外務大臣会見記録 (平成16年1月30日(金)09:45~於:国会大臣室前ぶら下がり)
閣議
(外務大臣)私の方から特に申し上げることはありません。閣議での発言もありません。
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政府イラク調査団帰国日程
(問)一部報道で昨年の秋、政府イラク調査団の帰国日程を国会審議の影響を考えて2日間遅らせたという記事がありますが。
(外務大臣)そもそもいつ頃に帰国を予定していたかがはっきりしていたかどうか、防衛庁が主ですので、それについてはよくわかりません。
(問)国会への報告を避ける為に日程を2日程ずらすというのは考えられることなのでしょうか。
(外務大臣)普通そのようなことはないのですが、国会への報告をその人たちがするかどうかという問題は別にあります。政府として国会に報告するわけですので。いずれにしても、そのもともとの予定がどうだったのか等、他の省庁のことなのでよくわかりません。
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外為法改正案
(問)外為法改正案が今国会で成立する運びとなってますが、この受け止め方について。
(外務大臣)外為法の改正は、一国でそういった措置をとることができるということですが、外国との関係で日本政府がそういうことができるツールを持つことは意味があると思います。ただし、北朝鮮に対してそういう経済制裁を考えているかといえば、それは現在考えていないということはずっと申し上げているとおりです。北朝鮮に対しては従来より言及しているとおり、日本としては日朝平壌宣言に従って拉致問題、核等の安全保障の問題、それらを解決して国交を正常化し、経済協力をする、それは全く変わりはありません。全体の話は六者会合もありますし、日朝間の交渉ということも日本はずっと言ってきているわけです。そういったことに誠実に対応していくということを北朝鮮に対して呼びかけているということです。
(問)それに対しての反応というのはいかがでしょうか。
(外務大臣)今のところ特に何かが決まったということは全くありません。
(問)以前と違った反応というのは出てきているのでしょうか。
(外務大臣)六者会合について全く決まっていないという状況は変わっていません。いろいろ声明等皆さんもご案内のようなものも出ておりますけれども、日朝間で話し合いをしおうということに向かって調整が進んでいるということでもありませんし、六者会合については全く変わりがないということです。
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国会混乱での外務省の責任
(問)国会の混乱が続いていますが一連の対応について外務省の責任と今後の対応について大臣はどのようにお考えですか。
(外務大臣)いろいろな総理の答弁でご迷惑をお掛けしたということは、きちんと反省をしなければいけないと思います。そういうことが無いように各省庁の連携とか外務省の中の情報の流通とか、それからあの場合は、ある情報の重要性についての判断の考え方についてそもそも正しかったかということもあるわけで、そういったことについて改善を行うということが大事ですので、それは早速手を打っています。もともと、今、イラクの制度ないし情報がいろいろ動いている過程にあることも一つその要素としてあるわけで、先遣隊が行った時はサマーワの市評議会は機能していたわけです。ただし、「時間」が大事ですので、きちんと反省をし、そういうことが無いようにやっていかなければいけないと思っております。
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外務大臣会見記録 (平成16年1月27日(火)、9時52分から54分まで、於:国会大臣室前ぶら下がり)
(外務大臣)閣議では特に発言はしていませんので、申し上げることはありません。
(問)閣僚懇は何かありませんでしたか。
(外務大臣)閣僚懇では法務大臣から刑務所をPFIで作るという話があり、若干それを巡って話がありました。外務省の関係では特にありません。
(問)昨日、自衛隊に対し派遣命令が正式に出ましたが、これに対する率直な受け止めを教えて下さい。
(外務大臣)世界の中で、そしてイラクの人たちから、日本がイラクの人道復興支援に行っていることに対する期待が非常に強い、これは近隣諸国もそうです。こういう期待に応えて、しっかりやって頂きたいというのが私の願いです。
(問)今、閣議が終わったあと多少遅れられたようですが、どんな案件で。
(外務大臣)ある大臣と昨日の国会の答弁について、若干ご説明していたということです。特別な意味があるという話ではありません。
(問)昨日のロシアとの外務次官級協議で外務大臣の相互訪問について調整していくということですけれども、大臣のロシア訪問については、3月の大統領選を念頭にというお考えですか。
(外務大臣)時期はまだ決まっていません。これは国会で申し上げているように、平和条約の締結について、私はイワノフ外相とじっくりお話をしたいということを言っています。その大統領選の時期は先方も色々お忙しいだろうと思っています。今、具体的にいつという話を先方としている訳ではありません。
(問)大統領選の時期は、状況的に難しいと。
(外務大臣)常識的に色々考えて頂くと自ずと、国会もありますし。でも、何か決まっている訳ではありません。
(問)5月の大統領の就任式がありますが、それぐらいの目途では。
(外務大臣)そういったことを、これから詰めて行きたいと思います。
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外務大臣会見記録 (平成16年1月23日(金)09:15~ 於:院内控室)
閣議(パレスチナ人への人道支援に関する緊急無償資金協力)
(外務大臣)今日の閣議についての報告ですが、このたびUNDP・UNRWAに対して、衛生、医療、教育各分野の7案件について総額約907万ドルを支援することとしました。
衛生分野については10万人を対象に上水道整備、西岸に720個の貯水池の建設、公立学校のトイレ770個分の新設・修復、医療分野については、UNRWAの医療センターの医療機器・医薬品の供与、遠隔地のパレスチナ難民約70万人を対象とする移動診療です。教育分野の案件として、小学生約19万人に自習用教材を提供します。今回の支援は、国連のアピールが昨年の11月に出たことを受けて、昨年12月に3件の支援の供与を決定しましたが、それに加えて今回の協力を行なうということで、昨年が571万ドルでしたので、今回の90 7万ドルと併せて総額約1,478万ドルの支援を行なうことになります。昨年5月に私が中東を訪問した時に約2, 200万ドルを支援すると発表しましたが、これはその外数です。
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北朝鮮(核、拉致問題)
(問)金正日総書記が中国共産党(対外連絡部長)との間で、日本との関係で前向きな姿勢を表明したとの発言があったと報道されているが、中国側からはこの件について何か言及があったのか。
(外務大臣)情報は聞いています。そういう話があったということですが、核の話等ということで、特に拉致に言及したというわけではないということのようです。
(問)それは核の問題で日朝間で前向きな動きがあるということなのか、全般的にということなのか。
(外務大臣)全般的なことも含めてです。
(問)その発言を受けて大臣はどのようにお考えか。
(外務大臣)今年の1月6日の北朝鮮側の発表とかいくつかの動きがある一方で、政府間の協議に応ずるといった返事はまだ来ない状況にあります。北朝鮮の動きについては、引き続き注視していきたいと思ってます。日本の態度、立場というものは基本的に全く変化はない訳で、拉致については、家族の方、北朝鮮に残っている家族の方の帰国と、行方不明になっている方の事実確認の究明を行なっていきたいということを言っています。核については、完全な検証可能な不可逆的な核の廃棄を言ってる訳です。これは全く変わりないし、北朝鮮に対しては、誠実に日朝間、政府間の協議に対応するように働きかけ、且つ期待をしているということです。
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イラク(治安情勢)
(問)サマワで、日本時間早朝に、CDショップが爆発したという事件があったわけですが、現地の治安情勢の今後をどうご覧になるか、また、自衛隊の今後の活動にどう影響するとお考えか。
(外務大臣)これは、先遣隊の人たちの報告を聞きたいと思います。散発的なことはどこでもあり得ることですから、そのようなことが散発的な話なのか、どうかということです。これは東京でもいろいろあるように、そういったタイプのことなのではないかなという気が私はしますが、とにかく、報告を聞くということです。
(問)まだ詳細については、報告は受けて・・・。
(外務大臣)そうです。これから。
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外務大臣会見記録 (平成16年1月20日(火)10:40~ 於:会見室)
閣議
(外務大臣)今日の閣議では私から発言していませんので何もありません。
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北朝鮮(日米韓協議、制裁法案、拉致問題)
(外務大臣)21、22日とワシントンで日米韓の北朝鮮についての打ち合わせの会議があります。外務省からは藪中局長、アメリカからはケリー次官補、韓国の外交通商部からは李秀赫次官補、その3人で行うことになっています。
(問)21、22でワシントンで開かれる日米韓の協議は次回6カ国協議を開けるように環境整備をするための会議なのか、または実際に次回6カ国協議は開かれる環境整備が出来た上で日米韓で最終的な意思の疎通を図るための会議なのか、この辺はどういうふうに位置づけてよろしいでしょうか。
(外務大臣)六者会合がいつ開かれるといったことはまだ決まっていません。日本としても出来るだけ早く開かれることをずっと申し上げているように、日本だけではなく、皆が早く開かれることを希望し、そのために努力をしています。いずれにしても、日米韓で六者会合についていろいろなすり合わせをしていかなければいけないことは確かですから、同時並行的にと言いますか、それはそれ、これはこれで行っているということです。開かれることになった時に準備が十分に出来ているように、みんな今、そこに向けて準備しているということです。
(問)同時並行的というのは。
(外務大臣)開かれることが決まってそのために準備をするということではないということです。開かれることはまだ決まっていませんが、開けるように皆で努力をしているということです。
(問)日米韓の関連なんですが、一つは中国が、前に進むためには共同文書作りにあまりこだわるべきではないという意見も出ているので、そういうふうな感じになっているのか、それか北朝鮮なりアメリカが譲歩するしかないと思うのですが、ちょっとそちらはなかなか考えにくいので、中国の態度が一つと、あともう一つ金正日に中国の党の人が行って会ってきたという話もあるので、その辺の話で何かお聞きになっていることはあるのか、その2点について。
(外務大臣)後者については、そういう報道、アナウンスメントが出ていたということは承知していますが、中国側からこういうことであったという話は聞いていません。従って確認は出来ないということです。前者の方ですが、日米韓は、共同文書ということはなくても、出来るだけ早くやることが大事だとずっと言ってきています。中国がどう思っているかということも含めて今後の六者会合に向けての進め方については調整をしていることなので、私の立場で中国の態度はこうですということは申し上げられません。
(問)北朝鮮に対する経済制裁関連の法案というのが、今国会で外為法改正の成立確実になるとか、特定船舶の入港禁止の方も動きが加速しているようですが、このような外交カードとしての法案というのは大臣はどう受け止めていらっしゃるのですか。
(外務大臣)後者の方は議員立法ということで、そういう動きが見えてきているというような状況ですから、今の段階で私から何か申し上げることではなく、これは国会で判断する話だと思います。前者の方はより動きが明確にはなってきているわけですが、日本の国の安全を守るためにいろいろな手段を持っていることはいいことだと私は思っています。問題は、どういう状況でどういうふうに使っていくかということであり、道具というのはきちんと考えて使うということだろうと思います。
(問)一部報道では、政府間交渉を巡って先日の北東アジア課の職員の訪朝以外に田中外務審議官が別のルートでいわゆるミスターXと言われている方との間でも交渉を進め、拉致被害者家族の帰国に向けて調整を進めているということもありました。実際に職員の訪朝以外のレベルでそうした交渉が本格化しているのかどうか、この事実関係をお伺いしたいと思います。
(外務大臣)北朝鮮との関連で、拉致の問題については、この間申し上げたように、また、ずっと申し上げているように、政府として政府間交渉にすべきであるということをずっと言い続け、ボールを投げているわけです。そしてボールはまだ返ってきていないという状況です。従って、政府間の交渉は残念ながら動いていないということです。
(問)そうすると先程、私どもが質問させて頂いた田中外務審議官の独自のルートで何か進んでいるという事実は今のところないということで。
(外務大臣)政府間の交渉というのは、どういう状況であれ進んでいません。もちろん日本としては、ありとあらゆる手段を使ってと言いましたが、いろいろな機会を捉えて北朝鮮に椅子に座るように、テーブルに着くように働きかけは今後ともしていきたいと思っています。
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イラク(治安情勢、自衛隊への取材)
(問)イラクですが、サマーワに自衛隊と外務省員が入られたと思いますが、現下の報道で、治安当局者のオランダ軍とか、あるいは現地の方の会議の中で、治安が非常に悪化しつつある、あるいはテロが数日中にも行われるような可能性があるという情勢分析がされたという報道が現地であるわけですが、現地のそういう治安情勢についてどのように判断していらっしゃいますか。
(外務大臣)治安はイラクにとってずっと問題であって課題であるということは、ずっと申し上げてきたとおりです。我々としてもいろいろな情報について交換したり、情報に接したりということはあります。ただ、具体的にどういう情報があるといったことは申し上げられないということでお願いをしたいのですが、イラクの中がいろいろある中で、南部が比較的安定している地域、特にその中でもサマーワがそうであるということはそのとおりだと思います。イラクは今、治安が課題の状況ですから、しかもそういうことで退避勧告を出しているという地域ですから、そういうことを前提に考えていくということだろうと思います。
(問)特に自衛隊が入ることによって治安状況に変化が生じているとか、そういう認識は。
(外務大臣)いろいろなことを考える人がいるかもしれませんが、特にそういう認識は持っていません。
(問)イラクについてなんですが、外務省はイラク全土に退避勧告を出しているということで、自衛隊が現地の取材団に取材の設定、段取りを決めかねているということもあるようなんですが、これについて大臣はどのように御覧になりますか。
(外務大臣)自衛隊に対する取材については防衛庁でお決めになることですので、直接それについて外務省としてどうこう申し上げる話ではないと思いますが、退避勧告が出ているということは厳然たる事実であるわけです。ということは、イラクにいらっしゃる日本の方には国外に出てくださいというお願いは、外務省として行っているという立場です。報道の自由というのは、私は非常に大事なものだと思いますし、いろいろな報道を見ていても、それなりに報道してくださることが日本国民の理解を深めているという側面はあると思います。しかし、報道の自由を維持しながら、なおかつ退避勧告が出ているという状況にも対応すること、そういう取材のあり方というのはいろいろ探求できるのではないかと、私は個人的には思っています。いずれにしても外務省は邦人保護をする立場でありますから、そういう観点からこの問題については考えていくということです。現地に行って御案内のような陣容で、それには非常に大きな制約があるということは申し上げなければいけないと思います。
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日墨FTA
(問)経済関係なんですが、メキシコのカナレス大臣が3月末にも交渉期限ということで、メキシコのFTA交渉のことをおっしゃっているわけですが、大臣としては、今週後半とかメキシコにおいて始まると思うのですが、3月末というのをどういうふうに考えられるのか、そこら辺をお願いします。
(外務大臣)3月末をデッドラインと一部の報道にあったような気がしますが、そういうことで必ずしもメキシコが考えているわけではないと私は承知しています。一応、ある種の交渉を進めていき、その辺りに行ったらば見直してみましょうということであって、そこで交渉を止めますとメキシコが言っていると私は理解していません。今後の段取りについてはいろいろとメキシコと調整をしているということです。
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外務大臣会見記録 (平成16年1月16日(金)9:00~ 於:会見室)
閣議
(外務大臣)今日は閣議で、外交演説を含む政府4演説の検討が行われ、私からは外交演説について話しました。閣議での発言はもう一つあり、イラク復興開発のための無償資金協力案件2件についてです。一つは警察力の強化のためにイラク内務省に対して30億9900万円の無償資金協力を実施して、620台を目途とするパトカー(警察車両)及び整備器具一式を供与するというものです。車両ですが、イラク国内で、バグダッド他延べ27都市に配備されます。整備器具はバグダッドの自動車整備工場2カ所に送られることになっています。サマーワですが、620台の内の20台がサマーワに配備されることになっています。サマーワにはおそらく一番先に配備されることになると思います。
もう一つの案件ですが、学校再建事業とコミュニティ再建事業の支援のため、国連人間居住計画(UN-HAB ITAT)に対し、総額約880万ドル、円貨にしますと約9億4200万円の無償資金協力を行います。学校再建事業ですが、場所としてはバスラ、サマーワ、ナシリア、アマラ、すべて南部の都市ですが、271校に外装、土木、電気工事、水・衛生施設の整備、更に家具や資機材の供与を行います。コミュニティ再建事業ですが、これはバグダッド、サマーワ、北部のキルクークの3都市で、夫を失った女性を所帯主とする家庭の住宅や、コミュニティ施設を計3000戸再建し、同時に配電や給排水や街路などの生活のインフラを整備します。HABITATによりますと、学校再建事業とコミュニティ再建事業を併せて全体で一日当たりの雇用が約2000人創出されると見込まれています。これは総額15億ドルの無償資金供与の一部として行います。
(問)そのサマーワなんですが、外務省の出張所を設けるという計画もあるようなんですが、サマーワ出張所を設けた場合に自衛隊による警備というのは可能なんでしょうか。
(外務大臣)外務省として自衛隊の円滑な活動を支援することは、政府としてやるべき仕事ですから、そういった意味でサマーワに人を出す予定でいます。まさに支援ですから、自衛隊の人たちと一緒に行動することになるだろうと思います。
(問)サマーワに常駐する要員というのはどのような方なんでしょうか。
(外務大臣)言葉が出来るとか支援を行うのに適した人材ということで考えています。
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北朝鮮(米訪朝団議長の講演、外務省当局者の訪朝)
(問)アメリカから行かれた北朝鮮への訪朝団のプリチャードさんが講演されて、核開発の状況について黒鉛炉が動いていたとか、あるいは取り出した燃料棒を移動してしまったとか、そういうような報告があったわけですが、これについて外務省としてどのように受け止めていらっしゃいますか。
(外務大臣)そういう報道は見ておりますが、おそらく20日にアメリカで議会の方々への報告が行われると承知していますので、政府としてはそれを注視していきたいと思っています。昨日、パウエル長官とも電話で確認したことですが、どういう状況であれ、今まで言っている日米韓で連携してやっている基本方針、核について検証可能な不可逆的な核計画の廃棄についての方針は変わらないことで意見の一致は見ています。
(問)正式な発表は20日の議会に対する報告を待ってということですが、実際に現地に行かれた責任のある立場の方がそういうことを公の場でおっしゃっているわけで、なかなかかなり深刻な内容が出ているということもあると思うのですが、今の段階で特にこの件について外務省としては。
(外務大臣)直接政府としてそれを聞いているわけではなくて、講演で言われたことですので、それについて直接問うことではないと思いますが、政府の方針としては変わっていないということです。
(問)一方で、日本の外務省の平壌に行かれた訪朝団ですが、連絡はあったのかどうかということと、サワダさんと報道されている人と面会が出来たのかということについて、また言われているように新住吉会の人だったのかという、その辺についてはいかがでしょうか。
(外務大臣)領事面会自体は出来たようです。その内容については個人のいろいろなことに関わります。また、そもそも私どももあまり聞いていませんので、今申し上げるものはありません。
(問)領事面会が出来たのは昨日ということでよろしいですか。
(外務大臣)昨日だと思います。
(問)人定は取れたのでしょうか、サワダヨシアキさんについて。
(外務大臣)中身については、今の段階で申し上げることではないと思います。いずれきちんと聞いた段階で、何らかの話を出来ることについてはお話し出来ると思います。先程申しましたように、これは個人個人のことに関わることですので、申し上げられることはその範囲で申し上げることが、その時点で出来ると思います。
(問)北朝鮮にはもう一人報道ベースで騒がれた人で、元オウム真理教の女性が向こうに行ったままになっていますが、この方と会ったりということは出来たのでしょうか。
(外務大臣)もう一人の方が、今何とかとおっしゃった方かどうかはよく分かりませんが、もうお一方と面接も出来たようです。その方がどういう方かについては申し上げられません。
(問)その女性は当初亡命を希望されているような話がありましたが、今現在、その女性はどういった意思をお持ちだったのかというのはどうなったのでしょうか。
(外務大臣)分かりません。亡命云々というのは報道ではありましたが、そういうことについて今申し上げられることは何もありません。
(問)2人とも昨日、面会出来たということでよろしいですか。
(外務大臣)昨日だと思います。はっきりとした日にち、時間は聞いていません。
(問)日本政府として引き渡しを2人のケースについて求めたことは求めたのですか。そこまではいっていないのですか。
(外務大臣)対応についてどういう状況だったのか、一切分かっていません。
(問)外務省当局者の訪朝の関係なんですが、領事面会が出来たのはお二人でよろしいのでしょうか。
(外務大臣)2人について出来たようだと申し上げているだけで、それ以上のことはよく分かりません。
(問)拉致家族の関係者との接触などはあったのでしょうか。
(外務大臣)それ以上のことはよく分かっていません。出来たということは今聞いていないということです。
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米国のWTOへの書簡
(問)米国がWTOの加盟国に書簡を送ったようですが、その内容についてどういうふうに対応されているか教えてください。
(外務大臣)これは加盟国全体に送ったようで、2004年を失われた年としてはいけないとのメッセージだったということですが、日本政府のWTOにつての方針はずっと変わっていません。いろいろな問題はありますが、出来るだけ前に向けて進んでいき、合意が世界全体として出来ればいいと考えています。
(問)そうしたことにはプラスになる動きであると。
(外務大臣)米国として前に進めたいという意思の表明だったのではないかと思います。
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韓国(尹永寛外交通商相の辞任、竹島切手の発行)
(問)韓国の尹永寛外交通商相の辞任が北朝鮮問題、6カ国協議に与える影響というのはどのように御覧になっていらっしゃいますか。
(外務大臣)韓国の内政問題なので、私の口からどうこう申し上げるのは適切ではないと思います。いずれにしても、北朝鮮問題との関係で言えば、日米韓の連携は緊密に今まで行ってきていますし、今後ともそれは行っていくということだと思います。尹永寛長官との関係では、私は非常にいろいろ連携を取らせて頂いて、御協力を頂いた、一緒に前向きに良い日韓関係のために仕事をすることが出来たという意味で感謝をしています。
(問)韓国の話題でもう一つなんですが、竹島の切手が予定通り今日発行されたようですが、改めてどう受け止めるているのかということと、今後日本政府としてどのように働きかけていくのかということを改めて。
(外務大臣)私自身、まだ発行されましたということをきちんと聞いていないのですが、そういうことであれば、それは前から申し上げているように竹島というのは歴史的にも国際法上も我が国の固有の領土であります。そういう意味で遺憾なことだと思っています。これはまさに我が国の領土ですから、それとの関係では何らかの対応をとることになります。その対応は、万国郵便連合との関係では、領土についての我が国の立場に影響を与えるものではないということをきちんと確保することが一つあると思います。外交的には、先程申し上げたようなことを申し上げることだと思います。万国郵便連合との関係では、事務局を通じて加盟国に回章を回すことになると思います。従って、後は日本政府として韓国に対して遺憾であることを厳重に言うということだと思います。
(問)それは大臣の方からこちらの大使なりに伝える。
(外務大臣)これから段取りを考えたいと思います。
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外務大臣会見記録 (平成16年1月13日(火)11:00~ 於:芝会見室)
閣議(大臣のイラン、ア首連訪問、国連防災世界会議)
(外務大臣)今年初めての会見です。今年もよろしくお願い致します。私の方からですが、今日の閣議では、出張に行っていたイランとア首連についての報告をしました。併せて、国連防災世界会議の開催が決まりましたので、それに関連する発言を行いました。
イラン、ア首連訪問ですが、今般、イラクに自衛隊派遣を行うという大事な局面であり、時宜を得た良いタイミングでの訪問であったと思います。自衛隊派遣について、イランの理解を深めることが出来たと思っています。イラクの復興についても日本と協力してイランも行いたいという話がありました。非常に率直で、建設的、友好的なというのがイラン外務省の人たちの評価でしたが、良い会談が出来たと思っています。ア首連からは自衛隊派遣、日本のイラク復興支援について十分な理解と支持を得ることが出来たと思います。イランの核問題についてですが、私の方からIAEAの追加議定書の批准を行うことが大事であるという話をしました。同時に、追加議定書の署名が暮れにありましたので、それについては歓迎すると評価をしました。引き続きIAEAとイランとの協力をイランの方が積極的に行っていくことが重要であると話をし、イランの方からは、追加議定書の批准前ですが、実質的にIAEAの人たちがイランの中で自由に活動しているという話もありました。
地震についての支援、約200万ドル弱ですが支援を行っており、日本の地方公共団体や国民のレベルでも人ごととは思えないので、支援活動を行っているという話をし、イランからは非常に感謝されました。バムの遺跡という古い重要な遺跡がありますが、その復興に向けて日本も支援をしていきたいと話をしました。1月8日に国連からの緊急アピールがありましたので、それに応えてユネスコの文化遺産保存信託基金から50万米ドルを拠出することにしました。日本人の専門家の派遣を含むユネスコを通じる協力の決定をしました。今後、日本の2国間の文化無償協力で、約1.5億円ぐらいだと思いますが、遺跡保存あるいは修復関連の機材について供与を検討していきます。
国連防災世界会議ですが、開催地は兵庫県で、兵庫県は御案内のように地震について非常な経験を持っているわけで、日本として世界に対して知恵を発信できるような会議が出来るように、外務省としても他の関係の省庁と協力しながら地元の方ともちろん協力しながら行っていきたいという話をしました。
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北朝鮮(脱北者支援NGOメンバーの拘束、平沢議員と北朝鮮政府高官の接触、六者会合、核問題)
(問)一部の報道あるいはNGOの方々が言っていることで、脱北者を支援されているNGOメンバーの方が昨年の12月に、これは3例目だそうですが、また新たに中国当局に身柄を拘束されて、今、外務省として身柄の引き渡しについて交渉をしているという報道、あるいはNGOの方々の訴えがありますが、事実関係を話せる範囲でお願いします。
(外務大臣)そういう事実はあります。昨年の12月の半ばぐらいだったと思います。脱北者2名の方、NGOの方が中国当局に拘束されたため、外務省は邦人保護の立場から中国当局と接触し、その方と面会もしています。今後、邦人保護の立場から全力を尽くしていきたいと思っています。
(問)いつ頃面会されたのですか。
(外務大臣)割に近い時点でです。日にちははっきり覚えていませんが、2、3日という期間だったと思います。
(問)今後の対応ですが、脱北された2人の方は日本へ来ることを希望しているようですが、その方の扱いは。
(外務大臣)中国当局の聴取がいろいろあるわけですので、その後、とにかく出来るだけ早く日本人の方については日本への帰国を働きかけていきます。脱北者の方は基本的には中国の国内法で処理をされることになるわけですので、送り返さないようにという働きかけを行うことになりますが、それ以上の細かいことは、まさに今後、中国がどういう対応をするか、基本的には中国の問題ですから、直ちにどうこうという話がまだ出来る段階ではありません。
(問)平沢勝栄・自民党衆議院議員の北京での北朝鮮側の接触への評価で、大臣は日曜日のテレビ番組で、出迎え案についての、「前向き」という発言は出迎え案も含めてということなのか、それとも北朝鮮の5日の労働新聞の表明だとか、「前向き」という発言をもうちょっと説明をお願いしたいのですが。
(外務大臣)一部の新聞で、出迎えについて前向きというニュアンスの報道がされていますが、私が申し上げたのは、北朝鮮にいる拉致犠牲者の家族の方に、一日も早く日本に帰って来て、自由な環境の中で意思決定をしていただくということはずっと前から言っていることです。事実関係の解明も大事だということもずっと言っていることですから、それについて具体的に何かということではなくて、全ての可能性について前向きに対応していくということを一般的に申し上げたということです。北朝鮮が日朝平壌宣言を守っていくとの発言がありましたが、それは全く日本も同じ立場であって、基本的な方針はずっとかわっていません。核の問題についての朝鮮半島の非核化、平和的、外交的に解決していくこと、検証可能で不可逆的な核の廃棄、これらの日本の立場は何ら変わっていないということです。
(問)額賀さんとか冬柴さんに中国の唐家センさんが、6カ国協議を2月には開けるのではないかとか、開きたいという程度なのか、どのようにお聞きになっているのでしょうか。
(外務大臣)唐家セン国務委員がどういうことを言われたかということについての事実関係はまだはっきり聞いておりません。日本としては出来るだけ早く開きたいということも変わっていません。早ければ早いほどいいと思っています。
(問)中国から出来そうだという連絡は来ているのでしょうか。
(外務大臣)今の時点でいつ開くということは全く何も具体的に決まってはいません。六者会合が開かれるように様々な外交努力を12月からずっと続けている状況に全く変わりはありません。尹長官の記者会見の記録を読んでいましたら、私の記憶が正しければですが、具体的な会議という形で開くということは決まっていないけれども、それまでの外交努力を各国は行っているわけで、実質的に6者が含まれる形で行っているので、六者会合を開いているようなものだという趣旨の御発言をなさったという記憶がありますが、基本的にそういうことだと思います。
(問)北朝鮮の問題の関連ですが、アメリカ議会の関係者が北朝鮮に行って、寧辺の核関連施設を視察したり、その視察を北朝鮮が受け入れたり、年明けの北朝鮮のいろいろな報道で、核開発の凍結の用意があるといったことを表明したり、北朝鮮の姿勢が非常に柔軟になってきているところがあるのではないかという観測も出ていますが、一連の北朝鮮の動きについて大臣はどのように分析されていますか。
(外務大臣)アメリカ人のグループが北朝鮮に行ってどういう話があったのか、事実関係はまだ聞いていません。一連のいろいろな動き、北朝鮮として物事を前に動かそうという意図を持っているのかもしれませんし、北朝鮮というのは不透明ですから、本当にどういう考え方でやっているかについてはよく分からないというのが一番正直な答えです。先程申しましたように、日本の核についての考え方というのは従来から変わっていません。朝鮮半島に核があってはならない、検証可能で不可逆的な核の廃棄が行われるべきである、問題を平和的、外交的に解決する必要がある、日本としては日朝平壌宣言に従っていろいろな問題を解決して、国交正常化を行い、その後、経済協力をしていくという一連の考え方は従来どおり何ら変わりはないということです。
(問)そうしますと、今、北朝鮮が凍結と言っているのは、黒鉛減速炉なわけですが、日本政府としてはこれはあくまで濃縮ウランも含めて凍結、最終的には廃棄しなければいけないという立場ということですか。
(外務大臣)最終的に日本が求めているのは全ての核開発計画の放棄です。北朝鮮がいろいろ言っていることについて幾つかよく分からない部分はあるわけで、例えば対象として何が入っているのかということについてははっきりしていません。どうやって検証するのかということについても議論は必要であろうと思います。どのように何を行っていくかということにあるわけですが、北朝鮮とこちら側でやることのバランスをどう考えるかということも議論をする必要があるだろうと思っています。
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韓国政府による竹島切手の発行
(問)大臣がいらっしゃらなかった前回の閣議で、韓国の竹島についての切手を発行するという問題が閣僚懇で話題になりまして、何らかの対応をとるべきではないかという意見が大勢であったようですが、その後、どういう形で進めるべきとお考えになっていますか。
(外務大臣)先程、言い忘れてしまったのですが、閣僚懇で私の方からその問題については、今までこういう経緯でこういうことを行ってきているという話をしました。昨日の時点で尹長官にも私の方から、竹島は日本の固有の領土です、国際法上もそうであるので、発行は中止をしてほしいと申し入れてあります。尹長官との間では、この問題について日韓両国間の友好関係が損なわれたり、両国国民の関係がぎくしゃくするようなことがないように注意をしていく必要があるということについても意見の一致をみています。今後のことですが、韓国はまだ発行をしていないので、それについては今の時点でどうこうとそれを前提に申し上げることは控えさせて頂きたいと思います。
(問)閣僚懇ではその後それについて今日は話題と言いますか、そういう大臣からの話は。
(外務大臣)何も御質問はありませんでした。
(問)尹永寛長官に申し上げたというのは昨日ですか。
(外務大臣)昨日です。
(問)長官からはどのような。
(外務大臣)今、申し上げたとおりです。
(問)友好関係ということでしょうか。
(外務大臣)そうです。それと韓国は今までの韓国の立場というのが当然あるわけで、それは日本と同じ意見、韓国の固有の領土である、そして国際法上もその問題はないというのが韓国の立場ですから、韓国の立場について話がありました。友好関係を損なうことがないように、両国の国民の間でこれでいろいろ問題が大きくなることにならないように処理をしていく必要があることで一致をしたということです。
(問)電話でですか。
(外務大臣)そうです。
(問)つまり韓国としては基本的に韓国の立場に則って発行はするという話は長官の方からは。
(外務大臣)中止をするという発言はありませんでした。ただ、今の時点では発行したわけではありません。
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国連次席大使
(問)国連次席大使に北岡さんを起用という一部報道があるのですが、その辺の事実関係と、もしよろしければ狙いと言いますか、どういった辺りがポイントになるかという辺りをお聞かせ願えますか。
(外務大臣)事実関係については、人事の話ですので、決定するまでは申し上げることは差し控えたいと思います。ただ私としては、これは2年前に就任した時からずっと言ってきていることですが、開かれた外務省にすることは大事であると思っていますし、現に幹部や大使の外部からの任用をずっと行ってきています。その方針は引き続き私は持っています。
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日米地位協定
(問)日米地位協定に関してなんですが、沖縄の復帰直後に外務省が作成した地位協定の考え方という機密文書の存在が明らかになっていますが、その文書の中には、沖縄に地位協定を適用するために拡大解釈したり、外務省自ら協定の矛盾点などを文書の中で指摘しているのですが、この文書の存在自体について。
(外務大臣)いずれにしても、その文書について報道があるということは知っていますが、地位協定の解釈等については今まで国会で説明しているとおりです。
(問)この文書の存在を沖縄県は公表を求めていますが、これに対して外務省としてどのように対応していくのでしょうか。
(外務大臣)私はそういう文書があるということは、少なくとも今の時点では聞いていません。
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