外務大臣会見記録 (平成16年9月28日(火)10:15~ 於:会見室)
閣議
(外務大臣)昨夜の会見以降、特に申し上げることはありません。今朝、閣議はありませんでしたので、特にご報告することはありません。
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日朝実務者協議
(問)日朝実務者協議ですが、8月、9月と、日本と北朝鮮のそれぞれの外務省担当者が北京で落ち合って、北朝鮮が行っている再調査の結果を聞いたということですが、北朝鮮が出してくるものというのは小出しの状況で、なかなか進展がみられないという状況である中で、開催地の問題ですとか、北朝鮮側のメンバーの問題ですとか、協議のあり方を見直した方がいいのではないかという声もあるようですが、そのあたり大臣はどのようにお考えですか。
(外務大臣)金正日総書記の肝入りでといいますか、直轄でといいますか、不正確かも知れませんが、調査委員会なるものが出来たわけです。調査した結果を、先方の外務省の然るべき人が来て日本側に伝達をしている、こういう構図だろうと思います。ただ、先方の外務省の人に聞いても、それは調査権がないからわからないというような返事があったりするようであり、調査委員会そのものもどこまでの権限を持って、調査をしているのかということが、必ずしもよくわからないところがあるようです。従って、そういう意味の調査の不十分さといいますか、中途半端さといいますか、あるいは、テンポが非常に遅いということは、率直な印象として、御家族以外の普通の国民の方であっても、いったいどうなっているのだろうと思うのは当然のことだろうと思います。私もそう思います。従いまして、今、ご指摘のように、私としては、10月中、遅くとも11月半ばまでに次回実務者協議を開くことを提案し、彼らが今持ち帰って検討することになっているわけですから、そういうかたちになると思いますが、開催地あるいは先方出席者の問題につきましては、一つのポイントだと思います。そういった点について今、貴重なご指摘もいただきましたので、それも含めて、我が方でよく考えたいと思います。
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内閣改造
(問)小泉内閣改造で、閣僚から民間人の方がいなくなったわけですが、これについての感想と、前々から言われてきたように外務大臣は国会議員の方がいいという声が自民党内からもあったと思いますが、外務大臣を国会議員の方が務められることによるメリット、デメリットといいますか、その点の感想を聞かせてください。
(外務大臣)民間人登用は、私が云々することではなくて、総理自身が昨日の記者会見で答えられたことに尽きるのではないかと思います。もちろん、民間人でも有能な方がいれば、その方を閣僚に迎え入れるということは、当然あるのだろうと思います。私は、たまたま堺屋太一氏と個人的に親しいものですから、彼と話したことがあるのですが、「それは町村さん、民間人から閣僚になることは、頼まれても簡単に引き受けられないよ」と言っていました。理由は幾つも挙げていました。第一に言及するのは好ましくないかもしれませんが、著しく所得が減ります。それは、堺屋氏の立場からすればそうでしょう。次に自由度といいますか、行動の自由、発言の自由が制約される等々、こういうことを考えると、社会全体がまだまだ米国のリボルビング・ドア(回転扉)のように自由に出たり入ったりできるという仕組みではありません。民間人登用といっても難しい面があるのだろう、逆にいうと、あれだけたくさんの民間人の方々が小泉内閣に入っていただいたのは、私はむしろ感謝をしているところです。議員が良いかどうか、それは必ずしもよくわかりません。一部自民党議員が、川口前外務大臣は民間出身だから不十分なんだと批判をされた方がいたことも私は承知をしていますが、私は逆にはたから見て、もしそれがハンディキャップであったとしても非常によく行っておられたと思っています。第一、その前の大臣からの引き継ぎ状態を見ても、大変な、ある種混乱状態にあったこの外務省を、正常な状態に立て直し、且つ、改革も進め、省内的にはそのような大変な努力をされた上に、誰が大臣であっても大変難しい北朝鮮、アフガン、イラクの問題をよくここまでもってこられたと思っています。そういう意味で、私は川口前外務大臣は十分な活動をされたと思っていますから、民間人だからできなかったとか、議員だからできるとかできないとか、そういう話しとは少し違うのではないかと思っています。
(問)山崎首相補佐官が北朝鮮について官邸主導で進めていくんだという言い方をされてますけれども、これについてどうお考えですか。
(外務大臣)山崎拓先生は豊富な経験をお持ちの方であり、どういうお考えで言われたのか私はよくわかりません。総理がどういうことを特命事項として山崎首相補佐官に言われるのか、今後のことかなあと思っております。いずれにしても、外務省主導だとか官邸主導だとか、そういう次元の話をいくら議論してみてもあまり意味のないことだと思っております。日本国政府挙げてこれに取り組まねばならない問題ですから、どっちに主導権があるとかないとか、誰が主導権を持っているとか持っていないとか、マスコミ的にはそういうのはおもしろい話かもしれませんが、私は非生産的な話だなと思いますので、よく山崎補佐官とも、あるいは総理、川口補佐官ともよく話し合って、どういう体制で日本政府全体としてしっかり取り組んでいくのかということは今後話し合って決めていきたいと思っています。
(問)今回外務大臣の職に就かれるということを、どの時点でどういう形でお知りになりましたでしょうか。そしてその時、何を思われたでしょうか。
(外務大臣)外務大臣という言葉を正確に聞いたのは、昨日、細田官房長官が記者会見で言及された時が初めてです。その時、私はTVを通じて知り、その後、官邸から電話が来たということです。ただ、「二時半頃議員会館にいてください」という連絡は受けていましたから、それは誰しもが閣僚に入るということを意味するのだろうぐらいのことは、政治的直感でわかるわけですが。何を考えたかというと、大変なこの難しい課題ばっかりですから、本当に難しい課題の多い外務大臣を果たして自分で務まるであろうかどうかと思ったりもしましたが、しっかりやらねばならない、こういう時のために日頃一生懸命、研鑚を自分なりに積んできたと思っておりますから、一生懸命やるしかないなと思ったわけです。
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靖国神社参拝
(問)靖国神社参拝に対する大臣のお考えをお聞きしたいのですが、外交上の不都合がいろいろ生じておりますが、小泉総理の参拝についてどう思われているか。また、大臣はどうなされますか。
(外務大臣)私は一議員の立場、あるいは一国民の立場として、靖国神社には折に触れて参拝をして参りました。「みんなで渡れば怖くない」と揶揄される方もいましたけれども、正確な名称は忘れましたが「みんなで靖国神社に参拝をする国会議員の会」という会があり、その一員でもあり、私は参拝しておりました。ただそのことと、今回改めて外務大臣という職に就いて、参拝するかしないかということについては、また別の考えがあってもいいのかもしれません。まだ着任一日ですから、自分がどうするかということを十二分にまだ詰めて考えたわけではありません。もう少し時間をいただきたいと思います。小泉総理の参拝については、小泉総理も、戦前のいろいろな日本国の歴史についての声明が村山内閣の時に出されたこともきちんと踏まえ、且つ日本の国のために命を落とされた方々の慰霊をするということはこれは当然のことだとお考えでしょう。だからこそ日本は恒久平和の為、世界平和実現のために渾身の努力をしていくということを、日本国の総理大臣として、英霊に対して誓いをされるという行為そのものは、私はある意味では当然のことだと思っております。それぞれの国にはそれぞれの慰霊の仕方があります。日本では、現世でどういう活動をしていたかに関わらず、亡くなられた方は全て神であるというある種の死生観が、全ての日本国民とは言いませんが、そういう死生観を持っている方が普通の感覚ではないのかなと思います。これには異論がある方もいると思いますが。その点、中国の方は、私も話をしてみてわかったのですが、極端に言えば「悪人で死んだ人はあの世に行っても悪人だ」という死生観を持っているようです。そこは日本と大分違いがあると思いました。従って、「A級戦犯の合祀されている靖国神社に参拝することは、中国人民に対する冒涜である」という議論は、なかなか我々日本人にはストンとわかったと言い難い部分があるわけです。その辺について、お互いもう少しこれまでのいきがかりを超えて、率直な話し合いというものができないのかどうかという思いをしております。個人と総理大臣は分けられるものではないのかもしれませんが、小泉総理が小泉純一郎個人としてというのでしょうか、信念で参拝されることをいいとか悪いとかいうことは、私は差し控えるべきことであろうと思います。
(問)追悼施設についてはどう思いますか。
(外務大臣)その点についてはまだ私は不勉強であり、どういう性格のものを内閣が、官房長官の下の検討会、懇談会で、どういう結論を出されたのか私は正確に承知しておりませんので、その点はもう少しよく勉強してからお答えしたいと思います。
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外務大臣会見記録 (平成16年9月27日(月)22:02~ 於:会見室)
(外務大臣)この度、外務大臣を拝命いたしました町村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、文部大臣を最初拝命した後、少々働きが悪いのではあるまいか、とは言われませんでしたが、外務省の政務次官に、当時、高村大臣の下で1年半位、当時は政務次官と言っていましたが、働いたことがございます。その際の貴重な経験、あるいはその後も外交には大変関心を持って、個人的には取り組んできたつもりでございますので、今回こういう大きな重い役割を総理から与えられましたので、大変緊張をいたしております。また、一所懸命やらなければいけないと思ってもおります。私は初当選をした折、私の兄貴分と言いますか、師匠は安倍外務大臣でございました。当時の安倍外務大臣からもいろいろ外交の難しさ、また体力が消耗すると、結果的には外務大臣になったから病気になられたというわけではないにしても、病に倒れられた安倍外務大臣のことなども思い出しながら、諸先輩が築き上げてきた日本の外交というものをしっかりと継承しながら、さらに少しでもいいから何か自分でプラスアルファのことができればいいと、このように思ったりもしております。ただ、いかんせん素人でございますから、霞クラブの皆さん方にもいろいろご指導いただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
先ほどの官邸での会見でも少々申し上げましたが、外交、あるいは外務省の役割というのは、当たり前のことですが、しっかりと日本の国益を守るということであると思います。国の安全と繁栄を確保する、国民の生命・財産をしっかりと守る、このことが外交の根本であるということは、全ての国において共通した考えであろうと思っておりますので、その原点を常に忘れることなく外交を展開していく必要があると思います。
総理から5つの点についてしっかりやるようにと指示がありました。このように紙に1、2、3、4、5と書いてあります。私が文部大臣の時、橋本総理からは紙で書いた物をいただいた記憶はございませんでしたから、最近はこうやるんだなと思っておりますが、当然のことですが、第一には最も重要な日米同盟。これを重視するということで、さらにこれを一層強化する。いろいろな面で米国とは、テロとの闘いでありますとか、北朝鮮の問題、イラクの問題等々、緊密に連携をして取り組んでいるわけでございます。当然のことですが日米で同じ価値観を持ち、同じ市場経済を持ち、共に歩んできたという歴史もございます。そういう中で当面する今言ったような課題、さらには在日米軍の基地問題といったような問題もございますので、特に抑止力の維持をはかると同時に沖縄にもたらす負担の軽減という両方を、なかなか両立させるのは難しい点ではございますが、しっかりとやっていかなければいけないと考えております。
総理の指示の二番目は、特に国際機関との協調、就中、国連総会に総理がご出席されました。新しい時代の国連、安保理の在り方についてスピーチをされ、改革された安保理の中で常任理事国として、責任ある役割を果たしていきたいという決意を披露されたということですから、当然のことですがこれは長年の日本の主張であると思いまして、ぜひこれを実現すべく、来年が国連にとって一つの節目の年であると理解しておりますので、その面で成果が上がるように最大限の努力をしていきたいと思います。
三番目はロシアとの関係ですが、プーチン大統領が来年初め頃、訪日されるであろうということを念頭に置きながら、長年の懸案であります北方領土問題をしっかり解決しながら、平和条約交渉を具体的に進めていく、前進をさせていくということに取り組んでいくことが大切だと考えます。
四番目は北朝鮮の問題ですが、核開発の問題と拉致の問題、これを包括的に解決するために六者会合というものが行われているわけであります。拉致の問題につきましては、先週末、斎木審議官をヘッドとして行ってまいりました。先ほど外務省に来て、ごく短時間ですけれども報告を受けました。また明日、明後日とゆっくりと話を聞かなければいけないと思っています。今日、拉致された被害者の家族の皆さん方との会もあったと聞いております。話の内容は多分、皆さん方もお聞きになっておられると思いますので、私の方からあえて詳しくは申し上げませんが、十分に誠実な対応だったかどうかということについては、少々首を傾げざるを得ない北朝鮮側の対応ではないかと思ったりもいたします。なお、今後どういう対応を取っていくべきか、対話と圧力、それぞれの組み合わせでやっていかなければいけないだろうと思いますので、今後の対応については、さらに現地に行かれた方々の話も、もう少し詳しく聞いた上で適切なる対応を取っていく必要があるだろうと思っております。
それからイラクの問題も重要でございます。先般、私は地元でイラクに行って来られた一次、二次の帰国された自衛官の方々と懇談する機会がありました。大変熱心な活動をしてきたと、大変生きがいを持って自衛官になってよかった、イラク復興支援に少しでも役立てて本当によかったという、極めて率直な意見も聞いたところでございます。そうした自衛隊をはじめとする人的貢献と、約50億ドルのODAを活用した資金的な貢献、これらを車の両輪としたイラクの復興支援を今後もしっかりと取り組んでいきたいと思います。また、同時にテロとの闘いというものについてもしっかりやっていかなければいけないのは当然だろうと思います。
あと、特にアジアとの関係も重要です。中国との政治的な関係は、決していい状態にないということは、皆さん方もよくおわかりのことだろうと思います。中国との関係、また、ASEAN 諸国のいろいろな国と行われておりますFTA、あるいはEPA交渉といったようなものを、それぞれ農産物の問題等々、困難な問題がありますが、メキシコの関係も含めて困難な問題を乗り越えてやってまいりましたから、こうしたことも何とか乗り越えて日本とASEAN諸国、また中国、韓国を含めた東アジア共同体の構築を目指していくということで、努力をしていかなければいけないと考えております。
非常に数多くの課題があるわけでございまして、先ほどの認証式の後の閣議の中でも、一つだけ署名をしたものがあります。それは、内閣総理大臣補佐官に山崎元幹事長、それから川口前外務大臣を発令するということを、閣議で署名をしたところでございます。私は総理からの説明を求めたのですが、総理からは、川口前大臣には主として外交の面で、山崎元幹事長には特命事項をやってもらう、こういう説明がございました。どういうものが特命事項かは私にはわかりません。それは今後総理がお考えになるのだろうと思います。特に川口前大臣は大変なご努力をされた。最も困難な時期に外務大臣として立派な業績を残されたと私は考えています。その川口前外務大臣が引き続き首相補佐官として、現実に例えば国会などが始まると、外務大臣は行かねばならぬ外国の会議にも行けないといういろいろなケースがあろうかと思います。そんな折に、川口補佐官の貴重な経験を発揮して活かしていただければありがたいと思っております。私共は、通産省で川口補佐官の方が若干先輩ですけれども、十二分に意思疎通できる方だと私は思っていますので、川口補佐官のお力も借りながら日本の外交をしっかり進めて参りたいと考えているところでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
(問)大臣は中国との外交を非常に熱心に行われてきたという経緯があると思うのですが、先程ちょっと触れられたように政治的に決して良い状態ではない、これを改善されるための抱負、今考えておられることをお伺いしたいのですが。
(外務大臣)今、ここで具体的な今後の活動の内容の話をするには、まだ、事務方諸君とも十分議論をしていないので、今後詰めたいと思っていますが、私も何年間か日中友好議員連盟の幹事長を務め、高村さんに替わってから後は副会長ということで、先週金曜日も王毅新大使と日中友好7団体との懇談会・歓迎会という場があり、王毅新大使とも少々話をしてきたところです。政治は冷たく、経済が熱いという言葉、政冷経熱という単語があるそうですが、政治も熱くなる必要があるかどうかは別として、もう少し冷たいという関係でない方がいいと思います。どうすればいいのかということは、いろいろな方策を考えていく必要があるかと思います。今後、具体的には、どのような取り組みをするのかよく考えていかなくてはいけないと思います。他方、個人的に前から持っている印象ですが、中国側も少々むきになり過ぎているのではないかという感じは率直に思っています。しかし、中国は中国の立場で、足を踏まれた者の痛みは、踏んだ人には分からないということをよくいいます。その気持ちもまた、私共は理解をしなければいけないであろうと思っています。お互いもう少し冷静な話し合が、政治ベースで出来ないかなと思っています。私なりに築いた人脈もあるものですから、そういったものも使いながら、少しでもいい二国間関係、日中というのは二国間ばかりでなく、地域全体にとって非常に重要な関係だと思いますので、そういう認識を持ちながら一生懸命取り組んでいきたいと思っています。
(問)FTA・EPA交渉についてですが、農業等の守る分野と投資なり攻める、自由化を求める分野がありますが、タイとの交渉に象徴的に出ていますが、国内でどのように調整をとっていくのか、外務大臣としての方針、考え方をお伺いできますでしょうか。
(外務大臣)先程、あなたから官邸でも確か質問があった気がしますが、メキシコとの交渉もつぶさに交渉経緯を知っているわけではありませんが、当初とても難しい、出来るはずがなかろうというようなところから議論が始まり、それでもきちんとまとまることができました。最後は、交渉が止まっていたり、一旦延期しても、それでもまとまったいうことがあるでしょうから、私は、お互いに話し合っていけば、農産物を含めて合理的な、双方が納得できる合意点というのは見出せるものであろう、また見出す努力をしていくことこそが、日本とASEANのより深い関係を築くということにとっては非常に重要なことだと思っておりますので、これは、農林水産大臣、経済産業大臣とよくよく相談をしながら合理的な答えを導くように努力をしていきたいと思います。
(問)先ほどの川口補佐官との仕事の役割分担の話ですが、あくまでも主となるのは町村大臣であって、その補佐的なことを川口補佐官にやってもらうということですか。
(外務大臣)川口補佐官ともまだお目にかかって事務引き継ぎもやっていませんから、話をしていませんし、総理ともまだ話しておりません。実は私は、小渕内閣の最後の1ヶ月間と森内閣の時に首相補佐官を務めさせてもらったことがあります。小渕内閣の時は教育担当首相補佐官、森内閣の時は特に教育に限らず首相補佐官ということで、かなりのエネルギーをマスコミ対策に費やしたという記憶が残っています。主としてというか外交関係と総理が言っておられましたから、総理、あるいは川口補佐官と会って、どういう役割を演じてもらうことが日本にとって一番望ましい形なのかということは、試行錯誤的にいろいろやらなければならないと思っていますが、今この段階で川口補佐官にはこれをやってもらう、私はこれをやりますという具体的なイメージを持っているとわけではありません。たださっきも述べた通り、国会というのは何のために副大臣を作ったのかと言えば、大臣を外国に行きやすくするはずなのに、今、国会を見ていると、大臣も副大臣も大臣政務官もみんな貼り付けになっていて、これでは何のために副大臣制度を作ったのかまるでわからない。これは是非、中川国対委員長に直訴したいなと思っている点でありますが、これはなかなか「国会のお決めになること」という決まり文句があり、どういうことになるか分かりませんが、なかなか国会の制約で出られないこともある、そういう時には川口補佐官に大いにがんばってもらうということは、誰でもが想像できる一つの役割かなと思ったりもしております。
(問)大臣は先ほど東アジア共同体ということを言われましたけれども、日本経済も周辺各国との経済的な連関性が必要になっていますけれども、現在の日本経済の現状をどう認識されますか。更に現在、少子化、高齢化が進んでいまして、労働人口がそのうちにかなり減るだろうと、その場合に対策はどのように考えられるか。例えば、外国人労働者の受け入れ制度を考えるとか、その辺りはどうお考えでしょうか。
(外務大臣)今の御質問にきちんと答えるためには約30分ぐらいのスピーチが必要ではなかろうかと思ったりもしますが、日本経済はじわじわと回復していると世の中一般に言われている通りで、一番回復が遅れているのが、我が地元の北海道というのが、大体通り相場になっていますが、マクロ的に見るとだんだんいい方に向かっています。ただ、あなたが言っておられるのは、そういった短期を乗り越えた中長期の少子化とか高齢化という話であろうと思います。これは日本経済の活力をどうやって維持していくかという大変大きな難しい問題だろうと思います。一時期は、我も彼も全部中国へ投資するみたいなことだったのが、少し、冷静にというかよくよく考えてみるとやっぱり日本に投資した方がいいのではないかということで、情報家電というのでしょうか、日本に大型投資をもう一度やるようになり始めているとか、そういう形もありますから、何でもかんでも外国頼りというわけではない。やはり日本のこれだけ優れた、多少質は低下したと言われても優れた労働力があり、且つ大きなマーケットがあるわけですから、その中で限られた働き手、だんだん減ってきている働き手で足りるのか足りないのか、まだ女性の能力の発揮だって必ずしも充分でないこともあるのだろうと思います。つまり足らざる部分は外国人労働者の受け入れと。フィリピンの看護婦、看護士の評価は国際的には世界一だと言われている。でも、日本には日本なりのルールがあるようであり、日本の資格を取らなければいけないということを厚生労働省が言っているようですが、この分野はもう少しおおらかに考えて、もちろんコミュニケーションが全くできないのであれば介護もできないと思うけれども、一定の能力を持っていれば、私はもう少しおおらかに受け入れを考えてもいいのではないかと思っております。ただ、ありとあらゆる労働者全てをどんどん受け入れていいかというとこれについてはそう簡単なことではないのだろうなと思ったりもしています。断片的な答えにしかなりませんけれども。
(問)山崎拓さんの担当される特命事項に外交は含まれるのでしょうか。
(外務大臣)分かりません。それは総理がご判断されることなので。
(問)そこはまだ聞いておられないのですか。
(外務大臣)はい。何を特命事項にされるかは聞いていません。
(問)先程官邸の会見でも出ましたが、拉致問題についてどういうスタンスで取り組んで行かれるおつもりですか。具体的に何をすべきとお考えですか。
(外務大臣)被害者のご家族の方々には、直ちに制裁の発動をという声があることは昨日の段階のTVで私も拝見しました。我が党内にもそういう意見があることを承知しています。今直ちに経済制裁を発動するのが一番いい答えなのか、あるいはそうではないのかということは、まさに先週末交渉に当たられた方の話をもう少し詳しく聞いて判断したいと思いますが、それは最も早い機会に答えが出るような最適な手段の組み合わせを模索していく、いささか抽象的な物言いになりますが、現在私が言えるのはそこまでです。制裁を必ずすぐやれとも言わないし、やらないとも、その手段を排除することもないと思います。
(問)大臣はこれまで外からご覧になってきて、外務省のここが変わって行ったらいい、外交政策でここは変更した方がいいという認識を持たれている点はありますか。
(外務大臣)一連の事件の後、外務省改革というものも大分進められていると聞いています。何がどう変わったのか私もまだつぶさに検証したわけではありませんのでよく分かりませんが、少なくとも外務省の皆さん方はここ1、2年相当変わってきたということを言っておられるので、相当変わったのではないかと思っています。外から見る外交と中にいる外交とまた違うかもしれない。例えば、大使の発令一つとっても、随分幅が広くなってきているという印象が、分かりやすい話で言えばあります。だから外務省改革も進んできているんだろうと思いますが、改革というのはもうこれで終わりということでも必ずしもない。改革というのは自民党もそうですが、不断の改革が必要ということがあると思います。改めて大臣という立場に立って、皆さん方のご意見、あるいは有識者のいろいろな方のご意見を聞きながら、改めていくべきところはどんどん改めていくべきと考えますが、具体的にどこがどう悪いかと具体例を申し上げる程、今私は知識を持ち合わせておりません。
(問)先程、政務官、副大臣の話がありましたが、かつて閣僚経験者として、大物政務次官としてこちらの方に来られたと思いますが、今回、選任の仕方について、官邸の方で多少違ったやり方を試みようとしているようですが、選任についてどうお考えをお持ちでしょうか。
(外務大臣)私は幹事長代理とか、副幹事長として、差配をしていた方なので、あの仕組みが悪いと一概に言うつもりは率直に言ってありません。ただ、チームでプレーをするということを考えたときに、やはり優れた副大臣あるいは大臣政務官がいてもらえるとそれは有り難い。私は文部大臣の時に大変優れた副大臣がいて随分助けられたことを憶えています。具体的にどの人が優れているかどうかと言える立場に私はありませんが、自民党から、少なくとも自民党は自己申告書を作った、公明党はちょっと別として、自民党の自己申告による副大臣あるいは大臣政務官の希望者のリストというのは先程車の中でさっと見ました。なかなか優れた方々の希望を頂いていると思いある意味では嬉しくなりましたが、こんなにたくさん優れた方々が全部副大臣になるわけにもいかない、ポストも限られていますから。何らかの方法でこの人がもし着任してもらえたら有り難いというような希望は、細田官房長官から、たぶん明日、いつか分かりませんが、多分午後から夕方にかけてではないかと思いますが、こういうことでどうですかという案が示されるのではないかという見通しを持っていますので、その際にもし希望を言わせてもらえるなら、こういう人にお願いをしたいというようなことを申し上げてもいいんだろうなと思っております。
(問)この2年半余り、官邸主導による外交が続いていると指摘されていることが多かったのですが、その中で、今回川口前外相が首相補佐官に新たに任命されて、外交に見識をお持ちの大臣がどういう風に町村カラーを出していくのか、その抱負をお聞かせ願いたいのですが。
(外務大臣)どういうお答えをしたらそのご質問の答えになるのかよく分かりませんけれども、官邸主導であったかどうかは古くて新しい問題なんだろうと思います。これはいつの時代にもそういう話があったのだろうと思います。もちろん私は小泉内閣の一員であり、かつ先程の総理記者会見の冒頭に外交のことを触れられました。もとより外務省一人、外務大臣一人で外交をやっているわけではありません。首脳外交というものの役割、特にサミットというものがかなり前に出来てから、昭和40年代後半でしょうか、そういう場が確立されてきたという意味は、昔は外交官だけが、外務大臣だけが外交をやってきたが、今は政府総掛かりで外交をやる時代ということでしょうから、そういう意味で、官邸と総理大臣と補佐官と緊密な連携で、日本の国益のために一番いい形を取っていけばいいのではないかと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします。
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町村外務大臣会見記録 (平成16年9月27日(月)16:00~ 於:官邸)
内閣改造
(外務大臣)この度、外務大臣を拝命致しました町村信孝です。よろしくお願い致します。いろいろな外交課題が山積しています。私は国の命運に関わる外交の舵取りを任されたということで文字通り身の引き締まる思いですが、一所懸命努力をして、積極的な外交の展開に努めて参りたいと考えているところです。外務大臣として当然のことですが、国益を増進をするということ、もう少し平たくいうと国家の安全と繁栄をしっかり確保すること、また、併せて国民の生命財産を守ること、当たり前のことですが、これが外交の基礎であり原点であると認識しています。こうした考え方に基づきまして、尚、総理からは5つの点についてしっかりと取り組むようにという指示を頂きました。詳細は控えますが、一つは何といっても日米関係が基軸ですので、この日米関係をしっかりと発展させていくということ。更には、近隣諸国、中国、韓国、あるいはASEAN等、アジア諸国との関係改善。国際機関、特に国連を中心とする国際機関との協調ということも非常に重要なテーマであり、つい先般、総理が国連総会に行かれたばかりです。更に、ロシアとの関係もまた、プーチン大統領の訪日を念頭に置きながら、いろいろな準備を進めなければならない。また、順不同ですが、北朝鮮の問題についても、平壌宣言を踏まえながら、拉致の問題あるいは核の問題等があります。こうした問題についてもしっかりと取り組んで行かなければなりません。また、イラク復興支援、人的貢献、あるいは資金面での貢献、様々な貢献を今、展開しているところですので、これについてもしっかりと国際社会の一員として努めていくことが大切だろうと考えています。ざっと申し上げても大変数多くの課題があるので、一所懸命取り組んでいきたいと思っています。私は、平成9年に文部大臣を務めた後、平成10年から11年にかけ1年半程度、外務政務次官を務めたことがあります。そうした経験を生かしながら一所懸命頑張って参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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自由貿易協定(FTA)
(問)自由貿易協定(FTA)についてですけれども、タイとの交渉では農業分野、特にコメとかの重要品目の扱いが焦点になっていますが、大臣としてはどのような対応をお考えですか。
(外務大臣)これから交渉がより具体化していくのであろうと思っています。関係大臣、農林水産大臣あるいは経済産業大臣等ともよく密接に連携をしながら、基本的にはFTAあるいはEPA交渉というものは前進をさせていく。日本とASEANの関係をより緊密なものにするためのひとつの重要な方策としてのFTA交渉だと認識しています。ただ、同時に守るべき日本の国益、農業というのは非常に国家にとっても重要な産業であるということもまた同時に念頭に置きながら取り組んでいく必要があることは当然であろうと思います。
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プーチン大統領来日
(問)ロシアとの外交問題についてお聞きします。来年プーチン大統領が来日される予定ですが、今後ロシアとの間でどのように国交正常化していくか、領土返還問題についてどのように進めていくか、具体的にお考えをお聞かせください。
(外務大臣)これはご承知のように長い歴史を持つ問題です。ちょうど来年が、確か下田条約締結から150年という一つの節目の年でもあるということでございましょう。当時のソ連との日ソ共同宣言、あるいは東京宣言というものを踏まえながら、この領土問題を解決しながら平和条約を締結するという基本的なスタンスで、これまで日本政府はやってまいりました。その基本姿勢は私になってももちろん変わるわけではありません。今、これから事務的にも詰めてもらおうかと思っており、まだはっきり時期がきまったわけではありませんが、来年早い時期にプーチン大統領の訪日もあるように聞いています。そういった一つの大きなタイミングを捉えながら、先人が築いた努力というものに立脚しながら、しっかりとした解決を図るよう努力をしていきたいと思っています。このことは小泉総理大臣からしっかり取り組むようにと言われた五項目のうちの一つの大きな柱だと認識しております。
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日朝実務者協議
(問)昨日まで日朝実務者協議が行われましたが、なかなか進展が見えない中で今後どのような取り組みをされていくおつもりか。これまでの北朝鮮の姿勢についてどのように感じられているかお願いします。
(外務大臣)斎木審議官が今日帰国されたのでしょうか。もちろん私はまだ帰朝報告を受けていないので、実際どういう話し合いが行われたかということを子細に聞いてから、今後のことを考えなければいけないと思っていますが、率直に言って、北朝鮮の、特に拉致問題についての取り組みについては、国民の多くの方々が感じておられるように、充分誠実な姿勢で臨んでいるという風にはなかなか思えない。特に未確認の方々の安否調査というものがどうもはっきりしない、という不満、苛立ちが非常に幅広く国民の中に広がっていることをよく認識をしています。私も率直にいってそういう感情を持っています。しかし、外交というのは、表でのやりとりと、皆さん方の目につかない部分での外交という両方あるのだろうと思います。その辺をよく見極めながら、しかしいつまでも何年もかけてやればいい話でもないと思います。もちろん外交ですから相手もありますが、北朝鮮とは可能な限り拉致問題を早く解決し、同時に核の問題というものも大変大きな問題としてあります。これは六者会合で協議が行われつつありますが、これについても北朝鮮が消極的な姿勢であるということは大変残念なことだと思っております。もっと前向きに積極的に、この問題に取り組んでいただきたいと思っております。
(問)日朝協議の関係で、協議が終わってから経済制裁という声も出てきたと思いますが、これについて大臣はどうお考えですか。
(外務大臣)日朝交渉に関する日本政府の姿勢というのは、対話と必要ならば圧力という二つの面を持ってこれから臨んでいくということで、この間の結果がどうであったからすぐ制裁だということになるのかならないのか、その辺はよく帰朝報告を聞いてから判断をしなければいけないと思いますが、安倍前幹事長が述べておられるような経済制裁というのも当然、私どもの政策ツールにはあるんだということはしっかりと認識をしていく必要があると考えます。
(問)先程の日朝関係ですが、表でのやり取りと、見えない所のやり取りがあるというお話をされていたのですが、表では現在進展が無いように見られますが、今後、水面下のやり取りでも先方とやっていこうというお考えはあるのでしょうか。
(外務大臣)それは、外交のイロハみたいな話なので、常に表の部分と水面下の部分があるというのは一般常識として言ったわけであり、今、北朝鮮で両方がどう進んでいるのかということは、詳細に立場上知ることができなかったわけですから、今後はそうしたことについてもよく聞いた上で、必要な対策はしっかりと取っていくということだろうと思います。今、特に水面下でいろいろなこと行っていますということを、この場で示唆したつもりではありません。
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米軍基地再編問題
(問)米軍基地の再編問題についてどのようにするか、またいつ頃までにという目処をもって取り組んでいくのですか。
(外務大臣)いつ頃ということについては私も詳細を知っておりませんので、この場でいつ頃ということは申し上げるわけにはいかないと思いますが、日本政府の中での十二分な協議が本当にこれまであったのかどうかという問題もあるかと思います。また先方の国務省なりペンタゴンとのやりとりがどこまで進んでいたかという辺りをよく私なりに詳細を聞いてから、この問題についてはしっかりとした判断をしていきたいと思います。
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郵政民営化
(問)郵政民営化がこの内閣の大きな政策課題になっているかと思いすが、閣僚として賛否についてお考えをお聞かせください。
(外務大臣)これは、内閣の大方針に従うということです。
(問)賛成ということですか。
(外務大臣)そうです。
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川口外務大臣会見記録 (平成16年9月27日(月)11:40~ 於:会見室)
内閣改造(川口大臣の辞表提出)
(外務大臣)先程、臨時閣議があり、何度目かの辞表を提出いたしました。
(問)一応の節目ということになりますが、振り返ってみて、二年半いろいろとあったかと思いますが、どの辺が印象に残った出来事でしょうか。
(外務大臣)外務省改革が第一の仕事だと総理に言われて始めてから、つい昨日まで行っていた国連改革の様々な働きかけまで、二年半に実に多くの課題があったと思っています。その中で、一言で言えば、日米同盟を基軸として国際社会の様々な問題に日本が国際社会の責任のある一国として、非常に積極的に建設的に外交を行ってきた、その結果として、日本の外交が国際社会において、非常に前向きなものになった、見えるものになったという評価をもたれるようになったというのが、この二年八ヶ月間のことだったと思います。サッカーに例えて言えば、私は環境省チームと外務省チームという二つの違うチームに続けて参加し、監督兼プレーヤーとして行ってきました。その試合が、朝7時から夜に至るまで、場合によっては徹夜で試合を行ったということも何回もありました。国内での試合もありましたし、国際試合もありました。それをずっと四年とほぼ三ヶ月になるかと思いますが、十分に行わせて頂いたという感じです。日本チームが世界全体から見て強いチームであるという認識を皆にもって頂いていると思います。国際的にいえば、ワールドカップのベスト5に本当は入る実力があるわけですが、国際社会のルールが今、そのようなかたちになっていないので、それをこれから変えようということです。そういうことによって、もっともっと国際社会でいいチームである、強いチームであると思われるようになっていくのではないかと思います。十分に試合を楽しませてもらったというのが私の感じです。
(問)四年半で外務省改革は進んだとお考えでしょうか。振り返って、まだ残っている部分があるとしたらそれはどの部分でしょうか。
(外務大臣)外務省改革は非常に進んだと思っています。残っている部分というのは、それをずっと実行していくという過程であるわけです。これは不断に続けていかなければいけないことであり、外務省員は、引き続き改革を進めるという発想が大事ですから、そういう心を持ち恐れずに実行していくということだと思います。何度も申し上げていますが、霞ヶ関を先駆ける改革が外務省の改革には随分入ってきているわけであり、そういったことによって外務省全体が活性化し、総合的・戦略的な外交と言っていますが、良い外交、先程申し上げましたように国際社会でもそのような評価をされている外交、そういうことに繋がっていくベースになると思っています。
(問)一応これで辞表を出されたわけですけれども、仮に総理から留任された場合、続投するということはあるのでしょうか。
(外務大臣)私は先ほど申しましたように、二つのチームで連続四年三ヶ月も監督兼プレイヤーとして充分やらせていただいたと思っております。今後、別なチームで何かをやることにはなると思いますが、それがどのようなチームであって、どのようなプレイヤー、あるいはどのような役割を果たすプレイヤーになるかは今後の問題だと思っています。
(問)仮にお替わりになったという前提でですが、次の大臣に申し送りをされるとして、一番の課題、どういう順番で伝えていきますか。
(外務大臣)内閣はある一日で変わりますが、外交はある一日で何かが変わるということではないわけです。今抱えている課題は、ずっと引き続く課題であると思っています。その課題が一日一日、何を一番その日にやらなければいけないかということは変わっていくわけですが、大きく言えば、テロ、核不拡散、大量破壊兵器拡散といった協議にどう対応するかということでもあります。また、貧困の撲滅、感染症の問題、世界全体をどう発展させていくか、それは最初に申し上げた問題の根っこにある問題ですから、その二つをずっとやっていかなければいけないというのは大きな意味での課題にかわりはないと思います。もう少し具体的に個別に挙げていけば、イラクの問題、北朝鮮の核や拉致の問題、沖縄を含むトランスフォーメーションの問題もあります。トランスフォーメーションの外にも沖縄の負担をどのように解決していくかという今までの問題もあります。イランの問題、国連改革もあり、流れとしての平和構築の外交もぜひ続けていっていただきたいと思います。東アジアコミュニティー作りも相当にできているわけですから、大いにやっていただきたいと思います。日中韓の三カ国の取り組みも重要であり、近隣の二国間との関係、例えばロシアとの領土問題、中国とのいろいろな課題、近隣の国との関係をどのように増していくかという問題もあります。そして日米同盟の重要さを引き続き根幹としてやっていただきたい。全部、今まで課題として抱えてきたことであり、もちろん外務省改革も引き続ききちんと行なっていただきたい。つまり、いろんなことを行っていただきたいと思います。なかなか難しいのは、先ほどのサッカーの試合に例えれば、外国のチームが是非日本と試合をしたいと言ってきている国際大会が外にたくさんあり、行きたいと思っても国内のルールがあります。例えば国会チームはまず自分たちとやらなければいけないということがしばしばあるわけです。そうするとその良い国際試合に行くことができないという状況が現にあるわけです。そういった国内ルールを今後どのようにしていくかということも、グローバル社会で責任を果たしていこうとしている日本にとっては非常に大きな課題だと思います。そういったことも少し前に進めていただければいいのではないかと思っています。
(問)今日、閣議で総理とはお話しされたのでしょうか。
(外務大臣)特にしてません。
それでは、皆様大変ありがとうございました。
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外務大臣会見記録 (平成16年9月17日(金)10:40~ 於:本省会見室)
川口大臣の第59回国連総会出席
イラク(サマーワを含むムサンナー県)における草の根・人間の安全保障無償資金協力
(外務大臣)私から二点申し上げます。一つは私の出張ですが、9月19日(日)から25日(土)まで国連総会に出席し、26日に帰国します。相当にぎっしりと日程が詰まっていますが、この機会を捉えて、二国間会談、多国間会談、例えばG8、軍縮関連の会議、日・ASEANの会議、拡大中東・北アフリカ構想の会合なども行います。国連・安保理改革、イラク、北朝鮮、軍縮・不拡散の問題について意見交換をしたいと思っています。国連改革についてですが、小泉総理も総会の演説で決意を表明するという段取りですが、私も総理と一緒にいろいろな国の方に会ってその話をしていきたいと思っています。そして、日本の常任理事国入りに弾みをつけたいと思っています。大事な機会だと思います。
二点目は、イラクのサマーワを含むムサンナー県に対して、草の根・人間の安全保障無償資金協力を使い、救急車32台を供与します。サマーワを含むムサンナー県では救急車が不足しており、病人が病院に行く時に大変厳しい状況、本当にままならぬ状況にあるので、救急車の贈与がこの悲惨な状況を少しでも改善することになればと思います。
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アナン事務総長発言
(問)イギリスのBBCのインタビューの中で、国連のアナン事務総長がイラク戦争について国連憲章に合致していない、違法だったと明言されていますが、この件についてどのように思いますでしょうか。
(外務大臣)日本政府としては、これは違法だとは考えていません。これまでずっと国会で説明をしてきたように、一連の国連決議があるわけです。678、687、1441。1441で満場一致でイラクがそれまでの決議に継続的な違反を繰り返していることが認定された、皆で一致して認定したわけです。イラクには最後の機会があったわけですが、イラクがそれを使わなかった。米国のこの場合の行動は、国連憲章に合致していると思っています。
(問)昨日の日本記者クラブでの発言についても報道されていますが、今、述べられたように米国を支持したのは、国際法的に問題がなかったと判断されたということですが、国連憲章に対する解釈は国連事務総長と日本側とでは違うということでしょうか。
(外務大臣)アナン事務総長がそのようなことを述べられたようですが、これは国連安保理決議なのです。もちろん事務総長というのは国連の中で、国際政治の中で大変に重要な役割を果たしておられる方ですが、安全保障理事会が行った決議ですから、この有権的な解釈というのは安全保障理事会にあるということです。ということは、安全保障理事会には15カ国あり、安全保障理事会の理事国がそれぞれ有権的な解釈を行います。実際に米国、英国の数カ国と他の国と対立したということはありましたが、安全保障理事会が全員まとまってこっちの解釈が正しいということを別途言っていないわけですから、英米が行う解釈は有権的な解釈であるということです。日本も国連のメンバーとして、これをそのように解釈しているということです。
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内閣改造
(問)出張から帰るとちょうど内閣改造の時期ですが、大臣としては引き続き外交の舵取りを行いたいという意欲はあるのでしょうか。
(外務大臣)そういう質問がいつか出るのではないかなと思っていましたが、お出しになるからには答もご存じの上でお出しになるのではないかなと思います。このようなことについてはコメントは一切いたしません。
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外務大臣会見記録 (平成16年9月14日(火)11:45~ 於:会見室)
バングラデシュ人民共和国における洪水災害に対する支援
川口大臣の訪中
日米合同委員会事故現場における協力に関する特別分科委員会の設置
(外務大臣)私の方から三点述べたいと思います。先ずは閣議の関連ですが、バングラデシュにおける洪水災害に対する支援については、大雨により国土の3分の2が浸水をしてしまい、死者747名を含め3,634万人の被災者が発生するという惨状があります。この被害に対して、今回、国連児童基金(ユニセフ)を通じて約90万ドル(約1億円)の緊急無償資金協力を行うことと致しました。既に、実施をしている緊急援助物資の供与があり、また、今後、世界食糧計画(WFP)を通じて食糧援助を実施する予定ですので、それと今回の援助を併せると、総額約620万ドルの規模となります。日本政府としては、これらの支援が被災者に対する救援になればと思います。 二点目は、私の訪中についてです。11日から13日まで中国を訪問し、世界経済フォーラムのビジネスサミットにおいてスピーチを行い、「東アジア・コミュニティー」と日中韓の三ヶ国が、その形成に向けてどのような役割を果たすかというテーマについて話をしました。日中韓三ヶ国の連携強化が行われているということをポイントとして話をしました。併せて日本経済が非常に伸びているということもセールスをさせて頂きました。訪中の際、機会をみて唐家セン国務委員ともじっくりと話をさせて頂きました。唐家セン国務委員との話の中で、日中関係を将来に向けて発展させていくことが非常に重要であるという共通認識を持っているわけですが、その為に間断なき、特にいろいろなレベル、政治家、政府関係者、あるいは民間の交流をすることが大事である、対話があることが重要であるということ、新日中友好21世紀委員会が開催をされること、東シナ海における資源開発の話等々、あるいは、北朝鮮、国連改革の話等々を幅広く行いました。また、日中韓三ヶ国の協力についても話しをしました。
三点目ですが、閣議の後、沖縄における米軍ヘリ墜落事故に関する関係大臣会合が開かれ、その内容をまとめたものについては、今、官房長官が発表されているかと思いますが、外務省との関係で特にここで申し上げておきたいことは、事故現場の対応について特別分科委員会を立ち上げるということをずっと言い、準備会合をしたわけですが、本日、この対応に関して日米合同委員会の場で、設置について合意をしました。そして、この特別分科委員会第1回会合を今週中にも開催をする方向で調整を行っています。この第1回会合ですが、現場における対応を検証して、効果的にどのようにやっていくべきかという改善策を考えるわけですが、日本代表が梅本北米局参事官、米国代表はべーカー在日米空軍副司令官ということで、その他構成員はそれぞれの代表が指名をすることとなります。
(問)茂木大臣は日米地位協定の見直しを視野にいれた発言をされていたかと思いますが、川口大臣は今日の閣僚会議で何を述べられたのでしょうか。
(外務大臣)日米地位協定については、不断に見直しといいますか、不断にどのような改善点があるかということの検証を行っており、検証すべき点は、もちろん日米間の話し合いに繋げていくということです。こういう事故もあったわけですから、新しい目で日米地位協定は、特別分科委員会の検証も踏まえて、何か改善すべきことがあれば、効果的に改善をしていくということが基本的な考え方です。私は、そういうことを申し上げました。
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六者会合
(問)中国の李長春常務委員と武大偉外交副部長が訪朝して昨日お帰りになりました。六者会合を今月中に開催するということで日米韓は合意していますが、見通しについてはどうなっていますでしょうか。
(外務大臣)中国と北朝鮮の会談についてはいろいろな情報に接しています。我が国の立場は、先般、日米韓で合意した通り、9月中に開催するべきだということに変わりはありません。中国と北朝鮮との話し合いについて情報にはいろいろ接してはいますが、第三国同士の話し合いですから、私の口から申し上げるべきではないと思います。
(問)見通しとしては、時期的にも、第4週は中国、韓国が大変難しいと言い、来週ぐらいしかないということですが、現状では難しいということなのでしょうか。
(外務大臣)9月中に開催するように最善を尽くしていくことに尽きると思います。
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日朝実務者協議
(問)日朝実務者協議も9月17日の総理訪朝2周年を目処にという話もあったと思うのですが、そちらの9月開催はいかがですか。
(外務大臣)先般、9月に開催しましょうと話をして、先方から返事を待っている状況ですが、日本の立場は変わっていません。引き続き、北朝鮮側と話をしていく必要があるということです。 ただし、今、何かが決まっているわけではありません。
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韓国による核問題
(問)韓国の核実験に絡んで、80年代に濃縮の前段階であるウランの転換実験が行われたことが明らかにされていますが、国際社会の中ではIAEAを超えて国連安保理に付託するしかないという強硬論も出ていますが、こうした意見も踏まえて現在ではどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)エルバラダイ事務局長がそういった報告をしたと聞いています。その中で、韓国政府当局はそういったことが行われたことを政府として把握はしていなかった、政府が許可をしたということではないと述べています。日本としては、この問題について重大な関心を持ってIAEAでの議論を見ていくということであり、韓国政府は今までも、昨日も私が潘基文長官と話をしたときに述べていましたが、韓国政府としては自らこの話を明らかにして透明性を持ってIAEAの場で議論をしていくということでしたから、その議論の中で適切に問題の処理がなされるだろうと思っています。
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外務大臣会見記録 (平成16年9月10日(金)11:25~ 於:会見室)
川口大臣の出張
米軍の軍事体制見直し
(外務大臣)私の出張についてお伝えします。既にお伝えしていますが、明日11日、京都で外務省のタウンミーティングを行います。テーマは「北東アジアと日本」です。その後、中国でビジネスサミットがあり、スピーチを頼まれているので13日まで北京を訪問します。唐家セン国務委員とも会談することになっています。
(問)先程まで石破防衛庁長官等と総理が会われていたようですが、どのような話をされたのでしょうか。
(外務大臣)総理が海外出張に出かけられますので、その打ち合わせということで、GPR、米軍の軍事体制見直しについて外務省と防衛庁が連携してきちんと行うようにという指示がありました。実際に話しをした時間は大変短かいものでした。
(問)総理から呼ばれてですか。
(外務大臣)総理か官房長官かはわかりませんが、総理からだと思います。
(問)普天間基地の移設の話は出たのでしょうか。
(外務大臣)そういう個別の事については話をしていません。
(問)連携して行う今後の段取りということで、近々、外務省、防衛庁が連携することはあるのでしょうか。
(外務大臣)今までも相当に連携を行い、話をしてきていますので、それはきちんと行っていくということで、体制について考える必要があれば考えます。連携をきちんとするということを確認をするということだと思います。
(問)トランスフォーメーションについては、担当大臣を置いた方がいいのではないかという意見もあるようなのですが、どのような感想をお持ちでしょうか。
(外務大臣)報道で読みましたが、担当大臣を置くか置かないかということよりも、実際のところ関係省庁があるわけで、防衛庁、外務省、それから地元との関係もあります。そういう連携がきちんとできるかどうかということが鍵であると思います。
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韓国の核開発問題
(問)韓国での濃縮ウランの実験に続いて、1980年代前半にプルトニウム実験をしていたということでした。この件は外務省としてはいつ把握されたのでしょうか。
(外務大臣)韓国政府から事前は話しがありました。時刻は聞いていません。実際に韓国政府が発表したよりも前ですが、かなり前ということではなかったように思います。
(問)事前というのは、昨日のうちということですか、それとも、日は関係なくということですか。
(外務大臣)おそらく、昨日だと思います。
(問)この件では、9月末までの開催で六者会合の日程が調整されていますが、この六者会合に与える影響というのはどのように考えられますでしょうか。
(外務大臣)前からお伝えしていますように、それはそれ、これはこれ、だと思います。今、日米韓で東京で会合を行っていますが、その場においても六者会合で前に約束をした通り、9月末までに開催をすることが重要であると再確認をしています。
(問)また新たな問題が生じたわけですが、大臣としては、この件についてはどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)過去においてそういうことがあったということは残念だと思います。ただ、韓国は自らきちんと外に発表をした訳ですので、透明性が大変あると思います。NPTにも入っており、追加議定書も批准をしているわけで、現在も韓国のポジションは「非核」ということで非常にはっきりしていると私は思っています。過去にあったことについては、韓国政府とIAEAとの間で話し合いが持たれているわけで、これも非常に透明性のある手続きですから、そこで適切に話が進んで解決すると思っています。韓国政府も進んで透明性をもって対応していると思っています。
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野上前事務次官の英国大使発令
(問)今日の閣議で、大使人事の中で野上前次官が英国大使になるということですが、これはいろいろな経緯や大臣の私的諮問会議の答申から少し違っているのではないかという話しもありますが、その整合性についてはどのように思われますか。
(外務大臣)大使人事というのは、私は、常に適材適所ということで行っています。外務省改革との関連では、外務省として行動計画をつくっているわけで、その行動計画に則って大使の人事も行っています。次官を経験した人は大使にならないという話もありましたが、行動計画の段階では、我々としては、適材適所ということを貫いているということです。
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プロ野球
(問)全く異なる話題で恐縮ですが、プロ野球の状況についてどのような感想をお持ちですか。
(外務大臣)私は野球の熱烈なファンというわけではないのですが、プロ野球をおもしろくするために、野球に関わっている方々はもっと工夫できるのではないかと思います。例えば、隣国である韓国と一緒にするとか、いろいろなことがあると思います。サッカーの関係者は様々な工夫をしてサッカーをこれだけ盛り上げています。そういった工夫が必要ではないか、できるのではないかと思います。
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東シナ海の資源開発
(問)中国政府の東シナ海の油田の開発に関して、日本側にデータを提供する考えはないということですが、これについての感想と、もし、川口大臣が中国に行かれた場合これについてどのように対応されますでしょうか。
(外務大臣)中国政府の報道官がそのように発言したことは私としては遺憾だと思っています。これについては既に情報提供してもらいたいということを再度重ねて伝えております。私自身、今度北京を訪問するに際しては、唐家セン国務委員とお話をしますが、中国と日本は近い国同士ですから、全般についての話しをする、今いろいろ関係あることについても全部含めて話しをすると思います。
(問)もちろん含まれるという解釈でよろしいのでしょうか。
(外務大臣)私としては、全般的にいろいろなことを全部ここで話をしたいと思います。李肇星外交部長が不在で残念ですが。
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外務大臣会見記録 (平成16年9月7日(火)11:10~ 於:会見室)
イラク復興信託基金ドナー委員会会合及び拡大会合(東京会合)
ムサンナー県(含むサマーワ)における草の根・人間の安全保障無償資金協力
(外務大臣)閣議において、私からの発言は特にありません。他のことで二つお伝えしたいと思います。一つは、イラク復興信託基金ドナー委員会会合および拡大会合を東京で行います。10月13日、14日の両日、東京都内で開催致します。この東京会合ですが、イラク、信託基金ドナー国を含む各国、更には国連、世銀等の国際機関等が出席をする予定です。出席者のレベルは高級事務レベルを想定していますが、イラクからはマハディ・アル・ハーフィズ計画開発協力大臣が出席します。この東京会合は、マドリッド会合から一周年になるわけですが、ドイツ、フランス、ロシアおよびアラブ諸国を含めた国際的な連携を強化することを一つの狙いとしています。また、選挙支援といったイラクの統治権限移譲後のプロセスにおけるイラク側の課題があるわけであり、そういったことについて議論をすることがもう一つの狙いです。
次に、サマーワを含むイラクのムサンナー県において、草の根・人間の安全保障無償資金協力を行います。内容は、浄水器、貯水タンクの設置、道路の整備・修復、道路や橋を復旧する資材の供与等であり、総額は555万ドル(約6億1,047万円)です。
(問)二つ目のムサンナー県の追加支援ですが、これについては、現地から帰られた自衛隊の隊長の要望を踏まえてではないかと推察されますが、この経緯を聞いてよろしいでしょうか。
(外務大臣)経緯というよりも、普通に行っていることです。そもそも現地で自衛隊と外務省は車の両輪として一体となって活動をしているわけです。そういった活動の中で、現地の方々といろいろ話をするわけです。その話を受けて、何でもというわけにはいかないのですが、いろいろな観点から今申し上げた内容の案件を選択して、対象として供与することに到ったものです。
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経済連携促進関係閣僚会議
(問)閣議の後で、経済連携促進関係閣僚会議では、川口大臣の方からはどのような話をされたのでしょうか。
(外務大臣)私からは、官房長官の冒頭の挨拶の後で、外務省は、全体調整をする立場でこの経済連携協定の交渉にあたっているわけで、そういった立場から話しをしました。一つは東アジアと今行っているわけですが、小泉総理がそもそも東アジアコミュニティーをつくろうということを発言されており、その経済面の柱として重要であるという事が一つです。更に、各国とどういう状況で行っているか、特に国ごとに、今行っている中でいろいろな特徴があります。例えば、ある国は「人」の話が中心とか、他のある国と交渉をするには、例えばタイであれば、日タイで交渉をするにあったっては、米タイという交渉がありますから、これを見ながら行わなくてはならない等、そういった国についての特色を話をして、この秋に本格的に交渉を加速化していく必要があるという話と、アジアの国々ですから日本の経済力の大きさと比べて非常に差があることから、我が国としてこの交渉から何を得ていくかという考え方ももちろん重要ですが、同時に日本としてその唯一のアジアの中の先進国という立場を踏まえた対応が必要であろうということも言及しました。
(問)そういった東アジアの交渉の現状を受けて、ポイントについて川口大臣からお話になっている、全体としては政府一体となって引き続き行っていくということでしょうか。
(外務大臣)そうですね。後は、各大臣から、いろいろな発言がそれぞれの立場からあり、全体としてこれを進めていきましょうということです。
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米軍ヘリ墜落事件
(問)地位協定について、昨日、今日と、国会では閉会中審査が行われていますが、日米両国では、現場協力のあり方を巡って指摘されている問題についてやっていこうということでまもなく分科会が開かれると思いますが、政府、外務省としてはどんな点に眼目をおいて、結論はいつぐらいまでに出す目処なのでしょうか。
(外務大臣)これについてはいろいろな問題提起がなされています。例えば、現場において共同して警備、規制を行い、規律を保つということになっているわけですが、そういった分担について、どのようなものが適切であるか、実際に適切に行われたかどうか、様々な問題提起があります。日米双方でそういったことを考えていくということで、率直にお互い意見交換をして改善していくことが重要だと思います。やはり、日米安保体制の運用を円滑にしていくということにとっては、ここで率直に話をし、何らかの運用改善をはかることが非常に重要であると思っています。時期としてはもちろん早ければ早い程いいと思っていますが、いつ頃と今の時点で申し上げるのは難しいと思います。
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六者会合
(問)六者会合が今月末までに開かれるという合意事項があるわけですが、現状の進展具合はどうなっているのでしょうか。
(外務大臣)これについてもいろいろな報道がなされているようですが、そういう約束がこの前の六者会合であったわけですから、次の会合に向けての時期については、関係国の間で話し合っています。日本としては、9月の末までに行うことが非常に重要であると考えています。日本としては、そういう観点で話をしているところです。
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外務大臣会見記録 (平成16年9月3日(金)10:30~ 於:会見室)
川口大臣の中央アジア・モンゴル訪問
国際協力50周年記念事業
(外務大臣)閣議において、中央アジア・モンゴル出張について報告を行いました。ポイントだけ申し上げますと、二つありますが、一つは「シルクロード外交」という名前で、今まで二国間関係についていろいろな支援が行われていたわけですが、それを強化するということです。他の一つは、中央アジアの国々と日本との対話を「中央アジア+日本」という形ではじめるということで、第一回会合をカザフスタンで行いました。これらの国々は、ソ連崩壊後に独立し、大変な苦労しながら市場経済化、民主化を進めているわけであり、これらの国々は支援を望んでいます。そういった中で、地域全体がまとまって取り組んだ方が上手く解決できる問題、例えば、テロ対策、麻薬問題、水の問題、環境問題、エネルギー問題等がありますが、日本としては、そういった問題を地域全体として取り組んで行くことを慫慂をするという観点から支援を行うというメッセージを発出しました。中央アジアの国々では、大統領への表敬、外務大臣との会談を行いましたが、この日本の取り組みについては大変に大きな評価がありました。モンゴルについては、外務大臣としては15年ぶりの訪問となり、大変に歓迎して頂きました。両国は総合的なパートナーシップという関係であると位置づけており、二国間の問題だけではなく、地域問題、そして国際的問題についても、モンゴルと日本で話し合っていくということです。モンゴルも市場経済化・民主化の努力をしている最中にあって、日本が今までトップドーナーとしていろいろな大きな役割を果たしているということです。これについて大変な感謝があったと同時に今後とも「総合的パートナーシップ」の観点にたって取り組んで行こうという話をしました。
二点目は、「国際協力50周年記念事業」についてです。1954年に我が国はコロンボプランに対する加盟を閣議決定し、発展途上国に対する援助を始めたわけで、本年は50周年にあたりますので、国際協力について国民の皆様のより大きな理解とご支援を頂くということを考えています。10月6日、これが国際協力の日ですが、この日を中心とし、前後3ヶ月間を国際協力50周年記念事業期間と定め、シンポジウムやセミナー等を行います。政府としては、10月2日、3日に日比谷公園で国際協力フェスティバルを催し、10月から11月にかけて、全国でODAタウンミーティングを開くことを考えています。また、地方自治体あるいは民間団体国際協力に対しての自らの取り組みの成果、あるいは、今後の取り組みについて紹介をしたいという方々には、共通のロゴマーク、これはODA事業でよく使用されているマークですが、その上に5 0周年と書いてありますが、そのロゴマークのもと「国際協力50周年記念事業」というかたちで参加を頂くことを歓迎しており、現在、90以上の事業が記念事業として登録されています。
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韓国ウラン濃縮実験問題
(問)韓国でウラン濃縮実験に関する問題というのが発覚しまして、これはもう4年前になるのですが、かなり濃縮割合の高いウラン濃縮実験を韓国内の研究所にて行っていたということですが、外務省としてはどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)韓国は、IAEAの追加議定書に入っており、追加議定書のもとで査察を受ける際、準備をしている過程でこれがわかったということのようです。日本としては、韓国政府がIAEAと話し合ってこの問題に適切に対応することを望んでいます。
(問)この問題ではウランの濃縮割合が一つの問題になっているのですが、韓国政府が昨日発表したように、核燃料、原発燃料にするのであれば、最大でも割合が5%程度で済むということなのですが、どうもそれを遥かに上回る濃縮割合いの実験が行われていたということですが、何故そこまでの濃縮割合を高める実験をしたかということについて韓国側から日本政府に対して説明はなされているのですか。
(外務大臣)私はまだ細かいところまで話を聞いていませんが、いずれにしてもそのようなことがあるかないかということについては、日本政府の立場として、それはこういうことでしたという立場ではないと思います。これは、韓国政府とIAEAが話し合ってその中で解決をしていく問題だと思っています。
(問)割合は別にしても、こういう事実が発覚したということは、六者会合について影響があるのではないかと思いますが、どうお考えでしょうか。
(外務大臣)韓国のこの問題は、韓国政府がIAEAとの間で話し合いをはじめているわけですから、適切に処理されると考えています。六者会合の議論とは別の問題であると思います。
(問)こういうことを韓国政府としては、知らなかったと言っていますが、こういうことが行われたということについてはどのように思われますでしょうか。
(外務大臣)これはまさにIAEAの追加議定書がきちんと機能するものであるということが分かったということであると思います。韓国政府は追加議定書を今年の初め批准して、メンバーになり、その下できちんと行っていくということですから、追加議定書に出来るだけ多くの国が参加、批准して、その下で活動していくことが望ましいと思います。
(問)IAEAの追加議定書の話ではなく、韓国でこういうことが行われたということについてどのように思われますか。
(外務大臣)どういう理由でどういうことを行ったかということは、これから韓国政府とIAEA事務局の間で話し合いがなされ、適切に処理されることだと思っています。処理されれば、何が問題であったとか、どういうことが行われたかということはその過程で明らかになっていくことであると思います。
(問)日本側からその説明を求めたりすることは考えていないのでしょうか。
(外務大臣)韓国政府から日本政府に対し公表するという話はありましたが、日本もIAEAの理事国ですので、IAEAと韓国政府が議論をする過程で何が議論をされているのかということは、当然、日本政府に明らかになってくることだと思います。
(問)日本政府としては全く問題はないという見方なのでしょうか。
(外務大臣)問題があるとかないとかではなく、これは今後、韓国政府とIAEAとの話合いの中で適切に処理をされるべき問題であるということです。まさに国際的な枠組みの中で国際社会はこういった問題に対応しようとしているわけです。これは二国間で処理すべき問題ではない、国際社会の問題であり、メカニズムに則って対応していくということです。
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北方領土問題
(問)小泉首相が北方領土を視察されましたが、元島民との集会の中で、北方四島の一括返還にはこだわらない、四島同時でなくてもいいという趣旨の発言をされましたけれども、大臣ご自身は、国後と択捉、歯舞と色丹の協議を分けるといういわゆる並行協議についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
(外務大臣)日本政府の立場は一貫しており、小泉総理の発言もそれを踏まえているわけですが、四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するということです。四島の帰属問題の解決、これは四島です。日本政府は今まで、四島の帰属問題が解決されるのであれば、その後の返還については柔軟に対応すると言ってきています。小泉総理はそういうことを述べられたわけです。
(問)ということは、別に四島一緒ではなくてもいいということですか。
(外務大臣)具体的にどういう形になるかというのは、まさにこれからのロシアとの協議の話であり、日本政府が今まで言っているのは柔軟である、実際の具体的なタイミングとか形について、柔軟であるということしか言っていません。多分それをわかりやすく述べられたのであろうと思います。
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米国ブッシュ大統領指名受諾演説
(問)米国のブッシュ大統領がまもなく指名受諾演説をすることになっていまして、今、共和党から発表されている骨子によると、「外国のテロリストに対する攻撃を継続する」、「拡大中東地域での自由の前進に努力する」などが盛り込まれるようなのですが、これに対して大臣のお考えはどうでしょうか。
(外務大臣)昨夕、帰国してきたばかりですので、受諾演説がどのようなものになるかについて全容はわかりません。今言及されたことは、今まで共和党政権が主張してきたことであり、テロ対策、取り組みが必要だということは、今、世界で起こっているいろいろなことを考えても、ほとんど全ての国が思っていることであると思います。今述べられた中東のことについては、先般のG8サミットで進めていこうということになっているわけですから、その二つについては今までの路線を述べたものと思います。全体としてどういうニュアンスで何を言及するかについては承知しておりません。
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