外務大臣会見記録 (平成16年8月24日(火)11:00~ 於:会見室)
川口大臣の中央アジア・モンゴル訪問
(外務大臣)水曜日からの中央アジア及びモンゴル出張についての意義について申し上げたいと思います。私としては、1年位前から温めてきたアイディアであり、それを実行できる段階になったことについて非常に嬉しく思っています。昨日、次官より話があったようですから、詳しくは言及しませんが、基本的にこの地域は、地政学的にユーラシア大陸の真ん中にあり、ユーラシア大陸の平和と安定について重要なアフガニスタン、パキスタンとも隣り合っている非常に重要な国であるということです。テロあるいは大量破壊兵器の拡散といった21世紀の課題を考える時に、この地域が安定しているということが非常に重要であり、安定していくためには、貧困を撲滅し、経済開発をしなければならないと思います。今まで日本自身が近くにあるわけではない地域に、国際社会の責任ある一員として関わり合いを持ち、全体として役割分担をする形で日本が貢献をしていく例はアフリカにありますが、それと全く同じ意味合いで、中央アジアについて日本が関わっていくということは非常に重要だということが一点です。今回の訪問の二つ目の意義は、今まではシルクロード外交ということで日本が関わり合いをもってODAにて支援してきましたが、今回の特色として、地域が一国一国ではなくて、地域としてまとまって行動をすることによって、大きな規模ではない国の経済発展が可能になるという観点から、日本が触媒になってこの地域が共に行動する、将来、一層経済的に繋がっていくということも考えられるかもしれません。そういう意味での触媒として行っていくのだという視点をはっきりだすこと、その二つにおいて意味があることではないかと考えています。1年間温めてきたことではありますが、それぞれの国との二国間の繋がりを大事にしていくということには変わりありません。モンゴルについては、今後新しい内閣が組閣される予定になっています。この新しい内閣との間で意見交換をしていくとの意味があります。新しい内閣と今まで両国間で認識を共にしている「総合的パートナーシップ」を再確認をしていくという意味があります。
目次へ戻る
普天間における米軍ヘリ墜落
(問)普天間基地ですが、昨日パウエル長官ともお話になられたようですが、今後、日米の間で何をどう改善していこうと考えられていますか。
(外務大臣)原因をはっきり究明すること、そして再発を防止することについて具体的に説明をすることが重要であると日本として言っているわけですが、事故分科委員会をできるだけ早く開催することを米国に要請しているわけです。今、いつ頃これを開くかについて調整が始まっているわけですが、これを早期に開催し、事故の原因についてきちんと説明を受け議論をしていくことと、再発防止の為にどういう視点があるかということについて話をすることが一つです。次に日本が、考えることとして、今回の事故後のいろいろな対応について、同じようなことが起こって欲しいと思っているわけでは全くありませんが、運用の改善という観点から何か考えることがあるのではないかということをきちんと検証し、必要であれば、できることを変えていくという認識を共に持つということだと思います。
(問)沖縄の問題ですが、大臣が述べられた原因の究明と運用の改善、前者は、事故分科委員会という場が近々設けられるということですが、後者は、どういう場で議論を具体的に進めていくとお考えですか。それに関連してですが、具体的に大臣が問題だと今回の対応を見て思われたのは、例えば県警の現場検証、あるいは県の幹部が派遣された時に事故現場近くに立ち入れないといったようなことを念頭においておっしゃったのでしょうか。具体的に問題があったと大臣が感じていることについてご説明頂ければと思います。
(外務大臣)最初の点の再発防止策ですが、具体的に何が問題であったか原因であったかということがあって出てくる話だと思います。日米間の意思の疎通の場というのは、たくさんありますから、その原因究明の過程でそういったことが対になって出てくると思っています。
(問)「場」ではなく、運用改善についてお伺いしたいのですが。
(外務大臣)それも含めて、今まで運用の改善をいろいろ行ってきているわけです。常に特定の委員会をつくって行ってきているわけではありません。そういう話合いの輪が繋がるという話をしているわけです。また、二番目の質問について、いろいろな報道はありますが、それぞれをきちんと検証することが大事だと思います。中に入れなかったことについて種々報じられていますが、それは墜落をした直後で安全の観点からということであった訳であり、どういうことが実際に言われて、そういった原因がどこまで続いていて、その原因が続いているということに照らして、いろいろな対応が必要十分であったかどうか、それが本当にどういう理由でどれくらい行われたかということの検証がまず大事だと思います。
(問)現時点でこれが問題であると大臣として思われることは念頭にないということですか。
(外務大臣)あることが原因であると私は決めつけているわけではないと申し上げたわけです。例えば、荒井政務官が入れなかったのは安全上の理由であるという説明を受けました。それはそういうことであるとして、その時の範囲、あるいは時間的な問題が適切であったかどうかなど、いくつか言われていることがあるわけですから、そういった問題意識を持ってやっていくということです。具体的な検証も必要です。これが問題だと、今、私の口から申し上げるということではないということを言っております。
(問)問題と即断できないまでも、どういった検討方法で行っていけばよいのかという認識をお持ちでしょうか。
(外務大臣)ひとつ、間違えば人命に大きな影響が及びかねないような事故であった、また建物の損傷もあったということですから、安全確保ということも重要であったわけですが、例えば、現場検証について、安全確保が可能になった時期もあったのではないか。その時にもっと早く、例えば県警の捜査ができたということがなかったのか、あったのか。問題意識としては例えばそういうことですが、それだけにとどまるものではありません。また、要人が入るということについても同じようなことで、安全上の問題というのは非常に大事であり、その配慮がなければいけませんが、それを超えて入れないということがなかったかどうかということです。
(問)この時点での事故機と同型機の運用再開についてどのような感想をお持ちですか。昨日の日米外相電話会談でのパウエル長官の回答についてどのような感触をお持ちになっているのでしょうか。
(外務大臣)先方からも事故について非常に遺憾であるという話がありました。こちらからも遺憾だと言いました。同型機については、原因の究明、それから再発防止策について、日本側に具体的な説明がないという状況で、運用の再開があったということについては遺憾であると言っています。もちろん他の機種についても必要最小限でということで申し入れを昨日もしたわけですが、やはり県民の感情ということに充分に配慮をすることが私は大事だと思っています。そういうことを米側に求めているということです。
(問)同型機のヘリの運用再開の停止を求めたわけですが、それが実現する見通しについてはどうお考えですか。
(外務大臣)パウエル長官からは、政府内の部署に伝えるということでした。日本としては強く求め続けているということです。
(問)パウエル長官以外の人に違ったレベルで働きかけたりすることはどうですか。
(外務大臣)いろいろなレベルで既に行っています。
(問)先般の日曜日にはイラクにいくということで、運用されたようですけれども、今後また運行される見通しについてどう把握されていますか。
(外務大臣)いずれにしても日本の立場はさっき申し上げたことを求めていくということです。米側としても、日本が考えていることについてはよく承知をしているということです。米側の運用の問題ですから、日本が何か知っていることを申し上げるという立場には政府としてはないということです。
(問)トランスフォーメーションの議論が具体的な方向に進んでいると思いますが、かねて大臣は、米軍再編に関して日本側としての重要な点は、抑止力の維持と基地のある地元負担の軽減という大切な二つの柱を既に話されました。今回、普天間の事故が起きて、地元負担の軽減ということの重要性が改めて強調されるわけですけれども、今後の再編の議論の中で、地元負担の軽減という意味で、今回の事故というものが直接地元負担の軽減に繋がっていく議論になるのかどうか。議題にしていくのかどうかを教えてください。
(外務大臣)事故があったから地元負担の軽減を求めますということではありません。今までずっと言ってきていることです。施設区域がある地域の負担軽減ということと、抑止力の維持という二つが重要であるということに尽きると思っています。始めからこれに尽きると思っています。
目次へ戻る
六者会合
(問)9月末までに開かれる予定の北朝鮮の核問題を巡る六者会合の作業部会ですが、なかなか作業部会の日程も米朝間の濃縮ウラン問題とか、エネルギー支援についてのことで溝が埋まらないようですが、その見通しについてはどのようにお考えですか。
(外務大臣)できるだけ早く開かれることが大事であるということが日本の立場であり、他の国もそのように思っていると思います。今、具体的に述べられたようにいつ頃ということを申し上げられる段階にはありません。開く事が重要だという認識は、皆が持っていると思います。それが可能になるように働きかけを行っていくということだと思います。
(問)特に6月に開かれた六者会合で、各国が新提案をして、次回はその新提案に基づいてどれだけ具体的に進展するかと非常に大事な会合だったと思います。一方、北朝鮮側は、最近、米国側を非難したり、あまり態度が変わっていないようですが、それについてはどうお考えですか。
(外務大臣)北朝鮮の今までのやり方、行動形態を見ていますと、いろいろな意見を持っていろいろなことを行っているということであり、一つ一つについて、だからどうだというように考えるということは致しません。この六者会合を行うことが重要であるという観点から働きかけを行っていくということです。いろいろな戦術をとるということです。
目次へ戻る
国連改革
(問)国連改革についてですが、外務省では今月初めに国連強化対策本部を大臣が本部長となってつくられたと思いますが、この9月には国連総会があり、大臣も出席することになりますけれども、日本として安保理の常任理事国入りを主体としたこれからの国連改革に対する政府の取り組みについて改めてお聞かせください。
(外務大臣)これは今でなければ難しくなるのではないかという問題意識を持っています。ハイレベルパネルが議論を行っており、一部内容が漏れているようですが、日本の考え方として、新旧の常任理事国の立場が異ならないということ、同じだということが大事というのが基本的な考え方です。その上でいくつか具体的な戦術、どのようにやっていくか、議論を進めていくかということについては今いろいろ検討をしているところです。
目次へ戻る
オリンピックでの日本選手団の活躍
(問)オリンピックでの日本選手団の活躍についての大臣の感想をお聞かせください。
(外務大臣)とても嬉しいです。心の中が非常に明るくなって、毎日が楽しみだという感じです。特に女性の活躍が非常にめざましいことがとても嬉しいです。
目次へ戻る
外務大臣会見記録 (平成16年8月5日(木)9:30~ 於:院内控室)
閣議(北朝鮮に対する人道支援、川口外務大臣のパキスタン、インド訪問)
(外務大臣)2つご報告します。一つ目は、北朝鮮に対する人道支援についてです。小泉総理が5月22日の日朝首脳会談の際に、北朝鮮に対し、国際機関を通じて、25万トンの食糧支援及び1000万ドル相当の医薬品の人道支援を実施をすると述べられました。今般、世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(ユニセフ)及び世界保健機構(WHO)からの要請を受けて、我が国が行う人道支援のうち、WFPを通じ12.5万トンの食糧支援、これは4000万ドルになります、ユニセフ及びWHOを通じ約700万米ドル相当の医薬品等の人道支援を行うことと致しました。この支援は、依然として深刻な食糧事情に悩んでいる北朝鮮の状況に鑑み、国際社会の北朝鮮に対する人道支援に我が国として参画するという観点から行うものです。政府としては、日朝平壌宣言に則って、拉致、核、ミサイル問題といった諸懸案を包括的に解決して、地域の安定と平和に資する形で国交正常化を実現していくという基本的な方針を有しており、これに変わりはありません。北朝鮮側が、先般の日朝首脳会談を受け、ひとつひとつ問題を解決していくということが、日朝の関係を前に進める上で重要であると考えています。北朝鮮側が問題の解決に向けて前向きな対応をとっていくように、我が国としては引き続き働きかけていく考えです。特に安否不明者の調査につきましては、早期の情報提供を重ねて求めていく方針です。
次に、私のパキスタン、インド訪問ですが、来週の10日から14日までパキスタン、インドに出張することにいたしました。パキスタンでは、カスーリ外務大臣と日パ外相会談を行う予定であり、テロとの闘いにさらなる協力を促し、またパキスタンが穏健なイスラム国家として持続的な発展をしていくように、我が国としてどういう協力ができるかということについても協議したいと思っています。また軍縮不拡散の分野でパキスタンの役割は重要ですので、一層の役割を果たしていくことについても促していきたいと思います。また、印パ関係はかなり良くなってきていますが、これをさらに改善をさせていくようにということも伝えたいと思います。パキスタンの後インドを訪問しますが、シン外務大臣と日印外相会談を行いたいと思っています。日印外相会談では、前回私がインドに行ったときに、日印グローバルパートナーシップについて話をしたわけですが、日本とインドの経済関係に焦点をあてながら、グローバルパートナーシップを一層強化していきたいと考え、そのためにどのようなことができるかということについて話したいと思っています。あとは、国連改革、WTO、テロ対策といった日印間を超えたグローバルな課題についても協議したいと考えています。そして、インドにおいてもインドとパキスタンの関係のさらなる改善を働きかけたいと思っています。
(問)食糧支援についてですが、大臣発言の中でもモニタリングについて言及されたようですが、人道支援された食糧が本当に食糧支援を必要としている末端まで届いているかという指摘が常々あるのですが、このモニタリングについては政府としては具体的にどのような事を考えているのでしょうか。
(外務大臣)国民の税金を人道的な目的に使っているわけですから、きちんと目的に合う形で支援が必要な人に届いていることを確認することは大変重要なことであり、国民の関心も大変大きいと思います。政府としてはそのような観点から、すでに関係の機関がどのようにモニタリングを行っていくかということについてはきちんと国際機関から説明を受けておりまして、終了後に報告も受ける予定です。さらに、日本としてこれを確認するための手だて、これはいろいろ検討していますが、例えば、一緒に日本人を派遣をするとか、そういうことも視野にいれて今検討をしています。
(問)一緒に日本人もというのは、これは日本政府の職員が行くということなのでしょうか。
(外務大臣)政府の職員か、あるいはもう少し異なる人になるのか、それも検討中です。
(問)民間人ということでしょうか。
(外務大臣)それも含めて誰とは決めていないということです。日本政府がきちんと見ていくということが大切だと思っています。
(問)来週にも日朝実務者協議があるといわれているのですが、この時期に食糧支援を決めた効果とか、間接的な効果でもかまわないのですが、そういったことについてはどのようにお考えですか。
(外務大臣)関連づけて考えてはいません。日朝の実務者協議がいつ行われるかということについては、今の時点では日程がはっきりと決まっているわけではありません。食糧支援は先程申しましたように、北朝鮮の食糧事情が深刻なため、世界の国が人道的な観点から食糧支援を行っていることに日本も共に行っていこうということであり、影響を与える、あるいは見返りを求めるといった発想をもって行っているわけではありません。北朝鮮が日朝平壌宣言を守っていくということに尽きます。
(問)食糧支援の残る部分については、どういうタイミングで出していくとお考えですか。
(外務大臣)今回の数量、金額は、国際機関と調整をして、これだけの量が今必要だと決まったわけです。今後については国際機関と調整しながら、どの時期に必要だという話を行ない、必要な物を送るということです。今回は、今秋の10月から12月位にかけての北朝鮮の食糧事情、食糧不足をカバーする部分として配布されることになると思います。
(問)食糧支援ですが、残りの部分については、北朝鮮の実務者協議や六者会合の出方によって出さないという選択肢はありうるのでしょうか。
(外務大臣)関連させて考えてはいません。国際社会は六者会合でどのような動きがあれ、人道支援として行うということであって、日本としてそのように考えてやっていきます。他方で、北朝鮮側が再開された調査にまじめにきちんと取り組んでいくということが何よりも重要ですから、結果がきちんと出るまで、強く働きかけていくとに変わりありません。核の問題は六者でやっていますが、日米韓きちんとした連携がありますので、そういった連携をその中で色々な話し合いをしながら、北朝鮮については前回は一定の前進があったわけであり、北朝鮮側がさらに前向きな対応をしていくということが何よりも大切です。働きかけはきちんとやっていくということです。
(問)食糧支援についてですが、過去の支援ではコメが多かったわけですが、今回トウモロコシなり、小麦なり様々な食糧について、WFPからこれこれこのような理由でこういったものが必要だとどのように説明を受けたのでしょうか。
(外務大臣)全体として北朝鮮のその時期におけるニーズを、北朝鮮側とWFPとが話し合い、WFPが把握しているわけです。そのWFPと日本政府が話し合ったわけです。その結果として、そこにあがっているような食糧が対象となっているということです。コメも政府米ということではなくで、国際市場で調達をして出すということになります。
(問)北朝鮮とWFPとの話し合いの中でもコメだけということではなかったということですね。
(外務大臣)北朝鮮とWFPは日本の支援をどうするかということではなくて、全体の食糧ニーズをWFPは把握をするわけで、その全体のニーズに対してどの国がどの位出すかという話です。
目次へ戻る
ジェンキンス氏と独立法務官の面談
(問)ジェンキンズ氏についてですが、今日すでに独立法務官が韓国から来日して、今週中にも独立法務官と面会するとの報道がありますが、それについてはどうなのでしょうか。
(外務大臣)これはジェンキンス氏個人の問題であり、ジェンキンズ氏が希望してそのような決断をされたということです。(独立法務官が)来訪するのはそう遠くない、わりに近いうちにそうなるのだろうと思いますが、これはジェンキンズ氏の今後の司法面における米国との司法の関係に何らかの影響を及ぼすことがあってはいけないと思いますので、まさにプライバシーの問題として、日本政府としていつとか、何が話されたとか言及するつもりはありません。従って、色々なことに影響を与えないように静かに見守ってあげていただきたいというのが私の願いです。
(問)改めて伺いますが、日本政府関係者が面会の場に立ち会うという可能性はありますか。
(外務大臣)これはプライバシーの話であり、そういうことにはおそらくならないと思います。
目次へ戻る
中国における反日活動
(問)サッカーアジア杯の話ですが、国会でも取り上げられておりますが、中国でのアジア杯で反日感情が高まっているその理由や背景について、どのような事が背景にあるのかということと、また、昨日も何勇氏との会談でも、日中関係の促進という話をされたということですが、問題解決にはどのような手だてがあるのかということについてはどのようにお考えですか。
(外務大臣)まず最初に申し上げたいのが、何勇書記と昨日話をしていて、私もああそうかと思ったことがあります。日本から見ていると、日本はサッカー人口が多いので、非常に関心があるわけですが、中国ではサッカーに関心を持っている人口というのは本当に少ないということのようです。今、中国の反日感情と述べられましたが、中国においては一部のサッカーファンが、サッカーを見に行って、そこで残念なあのような事が起こったということであり、おそらく中国の大半の人はそういうことがおこったということも知らないという状況であるという話を昨日聞き、なるほどと思いました。これについては中国政府が、昨日、何勇書記が述べていましたが、また別途中国政府からもそういう話を聞いていますが、中国の指導者層としては、この問題について大変に重大視しているということであり、それに対して色々な対応をとったということが、準決勝の時に雰囲気がだいぶ変わったということに表れているということです。従って、この問題については日本政府から中国政府に対して何度か申し入れをしています。また、昨日も何勇書記に話をしましたが、中国政府としては真剣に受け止めて対応しようとしていると思います。明後日の土曜日に決勝戦もありますので、そこで粛々としたスポーツマンシップに則た、そういう行動がとられることを日本として期待します。
目次へ戻る
外務大臣会見記録 (平成16年8月3日(火)10:00~ 於:会見室)
PSI海上阻止訓練の主催
(外務大臣)10月下旬に東京湾の沖合において、「拡散に対する安全保障構想」、いわゆるPSIですが、その海上阻止訓練を主催することと致しました。PSIは、国際社会の平和と安定に対する脅威である大量破壊兵器の拡散、あるいはミサイルの拡散、これを国際法と各国の国内法の枠内で阻止するという取り組みです。我が国にとって初めての開催、アジアで初めての開催になります。日本はこのPSIについて、今まで積極的に参加をしてきており、アジア地域の平和と安定に対する貢献になると考えています。
(問)PSIの訓練ですが、何カ国が参加するのか、何故日本が主催するのかについて教えてください。
(外務大臣)何カ国が参加するかということについては、今、関係する国には内々で話はしていますが、正式に招待状を出すのはこれからですので、まだわかりません。日本が何故これを主催するのかということですが、大量破壊兵器であれミサイルであれ、拡散を止めていくことは日本にとっても非常に重要なことであるという認識を持っています。そうであればこそ、今までいくつかのPSIの訓練等が行われ、日本はずっと積極的に参加をしてきているということがあるわけです。そういった観点から重要だと考えています。
目次へ戻る
第10回外務省タウンミーティング
(外務大臣)第10回外務省タウンミーティングを9月11日(土)に京都で行います。今回のテーマは「北東アジアと日本」を考えています。
目次へ戻る
北朝鮮への食糧支援・日朝実務者協議
(問)北朝鮮ですが、日本は食糧支援を近々、北朝鮮に行うということですが、具体的な食糧支援の閣議の日時は決まっておりますでしょうか。
(外務大臣)今、調整を急いでいるところで、できるだけ早期にということで考えています。
(問)食料支援は何回かに分割をして渡すというように伝えられていますが、具体的にどういう観点からどいういう手順で分割拠出をするのでしょうか。
(外務大臣)国際機関と調整をするということであり、国際機関でどの程度の食料をいつ頃に必要としているのかということに関わってくるので、今、調整を急いでいます。
(問)食糧支援なのですが、医薬品等については1000万ドルであるという数字が発表されていますが、食料についても金額の総額はいくらになるのでしょうか。基本的には国際機関との調整であると思うのですが、考えとしてどれくらいでしょうか。
(外務大臣)全体で25万トンですが、まさにその調整の詰めがあります。これは国際市場において調達をするわけであり、何をどの程度ということで違ってくるわけです。今、手元に数字を持っていませんが、一例として、あくまでも例ですが、トウモロコシとするとそれがいくら位でということで、かけ算で決まってきます。
(問)品目の内訳は固まっているということでしょうか。
(外務大臣)今、まさにそれを調整しているところです。
(問)食糧支援の中にコメは入るのでしょうか。
(外務大臣)それも最終的調整の段階です。何れにしても、入るとしても全て国際市場での調達です。
(問)食糧支援についてですが、人道支援の位置付けというふうに聞いているわけですが、一方でなかなか不明10名の再調査の報告は来ていないわけです。これによって、例えばある程度支援を分割するなどして報告を早く出させるテコに使っていくという考えはあるのでしょうか。
(外務大臣)これは、あくまで人道的な観点から支援をするということであり、国際機関が何をいつごろどれくらい必要としているかを考えて、調整をするということです。再開した調査でどういう結果を北朝鮮が出してくるかということは、日本としても大変大事な問題だと考えており、これはこれできちんと追求していくということに変わりはありません。
(問)食糧支援ですが、日本が拠出したことによって、北朝鮮に支援された食糧が確実に北朝鮮の人々に渡るのかというフォローアップ、チェックをやるのでしょうか。
(外務大臣)この点も重要な点だと思っています。国際機関は今までも、きちんとしたチェックを相当に手広く行っていると思っていますが、日本としてもそれを確認するというのは非常に大事ですので、国際機関がこれをきちんと行うことについて、念には念を押していくということです。
(問)実際に日本のスタッフを現地に送るといったことも視野に入るのでしょうか。
(外務大臣)どういう念の入れ方があるか、いろいろなことを今検討しております。国際機関が行うことですから、国際機関に対して信頼を持つということが一義的に大事かと思います。
(問)近く、日朝実務者協議が行われる見通しですが、それに関連して藤田進さんという拉致被害者の可能性があるという方が取り沙汰されていますが、今後の日朝協議に与える影響を教えてください。
(外務大臣)実務者協議をいつ行うかという具体的な日取りはまだ決まっていないというのが第一点です。昨日、私も報道で写真を見ましたが、藤田さんの件については、政府内の関係するところで調査をすると思っています。それが影響を与えるかどうかということについては、認定をされるかどうかが先ず先に来ると思います。認定されるのであれば、それはもちろん安否の確認について含めていくということに変わりはありません。これは以前からの方針です。
目次へ戻る
ジェンキンズ氏の処遇
(問)独立法務官の来日とジェンキンズ氏との面会について何か見通しがありますか。
(外務大臣)今の時点で、具体的に日程が決まっているわけではありません。
(問)今週中とか、目処はついていませんか。
(外務大臣)そんなに遅くはならないと思いますが、具体的な日取りが決まったということではありません。
目次へ戻る
|