外務大臣会見記録 (平成16年11月30日(火)9:40~ 於:参議院議員食堂)
閣議
(外務大臣)今朝の閣議ですが、外務省関連では私の日・ASEAN外相会議および日中韓外相三者委員会への出席についての報告をいたしました。引き続き行われた沖縄に関する会議は私もメンバーでしたが、特に外務省案件があったわけではありません。以上です。
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自衛隊派遣延長
(問)イラクへの自衛隊の派遣延長の問題ですが、延長する際には撤退時期を明示するということに対して、弊社朝日新聞の世論調査では67%が撤退時期を明示して欲しいと表明しています。このような意見は世論調査だけではなく党内でも出ているのですが、この点についてはいかがですか。
(外務大臣)撤退時期といいますか、今の派遣期間というものは1年間で、その終了時期に近づいているわけです。したがって、派遣期間というものがある意味では撤退時期ということにもなります。
(問)来年12月まで1年間ということでしょうか。
(外務大臣)派遣期間は、今それを含めて議論の最中です。それが自動的に最後になるかどうかはわかりませんが、一つには国連の全会一致の決議に基づいて多国籍軍の活動が行われていること、それは来年の年末に全ての政治プロセスが終了すれば、多国籍軍は撤退すること、そのように決議されているわけです。そのことは、当然のことながら大きな国際情勢の変化として念頭に置くべき事項であるとは思っています。ただし、だからといって来年末で撤退ということを明示するかどうかということと必ずしもイコールではないとは思います。
(問)そうしますと、多国籍軍の枠組みを離れて自衛隊が活動するということはありえないということでしょうか。
(外務大臣)なかなかいい質問ではありますが、あまり考えていない点です。よく考えてみましょう。一応、日本は指揮命令は受けないけれども、法的な枠組みとしては多国籍軍の中に入っているということにはなっています。もし多国籍軍全体が撤退して日本だけが残るということになると、イラク政府と日本政府との間でなんらかの特別な取り決めをしないといけないことになります。今、それを考えているかと問われれば、そこまで考えているわけではありませんが、折角の問題提起ですから考えてみましょう。
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六者協議
(問)六者協議ですが、ラオスにおいても、ある程度やりかたというか出席者等についてもお互いに色々な問題を示されたと思うのですが、改めて、年内開催がなかなか見えない中でどのような働きかけを行っていくのでしょうか。
(外務大臣)丁度今、首脳会議も行われているわけですが、色々なレベルで、首脳レベル、外相レベル、五カ国、三カ国、一カ国と、色々なルートで色々な形で北朝鮮への働きかけが行われていると思っています。そういったことに対して北朝鮮がどう受け止めるかです。大統領選挙が終わってもう一ヶ月近く経ったという情勢の中で、いつまでも無反応であるというわけにはいかないと思います。そうした国際状況というものを北朝鮮もよく受け止めて、きちんとした対応をしなければならないし、また、そうすることが国際社会の一員として当然あるべき姿であり、いつまでも頬かむりをすることは許されません。様々な働きかけを今後とも続けていきます。
(問)その際に、北朝鮮に出席をしやすくするために、例えば非公式協議を提案される考えはあるのでしょうか。
(外務大臣)今はきちんとした正規の協議をしようということで働きかけをしています。
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外務大臣会見記録 (平成16年11月26日(金)9:40~ 於:衆議院議員食堂)
閣議
(外務大臣)今日の閣議において、私からは、小泉総理のAPEC首脳会談出席及びチリ公式訪問の報告、続いて、私自身のAPEC閣僚会議出席、イラクに関するG8・近隣諸国会合出席及び英国、フランスでの活動についての報告を行いました。その他の関係についてはそれぞれの大臣から、消費者物価指数がまだ下がっていること、司法制度改革本部が12月1日をもって解散して今後は推進室になる等の話がありました。
閣議の前に経済連携促進のための非公式な関係閣僚打ち合わせ会がありました。外務大臣を始め、官房長官、農林水産大臣、経済産業大臣、厚生労働大臣、財務大臣の6名で、それぞれ今進んでいる案件がどのような状況になっているかについて、ASEAN+3の場で、日本と例えばフィリピン大統領との首脳会談もあるので、そこでどういう扱いになるのか、そのような話を行いました。当面はASEAN中心に取り組みを進めていくわけですが、先般チリからも強い要望がありましたので、それらについて今後の基本方針というものがないと、いかにも(要望が)来たところから開始するといった印象を与えるのはいかがなものか、やはり主体的に取り組んでいくということが必要であろうということでした。現在、外務省から各省庁に基本方針案を提示しているので、来月中に合意が出来れば、基本方針を取りまとめていきたいと考えています。
(問)経済連携についてですが、政府内のマンパワーの不足が指摘されていますが、大臣としてはどのように考えますか。
(外務大臣)いくつかの考え方をそれぞれの省が持っており、先般も農水省がテーマをまとめたと聞いていますが、各省がそれぞれの案を持って取り組んだのでは政府全体の統一性、一体性という点から問題となるので、各省の意見を踏まえながらしっかりとした政府全体の意見、基本方針をまとめる必要があるということです。これはまだ協議中ですから、中身についてはまだ述べる段階ではないと思います。確かに今日もマンパワーの問題が出ました。日本とメキシコとの協定をご覧になったことはないかも知れませんが、委員会室におかれた資料を見ると相当の厚さになります。しかもそれを、日本語と英語とスペイン語の3カ国語で作らなければならない。気が遠くなるような事務作業があるわけです。それは、外務省国際法局だけではなく外務省内の地域担当課もあります。また、関係する省庁にあっても、例えば関税なら財務省で膨大な作業があります。従って、迅速に処理しなければならないことはもっともなのですが、それに見合うだけのマンパワーがなければ、処理しようがないという側面もあるという話が今日の場でも出ました。そのあたりを含めて、政府全体として取り組んでいくのにあたって考慮事項としては、当然必要であると私は思っています。今日は財務大臣は出席していましたが、総務大臣は出席していませんでしたので、定員の話にはなりませんでした。
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日朝実務者協議
(問)昨日、日朝実務者協議の件で拉致被害者家族が60点余りの疑問点を指摘して政府に提示したわけですが、今後それをどう受け止めてどう取り扱っていくのでしょうか。
(外務大臣)持ち帰った資料の検証を引き続き行っていることと思っています。まだ検証中であるという以上の詳しい内容は、私自身は聞いていません。家族会からそういう申し入れがあったことは勿論承知しています。そうした御指摘も踏まえながら検証作業を急いで、いつまとまるということを述べるには時期が早すぎるかもしれませんが、のんびりやっているわけにもいきませんので、できるだけ早く検証作業を取りまとめるように努力をしているところです。
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六者協議
(問)六者協議ですが、APECにおいて各国より六者協議の早期開催について話があったと思いますが、韓国からの報道ベースですが、非公式という形で行われるのではないかという見通しがあるのですが、その辺りを詳しく教えてください。
(外務大臣)韓国の担当大臣であるチョン・ドンヨン統一部長官とピン国連総会議長との話の詳細をまだ聞いていません。いずれにしても、できるだけ早く、できれば年内開催にということを北朝鮮以外の国では皆一致しているわけですから、そういう各方面からの働きかけ、日本も働きかけをしているわけです。ボールは北朝鮮が握っているわけですから、できるだけ早く回答があって然るべきと思っています。前向きな対応であればいいと思っています。ただし、報道それ自身はまだ未確認です。
(問)日本政府として北朝鮮に何かサインのようなものはありますか。
(外務大臣)特にありません。
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ジェンキンズ氏の処遇
(問)ジェンキンズ氏の釈放の予定については。
(外務大臣)これは米軍の内部の話ですから、そのいちいちを正確に承知しているわけではないのですが、もし事実だとすれば、御家族が平常な生活にそろって戻れるということですから大変に喜ばしいことであると思います。
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北朝鮮国内の状況
(問)最近、北朝鮮では指導者の肖像画がはずされたり、バッジを付けなかったりという報道があり、一部には体制内に変化があるのではないかという憶測もあるようですが、大臣としてはどのように考えますか。
(外務大臣)それがどこまで国全体のことなのか、一部の場所におけることなのか、一部の人によるものなのか、全体像を把握する術がないので、余り軽々に外国の内部の話についてコメントすることは、日本との関係において微妙な関係である国であるだけに、大胆な推測を述べることはこの際は止めた方がよいのではと思います。どのようなことが起きつつあるのかということについては、日本国政府としては常に、特にこの件ということだけではなく、北朝鮮については最大限の関心を持って見守っていくことは、当然のことと思っています。
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外務大臣会見記録 (平成16年11月16日(火)15:39~ 於:中央玄関)
中国原子力潜水艦による領海侵犯事案
(外務大臣)本日午前中、中国の武大偉・外交部副部長から阿南大使に対して次のような話がありました。「今般の潜水艦問題について、中国側として調査をした結果、当該潜水艦は中国原子力潜水艦であることを確認した。同潜水艦は通常の訓練の過程で技術的な原因から日本の石垣水道に誤って入ったものであり、この事件の発生を中国側として遺憾に思う。中国側として隣国日本との間でパートナーシップを築いていくという方針に些かの変更もない。」こういう連絡がありました。中国側の説明は本国政府に報告する旨、阿南大使より述べたということです。
なお、再発防止については引き続き先方にこれを求めていくことにしています。
(問)この件は抗議と供に謝罪を要求していたと思うのですが、今般のこの回答というのは謝罪というものは入っていたということですか。
(外務大臣)「遺憾に思う」ということは先方が陳謝をしたと私共は受け止めています。
(問)今週末、チリAPECでの日中首脳会談がどうなるかということが注目されていますが、その首脳会談の見通しは。
(外務大臣)日時等は必ずしも最終セットはされていませんが、当然行われるという方向で調整が進んでいると私は理解しています。また短時間であっても外相レベルの会談も調整をしようと思っています。調整中です。
(問)陳謝したと受け止められて、今回、収束に向かうと考えていいのですか。
(外務大臣)その辺は最終的に外相会談で先方がどういう見方をしているかもう一度確認をしたいと思っています。
(問)潜水艦が入った理由として技術的な問題と述べられましたが、更に詳しい言及はあったのですか。
(外務大臣)それ以上はありません。
(問)今回の回答は再発防止について更に調査するということですか。
(外務大臣)再発防止については触れられていません。こちら側から再発防止策についても予め伝えていますので、これについて今回はまだ先方の触れるところではなかったことから、先方にきちんと改めて申し入れることであり、先方から然るべきタイミングで回答があるものと、私は理解しています。
(問)技術的な原因ということですが、領海侵犯の意図があったわけではなく事故だという受け止めですか。
(外務大臣)先方の説明はそういうことなのでしょう。
(問)それを日本政府としても受け入れたということでしょうか。
(外務大臣)受け入れるとか受け入れないという指摘は、意味が少しわからないのですが、そういう説明があったということを我が方は聞いたということです。
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外務大臣会見記録 (平成16年11月16日(火)10:03~ 於:本省会見室)
閣議
(外務大臣)今朝の閣議では、私が16日から18日までチリのサンティアゴでのAPEC閣僚会議に出席すること、更に22日から24日までエジプトのシャルム・エル・シェイクでイラクに関するG8と近隣諸国会合に出席することを報告しました。なお、この間の代理は細田官房長官になります。
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日朝実務者協議
(問)日朝実務者協議関係の話は、閣僚懇談会では出なかったのでしょうか。
(外務大臣)出ていません。
(問)実務者協議ですが、4回目の協議については今後どのような感じで、いつ頃を目処にお考えですか。
(外務大臣)持ち帰ってきた資料の精査にどのくらいの時間を要するか、またその資料の精査の結果、今後どうするのかということは今後の判断です。
(問)家族会の中でも反発はかなり強いものがあるのですが、改めてお聞きしますが、制裁に関してのお考えをお聞かせください。
(外務大臣)資料を全てきちんと精査した後に今後の対応について考えます。
(問)必ずしも実務者協議を継続するとは決まっていないということでしょうか。
(外務大臣)先ほど述べた通りです。
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北方領土問題
(問)ロシアのプーチン大統領が閣議で、北方領土問題について日ソ共同宣言に則って、歯舞、色丹の2島返還で進めていくという趣旨の発言をされているようですが、このことについてどうお考えですか。
(外務大臣)今まで何度もこのような趣旨の発言は、ロシアの首脳から、あるいはソ連時代から含めてなされているわけであり、今正に、その問題について交渉中ということであり、交渉中のいろいろな発言が途中で出てくるかと思いますが、その一つ一つについてコメントをしたり、反応をする必要はなかろうと思います。特に新しいコメントだとは受け止めていません。
(問)チリのサンティアゴでラヴロフ外相と外相会談を行う予定ですが、こうした問題について取り上げる予定でしょうか。
(外務大臣)それは当然でしょう。プーチン大統領訪日ということが日程に上がってきているわけですから、その下準備として話し合われることは当然だと思っています。
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パウエル米国務省官辞任
(問)米国のパウエル長官が辞任する意向を表明しましたが、改めてコメントをお願いします。
(外務大臣)パウエル長官はこの4年間、9.11またイラクもあったり、非常に困難な時期をブッシュ大統領と良きコンビと言いますか、外交面のリーダーとして非常にこの難しい時期をよく乗り切ってこられたと、大変尊敬をしております。私も個人的に2度会っており、出来れば引き続き良い関係を保っていければという期待をしていましたが、これは人事のことですからやむを得ません。後任がどなたになるかわかりませんが、これまでもパウエル長官、あるいは歴代の方々が良好な日米関係を築いてこられたわけですから、引き続きその路線に沿って私も新しく選ばれる国務長官と供に努力をしていきたいと思います。
(問)パウエル長官は国際協調というのを非常に重視していると思います。後任がどなたになるかによってですが、イラク、北朝鮮問題で今後ブッシュ政権に変化があれば、日本にも与える影響はあると思うのですが、その辺はどうお考えですか。
(外務大臣)誰がどういう政策をお持ちになるのかということは、まだ現時点で予測をすることは難しいわけですが、第二期ブッシュ政権のそういう意味での外交政策の全体像がどういう姿になっていくのだろうかということを、私共は関心を持って今見守っているところです。
(問)特に穏健派と言われるパウエル長官は、六者協議の枠組みを維持しているということでも要になっていたと思うのですが、特に北朝鮮の核問題の六者協議に与える影響、停滞を懸念する声もありますけれども、この辺りはどのようにお考えですか。
(外務大臣)これはパウエル氏の後任の方がどういう考えを持つかによりますが、基本的なラインである「六者協議重視」という姿勢は変わらないと思っていますので、そのラインは次の国務長官にも引き継がれるだろうと予測はしています。
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中国原子力潜水艦による領海侵犯・日中首脳会談
(問)中国についてですが、潜水艦の問題で先方から何か反応はありましたか。また、APECの機会に日中首脳会談が入るかどうかの見通しについてはどうでしょう。
(外務大臣)現在のところ、原潜について中国政府からの反応は何もありません。また、首脳会談については、私共は当然のこととして開かれる、先般も述べましたが、あのような原潜の事件があったからこそ開かれるべきであると思っており、そういう方針で今最後の調整をしています。
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外務大臣会見記録 (平成16年11月12日(金)17:34~ 於:本省会見室)
中国原子力潜水艦による領海侵犯
(外務大臣)先ほど、5時過ぎ、在京中国大使館の程永華公使を招致し、日本国政府から中国政府に対する申し入れを行ったところです。中国籍であるという判断は、既にご承知のように防衛庁長官が記者会見で発表していますので、そのことを前提にして、中国政府に対して強く抗議し、謝罪を求め、このような事態に至った理由について十分な説明を求めると共に、このような事案の再発防止を求めました。背景としては、ご承知の通り、東シナ海におけるガス田開発の問題、あるいは海洋調査船の問題といった一連の問題もあったわけであり、このことについては、先般10月下旬に日中間の協議も行われ、更に協議を続けようという矢先のことでもあり、大変遺憾であるということを伝えました。以上の申し入れに対し、誠実かつ迅速な対応を求めることを申し入れたところです。
程公使からは、この申し入れについては直ちに本国に報告すること、そして、中国も既に調査を行っているという話がありました。しかし、調査中であるが故に、今直ちに抗議を受け入れ、謝罪をするというわけにはいかないとの発言がありました。主なやりとりは以上の通りです。
(問)大臣から、外務大臣として、電話等で中国の外務大臣に伝えるということはあるのでしょうか。
(外務大臣)それは考えていません。
(問)先方は現在調査中ということですが、調査をまとめて改めて日本政府に申し開きをするという機会が来週にでもあるのでしょうか。
(外務大臣)来週かどうかはわかりませんが、当然、然るべきタイミングに回答があるものと思っています。
(問)程公使の発言が、潜水艦が中国のものであるということを事実上認めていると解釈していいのでしょうか。それともそうではないと解釈していいののでしょうか。
(外務大臣)認めているかどうか、そこを正に調査しているということだと思います。
(問)申し入れは口頭ででしょうか。
(外務大臣)そうです。
(問)APECで胡錦濤主席との日中首脳会談を行う努力をしていた矢先だと思うのですが、今回の事件がこういった首脳会談に与える影響はあるのでしょうか。
(外務大臣)問題があるから会わないというのでは首脳会談の意味がないだろうと思います。問題があればあったで、なければなかったで、やはり会談をするところに私は意味があるのだろうと思います。
(問)首脳会談の場でもこの問題を取り上げるということになるのでしょうか。
(外務大臣)首脳会談が開かれて、何も触れないというのは不自然なことでしょうね。
(問)これまでの日中関係は小泉首相の靖国参拝、ガス田の問題などぎくしゃくした状態が続いているところに、更なる問題が現れたわけですが、今後の日中関係の展開についてどう思いますか。
(外務大臣)私は、日中関係が全体としてそんなに悪い状態だとは思っていません。もちろん、問題はあります。全ての二国間関係で、問題がない関係はないと思います。日米関係においても、現在でも問題はあるわけであり、過去を遡れば極めて厳しい関係にあったこともあります。それでも、日米友好関係は変わらなかったということですから、その時々、瞬間瞬間のアップダウンはあるにせよ、日中関係というのは大切なものであり、そういう関係はしっかり維持し、発展していく努力をすることが、外交の本旨であると私は思っています。
(問)公使に対しては再発防止策のようなことも申し入れされたのですか。
(外務大臣)再発防止も強く求めています。
(問)潜水艦を中国籍と断定したのが今日になったのは何故ですか。
(外務大臣)これは防衛庁長官から話があったことだと思いますが、我が国の海から離れていった方向、そして潜水艦は原子力潜水艦であるという判断を始めとして、諸情報を総合的に勘案した結果として、中国海軍に属するものという判断ですから、そこは軍事的な要素も含めて防衛庁が判断したものと思います。
(問)大臣は、中国船籍であると判断されるという表現で公使に申し入れを行われたわけですか。「判断」という言葉ですか。
(外務大臣)「判断」という言葉を使いました。それは大野防衛庁長官も細田官房長官も「判断」という言葉を使ったと思っています。
(問)その判断が、防空識別圏を出た後に出されたということなのでしょうか。出るのを待って出されたのでしょうか。
(外務大臣)その点については、正確を期すためには、是非防衛庁に確認をしていただきたいと思います。
(問)APECや首脳会談に影響が予想されるにもかかわらずこういう判断をして、一国の外務大臣が直接会談の後に異例の会見をされるという意図についてはどうお考えですか。
(外務大臣)異例かどうかについては、私は経験が浅いのでよくわかりませんが、私が程公使を呼んで話をした以上、これはむしろ皆様方に対する責任として、私は会見を行った方がいいだろうと思ったからです。
(問)今日会われたのは程公使ですが、改めて王毅大使と会われて話をされるという考えはありますか。
(外務大臣)ありません。ちなみに王毅大使は地方を訪問されているということで、程公使が来られたということです。
(問)大臣は、中国側がいつまでに回答してくると考えていますか。
(外務大臣)早い方がいいでしょうが、何月何日までにということを求めるのも、それは先方の調査如何でしょうから。
(問)例えば首脳会談がもう一週間ほどでありますが、それまでには欲しいというような気持ちはありますか。
(外務大臣)個人的な気持ちを述べることは止めておきます。
(問)中国側の回答如何にかかわらず、APECでの日中首脳会談を開催する方向で模索していく、調整していくということですか。
(外務大臣)それは当然だと思います。当然そうです。先ほども述べたように、問題があるからやらないとか、問題がなければやるという性格のものではないと思います。
(問)今日のやり取りの中では首脳会談に対しての言及はどちらかからありましたか。
(外務大臣)ありません。
(問)今回のことで、来年度以降の対中ODAなどに関して厳しい声が上がると予想されるのですが、これについてはいかがでしょうか。
(外務大臣)そこまでのことは考えていません。
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外務大臣会見記録 (平成16年11月12日(金)09:40~ 於:衆議院議員食堂)
閣議
(外務大臣)今日の閣議では、会計検査員報告が出されたので、総理大臣から、その報告を活用し、不適正な予算執行がないようにそれぞれ注意してもらいたいとの指摘がありました。次に、大野防衛庁長官から、潜水艦問題に関する現在までの報告がありました。まだ潜行中の潜水艦に関することでもあり、国籍を特定するには至っていません。ただ、潜没・航行の時間から見て原子力潜水艦の可能性が高いと考えているという内容の報告がありました。
続いて、閣僚懇談会ですが、大野長官からサマーワでデモがあったことについて報告がありました。これは、自衛隊に引き続き止まって活動してもらいたいという百数十名の市民が横断幕を持つ等して、是非引き続き活動をしてもらいたいというデモがありました。反対の記事は紹介されますが、こういうことが一切マスコミに出ないのは誠に残念なことであるというコメントがあり、出席者も同意したという次第です。その後、私と大野長官が残って、総理とこの潜水艦の問題について、現在の状況と今後の段取り等について話し合いました。以上です。
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国籍不明潜水艦の領海侵犯
(問)今後の段取りというのは、具体的にはどういうイメージですか。
(外務大臣)現在の海上警備行動をどこかの時点で解除するということが一番のポイントです。それがいつになるかということでしょう。発動する時は総理大臣の判断を仰ぐことになっているのですが、解除は防衛庁長官独自の判断でできるということになっているそうです。総理より「無害通行」についての質問があったので、私より説明致しました。
(問)今朝方、原子力潜水艦が防空識別圏を出てしまいました。そうすると、今後、この問題は外交案件としてどう処理していくかということになると思うのですが、その辺りはどうでしょうか。
(外務大臣)国籍が判断できる状態になった後、然るべき外交上の対応措置は取ります。
(問)北京で曽慶紅国家副主席が、この点について関心を持って調査していると発言しているようですが、その点については日本政府としても...
(外務大臣)それをもって直ちに中国の原子力潜水艦であるという判断はできません。一つの周辺的な材料ではあるかもしれません。
(問)国籍の判断に至らないという理由は何ですか。
(外務大臣)それは防衛庁長官の判断です。
(問)然るべき措置というのは、抗議であったり再発防止の要請であるというようなことですか。
(外務大臣)そうですね、謝罪要求、原因究明、再発防止でしょう。
(問)閣僚懇の後、防衛庁長官と残られたということですが、大臣の方から潜水艦を巡る対応等について、何か意見等述べられましたか。
(外務大臣)このようにして行くことも考えられますということは、総理にも話しました。意見と言われても何を示すのかよくわかりませんが、相談はしました。
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日朝実務者協議
(外務大臣)北朝鮮については、今新聞に出ている以上の情報はありません。
(問)実務者協議については、今日が最終日と考えていいのでしょうか。
(外務大臣)どうでしょうか。その辺の感触も現地から伝わってこないのでわかりません。
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在日米軍の兵力構成見直し(極東条項)
(問)一部報道で、(極東条項について)外務省が見解を。
(外務大臣)ありません。全面否定です。
(問)ということは従来の通りだということですか。
(外務大臣)役所ですから、いろいろなケース・スタディーはします。頭の体操をしたら全てそれが役所の決定であるとか、正しい見解であるということにはなりません。
(問)日米審議官協議の中で、こうした見解を示していることはないということですか。
(外務大臣)まだ審議官級の報告は全く聞いていません。
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外務大臣会見記録 (平成16年11月9日(火)09:20~ 於:参議院議員食堂)
閣議
(外務大臣)今日の閣議では私から訪韓の報告をしました。小池大臣からは北方領土視察の話がありました。農水大臣からは災害対策、農業の現状など、以上が主な発言です。
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日朝実務者協議
(問)今日から日朝実務者協議が始まりましたが、改めて政府、外務省の協議に臨む姿勢と協議の見通し等、現段階ではどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)姿勢については累次述べているとおりです。しっかりとした交渉を行い、先方が誠実に対応することを期待しているということです。見通しについては、今日から始まるわけですから、この時点で新たな見通しを述べることは差し控えさせていただきます。
(問)代表団の平壌滞在中のスケジュールはどのようになっていますか。
(外務大臣)現時点ではまだわかりません。
(問)藪中局長の先方のカウンターパートについてはどのように見ていますか。
(外務大臣)宋日昊(ソン・イルホ)アジア局副局長が前回に引き続き参加するようですが、誰がトップになるかについては聞いていません。
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イラク情勢・自衛隊派遣延長
(問)イラクのファルージャの状況ですが、政府は既に非戦闘地域という認識を示しているようですが、あのように実際に爆撃とかがあると、やはり肯定しにくいのではないかと思うのですが、大臣はどのようにお考えですか。
(外務大臣)戦闘地域、非戦闘地域というのは法律上の用語です。法律上の用語で言うと、政府とそれに相対峙するものは国であるか、または国に準ずる組織であり、戦争状態に入っている地域を戦闘地域と言っているわけです。相手側がどういう組織であるか、反政府ゲリラ等いろいろ言われるわけですが、少なくとも法律で言う戦闘地域の定義には当てはまらないわけです。治安がいいとか悪いとは別にして、戦闘地域、非戦闘地域というのは法律上の用語ですから、少なくとも戦闘地域には当たらない。何故なら相手は国ではなく、国に準ずる組織でもないわけですから、そういう意味で戦闘地域ではありません。
(問)陸自がサマーワで人道支援を実施していますが、これに対する影響は。
(外務大臣)一部を除きイラク全土に非常事態宣言が出されたわけですから、注視していくことは当然のことだと思います。8日、我が方のイラク大使館がイラク暫定政府に照会したのですが、非常事態宣言はクルド地域を除くイラク全土に対して発出されているが、実際にこの宣言が施行されているのは基本的にファルージャとラマディ、バグダッドから西に100キロぐらいの所にある地域、この地域にとどめているということです。宣言が具体的に施行されているのはこの地域であり、サマーワを含めてイラクの大部分の地域は安定している、これがイラク暫定政府の認識というのが回答です。
(問)イラクの自衛隊派遣延長について、与党内から延長期間を一年と決めずに半年間にすればいいではないかという声が出たり、撤退期間を明示しないとする意見が出ているようですが、その辺についてはどうお考えですか。
(外務大臣)いろいろな考えがあることは承知しています。そういった意見を含めて、然るべきタイミングで決定したいと思っています。
(問)米国のべーカー大使から、派遣延長に対して正式な要請はあったのですか。
(外務大臣)全くありません。将来のことはわかりませんが、どういう要請があろうとなかろうと、日本政府が主体的に、独自に判断をして決めることです。
(問)サマーワにいる外務省の職員からは現地の治安状況についてどのように報告されているのでしょうか。
(外務大臣)迫撃砲、ロケット弾と言うのでしょうか、着弾しているということは現に10月にあったわけであり、もちろん緊張した姿勢で常に情報収集をしていますが、にわかに危険なことが充ち満ちているというような感じでは全くありません。日々報告が来ていますが、以上のような状況です。
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外務大臣会見記録 (平成16年11月5日(金)09:21~09:25 於:院内大臣室前)
閣議
(外務大臣)外務省として、人事について若干あった他は特にありません。アルジェリアのブーテフリカ大統領がお見えになるという話がありました。
(問)残られてから総理と何かお話になったのですか。
(外務大臣)官房長官といろいろ話があったものですから。
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イラクの自衛隊派遣
(問)イラクの自衛隊の派遣延長問題ですが、ブッシュ大統領が再選された訳ですが、この問題について判断の時期や基準などについては現時点でどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)12月14日まで、まだ相当時間があります。これからいろいろな情報収集をしっかり行って総合的に判断をする、今はその時期では全くありません。
(問)サマーワの治安状況については、懸念されるような事態も起きているわけですが、そのあたりについては。
(外務大臣)その辺もしっかりと情報収集を行い、どういう治安状況かということをこれからしっかり把握をしていきます。
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鈴木元議員判決公判
(問)ロシア、中央アジア、アフリカ外交で影響力を持っていた鈴木元議員が、外務省とは直接関係ない案件ではありますが、今日、判決公判を迎えます。迎えるにあたってどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)今、裁判で問題になっていることは直接外務省の事案ではないと承知をしていますが、鈴木元議員と外務省との関係についていろいろなご指摘を頂いたことは、私共もよく承知をしています。従って、我が省としては、いろいろな改革を川口前外務大臣の下で進めて来ており、それがかなり徹底してきていると思っていますので、あのようなことは今後は発生しないであろうと思っています。いずれにしても、しっかりと反省材料にしながら、正しい外交活動ができるように、正しいという表現は若干正確ではないですが、要するに皆様方から批判を招くようなことがないような外務省の行政に精励していく必要があると思います。
(問)ロシア外交の中身といいますか、鈴木元議員が行った中身についてはどのように考えていますでしょうか。
(外務大臣)それについてはコメントを差し控えます。私も鈴木元議員がどのようなことを行っていたのか正確には承知をしていませんので。
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日韓首脳会談
(問)話は変わるのですが、12月に鹿児島の指宿で行われる日韓首脳会談について、韓国内で、鹿児島という地が西郷隆盛が征韓論を主張した地ということで一部から批判が出ていることを受けて、潘基文外交通商相も検討の余地もあり得るという趣旨の発言をされているようなのですが、これから大臣は韓国を訪問されますが、これは外相会談等で議題としてとりあげられるのでしょうか。
(外務大臣)我が方に対して正式な問題提起はございません。しかも外交的に完全に一度決まったものです。特段大きな状況、事情の変化があれば別として、それがないのにこれを変えるということは常識的にあり得ないことだと私は思っています。従って、外相会談で議題になることもないだろうと思っています。
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外務大臣会見記録 (平成16年11月2日(火)09:18~09:23 於:院内大臣室前)
(外務大臣)閣議では、今回の人質事件の経緯、結果について報告しました。外務省関係はそれだけです。
次に、昨夜、第3回日朝実務者協議をどのような形で行うか、概要がまとまりましたので発表します。11月9日(火)から11月12日(金)まで、我が方からは外務省藪中アジア局長を団長として、内閣府の家族支援室の方々、警察庁、総勢15名前後の団で参ります。先方は、これまでの外交関係の方に加え、調査委員会というのができていますが、その調査委員会の方々も適宜出席するということになっています。私共は、今回は非常に重要な会議と位置づけており、先方から必要な説明があるだろうと期待しています。結果がどのようになるのかは、私はまだよく分かりません。
報道によると、有元さんの写真、パスポート等の提示があったのではないかとありますが、大使館ルートで有元さんのパスポートと写真、横田めぐみさんのものと思われる病院のカルテが提示されていますが、このカルテについては非常に判読が難しく、不鮮明で、一応それらしきものが提示されているということです。
(問)調査委員会の責任者は。
(外務大臣)どういうレベルかはまだ分かっていません。
(問)北朝鮮側のトップは誰でしょうか。
(外務大臣)それも、まだはっきりしておりません。
(問)そのうち、実質、何日間を協議にあてられるのでしょうか。
(外務大臣)日程の詳細はまだ決まっていません。
(問)有元さん、横田さんのものが提示されたということは、どういう意味をもつのでしょうか。
(外務大臣)事前に、彼らなりに、誠意を示そうということではなかろうかと想像されますが、突然その場で示されるよりは、当然、必要な情報は事前に提示しなさいと我々も言っている訳ですから、それに応えたものでなかろうかと思います。
(問)それは安否に何らかの意味をもつものでしょうか。
(外務大臣)それは、実際、彼らとやりとりをしてみないと分かりません。
(問)今回の成り行き次第で、今後の協議の継続はどうなるのでしょうか。
(外務大臣)今後のことは、まず実際に協議を行ってみて、その結果を見て判断します。予断をもって会議に臨む訳ではありません。
(問)警察庁の方は、具体的に鑑識をするとか、どのような役割なのでしょうか。
(外務大臣)この安否不明の方々に関して、これまで取り組んできた関係者だと思います。そういう情報に詳しい方ということです。
(問)場所は平壌でしょうか。
(外務大臣)そうです。
(問)4日間というのは従来より長いのですが、どういう意味をもつのでしょうか。
(外務大臣)その間に真剣な協議をしようということの表れだと思います。物理的に飛行機が2便しかないということ以上に、私は、そこで真剣な協議が行われるとの意味合いに解釈しています。
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