外務大臣会見記録 (平成16年6月18日(金)10:50~ 於:会見室)
閣議(イラク支援、川口大臣の青島、ロシア訪問)
(外務大臣)今日の閣議では私から、イラク主権回復後の自衛隊の人道復興支援活動についての発言を行い、多国籍軍の中で自衛隊がイラクで活動を継続することが了解されました。同時にイラク支援特措法の施行令、基本計画の関連部分の改正が行われました。
21日から26日まで、私が青島とロシアに出張することについて閣議で了承されました。事務代理は官房長官です。出張目的は3つあり、第3回アジア協力対話(ACD)、日中韓3 カ国の外相会談(三者委員会と呼称)への出席、三者委員会の議長は私です。そして日露外相会談です。
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イラクにおける草の根・人間の安全保障無償資金協力
(外務大臣)サマーワを含むムサンナー県で草の根・人間の安全保障無償資金協力として水と医療保健分野で総額3億4480万円の支援を行うことになりました。
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第159通常国会への出席時間
(外務大臣)第159通常国会が終わりましたので、国会への出席時間を計算してもらいましたところ366時間ということでした。これを1日8時間、1カ月20日で計算すると、2カ月と2日間、丸々国会で過ごしたことになります。昨年と一昨年の国会への出席時間は370時間ですから同じぐらいですが、昨年、一昨年は会期が1カ月程度長かったので、今年はより集中度が高かったということになると思います。ちなみに質問数は2704でした。
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中国による東シナ海でのガス採掘施設建設
(問)中国とのEEZの話を伺いたいのですが、いわゆる中間線と言われる部分に中国側が石油採掘施設を作っていて、日本側が折に触れて懸念を表明し、一部報道では更にまた中国側は新たな石油施設を作っているという報道も今日出ているわけですが、日本政府の現在の対応と、中国側からの返答についてお伺いします。
(外務大臣)この問題については、上にあるリグ(石油掘削施設)の話と、鉱区の設定があります。リグについては中間線よりも西側であるということを中国側は述べているわけですが、鉱区の設定がどういうことになっているか、日本としては情報を欲しいとずっと中国側に要請しているわけです。これについて今の時点で中国側から情報は来ていません。私は今度、青島に行きますので、いろいろな折りに、李肇星外務大臣とはかなり一緒にいる時間があるわけですから、それまでに何らの回答がないということであれば、私としてもお会いした時にこれについて言及しなければならない、言いたいと思います。
(問)その関連ですが、今日の報道にあるような2つ目の施設が確認されたということは、外務省として、あるいは政府としても確認されていますか。
(外務大臣)それについて私は聞いていません。外務省として、あるということを確認していないと思います。今から青島に行くまでの間に調べ、そういうことについて確認する必要があるということであれば、それも含めて行います。政府としてそういうことがあるということはまだ今の時点では確認していません。
(問)日本政府として独自にこの周辺の海域で調査なり、試掘をするというお考えは今のところありますでしょうか。
(外務大臣)これは外務省だけの判断というより、むしろ政府全体として議論をしていく話だと思います。政府の中でいろいろな検討が行われていますが、今後の対応については、日本政府としては大きな意味での国益という観点からどう判断していくことなのかということだと思います。いずれにしても政府の中で議論を詰めていかなければいけないと思います。
(問)中国側に好き勝手にやられて、日本側の対応が後手にまわっているのではないかという指摘がありますが、こういった指摘についてはどうお考えですか。
(外務大臣)後手にまわっているということはないと思います。これは昨年の段階から、日本は中国に対して照会をしてきているわけです。我が国としては海洋法に則って、中国側が行動しているかどうかということを確認する必要があり、それを行ってきているということです。
(問)現段階では海洋法に違反しているという御認識ではないですか。
(外務大臣)今の段階では中国側から、特に鉱区の設定について確認が出来ていません。問題がないかもしれないし、あるかもしれないということです。
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イラク情勢
(問)イラクですが、バグダッドでまた大規模なテロがありまして、主権移譲に向けて治安状況がまた悪くなるという結果にもなるかと思いますが、どのように今。
(外務大臣)これは前から言われていたことですが、6月30日でイラク人の手に統治権が全面的に移りますから、そういった中でそれを邪魔しようとする勢力、出来るだけ邪魔をしようとするという動きが、今後、6月30日に向けて起こっていくだろうということです。昨日はイラク軍に志願する人たちが殺されてしまったということですが、まさに主権が回復する前夜というこの時期にそういうことが続いて起こるということは非常に残念であり、遺憾なことだと思っています。日本も含めて国際社会が、イラクを支援していくという国連決議ができたわけですから、国際社会としてもちろんそれを実行していくということであり、出来るだけ早くイラク人たちが自分たちの手でイラクを再建することを一心同体、皆がそう思って行動することが可能になることを祈っています。
(問)治安の状況が主権移譲で変わる、それから自衛隊が今まで同様の活動をされるということですが、多国籍軍に入るということで、そういう勢力からまた違った目で見られる等、サマーワにおける自衛隊の安全確保という面でも今までと全く同じとは言えない部分もあろうかと思うのですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)今いろいろなことが起こっていますが、イラクの今の治安情勢に対する基本的な判断を変えるには至っていません。自衛隊は今後、引き続きサマーワで今までと同じことをイラク特措法の範囲内で行っていく。多国籍軍の指揮下に入るわけではなく、自衛隊の指揮の下で人道復興支援を中心として行っていくことは全く変わりはないわけです。従って、特に多国籍軍の中で活動するからといって今までと実体的に変わったことが起こるということではないと思っています。サマーワの人もアッラーウィー新首相も、是非日本には引き続き支援してほしいと言っているわけですから、支援していくということです。
(問)昨日、米国で出た報告書(米会議独立調査委員会の報告書)ですが、イラクのフセイン政権とアルカイダはどうもあまり関係はなさそうだと書いてあるのですが、大量破壊兵器と並んでアルカイダとイラク・フセイン政権が関係あるからテロとの戦いの一環なんだという理屈が一つ成り立つかと思うのですが、この点についてはどのように考えられていますか。
(外務大臣)最終的にこの報告書が報告されるのは7月になってからだと聞いていますので、全体としてはそれを見ないと分からないということがまず一つあります。ずっと国会などでも説明をしていますように、イラクはかつて大量破壊兵器を実際に持っていて使ったわけです。一連の国連決議に応じてイラクがそれを廃棄しなければいけなかった、それを守ってこなかった、これは国会答弁の繰り返しになりますから細かくは言及しませんが、イラクがやるべきことをやってこなかったことが問題であるということです。国連の査察団の報告でもVXガス、マスタード、サリン等、いろいろなものをイラクが持っていて、それがどうなったか分からないというのがUNMOVICのブリックス委員長の報告にも出ているわけです。
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BSE(牛肉の輸入再開問題)
(問)米国と協議が続いている牛肉の輸入再開問題ですが、一部報道で若年牛から再開と伝えられているのですが、政府としての方針はどうでしょうか。
(外務大臣)これは今、専門家の間で議論をしていて、私の記憶では夏頃まで議論をするということになっていると思います。その議論を見たいと思います。
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北朝鮮情勢(拉致問題、六者会合)
(問)拉致問題ですが、総理が北朝鮮に訪問されて1カ月経つのですが、その間に安否不明とされている10人の調査に関して、現在のところまでどういう状況でしょうか。
(外務大臣)これは出来るだけ早くいろいろな情報が出てくることが重要だと思っています。総理が帰られた後も北朝鮮との間では一定のやり取りを行ってきています。今日のこの段階でこういうことがありますと御披露するものはまだありませんが、日本側の考え方も伝えてきています。北朝鮮も、金正日国防委員長の指示ですから、取り組みをきちんとやっているという心証を持っています。ただし、結論的に何かあるということではありません。お互いに努力をして、日本としても同時に出来るだけ情報を集めて北朝鮮の言ってきたことについて反論をするなり、更に何か言っていくなり、そういうことを行っていかなければいけないと思っています。必要であれば一緒に加わって行うことも必要だと思っています。
(問)北朝鮮側から進捗状況についてのやり取りというのはありますでしょうか。
(外務大臣)一定のやり取りは行っていますが、今ここで何か申し上げられるということではありません。やり取りはあります。
(問)先程大臣が言われた、一緒に加わって調査をやらなければいけないという話ですが。
(外務大臣)必要であればやりたいと思っているということです。
(問)それは一時浮上した合同委員会でそういう話も視野に入れてということですか。
(外務大臣)合同委員会というのは、2月の段階だったでしょうか、こちら側のアイデアとして向こうに伝えたというものです。その後、総理が行かれて、白紙に戻して調査を再開しますと北朝鮮は言ったわけですから、北朝鮮側が今、そこは独自で調査をし始めていると思います。それを我が方としても反論をするなり、更に質問をするなり、いろいろなことを行ってきちんとしていかなければいけません。そういうやり取りは必要で、それを別に委員会と呼ぶとか、そういうことを考えているわけではないのですが、何らかの接触をしながらそういう議論をしていかなければいけないだろうと思っています。必要ならば参加して一緒にやりましょうということを考えているということです。
(問)来週から北朝鮮の核問題の作業部会と六者会合があると思いますが、改めて見通し、あるいは北朝鮮に対する希望、それと今回3回目をやって1年数カ月になりますが、始まってから大分経ちます。成果がないと枠組み自体の意義が問われるのではないかという指摘もありますが、それについては如何でしょうか。
(外務大臣)金正日国防委員長が六者会合について大事であるという趣旨の発言を、言葉ははっきり具体的には思い出せませんが、されているわけです。凍結は核廃棄の第一歩である、また、凍結には検証が伴うとか、そういうことを総理に述べられたわけですから、それを六者会合の場できちんと北朝鮮側が議論をしてくることを当然に期待しているということです。そういうことによって、平和的なこの問題の解決、核の廃棄について具体的な形で進んでいくことが大事だと思っています。何をもって前進があったかということですが、この六者会合の枠組みというのは重要な枠組みで、これしかないわけで、もちろん前進があるということは重要ですが、今回、何か見えないから、あるいはどこかの国が満足しないからこの場は役に立たないということではまったくないと思います。北朝鮮もこの場は重要だと言っているわけです。我々ももちろんそう思っています。
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外務大臣会見記録 (平成16年6月15日(火)09:32~ 於:院内控室)
閣議
(外務大臣)今日の閣議では、総理のサミット出席の報告をいたしました。北朝鮮、イラク、日本経済、世界経済など様々な問題について首脳が話し合われ、とても良い雰囲気の会談であったようです。また、その成果を今後のいろいろな問題に繋げていくということが重要であると思っております。
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米国務省による人身取引報告書
(問)米国の国務省が発表した人身売買に関する報告書について、日本が今回、アジアやラテンアメリカといった人達の目的国になっており、「特別監視リスト」に分類されているのですが、これについてどのように考えてらっしゃるのでしょうか。
(外務大臣)これは米国務省が、米国の基準で整理したということですが、外国から日本がそのような目で見られているということについては、十分にそれを認識して、この問題についての取り組みを強化しなければいけないということであると私は思います。今までよりもさらに見方が厳しくなったということですので、人身取引に関する議定書といった取り組みや、更に実施していかなければいけないことがあると思います。(被害者保護の)シェルターが少ないということも指摘されたようです。
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プーチン・露大統領訪日
(問)ロシアのプーチン大統領の訪日日程に関してですが、来週からの大臣のロシア訪問等において、ひとつ議題になる可能性があるかと思いますが 、昨日、日露事務レベル協議が行われたわけですが、アレクセーエフ大使が記者団に対して、先日のサミットで首脳間で合意した「年明け初め」という時期の認識について、3月まで含まれるとおっしゃていますが、大臣としても同じような認識で日程調整をなされるのか、それとも一般的に年明け初めというと、1月ですとか2月あたまぐらいまでというのが想定されますけれども、その辺の時期について認識はどうでしょうか。
(外務大臣)サミットで両首脳が話をされた時に、年初めのいつ頃まで、何月ぐらいまでという話をされた訳ではありません。両首脳それぞれ色々な日程があるわけで、日本としても国会はその時期忙しい時期であり、これはまさに両首脳の都合を、それに使える時間という観点でこれから調整するということだと思います。
(問)先方が3月と言及した事に関して言えば、先方の都合もあるでしょうから、それを念頭においてこちらも調整していくということでしょうか。
(外務大臣)いずれにしても両方が都合良くなければできないわけですから、両方の日程が合う時を年の初めに見つけて、日程をセットするということだと思います。
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北朝鮮(6者会合、日朝協議)
(問)6者会合の日程については、通告とかあるのでしょうか。
(外務大臣)もう報道しているところもあるようですが、引き続き調整中です。調整中ですが、調整の最終的な段階であって、早ければ今日にも発表できるような状況にあるのではないかと思います。中国から発表すると思います。
(問)当初言われていた日程と考えてよろしいのですか。
(外務大臣)色々と報じているところが既にあるようですが、私からこの日ですということは申し上げられません。それは中国がきちんと発表することです。
(問)改めてお伺いしたいのですが、北朝鮮との接触については今回は予定としては。
(外務大臣)6者会合においてということでしょうか。それについては、常に機会を見つけて行ってきており、引き続き行っていくということだと思います。ただ、拉致の問題については、日朝間で協議していくということがメイン(中心)であり、6者会合は核問題が中心の場です。しかし、必要ならば接触をして、そういうことも言っていくということだと思います。
(問)これまで6者会合の場で、他の国がいる場で、そういう拉致の問題を提起してきたのですけれども、今回は必ずしもそのような形をとらないと。
(外務大臣)触れていくということだと思います。ただし、会議自体はその議論をする場ではないということです。
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イラク(日本外交官襲撃事件の車輌公開、人道復興支援)
(問)今日、イラクで襲撃された外交官の車輌が外務省で公開されるということなのですが、改めて少し時間が経っていますけれど、この事件を振り返って大臣の方からコメントがあれば一言頂きたいのですが。
(外務大臣)日本がイラクの復興支援のために、昨年の武力行使の重要部分が終わった後、ずっと努力を重ねてきましたが、その努力の中心にいたのが奥大使と井上書記官だったわけです。そういうお二人が凶弾に倒れたということは我々にとっては本当に残念ですが、国連の決議もできましたので、日本として引き続き支援に力を注いでいくこと、それがお二人のご遺志に報いることであろうと思っています。今後、これからの時期、お二人がいらしたら、もっともっといい仕事をして頂けただろうにと思うと、大変に残念です。
(問)今後、車輌について外務省としてはどのように扱っていかれますか。
(外務大臣)今日の日程は聞いていらっしゃると思います。これは国有財産ですから色々な手続きをとっていく必要があると思います。
(問)サミットの場で総理が人道復興支援の継続ということを各国にお伝えになって、それを受けて多国籍軍に関して、むしろ与党側からも、もっと説明して下さいという声も出ました。それで、今多国籍軍への参加なのか、協力なのか、あるいはコマンドという言葉をどう日本として解釈すればよいのか、こういった説明の真っ最中だと思いますが、政府部内、与党内の了解を得ることにむけて今どのように認識していらっしゃるのでしょうか。
(外務大臣)政府及び党の方々に、そして国民の皆様にも説明していくことが大事だと思います。それはきちんと行っていくということであり、総理の記者会見での発言を受けて、昨日ぐらいから説明を始め、また、政府の中の考え方を整理しているところです。そういった過程をきちんとふまえて、政府として適切に判断を行い、その上で、ご理解を頂いて決めていくことだと思います。
(問)一部に、海外で先に総理が述べられたという事に関して、後先が逆になったという批判もありますけれども、これに関してはどのようにお考えですか。
(外務大臣)総理のご発言を注意深く読んで頂くと、多国籍軍に日本が参加をしますということは一言も述べられておられないわけです。従って、外で先に発言したということでは必ずしもありません。総理が述べられたことは、人道復興支援を日本として行っていく、それをどういう形で行うのがいいのか。決議があり、多国籍軍が形成されるということは、それはそれとしてあり、そのような状況の中でどのように日本として行っていくというのがいいのか、それを検討するということですから、それを受けて始めたということです。
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外務大臣会見記録 (平成16年6月11日(金)9:17~ 於:院内)
閣議
(外務大臣)私からは、スーダン西部のダルフールについて、これはG8の首脳会談でも議論されましたが、アラブ系とアフリカ系の抗争によって、人道上の問題が生じていることから、食料、医療支援を行なう目的で、600万ドルの支援を行なうとの話を致しました。また、ニカラグアより公式実務賓客として大統領ご夫妻をお招きしたのですが、令夫人が来日されなくなったという話しを致しました。
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北朝鮮(拉致問題,六者会合)
(問)サミットで拉致問題について議長総括で言及があったようですけれど、これについてどう受け止めていらっしゃいますか。
(外務大臣)よかったと思っています。日本としてやはり非常に重要な問題だと考えていますので、G8首脳により認識を共にして頂いたこと、これは議長総括なので議長の判断が求められたことですが、そのような認識があるということでよかったと思っています。
(問)北朝鮮をめぐる問題については6ヶ国協議が、近く開催されると聞いていますが、議長総括は今回の協議にどのような影響を与えると思いますか。
(外務大臣)こういった国際社会の北朝鮮についての関心、あるいは期待、国際社会のきちんとした一員として振る舞うようにという期待を、北朝鮮が認識して対応することが重要だと思います。そういうことを期待したいと思います。
(問)6ヶ国協議の日程ですが、韓国や米国、中国でいろんな話が出ていますが、だいたい23日前後ぐらいを軸に話が出ているかと思いますが、現状はどうでしょうか。
(外務大臣)まだ確定はしていないということです。
(問)もう日程が迫っているという中で、確定していないというのは、どういう状況なのでしょうか。
(外務大臣)特に何か具体的な理由があるということではなくて、やはり6者ありますので、いろいろな考え方があるということです。開催するということについてはもう全く問題ないわけであり、あとは具体的な日時を決めるということです。そこにおいて意見の違いというか、思いが違うところもまだ残っているということであろうと思います。
(問)6ヶ国協議についてはこの2回でなかなか成果と呼べるものがないのですが、3回目はある程度のものを期待してもよろしいのでしょうか。
(外務大臣)実際に、今、凍結そして補償ということを北朝鮮側が言い、我々はCVID(完全、検証可能かつ後戻りのできない形で核廃棄を行うこと)と言っています。日本の考え方としては、CVIDについて具体的なステップが決まっていく、何かの前進があるということを期待しています。ただし、常に同じペースで前進するということではないので、どこまで進むかということが1つの鍵ですが、日本としてはそこにおいてかなり進むことを期待しています。
(問)サミット議長総括の拉致問題ですが、これは日本側から働きかけがあったと考えてよいでしょうか。
(外務大臣)議長声明は、各国と相談しているときりがないという状況がありますので、議長国が責任をもってまとめています。もちろん米国は日本が拉致問題について非常に重要視しているということは十分に承知しています。これについてはずっと話をしてきていますので、他の国も知っていると思います。そのような議長声明がまとまるような議論が中であったということではないでしょうか。
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外務大臣会見記録 (平成16年6月8日(火)09:35~ 於:会見室)
閣議
(外務大臣)今日の閣議では私の発言は特にありません。なお、閣議では、レーガン元米大統領の葬儀に中曽根元総理を特派大使に任命して派遣することが決定されました。
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北朝鮮(ジェンキンス氏の処遇、六者会合)
(問)昨日、総理が日米首脳会談でジェンキンスさんと曽我さんの面会について取り上げるとおっしゃったのですが、外務省としては現在その場所についてどのように検討され、どういった状況ですか。
(外務大臣)いろいろ調整しています。必要なことを今着々と進めています。どういう段階にあるかということについては、曽我さん一家がいい環境でお会いになることを外務省としては確保したいと思いますので、本当に申し訳ないのですが、それ以上は申し上げるのを控えさせて頂きたいと思います。
(問)ジェンキンス氏の問題ですが、訴追についてアメリカ側から何らかの反応というのか、対応が見られるという予測はありますか。
(外務大臣)総理が昨日ぶら下がりで述べられていたように、いろいろと非常に難しい問題であると思います。繰り返しになりますが、いい結果を出すための努力が何よりも今大事なので、是非御理解を頂きたいと思います。
(問)六者会合についてですが、日程等は大体固まっていますか。
(外務大臣)引き続き調整中ということに変わりありませんが、相当時間をかけて調整をしていますので、どこかで答が出てくるだろうと思います。今の時点ではまだ決まっていません。
(問)次回の六者会合はどの程度まで進めば成功、成果があったという目安はありますか。
(外務大臣)各国いろいろな思いがあると思います。まとまってここまでということがあるわけではありません。とにかく出来るだけ前に進めるということであり、ここまで進んだら成功で、ここまで進まなかったら失敗といった考え方ではないと思います。
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イラク(自衛隊の多国籍軍への参加)
(問)イラクの関係ですが、今、国会等でいろいろ取り上げられている自衛隊の多国籍軍への参加ですが、これは基本的には決議が出てからのことだと思いますが、決議は今のところ8日には出る見通しですか。
(外務大臣)割に近いかもしれないということです。
(問)場合によっては決議が出て直ちに何らかの考えを表明するということになるのでしょうか、外務省としては。
(外務大臣)決議を見て、いろいろな整理を政府の中できちんとする必要があると思います。日本としてずっと思っていることは、今、国際社会全体が協調してイラクの復興を行っていくことが大事であり、日本としても、イラク特措法を国会で通して頂いて、そのために自衛隊を出しているわけであり、経済協力も車の両輪として行っているわけなので、そういうことを続けたいと考えています。最終的には決議を見てからということです。
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外務大臣会見記録 (平成16年6月4日(金)08:56~ 於:院内控室)
閣議
(外務大臣)ドミニカ共和国とハイチ共和国における集中豪雨の被害に対して、今まで行った1千万円相当の緊急援助物資供与に加えて、新たに緊急無償資金協力を、ドミニカ共和国に対して15万ドル、ハイチ共和国については、WFPを通じ22万5千ドル行うことを閣議で決定をしました。今回の支援は、食料パックの調達と配布にあてられる予定です。
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六者会合の日程
(問)北朝鮮の六者会合の日程ですが、現時点で日程等決まっていますか。
(外務大臣)決まっていません。まだ調整中です。六者が日程を合わせるというのは結構大変なことです。
(問)どう大変でしょうか。
(外務大臣)物理的に出る人が決まっているところに、いろいろな仕事があるわけです。国によって、出る人の都合が良ければいいという国もあれば、例えばその頃に、関係している別の国際会議があるということで変えてくれないかという人もいます。
(問)いわれている23日ですと、ちょうど大臣がモスクワに行かれるのと重なっているのではないでしょうか。
(外務大臣)その頃ですと、そういう可能性があります。
(問)その頃ですと、また担当者が重なっていたりとか、そういうことがあったりするのでしょうか。
(外務大臣)どうでしょうか。担当は、同じといえば同じであり、違うと言えば違います。いろいろな考慮があると思います。いろいろな会議が常に、同時並行的に世界であるわけですから。
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ARFにおける日朝外相会談の可能性
(問)先の話になりますけれども、インドネシアの当局者は、ARFに、北朝鮮の外相が出られるのではないかというコメントをされていますけれども、仮に出られることがあった場合、日朝外相会談をセットするのかどうか、大臣はどのように考えていますでしょうか。
(外務大臣)出席されるかどうかまだ決まっていないと思います。北朝鮮は何もそれについては言っていません。もし出席されるということであれば、2年前、ARFの時に日朝外相会談を行っていますので、私としては是非お会いをしたいと思います。ただ、これは、まず出席されるということが決まらなくてはいけませんし、二日とか三日の間に、皆が、お互いに会合の間で二国間会談を行うことになるので、皆、結構忙しい日程になるだろうと思います。
(問)仮説の話になりますけれども、仮にマルチの会合の間をぬって、そういう時間があれば、大臣としてはどのようなお話しをしていくお考えですか。
(外務大臣)総理が話をされたわけですから、そういったことを外相レベルでまた確認をし、今後、その時でどういう動きになっているかわかりませんが、そういったことについて話をしていくということだろうと思います。とにかく、前提が、仮定の仮定の話ですので。今までの経験で言うと、北朝鮮の出席はぎりぎりまで決まりません。
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外務大臣会見記録 (平成16年6月1日(火)09:25~ 於:院内控室)
閣議
(外務大臣)閣議では私から、日韓外相会談と盧武鉉大統領表敬の話を行いました。総理の訪朝についての説明、日韓二国間関係では、日韓友情年、FTA、人の交流の重要性などの話をしました。ITER(国際熱核融合実験炉)についての話もしました。
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曽我ひとみさんと家族の再会
(問)曽我さんとジェンキンスさんの再会場所について、曽我さんのご意向ですと北京以外でというのが出されましたが、候補とか如何でしょうか。
(外務大臣)私たちは、曽我さんのご希望を踏まえて、ご一家が落ち着いて静かな雰囲気の中でご一緒になれる場所の選定にいろいろ心を砕いているところです。今の段階でそれ以上のことを申し上げられませんが、曽我さんや平壌にいらっしゃるご家族たちが静かに話をするということが大事なので、そのようにしたいと思っています。
(問)今後の見通しですが、今週中にも場所の選定がされていくということでしょうか。
(外務大臣)いろいろ条件を満たすことが必要です。それを絞っていく過程というのは若干時間がかかるかもしれません。
(問)今の時点での曽我さんの意向を踏まえて、北京以外の候補地をお考えになっているということですか。
(外務大臣)いろいろな条件に合わせて行っていくということなので、皆さんのご満足のいただけるところと考えています。
(問)若干時間がかかるというのは、第三国の了解を取ることに時間がかかるということですか、それともアメリカとの訴追問題についての調整に時間がかかるということですか。
(外務大臣)第三国もあり、日本だけで決めるわけにも行きません。そういうこともあります。
(問)ジェンキンスさんの訴追問題については、アメリカとの調整を今後どのように政府としては取り組んでいくのか。
(外務大臣)これは我々としては、是非良い形で曽我さんご一家の問題を解決に繋げていきたいと思っているものですから、一つ一つのことについて申し上げることがそういう意味で必ずしも良い形での解決に繋がっていかない、そういうことにならないようにしないといけないと思っています。今の段階では、静かに見守っていただきたというお願いです。
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拉致問題の再調査
(問)再調査の件ですけれども、その後北朝鮮との協議はどのようになっていますか。
(外務大臣)北朝鮮側とこの点についていろいろなコンタクトを行っています。日本として、こちらもきちんと資料を整理するという作業を、今後、加速化していくことで考えているわけですが、今の段階でこのようになりましたと申し上げられることはないということです。いろいろ始めています。
(問)先方からは、具体的な返事等はないですか。
(外務大臣)今の時点でこのようになりますと申し上げられるまとまったことはありません。
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北朝鮮への食糧支援
(問)(北朝鮮への)食料支援を行う目途は入ってきているのでしょうか。
(外務大臣)これは、25万トンを国際機関経由ということなので、国際機関との話し合いがまとまることが大事です。直ちに一度に行うという形であるかどうかはまだ決まっていません。
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沖縄米軍基地問題
(問)沖縄のキャンプ・ハンセンでの都市型訓練施設の建設について、地元住民が反対しているが、これについては大臣はどのようにお考えか。
(外務大臣)反対があるということは十分に認識しています。これは、国会でも申し上げたことがありますが、地位協定でこの基地の管理権は米軍にあるわけです。地元の方は安全にものすごく懸念をもっていらっしゃるわけで、そういった安全についての懸念ということは米軍にはもちろん伝えてあります。米軍もそれに対応して、安全を確保する措置、例えば、種々、様々なことを行っているわけです。今後とも引き続きそういう安全の懸念については伝えていきたいと思います。米軍は、米軍の予算でやることについては、地位協定上は管理権を(行使)できるということです。
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