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記者会見

外務大臣会見記録(平成15年8月)


INDEX


・ 外務大臣会見記録(8月29日付)
 ・ 閣議(ODA大綱改定、独立行政法人の理事長人事、川口大臣の海外出張)
 ・ 6者会合、チチハルの毒ガス事件


・ 外務大臣会見記録(8月26日付)
 ・ 閣議
 ・ 大臣訪韓
 ・ パキスタンに対する緊急援助
 ・ JICA総裁人事
 ・ 六者会合、万景峰号
 ・ WTO閣僚宣言案
 ・ イラク情勢


・ 外務大臣会見記録(8月5日付)
 ・ 川口大臣の外国訪問
 ・ 李肇星・中国外交部長の訪日
 ・ 北朝鮮情勢(日朝国交正常化交渉と拉致被害者家族の帰国)
 ・ WTO非公式閣僚会合
 ・ 靖国神社の参拝
 ・ 日米地位協定


・ 外務大臣会見記録(8月1日付)
 ・ 閣議(WTO非公式閣僚会合、スリランカへの無償資金協力、予算の概算要求基準の閣議了解)
 ・ 北朝鮮情勢(多国間協議、脱北者と見られる10人の駆け込み事件、拉致被害者家族の帰国)
 ・ 日米刑事裁判手続き






外務大臣会見記録 (平成15年8月29日(金)11:20~ 於:芝会見室)

・閣議(ODA大綱改定、独立行政法人の理事長人事、川口大臣の海外出張)

(外務大臣)私の方から幾つかあります。まず、新しいODA大綱が今日の閣議で決定されました。独立行政法人について、国際協力機構理事長に緒方貞子氏、国際交流基金理事長に小倉和夫氏を指名することについて了解を頂きました。理事長の任命日は10月1日ということです。私の出張について、8月5日だったと思いますが、私がウクライナ、ウィーン、ジュネーブに行くという話を申し上げたかと思いますが、ちなみにウィーン、ジュネーブは軍縮の旅と称していますが、それに引き続き、WTOの旅としてブリュッセルに行き、その後カンクンに行きます。9月16日まで2週間半ということです。ブリュッセルではWTOのカンクンの閣僚理事会がありますので、ラミーEU委員会貿易担当委員とか、フィッシュラー農業担当委員と意見交換を行いたいと思っています。ODAの大綱については、ODA改革を今まで行ってきたその集大成だという位置付けをしており、作る過程で関係者の意見を伺い、パブリック・コメントも頂き、相当、NGOや企業や外部の方々との意見交換を通じて作りました。ここまで外の意見を伺いながら作った大綱というのはODAにおいても、あるいは他のものについてもたぶんないのではいかと自負をしております。ODA大綱の特徴ですが、3つあり、1つはいわゆる国益と言われていますが、国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資するということを明確にしたというのが第一点です。2番目に、新たな開発の課題として人間の安全保障や、人間の安全保障の視点について強調されているということです。3番目にODAの政策を立案したり実施する過程で、今後引き続き国民参加の推進、各省との連携とか、現地機能の強化等をやっていきたいと思っています。その3つが特徴かと思いますが、今、財政事情がなかなか厳しいわけで、他の先進国がODAの予算を今、かなり増額しつつある中で、日本としてはむしろ減ってきています。6年間で27%減ったということです。ODAの予算を戦略的に使って、透明性や効率性、機動性といった側面を、要素を高めていきたいと思っています。

(問)先程閣議で口頭了解された人事で、緒方さんともう一人、国際交流基金の小倉和夫さんとおっしゃいましたが、緒方さんについては先日の会見でどうして選んだかのお考えをおっしゃっていましたけれども、小倉さん、元フランス大使だと思うのですけれども、これについてはどのようなお考えで選任されたんですか。

(外務大臣)緒方さんも小倉さんもそれぞれの機関について適材適所ということで決めさせて頂きました。私はそれをするにあたって、JICAも(国際交流)基金も、今までその仕事に携わられた人、現職の人、あるいは中の職員、皆に相当幅広く意見を聞いた上での判断です。基金の仕事というのは大きく言って3つあるのですが、1つは文化交流、日本の文化の交流、それからもう1つは日本語、日本語を広めるといったことですね、3番目に知的交流という、3つの分野があるのですが、この3つの分野全てをとっても、小倉さんは非常な知見と経験がおありである。それは大使としてもお持ちですし、前に文化交流部長であったこともおありです。それから何よりも個人として、私は前から存じ上げていますけれども、非常に発想に独創性がある。本も色々書いていらっしゃいますけれども、そういう意味で、経験とパーソナリティとしての独創性、いうなればそういう世界で、言葉が悪いかもしれませんけれども、「華を持って」活動して頂ける方だと思っています。独創性を持って改革をきちんと進めて頂けると思っています。

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・6者会合、チチハルの毒ガス事件

(問)今度の6カ国会談をする前に、日本側で何回にも渡って中国側に拉致問題で協力してくださいと頼みましたが、日本のマスコミは中国側がこの問題であまり協力してくれないと報道していました。今度の会談の結果として、日朝の意見はまだ平行線に留まっていますが、今度の会談で中国側が拉致問題で日本に十分に協力してくれたかどうか、川口大臣はどのように考えていらっしゃいますか。これが1番目の問題です。
 2番目に、今度は自民党の野中元幹事長が訪中した時、唐家セン国務委員は拉致問題について日本を支持する姿勢を見せたのですが、中国側が今後も引き続き日本のために更に北朝鮮を説得する動きとかございますか。
 3番目の問題で、チチハルの毒ガスの事件で、中国人の被害者の1人が死亡したのですが、外務省として賠償の措置とか検討していらっしゃいますか。

(外務大臣)3つ、重要な問題についての御質問ですが、まず今回の6者会談を開催するにあたって、中国側から並々ならぬ努力、協力を頂いたと思っております。中国側の努力がなければこれは開催することが出来なかったという意味で、日本としても中国に非常に感謝しています。今申し上げたことは、この前、李肇星・外交部長が日本に来られた時に、私は直接お伝えしています。これはずっと何回もお話をしてきていますし、中国側が日本の拉致問題について日本を支持していないということはないわけで、理解をし、今後も出来る協力はしますということも中国は言ってくださっています。そういう意味で、協力は頂いています。一つあったのは、この拉致問題について、6者会談でこれを全体会合の場で提起するかどうかということについては、中国と若干の意見の違いがあったと思います。中国側としてはこの会談をホストとして円滑に進めていきたいという当然の配慮がおありになったといことだろうと思いますし、我が方としてはこれは提起するということをお話していますし、現実に提起しました。
 2番目の質問は、今後のことですが、日本としては中国に引き続き北朝鮮の問題については、拉致問題だけではなくて、全部について積極的な役割を果たして頂きたいと思っています。拉致問題についても理解と協力を引き続き頂けるものと思っています。
 チチハルの件ですが、こういうことが起こって、中国の方が負傷を大勢なさり、お一人亡くなられたということは、私としても大変残念に思っています。日本としてはこの問題については誠実に対応していくということを、この前、外交部長には申し上げました。そのつもりでおります。ただ、申し上げておかなければいけないのは、戦後の請求権の問題、これについては両国政府間で既に、あれは何年でしたか合意があり、請求権は今、存在しない、放棄があったということで、これは両国政府間で合意がありますということは申し上げておきたいと思います。

(問)昨日の6ヶ国協議の際、日朝の2国間協議が行わて、原則論の応酬で物別れに終わったというふうに聞いているのですけれども、先ずこの2国間協議についての大臣の評価、それと今日新たに再会談を行う予定なり、そのお考えはあるのか、この点についてお願いします。

(外務大臣)2者間の会談が昨日行われたことは良かったと思います。結果についてはおっしゃったように原則論で先に進まなかったのは残念ですけれども、これは粘り強くやって行くべき話でして、先ず話をするというのが大事ですから、そういう意味で良かったと思います。それから今日ですけれども、今日は日本時間の11時から、正確に言うと11時6分だったそうですけれども、6者会談が始まっています。その前に日朝の接触はなかったです。今後どういう形であるかどうかということについては何も決まっていません。日本としては、接触できる状況で話はしたいと思っているということです。

(問)6者の関連で、昨日、6者か米朝かで北朝鮮が核実験の用意がある旨発言したと伝えられた報道が流れておりますが、こういう発言はあったのでしょうか。大臣の方でどんな報告があがっていますでしょうか。

(外務大臣)今、おっしゃった言葉そのものが北朝鮮代表の口から出たとは承知していません。ただ、いろいろな発言が北朝鮮側からは今までもあったわけで、そういった一つ一つのコメントについて確認するとか、何を言ったとかいうことを日本から申し上げるということは御遠慮したいと思います。アメリカのホワイトハウスの副報道官がコメントをしていると聞いていますが、いろいろな発言はあった、そういったことに類似した発言はあったようですが、北朝鮮は今までいろいろな発言をしていますので、そういうことであろうということです。

(問)今日で3日間の6者協議が終わるわけですが、この6者協議の話し合いの枠組みは、これは北東アジアの安全保障とか、今後の政治的な対話に与える影響、そういった観点からの意義としてはどういうふうにお考えでしょうか。

(外務大臣)この地域で信頼を醸成し、将来的にどのような形で安全保障の問題に対応していくかということを考えた時に、この6者による話し合いというのは、将来的にはあり得ることだと思います。あるいは望ましいことだと思います。ただ、今直ちにそういうところまで行くかというと、その前にやることはたくさんあるわけですから、直ちにこの後そういった形でこの枠組みが機能するとか動くとか、そういうことではないと思います。

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外務大臣会見記録 (平成15年8月26日(火)10:50~ 於:芝会見室)

・閣議

(外務大臣)閣議では総理訪欧、私の訪韓、それからパキスタンに洪水がありましたので、その関連で緊急無償をしますのでその3件について話をしました。

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・大臣訪韓

(外務大臣)私の訪韓については、27日から六者会合が開かれますので、それの直前に韓国の大統領を表敬をし、外交通商部長官と会談を持ち、その前の打ち合わせということで、非常に率直な意見の交換ができて、有意義であったと思います。大統領と外交通商部長官との間では、二国間関係についても未来志向型の関係をさらに発展させることが大事である、6月の両国首脳の共同声明で表明されました協力関係を実施をしていくということが重要だということで話をいたしました。

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・パキスタンに対する緊急援助

(外務大臣)パキスタンの洪水災害に対する緊急無償協力、無償資金協力ですが、パキスタン南部のインダス川流域で発生いたしました洪水の災害に関しまして、8月4日に、テント、浄水器、ポリタンク等の1950万円相当の緊急援助物資を供与するということを決定いたしました。また、8月8日に被災者の食糧援助のための10万ドルの資金協力を決定いたしました。この洪水災害の被害は、死者が189名、被災者が86万名に及んでおります。

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・JICA総裁人事

(問)一部報道で、国際協力事業団、独立行政法人になると名前は変わりますが、理事長に緒方氏を起用するという報道がございました。これについていかがでしょうか。

(外務大臣)そのような方向で検討をしております。これは、閣議で正式に諮って決定することになります。閣議は29日を予定しています。閣議で決まるまでは正式ではないのであまり申し上げるということは如何かと思いますけれども、私の気持ちとしては、緒方さんにJICAを国際的にきちんと評価をしてもらえる組織にして頂きたいと思っています。JICA は、途上国に行きますと大変に評価が高く、私がこの前シリアに行きました時に、シリアの外務大臣の奥様からも、日本がやっていることの中でこれほどすばらしいものはないと、評価をいただいておりますけれども、先進国に行くとなかなかそれが充分に知られていないということがあります。緒方さんの今までの国際経験、国際感覚、そういうものを活かして、J ICAを国際的に、きちんとした位置付けをされる組織にしていただきたいと思います。

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・六者会合、万景峰号

(問)六者協議の直前に入港した万景峰号に是正命令が出されたことで、出航が予定よりも遅れるのではないかという見通しも出ている中で、六者協議に与える影響等について大臣はどのように御覧になっているのでしょうか。

(外務大臣)我が国としては、粛々とルールに則ってやっているということであります。これはこれ、六者協議は六者協議ということだと思います。

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・WTO閣僚宣言案

(問)WTO交渉について、閣僚宣言案に対する評価と、これからの対応についてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)これは、カスティーヨー一般理事会議長が、各国の意見の違いがあって難しい状況を、WTOの事務局と相談をして、カスティーヨー議長の責任でまとめられたペーパーという位置付けでして、これから議論をジュネーブで事務的に進めていくということになるわけです。これは必ずしも我が国の意見を反映したものではない部分があるわけですが、これについては今後の議論の中で、ジュネーブにおいても、我が国の立場をきちんと反映させるように議論していきたいと思っていますし、カンクンでもそういうことをやっていくということです。

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・イラク情勢

(問)イラクですけれども、バグダッドの国連の事務所が爆破されて、日本の自衛隊の派遣の時期も、年が明けるんじゃないかという見通しも強まっているわけですけれども、あのテロの自衛隊派遣に与える影響とか、日本の復興支援策全般に与える影響をどういう風にみてらっしゃるのか。

(外務大臣)我が国がイラクの人々のために、イラクの復興のためにやるべきことを、国際社会の一員としてやっていきますという基本的な方針には全く揺らぎはありません、ということを、まず申し上げたいと思います。それからあの事件の意味というのは、今までは米軍兵士を中心に治安上の問題があったわけですが、それが広がっている、例えばああいった文民に対してというソフトターゲット、インフラも含みますが、に対する砲撃があるとか。それからバグダッド以外の場所にも広がってきているということではあると思います。基本的な方針は我が国としては変わっておりませんので、それに沿ってきちんとやるべきことをやっていくということです。従って調査団の派遣というのは情勢を見ながら、きちんとやっていく。今、いつ頃というのは検討中で申し上げられる段階ではありません。

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外務大臣会見記録(平成15年8月5日(火)11:15~ 於:芝会見室)

・川口大臣の外国訪問

(外務大臣)8月31日から9月4日までの日程でウクライナ、ウィーン、ジュネーブを訪問する予定です。今、日程を調整しています。ウクライナではズレンコ外務大臣との会談をする他、他の要人とお会いすることを今調整しています。ウィーンでは、9月3日にCTBTの発効促進会合があります。日本としてはCTBTの早期発効に積極的に取り組んでいますので、私がそこでスピーチをするという方向で今調整をしています。ジュネーブですが、9月4日に猪口軍縮代表部大使が議長を務める軍縮会議がありますので、そこでスピーチをして日本の軍縮政策について訴えることを考えています。併せてウィーンに行きました時に、オーストリアとの外相会談も考えています。

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・李肇星・中国外交部長の訪日

(外務大臣)御案内のように李肇星・中国外交部長が10日から訪日されます。11日に日中外相会談を行うことを考えています。また、小泉総理への表敬も11日に行われる予定です。12日が日中平和友好条約署名25周年に当たります。この(李部長の)訪問は、私が前に中国に行きました時に御招待していたものですが、こういったタイミングで訪日が実現するということについて、今、北朝鮮等の様々な問題もあるので、そういう議論も致しますし、日中の友好関係を更に深めるということに資するのではないかと思っています。

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・北朝鮮情勢(日朝国交正常化交渉と拉致被害者家族の帰国)

(問)日朝国交正常化交渉なんですが、先日、安倍副長官が講演で、交渉再開の前提は被害者5人の家族の帰国であると述べ、昨日、次官は会見で、何が前提で何が前提でないかというよりも解決を探求すべきだということでしたが、大臣としてはどのようにお考えなのでしょうか。

(外務大臣)お二人の言っていることはそれ程違わないのではないかと思うのですが。日本政府としてずっと言ってきていることは、5人の家族の方々の帰国というのは最優先課題だということを言ってきているわけです。今、日朝国交正常化交渉が具体的にいつ頃ということがはっきり見えているという段階ではまだないわけで、何にも増して正常化交渉の再開までに5人の家族の方の帰国を実現する、これが何よりも大事だと思い、外務省としても一生懸命やっているということです。

(問)そうしますと、5人の家族の方が帰国をしない限りは国交正常化交渉は始めないという、そういう政府の方針ということでよろしいですか。

(外務大臣)家族の帰国について実現の見通しが立つという状況がないと、なかなか再開ということは難しいと思います。同時に、交渉を実現する上で詰めなければいけないことというのはあるわけですから、そのためには話し合わなければいけないということもあるわけです。ですから、最優先課題については先日来、手紙等の話がありましたが、私は本当に、これを何にも増して早く実現したいと思っています。

(問)家族の帰国の実現の見通しがつかないと、なかなか再開というのは難しいと思うと先程おっしゃいましたが、6カ国協議の中でこの拉致問題、あるいは日朝国交正常化交渉の打診についてどのように対応されるのでしょうか。

(外務大臣)これについては、6カ国の協議が実際に実現した暁には、我が国としてこれは提起したいと考えています。

(問)6カ国協議が実現した暁には提起したいということですが、この段階で家族が帰国していなくても、交渉再開を提起するというお考えでよろしいですか。

(外務大臣)交渉再開を提起するということを申し上げたのではなかったのですが。拉致の問題については提起するということを言ったのです、先程の御質問については。

(問)質問の中には正常化交渉再開の打診というのもありましたが。

(外務大臣)正常化交渉に向けてのいろいろな条件を整えて正常化交渉をやっていくということは大事だと思っています。日本として6カ国協議で議論できない日朝だけの問題というのがあるわけですから、6カ国協議の場でそのために長く時間を取るということが必ずしも十分に出来るかどうかという問題がありますから、そういった議論の場というのは必要であると考えています。そのためには働きかけを引き続きやっていかなければいけないし、日本が北朝鮮に対して今言っていることについて、北朝鮮側が真摯に受け止めて対応するということが重要だと思います。

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・WTO非公式閣僚会合

(問)閣議後、WTOの関係で総理とお話をされたようですが、中身について教えてもらえますでしょうか。

(外務大臣)(WTO非公式閣僚会合に)出席しました3大臣一緒に報告をしました。中身ですが、今回の会合についての報告をしました。基本的には、いろいろな意見があり、何か新しい進展があったということではありませんが、やはりカンクンを成功させるということが非常に重要だ、前に動かなければいけないという意識が各国にあったのではないかと私は感じています。日本は、きちんと農業についての我が国の立場、主張すべきことをきちんと主張しました、ということも総理にお伝えしました。

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・靖国神社の参拝

(問)昨年もお聞きしていることなんですが、15日の終戦記念日に大臣は靖国神社を参拝するお考えがあるのか。15日に行かない場合、その前後に行くことがあるのか、改めてお願いします。

(外務大臣)私は靖国神社には参りません。その前後にも参りません。私の世代というのは、父親が戦争に行って亡くなったりした人たちがいるという世代で、そういう意味では子供の時から、誰それさんのお父さんが亡くなったというような話を聞いて、あるいはそういう会話があって育ってきましたので、私なりのやり方で、ずっと戦争で亡くなられた方についての気持ちは常に持っています。私なりのやり方でそれを考えていますが、それを靖国神社に行く、参拝するという形では表現しないということです。

(問)これも昨年と一緒かもしれませんが、官房長官の私的懇談会で建設を提言している国立追悼施設建設、これの是非についてお考えというのはございますか。

(外務大臣)これについては報告が出ました。政府としてこれを今後どうやって取り扱っていくかという議論をしていくということですので、閣僚の一員として、政府の一員として同じように考えています。

(問)改めて、1月の総理の靖国参拝と、8月にまた2人の閣僚がいらっしゃると思うのですが、そういったことについてどう思われますでしょうか。

(外務大臣)総理が靖国に行かれた時のお気持ちは、あの時のお話で出ているとおりで、それは総理のお気持ちだと思います。

(問)他の外国等への与える影響ということについてはどのようにお考えですか。

(外務大臣)総理が靖国に行かれた直後、1月に私が韓国に参りましたが、私としても韓国に行った時あるいは中国に行った時に、いろいろな折に総理の真意、お気持ちについては今まで説明してきています。

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・日米地位協定

(問)日米地位協定のことですが、実務者協議を4回重ねてまとまらなかったわけなんですが、この先、再協議ということになる場合、大臣として、外務省の最高首脳として、どういう役割あるいは見通しを持っていらっしゃるか、お考えをお聞かせください。

(外務大臣)今、それぞれの政府で上にあげてという段階にありますので、その情勢を見てということになります。今の段階で、その先どのようになるかということについて直ちには言えないと思います。それぞれ知恵を出し合って議論をして、4回会合を持ったということですから、その状況をきちんと踏まえて我が国政府として考えていくことが大事だと思っています。

(問)この問題は全て日本の国内問題、国内調整の問題という側面もあるのですが、法務省との関係において、例えば何かそこで調整に乗り出そうとか、そういったお考えはありますか。

(外務大臣)国内調整の問題もあるでしょうが、それだけでもないと思っています。いずれにしても、関係者と十分に相談することが必要だと思っています。

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外務大臣会見記録 (平成15年8月1日(火)11:15~ 於:芝会見室)

・閣議(WTO非公式閣僚会合、スリランカへの無償資金協力、予算の概算要求基準の閣議了解)

(外務大臣)まず閣議ではWTO非公式閣僚会合への参加について報告をしました。次にスリランカの母子保健分野での無償資金協力の実施について発言しました。閣議全体としては、平成16年度予算の概算要求基準が閣議で了解されました。
 WTO非公式閣僚会合ですが、全部の閣僚が、カンクン(での閣僚会合)が9月中旬にありますので、カンクンをどうやって成功させるか、そのための方向性を出せるかどうか、それぞれのポジションを譲るということではなかったのですが、いろいろな可能性、アイデアを出して議論をしていこうという雰囲気があって、良い議論ができたと思います。ただ、今の時点でそれぞれのポジションから動いているわけではありませんので、各国の間には引き続き非常に大きな立場の乖離が存在しています。ですから、これから6週間の間に各国が相当精力的に議論をしていかなければいけないということです。日本も農業その他の分野で国益をきちんと守りながら、全体の成功に向けてどのように貢献していくかということがこれからの課題でありますので、最善を尽くしたいと思います。特筆すべきこととして、アメリカとEUが、これはそれぞれのポジションは変わったということではないのですが、取り敢えずそれぞれ主張していることをミックスをしたような形、ブレンドしたような形で何か共通の案が出せるかどうかという議論を始めています。これについての今後の見通しについてはよく分かりませんが、そういった、米英がリーダーシップを取っていくこと自体、日本は評価をしています。日本の立場がそこにきちんと反映されるように、政府としてもこれから動いていきたいと思います。
 スリランカの件ですが、これは今年の6月に日本で会議を行い、日本としてコミットすると言いましたが、その一部であります。ユニセフを通じてスリランカの北東部、隣接地域で緊急産科医療を行う病院の建設・改修、X線等の機械の供与、母子の栄養失調改善のためのビタミン剤や鉄分の補給剤の供与を行うものです。3年間で最大10億ドルと言いましたが、そのうちの260万ドルぐらいです。これは矢野副大臣が、8月3日、4日にスリランカに行かれますので、その時にスリランカ側に伝達することになっています。
 予算の概算要求基準の閣議了解についてですが、外務省としてはこの基準に基づいて予算の要求を行っていくことになるわけです。平和の定着・構築の外交というのは非常に重要でして、例えば無償資金協力の3分の1は、既に平和の定着のために使っているという状況にあり、そういった意味でも大事であります。国際機関関係の分担金も全体の要求額が、一般会計が減っていく中で増えていくという状況にありますので、いろいろな要求をきちんと精査して、メリハリのある要求をしていきたいと考えています。ODAについては、ODA大綱の見直しを今やっていますが、それに基づいてきちんとやっていくということです。

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・北朝鮮情勢(多国間協議、脱北者と見られる10人の駆け込み事件、拉致被害者家族の帰国)

(問)ロシア政府が、北朝鮮が6者協議を受諾したという発表をしまして、米中の電話首脳会談でも話し合われたようですが、日本政府としては現在、関係国からこの件についてどのように伺っているのでしょうか。

(外務大臣)ロシアを加えた形で多国間の協議が行われることについて、北朝鮮はそれに賛成であると言ったということは承知しています。北朝鮮との関係については、様々な意見の交換を関係国と不断に行っていますので、そのような方向で今動きつつあるということは、エンカレッジメントというか非常に良いことだと思っています。その会合を上手く進めていくために、米国、韓国、日本でどういうことを言っていくかについての意見の調整も必要ですから、そのようなことも行いながら我が国としても会合自体には積極的に対応していきます。

(問)6者の方向で動きつつあるという話はロシアとか、米国の方から可能性として得ているということですか。

(外務大臣)いろいろな情報は得ています。もし関係国がみな賛成であれば、日本としてももちろん同意を致します。

(問)多国間協議の時期、もしくは多国間協議の前にこれまで言われてきたような3カ国協議があるのかどうか、これは大臣、どのような見通し、もしくは状況でしょうか。

(外務大臣)今の時点で何かがはっきり決まっているわけではありません。けれどもいろいろな動きがあって、日本としてはそれが良い結果に繋がっていくことを期待しています。日本のポジションはもちろん、繰り返しませんが、日本、韓国を含めて多国間協議で行うことが重要である、必要であるという立場、これは変わりありません。

(問)これまで、多国間に慎重というか反対していた北朝鮮が、ここに来て多国間、6カ国を受諾するというふうに伝えたことについてはどういう理由であると考えていますか。

(外務大臣)いろいろな動きがある中ですから、北朝鮮としても、今まで2国間と言ってきた理由というのは、安全の保障とかがあるわけです。他の国々が北朝鮮に対して、そういった北朝鮮の安全の保障というのは2国間ではなくて、多国間で行うことが一番の保障になるという説得をしてきているわけです。例えば2国間で、北朝鮮とアメリカとの間で条約が締結できるかということになりますと、米国の状況を少しでもよく分かっている人であれば、それは不可能であることはよく分かると思います。上院での批准を必要としますから、そういうことにはならないわけです。そういった説得も行ってきましたが、ただ、最終的に何が北朝鮮の考え方を動かしているのかということについては、ああいったところですからいろいろなスペキュレーションはできますが、こういうことではないかと、このような場で申し上げるだけの情報、北朝鮮の考え方については持っておりません。

(問)一部繰り返しになりますが、北朝鮮がしてきた米朝の直接対話、この要求はどういう点で北朝鮮が既に取り下げているというふうに情報を得ていらっしゃいますか。

(外務大臣)それは必ずしもそういうことではないと思います。はっきりと何がどういう形だというのはこれから決まることで、今の時点ではっきり申し上げられることはないということです。

(問)脱北者と見られる10人がバンコクの日本大使館に駆け込んだ問題ですが、今の時点で日本政府の対応と言いますか、亡命先などまず調査状況を教えて頂けますか。

(外務大臣)昨日たぶんお伝えをしていると思いますが、韓国にある我が国の大使館から言葉の分かる人をタイに送りました。それからもう一人追加致しました。いろいろ必要な人定事項等をまさにこれから聞くということですので、今の時点でこれが分かりましたと申し上げられることは、昨日申し上げた以外にはありません。

(問)朝鮮語の出来る人は2人今いるのですか。

(外務大臣)2人。2人目はまだ着いたかどうか確認はしていません。

(問)北朝鮮側が日本のNGOを通じて拉致被害者の家族の一部を帰したいというふうに伝えていますが、その事実についてNGO側から何か情報を得ていらっしゃるかというのが一点。もう一点は、マルチを受諾するという北朝鮮の動きと、その申し出がどういう関連があると見ていらっしゃるのか、この2点について教えてください。

(外務大臣)1点目については、外務省にではなく、(拉致被害者・家族)支援室にその話があったと承知しています。2点目、これは先程の質問とも関連しますが、関連があるのかないのか、それも含めて全く分かりません。

(問)確認ですが、支援室に話があったというのは、拉致被害者家族を帰国させると言った北朝鮮側の意向が伝えられたということですか。

(外務大臣)北朝鮮側のそういう意向が支援室に公的な形で伝わったということかどうかは承知してません。

(問)要するに支援室に伝えられたというのは、大臣の把握している中ではどういう話が支援室に伝わったのですか。

(外務大臣)家族、子供たちに会った、手紙、写真等が届いたということです。

(問)そういう情報が支援室から外務省の方に伝わったのはいつ頃の段階なんですか。

(外務大臣)昨日ではないでしょうか。そこまで聞いていませんので、後で担当者の方からお伝えします。(後刻、「外務省は、29日夜、支援室と同じタイミングで連絡を受けた。」旨、記者側に伝達した。)

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・日米刑事裁判手続き

(問)日米の刑事裁判手続きの話ですが、今日の時点で合意が出来なかったということですが、今後の見通しと大臣のお考えについて。

(外務大臣)今、まさに協議を続けています。今の時点で引き続き協議をしているということ以外に何も申し上げられません。

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