の提案が更に検討され、どこに合意点を見いだしていくかという努力が払われていくことになると思う。従って、御質問のようなところになかなかいっていないというのが現状と考える。
(問)本日の読売新聞に、泉井石油代表より接待を受けていた官僚の中に外務官僚も含まれていた旨報じられていたが、外務省としての見解、措置如何。
(報道官)本日の報道に関連して、説明したいことは、昨年の11月10日付けの本邦紙に、泉井という人が94年末に都内のホテルで開いた忘年会に、他の省庁の職員とともに当省の職員数名も出席していたと報じた。これを知ったことから、当省として調査を行った結果、これは基本的に泉井被疑者が海外に赴いた際に在外公館で世話になったお礼であるとしてパーティーへの案内状を出してきたものに対して顔を出しただけのものであり、特に職務上問題があったり、職務以外の関係でも疑惑を招くようなものではないということが確認された。その後、それ以上の調査は行っていない。なお、こうした点については去る2月18日の衆議院予算委員会において、新進党の中井議員からの質問に対して既に答弁しているという経緯がある。
イリューシン・ロシア第一副首相のスイス訪問
(報道官)既に報道されている通り、イリューシン・ロシア第一副首相は、昨4日から7日までの予定で外国訪問に出発したと承知している。日本政府としては、同第一副首相が国内事情を理由に我が国訪問を延期したその直後に第三国の訪問に向けて出発したことについては、理解に苦しむ次第であり、率直に申し上げて遺憾の念を禁じ得ない。
政府としては、今般同第一副首相がモスクワを離れることが可能となった事情の変化につきロシア政府より納得のいく説明があって然るべしと考える次第である。
なお、以上申し上げた趣旨については既に東京及びモスクワにおいてロシア側に申し入れたところである。
(問)東京・モスクワで申し入れを行っているとのことであるが、ロシア側からは現時点で何らかの事情説明はあったのか。
(報道官)ロシア側からは事情について納得のいく説明はされていない。なお、申し入れはモスクワにおいては4日、小町駐ロシア臨時代理大使よりマルィギン・ロシア外務省第二アジア局長に、また、本5日、浦部欧亜局長よりパノフ駐日ロシア大使に行っている。
(問)「イ」第一副首相は自ら池田外務大臣に電話で「訪日できない」旨言ってきたと承知しているが、それはいつであったか。
(報道官)電話をしてきたのは2月下旬、(同第一副首相が)そろそろ日本に到着する数日前であったと思う。その際は国内事情を理由に「誠に残念ながら、日本を訪問し専門家会合に参加することが出来なくなった」旨説明があった。
(問)「イ」第一副首相は既に出発しているのか。
(報道官)昨4日より7日までの予定でモスクワを既に出発したと承知している。
(問)訪問先はどこか。
(報道官)承知しているところでは、スイスに向けて出発している。(同第一副首相は)2004年夏のオリンピック開催地決定選挙に関するロシア代表団を率いること、また、(「イ」第一副首相が)貿易・経済・科学技術協力に関するロシア・スイス委員会の共同議長であることから、スイスを訪問していると報道で承知している。
(問)今回のケースのように、決定している外交日程を覆され、その後また覆るような事態は極めて異例ではないか。
(報道官)異例のことと思う。従って、我が方からもモスクワ及び東京において申し入れを行った次第である。
(問)「イ」第一副首相訪日の日程は2月28日より3月3日までであったと承知している。今回のスイス訪問は4日に出発であるので完全に重複していないのではないか。
(報道官)周知の事実としては、3月6日にエリツィン大統領が年次教書を発表するという大事な日がある。
その日とぶつかる予定で外国を訪問するということは我々としては予期していなかった。それが可能であるならば、何故その前の段階で日本を訪問し、専門家会合に参加出来なかったのであろうか。国内事情と聞いているが、その後未だに事情の変化について納得の出来る説明をして頂けていない。
(問)「イ」第一副首相が国外に出ることについて、我が国に「先般日本に訪問出来なかったが、今回(スイスへ)行くことになった」旨説明はあったか。
(報道官)無かった。そこで、昨日と本日にモスクワ及び東京において我が方よりロシア側に申し入れを行った次第である。しかしながら、先方より依然納得し得る説明を頂いていない。
(問)説明が無いということか、或いは納得出来ないということか。
(報道官)説明らしい説明が無いということである。
(問)パノフ大使は浦部局長にどのような説明をしたのか。
(報道官)具体的には(自分が)先程説明した趣旨を浦部局長より説明し、先方からは本国の事情については承知していないという、とりあえずの反応があったと承知している。
(問)浦部局長がパノフ大使を外務省に呼んだのか。
(報道官)然り。
(問)納得いく説明がない状況が続いた場合、今後日露間の様々な政治、経済の予定への影響はあるのか。
(報道官)我々としては日露関係を非常に重要視している。その点についての基本方針にいささかも変化はない。
しかしながら、こうしたことが起こり、しかも説明を頂いていないのはどういうことかということだ。国内にもいろいろ事情があるかもしれない。両国関係の発展についてはロシア側、日本側双方において今後とも努力していかなければいけない。我々としては、ロシア側に納得出来る説明をして頂けるものと期待している。
(問)現在の「エ」政権が対日政策を非常に低く見ているということの表れとは受け取っていないか。
(報道官)本件から余り大きな推察はしたくない。
昨年、日本とロシアの間では非常に多くの交流が行われ、また今後とも交流をしていくこととなった。そうした基本路線については、いささかの変わりもない。
しかしながら、本件を先方より説明がないままにしておくのは如何なものかということで、我が方より申し入れを行った次第である。
(問)外交上、いわば非礼とも言うべきことと考えるが、今後説明がない場合、抗議といった形に発展する可能性はあるのか。
(報道官)余り感情的になる必要はないかと思う。
いずれにせよ、我々としては申し入れを行った。ロシア側には適切な対応をして頂けるものと期待している。
(問)性格は違うかもしれないが、昨年秋、外務省がWTOセミナーを開催した際、李嵐清中国副首相訪日日程に合わせ二回予定を組み、結局セミナーは行われたものの、李副首相は訪日出来なかった。しかし、本人は北京で青島知事に会い日本を批判していたということがあった。今回の件と結びつけると、何となく日本に対してロシアや中国はやや軽く見ているという印象を受けるが。
(報道官)中国の場合とロシアの場合を直接比較するのも如何かと思う。今度の場合は我々としても腑に落ちないところがある。我々として軽く見られていると受け取めるよりも、国内事情により訪日出来ないとのことで、本人より池田外務大臣に直接電話があり、懇切丁寧な説明があった。それにも関わらず(今般)他国を訪問出来ることとなったことについては、それなりの事情があるとは思う。そこは責任ある方からきちんと説明をして頂きたいとのことで、現在申し入れを行っているわけである。ロシア側の対応振りを見守っていきたいと考えている。
(報道官)現地時間3月4日、寺田顧問はフジモリ大統領より先般のドミニカ共和国及びキューバ訪問について詳しく説明を伺った。同日フジモリ大統領はプレスに対し、第9回予備的対話においてペルー政府はこれまでの対話を踏まえ総合的な提案を行うと述べた旨報道されている。
日本政府としても、現地時間3月5日に行われる第9回対話、これも予備的対話の大枠の中で行われるものであるが、その行方に大きな関心を持っている。日本政府としてはフジモリ大統領が事態の進展に向けて一連の努力をしていることに対しMRTA側がこれを高く評価し、今後事態の解決に向けて現実的な対応を示していくことを強く求める。
本日午後3時より、約35分間にわたって第7回本邦企業関係者説明会が本省のレセプション・ホールで開催された。同説明会において、堀村中南米局審議官より前回以降の過去2週間の本人質事件を取り巻く状況、とりわけ予備的対話の推移、フジモリ大統領のドミニカ共和国及びキューバ訪問について説明を行った。また、齋藤領事移住部長より公邸内の状況、特に邦人人質の生活状況、医療関係について説明を行った。
(問)プレスに対しフジモリ大統領が第9回対話において総合的な提案を行う旨述べ、政府としてもこの提案に大きな関心を持っているとのことであるが、政府として第9回対話の中で総合的な提案を行うという認識であるのか。
(報道官)我々もそのような認識である。
御承知のように、第8回の予備的対話が行われた後に発表されたプレス・ステートメントを見ても、ペルー政府側及びMRTA側はそれぞれ提案を出し尽くしつつあるとのことである。いよいよこれから双方の合意形成に向けての重要な局面に入るとの認識を昨日説明した経緯がある。フジモリ大統領はドミニカ共和国及びキューバ訪問を踏まえ、パレルモ教育大臣に対し総合的な提案を託すものと我々は予想している。これにMRTA側がどのような反応を示すかを見ていきたい。
いずれにせよ重要な局面に入ったとの認識である。
(問)双方の議論が出尽くしてきた上での提案とのことだが、裏を返せばお互いに議論が煮詰まったとのことであり、なかなか先へ進むことが出来ない状況ではないかと思う。この中でどのような進展があると考えているか。
(報道官)煮詰まっていると言うと、あたかも合意形成が間近いとの感じがするが、第8回予備的対話後のプレス・ステートメントにあるように、双方が主張している立場が双方にとり明確になったとのことである。(問題は)これからどのように合意を目指していくかである。
対話の行方についてはなかなか予測し難いものがある。いずれにせよ、ペルー政府は本人質事件の解決に向けて多大な努力をしてきている。MRTA側においてはそうした努力を高く評価し、現実的な対応を今後の予備的対話において示していくことを我が国政府として強く求めるものである。
(問)出国先の可能性として、革命の輸出を唱えるキューバが選ばれたことに対し、日本としては何の懸念もないのか。
(報道官)出国先(の可能性)としては、フジモリ大統領はこれまで記者会見でドミニカ共和国もその中に入っているとの説明を行っている。
第三国への出国問題については、ペルー政府とMRTA側との間で最終的に合意を形成する必要があり、我々は(対話の推移を)見て行かなければならない。
他方、キューバについては我が国は外交関係を有しており、我が方大使も、先方大使もそれぞれ駐在している。
ただ、本問題についてはMRTA側の反応を見なければ今後どのような方向で事態が進んでいくかどうか(分からない)。依然方向性は分からない状況にある。
(問)本日の説明会では企業側より外務省に対し何らかの要望はあったのか。
(報道官)全体としては淡々としたものであったが、やはり企業側としては予備的対話の行方について大きな関心を示していた。
(問)堀村審議官より今後の見通しにつきどのような説明があったか。
(報道官)予備的対話の推移及び最近のフジモリ大統領のドミニカ共和国及びキューバ訪問を踏まえ、事態に動きが見られるようになってきたが、これがこの事件の早期解決につながるかについては、もう少し見て行かなければならない旨、また、日本としてはペルー政府及び保証人委員会に出来るだけの協力をしていく旨説明を行った。
(問)報道官は冒頭発言の中で、MRTA側にパッケージの受入れを日本政府として求めたということであるのか。
(報道官)我々は第9回予備的対話において如何なる総合的な提案をペルー政府が行うかにつき詳細を承知していない。
我々がここで「求める」としたのは、ペルー政府としてこれだけの努力をしているので、MRTA側も歩み寄りを見せ、現実的な対応振りを示して欲しいということを一般論として申し上げているものである。具体的には、第9回予備的対話を含め今後の対話を通じ如何にMRTA側に現実的な対応をしてもらうかである。この点については、日本政府として寺田顧問を通じ、ペルー政府及び保証人委員会に対し最大限の助言と協力を行っていく所存である。
(問)本日の説明会の出席者数、またキューバについての質問は出たのか。
(報道官)出席者は20人強であった。また、企業説明会の具体的なやり取りについては説明を差し控えさせて頂きたい。
(問)人質の健康状態についてはどのような説明があったか。
(報道官)特に緊急な治療を必要とする人はいないとの報告が斎藤領事移住部長より行われた。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間3月3日、フジモリ大統領はキューバを訪問し、またペルーにおいて第8回予備的対話が行われた。第8回予備的対話の中で、ペルー政府とMRTA側は提案をし尽しつつあり、今後事態は合意に向けての話し合いという重要な局面に入るものと考える。この重要な局面において、日本政府はペルー政府及び保証人委員会に対し最大限の助言と協力を行っていく所存である。
(問)寺田大使のフジモリ大統領への面会日程は決まったのか。
(報道官)まだ日程は決まっていない。フジモリ大統領はリマに帰ったばかりだ。寺田顧問には、出来るだけ早くフジモリ大統領に会って、フジモリ・カストロ会談の内容について説明を受けて貰いたいと思っている。
(問)日本政府としてキューバ政府と接触、交渉等何らかの要請をするのは、フジモリ大統領と寺田顧問との会談があった後になるのか。
(報道官)まずペルー政府とMRTA側が対話において最終的合意を達成することが先決である。われわれの理解するところでは、第8回予備的対話においては皆さんに報告し得るような進展はなかった。次の第9回予備的対話以降、こうしたフジモリ・カストロ会談の結果も踏まえて、MRTA側の反応ぶりを見ていかなければならないと思う。
(問)今日の予備的対話の中で、既にフジモリ・カストロ会談の内容に触れているのではないかと思うが、その点の報告はないか。
(報道官)われわれですら寺田顧問を通じてフジモリ大統領から直接その会談の内容について話を伺いたいと思っているくらいだ。いずれにせよ、フジモリ大統領が帰国して関係者にデブリーフィングがないと、会談内容の核心のところは分からないと考えている。
(問)今日の対話では、その部分の話はなかったと理解してよいか。
(報道官)あったとか、ないとかは申し上げられないが、いずれにせよ、第8回の予備的対話が行われた時には、フジモリ大統領はまだリマに帰っていないわけで、実際はフジモリ大統領から直接お話を伺わないことにはその(フジモリ・カストロ会談)意味合いとか詳しい内容は分からない。
(問)時間的にいって第8回予備的対話が行われた時に既にフジモリ・カストロ会談は終わっているわけで、その内容は対話の中で反映されたと思うのだが。
(報道官)実際に対話の中でこのフジモリ・カストロ会談の内容が話されたかどうかについては、対話そのものの内容にかかわってくるので説明できないが、ペルー政府側といえどもやはり直接にフジモリ大統領から話を伺わないことには本当にどのような意味合いで、どのような会話が行われたかは正しくは分からないのではないか。
(問)5日からニューヨークで始まる4者会談に向けての米韓合同説明会、7日に米韓及び米朝の2国間協議が行われ、その後米国及び韓国はわが国に対し我が国は重要なパートナーだからであり、詳しく説明するとバーンズ米報道官は発表している。これは日本から要求したものか、それとも向こうから話があったのか。
(報道官)ご案内のように、朝鮮半島問題については、日米韓3国の間で密接な協議を行っている。長い間の懸案であった4者会合の説明会が5日に開かれ、7日に米朝協議が行われる。われわれとしても日米韓の協議という機会があれば望ましく調整中ということである。バーンズ報道官は本件につき発表しているが、今の時点において最終的に決まったというところまでは聞いていない。そのような方向で今鋭意調整中というところである。
(問)では、これはわが方から申し入れたものか。
(報道官)3者の協議はずっと行われており、どちらがイニシアチブをとったというよりも、伝統的にやっているということである。
(問)では3者協議において何らかのオブリゲーションが発生するということではないとの理解でよいか。
(報道官)わが国は4者会合そのものについてはこれを支持している。その共同説明会において、北朝鮮側がどのような対応ぶりを示すかは、わが国としても非常に大きな関心を持っている。わが方として詳細にその(共同説明会)内容を知っていきたいという気持ちがあることは事実である。
(問)ではこのブリーフィングのあと、記者会見の場で話してもらえるか。
(報道官)3者協議が開かれることになると、その場でしかるべくブリーフィングが行われることになるかと思うが、いずれにせよ、ご要望の次第は担当の部局に伝えておく。
(問)日本赤軍のレバノンでの現状如何。
(報道官)既にご案内のように、平林外政審議室長が現地時間の3月3日に一連の会談をした後、24時間中に何らかの発表が行われるであろうということをプレスの方々に説明した経緯がある。そういうことを受けて、もう少しのところで何らかのことをお話できるようになると考えている。
(問)平林室長のシリア行きの日程は決まっているか。
(報道官)シリア行きについては、先般も申し上げたとおり、まだ具体的に誰と会談するかは決まっておらず、現在も調整中だが、3月の5日及び6日にシリアの方々と会談する予定にしている。
ギングリッジ米下院議長の訪日
(報道官)昨日の会見で質問のあった米国のギングリッジ下院議長訪日について説明する。同議長は3月末から4月始め頃日本を含む東アジア訪問を計画しており、日本を含む関係諸国と日程を調整中と承知している。
(報道官)本邦企業関係者に対する第7回説明会を3月5日(水)15時から外務省5階レセプション・ホールで開く予定である。
(問)寺田顧問のリマへの帰任日程如何。
(報道官)寺田大使は現地時間3日に行われる第8回予備的対話に間に合うよう現地時間2日夜にリマに戻る予定になっている。
なお、メキシコ大統領の国賓としての来日の関連で、寺田大使が日本へ帰任できないので同大使に代わり久米儀典長等が接遇対応することになった旨の報道が流れているが、寺田大使は現在保証人委員会のオブザーバーとして、大使公邸占拠事件の対応に専念している状況にあり、セディージョ大統領訪日の際に帰国するか否かは現時点では未定である。念のため説明するが、国賓の来日の際には、儀典長が首席接伴員に発令され、また任国の大使が一時帰国して接遇に加わることが通例となっている。従って、任国大使が国賓接遇のため一時帰国できないので代わって儀典長以下が接遇に当たるといった関係にはない。
(問)フジモリ大統領がドミニカ共和国を訪問する由だが日程如何。また右訪問においてドミニカ共和国側とMRTAの出国問題について話し合うとの報道があるが事実関係如何。
(報道官)我々が承知しているのは、フジモリ大統領が現地時間2日の朝リマを出発し、同日午後からドミニカ共和国を訪問し、フェルナンデス大統領と首脳会談を行う予定であるということである。今度のフジモリ大統領のドミニカ共和国訪問の目的など詳細については承知していない。
(問)出国問題などについて話し合う可能性如何。
(報道官)おそらくドミニカ共和国とペルー共和国との間の二国間の話しあいが主であると思う。ペルーにおける大使公邸占拠事件が話し合いの対象になるかどうかについては我々は承知していない。
(問)日本赤軍の関係で平林外政審議室長がレバノンを訪問するという報道があるが、事実関係如何。
(報道官)一部のプレスで平林外政審議室長がレバノンに派遣されたという報道が流されている。中東和平プロセスが依然として多くの挑戦に面している中で、中東和平促進を含めた中東情勢一般について、幅広く意見交換を行う他、日本赤軍メンバーであるとの疑いがある人物が拘束されている問題について、我が方の関心と考え方を高いレベルで伝えておくことが必要であるとの判断から、平林内閣外政審議室長がレバノンを訪問することとなった。詳しい日程を申し上げることは差し控えさせて頂くが、レバノンにおいて、3月3日から4日の午前にかけて首脳他と会談を行うことで調整中である。
(問)平林室長は総理の書簡を預かっているとのことだが、事実関係及び事実であれば書簡の内容如何。
(報道官)総理書簡の内容については、答えを差し控えたい。平林外政審議室長は、我が国最高首脳の考え方を先方の首脳にきちんと伝える必要があるということで、この度レバノンに派遣されることになったということだ。
(問)派遣目的に中東和平が入っていたが、レバノン以外の他国も訪問するのか。
(報道官)この機会にシリアにも出張することになっている。3月5日から6日の間に先方との間で会談を行う方向で調整中である。シリアについては、昨年8月に池田大臣が訪問しているところ、高いレベルでの両国間の協議を継続していくことが重要であるとの観点から、中東和平を含めて当該地域の平和と安定にかかわる幅広い問題について意見交換をする予定である。レバノンにおける日本赤軍メンバーであるとの疑いのある人物が拘束されている問題については、シリアでの会談で話し合われる可能性は排除されないが、今後先方と調整していくことであって、現段階ではそうなるとは申し上げられない。レバノンへの出張とシリアへの出張の目的は少々異なり、シリアについては中東和平、その他の地域の平和と安定に関わる問題について幅広く意見交換するのが主たる目的である。
(問)シリアでは誰と会うのか。
(報道官)それもまだ決まっていない。調整中である。
(問)シリアでは誰と会談したいのか。
(報道官)レバノンについては最高首脳と会談となっているが、シリアについてはどういうレベルと会談するのか手許に材料がない。せっかくの機会であるので、出来るだけ高いレベルでということであると思うが、会談そのものが調整中ということだ。
全人代の李鵬発言
(報道官)3月1日第8期全国人民代表大会第5回会議が北京において開催され、李鵬総理が恒例によって政府活動の報告を行った。その中で、李鵬総理は外交政策との関連において日中関係について、「かき回されたが我々は両国関係が正常に発展するのを目にしたい」と述べている。これは日中関係の改善への意欲を表明したものと我々は受け取っている。今年は日中国交正常化25周年を迎える年であり、日本政府としては、日中関係の発展のために引き続き努力して参りたい。
(報道官)現地において特に報告すべき動きはない。この機会を利用してこれまで7回にわたって行われてきた予備的対話について簡単にレビューをしてみたい。なお日時は全て現地時間である。
2月1日のトロントでの日・ペルー首脳会談で予備的対話を進めていくことが合意された。この「予備的対話」の性格に若干触れておくと、在ペルー日本大使公邸占拠事件の性格に鑑み、「本格交渉」という形にこだわれば、ペルー政府とMRTA側の間の直接の話し合いがなかなか開始されにくい状況にあったため、ペルー政府、MRTA側双方が形式にとらわれず、双方の立場を率直に述べ合って解決の方途を探っていく話し合いの場として、設けられたものである。予備的対話のこの性格は今でも変わっていない。
2月11日に開始された予備的対話では、第3回目まで如何なる議題を取り上げるべきかを巡ってペルー政府とMRTA側との間でやりとりが行われた。このいわば対話の進め方を巡って双方の間で意思の疎通を図ることが困難となっていた局面で、保証人委員会及びオブザーバーが対話を円滑に継続するため自ら提案をするというイニシアティヴを発揮し、その結果第4回目から実質的な問題についての対話が行われることになった。ここから事態は新しい局面に入った。
さて、一連の予備的対話で行われている議論の具体的内容を明らかにすることは出来ないが、議論の対象には人道的問題も含まれている。国際的に確立された赤十字国際委員会の役割に鑑み、ミニグ代表は人道的問題について発言や提案を行っている。
対話の現状を一言で表現するならば、「いくつかの最も重要な議題をめぐってペルー政府とMRTA側が真剣に話し合っている」ということである。「真剣な対話が継続していること」が非常に重要である。他方において、まだ具体的進展を報告できるまで対話が進んでいるわけではない。こうした状況を捉え、政府は「一喜一憂すべきでない」とか「対話の積み重ねの中から少しでも事態が進展していくことを期待したい」との評価をしてきている訳である。
人質、人質の家族、その他関係者の方々はおそらく期待と懸念の入り混じった気持ちでこの予備的対話を見ておられることと思う。現時点では事態が具体的進展を見せていると報告できないが、忍耐強く推移を見守って頂きたい。
実質的対話の継続に当たって、保証人及びオブザーバーの果たす役割は重要である。日本政府は寺田顧問を通じて、少しでも事態の進展に貢献できるよう、ペルー政府や保証人委員会に対し積極的な助言や協力を行ってきている。
事件が発生してから既に70日以上が経過した。政府としては人質全員の無事解放を実現するため、現地に設置した外務省を始めとする関係省庁からなる対策本部を通じてこの事件に真剣に関与し、上述のようにペルー政府の保証人委員会に対し積極的に助言や協力を行っている。人質、人質の家族、その他関係者の方々に対し、改めてこうした日本政府の姿勢をお伝えしたい。
(問)これまでの第7回までの対話では期待したほど進展は見られていないということか。
(報道官)(政府としての期待ということで)予備的対話が行われるまでは予備的対話を早期に開始してもらいたいという期待があり、予備的対話が始まったことで我々はこれを歓迎した。予備的対話が始まった当初は議題を巡るやりとりがあったが、第4回目から実質的な対話が始まった。実質的対話が始まるとやはり大使公邸占拠事件と言う性格に鑑み、我々はこの問題はなかなか一直線には進まないであろう、いろいろと紆余曲折があるであろうと言うことで、初めから急速に事態が進展するとは期待していなかった。ただ、これまで記者会見の場で何度か説明しているが、たとえ、具体的な進展が無いからと言って対話がうまくいってないということではない。真剣なやりとりが行われていること自体これは高く評価されるべきである。しかしながら、他方において実質的な進展を報告できるまで事態が至っていないということもあるので、実態と皆様方の報道ぶりの間にあまり大きな乖離があってはならないと考え、改めてこの場を借りて、レビューをした次第である。
(問)レバノンの日本赤軍の現状はどうなっているのか。
(報道官)レバノンの問題については、石垣大使が2月28日ハリーリ首相を往訪した後同大使が日本のプレスに説明した以降新たな進展というものはまだ聞いていない。ハリーリ首相は石垣大使に対して、日本人を含む外国人の身柄を拘束しているのは事実である旨の説明をしたこと、これらの人たちはレバノンの法規に違反したものであるので、レバノンの法規に基づき司法手続きを経ることになっていること、それから人定確定等については日本側と相互に資料を提供しあい早急に作業を進めるよう検事総長に指示したということ、大きくいって3つの点を述べ、同時に会談全体を通じて日本との関係を極めて重要視している旨を述べた。我々としてはレバノン政府がこの問題を適正に処理することを望んでいる。今後とも政府はレバノンと協力しあって、早急に人定確定等の作業について、日本として出来ることを実施していきたい。
(問)今日の午後の通信社の報道ではギングリッジ下院議長が訪日を希望しているとの関連で池田外相の訪米の必要は無くなったと外務省職員が述べたとのことであるがこの2点について伺いたい。
(報道官)ギングリッジ下院議長が訪日の希望しているいうことについては自分は承知してしていない。かつて、ギングリッジ下院議長の前任であったフォーリー下院議長の時代同下院議長自らアメリカの議員と共に頻繁に来日し、日本の国会議員、政府の関係者と意見交換をして来たが、これは非常に有益であり日米関係の増進に寄与してきたと思う。従って、一般論であるが、もしもギングリッジ下院議長が訪日を希望するということであるならば、日本としてこれを歓迎するものである。しかし、そのことと池田外務大臣の訪米問題とは全く違う問題であり、外務省の職員がそのようなことをいったかということについては、にわかに信じがたいものがある。
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