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報道官会見記録(平成14年11月)


INDEX


・ 報道官会見記録(11月27日付)
 ・ 最近の多国間軍縮外交の主な成果
 ・ イラク(国連査察、国会での答弁)
 ・ 北朝鮮(日朝国交正常化交渉、ジェンキンスさん)


・ 報道官会見記録(11月20日付)
 ・ 生物兵器禁止条約第5回運用検討会議
 ・ 北朝鮮(日朝交渉、安保協議、青山健煕さん、拉致被害者家族の北朝鮮訪問)


・ 報道官会見記録(11月13日付)
 ・ 北朝鮮(日朝国交正常化交渉の再開について、KEDO等)
 ・ イラク情勢
 ・ えひめ丸の和解
 ・ ビンラディンの「肉声」放送
 ・ 李登輝氏のビザ問題


・ 報道官会見記録(11月6日付)
 ・ 国連総会への「持続可能な開発のための教育の10年」に関する決議案の提出
 ・ 「第2回ODA評価東京ワークショップ」の開催
 ・ 米の中間選挙
 ・ 「プール金」問題に関する会計検査院の検査
 ・ 脱北者支援NGO関係者の消息不明事案
 ・ パウエル米国務長官の韓国訪問(日本訪問の可能性)






報道官会見記録 (平成14年11月27日(水) 17:00~ 於:会見室)

・ 最近の多国間軍縮外交の主な成果

(報道官)一件御報告申し上げたいことがございます。何回かこの席でも申し上げておりましたが、このところ、多国間の軍縮外交で、様々な動きがありまして、大きな成果が上がっております。その内容をまとめた資料をお配りしていますが、簡単に御報告申し上げたいと思います。私たちは日本が唯一の被爆国であるという立場もあり、特に国連とかジュネーブの軍縮会議などの場において、積極的に軍縮外交を展開しています。軍縮・不拡散が主なテーマですが、これがこのところ着実な成果を挙げてきております。例えば、この22日には日本が提出した核軍縮の決議案が国連総会の本会議で156票という圧倒的な支持を得て採択されています。この25日には「弾道ミサイルの拡散に立ち向かうための国際行動規範(ICOC)」が立ち上がりました。これは東アジアの安全にとっても大変重要な弾道ミサイル、特に大量破壊兵器を運搬できる弾道ミサイルを何とか拡散を食い止めようという初めての取り組みであります。この会合が日本の我が外務省の新藤政務官も出席されて、成功裡に終了しました。これは軍縮の歴史に、また新たな1ページを加えたと言っても良い出来事です。こうした軍縮外交、主な成果を取りまとめた文書がお手元にあるものですが、こうした様々な成果、特に新しい動きが実現に向けてどんどん動いているという背景には、今年の5月にジュネーブの軍代表部に着任された猪口大使を初めとして、在外公館が特に活躍をしているという報告も来ております。是非、皆様にもこの点、御関心をお持ちいただいて、これからの動きに御注目いただきたいと思います。これから来年にかけての様々な多国間の軍縮の会合が開かれる予定になってます。

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・ イラク(国連査察、国会での答弁)

(問)国連によるイラクへの査察が今日から始まりましたが、これについての受け止めと、政府のお考えを伺いたい。

(報道官)私たちは今、3人の特使を中東各国に派遣し、イラクの近隣諸国に対して、イラクに対して決議を誠実に守って、国連による査察、IAEAによる査察をきちんと、まず受けること、そして大量破壊兵器がもしあるのであれば、これを直ちに目に見える形でもって廃棄すること、また、もしないのであれば、本当にないということを目に見える形で査察を受けてはっきりさせること、こうしたイラク側の誠実な対応を実現するよう協力を求めているところです。従って、今日から始まる国連の査察に対して、イラクが誠実に対応してくれること、これをまず強く求めたいと思います。また、国連の安全保障理事会の決議がこれから様々な形で実行に移されていくわけですので、査察だけではなくて、例えばイラクが報告を出すべきものはきちんと報告を出す。それから査察団も、その任務を速やかに遂行して、きちんとした報告を国連の安全保障理事会に期限を守って出してくれることを期待したいと思います。

(問)イラクの件に関してですが、最近の国会で、イラク問題を巡る川口大臣の答弁が誠実さを欠いているという批判が随分出ていて、今日は与党からも野党からも大臣を辞任したらどうかという声も上がっていましたが、こういう批判が連日、委員会で出ているということについて、大臣の答弁について、どの様にお考えですか。

(報道官)大臣が基本的に申し上げていることは、イラクの問題については、今、国連の決議に基づくいろいろなプロセスが進んでいる最中で、武力行使ということは、まだ先の問題である。様々な国連決議に基づく措置が取られて、それに基づいて武力行使ということが決められたのであれば日本側としてどの様な対処をするかということも申し上げらる段階になるだろうけれども、今の段階で武力行使を想定するというは、まだはるかに時期尚早であろうということで、そのことを仮定、もしくは武力行使を前提とした仮定の御質問にはお答えすることは出来ないということを、繰り返し申し上げているわけで、質問される方々にも、その点を是非お含み取りいただきたいと思います。もちろん、例えば万一あの地域で戦闘が始まったときに、それでは邦人の退避をどの様にしたらいいかといった、一番我々として真っ先に考えておかなければいけない問題については、例えば外務省と地域の幾つかの公館を結んでのシミュレーションをやってみる。また、是非この安全保障理事会の決議をイラクが守ってほしいと、日本が強く求めていることを示すために特使を派遣するといった様々な措置は取っているわけです。そうした努力の積み重ねで、私たちとしては武力行使という最後の手段、これが無しに済むように、イラクが大量破壊兵器を持たない国であるということがはっきりする、もしくは持っているのであれば、それがきちんと廃棄されるという状況を作り出してほしいと、強く願っているわけです。その段階を超えた武力行使の仮定の議論というのはまだ時期が早すぎるのではないか、こういうことです。

(問)先ほど、国会の関係で外務委員会の理事の方に政府見解をお出しになるように、というようなことでお話があったと思うのですが、これはいつ頃迄にお出しになるとかいう様な目処というのは立っているのでしょうか。

(報道官)特にまだ目処を何時とか、実際にどの様な形で外務委員会の求めに我々が応じるのかといったことについては決まっていないと承知しています。

(問)さっきの国会答弁、外務委員会の話ですが、あそこで委員が言っているのは、外務省の答弁には誠実さが無いと言ってるんですよね。つまりそれは事の真偽を聞いているのではないです。野党の委員だけがそういうことを言っているのであれば、それは野党にはいろいろな意見がおありですねということになりますが、与党の、今日は河野太郎議員ですか、与党からも出ているというのは、つまり与野党から批判を浴びているわけです。この外務省というのは、大臣が来て、改革をやるんだと。国民の理解無ければ外交無しと言い切っておきながら、国会で与党からも野党からも誠実さが無いと言われるような答弁を繰り返すというのは、これは国民の理解を得ようとしている姿勢では無いということではないですか。国民の意識からそこら辺に物凄く乖離が出てきて、大臣にしても報道官にしても、上手く官僚に丸め込まれていますねという批判は避けられないのではないですか。

(報道官)開かれた外務省、外交を出来るだけ国民の皆様に分かっていただきたい。また、日本が何をしようとしているのかを出来る限り情報を提供していくという、そういう意味での開かれた外務省というのは、今、外務省が一体となって努力をしているところだということは、是非御理解いただきたいと思います。私が8月2日からこの仕事を務めていますのも、その一環ということで、出来る限り、この建物の中で、もしくは日本政府の外交政策がこれから先、どの様に進められようとしているのかということを出来るだけ分かり易く御説明するという、それが私の任務だと思っています。これは外務大臣も同じ気持ちであることは間違いありませんし、正に外務大臣が私を任命したわけですから、その川口外務大臣が決して不誠実だったり、よく外で言われる、木が鼻をくくったような、そんな答弁をするというつもりは全く無いということは是非御理解いただきたいと思います。それよりもむしろ、先ほども申し上げたように、例えばイラクの軍事行動がもしあったとしたらという仮定の問題を、今、果たして論じることが日本にとって、また世界にとって本当に正しいことなのか、むしろそれよりも我々は今、もちろん事務方で様々なことを検討することは当たり前のことでしょうし、その検討している中身の内、ここ迄は、もう既に皆様に御説明をしておいた方がいいということについては、御説明する。しかし、それ以外のもの、つまりまだ現在検討中であって、結論を出すにはまだ時期が早過ぎるというものについては、今の段階で、そうした点をお話ししたり、議論したりすることは時期が早過ぎるのではないかということを、様々な形で申し上げているわけです。その点を是非、お含み取りをいただけたらと思います。

(問)しかし、イラクの危機というのは目前に迫っているわけで、そこで今お答えするのは時期尚早であるというのは、逆に言うと、時機を逸することになりませんか。もしイラクへの攻撃が始まってから、こうすることを決めましたというのであれば、それは明らかに後手後手に回るという批判を免れませんし、それから、仮定の質問にはお答えには出来ないと、よく答弁に出てきますが、これは一種の答弁要領で、外交というのは仮定の積み重ねの上に立って、あらゆる可能性を潰していくのが外交ですから、あるいは危機管理ですから、それが出来ないというのであれば、やはり外務省は無能だという批判は免れません。それから、イラクの問題というのは、新聞に毎日のように出ていて、小学生でもきょうび知っている状況なわけです。そういう 中で、実際に攻撃が起きてみないとわからない、河野太郎議員みたいな言い方ですが、実際に攻撃が起きてからでないと分からないという答弁を繰り返すのは、それは大臣自身も答弁要領を変えてくれと言っているのではないですか、事務方に。そういう話も漏れ伝わる中で、やはり今日みたいな答弁というのは、それは不誠実と言われてもしょうがないのではないですか。

(報道官)まず、先ほども申し上げたように、今、実際に安全保障理事会の決議に基づいて査察というものが始まろうとしている、もしくはようやく今日から始まった。このプロセスというのは、実際に安保理の決議に盛られているように、少なくとも1月の末近くまでは、様々な形で続いていく可能性があるわけです。その中でどういうことが起きてくるか、万が一イラク側が不誠実な対応をしたり、もしくは事実を隠そうとしたり、更には査察を邪魔しようとしたりしたときには、この査察のチームが安全保障理事会に対してこういうことがあったということを報告する。その後、安全保障理事会はどういうふうにするのか、もしくはアメリカがどういう決断をするのか、そうしたことが表に出てくることになろうかと思います。今の段階で、例えば、すぐ目の前に軍事行動があるということにはならないだろうと思います。それからもう一つは、今、これから先、どの様なことが行われるのかということは、起きてから何か事をするということではなくて、その時々の状況を見極めながら、何を考えておく必要があるのかということを考える。これはもちろん当然なすべきことで、事務方がやっているわけです。しかしその可能性というものは、こうなったらこう、ああなったらこうという、ある意味では事態を想定した考え方をまとめておくということですので、当然、いざ攻撃が始まってから慌てて何か対応策を取るということにはならないように、これは当然の努力としてしなければいけないことだと認識しています。

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・ 北朝鮮(日朝国交正常化交渉、ジェンキンスさん)

(問)日朝交渉の関係ですが、昨日までの段階で非常に膠着状態という構図がはっきりしてきたわけですが、その一因に政府が日本人拉致被害者5人を永住帰国させるという決定をしたことがあります。その際に外務省のある幹部の方が、自民党の会合だったと思いますが、このまま5人を帰さないと困ったことになりますよという言い方をされて、いわゆる約束があったかどうかという点も含めて、今後、帰さなかった場合は厳しいという見通しを示していたのですが、そういう意味では、外務省としては今は予想されていた事態という受け止めでしょうか。その約束の有無を含めて改めてお聞きしたいのですが。

(報道官)私たち、約束をしたことは無いと、兼ねてから申し上げてありますが、ただ、それについて北朝鮮の側が何らかの形で5人の方々が帰ってくると考えて、それを「約束」というふうに解釈をしているということが、最近の北朝鮮側の様々な言動で表れてきているように思います。この食い違いがあることは大変残念ですが、北朝鮮側が態度を大変に固くしていることは事実であり、残念ながら今月中の正常化の第2回の再開交渉、もしくは安全保障を巡る協議が実行、実現不可能になったという印象、これは私たちも残念なことと受け止めてます。1日も早く北朝鮮側が考え方を改めて、日本が求めている5人の方々の家族の日本への送り出し、それから核開発、特に濃縮ウランを巡る新たな核開発の停止、そしてそれを目に見える形で示すということを実行するように、我々は強く求めていくつもりです。

(問)拉致の問題で、やや細かくなりますが、曽我さんの夫、ジェンキンスさんの扱いについてのアメリカの対応が依然として固いのですが、それに対する現状認識と、これから先、外務省はどの様に対応していくかということをお聞かせ下さい。

(報道官)ラムズフェルド国防長官が、ジェンキンスさんがもしアメリカに戻ってきた。もしくは北朝鮮の外に出てアメリカの司法権が及ぶところに来たときには訴追の対象になるという発言をされたという報道を私たちは目にしています。アメリカ政府がこれを今後どの様になさるのか、まだ政府としての最終決定があったということは、聞いていませんので、今のところは外交ルートを使って、アメリカ政府に対して今後ジェンキンスさんのケース、曽我ひとみさんのケースは極めて特殊な例なので、特段の配慮をしていただけないかということを申し上げている段階ですので、アメリカ側の決定を待ちたいと思います。

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報道官会見記録 (平成14年11月20日(水) 17:00~ 於:会見室)

・ 生物兵器禁止条約第5回運用検討会議

(報道官)御質問を頂きます前に1つ御報告があります。1年ほど前にアメリカがそれまでのクリントン政権の政策からブッシュ政権の政策に変わったことによって中断しておりましたジュネーブでの生物兵器禁止条約の運用検討会議が、先週再開されまして、この条約を強化するための作業計画がアメリカも参加して全会一致で合意したという報告が入ってきました。この行動計画ですが、実は生物兵器禁止条約を実効あるものにして、例えばここに決められているいろいろな禁止事項をどうやって各国が守っていくかとか、病原菌とか毒素、こういったものをどうやって管理していくかという具体的な内容を決めようということになっていたのですが、1年前これを議定書の形にしようという動きがあったのに対してブッシュ政権がこれに反対して、会議が止まってしまっていたわけです。これに対して、もちろん会議の議長もさることながら、ジュネーブの日本の軍縮代表の猪口大使を中心として代表部のスタッフが非公式でいろいろと折衝した結果、アメリカも含めて会議を再開することが決まりまして、実際には11日から14日まで会議が開かれて、作業計画に合意をしたわけです。これによって生物兵器禁止条約が実効あるものとして動く素地ができたということで、私たちはこの決定を高く評価しているところです。また猪口大使は皆さん御承知のように、既に小型兵器、小型武器の禁止に関する委員会の議長に就任することが決まっております。また、核の廃絶に向けての決議案の国連における通過などについてもジュネーブでいろいろとご尽力いただいたりしておりますが、また一つ軍縮面で前向きな動きがあったということで私たちは大変喜ばしいニュースとしてこれを御報告させていただくことにしたわけです。

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・ 北朝鮮(日朝交渉、安保協議、青山健煕さん、拉致被害者家族の北朝鮮訪問)

(問)日朝交渉なんですが、11月も下旬に入りましたが、日朝交渉と安保協議、これについてどういった回答を北朝鮮に成果等も含めて、その対処とその検討というのはどういうふうに進めていくのでしょうか。

(報道官)御承知のように安保協議は11月中に行いましょうということがクアラルンプールの第1回の交渉の時に両方で合意をした、それから正常化交渉の2回目は北側が11月末頃迄にという話を提案されたわけですが、私たちはそれを日本に持ち帰っていて、まだ対案というか、こちら側の考えを向こう側に伝えていないわけですが、様々なルートを通じて今でも、まず安保協議は11月中に行うのであれば、もちろんこちら側は行う用意があるということを伝えていますし、正常化交渉の第2回の話し合いについては、私たちが向こう側に投げている拉致の問題、それから核開発の問題、これに対する向こう側の返事の来方を見た上で検討しよう、決めようということになっています。おっしゃるようにだんだん11月も終わりに近づいてきました。この先どういうふうになるかというのは担当課を中心に今検討していますので、まだ日本側としての対応が決まったというところまでには至っていません。

(問)青山健煕さんの問題ですが、外務省側から横やりが入ったのではないかという見方があるようですが、これについてはどのように。

(報道官)私が承知しておりますのは、国会の方で参考人招致をお止めになった、中止したということというふうに承知しています。ですから、お決めになったのは国会で、私たちの方では特に横やりを入れるような立場にございませんので、そういうことなんだということで承知をしています。

(問)その青山さんですが、今日の民主党の会合で証言しまして、1998年から今年の7月にかけて、青山さんの話によると10回にわたっていろいろな核問題であるとか、ミサイル問題とかについて、あるいは難民の実態とか、向こうに渡った日本国籍を持つ人の話について情報提供はしていたけれども、それに対してなかなか日本政府は政策が改善されなかったと、効果がなかったということをおっしゃっているのですが、その点について政府としてどういうふうにお感じになりますか。

(報道官)具体的な内容については今ここで立ち入ることは出来ませんが、いろいろな形で情報収集というのはやってきたわけです。その過程の中でどういう情報をどなたから入手したか、またそれをどう処理したかということは通常の私たちがやっている情報収集の活動の一環で、この内容は外部には明らかにしないという方向でやっておりますので、ご了承いただけたらと思います。

(問)同時に、青山さんの話ですが、自分以外に元在日朝鮮人として向こうに渡って、密かに日本に戻ってきた人が30数人いると。但し非常に国籍も、日本国籍も与えられず非常に不安定な身分のままにあると。なかなか日本の支援、政府からの支援が得られないということをおっしゃっているのですが、その脱北で戻ってきた人たちに対する今の政府のこれからの支援のあり方というものについては。

(報道官)青山さん御自身の問題も含めて、どういう経緯の方がどういうふうに我々の方に、日本政府に接触をしたとか、もしくはどういう形で日本に入ってきたとか、具体的なことについても、やはりこれは個人のプライバシーの問題もありますし、全くそういう内容を明らかにするということは私たち控えておりますので、その点も御了承いただけたらと思います。

(問)何か、青山さんが民主党のプロジェクトチームの中で、拉致問題に関して、北京で青山氏が工作員として活動していた時に同僚が拉致問題を実行したことがある人間であって、その人間によると70人から80人の日本人が被害にあっているという話を聞いて、それを外務省に伝えているということでしたが、その点は如何でしょうか。

(報道官)まず、青山さんが民主党との会合でどの様なお話をなさったかということについては、私たちつまびらかにしておりません。また、今お話があった何十人かの方々が拉致の被害者であった可能性があるという点については、かねてから申し上げているように日朝正常化交渉の過程の中で、まず私たちが掌握している拉致の被害者についてはもっと詳しい情報を出してくれるようにと要請しましたし、私たちが掌握していない行方不明の方々についても、情報があったら速やかに我々に提供してほしいということも北側に申し入れているわけです。従って、何十人という数字を含めて、私たちは確認をしたものについては具体的に問い合わせをしていますが、一体何人の方々が果たして拉致の被害者であるのかということについては、まだ捜査中ということもありますので、具体的な形での問い合わせということはしておりません。ただ一般論として、まだそういう事件の被害者である可能性のある方々がいる可能性があると、それについてはきちんと調べて我々に回答を速やかに送ってほしいと要請している最中です。

(問)拉致被害者の家族の一部の方が、北朝鮮を訪問したいという希望を述べている方がいらっしゃいますが、外務省としてはどういうふうに対応されますでしょうか。何らかのサポートということは考えているのでしょうか。

(報道官)私たちが、今まず喫緊の課題として北側に求めていることは、今こちらに帰ってきておられる5人の方々の家族を一刻も早く日本に送り出してもらって、家族の方々が日本で自由な雰囲気の中で、自分たちの将来について意思を確認し合う、話し合うという機会を作るということ、これがまず最初の仕事だと思っております。それから北朝鮮側が死亡という報告をしてきた残りの方々についても、御家族の意向を大して、出来るだけ早く、もっと詳しい情報をまず手に入れるということ、それを優先的に考えておりますので、今直ちにどなたとどなたがいらっしゃりたい、それをどの様に斡旋をするとか、もしくはお手伝いするといったような具体的な計画はないです。ただ、かねてから申し上げているように詳しいことを知りたいとおっしゃる御家族の方々のお気持ちというのは、私たちも十分理解していますし、出来る限りのお手伝いをしたいという気持ちに変わりはありません。また、これは特に内閣府の拉致被害者の支援の対策室の方で具体的には取り扱う問題ということになりますが、今申し上げたように出来るだけのお手伝いはしたいと考えていることは政府全て統一した考え方です。

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報道官会見記録 (平成14年11月13日(水) 17:00~ 於:会見室)

・ 北朝鮮(日朝国交正常化交渉の再開について、KEDO等)

(問)日朝交渉が膠着状態になっているのですが、これをどうやって打開するかということについて、現時点での外務省のお考えをお聞かせ下さい。

(報道官)日本と北朝鮮の間には北京の日本大使館、北朝鮮の大使館の間の連絡を含めていくつかのチャンネルでお互いに連絡を取り合っているところです。その中で私たちは交渉の次をどうするかということの一つの前提として5人の被害者の方々の家族を日本に早く寄越してほしい、それからこの度明らかになった例えば松木さんの遺骨ということで北朝鮮側から引き渡しを受けた遺骨が実は松木さんのものである可能性が非常に低いといった事態を受けて、更に詳しいことを我々の方に伝えてくるようにという要請など幾つかの疑問点に対する早い回答を求めるといったことをやっております。当然核の問題についても申し入れをしているところです。そうした連絡を基に次の交渉を何時とするか、また安保協議についてどのような時点でそれを行うかといったようなことを判断しようとしているところで、今は従って、何時、何処でどういう形でもって再開するということを申し上げる段階には至っていませんが、連絡は適宜取りつつ、準備だけしているという状態です。

(問)明日、KEDOの理事会がニューヨークで開かれますけれども、アメリカ側からはどの様な対応が出てくると想定されているのか、それから日本としてはどの様な立場を取られるのか、特に重油の問題に関してなのですが、改めてお聞きしたいのですが。

(報道官)KEDOの理事会が14日にニューヨークで開かれるということは決まっておりまして、日本からも鈴木大使を含めて担当者がニューヨークの方に行っています。そのKEDOの理事会で確かに重油の問題も含めてKEDOの当面の課題について意見交換が行われる事にはなっていますが、具体的にアメリカがどの様な見解を示すのか、又日本がどういうことをそこで述べるのかといった内容については具体的な説明をすることは、この協議が非公開ということもありますので、控えさせていただきたいと思います。ただ、基本的な考え方としてはKEDOというのは日本は大臣もかねてから申し上げているとおり北朝鮮が核開発をするのを阻止するという意味では有効な手だてとして役に立ってきたものですので、日本側はそうした考え方について述べるということになろうかと思います。

(問)日朝間の連絡についてですが、安全保障協議についてはテーマと、それから出席者を含めてまだ未定だと思いますが、これについてやり取りはされているのでしょうか、北京の大使館を通じて。

(報道官)具体的な北京ルートを含めた北朝鮮とのやり取りの内容について申し上げることは控えますが、安全保障協議については既にクアラルンプールでの再開後の1回目の日朝交渉の中で11月中に行うということが合意されているわけです。また、安全保障協議の内容については平壌宣言の中にもあるわけですし、特に日本側としては核の問題を含めた安全保障というのは日朝の国交正常化を行う上での大変重要な、拉致と並ぶ優先課題と位置づけていますので、その方向で北朝鮮側とのやり取りをやっていると御理解いただければと思います。

(問)最初の日朝交渉の話ですが、国交正常化交渉の次の日程の確定と安保協議、拉致被害者の家族に帰国とか、新たな消息の問題、これは一応同時に決着させるという、決着というか話をつけるというのは基本なんでしょうか。

(報道官)今、私たちの求めているのは5人の方々の家族を速やかに日本の方に送り出してほしいということ、それから核の開発を直ちにやめて、しかも目に見える形でこれをやめるということを求めているわけで、これはあくまでも日本側はこうした事が行われるということが北朝鮮側の誠意を示すと受け止めていますので、北朝鮮側の出方を見たいと思います。

(問)確認なんですが、そのことが次回交渉に入る前提の一つというふうに外務省としては考えているということですか。

(報道官)私たちはそこのところは前提というよりも、まず北朝鮮側の誠意が果たしてどこまで示されるかということに注目しているところであって、その誠意の出方によって、日本側として次回の交渉を何時行うかという提案をしていきたいと思っています。まだ、日本側が提案を出来る段階には至っていないということです。

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・ イラク情勢

(問)イラク情勢なのですが、国連決議の1441でしたか、国民に対してイラクの国会が受け入れを拒否するという結論を出して、国民評議会の方に上げていますけれども、この情勢を今後どの様に外務省として分析していますか。

(報道官)私たちはイラクで、国会の方からそういうものが出てきたということは報道を通じて承知はしていますが、イラクの場合は何と言ってもサダム・フセイン大統領が絶対的な権力を持っていて、全てのことはフセイン大統領の下で決められると考えております。従って今の段階で、イラクがこの決議についてどの様な反応をしてくるか、私たちは様々な外交的な手段を使ってイラク側に対してこの決議を速やかに受け入れて、無条件、無制限、即時の査察を受け、大量破壊兵器を直ちに開発をやめて全て廃棄するようにということを改めて申し入れているところですので、イラク側の対応を待ちたいと思います。

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・ えひめ丸の和解

(問)明日、えひめ丸の和解がありますが、それに関して外務省としてどうお考えですか。

(報道官)私の方から今、えひめ丸問題については特に申し上げることはございませんが、えひめ丸の問題が双方の納得の上で和解にこぎ着けたということが、亡くなった方々の霊を慰めるという意味から言っても待ち望まれているところと考えております。

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・ ビンラディンの「肉声」放送

(問)カタールのテレビでアルジャジーラがビンラディンの肉声として、ある人物の声を放映したのですが、その声が非常に本物だというふうな報道もアメリカ国内ではされているようですし、日本の方でも、ある研究所ではビンラディン本人のものに間違いはないというような分析もされているようですが、外務省の方ではこの件についてはどのように把握されていますでしょうか。

(報道官)私たちは確認をする手段を持ち合わせてませんので、特にコメントを申し上げる事は出来ませんが、もしアルジャジーラの放送がビンラディンの録音そのものであったとすれば、そこの中で触れられている出来事は極めて最近の事まで入っていますから、まずその点に留意すること、それから中で述べられていることはあくまでもテロリストとしての活動をやめないということを意味しているかと思いますので、我々はやはりこの内容については注目して、特に警戒をしていく必要があるというふうには感じます。しかし、冒頭で申し上げましたように、アルジャジーラの放送がビンラディンのものであるかどうかということについては私たちは確認する術もありませんし、その点については私たちのコメントは一切ありません。

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・ 李登輝氏のビザ問題

(問)台湾の李登輝氏の話なのですが、李登輝氏、ビザの再申請の意向も示されていると思いますが、今のところそういう情報があるのかどうかということと、もし再申請があった場合の外務省の対応というのはどの様にされるのですか。

(報道官)今日、日本時間で午後4時半の段階では再申請は行われていないと承知しています。再申請がありましたらその申請内容に基づいて適切な検討を行うということで、今の段階でビザを出すとも出さないとも返事のしようがありません。申し上げられません。

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報道官会見記録 (平成14年11月6日(水) 17:00~ 於:会見室)

・ 国連総会への「持続可能な開発のための教育の10年」に関する決議案の提出

(報道官)政府は現在開会中の第57国連総会に「持続可能な開発のための教育の10年」に関する決議案を提出することを決め、ニューヨーク時間の11月4日、日本時間の5日になりますが、国連の事務局に対してその旨通報致しました。この持続可能な開発に関する教育の10年は、日本のNGOがそもそも発案をして、小泉総理大臣が8月のヨハネスブルグでの「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」で各国に呼びかけていたものです。2005年から10年間、ユネスコを中心に各国で、学校教育から社会教育、さらに人材の育成など様々な面で活動を展開しようというものであります。

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・ 「第2回ODA評価東京ワークショップ」の開催

(報道官)今月の13日と14日、東京の国連大学でODAの援助を受けているアジアの国々を中心に15カ国、また、ODAを既に卒業した国2カ国、それから世界銀行、アジア開発銀行など4つの国際機関などの代表が参加致しまして、ODAの評価についてのワークショップを開催することと致しました。ODAの評価について、各国から実際にそれを受けている国、また卒業した国から率直な意見を聞いて、ODAの改革に役立てるほか、ODAの援助を受けている国々についても、この評価について、更にどのようなことを考えていったらいいかということを意見交換しようと言う催しでございまして、この開催は去年の11月についで2回目ということになります。

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・ 米の中間選挙

(問)アメリカの中間選挙ですが、共和党が予想以上に躍進しているという現状ですが、これはどの様に分析されますか。

(報道官)まだ最終確定には至っていないということですが、今のところ趨勢は上院、下院両方とも共和党が過半数を制する見通しということと聞いております。基本的にはブッシュ大統領に対する人気の高さ、また伝えられるところでは民主党の特に経済を中心とした国内問題をイシューにしようとしたけれども、なかなかその点が選挙民にアピールをしなかったといったようなことが原因ではないかというふうに伝えられていると承知しております。まだ、最終確定に至っていないということもございまして、特にコメントを申し上げるような点はございません。ただ、私たちとしてはブッシュ大統領を中心とする今のアメリカの外交政策や内政についての大きな変化がこれによって生じるということはないだろうというふうに予想しております。

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・ 「プール金」問題に関する会計検査院の検査

(問)外務省のプール金の問題ですが、会計検査院の調べで、昨年11月の外務省が発表した2億2038万円よりもずっと多くて、全体で3億4000万だったと、1億円以上も額が違っていたということなんですが、どうしてこういう間違いが生じたのか。それと今後どうされるおつもりなのか。

(報道官)その報道があったということは承知しておりますけれども、私たちが理解しているところでは、会計検査院はまだ検査を続けている最中、これに対して外務省は協力をしているというところです。通常ですと、会計検査院の検査結果が出てくるのは11月の大体末近くということになろうかと思うので、私たちはその段階で数字が出てくるのではないかと思っております。ただ、全体としては去年外務省が調査したところではプール金の総額は大体2億円ということであったというふうに、これは全体としては1億9800万ですか、という額を我々は算定して、それを国庫に返納しております。更に、再発防止策をいろいろと講じて、例えば現職の検事を監察査察官に任命するといったようなこともやっておりますし、職員の研修を強化したり、調達の一元化をしたりというようなことで、二度とこのような事態が起きないようにということはやってるわけです。具体的に今後、会計検査院からどのような決算検査報告が出てくるか、それを見た上で、必要な措置を速やかに講じるということにしております。

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・ 脱北者支援NGO関係者の消息不明事案

(問)中国の公安当局に拘束されていたNGOの加藤さんという方が、解放されて、今日日本に戻ってこられたのですが、この加藤さんに対しての外務省としては今後何か事情を聴くだとか、どういう対応をする方針なんでしょうか。

(報道官)東京に戻られた段階でお話を伺いたいというふうに考えております。基本的にはどういう状況であったのかということを中心にお話を伺えればと思っておりますが、加藤さんからの御協力がいただけるかどうか、今のところまだコンタクトしたという話は聞いておりません。

(問)中国政府当局に対しては如何でしょうか。

(報道官)中国政府当局に対しては、まず事情を、どういう事情になっているのかということを問い合わせをし、それを北京と東京、両方でやったわけですが、実際に加藤さんが関西空港に今日、お着きになったということを承知しております。それから同行していた方はまた留学先に戻ったというふうに承知しております。基本的には加藤さんの方から、例えば日本政府に対して連絡を取ってほしいといったようなことを言われたのかどうか、そうした点を中心にお話を伺って、今後の対応を考えたいということでございます。

(問)拘束されたのは2人という認識でいいのでしょうか。

(報道官)私たちのところに報告が入っているのはそういうことでございます。

(問)今の話ですと、加藤さんが日本政府に対して連絡を取ってとおっしゃっていたということを言っていれば、ウィーン条約違反だということで、抗議するということを考えるということですか。

(報道官)そうした問題が生じてくる可能性があるということです。つまり、ウィーン条約でいわれていることは、身柄を拘束された人がその旨を、大使館なり、領事館なり、もしくは自分の国の政府に通報してほしいと言った場合、それを拘束した側の政府が速やかに伝えるという義務があるわけでありますけれども、果たしてそういう手だてが取られたのかどうかということ、又もう一つ、日本側も問い合わせをしているわけですから、その辺も含めて、加藤さんの話を伺った上で対応するということで承知しています。

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・ パウエル米国務長官の韓国訪問(日本訪問の可能性)

(問)アメリカのパウエル国務長官が韓国を訪問する予定で、日本にも立ち寄るのではないかという一部報道がありましたが、長官の歴訪日程について、どのように理解されていますか。

(報道官)私達が承知しておりますのは、パウエル長官が韓国で開かれる会合に出席するということを、国務省の報道官が発表されたということはありましたが、日本については何ら発表はなかったと承知しております。それ以外については、今のところ何の情報もありません。

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