外務大臣会見記録 (平成15年6月27日(金)8:48~ 於:院内)
川口大臣のウラジオストク訪問
(外務大臣)閣議では私から発言はしませんでしたが、二つ申し上げることがあって、一つは、明日、明後日ウラジオストクに出張します。貿易経済に関する日露政府間委員会の共同議長間会合があります。併せていくつかのことをやってきたいと思っています。
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カンボジア総選挙に対する政府監視団の派遣
(外務大臣)それから、カンボジアで7月27日に選挙がありますが、その選挙の監視団を日本から送るという話をずっとしていまして、この間、フンセン首相に私からその話をしましたけれども、元カンボジア大使の今川さんを団長として25名のチームを送ることを考えています。そして、その25名のうち10名は一般公募をして参加して頂くわけですが、その10名のうちの5名は現地に在住をしている日本人の方に現地の感覚を生かして参加をして頂こうということです。
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TCOGに関する報道
(問)今朝の報道で、先日のTCOGで北朝鮮対策で、こちら側からできる措置として、食糧支援などいくつか日本側から提案したというものがありますが、事実関係は如何か。
(外務大臣)食糧支援を日本から提案したということはないですね。
(問)いくつかの提案はしたのですか。
(外務大臣)別に提案ということではないですね。いろんな連携は非常に密にやっていますから、北朝鮮との関係では三ヶ国では密に話をしているということですけれども、具体的にこういうプログラムを北朝鮮にやっていきましょうということではないです。
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カートマンKEDO事務局長の来日
(問)今日、カートマン(KEDO事務局長)と会われますが、どのような話をしますか。
(外務大臣)KEDOについての一般的な話だと思います。
(問)今後の見通しなどについては。
(外務大臣)色々な情報分析など意見交換はするかもしれません。
(問)日本としてはKEDO事業の継続を求めるという立場に変わりはないですか。
(外務大臣)KEDOについて、今終わらせるとか、そういう風には考えていません。
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外務大臣会見記録 (平成15年6月24日(火)9:44~ 於:院内)
閣議(川口大臣の出張報告)
(外務大臣)今日の閣議では、私から先般の出張について御報告を致しました。基本的には、幾つかの会議がありましたが、ASEANとの間でいろいろな話をし、朝鮮半島、あるいはミャンマーの情勢についてかなり突っ込んだ話をすることが出来たということです。日本の主張については、これははっきり言いまして、それなりにARFの声明にはそれが盛り込まれたというふうに思います。その後、一連の会議が終わった後、タイで今回2回目の会合でしたが、ACD(アジア協力対話)に一部出席を致しまして、アジアとしての様々な協力についての取り組みに関し、議論を致しました。プノンペンで政策スピーチを致しました。シハヌーク国王の子息、ラナリット殿下も出席をしたところで、ASEANについて、特に格差がASEANの国々の間でありますので、その格差を縮めるということが大事であるという観点で、ASEANの一体性についてのイニシアティブ、ASEANの一体性についての川口イニシアティブと名付けまして、3つの柱からなる政策スピーチを致しました。
ミャンマーにつきましては、私もプノンペンでウィン・アウン外務大臣と話を致しましたが、矢野副大臣が今、ミャンマーに入っており、外務大臣との会談の他、キン・ニュン第一書記、この方は政府の中で言いますと3番目にあたる方ですが、この方と会談をして、日本の言っていることは重く受け止めるという話が向こう側からございました。
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ミャンマー情勢
(問)ミャンマーのその後の情勢についてなんですが、アウン・サン・スーチーさんの拘束は。
(外務大臣)残念ながら動いていません。日本の言ったことについてはウィン・アウン外務大臣もきちんと上層部には伝えるということを言っていましたので、早くミャンマー政府の中で国際社会が関心を持っていることについての決定、釈放するとか、NLDに政治的な活動の自由を与えるとか、そういったことの決定をくだして欲しいと思っています。
(問)日本として回答期限のようなものは考えているのですか。
(外務大臣)出来るだけ速やかにということを言っています。これについては、ARFの会談でもASEANの今までの会議の性格から一歩踏み出した形でみんなの意見が、ASEANの意見も含めて伝えられていますので、国際社会のプレッシャーということについてはミャンマー政府はきちんと受け止めていると思います。これは引き続き働き掛けを日本としてもやっていかないといけないと思っています。
(問)スー・チーさん自身の体調と言いますか健康もありますし、相場観としてやはり日本政府は政策の変更あり得べしと先方に伝えているわけですから、相場観として例えば来月いっぱいとか、来月前半ぐらいまでというような、何かイメージはおありですか。
(外務大臣)出来るだけ早くと思うんですね。それで、ミャンマーの政府の中でそれなりにそれが染み込んで決断に繋がるという時間は与えないといけないと思っていますが、ただ、可能な限り早くという気持ちです。
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イラク情勢
(問)今日からイラク人道復興支援特措法案の審議を始めるわけですが、この時点でいまだに大量破壊兵器が見つかっていないことについてはどういうふうに考えますか。
(外務大臣)これについては今、1000人を超える人を投入して探しているということです。イラクの国土は広いですから日本のことを考えて頂いても具体的にはっきりした情報が今集まりつつある状況だろうと思います。そういったことをベースにきちんと探していかなければいけないということには時間がかかると思っています。
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外務大臣会見記録 (平成15年6月13日(金)9:20~ 於:院内)
人事
(問)平松北東アジア課長が7月1日付でアメリカのハーバード大学の研究員として出向するということですが、これは一連の拉致被害者からの批判等々と関係はないのでしょうか。
(外務大臣)課長の人事について、私は細かいことはいちいち聞いていません。決めた後で報告があると思います。それからいずれにしても、平松課長を一連の事との関係で更迭をするとか、処分をするとか、そういうことは全く考えていないということです。
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米海兵隊員による婦女暴行容疑事件について
(問)昨日、米兵による事件が発生していますが、その事件を把握しておられるか、また、あと大臣のご見解をお願いします。
(外務大臣)事件については、聞いています。発生した日に米軍から当日報告があって、警察から翌日聞きました。それから今捜査をしているので、正に捜査の成り行きを見ていくということですけれども、もし事実であるとすれば、これは非常に極めて遺憾だと思います。
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パレスチナ情勢
(問)現在のパレスチナ情勢をどう思いますか。
(外務大臣)大変に憂慮しています。折角アメリカを中心として、国際社会がこれに対して対応が始まっていて、アッバース首相とそれからシャロン首相と会って、それぞれ暴力を停止する、そして入植地から引き上げるという話があって、物事が動こうとしていた矢先にこういったことがあるというのは極めて残念で、談話も発表させていただいた通りです。暴力の悪循環を是非止めてほしいと思います。
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外務大臣会見記録 (平成15年6月10日(火)9:20~ 於:院内)
北朝鮮関連
(問)万景峰号が昨日入港を止めたわけですが、大臣ご自身としてはどういうふうに受け止めておられますか。
(外務大臣)北朝鮮側で何らかの理由か、何らかの判断があったのだろうと思います。こちらの方は粛々としてやるべきことをやっていくということだけだと思います。
(問)北朝鮮との対話ですが、米政府の関係者から近いうちとか1、2ヶ月くらいで日韓が入った対話ができるのではないかという見通しが伝えられていますが、それについては大臣はどのような見通しをお持ちですか。
(外務大臣)特にそういう見通しがあるというふうには聞いていません。ご存じの通り、日本としては、日本と韓国がこれに入ることが必要だとずっと言ってきているわけで、そういう方向で物事が動いていくことが重要だと思っています。そういう働きかけは日本として今後ずっとしていくということです。事態がよい形で動いていくような合意が関係者の中でできればよいと思っています。
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ミャンマー情勢
(問)ミャンマーですが、ラザリ特使がスーチー女史と会えるかどうか微妙な状況ですが、政府としてはどのように考えておられますか。
(外務大臣)この事件が始まってから、ずっとアウンサン・スーチー女史の釈放と会えるようにということと、そして国際社会に対して十分に説明を透明性のある形でするようにということは申し入れてきておりまして、そういう意味で今回のラザリ特使の面会についても日本政府としては、いろいろな尽力をしてきております。状況を注視しております。
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外務大臣会見記録 (平成15年6月6日(金)9:26~ 於:院内控室)
閣議
(外務大臣)閣議では、私からは総理のロシア訪問とサミットについての報告を致しました。評価としては、これはまず、総理は各国の首脳と非常に良い個人的な関係を持っていらっしゃいますので、それをベースにG8の首脳の間での協調関係を作っていくという意味で非常にいい役割を果たされたと思います。日本にとっての成果という意味では、北朝鮮の問題について、拉致の問題が議長サマリーで言及されたということが成果ですけれども、それだけではなくて、いろいろな貢献をしていると思います。内容的に言うと総理はイラクの問題、水問題、それからSARSを含む感染症の問題、あとは京都議定書の早期発効、構造改革とデフレ対策を含む日本の経済運営、これについてG8や首脳の、首脳の他にもいらしていた人がいますから、関心を高めるということに非常に貢献なさったと思います。その他にも例えば自由討議というのが夕方ありましたが、あれはまさに総理の御発案でそういうものが出来たわけですし、これについては各国首脳、非常に良かったとおっしゃっていたようです。それから、イラクについても、この前私が日本のイラクに対する支援策を発表する時に、国際機関による国際会議ということをあの時に申し上げたのですが、それに応えて国連で会議をやりますということを発表して、今回の議長サマリーでもそれに対して各国の首脳が歓迎をするということが入っていますが、あれも日本の貢献だと思います。これは今月の下旬に早速開かれるということになっていますが、そういう形で、全般にいろいろなところで日本が貢献をしているというふうに私は思っています。
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ミャンマー
(外務大臣)ミャンマーですが、大臣談話を出させて頂きました。1週間経ちまして、ミャンマーの事態、情勢について改善が見られないということについては、これを非常に深刻に受け止めておりまして、改めて日本の考え方をはっきりとミャンマーに述べる、伝えるということが大事であるというふうに考えまして、アウン・サン・スー・チー女史の即時解放、アウン・サン・スー・チー女史及びNLDの自由な政治活動の速やかな回復、これを求めています。そしてそのミャンマーの状態、事態が一日も早く回復をする、解決をするということを求めているわけです。ラザリ国連事務総長特使が今日、ミャンマーに行くということになっていますが、ラザリ特使からもお手紙を頂いて、ミャンマー訪問が効果的に行われるように是非日本の支援が欲しいということでしたので、日本からも、そうなるようにミャンマー政府に働きかけています。この手紙は私宛に4日、一昨日ですね、到着をしています。
昨日の日本・マレーシア首脳会談で総理から早急な解放を求めるということを言われて、両国との間で協力をしてやっていきましょうという話をしました。他のASEAN諸国もこの問題には強い関心がありますので、それらの国々とも一緒に協力をして働きかけをやっていきたいというふうに考えています。
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有事法制
(問)今日、国会で有事法制の関連法案が通る見通しになっていますが、改めてこの法案が通る意義と、これによって日本の安全保障がどういうふうに変わるのか、もしくはまだ足りないところがあるのならどういうところが必要か。
(外務大臣)有事に際して、我が国がどのような手順でどういう行動をとるのかということについて、私はもっと早くそういう法制があっても良かったと思っていますが、それが出来たということについて私は非常に良かった、歓迎をしています。これは第一歩でして、今後法制を整備をしていかなければいけませんし、外務省としても幾つか直接にやっていかなければいけない国際人道法の関連の話ですとか、ジュネーブ条約の追加議定書の締結ですとか、それのための国内の法制もありますし、幾つかやることがあるわけですね。それをきちんとやっていかなければいけないと思っています。それから、近隣の諸国との関連で、これは有事の際に我が国がどのように対応していくかということであって、これがあるといって、近隣の諸国に何らかの懸念が生ずるようなことでは全くないわけですが、この点についてはむしろ我が国の行動についての透明性が高まったということだと思いますが、きちんと、今までも丁寧に説明をしてきましたし、今後ともこれは引き続きやっていく必要があると思っています。今後、外務省としてやるべきことはきちんとやっていくということです。
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スリランカ復興開発に関する東京会議
(問)来週月曜日からスリランカの復興開発に関する東京会議についてですが、これまでのところ、LTTE側は出席の意向というのは、変化はないのでしょうか。
(外務大臣)残念ながらまだありません。いろいろ働きかけを最後の最後までやるということでやっていますが、なかなか難しい状況じゃないでしょうか。
(問)交渉の一方の当事者であるLTTEが欠席するということで、会議に与える影響というのはどの様にお考えでしょうか。各国も支援がなかなか打ち出しづらいという話も聞きますが、大臣としてはこの点はどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)これはスリランカの、もちろん北部、東部入りますが、全体の復興開発の支援の会議であるわけですね。LTTEに是非参加をしてほしかったわけですが、スリランカに対する国際社会の支援という意味では、これはむしろ早く、きちんと国際社会の姿勢をスリランカの人たちに示していくということは重要なので、やる必要があると思っています。むしろそういうことをやることによって、それが、LTTEが和平のプロセスに戻ってくる、そういうきっかけになり、それをそのような形で役立たせていくということが大事なのではないかと思っています。
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北朝鮮(田中外務審議官、万景峰号)
(問)田中外務審議官のことについてお伺いしたいわけですが、今日、自民党の外交部会の方で田中審議官、呼ばれていまして、説明を求められているわけですが、先般、拉致議連の方からも申し入れがありましたし、水曜日ですか、山本一太議員の方からも大臣、相当厳しい国会答弁をされていましたが、やはりどうしても不信感と言いますか、払拭出来ない状況ですが、外務大臣として田中外務審議官に対する不信感というのは取りも直さず外務省に対する不信感でもありますし、今後どういうふうに対応されるのか、例えば田中審議官に対してもう一度話を聞くというようなことを考えておられるのか、その辺のことをお伺いしたいのですが。
(外務大臣)拉致議連の方とお話をした時も申しましたが、田中外務審議官、平松課長についての更迭とか処分とか、そういうことは考えていません。これは国会でも答弁をしたとおりです。いろいろ、外務省に対して信頼を持って頂けないようなことがあるということは、非常に外交をやっていく上で、そういうことがない方がいいわけですから、外務省として努力するところはどんどんこれはやっていくつもりです。みんなそういうつもりで、そういう思いで仕事はしています。ただ、平松課長が送付した資料については、これは平松課長自らが謝罪をして、あの時点ですぐに資料の送付をして、そういうことがあったことは遺憾なことでしたが、これについてはきちんと対応したということだと思います。田中外務審議官について、いろいろなことが言われていますが、それも国会で言いましたが、思い違いと言いますか、そういうことに基づいて不審の念を持たれているということが相当あると思います。そこについては、そういう思い違いをされているということについて、それが思い違いなんですよということを正していかないといけないと思いますし、そういう誤解を招くということがないように、これは注意を今後もしていくということだと思います。幾つか新聞に報道されたことについては事実と違うことがあるということについて、これは前に外務省で対応させて頂いたとおりです。お願いをしたいのは、是非物事を客観的に、事実に基づいて見て頂きたい。それで外務省が北朝鮮の外交関係で、外交に対して行っている考え方、これは考え方はたくさん、いろいろな考え方があるというのは当然でして、そういうことの議論は大いにして頂きたいと思うのですが、外務省がどういうふうに考えてやっていくかということについて、国民の皆さんに理解をして頂きたいと。外務省もそういう理解をして頂くための努力をやっていきます。そういうことです。田中外務審議官に改めて話を聞くというつもりはありません。もう聞いています。
(問)今度の月曜日に北朝鮮から万景峰号の貨客船が新潟に入港する予定がありますが、この入港に際しても政府が、従来やっていなかったように取り締まりをやるということになっていますが、それについてどういうお考えであるのか。この船で、過去にいろいろな大量破壊兵器に繋がるような物質だとか、違法に現金が持ち出されていたのではないかというような疑惑が持たれていますが、こういった疑惑については、どのような認識でいるか教えてください。
(外務大臣)万景峰号について、政府として今回きちんとやりましょうということについては、これはもう既に政府の方針として発表させて頂いたことでして、これは内閣を中心として、外務省が自らやるというよりはこれは関係省庁にいろいろ、非常に多くあってやって頂くということなので、これは政府の方針どおり、やることをきちんとやっていくということですね。過去、いろいろなことがあったというふうに言われておりますが、これについてそれぞれ政府の関係部署で把握をすることが出来ることについては、そのように努力をするということだと思います。外務省としては北朝鮮との間のことについていろいろな情報を、いろいろ取る努力は当然していますし、取った情報については関係の政府部内の部署とそれを共有して分析をするということをやっております。そういうようなことが今後ともないようにということはしないといけないと思っています。言われているような事がね。
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外務大臣会見記録 (平成15年6月3日(火)9:17~ 於:院内控室)
アウン・サン・スー・チー女史の身柄拘束
(問)ミャンマーのアウン・サン・スー・チーさんが拘束されている件について、昨日外務報道官談話が出ましたが、政府として直接ミャンマー政府側に談話での指針を働きかけるということは行っているのでしょうか。
(外務大臣)それは現地の大使館を通じて行っております。それは、その時からやっております。
(問)大臣もミャンマーに行かれことがありますが、いわば日本はアメリカやヨーロッパとはやや違うスタンスを取っていますが、なかなか軍政との対立、小さな対立が解消されない、去年大臣が行かれたときより(状況が)悪化しているように思えますが、政府としては今後ミャンマーに対して現状を踏まえてどのように考えていますか。
(外務大臣)まず、悪化していることはないと思います。今回のことはありますが、政治犯の釈放を見ますと、ずっと進んできていて、民主化に向けては進展をしてきたという中で、今回そのようなことがありましたが、今回のことについて談話を出しましたが、もう少し様子を見ながら、今の段階で日本の政策を変えるということは考えていない。包括的なということで見つつ、政治的な民主化と、経済の市場化と、社会の安定と、これはどの時代を見てもどういう状況であれ重要なことですから、もう少し事態の進展を見ないといけませんが、今の時点では変えることは考えていません。
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