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記者会見

外務大臣会見記録(平成16年10月)


INDEX


・ 外務大臣会見記録(10月31日付)
 ・ イラク邦人人質事件


・ 外務大臣会見記録(10月29日付)
 ・ 閣議
 ・ イラク邦人人質事件
 ・ 閣僚の資産公開
 ・ 三位一体の改革


・ 外務大臣会見記録(10月26日付)
 ・ 閣議
 ・ テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更
 ・ スーダン南部ダルフール地域等における人道状況改善に係る緊急無償資金協力
 ・ 新潟県中越地震
 ・ 東シナ海に関する日中協議
 ・ 北朝鮮への食糧支援


・ 外務大臣会見記録(10月22日付)
 ・ 閣議
 ・ 経済連携協定関係閣僚会議
 ・ 東シナ海に関する日中協議
 ・ 国連改革のためのハイレベル委員会報告書
 ・ BSE協議
 ・ 在日米軍の兵力構成見直し
 ・ パウエル長官との会談(六者会合)


・ 外務大臣会見記録(10月19日付)
 ・ 閣議
 ・ 閣僚懇談会
 ・ 米国の北朝鮮人権法案
 ・ 在日米軍の兵力構成見直し


・ 外務大臣会見記録(10月15日付)
 ・ 閣議
 ・ イラク復興信託基金ドナー委員会会合及び拡大会合
 ・ 大臣の沖縄訪問
 ・ 米軍再編問題
 ・ 安全保障理事会
 ・ 日露次官級協議
 ・ 米大統領選挙


・ 外務大臣会見記録(10月12日付)
 ・ 閣議(イラク復興支援、総理のASEM出席、大臣の訪米・訪越)
 ・ 沖縄在日米軍ヘリ墜落事故関係大臣等会合
 ・ 米軍再編問題
 ・ 日中関係
 ・ イラク復興信託基金ドナー委員会及び拡大会合


・ 外務大臣会見記録(10月5日付)
 ・ 閣議(スーダン難民に対する物資協力の実施他)等
 ・ 町村大臣の米国及びベトナム訪問
 ・ 米軍再編成


・ 外務大臣会見記録(10月1日付)
 ・ 閣議(ODA白書2004年版他)
 ・ ASEM首脳会議
 ・ 六者会合
 ・ 京都議定書
 ・ イチロー選手の大リーグ安打記録
 ・ 外務省内人事






外務大臣会見記録 (平成16年10月31日(日)10:18~ 於:本省会見室)

・イラク邦人人質事件

(外務大臣)イラクの人質事件について発表致します。政府としては、日本時間の今朝イラク市内で発見されました遺体の身元確認に努めてきましたが、大変残念なことに、先ほどこれが香田証生さんのご遺体であるということを確認を致しました。27日に香田さんの拘束の第一報に接して以来、政府としては、香田さんの一刻も早い解放のために全力を尽くしてきたにもかかわらず、今回テロの犠牲になられたことは誠に痛恨の極みであります。心から哀悼の意を表しますとともに、ご家族に対して心からのお悔やみを申し上げます。ご家族の気持ちを十分に踏まえながら、政府と致しましても更に最大限のご支援、ご協力を行って参ることとしております。無辜の民間人の命を奪いました今回のテロは、誠に卑劣極まりない行為であり、改めて強い憤りを覚えております。こうした行為は断じて許すことができません。日本としては、国際社会と協力して、今後とも断固たる姿勢でテロとの闘いを続けなければならないと考えます。今回、最悪の結果となってしまいましたけれども、ご協力を頂きましたイラク政府をはじめ、関係各国や関係者の方々に、改めて心からお礼を申し上げます。冒頭私から申し上げることは以上です。

(問)確認の方法なのですが、最終的な確認の決め手は何だったのでしょうか。

(外務大臣)大使館の警備関係者が遺体の指紋、その他の身体的特徴に関する情報を収集しまして、それを東京に電送してもらいました。外務省の対策本部におきまして、警察庁とも緊密に連携を致しまして、総合的に判断をした結果でした。指紋の同一性につきましては、警察庁の専門家の意見を踏まえて判断したところです。

(問)犯行グループからの声明なりあるのでしょうか。

(外務大臣)ございません。

(問)この遺体はどういった状況で発見されたのでしょうか。

(外務大臣)いろいろな報道があるようですが、その状況の詳細について、今、私から申し上げることはご遺族のお気持ち等を考えた時に、あえて詳しく申し述べることは控えさせて頂きます。

(問)ご家族には御連絡は。

(外務大臣)先程、私から連絡を致しました。心からのお悔やみを申し上げ、残念ながらご本人である確認をしたということをお悔やみと共に報告を致しました。

(問)ご家族は何とおっしゃられていたのでしょうか。

(外務大臣)その詳細は、あえて控えた方がいいのではないでしょうか。もちろん、状況はわかりましたということでした。

(問)今後、香田さんの遺体はどのようにして日本に運び出すのでしょうか。

(外務大臣)イラク国内で所要の法的手続きがあるはずです。その上でバクダットからクウェート経由するかたちで日本に空路輸送されると思います。まだ、詳細な時間等々について はわか っておりません。今、関係する方面と目下調整中です。

(問)ご遺族はクェートに行かれるとかそのような意向はあるのでしょうか。

(外務大臣)先程、第一報ということでお知らせをしたばかりであり、その電話の中でどうなさいますかと聞くことは、やはり憚りましたのでそれはまだ聞いておりません。いずれ確認をさせて頂ければと思っています。

(問)自衛隊の派遣に反発するグループがこのような事件を引き起こしたわけですが、その点については政府としてはどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)自衛隊の派遣ということを名目にしているようですが、彼らはテロリスト集団であるという認識をもつべきであり、私共としては、自衛隊の活動というものは、現地の方々から、あるいはイラク政府から、また、国際社会からも高い評価を受けている人道的な支援活動です。それを続けることがイラク国民のためにもなるし、また、国際社会のためにもなる、こういう判断で今イラクで自衛隊の皆さんに活動をして頂いています。従って、テロに屈するかたちで私共は自衛隊を引き上げるということは致しません。

(問)派遣延長の方針案は変わらないと考えてよろしいのでしょうか。

(外務大臣)派遣の期限は12月14日です。その前の段階で、諸般の状況を判断して決めるわけですから、今「延長の方針は」と言われましたが、別に延長方針を決めたわけでもありません。今後、しっかりと状況判断をして、決定して参ります。

(問)その判断にあたって、今回の事件は何らかの影響を及ぼすと考えても宜しいでしょうか。

(外務大臣)いろいろな状況を判断して私共は決定をして参ります。

(問)犯行グループとの交渉で接触の状況は進んでいたのでしょうか。

(外務大臣)人質解放に向けて、ありとあらゆる努力を行って参りました。ただ、その詳細について申し上げることは、今回こういう状況の中での殺人というのでしょうか、犯行ということ、そして、現実にイラクでは、まだ、こうした人質事件がおきているといったようなこと、相手国政府と関係者との信義ということもありますので、どういうかたちでどういう活動をしてきたかという詳細を、今、申し上げるのは不適切だろうと考えます。

(問)外務省はかねてからイラクへの渡航を取り止めるようにということで退避勧告を出していましたが、今回香田さんがこれを無視するようなかたちで入り、残念な結果に終わったのですが、今後、退避勧告や渡航安全情報の出し方を検討するといった考えはありますか。

(外務大臣)私共としては今までに60回以上も極めて危険な地域である、渡航はできませんということを何度も何度も申し上げています。そのことはテレビ、インターネット、FAX、電話サービス等ありとあらゆる方法で周知徹底をはかっております。例えば今回ヨルダンのアンマンからイラクに入りましたが、これが一つのルートのようですので、アンマンの日本人が泊まりそうなホテルには日本語で貼り紙をする。そしてホテルの方々にも頼んで、日本人が来た場合には是非それを止めるようお願いをしてあります。現実に今回もそういう事をやってくれている訳です。そういう形で、それが100%十分だったかは分かりませんが、考えられる全ての手段を尽くしてきたと思います。それにも拘わらず、この危険な地域に入られる方が現実におられた訳であり、残念としか言いようがない訳であります。法的に制約をするという考えがある事は承知をしておりますが、このことはいわば憲法に保証された移動の自由、或いは海外に移住する自由、これとの兼ね合いでその種の立法が果たして成り立つかどうか、そこは慎重に考えなければいけない性格の対応だと思います。

(問)ご遺体の確認方法だが、歯形や血液も調べたのですか。

(外務大臣)「電送」ということを申し上げましたが、血液、歯形の確認までやっているかどうか私は承知しておりません。最も確実であろうと思われる指紋、これは電送し易いものですので、早く確実に本人確認をするという事を考えた時、指紋ということを重視いたしました。

(問)今回一連の情報収集を通じて何か反省点、または教訓になった点はありますか。

(外務大臣)このような最も望まれない結果になってしまった訳ですから、それはいろいろな部分で、いろいろな局面で反省することはあると思いますが、特に昨日、少なくとも情報の混乱を生じさせてしまったということは途中経過とはいえ反省する点もあったと思います。しかし、総体としては我々はできる限りの事を行い、また在外公館の皆さん方も含めて、非常に数多くの、二十数カ国の在外公館大使始め皆さん方があらゆる努力をしてくれた。またそれに対応して、それぞれの国の関係者等が、あるいは民間の方を含めてですが、いろんな対応をしてくれた。それらの事は、ベストであったのであれば解放されたのかもしれません。そこまで行き着かなかった訳ですが、考えられるあらゆる努力を私共はやったつもりです。

(問)谷川副大臣はこの後どこかに行く予定はありますか。

(外務大臣)今連絡を取っているところであり、今後の行動をまだはっきり決めた訳ではありませんが、先程申しあげたとおり、多分ご遺体はクェートに運ばれることになると思います。従って、谷川現地本部長にもクェートに移動して頂く事を目下検討中です。

(問)4月の人質事件では無事解放されたが、今回は最悪の結果になった訳ですが、何が異なっていたと考えますか。

(外務大臣)今回の犯行グループがザルカウィ又はそれに関連する団体であったわけですが、我々が知りうる限りでは、このザルカウィ関係の団体は、非常にこれまでの団体とは異なり犯罪の経験をいくつも犯してきています。いろいろなルートで何とか解放を目指して努力をしてきましたが、そういう点において、4月に経験したグループよりは困難な面があったという感じがしています。

(問)ザルカウィのグループの犯行であるということを考えた時点で、すでに最悪の結果もある程度念頭にはあったということですか。

(外務大臣)我々は常に解放ということを目指して一所懸命努力してきたわけです。

(問)この件で総理とは話されたでしょうか。

(外務大臣)この会見場に来る直前に総理には私から電話で報告しました。

(問)何か述べられましたか。

(外務大臣)状況はわかりましたということでした。

(問)遺体の状況ですが、この場では差し控えたいということでしたが、後で別の形で情報は提供して頂けるのでしょうか。

(外務大臣)それは考えさせてください。

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外務大臣会見記録 (平成16年10月29日(金)9:00 ~ 於:本省会見室)

・閣議

・イラク邦人人質事件

(外務大臣)今朝の閣議ですが、労働力調査等のいろいろ重要な案件がありましたが、私からの報告は特にありませんでした。
 閣僚懇談会では、総理、官房長官から現下の人質問題についての発言があり、私も発言を行いました。今朝7時半から官邸で対策本部の会議が開かれ、細田官房長官の主催の下で関係大臣が出席して行われました。私からは閣僚懇談会で次の報告を行いました。27日早朝に発生したこの事件は丸二日が経過しましたが、犯人側からは特に新しい声明等は出されていません。外務省としては、本省に加えアンマンに現地対策本部を作り、谷川副大臣を現地に派遣して情報収集等、必要な活動を行っています。私自身もイラクの首相、外務大臣、あるいは米国、英国、イタリア等の外務大臣に接触をして、必要な情報提供あるいは所要の力添えをお願いする活動をしています。またアル・ジャジーラ等のテレビに出演して解放を訴える活動をしているところです。家族の方も昨日の夜、アル・ジャジーラを通じて家族の解放を訴えるということもありました。今後の見通しですが、現時点で確たることを申し上げる状況にはないわけですが、現地対策本部と連絡を取りながら引き続き救出に向けて全力を挙げていくということです。バグダッドとその周辺は治安状況が引き続き悪く、同種の事件が再発しないように、関係者の方々には渡航自粛はもとよりですが現在イラクにいる方々も可能な限り速やかに退避、退出してもらいたいとのお願いをしたという報告をしました。私からは以上です。

(問)ウエブサイトに載った時及びアル・ジャジーラで実際流れた時から48時間が経過したわけですが、そのことについての現状はどうですか。

(外務大臣)正確にどこが起点であるかはよくわからないところですが、確かにご指摘の通り丸二日経ったということです。現状では、明確な安否情報について確信を持てる情報には接しておりませんので、引き続き救出に向けて全力を挙げるという姿勢で活動をしていこうと思っています。

(問)今日の閣議及び閣僚懇談会での大臣の発言というのはどういう趣旨でしたか。

(外務大臣)先程申し上げた内容です。

(問)その際、総理から具体的に閣僚に対して何か指示はあったのですか。

(外務大臣)これまでの関係者の努力に感謝するという発言と引き続き救出に向けて関係者の更なる一層の努力を望むということでした。また、いろいろな情報が錯綜するといけないので必要な情報は官房長官及び外務大臣に集中するようにという指示がありました。

(問)大臣、改めて退避勧告をとられたということなのですが、4月の人質事件の際にもそれを受けて与党が渡航禁止法制化等を検討して、憲法に抵触するおそれがあるということだったのですが、改めてこの種の事件の再発防止に向けた対応というのはどのように考えていますか。

(外務大臣)今、救出に全力を上げているところですので、直ちにそのような法律的な手当をすることを具体的に検討をしているわけではありません。そのような意見が省内外にあることは承知をしています。一段落したら、その問題はその問題でまた別途考えなければいけないテーマだとは思います。ただ、なかなか実効性等を考えると難しい面もあるのかなという気もします。現状では、そういうことを行ったら当然だという声もありますが、他方、冷静な事態になった時にそのような話をすると、今度はやりすぎだという声が必ず上がるでしょうから、その辺の兼ね合いというかバランスの難しいところかなと思います。

(問)昨日、ご家族とは会えませんでしたが、今日は会う予定はありますか。

(外務大臣)先方には要望があればいつでも会いますということは伝えてありますが、今の時点では特にそのような要望はありません。

(問)改めて、犯行グループ、武装勢力に対して外務大臣として呼び掛けたいことはありますか。

(外務大臣)再三、メディア等を通じて私共の考えは申し上げているわけですが、日本というのはイラクにとってまさに友人であること、これまでも長い間イラクとの友好関係を保ってきたし、今もまたイラクの復興支援のために自衛隊を派遣したり、あるいは資金面でも最大限の協力をしている友人である日本人。しかも、誤解かどうかわかりませんが、自衛隊関係者あるいは政府関係者ではないかと言われていますが、全く普通の一市民である人を捕らえて、要求を突きつけるというのは、誠に理解し難い行動です。従って、一刻も早く人質を釈放、解放してもらいたいと強く強く先方のグループには訴えたいということです。

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・閣僚の資産公開

(問)本日、閣僚の資産公開が夕方発表されますがコメントをいただけますか。

(外務大臣)私及び妻の資産公開をしたわけですが、しばしば多いと思うか少ないと思うかということを問われるのですが、多い少ないは自分が決めることではなく皆様方の判断に委ねるしかないと思っています。普通の感覚からすると、何が普通かは若干不明瞭ですが、東京及びその他の土地がかなりあるので、そういう意味では多いという感覚を持たれる方もおられると思いますが、大部分は両親から相続をしたものであり、そういう意味では親の有り難さというものを強く感じています。

(問)資産公開の制度自体については大臣はどう思われますか。

(外務大臣)これは大臣就任時と離任時に資産の大きな変動があったかどうかを見るという目的だと私は理解しているので、この仕組みはこの仕組みとして私は意味のある制度だと思っています。

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・三位一体の改革

(問)本来の外務大臣の職務とはあまり関係ないのですが、今日の閣議後の閣僚懇談会の中で細田官房長官から三位一体に関しての発言はあったのでしょうか。

(外務大臣)今日、三位一体について細田官房長官からありました。第一ラウンドと言いますか関係閣僚との話し合いが終わったところで、引き続き当初の予定通り進めたいが、今後関係大臣、官房長官、財務大臣、総務大臣、経済担当大臣等、個別によく調整をしていく。更には与党関係者を含め全力で調整をして、11月の中下旬に与えられた期間があるようですから、それに向けて全力で調整をして話し合いをしていきたい。それに関して総理からも、地方団体の考え方を最大限尊重する形で結論が出るように努力をしてもらいたい。ただ勿論、関係者、与党との調整は十二分にやらなければいけない。11月2日に関係大臣と与党の関係者との協議の場を持つという話を細田官房長官はしていました。それに関連して、1~2人の大臣から発言がありました。

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外務大臣会見記録 (平成16年10月26日(金)09:30~ 於:院内控室)

・閣議

・テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更

・スーダン南部ダルフール地域等における人道状況改善に係る緊急無償資金協力

・新潟県中越地震

(外務大臣)本日の閣議案件ですが、アフガニスタンに関係するテロ特措法に基づく対応です。ご承知の通り10月末で切れることから、11月1日以降どうするかについて、昨日、安保会議を開き、本日、閣議で更に半年間延長することで、基本計画の変更についての閣議決定をしたところです。尚、艦艇搭載ヘリコプター用燃料と水を追加する内容の変更もありました。
 次に、スーダン西部ダルフール地域の国内避難民、およびチャド領内のスーダン難民にかかる緊急支援について、既に6月11日に600万ドルの拠出を表明し、更に9月22日、国連のアピールに応えて1,500万ドルの拠出をすることを決めていたわけですが、この1,500万ドルの内、今回1,150万ドル(12億6,500万円)の緊急無償資金協力を行うことを閣議決定しました。細かく言えば、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に400万ドル、UNICEF(国連児童基金)に350万ドル、ION(国際移住機関)に200万ドル、ICRC(赤十字国際委員会)に200万ドル、計1,150万ドルです。
 尚、災害関係について村田大臣等々から話しがあり、また総理からも、しっかり取り組む必要があることや各省庁の協力、各自治体との連携ということについて話しがありました。また、谷垣大臣からは、必要あらば補正予算も来年度の通常国会の冒頭で出すこと、それまでは予備費の活用でしっかり行っていくという話しがありました。尚、本日、総理はヘリコプターで地震と台風の両方の被災地を回る予定にしていましたが、あいにくのこの天候でヘリコプターで行くことができなくなりました。今後どうするのか詳細はわかりませんが、飛行機で新潟空港に行って、その後、車で被災地を回るということになるかもしれないと述べておられました。私が詳しく言及できる話しではないかもしれませんが、そのようなことのようです。

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・東シナ海に関する日中協議

(問)海洋ガス田に関する日中協議にあまり進展がなかったようですが、本件についてはいかがですか。

(外務大臣)昨夜遅くに、時差があるので夜でしたが、アジア局長から国際電話をもらい概要の報告を受けました。今、言及されたとおり、率直な意見を述べ合ったものの、先方から春暁構造等について情報提供を求めたわけですが、一般的な地質の説明等はありましたが、具体的な情報提示はありませんでした。また、春暁構造における採掘は中間線の日本側水域に影響しないとの説明があったということです。我が方としては、十分な情報提供が行われたとは考えません。更に、鉱区を日本側の水域において設定しているのではないかという件について、中国側からは、自然延長論に基づいて中国の主権的権利が及ぶ水域について鉱区設定をする権利はあるが、実際の作業は行っていないという説明がありました。いずれにしても協議は今回1回限りではないということで、今後引き続き協議を継続し日中双方で努力していくことが、結論になったということです。藪中局長が帰国してから、よく報告を聞いた上で今後どう対応するか、経済産業大臣ともまた相談をしながら、きちんとした対応をしていきたいと考えています。

(問)この協議は中国側から提案をしてきたにもかかわらず、中国側は何も情報提供しなかったのですが、このような中国側の対応についてはどう思いますか。

(外務大臣)これはハノイでの日中外相会談で先方から行いましょうということであったわけですから、当然事前にこういう情報についてという話をしてあるはずですから、それに対する回答がこの程度であったということは、先程述べたように不十分であると言わざる得ない状況だと思っています。いづれにしても協議は継続ということですので、1回限りではないと理解しています。

(問)昨日のレベルでの協議を続けていくことになるということでしょうか。

(外務大臣)まだ局長が帰国していませんので、よく帰省報告を聞いてから今後の対応を考えたいと思いますが、今までと同じようなことばかり行っていてもいいのだろうかという率直な思いはあります。

(問)同じことを行っていいのかというのは、情報提供をということでしょうか。

(外務大臣)抗議をしたり、情報提供を求めるということは、これまでも行ってきたわけですから。

(問)どういう選択肢があるのでしょうか。

(外務大臣)よく考えますこれから。

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・北朝鮮への食糧支援

(問)北朝鮮に対する食糧支援の状況について、日本政府からも調査団を派遣するという報道がありますが、調整はどのようになっているのでしょうか。

(外務大臣)昨日、WFP(国連世界食糧計画)のモリス事務局長が来訪され、北朝鮮の大変憂うべき食糧事情、子供達の健康状態を何とかしなければならないという思いで、今、世界にアピールしているということでした。約100万トンの食糧、穀物が不足しているということです。半分程度は韓国が出しますが、後の半分を何とかしたいということでした。日本も12万5,0 00トンを出すことを決め、その他の国々、米国等も提供するということになっています。引き続き日本の協力を強くお願いをするという依頼がありました。これは、総理が訪朝した時の約束でもあり、また、人道支援ということでWFP等からの要請もあることから行っているものです。9月末に既に第1陣の食糧が届いています。その後も順次届いているようですので、概ね全部届いたのでしょうか、正確ではありませんがかなり届いているはずですので、それらが、確実に本当に必要とする末端の消費者まで届いているかどうか、モニタリングをする必要があり、我が方からも何名かの要員を派遣をすることでWFPとも調整をしているところです。調整がつき次第、現地に赴きます。時期はわかりませんが、あまり時間が経っても仕方がありませんので、今、言及のあった11月の早い時期になるのでしょうか、時期は必ずしもはっきりとしていませんが、その辺のタイミングで人を派遣することになるかと思います。

(問)食糧支援では、残り半分の実施というのはどのようになるのでしょうか。

(外務大臣)これについては、我が方の判断もさることながら、国際機関の具体的な要請なりを受け止めながら行わなければならないということもあり、よく国際機関とも調整して話しを進めていくということです。

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外務大臣会見記録 (平成16年10月22日(金)10:00~ 於:会見室)

・閣議

・経済連携協定関係閣僚会議

・東シナ海に関する日中協議

(外務大臣)今朝の閣議では人事案件として、ザンビア大使に宮下正明氏、コンゴ大使に柳谷俊範氏の人事がありました。その他に直接外務省に関係するものはありませんが、台風により大変な被害が出ているということで、防災担当大臣から縷々説明があり、皆でしっかり取り組もうということを言われました。その後、経済連携協定関係閣僚会議が開かれ、細田官房長官が主催し、外務、経済産業、農林水産、厚生労働、財務の五大臣が集まり、11月にASEAN参加国を中心にかなり煮詰めた会合が相次いで行われるため、それにしっかり各省協力して取り組んで行くことを確認しました。各省がどういう問題を抱え、どういう方針で臨むかという確認をして、いずれにしてもできるだけ早い時期に成果が上がるように努力をすることで、今後随時必要であるならば会議を開催することを確認し合いました。更に引き続き、中川経済産業大臣と私との間で、25日(月)に、日中の局長レベルの会議、外務省からアジア太平洋局長と経済産業省は資源エネルギー庁長官が中国を訪れ、海洋権益問題についての最初の協議会を開くことになっていることから、この問題について改めて閣僚レベルでしっかりと取り組んでいくことを確認しました。その後のことについては、会議の様子を見て判断しますが、一点は海洋権益の問題、二点目は(中国による)海洋調査が最近非常に増えてきていること、通報もなく行われているのは非常に遺憾であること、そのことは私も先般王毅大使にも申し上げたところですが、改めて先方との会議の場でそのことをはっきり述べるという二つの目的で25日の会議は開かれるということです。そのことを閣僚レベルでも再確認するため今日打合せをしたということです。私の方からは以上です。

(問)日中協議ですが、その目的と、今まで日本側はデータの提供を求めているのですが、それが無かった場合、今後はどのように対応をするのでしょうか。

(外務大臣)すぐそのように対北朝鮮交渉と同じことを考えるのは、いかがなものかと思います。まずこれは、従前からきちんとした情報交換が必要だということを我々は述べてきており、ハノイでの私と先方外交部長との会談の中で、先方から協議を行いましょうということなので、それは大変結構だというやりとりがあったわけです。それに基づいて、まず、先方がどういう行為をしているのかということについてきちんとした情報提供を求める、それに基づいて議論をするというのが目的です。提供がなかったら、その次どうするのかということは、予めそこまで全部いろいろ考えて、最悪の事態はどうするのかのような差し迫った話し合いの場ではないと思います。

(問)中川大臣との会談の中では、その情報提供に対する対処とか、中国が以前、提案したことのある共同開発とか、そういった具体的な話しの中身についても意見交換とかあったのでしょうか。

(外務大臣)事実上、第1回目の協議なので、どのような話しになってくるか、よくその帰趨を見極めて今後のことを考えていきます。

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・国連改革のためのハイレベル委員会報告書

(問)国連安保理改革の件ですが、事務総長のハイレベル諮問委員会の中に、拒否権のない常任理事国と言いますか、今の非常任理事国にちょっと色を付けたような形のようですが、そういうものを作ろうという発想があるようです。日本としてはこれに対してどのようにお考えですか。

(外務大臣)先般、たまたま挨拶に来られたJICA総裁がそのメンバーの一人であることから伺ったところ、とりあえず第一次稿が出来て、これからまた第二次稿、第三次稿になって、最終レポートになるのではないかということでした。二次、三次と同総裁がそう言ったわけではありませんが、第一次稿が今後どんどん変わっていくという段階のようです。私共はその原稿と言いますか、第一次稿と言いますか、それを見ていないので、今、あえてそれにコメントをする必要はないだろうと思います。ただ常識的に考えて、その報告書の性格からして、元より特定の国を常任理事国にすべきだとか、すべきでないということを盛り込む報告書ではないだろうと思います。常任理事国の数を増やした方がいいといった総論は勧告の中で出てくることは想像できても、この国を入れろとか、この国は入れてはならないということは、元よりそういう事に触れる性格の報告書ではないと思います。そんなこと書くと大もめにもめてしまいますので。日本が入っていないのは問題だという一部報道が昨日の夕刊にありましたが、私からすればこういうコメント自体がおかしいのであって、元より特定の国名が挙がるべき性格の報告書でないことは、頭の体操をすればわかります。

(問)日本としてはあくまで拒否権のある今の常任理事国と同じ形での常任理事国入りを求めるという考えで変わりはないのでしょうか。

(外務大臣)一昨日の国会で小泉総理は、常任理事国の中に差を設けるべきではないという発言をされていましたが、それでいいのだろうと思います。

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・BSE協議

(問)昨日からはじまった日米のBSE協議ですが、まだ、初日が終わった段階ですが、双方の溝というか、主張の開きが残っている状態だと伺っています。外務省として、どういった形での決着を模索されるのか改めてお伺いしたいのですが。

(外務大臣)私は、昨日までの協議の詳細をまだ聞いていません。どういう議論が行われているのか詳細を承知していませんので、コメントのしようがありません。昨日、今日と2日間、精力的に議論をして頂ければ、私は、一定の答がでるのではないかと思います。

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・在日米軍の兵力構成見直し

(問)米軍再編問題の関係ですが、国会でもこの数日議論があり、極東条項を巡っての話は政党からも出ていて、昨日、例えば久間総務会長がその極東条項というのはもともと地域的な制約を定めたものではなく、日本の平和と安全に役立つのであれば、必要があれば極東以外での対処も考えられるものだ、時代が変わったのでその脅威にどう対処するのかという観点から考えれば、極東条項というのは時代に応じて柔軟に考えていいのではないのかという趣旨のことを述べていました。大野防衛庁長官の答弁にもその発想に通じるものがあると思いますが、大臣がもともと述べられた「極東条項にとらわれず」という考えもそれとほぼ同様の考えと受け取ったのですが、いかがでしょうか。

(外務大臣)少し違うと思うのですが。大野長官が述べたことは、昨日、国会で答弁がありましたから、それはその通り受け取ってください。久間会長がどのような意図で述べたのか私もわかりませんので、それについてのコメントは差し控えます。私が述べたのは、日米協力ということにはもちろん伝統的な安全保障条約に基づく体系というのが一つあります。しかし、それにとどまらず、現実には安保条約に基づかなくても、日米協力というものが、現実にテロ特措法であれ、あるいはイラク対処法であれ行っているわけです。そういう形で、幅広い世界平和のため日米がいろいろな形で協力できるという視点を持ちながら、米軍の再編成という問題もまず考え始める、議論をし始めるというところから出発しないと、最初からその極東の中だけで限定して物事を考えるということはどうでしょうか。現実に今、日米が果たしている、安保条約というスコープを越えて現実に今いろいろな協力が行われているわけですから、そういう自由な議論を妨げないように、まず、議論を始めたらどうかということです。私は、安保条約や極東条項を無視して、全てを決めたらいいといったつもりは一度もありません。いつも申し上げていましたが、最後は現実に条約があり、また、その解釈があり運用があるわけですから、その積み重ねもあるわけですから、それとの整合性をきちんととっていくということは、当然のことです。一言で最初からそこで議論を始めると、それは非常に現実とかけ離れた歪な議論になるのではないかという常識論を私は申し上げたのであって、大野長官が一昨日、個人的な見解と称して言われた中身とは、私が言っていることとは大分違うと思います。いずれにしても、政府の公式見解は、昨日、大野長官あるいは細田長官が答弁されたので、それでいいのだと私は思っています。

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・パウエル長官との会談(六者会合)

(問)日曜日にパウエル長官とも会談をされるかと思いますが、その中の一つに日中韓米も含めた共通課題、六者会合の北朝鮮の核問題を巡る問題があるかと思います。なかなか六者会合を開催できずに膠着状態が続いていますが、今度のパウエル長官との会談では、前回、訪米された時も話しをされていますが、大統領選といった時期的なものも含めて、どういった観点でパウエル長官との会談をされるのか、その辺りをお伺いできますか。

(外務大臣)特定のテーマ、議題で議論をするわけではなく、幅広く何でも議論をしようという感じでお目に掛かります。しかし、当然のことながら、今、ご指摘のような北朝鮮問題が議論されないということはないわけです。確かに、言及された通り、少しモメンタムが失われつつある状態というのは、大変好ましからざる事態と私も思っています。できるだけ早く、次回六者会合が開かれるように国際的ないろいろな努力を積み重ねていかなくてはいけない。北朝鮮のナンバー2とも言われる方が中国の胡錦濤主席とも会い、その場でも六者会合の必要性を確認をされたやに伝えられてきています。そのような中国の役割、あるいは、日朝間でも協議が行われる。そういう場でもいろいろ前提条件をつけずに早く再開をすること、北朝鮮がそこに出てくるべきだということを当然言うわけです。また、その他いろいろなルートで北朝鮮へのアプローチをそれぞれの国がするだろうと思います。そういう形で、次回会合をできるだけ早く開催をしようという意思をお互いに確認をするということに、当然のことですが、なるだろうと私は思っています。

(問)米国の政権の中では、六者会合がなかなか開催できないので、代替手段として安全保障理事会に付託してこの問題を討議しようという声もあるようなのですが、この辺りについては、大臣はどのように思っていますでしょうか。

(外務大臣)米政権の公式な立場ではないと私は思います。私自身はどうかということについては、折角、今、六者という一番関係の深い国々が議論をしている最中に、ここではだめだからといって舞台をさらに広げてしまうということは、ただいたずらに問題を拡散させてしまうだけだと思います。私は今のこの六者会合体制の中で適切な答を出していくということが必要であろうと考えており、今の段階で安保理に移すということは全く考えていません。

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外務大臣会見記録 (平成16年10月19日(火)9:02~ 於:院内控室)

・閣議

・閣僚懇談会

(外務大臣)今朝の閣議では、人事案件としてインドネシア大統領の就任式典に特派大使として福田康夫衆議院議員を派遣することが決まりました。外務省関係の案件としては以上です。
 閣僚懇談会では国家公安委員長が新宿・渋谷の歓楽街を視察されて、非常に憂うべき事態であり、性を売り物とする違法な店舗の乱立、暴力団・外国人犯罪グループの活動拠点、こうしたものに対する犯罪対策をしっかりやろうということです。出席者各人の個人的体験に基づいて、あの地域は大変まずいという話がひとしきり出ましたが、予算委員会の始まりが近いということで短時間で終わりました。

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・米国の北朝鮮人権法

(問)米国の議会を先日通過した北朝鮮の人権法について、ブッシュ大統領が署名したということを明らかにしておりますが、北朝鮮は米国の敵視政策の一つとしてこの人権法を挙げていて、本法の六者会合への影響を大臣どのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)本法は米国民及び議会の北朝鮮への姿勢の表れであろうと思います。急にこれで敵視政策が始まったり、急に強まったということではないでしょうが、北朝鮮がまっとうな国家としてきちんと人権問題に取り組むようにとのメッセージとして、北朝鮮側がまともにこれを受け止めてもらいたいと思います。この法案の中には拉致問題も二カ所に渡って触れられており、他国の立法のことをわが国としてあまりコメントするのは如何とは思いますが、きちんと拉致問題に触れているという意味では私どもとしては評価したいと思っています。

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・在日米軍の兵力構成見直し

(問)米陸軍の第一軍団司令部のキャンプ座間への移転の受け入れを政府として検討を開始したとの報道がありますが。

(外務大臣)色々な報道が、色々な具体例を挙げて行われていますが、例えば座間の話が例にでましたが、アイデアというか、考え方というか、プランというか、そういうものが日米間のいろいろな議論の中で全くなかったというと嘘になりますが、それしかないということで議論が始まっているというわけではありません。色々なアイデアを議論する一つとしてあったということであり、前向きだとか後ろ向きだとか、そういう段階にまだ至っていません。盛んに矢臼別だとか東千歳だとかいう話もありますが、国内移転に関する話は一切、全く出されておりません。

(問)国内移転の話は一切まだ出ていないという話ですが、日本の立場として、優先度は総理が述べられた海外移転を優先的に検討してくれという求め方を米側にされているのでしょうか。

(外務大臣)これも再三申し上げている通り、海外移転もあるし、国内移転もあるし、演習を海外に持っていくという手もあります。色々なことが沖縄の負担軽減ということではあり得ますね、という話はしております。しかし、どれが良いとかどれであらねばならないとかという話を今している訳ではありません。しかし、積極的に国内移転が少なくとも優先するという言い方は、今までのところ、わが方としてはしていないでしょう。

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外務大臣会見記録 (平成16年10月15日(金)9:20~ 於:院内控室)

・閣議

・イラク復興信託基金ドナー委員会会合及び拡大会合

・大臣の沖縄訪問

(外務大臣)今日の閣議では特に外務省関連の案件はありませんでした。独占禁止法の改正がありましたが、これは外務大臣としてというよりは、前独占禁止法調査会長代理として、外務大臣の所管ではありませんがということで、若干のお願いを財務大臣にしておきました。今の会計法には、安いところに発注すると書いてありますが、やはり品質の確保は重要であり、そういう意味で会計法の見直しを真剣に考えてもらいたいと、話をしました。
 閣議以外の件で申し上げると、13、14日イラク復興信託基金に関する東京会合が開催され、無事終了しました。ご承知のように、53ヶ国、4機関が参加をするという、大変大規模かつ重要な会議を日本が主催をしたということ、しかも、イラク暫定政府が発足してから初めて開催されたドナー会議であったということで、暫定政府副首相から包括的な復興戦略が示され、それに対して、イラン、あるいはEU委員会、韓国等が新規拠出をすると約束したこと、あるいは、選挙を全国的に実施をすることの重要性、これに対して各国が支援をする、日本からも4000万ドルの選挙支援をすることなどを含めて大変成果があがったのではないかと思っています。また、こういう会議は随時フォローアップされていくということで、次回についてはっきり決まったのかは分かりませんが、ヨルダンで春頃行われるということです。昨日ヨルダンの大臣が、次回は我が方(ヨルダン)が主催すると話をされていました。そういう意味で意義があったのではないかと思っております。
 次に、注目をして頂きたいこととして、11月1、2日に、アフリカの、例えばケニアのキバキ大統領、ナイジェリアの有名なオバサンジョ大統領を初め、アフリカ50ヶ国、アジア14ヶ国、国際機関、企業、関係者等が参加をして、アフリカ開発会議(TICAD)はご承知と思いますが、今まで3回開かれておりますが、TICADアジア・アフリカ貿易投資会議を日本が主催致します。これは第3回TICADのフォローアップとして開催致します。大変将来の発展性を秘めているアジア・アフリカ間の貿易・投資が活発に行えるように議論を行い、またそれぞれの発展の経験を披露しあい、民間企業の方々にも参加を頂きながら、投資セミナーを開く等、色々な催しもあります。小泉総理も開会の挨拶を行う予定にしており、私、中川経済産業大臣、緒方JICA理事長等も出席をするということで、是非ご注目頂ければありがたいと思っています。
 なお、私は今日の夕方から沖縄を訪問し、今夕は、現地駐在の大使等々に会い、明日は、稲嶺知事等に会ったり、あるいは、米軍基地、普天間の移転先の現地を見たり、というような日程を組んでいるところです。

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・米軍再編問題

(問)米軍再編問題で、来春にも具体案で合意という報道がありますが、それについて。

(外務大臣)来春にできれば良いのでしょうが、時期については、ここで明確に申し上げることができる段階ではありません。

(問)審議官級の協議が行われましたが。

(外務大臣)梅本参事官が行っています。まだ帰国していませんので、詳細は聞いておりません。内容についてはまだ交渉中のことですから、具体的なコメントをするわけにはいきませんが、従前からやってきた率直な意見交換が行われたということだと思います。

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・安全保障理事会

(問)安保理の問題ですが、現地時間での15日になるのですが、非常任理事国の選出について、順調にいけば、日本は今度非常任理事国ということですが、安保理改革をして常任理事国入りを目指す日本にとって、今回の非常任理事国の選出というのがどういう意味合いを持つのかについて、大臣はどのように考えていますか。

(外務大臣)非常に重要なタイミングで重要な役割を2年間務めることになると思っています。いろいろな意味で国連の改革が議論をされているのはご承知の通りです。12月にはアナン事務総長の下で国連改革についての諮問委員会の答申のようなものが出されるということもあります。先般の国連総会でもいろいろな国が国連改革のことについて触れています。これは安全保障理事会の理事国の問題ばかりではなく、国連全般についてのいろいろな批判に答えるという内容であろうかと思いますが、いずれにしてもそういった重大な問題を扱うことになる安全保障理事会であるということが1点。2点目は、正にイラクの復興プロセスが進み始めているところですが、安保理のみならず、UNDP等々いろいろな国際機関が関与して進んでいくということにもなります。そのようなホットな意味からも、安保理というのは重要であろうと思っています。ここでしっかりと、流石、日本だといわれるような活動をすることが常任理事国入りへの有力なステップになるのだろうと思われますので、そういう意味からも私共としては、しっかりとした体制を組んで、これに臨んでいきたいと思っています。概ね、アジアからの対立候補も無いようですが、日本が(非常任理事国として)決まればそのように考えるということです。

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・日露次官級協議

(問)来週19日に日露次官級協議が9ヶ月ぶりに行われる予定ですが、昨日のロシュコフ大使のコメント等々では、様々な提案が出るであろうという見方を大使がされており、日本側としては、これまでのいろいろな提案を総括して、プーチン大統領の訪日前ということもあり、どういう位置づけで臨まれるのでしょうか。

(外務大臣)大使の講演そのものは承知をしておりませんので、そのこと自体について言及できることはないのですが、来年、早い時期のプーチン大統領訪日が、かねてより言われているわけですから、それに向けていろいろな準備を行っていく必要があることは当然のことだろうと思っています。川口前大臣も何度か先方外相と会ったりしていますので、そういう意味である程度、我が方も頭の整理をしながら訪日が最大の成果が上げられるように、先方と率直な且つ包括的ないろいろな話をしてくるということでしょう。当然これは、私共としては、領土問題をしっかりと解決をした上で平和条約を結ぶという大方針があるのは、ご承知の通りです。それについて、次官級レベルの会談でも出されることは当然のことだと思います。併わせて、日露間の行動計画が決まっていますので、それに基づくいろいろな経済活動等々も展開をされているところですから、そうしたものがどこまで進んでいき、これからどういうことが必要なのか、といったことも当然議論をされるのであろうと思います。いずれにしても、プーチン大統領の訪日が最大限の成果が上がるように、そのための準備の一環であるとご理解を頂ければと思います。

(問)今まで、様々な交渉の中で出てきた提案というのは、合意を見なかったわけですが、ロシュコフ大使は様々な提案を今回準備しているという言い方をしていますが、日本側としては新提案を出すという考え方も視野に入っているのでしょうか。

(外務大臣)先程述べた大方針を実現するということであり、その中身のことについて、今どういう提案をするかということをここで申し上げるわけにはいかないのはよくお分かりだろうと思います。当然のことながら、領土問題を解決するといっても、その中身はいろいろなことが過去の経験からもあるわけですから、その内容についてトータルのいろいろなパッケージの中で議論になってくることは当然のことだろうと思います。しかし、次官級レベルで日本側が、こういう提案をしますということであるのかどうか、それは正に、首脳同士の話し合いに委ねられるべき最も重要なことであるでしょうから、具体的な提案を次官級でするとかしないとかいうことすら、今コメントできる状況ではないと思います。

(問)プーチン大統領の訪日に向けて、外相自らモスクワを訪問していろいろ提案されるということはあるのでしょうか。

(外務大臣)まだ具体的な予定を組んでいるわけではありませんが、必要あらば、私自身が訪ロすることも、もちろんやぶさかではありません。いずれにしても今回の次官級会談の結果をまた踏まえながら、今後のことを考えていきたいと思っています。

(問)年内にもありますか。

(外務大臣)それは、今回の結果を見て考えたいと思います。

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・米大統領選挙

(問)少し変な質問かもしれませんが、昨日の夜、小泉総理が米国大統領選に関しまして、ブッシュ大統領とは親しいから、是非、頑張って欲しいと、一国の総理がちょうど行われている選挙の中で、片方の候補に肩入れをするような発言をするのは異例かなと思うのですが、大臣はどのように受け止められますか。

(外務大臣)官邸でいつも行っている「ぶら下がり」でですか。その事実関係を全く承知をしておりませんから、何ともコメントのしようがありません。

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外務大臣会見記録 (平成16年10月12日(火)10:25~ 於:会見室)

・閣議(イラク復興支援、総理のASEM出席、大臣の訪米・訪越)

・沖縄在日米軍ヘリ墜落事故関係大臣等会合

(外務大臣)閣議ですが、イラク復興支援について、無償資金協力として保健医療分野と通信分野で総額約160億円の支援を実施することを決めました。医療サービスの改善あるいは通信インフラの整備ということです。これはご承知のように約15億ドルの支援をするということを昨年決めたわけですが、今回の決定で約13億ドルについて内容が固まってきたということであろうと思います。
 また私の方から、総理のASEM出席の報告をいたしました。内容はご承知の通りですが、国連改革の必要性を小泉総理が強調した他、北朝鮮、テロ、不拡散問題等への訴え、あるいは経済成長と環境の両立、文化の多様性の重要性、こういうことを訴え、ASEMからのメッセージ発出に貢献されました。なお、将来のASEMのあるべき姿について、来年5月に京都で第7回外相会合が開かれる予定ですが、そこで一定の方向を示すことができるように努力をしていきたいと考えます。
 また、私の訪米、訪越についても報告をいたしました。詳細は逐次報道されている通りですので、あまり詳しくは申し上げませんが、短期間に非常に数多くの要人と集中的に意見交換ができ、実り多かったのではないかと思っております。
 閣議後に、細田官房長官、私(町村外務大臣)、大野防衛庁長官、小池沖縄・北方対策担当大臣が出席し、第3回目の沖縄在日米軍ヘリ墜落事故関係大臣等会合がありました。詳細は細田長官から話があるだろうと思いますが、前回の会合以降、事故分科委員会等のいろいろな会合が開かれましたので、その間の経緯を踏まえながら、政府の対応をとりまとめました。6点あります。事故原因の究明については、何度かの会合を行い、概ね事故原因ははっきりしてきました。要するに部品をきちんと装着していなかったという極めて単純なことが事故原因であったようであり、更に専門家の検討を行なっているということです。事故の再発防止については、周辺住民の不安解消に向けてしっかりやっていかなければならないわけであり、日本側の専門家が普天間飛行場を3回訪問し、事故機と同型のヘリをチェックし、確認をしたということです。しっかりと整備その他をやりましょうということだと思います。ヘリコプター運用再開に対する対応ですが、きちんとした事故原因の説明があるまでの同型機の飛行停止など、米側への慎重な対応を働きかけてきたわけですが、先ほど申し上げたようなことで、十分な説明を聴取することができたという認識を示しております。性格は異なりますが、事故現場における問題点、これは別の特別分科委員会が設置され、2回会合を行なってきたわけで、今後とも日米間で協力して対処していくことを基本にして、引き続き協議を継続していくということです。その際に日本側の対応として、平常時より事故発生時に現地レベルでの関係当局間の連携を強化するために、「沖縄危機管理官(仮称)」を新たに任命し、外務省沖縄事務所、那覇防衛施設局、沖縄県警本部等、現地で対応する人達がいるわけですが、その取りまとめ、連携、調整を図る者を置くことを今日決めました。被害者への補償ですが、大学側とはまだ一部調整中ですが、周辺地域住民についてはほとんど補償の支払い手続きを完了いたしました。普天間飛行場の一日も早い返還、これは私が先般訪米したおりにも再確認したわけですが、引き続きしっかりやっていこうということでした。このような内容の政府の対応を協議し、4大臣が集まり決めたところです。

(問)閣僚会議ですが、大型ヘリを飛ばして良いとか悪いとか、そういう意見はあったのでしょうか。

(外務大臣)事故原因、再発防止策というものについて、一応米軍の方からも十分な説明を受けたこと、また、こちらからも専門家を派遣してそういう面で理解をしたということですから、この事故機と同型ヘリCH53Dの飛行を再開する場合、政府としてはこれ以上異論を唱えるつもりはありませんということで、4大臣で合意致しました。ただ、当然のことですが、安全対策を引き続きしっかり行って頂きたいというのは、それについてまわることです。

(問)具体的に、米国側からいつ同型機の運航を再開するとの連絡はあるのでしょうか。

(外務大臣)今現在、正確には私は聞いていませんが、従前から、いつまでも置いておくと練度が下がるというようなこともあるので、できるだけ早く再開したいとの気持ちがあるということは聞いています。しかし、具体的にいつということは、必ずしも、今現在、正確に聞いているわけではありません。

(問)その方針というのは沖縄には伝えられるのでしょうか。

(外務大臣)今日の議論の結果というのは、当然のことですが、沖縄担当大臣の方から沖縄県の方に伝わることだろうと思います。

(問)沖縄危機管理官を置かれるということですが、これはどこに置かれるのでしょうか。

(外務大臣)実際にその人物がどこにいるのかというと、物理的には、平時は沖縄県警の中で事務をとる、沖縄で常駐するということですが、法律的にどこに所属するかというのは、内閣官房危機管理監の下にあるという形だと私は理解をしています。

(問)いつ頃、置くという目途はありますでしょうか。

(外務大臣)人選等も内々進めていると思いますが、できるだけ早く発令をして現地に派遣をしたいと考えています。

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・米軍再編問題

(問)米軍再編問題で細田官房長官と大野長官と協議を行うと伺っておりますが、先の訪米を受けまして、大臣としてこの協議については、当面どういった協議方針になるのでしょうか。

(外務大臣)明日の昼にその3大臣会合を行う予定にしています。細田官房長官は残られた訳ですが、大野長官と私は新たにこの地位についたものですから、もう一度今までの議論の整理確認をするというところから始めて、今後、どういう段取りで進めていくのか等、まず、概括的な話をそこですることになるだろうと思っています。

(問)今の質問に関係して、大臣のお考えではいつ頃までに結論を出したいと思っているのでしょうか。

(外務大臣)今、何月何日までにということを申し上げる準備はないのですが、早すぎず、遅すぎず、基本的に米軍の問題でもあるので、米国のラムズフェルド国防長官と話した時には、各国それぞれ話し合いをして、合意を得て行っていかなければならない、自分達(米国)がこれがベストと思っても合意ができなければセカンド・ベスト、セカンド・ベストがだめならサード・ベストでいくという、現実的に対応を考えて行かなくてはならないから、最終的に全部の再編成が終了するには相当の年数がかかるのではないかという見通しを示しておられました。では、日本はいつなのかと言われても、いつということがはっきりしてるわけではありません。相当、年数の掛かる話だと思います。実際、米国にしても、日本の防衛大綱もそうですが、急に「生首」を飛ばすわけにはいかないでしょう。やはり、想像ですが自然退職者と新規補充の差で、例えば定員を減らすというのは何年間かかかるでしょう。一般的な行革というのはそのようにして行うものでしょうから、そういったことも含めて、ある日突然、ばさっとできるものではないということなのではないのでしょうか。

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・日中関係

(問)先週の日中外相会談ですが、一つは、APECでの首脳会談について、物理的に支障がなければ行う方向だったように受け止めたのですが、その解釈でよかったのかという点と、もう一点は東シナ海のガス田開発問題ですが、従来は情報提供を強く求めていたと思うのですが、この間は実務者協議をはじめるということを提示されたわけですがその情報提供の部分というのは実務者協議に含まれる、実務者協議の中で行われるという理解でよろしいのでしょうか。

(外務大臣)首脳同士の会談は、お願いだから実施してくれという関係のものではなくて、もっとごく自然にセットされるものだろうと思っています。私と先方の外交部長との話では、ごく自然に当然開かれるだろうというような感じで私も話したし、先方もそういう感じで話をしておりました。不正確なものいいですが、「そうだよね」というような感じでした。取り立てて、何かその会を開く為の前提がどうだとか、そのために猛烈にハードルが高いとか、そういう感じではありませんでした。次にガス田開発の話ですが、これも私の方から持ち出そうと思っていたら、やや意外なことにといいましょうか、先方からその話が出まして、お互いに意見交換をしたり、情報を提供したりする場としての実務者協議を立ち上げたいという話があり、もちろん異存はありませんと、日本国民も強い関心を有し、ある意味では、一方的に中国が行っていることについての懸念もあるということですので、そういう懸念を払拭する意味からも、この協議は大切であるというような話を私は致しました。

(問)東シナ海の実務者協議の話ですが、これは基本的に日本側から情報提供を求める場であって、この問題を引き延ばしするような中国の思惑にのるような解釈もできるかと思うのですが、大臣はその辺をどうお考えでしょうか。

(外務大臣)何でもそうですが、何の情報提供もなく、何の話し合いも行われないよりは、すくなくとも先ず話し合いが始まる、きちんとした形で始まるということは、大切なことなのではないでしょうか。後は、そういう場の中で、どうそれを我が方が主体的に活用していくのかということを考えればいいだろうと考えます。もし、ご指摘のように引き延ばしの場にしてしまうのかどうかといったことについては、もしその場すらなかったらどうするのかということになるのではないでしょうか。

(問)今まで外相会談で情報提供を何度も求めてきても、それに応じなかったという結果があるわけで、それでレベルを落として実務者協議で行ったところで、情報がでるのですかという疑問があるのですが。

(外務大臣)先方から是非行いたいと言ってきたものです。行いたいと言っておいて、何も出さないというのは、普通では考えられないのではないでしょうか。いろいろな国が世界中にはありますから、なかなか情報を出さない国もありますが、普通ならば、向こうがやりたいと、やろうよと言ってきたが、情報提供も何もないということは常識的にはあり得ない話でしょう。

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・イラク復興信託基金ドナー委員会及び拡大会合

(問)イラク支援会合については、訪米中にも言及があったようですが、今回、この時期に東京で開くということの意義をどのように捉えているのでしょうか。米国が前面に出ない枠組みでもありますし。

(外務大臣)米国側ともそれぞれその話が、パウエル国務長官、ライス補佐官、ラムズフェルド国防長官からも出たと思いますが、日本のイニシアチブを大変感謝するという話が、冒頭先方からありました。そして、主として、基金という、資金を通ずる協力、ドナーカントリーズ(支援国)の集まり、あるいは国際機関の集まり、ということであり、やはりこれから大切なことは、治安の回復、政治状況の改善ということが、復興を進めるためには非常に重要だということです。その復興を進めるに当たって、特に、政治プロセス、来年1月に想定されている選挙がうまく行われるかということが、非常に重要なポイントになってくると思います。そういった政治プロセス、治安回復情勢を進める際に、やはりこうした復興支援を皆でまとまって国際社会が協力して進めるということを、イラク国民に、あるいは、国際社会にアピールするということは、政治プロセスをうまく進める為にも重要なことだろうと思います。そういう意味で私は、非常な重要な会議だし、この時期に開くという意味は非常にあるのだろうと考えております。私も明日、出席をして、基本的な考え方を手短に述べたいと思っています。

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外務大臣会見記録 (平成16年10月5日(火)11:40~ 於:会見室)

・閣議(スーダン難民に対する物資協力の実施他)等

・町村大臣の米国及びベトナム訪問

(外務大臣)本日は閣議の後、郵政関係閣僚会議、対外経済協力関係閣僚会議、その後少し総理と話をしてきたものですから、遅くなりましたことをお詫び申し上げます。まず、閣議ですが、一般案件として、スーダン難民にかかる物資協力ということで、すでに緊急支援を6月に行っていますが、更にテント700張を無償で譲渡するという決定を致しました。人事では、塩口コートジボアール特命全権大使他の人事案件もありました。閣議後の閣僚懇談会では、官房長官から先日のタウンミーティングの報告をしてもらいたいとの依頼がありましたので、日曜日の3時からの会議の様子を簡単に報告をしておきました。郵政関係閣僚会議については、私も本部員であることから出席し、その後、第15回対外経済協力関係閣僚会議があり、非常に数多くの大臣にご出席を頂きました。私から、一つはイラク復興支援の現状を、これは経済協力局長からもスライドを使って、自衛隊の活動あるいは資金協力の実態等を少し詳しめに説明をしました。また、私からは、昨日ムサンナー県知事とも会いましたので、その話であるとか、13日からイラク復興信託基金ドナー委員会が開かれ、私も冒頭に挨拶をすることにしていますが、様々な形でのイラク復興支援が行われ、日本も一生懸命取り組むということが一つです。2番目のテーマは、ODAに関する中期政策ということで、今、有識者による論点整理、関係省庁とのすり合わせを行っており、来年、年明けには公表できるように、大綱を受けての中期政策を来年早々公表できるようにしたいということで、各閣僚に協力をお願い致しました。また、今年は国際協力50周年ということもあり、各般の行事が行われていることを紹介したところです。いずれにしても、総理からも、ODAは大変重要だと、御自身が外国に行ってみて、このODAというものが、非常に有効に働いているということを痛感していること、特に資金の面もさることながら、人の面の協力というものは大変素晴らしいということを痛感をするので、是非、ODAは今後ともしっかり取り組んでいこうという話が最後にありました。この最後の部分は公開でテレビも入っていますから、総理のご発言は正確にお聞き取りを頂けたらと思います。また、自衛隊のサマーワにおける活動も大変整然と行われているということで、この点も高く評価するという話が総理からあったところです。この閣僚会議後、総理の執務室に参りまして、明日から米国を訪問し、パウエル長官Aライス補佐官、他の関係者若干名と会う目途がだんだん立ってきたので米国を訪問するという話をしました。その後、おそらくヨーロッパ経由になるかと思いますが、土曜日にベトナムを訪問し、ASEMに私が参加するということではなくて、そこに来られるアジアの閣僚何名かと会えそうな目途がたってきたことから、その方々とバイの外相会談を行なうこと、参加閣僚は重要な会議で忙しいので顔合わせ程度になるかも知れませんが、できるだけ多くの大臣と会談してきたいという報告をしたところです。

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・米軍再編成

(問)今、言われたパウエル長官との会談ですが、この中で米軍再編協議というのも一つのテーマになるかと思いますが、今、その米側が考えている中には、そのままそれを日本に持ってくると、いわゆる日米安保条約の極東条項を逸脱しかねないという指摘も出てきているようですが、米軍再編協議と安保条約の極東条項との整合性については、現在のところ、どのような状況になっているのでしょうか。

(外務大臣)まだ協議中の話の内容を全部ここで話をするわけにはいきません。特に軍事に関わる話ですから、途中経過をこと細かに話すわけにはいかないと思いまが、一般論でいえば、今、御指摘のあったことは協議の中で議論されることは当然のことだろうと思います。

(問)総理と会われたとき、総理からは、日米外相会談で取り上げるテーマの話とかは出たのでしょうか。

(外務大臣)先般、首脳会談がニューヨークで行われたわけですが、その時に出たテーマ、再編成の問題であったり、あるいは、BSEの問題であったりするのでしょうが、それは当然議題になる、これは別に、これを話しますといちいち総理と話をしたわけではないのですが、当然のこととしてそれは議題になると私としては思っています。

(問)総理から指示等はなかったのでしょうか。

(外務大臣)特にありません。指示というか、再編成の問題は一年余に渡って局長レベル、審議官レベルで話し合ってきており、引き続きそれは続くわけですから、折に触れて閣僚レベルで話さないといけないというような話が総理からはありました。時間も限られていますから、どこまで突っ込んだ中身の話になるかわかりませんが、全体の再編成議論の一つのプロセスとしては、総理の頭の中に位置付けられるということなのではないでしょうか。

(問)総理が先週の講演で、沖縄の米軍基地をできるだけ本土移転が進められるように政府としても努力したいという考えを示されましたが、これは米軍再編がらみでセットとして考えて述べられたのか、それともそれとは別に、期間は長くかかってもというような意味で、別の課題として述べられたのか、どう理解していますか。

(外務大臣)再編成の議論の基本的な視点というのは二つあると思います。一つは、米国の立場もいろいろあると思いますが、日本の立場からすると、再編成が行われた結果、日米安保条約の平和維持機能というものが、今後とも充分機能を発揮できるように再編成が行われるべきだということは一つ当然だろうと思います。それと同時に、さはさりながら、特定の、特に沖縄の負担が大変大きいということで、それを少しでも軽減していくという二つの大きな視点があるのだと思います。後者の視点は、既にSACOというのはまさにそういう意味合いもあり、これまでも進められてきた議論だろうし、それはそれでSACOプロセスをしっかりやっていくということです。ですから、今度再編成の中にあって、日本全体の中にどういう米軍の機能が維持され、あるいは拡大されるか縮小されるか、あるいは場所的な変化が起きるかということと、もともとある沖縄の負担軽減という話がどこかでリンクすることは、当然あるのだろうと思います。全く別の話というわけにも今の時点ではいかない。ただ別途進んでいる話は進んでいる話として、普天間の移設等は、それはそれでしっかり従前通り進めていくという頭の整理ではないでしょうか。

(問)ということは、再編論議の中で、沖縄の負担を軽減できるものはなるべく盛り込んでいこうという発想なのでしょうか。

(外務大臣)できるものはそうですね。

(問)それは本土移転という発想で取り組まれるということなのですか。

(外務大臣)本土移転だけかどうか、総理がどこまで明示的に本土移転ということを言われたか、私はあまり定かではないのですが、それも一つの方法だろうし、しかし他にも沖縄の負担を軽減する方法はあるのだろうと思います。その辺をトータルで考えていくということだと思います。

(問)先ほど出た極東条項の関係で伺いたいのですが、一般論として極東の範囲を超える範囲を対象とした司令部が日本に来ること自体は、極東条項と照らして認められるかどうかということについてどのようにお考えですか。

(外務大臣)司令部が来るか来ないかという内容に立ち入る話は控えます。そこは正に中身そのもの関わる話になりますから、お答えを差し控えます。

(問)米軍再編の件ですが、国内の負担軽減を求めるにあたって、例えば海兵隊の海外移転についてはどのようにお考えですか。

(外務大臣)いくつか選択肢を並べれば、論理的にはあり得ることなのだろうと思います。それが、どう実現の可能性があるかとか、どこにとか、具体論を抜きにして、頭の体操をすればそれも一つなのだろうと思います。ただ、私のまだ乏しい知識の範囲で言えば、今何故、米国がトランスフォーメーションをやるかと言えば、それは今まで以上に迅速に弾力的に展開をしていく、例えばテロがあるとか、そういうことは当然新しい事態で、日本の防衛大綱でもこれからそういうことを考えていこうとしているが、米国はもっとそういうことを当然考えるはずです。そう考えた時に、海兵隊というのは、ある意味では優れた組織として既に存在しているわけです。そういう機動性があるという意味で。その海兵隊という姿がどんどん縮小すればいいということになるのかならないかと言えば、米国の論点に立てば、これは大変優れた組織であるという位置付けがあるのではないかと私は思います。それが直ちに沖縄の海兵隊がどうこうということとは別の議論として、一般論として言えばそういうことは言えるのではないでしょうか。

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外務大臣会見記録 (平成16年10月1日(金)10:40~ 於:会見室)

・閣議(ODA白書2004年版他)

(外務大臣)今朝の閣議の様子をご報告を致します。外務省関連でいえば、一つは、ODA白書2004年版が取りまとめられましたので、その報告を致しました。丁度、今年がODAを始めて5 0年という節目の年だということもありますので、50年の歩み、その成果といったものをまとめています。また、昨年の8月にODA大綱を取りまとめましたので、2003年のODA実績をそのODA大綱に沿った形で報告をするという構成をとっています。大変分厚いものですが、是非、ご覧頂ければと思います。それから、私から川口前外務大臣の国連総会出席についての概要報告を致しました。さらに、それぞれ担当大臣から報告があるかと思いますが、失業率が0.1ポイント下がった、有効求人倍率が全面的に横ばいであったということ等、それぞれの担当大臣からお話がありました。共同募金の協力願いや、タウンミーティングを積極的に行いたいので、協力をお願いするという話、台風21号の被害状況報告がありました。それから、総理または官房長官をトップとする会議で必要がなくなったものについて廃止をしていくとのことです。現在、閣議決定等、法律に基づいて設置されたものを始めとして、84あります。これ程多いとは、私も知りませんでしたが、その内、今回8つの廃止を決め、本年中には17廃止をするということです。84引く17ですから、まだ67あるということですが適宜、そういう整理をしてくということです。閣議が終わった後の懇談では、中山文部科学大臣から、奥様が辞任をすることになったが、大変皆さんにお世話になったというご挨拶があり、総理からは大変ご苦労様でしたというご発言がありました。島村農水大臣からは、農水大臣というより国務大臣としてのご発言が、南野大臣からオリンピック、パラリンピックで活躍している皆さん方に、国民栄誉賞授与を考えたらどうなのかというようなことで、いずれも検討しますということです。

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・ASEM首脳会議

(問)来週のASEM首脳会議に町村外務大臣も出席されるということなのですが、これはどのようになっていますか。

(外務大臣)米国のワシントンに行ってパウエル国務長官に会おうかという話が、OKになりかかったり、駄目になりかかったり、また、OKになりかかったりと、はっきりしないところがあります。べーカー大使も心配をしておられまして、彼は今、一時帰国をして米国におられるそうですが、心配をしてパウエル国務長官に電話をしてくださっているようです。その日程調整と、A SEMに行く話の調整が、まだ、依然としてはっきりしていません。今日中ぐらいにはっきりできたらいいと思いますが、相手のあることですので。ASEMの方は、首脳が参加するということですから、日本は総理大臣が参加し、私は参加するというよりはむしろ、大変数多くの国の外務大臣がその場に来ておりますので、一度に各国をまわるご挨拶のチャンスがそこにあるので、活用をしない手はなかろうという思いもあり、日程調整が付けば参加したいと思います。参加といいますか、ハノイに行って各国外務大臣に日程調整がつけば、個別にお目にかかりたいと思っています。

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・六者会合

(問)北朝鮮への核問題を巡る、六カ国協議についてなのですが、先日、米国のアーミテージ国務長官が場合によっては、安保理への付託についても日韓と協議をすることが考えられると発言をされたのですが、これについてはどのように思われますか。

(外務大臣)私は、アーミテージ国務長官がそこまで明確に言われたかどうか確認をしていませんが、理論的には、そういう考えもあると思います。今は、少なくとも六者会合のプロセスというもので動いてきているわけで、それが完全に駄目になった、崩壊をしたということではないわけです。確かに遅れたり、北朝鮮の対応が非常に消極的であるというような現下の問題がありますが、一番密接な関係がある六カ国が集まって行っているという状況で、これを仮に安保理に持っていったとすると、六カ国以外のいろいろな国々が関与してくるということになり、かえって問題を拡散させてしまうということもあると思いますから、これまで六者会合のプロセスというものを大事にしていくという基本方針で今まで臨んで参りましたし、これから先もそうなのではないかと思います。

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・京都議定書

(問)ロシア政府が京都議定書批准につき閣議決定をしたのですが、これについての受けとめ方と、米国側は未だに冷えた感じがあるのですが、その米国側に対してどのように要請をしていくのでしょうか。

(外務大臣)ロシア政府の決定というのは大変歓迎すべきことであると思っています。地球温暖化問題は大変大きな国民的関心事項であると同時に、また世界の関心事項でもあります。この問題を世界の皆さん方と一緒になって解決していこうとする大変大きなステップとして、ロシアが今回政府としての方針を決めたということですから、できるだけスムーズに議会が政府の決定を受け入れて批准して頂くと大変有り難いと思います。小泉総理もプーチン大統領に、あるいは川口前外務大臣もロシアのラヴロフ外務大臣に対してこの議定書の批准を働き掛けてきましたから、そういう外交的な努力も相まって、今回こういう結果になったのではないかと思って歓迎しています。米国の参加問題というのは大変大きな問題であり、私も本来であれば米国が是非参加をすべきと思っていますが、ブッシュ政権の下で「これに参加をしない」とかなり早い時点で大方針を決定したようです。私共としては、機会を捉えて是非米国も参加をするようにと働きかけをすべき重要なテーマであると考えています。特に、最終的にどうなるかはわかりませんが、来年英国で行われるロンドン・サミットでは、温暖化問題が一つの大きなテーマになるのではないかと言われています。そうした場も米国に対する働き掛けとしてはいい機会なのではないかと考えます。

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・イチロー選手の大リーグ安打記録

(問)イチロー選手ですが、多くの日本人が海外で活躍している中で、今日大リーグの最多安打記録に残り1まで迫ったのですが、どう思われますか。

(外務大臣)私も中学校の時に3年間野球の選手でした。しかし、3年間の打率は2割そこそこで誠にお粗末な選手でした。それでも3年間一生懸命野球をやった立場からすると、打率3割6分とか7分というのは信じられない数字です。私とイチロー選手を比較すること自体ナンセンスなことですが。是非新記録を残り2、3試合のうちに達成してもらいたいし、日本には明るい話題が少ない少ないと言われている昨今、オリンピックで大変元気が出た、パラリンピックも素晴らしい成果を挙げている、またイチロー選手が素晴らしい記録を達成するということは、ややもすると沈みがちな、うつむきがちな日本人にとって大変励みになる話で、是非新記録の達成を期待しています。

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・外務省内人事

(問)今朝の閣議で決まった人事の件ですが、経済協力局長が経済産業省出身の方から外務省プロパーの方に戻りましたけれども、外務省の幹部に外部からどんどん人材を登用していくという改革の方針が決まっているのですが、それに逆行することになりませんか。

(外務大臣)これは前大臣のうちに決めていたことで、私もその結果だけを知った状態ですが、このポストは必ず外部の人に、というような性格ではないだろうと思います。トータルで見て、必要な所にまさに適材適所で外部の血が入るということはいいことだという一般的な方針は変わっていないと思います。ただ、経協局長のポストは常に何省にという性格のものではないと思っています。この辞令を公布する方は最善な方だと思って我々も発令をするわけですから、その大方針と今回の発令は矛盾するものだとは思っていません。

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