外務大臣会見記録 (平成14年12月27日(金)10:50~ 於:本省会見室)
今年一年の総括と来年への展望
(外務大臣)お早うございます。今日は、閣議では私の発言は特にありません。私が1月の5日から9日までインドとスリランカに行くということについて、閣議での了解をいただきました。代理は森山法務大臣です。スリランカの訪問ですけれども、これは平和の定着ということでずっと力を入れて日本としてはやってきたわけでして、それは踏襲していくということでございます。そして、併せて日本が考えている様々な支援についても説明をしていくということでございます。それからインドでございますが、これは昨年の2月にバジパイ首相が来日をなさいまして、そのときに日印共同宣言を発表したわけですけれども、それに基づいてグローバル・パートナーシップを樹立させていくという観点で、このインドというのは、大国でもありますし、わが国にとっては歴史的にもずっと親しい関係にある大事な国でありますから、アジアの平和と繁栄に双方ともに責任を持つという立場でいろいろ話してきたいと思っています。
(問)今年一応最後の会見になるということで、2月にご就任をされて外務省改革ですとか、そのあといろいろと大きい外交課題とか、今もって山積していると思いますが、今年を簡単に総括いただいて、来年の抱負、展望をお伺いしたい。
(外務大臣)2月から11か月外務大臣をやらせていただいということですけれども、国際的にはテロですとか、或いは戦争もありまして、そういった意味で、モスクワでのテロ、バリ島でのテロ、それから各地でのいろいろな戦いもありましたからそういった意味では、挑戦と戦いの年だったということができるのかと思います。国内的には、今おっしゃったように、外務省の改革から始まって、今後創造的な外交をやっていくベースを作った年だったと思います。創造的な外交という意味では、既に、例えばいろいろな先程言ったような平和の定着の試みへの話ですとか、それから、WSSDもありまして、そこで日本は水を中心に様々なイニシアティブを発揮したということもありますし、京都議定書を締結したということもありますし、様々なことが起こった年であったと思います。
それから、後半になって、日朝の関係、総理が訪朝なさったといことで、そこから新しい動きが様々出てきたいうこともございます。こういった国際的に挑戦と戦いがある中で、外務省は改革を進めて創造的な外交の第一歩を歩もうとしていると、そういうことだと思います。
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大臣のスリランカ及びインド訪問
(問)スリランカなんですけれども、平和の定着に向けた打ち出しをしていこうというひとつの新しい外交のあり方だとは思うのですが、今回、この時期に大臣がスリランカに行かれることについての日本外交においての位置付け、日本にとってどういう意味があるのかということを大臣にご説明いただきたいのと、スリランカで具体的にどのような支援活動をされるおつもりか。
(外務大臣)日本外交にとっての位置づけということについて言うと、これは平和の定着として、いろんなところでやっているわけですね。アフガニスタンもそうですし、東チモールもそうでしたし、今アジアでも日本はこれを後押しをしている。そういった一環ですけれども、スリランカと今までの違いというのは、アフガニスタンはまずドイツで会議もやって政治的なプロセスを決めた後で支援国会合を東京でやったということですけれども、日本がスリランカでやろうとしていることは、停戦の合意はできましたけれども、まだ非常に脆弱な状況にある中でそういった段階から入っていっているということなんですね。そういう意味では、今までより少し前に出ているということです。それで、来年の初め、春に恐らく日本で和平のための、これはまだ決まってないですけれども、そういったその会合をやるということになるだろう、最終的には決まっていませんが、やるということになるだろうと思いますし、平和の定着についての動きについていろいろな国際的にやらなければいけないことについて日本として、一翼を担いたいというふうに思っているわけです。それからいろいろな支援については、この前既に明石さんが任命を、特別代表という形でされているわけで、明石さんが現地といろいろな話し合いをやっているとそういうことですが、日本としては、改革をするための支援とか、それから経済の発展、復興をしていくための支援とか、そういうふうにいろいろ考えているというわけです。
(問)先程の南西アジアの訪問に戻るのですが、事務レベルで調整していた段階では、パキスタンとか、或いはフランス、ベルギーが含まれていたかと思うのですが、最終的にスリランカとインドの2カ国に絞った経緯を教えて頂けますでしょうか。
(外務大臣)パキスタンも訪問をする候補のひとつとして検討をしたということは事実そういうことでした。いろいろな私の日本でしなければならない日程、まあ外交日程とか、それから今までパキスタンには既に行って外務大臣とそこでお話をしたということもありますので、そういったことも考えて総合的に判断したということです。それから、ヨーロッパについては、パスカル・ラミー委員、これは貿易担当のWTOに関係のある委員ですけれども、とはもう結構電話でしょっちゅう話をしていますし、それから他のことについても、今まで電話で緊密に話をしている関係にあります。ヨーロッパについてはまた別途、これはこれとして検討する必要があると思っています。今、取りあえず、インドとスリランカということです。
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拉致被害者関係
(問)日朝関係の話が出ましたけれども、拉致問題に関しましてこれまでの総括と、今後の抱負というか展望をお聞かせいただけますか。
(外務大臣)拉致の問題について、もう12月も押し迫った時点で、政府が方針として発表をしました、今、日本にいらっしゃる方の北朝鮮にいる家族の方に東京に、日本に来てもらって、そこで自由な環境の中で意志決定をしていくということに向けての目処がたっていないということは非常に残念に思っています。これは、我が国として、引き続き粘り強くやっていくということでして、そのために各国の協力・連携を計りながらやっていくということです。私もいろいろな機会に外国の外務大臣と話しをする度にこの話をしていまして、いろいろな支援をいただきたいと言ってお願いをしていますけれども、北朝鮮との間では解決を必要とする様々な問題が他にもたくさんある中で、この問題をできるだけ一歩でも前に進めたいという強い気持ちをもっています。
(問)北朝鮮の核開発問題ですね、核関連施設の最稼働を表明してから一連の行動をエスカレートさせていて、日本は国際社会と協調して圧力を強めるという段階だと思うのですが、日朝交渉に関連して日本だけ単独で例えば核を棚上げして拉致の善処を計るために北朝鮮と交渉するということが若干やりづらい国際環境になっているのではないかと思うのですが、核問題で北朝鮮から前向きな対応がなければ、日朝交渉ができないんじゃないかという見方もあると思うのですが、その辺の交渉を再開していく前提条件みたいなものとして核問題を捉えてらっしゃいますでしょうか。
(外務大臣)前からも言ってますように、日朝間で解決をしなければいけない様々な問題があるわけですね。それで、この核の問題、それから先程ご質問にありました拉致の問題は、最優先課題だということはずっと言ってきていまして、それをどうやって解決をしていくかということは、やはりその平壌宣言に従った形で日本と北朝鮮との間で話をしながら、そういう過程で解決をしていく必要があると思います。それをしない限り正常化交渉は終わらないんだということは北朝鮮にずっと言ってきているわけですね。他方で、核の問題について言えば、これは国際社会全体の問題ですから、日本だけがこの核の問題を北朝鮮との間で解決をする性格の問題ではないと思います。ですからこれについては、北朝鮮に対して、国際社会と連携しながら、この国際社会の中にはIAEA等も入っていますけれども、そういうところと緊密に連携しながら一緒に取り組んでいく課題だと思っています。
(問)IAEAとの連携に言及されましたけれども、来年の1月6日にIAEAの緊急の理事会が開かれる予定のようですが、そこの場において、北朝鮮の現在の行動に対して、安保理で議論したらどうかとの議論もあるかと思うのですが、日本としては現在の北朝鮮の行動を安保理にあげるべきとお考えでしょうか。
(外務大臣)これは、理事会をやるという方向で検討していますけれども、まだ最終的にいつどういう形であるかということは決まっていないわけです。それで、その中でこれを安保理に報告するかどうかということについて、まさに理事会で議論するということでして、その理事会の議論に対しては、北朝鮮の今後の対応の状況などいろいろな要素があると思いますね。それは、国際社会と連携して、相談して議論をしていく話だと思います。大事なことは、いろいろな北朝鮮との関係で過剰に反応してはいけないというふうに思っています。今の時点と理事会を開く時点の間では時間がありますし、各国と連絡を緊密にするということが大事だと思っています。
(問)拉致の5人のご家族の問題ですが、事実上正常化交渉が止まっている中で、ご家族も分断されている状態が続いていると、日本外交にとっても日朝のルートが使えない状態になっていると、こういう状況の中で5人の分断状態を何とかすべく別の何らかの方策でも、ルートとかは、そういうことは今まったく想定外の状況が続いているのでしょうか。
(外務大臣)先程言いましたように、家族の方が、ここに戻っている被害者の家族の方が北朝鮮に残っていて大変に心配でいらっしゃると思うんですね。そういうご家族の方のお気持ちを考えると一日でも早く、一刻でも早くそういう再会が可能になって、みんなで今後のことについて決めて頂けるようなそういう状況を作りたいと思っています。我が国としては、この問題についての北朝鮮に対する働きかけは、きちんと今もやっていますし、今後もやり続けるということです。最大限の努力をしたいと思っていますし、するべき問題だと思っています。
(問)それは当面は水面下の折衝にならざるを得ないということですか。
(外務大臣)ありとあらゆる機会をつかまえてということです。ただもし、お考えのことがハバロフスクのことであれば、そういうことはないということです。
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イラク情勢
(問)イラク関係なんですけれども、民主党の首藤議員がイラクを訪問されていて、副大統領とお会いされて、その中で先方の発言として、日本はイギリスに次いでイラクに敵対的だとおしゃったということで、イラクの方でも公表されているようですが、日本に対する厳しい批判というのは非常に異例なものだと思いますが、これはどのように受け止められていますか。
(外務大臣)報道では私も読みましたけれども、事実関係としては確認をしていないということですので、コメントという意味では事実関係をきちんと確認してからお話をさせていただきたいと思います。
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外務大臣会見記録 (平成14年12月24日(月)10:45~ 於:本省会見室)
15年度予算関係
(外務大臣)今日は、閣議では特に私からは何もお話をしておりません。今日、閣議では平成15年度の予算政府案が閣議決定をされたということでして、金曜日に財務省原案の内示がございましたので、日曜日に私も財務大臣と閣僚折衝を致しましたけれども、外務省としては外交面に重要であるということによるご配慮を頂いて、外交実施体制の強化ですとか、それから、外交を実際にやっていくために必要な費用についてご配慮いただいたと、ご理解を頂いたと思っております。それから、ODAについては前に申し上げましたとおりで、本年度はマイナス10.3%の削減であったわけですけれども、来年度については、15年度については削減幅がマイナス5.8%、これは政府全体の数字ですが、ということで、削減がずっと続いていましたところに、削減は、トレンドについては一定の歯止めをかけることができたのではないかというふうに思っています。私からは以上です。
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総理のハバロフスク訪問
(問)ロシアのイタル・タス電が伝えていたのですが、今度の小泉総理の訪ロの際に、拉致被害者の5人の家族が北朝鮮に残っていますけれども、その人達とハバロフスクで面会をするという調整が進んでいるという報道がありまして、そういったことも含めると、小泉総理訪ロの際に、ロシアとのバイの問題だけじゃなくて、北朝鮮の関係者なり議会関係者なりとの接触ということが、ロシアを舞台に行われるということはあり得るのでしょうか。
(外務大臣)そういうことは想定していません。
(問)全く検討も行っていないですか。
(外務大臣)はい。
(問)それに関連して、田中外務審議官が中国に日帰りで行っていたのではないかという噂が入りまして、谷内さんもハバロフスクに行っていたのではないかと、こんな情報が入っているのですが、それについて大臣はご存知か、またご存知であればどうでしょうか。
(外務大臣)いつですか。
(記者)日曜日。
(外務大臣)日曜日ですか。私はそのようなことは聞いておりません。谷内官房副長官補については知りませんけどね。彼は、私の所にいる人ではありませんので。
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拉致被害者関係
(問)横田めぐみさんのご両親が訪朝の意向を示していますが、これについての政府の対応について教えて下さい。
(外務大臣)報道でそういうお気持ちをお持ちだということは伺っています。政府としては、ご要望が何かご家族の方にあれば、それはお気持ちに沿うような形で配慮して、行動を、対応をしていくということが大事だと思います。
(問)やはり同じ北朝鮮の問題ですが、ここ1,2週間の北朝鮮の、特に核開発に関するIAEA側との話しといいますか、封印を実際に解いた、あるいはカメラに覆いをかけたというような実際の動きがありまして、昨日は、大臣自身も韓国或いは米国側と電話で会談しておりますけども、改めて大臣としてどのように取り組まれるか。
(外務大臣)これも、前々から申し上げてますけれども、やはり北朝鮮側が凍結をやめたということについては、これは報道官談話でもありますとおり、遺憾であり、憂慮しています。そして、これについてはまた、凍結を行うと言うことが大事だと思います。この点については、国際社会は一致してしているわけでして、私もパウエル長官や、韓国のチェ・ソンホン外交通商部長さんと話をしましたけれども、今日また、中国の唐カセン外務大臣或いは、ロシアのイワノフ外務大臣ともこの点については話し合いたい、話し合う予定になっています。国際的に連携をして対応していくということが、何よりも必要なことだろうと思います。
(問)実現の可能性はともかく、ロシア側に日本と北朝鮮との交渉をするために、仲介を改めて頼むということあり得ますか。
(外務大臣)核の話については、これは国際社会連携をやりましょうということです。それから、拉致された被害者の問題については、これはこの前イワノフ外務大臣と18日でしたか、お話をしたときにもお話をしています。ですから、常にそういうことはお願いをしているということです。
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イラク情勢関連
(問)イラクの話しですけども、先日2+2やライス補佐官との会談の中で、難民支援策とか周辺国の支援などについて大臣の方から話されたと思いますけど、今後政府の中で具体化していく作業というものがあると思いますが、今検討状況の現状と、それからどういう段取りでこれから、年明け、イラク情勢、査察の活動などを見ながらゆくゆく作業を進めているのか、その辺のお考えをお願いします。
(外務大臣)この前、難民の支援ですとか、周辺国の支援とか、そういうことを言いましたけども、それは従来国会で申し上げているようなことを話をしたということでして、これは、この今後の進展についてはこうなると決まっているわけではない、平和的に解決するように努力をしているというのがまず大前提でございます。その上で、万が一そういう不幸な状況に成ったときにはということで、いろいろな可能性、選択肢を検討しているということを申し上げたわけです。その中に今おっしゃったようなことが入っているということで、政府としてはいろいろなことを考えて、今検討中であるとそういうことです。あくまで平和的に解決をしたいということが前提です。
(問)繰り返しで恐縮ですが、この前のイワノフ外務大臣との会談で、拉致問題についてどのような協力を先方に依頼し、どのような返答があったのかということを改めてお願いしたいのですが。
(外務大臣)具体的に言葉をはっきり覚えているわけではないですけども、北朝鮮との関係でいろいろなお話をしたときに、拉致の被害者の方について、家族の方が北朝鮮にまだ残っているという状況にあるということですとか、従って、政府としてはその人達に日本に来てもらって、自由な環境の下で意志決定をすることができることが必要だということを考えているので、是非宜しくお願いをしたいと、そういうことを言ったと。その他に、これは前々から北朝鮮に対して言っている事実関係の解明ですとか、一連のことがございますけれども、そういったことも話をしたような気がします。全部含めて。
(問)その時に、ハバロフスクのこういう場を活用してという話は無かったのですか。
(外務大臣)ありません。ハバロフスクについては、日本の総理大臣が極東に行くと言うのはこれは初めてなんですね。一方的な訪問として極東に行くと言うことについては。その意義というのは、わが国とシベリアの距離の近さを考えたときに非常に意義があるということをお話をしました。
(問)確認ですけど、日本政府としてはあくまで拉致家族の方々が日本に帰国しての面会というか、第3国での面会というのは、現時点ではあり得ないですか。
(外務大臣)ずっと政府の方針は出しているわけでございまして、政府の方針は政府の方針です。
(問)ハバロフスクに関連して、それ以前に外務省として、総理の独訪問を検討して、それが見送られたと聞いていますが、その経緯についてお聞かせ下さい。
(外務大臣)総理が外国に行かれるときには、いろいろな可能性を検討するわけですね。それは、外務省としてはどう考えるかということや、総理のご日程や、あるいは総理のいろいろなお感じ、総合的にありまして、それで決めると言うことですから、具体的に何を検討して、どういうオプションがあったとか、そういうことは外に申し上げるのは適切ではないと思います。
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在日米軍関連
(問)外務省が、前に在日米軍の幹部を対象として始めた研修についてですが、目的は米軍基地から発生する事件・事故の再発を防止することになっていますが、これが事実上観光旅行になっているということですが、大臣のご見解をお聞きしたいのですが。
(外務大臣)観光旅行になっているというのは言い過ぎではないかと思いますね。新聞に出ていた日程を見ていただいても、きちんと、これは日本について学んで、日本を理解していただこうということでやっているわけですね。当然に、日本を理解していただく一部には日本の文化の理解というのが入ってくるわけでして、それをやらないで座学で安保政策とか、日本の経済とかそれだけやって日本を理解して頂けるかというと、それはそういうことではないと私は思います。ただ、このプログラムは、どのプログラムもそうですけど、やはり一回やっては反省をして、もっとより良いプログラムを考えようということでやって行くべきものであって、外務省もずっと確か95年から始まっていたと思いますけども、それ以降ずっとそういうことでプログラムを改善をしてきているわけですね。そういった努力は今後とも私は必要であろうと思います。短い期間なので、そこにどういう日程を入れるかというのは、常に非常に担当者にとっては悩むところで、その時々の状勢もありますし、それから例えば工場見学といっても相手のご都合もあるわけですから、いろいろなことを考えて、毎年毎年改善をしていけばいいと思います。
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外務大臣会見記録 (平成14年12月22日(日)16:15~ 於:本省会見室)
平成15年度外務省予算大臣折衝
(外務大臣)ただいま大臣折衝を塩川財務大臣との間で行い、戻ってきました。私からお願いをしましたのは在外公館の関連なんですけれども、まずテロや犯罪やいろいろな問題が海外にいる日本人にあって、その海外の在留邦人に対してそういった面に対応するためのサービスの強化が必要であると、それから在外公館の警備の強化これも重要で、また緊急事態に対応していくことができるような体勢を強化をしていくことも大事でございます。ということでそれらに関しまして、約3億3000万円の予算の復活を求めたということでございます。この問題の重要性とこれに対して対応体勢を作るということについては塩川大臣にもご理解を頂いて、約3億3000万円を認めて頂いたということでございます。それからこれはもうご案内のことだと思いますけれども、第一次内示以降の継続の協議となっていた機構・定員の増強については昨日の局長レベルの折衝で東チモール大使館及びチェンマイ総領事館について、新設が認められた、また定員も68名の増が認められたということです。全体といたしまして、外務省の予算総額は7358億円対前年度比1.4%の減ということになりました。それからODAの予算につきましては既にご報告をいたしましたけれども、政府全体としては約5.8%の減、そして外務省の所管分については4.2%の減ということになっております。ODA予算につきましてはこの前も申し上げましたように、引き続いて削減ということになったのは大変に残念ですけれども、昨年度の予算の削減幅が10.3%でございましたから、約その半分の削減幅にとどめることができたということで、そういう意味では削減の趨勢に歯止めをかけることができたのではないかという風に思っています。それから、趨勢というか趨勢はあいかわらず削減なんですが、大幅削減するということについて歯止めをかけることができたのではないかと思っています。今回予算編成において、日本政府全体として厳しい財政状況の中であるわけですけれども、外交体制の強化あるいは実際に外交政策を実施していくための政策、そういったことの両方において予算措置が適切に取れたのではないかと思っていますし、効率的に、そして透明性を持ってこの予算を執行していくということが重要だと認識しております。
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北朝鮮の黒鉛実験炉の封印撤去問題
(問)予算とはまた別の話なのですが、今日北朝鮮が黒鉛実験炉の封印撤去という行動をとったことについて日本政府としてはどのような対応をしていくお考えですか。
(外務大臣)対応についてはいろいろ考えていますけれども、まず封印の撤去をした、あるいはカメラに覆いをかぶせるということで、監視カメラの機能の妨害といった行動にでたということについては、これは北朝鮮が国際的に合意をしたことにそぐわないこと、違うことをしたということですから、遺憾だと思います。わが国としても憂慮しています。これは引き続き、これもずいぶん前から申し上げていることですけれども、国際的に協調して対応していくことが重要だと考えておりますし、わが国としても北朝鮮に対してこういうことがないように申し入れるということを今考えております。IAEAと、そういった、IAEAとの間で結んでいる保障をしていくという協定を円滑に進めていくための話し合いをしたらどうだろうかということが、動きかけていたところですので、IAEAと話をしていくべきであると考えております。これも前から申し上げていることですけども、問題を平和的に解決していくことが重要だと考えております。
(問)IAEAを通じて申し入れるということですね。
(外務大臣)北朝鮮に申し入れるというのは、直接に、直接と言いますか北京の大使館を経由して申し入れることになると思います。
(問)まだ申し入れていないんですか。
(外務大臣)もう、訓令は今出ているか、その辺のところです。
(問)今日中にはもう申し入れるんですか。
(外務大臣)今日は日曜日ですが、できるだけ早くということが大事ですので今日中にということにしたいと思っています。
(問)大使館以外のルートでは接触は考えてらっしゃいますか。
(外務大臣)いろいろ考え、検討しています。
(問)具体的にはどういったことをご検討されてるのでしょうか。
(外務大臣)今検討してます。
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外務大臣会見記録 (平成14年12月20日(金)9:30~ 於:院内控え室)
閣議
(外務大臣)閣議では特に私からの発言はありませんが、財務大臣から15年度の予算、補正予算、税制等の一連のお話がありました。要するに財務省の原案の提出が決まったということです。
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大臣の日米安全保障協議委員会(「2+2」)出席等
(外務大臣)この前の記者会見の頃から言えば、米国で「2+2」、ライス大統領補佐官、ゼーリック通商代表と話をしたということで、それぞれ「2+2」、ライス補佐官との間では、イラクとか北朝鮮、日米の二国間関係の話を致しました。
それから、ゼーリック通商代表とは、今度東京で2月に(WTO)ミニ閣僚会議をやりますので、その準備について、どの国を呼ぶとか、どういったテーマでやるかというそういった話を致しました。先程、大島大臣に特に今回は農業問題、市場アクセスが大きなテーマですので、その出張の報告を今朝させて頂きました。
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第5回タウンミーティング
(外務大臣)タウンミーティングは回を重ねて来ておりますけれども、第5回のタウンミーティングを2月1日に福岡で行います。テーマは「日本と東アジア」ということでして、来年2004年が日本とASEANの交流年2003ということで、各ASEANのメンバーがそれぞれ一月ずつに担当をしてやっていくことになってますので、それを記念してASEANも入れた形で「日本と東アジア」というテーマで行いたいと思っています。
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韓国大統領選挙
(問)昨日の韓国の大統領選挙で、大陽政策の継承を公約としていた盧武鉉氏が当選しましたが、これは日本の対北朝鮮との外交と日米韓の連携にどのような影響を与えるとお考えですか。
(外務大臣)未だ当選なさったばっかりで、これから政策はきちんと決められて行くということなので、今は分かっている範囲で申し上げれば、大陽政策を維持していくと言っていらっしゃるわけなので、基本的にそれ程日本に対する政策も変わらないと思います。引き続き重要なことは、日米韓三ヶ国が連携をして行くと言うことですから、どこかの時点できちんとそういった連携についてもお話をしていくということだと思います。
韓国はやはり日本にとって年々重要性が増している国で、やはりこの地域で価値観が同じで、自由、民主主義、市場経済これを共有している国ですから、緊密に協力して未来志向の関係を作って行きたいと思っています。
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イラク情勢
(問)イラク関係ですが、大量破壊兵器に関する申告書について安保理に重大な記載漏れがあるという報告があるようですが、米国もまた同様ですが、この件についてどのように受けとめていますでしょうか。
(外務大臣)「2+2」の場でもパウエル米国務長官からは、重大な記載漏れがあるという話もありまして、ただ、これがMaterial Breach、重大な違反であったとしても、これだけで武力行使に至るかどうかと、そういうことではないだろうという認識ですけれども、この重大な違反の中身が未だ我々には分かっていないので、そういうことはどこかの時点で安保理で議論をするということでしょうし、それがイラクが査察について妨害をするとかそういうことではなくて、やはり査察の円滑な実行をイラクとしてやっていくということが大事であると思います。平和的に問題を解決したいということについては、ずっと世界はそう思って引き続きやっているということだと思います。
(問)イラクのことに関連して、イギリスのストロー外相が武力行使が行われる場合には、新たに安保理決議があることが望ましいということをインタビューでお答えになっていますが、日本としてはこの武力行使と新しい決議の関係についてどのような立場でしょうか。また、米にはどのように伝えておりますでしょうか。
(外務大臣)1441で決まっているのは、安保理に持っていくことあり、それで、1441にはそこまでしか書いていないわけで、今後の問題として、重大なる違反があった時にどういう行動を国際社会として、安保理としてとって行くかというのは、安保理のメンバーの判断が一義的にあるわけですけれども、日本としては武力行使がある場合には、新しい決議があることが望ましいと思っているのは当然です。ただ、新しい決議が無ければ、武力行使をすることができないかというと、それは他にも色々な可能性があると思います。「2+2」では武力行使の場合には安保理の新しい決議があることが一番望ましいということは言いました。
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人事(田中外務審議官)
(問)本日(20日)付の人事ですが、今度外務審議官に田中アジア・大洋州局長がなれたましたが、今後日朝についてはどういう形で携わって行くのでしょうか。
(外務大臣)これは日朝のコンタクトをずっと取ってきたルートがあるわけでして、これは人と人との関係を抜きでは語れない、ポジションでやっている話では全く無いわけですから、信頼関係があって機能するとことですよね。ですからそういったことは、田中新外務審議官に引き続きお願いするということです。
(問)田中外務審議官について、先程ポジション、ポジションで行って来たわけではないと言う発言がありましたが、田中外務審議官は今までアジア・大洋州局長というポジションに居たから交渉を行っていたわけで、それをポジションで行ってきたわけではないとすれば、田中外務審議官は外務省にとってどれほど特別な人材なのですか。
(外務大臣)交渉は田中さんはやっていないです。これは交渉を行っているとの意味なのですが、交渉は鈴木大使が行っていらっしゃる、田中(前)局長は局長としてその全部の仕切を行っていた。それともう1つ私が言ったのは、それとは別に交渉の水面下のコンタクトのポイントとして信頼関係をもって、全体を動かすという、そこを個人として行っていたということです。そこの部分はポジションで行っていたわけではない。というのは、信頼関係がなければ、そこはできないですから、そこは田中外務審議官が引き続き行っていくと、田中外務審議官でなければこれはできない。田中という個人が向こうの人と人間的な信頼関係をもって、その上で話が出来る分というのは変えられないということを言っているのです。
(問)その田中さんの水面下のチャンネルは現在も機能しているとお考えですか。
(外務大臣)しています。
(問)局長の肩書きを盾にして交渉しているわけではないと。
(外務大臣)局長としての物事の判断は、当然、藪中さん(アジア・大洋州局長)が行っていくわけです。ラインの仕事は藪中さん(アジア・大洋州局長)が行います。交渉は鈴木大使が行うということは、ずっと変わらない。これはそういう仕組みで動いている。
(問)これまで行ってきた大連とか、色々なところでの水面下の交渉とかもありましたけれども、これもまた田中外務審議官が行かれるということですか。
(外務大臣)そういうことをやることがあれば、それはそういうことです。全ての交渉がそうですけれども、人間的な信頼関係がある部分が非常に大事です。これは、前に私がやった「京都議定書」の話で申し上げたかもしれませんが、そういう人間関係のところで納得ができる話というものがあるわけです。ですから、そういうコンタクト部分は(田中)外務審議官でなければできない。
(問)田中外務審議官を巡っては情報の共有のあり方とか、政策決定のあり方だとか、手法を巡って政府の内外から一部批判的なことがありましたけれども、大臣自身はそういった手法については如何でしょうか。
(外務大臣)私は問題はないと思っています。色々な局面があって、ある時期これは本当にその一部の少数の人しか知らない形でというのは、基本的には情報の漏洩があっては、その(漏洩が)あった途端に壊れるような話をある段階まで行っていたわけですから、その段階はそれなりのやり方で行うしかなかった、それが総理が訪朝なさるということが表に出た以降は、これはより関係部署を広げて仕事を今しているわけでして、全くその局面局面に応じた仕事の仕方をしていると思います。従って、問題はないと思っています。外交交渉ですから、全ての局面で全ての情報をオープンにしたらできなくなってしまうことというのは沢山あります。
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今年の成果(外務省改革、北朝鮮問題)
(問)今年も残すところ10日余りとなってきて、今年の重大ニュース等が載るような時期になってきましたが、今年一年を簡単に振り返って頂いて、自己採点をして頂きたいのですが。外務省改革と北朝鮮の2つの分野についてお答え頂きたいのですが。
(外務大臣)点数は、どなたかの言葉を拝借しまして自分でつけるものではない、人がつけるものであるということなので、外務省改革は、今年の2月に私が外務省に来たときに、小泉総理から第一の課題は「外務省改革」で、これをしっかり行うようにというお話がありまして、私としては全力投球をしたつもりです。それで今まで過去にあった改革に加えて、新しい10の項目を出したところから始まって、これを「変える会」で議論して頂いて、「変える会」の報告が出て、それを受けて外務省が8月に行動計画を作った。それで今その行動計画に沿って、これはタイムリミットをきちんと入れて貰いましたので、それに従って、それをやっているかについて国民全体の代わりとしての「変える会」に見て貰っているということで、今着々と進んでいると思います。その意味で、やらなければいけなかった改革を必要なことをだた言うだけではなくて、行動するという形で、しかも行動がきちんと行われる仕組みに入れてやった。それをやっておいて、今改革は行動をしながら、本来の改革の狙いであった強靱な外交ができる組織に外務省が変革しつつあるということです。そういう意味で、改革は軌道に乗せることができたと私は思っています。
北朝鮮ですが、これは9月、今年の後半に入って始まって、幾つかの将来の課題といいますか、そういうことが予測をされていた。例の核の話というのも出てきましたし、安全保障の問題もそういった意味では大きなテーマになるだろうということもあって、きちんと「平壌宣言」にそれを守るというようにして欲しいと書いてあるわけですよね。それから、拉致の問題についてもそれが問題であるから、謝罪をして再発をしないということも向こうは言っているわけで、北朝鮮との国交正常化交渉が時間がこれから掛かっていくということは残念なことですけれども、交渉のあり方としては、非常にきちんと土台を作ってそれに基づいてやっているということだと思います。勿論交渉ですから、相手がありますし、色々な不確定要素がありますから、色々なことで余断を許さない状況が続くかもしれませんけれども、これも枠組み的にはきちんと作ってそれを行っていくという状況になっていると思います。外務省としては、この交渉についてはずうと全力投球をして来ていると思います。ですから未だ今年中にその結果が見えるという形には全然なってはいないですけれども、国際社会と一緒に連携をしながら、日本にとっては正常化交渉ですけれども、国際社会にとっては、大量破壊兵器の問題をどう処理するかということで、これはわが国にとっての正常化交渉の一部であるわけですから密接に絡んでいる。その絡みというのは、最初からそれを考えてきちんと「平壌宣言」にその部分が入っているということです。
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外務大臣会見記録 (平成14年12月13日(金)10:10~ 於:本省会見室)
閣議(緊急無償援助)
(外務大臣)今日はいくつかありまして、まず閣議の関係ですが、先週もお話しました債務救済方式の変更について、これが閣議にかかりまして私から発言をしました。発言の内容は先週お話ししましたような内容です。
それから、スリランカの国内避難民に対する緊急無償援助。これは162万ドルですが、その話をしました。これはスリランカで9月に政府とタミル人の地域を押さえている、タミルイーラム解放の虎というものがありますが、その間の和平交渉が開始された訳でして、和平のプロセスが今着々と進んでいる状況です。それで北部、東部地域の帰還避難民、恒久帰還民を支援するためにUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に対し、仮設住居の建設、井戸水の整備、衛生施設の整備のための資金として、約162万ドルの無償の資金協力を行うということです。この支援を行うということは11月25日にノルウェーで緊急人道支援に関する援助国会合というものがありまして、外務省からも人が出ていますが、そこで日本が表明した286万ドルの緊急人道支援がありますが、その一環として、実施するということです。
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特恵関税制度改革
(外務大臣)特恵関税制度の改正ですが、今日の午後の関税外国為替等審議会で特恵関税制度の改正として、LDC特恵の対象品目と一般特恵対象品目の大幅な拡大の議論をされ、そこで承認されればその審議会の答申に盛り込まれるということです。具体的にこれは何かということですが、LDCこれは後発開発途上国ですが、49ありますが、ここに対して特恵の対象品目として、農水産品、いわゆるこれは無税無枠と言われている物ですが、農水産品約200品目を追加すると同時に、一般特恵対象品目として農産品約100品目を追加するということでございます。これが実施されますと、LDCからの輸入については航行用品と合わせまして輸入額の90%以上について無税無枠が達成されるということになります。今回は農水産品をやるということで、農水省で、大島大臣のリーダーシップの下でこれが進んだということです。
WSSD等の類似の国際会議の場で我が国としてこれをコミットしてきて、この前これについて私はシドニーのミニ閣僚会合でも発言しましたが、それが具体的に実現するということでございまして、これをやりますと途上国の産品の日本に対する市場アクセスが改善するということでして、途上国をWTOのシステムに入れていくということが大事ですが、その意味ではこの支援だということです。
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日本パレスチナ閣僚級政治協議
(外務大臣)3つ目ですが、日本パレスチナ閣僚級政治協議をします。これはパレスチナ暫定自治政府の外務大臣に相当する、シャース計画国際協力庁長官とマスリ経済産業貿易庁長官が18日から21日まで日本の招待で来日を致します。その際にシャース長官一行の外務大臣にあたる方と私との間で、日本パレスチナ閣僚級政治会合を行いまして、中東和平、パレスチナトラップの現状や、今後の進展への取り組み、日本の役割・支援等について意見交換を行う予定です。同時に事務レベルの関係者の間で政治経済協力、産業貿易、民間投資といった分野での日本パレスチナ合同委員会と呼ばれていますが、これを行い、両者の関係の強化を図っていくということです。この開催は前回に行いましたのが、2000年の5月でして、今回が2回目になります。中東和平のプロセスの進展に日本として努力をしていく、その一環です。
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北朝鮮
(問)閣議の後に総理と官房長官と20分ぐらい話されていたようですが、恐らく昨日の北朝鮮側の声明に対して話をしたと思いますが、どのような話をしたのですか。
(外務大臣)総理と官房長官と話をしました。時間は待っている時間もかなりありましたので、20分も無かったと思いますが、総理のところには7、8分ぐらいですか、時計を見ていなかったので解りません。話の内容は今おっしゃった昨日の話の、このようなことですといった、米、韓の対応やいろんな事のご説明をしました。
(問)総理からはどのような話しがありましたか。
(外務大臣)総理からは関係国、米、韓と連携を密にして対応をして欲しいとご指示がありました。
(問)この問題で、北朝鮮側への抗議の意志の表明と今後、来週米で2+2がありますが、そこでどのような対応をとるのでしょうか。
(外務大臣)北朝鮮との関係では、昨日総理もおっしゃっていましたし、昨日私も言いましたが、遺憾であるということは日本としては言っていると、大変に遺憾であるということは言っています、それから2+2の場でこれは取り上げたいと思っています。総理のご指示が日米韓連携を密にしてということですので、取り上げたいと思います。
(問)北朝鮮の声明そのものについて、外務省ではその意図についてどのような分析をしていますか。
(外務大臣)まず、電力、エネルギーということを言っているわけです。それで重油の供給が止まった訳ですから、エネルギー需要に見合う供給が無いということを北朝鮮が言っていますが、これは事実、そのような状況になっている可能性があると思います。もうひとつ(声明を)読みますと、エネルギーという話は非常にしていますが、国際社会の懸念である核の問題については、これは非常に注意深く纏めている。慎重に分析する必要があるし、北朝鮮が実際どのような行動を取るかというのを見ていく必要があると思います。
(問)大使館ルートを通じて、北側に直接抗議の意志を伝えるというお考えは無いのでしょうか。
(外務大臣)そのようなことを含めて、今後どのようなステップを取っていくかについては、きちんと分析して対応していくということです。今この時点で何をします、これはしませんということを申し上げる段階ではないと思います。
(問)年内に、外務省の藪中アジア大洋州局審議官等を派遣して、北朝鮮側と接触をはかるお考えはありますか。
(外務大臣)これは、今同じ繰り返しになりますが、分析をきちんとして、その後、実際に北朝鮮側がどのような動きをするかということも重要な判断の要素だと思いますので、それを踏まえきちんと対応については考えたいと思います。日米韓の連携も大事だと思いますし、中国、ロシアといった関係国もありますので、連携をしてやっていきたいと思います。
(問)前回のKEDO理事会で、重油提供の凍結を決めた訳ですが、その前の段階で日本政府が一番懸念していたのが、重油提供を凍結した場合に北朝鮮が、核開発を再開するのではないかという、まさに今回の事態を一番懸念していたと思うのですが、まだ言葉の段階ですが、懸念が当たってしまいそうだということについては、どのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)北朝鮮は別に核開発をすると言っているわけではないのです、ですから先ほど申しましたように、きちんと意図、それから実際にやることを分析して対応したいと思っています。
(問)日本として、KEDO理事会若しくは、TCOGの開催を早急に呼びかける考えはあるのでしょうか。
(外務大臣)連携を取っていくことは必要だと思いますが、今既にそのような意味では米韓とはアプローチはしていますから、TCOGとかそういった場を開催してということで無くても、実質上それは出来ると思います。
(問)昨日の北朝鮮の声明の後に、北朝鮮に入っているIAEAの査察官から、なにか北朝鮮で動きが変わったというような情報はありますか。
(外務大臣)現地でなにか動きが変わったというような情報はありません。
(問)繰り返しになりますが、今回の北朝鮮の声明でかなり米朝関係を含め、非常に緊迫した状況になっていると思いますが、これで日朝交渉は完全に頓挫するのではないかといった声も出始めているようですが、改めて日朝国交正常化交渉に対する影響についてはどのようにお考えですか。
(外務大臣)こういった問題について、北朝鮮が国際社会の懸念を取り去るような行動を取ることは非常に大事な事だと思います。そのようなことを色々なやり方で北朝鮮にやって貰うことが必要であるわけです。安保協議や正常化交渉の場というのは、一つの対話の場でして、対話が全く無くなって行くという状況が、問題の解決に好ましいかどうかということだと思います。
(問)大臣は昨日の声明の核開発施設の稼働というなことはある程度予測されていましたか。
(外務大臣)これは色々な可能性というのは、当然考えている訳でして、北朝鮮は非常に言葉を選んで声明は出していると思います。
(問)大臣の考えていた可能性の中にはあったということですか。
(外務大臣)色々な可能性を考えて、当然役所は行動しているのですから。北朝鮮が国際社会の懸念を取り去る、今後核の開発をこの前の93年、94年の状況を繰り返さないということは非常に重要な事でして、これはそのようなことがないようにということについては、北朝鮮に対して強いメッセージを出していくことが大事だと思います。
(問)2+2でもこの問題を取り上げるとおっしゃいましたが、米との間で、今後KEODOによる軽水炉支援をどうするかということは話題になることが予想されますが、この点は、日本としてはどのようなスタンスで臨まれるのでしょうか。
(外務大臣)KEDOについて、今色々な考え方があると思いますが、我が国としてKEDOの枠組みがもたらしている、核の開発にプルトニウム型について進まないという機能は果たしていると思います。現状どのように分析するかは先ほどの繰り返しになりますが、声明とかその後北朝鮮が実際にどのような行動を取るか見ていく必要があると思います。
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外務大臣会見記録 (平成14年12月10日(火)9:20~ 於:院内控室)
ODA改革
(外務大臣)ODA関係で改革を3つ実施をします。1つはODA大綱を見直しますということです。これは出来てから10年ぐらい経っていまして、ODAの世界でいろいろ新しいこと、例えば「平和の定着」ですとか、「人間の安全保障」ですとか、それからテロがあって、テロの元が貧困にあるという認識が深まってきたといろいろな動きがありまして、そういうことを踏まえてODAの大綱を見直しましょうということで、来年の中頃を目途にこれを見直すということです。
それから二番目は、行動計画にも載っていたことですけれども、債務救済方式の見直しを致します。平成15年度から現在は債務救済をするときに一度返してもらってその後債務救済無償を出すというやり方でやっていたのですけれども、今後は債権の放棄を行うということです。これは今までのやり方ですと一度外貨を集めて返すという負担が途上国にかかるということもありましたし、それと長い間債務を途上国側が持つと、これは逆に今までなぜやってきたかというと、途上国の自助努力を促進するということであったわけですが、それは反面、長い間債務が途上国側にあるということにもなりますので、やり方を変えるということです。
それから三番目、これはやはり行動計画に出ている話ですけれども、無償資金協力について実施、適正会議というものを立ち上げて、無償資金協力の一層の透明化、それと適正な実施の向上を図るということでして、金融、開発、経済、法律、会計等の専門家を加えまして、またNGOからも参加をしていただいて立ち上げるということでして、メンバーは資料にある通りです。
(問)債務救済の見直しによって、債権放棄の額はどのくらいになるのでしょうか。
(外務大臣)やり方を変えるだけなので債権放棄の額が変わるとかそういうことでは一切ないのです。今の金額、ですからこれはやり方を変えても、変えなくても金額も対象の国も同じなんですけれども、約9,000億円で対象国が32ヵ国だと思います。繰り返しますが、やり方を変えただけであってこれ自体は変わらないということです。
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外務大臣会見記録 (平成14年12月6日(金)9:05~ 於:院内控室)
閣議
(外務大臣)閣議では、私からギニアのランサナ・コンテ大統領が公式実務賓客で8日からの予定で訪問することになっていたのですが、周辺諸国の治安情勢が急激に悪化したということで来日されなくなったということについて発言をしました。
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イラク問題に関する大使会議
(外務大臣)イラク問題に関する大使会議を昨日ドバイで開きまして、その結果については、情勢分析ですとか邦人保護ですとか、我が国の外交努力について議論がなされたということです。かなり活発な議論があったようです。それで、いくつかの点が話されたということでして、米国の行動、今後の動き、これは正にイラクの大量破壊兵器の問題、そしてテロリストへの大量破壊兵器、拡散防止、この観点から理解をするということが大事だということが第一点。それから今回行った周辺諸国への総理特使の派遣は周辺諸国から高く評価をされているということでして、今後とも米国対イラクということではなくて、国際社会と対大量破壊兵器を有するイラクという点を強調すべきであり、中東和平への取り組みも重要であるという話がありました。そしてイラクの情勢の緊迫化にあわせてまして、そういうことになればですけれども、適切なタイミングで危険情報を発出していって、あらゆる手段を使って邦人退避に万全を期す必要があるという点が話をされたということです。
(問)「あらゆる手段を使った邦人退避」ということですが、少し具体的に言っていただくと「あらゆる手段」とはどういう手段ですか。
(外務大臣)この前、インド・パキスタンの時のことを思い浮かべて頂ければ、大体基本的に同じようなことです。
(問)「米国の理解ということが大事」とおっしゃいましたが、これももう少し具体的に。
(外務大臣)この問題というのは、そもそも何なのかということですけれども、これは大量破壊兵器をイラクが開発をして持っている懸念ということに対して、どう国際社会が対応するかということであって、最近は言われなくなりましたけれども例えばサダム・フセインとブッシュとか、米国とイラクとか、そういう図式の問題ではないということです。
(問)先程の発言で、「米国の行動、今後の動きについてはイラクの大量破壊兵器等の問題として理解する」というご発言だったのですが、この「米国の行動、今後の動き」ということには米国の軍事行動も含んでお考えなのでしょうか。
(外務大臣)これは議論されたことですから、いろいろご議論なさった人、いろいろあると思います。いろいろな可能性を考えているということだと思います。
アメリカは武力行使をするということを決めたわけではないということは前々から申し上げているとおりです。みんなそういう意味では仮定の話をしている、だけれども、いろいろな可能性を考えて検討する必要があるから議論をしているということですね。
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大臣の国会答弁
(問)最近、国会の委員会でも大臣がご答弁なされているときに、議員の側から大臣の答えが堂々巡りであるとか、同じ事を繰り返すにすぎないということがあって、フラストレーションがおありなのだと思いますが、その点についてはもう少し踏み込んで発言をしたいという気持ちはございませんか、特にそういう感じがするのですが。
(外務大臣)外交問題ですから、お話が出来るときは出来るわけですし、お話が出来ない部分については出来ないですね。これはそういう性格の問題ですから、それはやむを得ないということでご理解を頂かなければならないということはあると思います。
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婦女暴行未遂罪容疑の米海兵の拘禁移転要請
(問)昨日、アメリカ側から沖縄で起きた米兵少佐の婦女暴行未遂事件を巡って、起訴前の引き渡しを同意できないという回答がありましたが、これは95年に地位協定の運用が改定なされた後に日本側の要請を拒否するという初めてのケースだと思いますが、大臣は以前から地位協定の運用がうまくいかないような場合には、改定も視野にというお話をされていましたが、今回の米側の対応についてはどのようにお考えになっているのか。また、その地位協定の運用の問題については今後どのようにされるお考えでしょうか。
(外務大臣)今回の対応については、我々日本サイドは問題について、拘禁の起訴前の移転についての必要性をきちんとご説明したということですし、米国はこれをまじめに検討して、それで出来ないという返事があった。そういう返事があったということについては残念に思っています。それから地位協定の運用の改善についてですが、この17条のこの部分について、平成7年に合同委員会の合意があったわけですね。この合意の解釈を明確にしていくということをする必要があると思っていまして、これについてはアメリカとの間で取り上げたいと思っています。解釈を明確にする、それからより迅速に拘禁の移転をしていくということについて取り上げていきたいと思っています。この合同委員会の合意の運用の改善を図っていきたいということです。
(問)今の関連ですが、明確にするということは、例えば未遂についても含むのかどうかといった点はどうお考えか。それから取り上げたいというお話でしたが、これは大臣自身が例えば「2+2」等でお会いになった際に発言されるということでよろしいでしょうか。
(外務大臣)それは「2+2」で取り上げていきたいと思います。それから出来ればその前にも事務的にも議論をしてもらいたいと思っています。
(問)それは運用の基準の明確化ということでしょうか。
(外務大臣)そこは相手といろいろ議論をしてみる必要があると思います。どういう形で話が進むかというのは結果でして、狙いとしては拘禁の移転がスムーズに円滑に迅速に行われるということが大事なので、そのためにどういう風に合同委員会の合意について明確にしていくか、理解を共通にしていくかということだと思います。
(問)それによって今回のような未遂のケースでも引き渡しへの道を開きたいという趣旨でよろしいでしょうか。
(外務大臣)我々はいろいろな重大な問題について、例えば第一文の終わりにありますけれども「その他の特定の場合」というのがありますね。そういった事が何かとか、そういうことですね。
(問)それを明確化するということか。
(外務大臣)そういうことについて理解が共通になっていって、その結果として拘禁の移転が円滑に、迅速に行われるということが狙い、それが目的であるということです。
(問)先程の政策協で稲嶺知事の方から見直しをしてほしいという要望が出されたと思うのですが。
(外務大臣)これに関連してということでは特にご発言はありませんでしたが、一般的な形で日米地位協定について沖縄で地位協定の見直しとおっしゃったか、改善とおっしゃったか、どちらかはっきりしませんけれども、ということを求める声は強まっていますというご発言はありました。それから拘禁の移転について、それを早くしてほしいというお話もございました。
(問)沖縄県の方では、改善ではなくて見直しを求めているが、今の時点ではやはり運用の改善でやっていくというスタンスに変わりはないということでよろしいのでしょうか。
(外務大臣)政府としてはそういう風に考えています。
(問)稲嶺知事が再度拘禁の移転を早くしてほしいという発言があったということですが、再び外務省として米側に求める考えはありますでしょうか。
(外務大臣)先程申し上げましたけれども、外務省としては拘禁の移転の必要性について可能な限りきちんと米側に対して説明しました、米側もそれを真摯に受け止めて検討した結果、それは受け入れられないということを言ってきたので、残念ですけれども双方きちんと言うべき事は言って、日本は言い、向こう側はそれに真剣に考えた結果ですので、これを再び取り上げるということは考えていません。アメリカ側は捜査にはきちんと協力をする、証拠隠滅等の恐れについても協力をすると言っていますので、警察において適切に捜査を進められると私は思っています。
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北朝鮮のIAEA理事会決議拒否
(問)北朝鮮の関係ですが、IAEAの理事会決議に対して白外相から決議を拒否するということが正式に文書で回答されましたが、これは日朝平壌宣言でいう「すべての国際合意を遵守する」ということにも反すると思いますし、こういう北朝鮮の対応に関しては、日朝国交正常化交渉自体へのモメンタムを失っているのではないかとの見方もあり、早急に進むという見通しを無くしたのではないかとの見方もあるがその点はどう受け止めているか。
(外務大臣)IAEAの声明について拒否をしたということはこれは非常に残念で非常に遺憾だと思います。正にこれは査察を受け入れて国際社会に正に見える形でこの核兵器の開発をやめるということをきちんとすることが大事であるということですね。そういうことが(日朝)平壌宣言で書いてあるわけですから。そして我々が北朝鮮に言っているのは、そういう形、日朝平壌宣言が遵守される、書いてあることが守られるということでなければ正常化交渉の妥結というのはあり得ないということはずっと前から言っているわけですね。それについては北朝鮮は十分に理解をしていると思います。問題がなかなか大きな問題でありますけれども、国際社会全体がこれについては団結をしているわけでして、様々な働きかけをやっていきたいと思っています。北朝鮮が正常化交渉に関する熱意を失ったかどうかというのは、これは北朝鮮側の問題でわかりませんけれども、私としては失っていないと思っています。北朝鮮が遵守をしてやっていくということを言っていますから。
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外務大臣会見記録 (平成14年12月3日(火)8:35~ 於:官邸ぶら下がり)
日米安全保障協議委員会出席
(外務大臣)いわゆる「2+2」と言われる日米安全保障協議委員会がワシントンで開かれるということになりましたので、今後、これは国会が終わってからの日程ですけれども、閣議の了解が得られれば、私は石破長官と出席をしたいと思っています。日にちは16日です。そこでの議題は、今の日米双方に関係のある様々な安全保障上の問題を議論することになると思います。それから、その時に併せて色々な方にお会いしたいと思っています。
(問)色々な方とは具体的に(どなたになるのでしょうか。)
(外務大臣)現在調整中ですけれども、例えばWTOのミニ閣僚会議もありますので、ゼーリックUSTR代表とか、ライス補佐官とか、そういうことです。
(問)「2+2」では大臣としてはどのような議題を(話されますか。)
(外務大臣)関係のあること全部ということですから、議題としてこれというのが今の時点で決まっているわけではないですけれども、日米双方に関係のある安全保障上の問題というと、北朝鮮もありますし、イラクもありますし、それから日米の安全保障の色々な話もありますしですね。色々あると思います。
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