外務大臣会見記録 (平成14年5月31(金)09:25~ 於:院内ぶらさがり)
不審船の引き揚げ
(外務大臣)今、(閣議後に)残っていたのは、総理からご指示があり、不審船の引き揚げについては台風シーズン前に引き揚げることができるように中国側と協議をして、理解を得て、それで引き揚げられるようにして欲しいと、そういう指示をいただきました。
(問)政府としては、引き揚げの方針を決めたということですか。
(外務大臣)中国側と協議をして、理解を得て、引き揚げるということです。
(問)具体的にはどのような形で行うのですか。
(外務大臣)今日も、中国側と技術的な点について、この間の調査についての説明をしているので、それはきちんと進めていくということです。
(問)台風のシーズンの前というと、具体的にはいつ頃までと認識されますか。
(外務大臣)それは、台風のシーズンの前ですね。
(問)(中国側の)理解を得られそうですか。
(外務大臣)まさに、それをこれからやっていきます。
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人事
(外務大臣)(小川元大使の任命等の)人事は、今日の閣議で決定されました。
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外務大臣会見記録 (平成14年5月28日(火)09:45~ 於:院内控室)
閣議等
(外務大臣)私から申し上げることは、何も無いです。
(問)閣議後に官房長官とお会いになったようですが、どのようなお話だったか。
(外務大臣)一つは、インド・パキスタンの話しです。もう一つは、一部報道にちょっと出てましたが、これからG8(外相会合)とかありますので、そういうお話しをしてました。(問に対し)私自身の出張日程です。
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大臣のイスラエル、パレスチナ出張
(問)(大臣の出張日程について)考え得るものは、どういう順番で来るのか。
(外務大臣)だいぶ前から、イスラエル、パレスチナについては、日本が一番貢献できるようなタイミングの時に行きたということは言っていたんですけど、パレスチナで改革のお話がありまして、そういったタイミングで日本から行くということが適切なタイミングじゃないかなという感じがあるものですから、そういう話をさせていただいたということです。
(問)改革の話しというのは(何か)。
(外務大臣)わが国として、やはり改革を支援する姿勢を見せることは非常に大事だと思います。それから、何がその支援のために出来るかということを考えることも大事だと思います。
(問)そのような方向で検討されているということで受け止めて良いか。
(外務大臣)その意味では、いつ行くのが適切かずっと検討してきた訳でして、一つのタイミングとなりうるかなという感じなんですが。
(問)サミット前ですか。
(外務大臣)そうですね、もしかしたらね。サミットでは大きな議題の一つにはなると思います。
(問)G8の非常に大きな主要議題になってくると思いますが、現地に行かれることにより、日本としてはどのようなメッセージを伝えたいですか。
(外務大臣)基本的な考え方については、前に新聞に書かせていただいたことがありますが、政治的なプロセスをきちんとやって、その後復興、改革のための支援、それから信頼醸成のための取り組み、そういう3つに分けて考えるということです。これが基本的な考え方です。
(問)パレスチナ訪問というのは、サミット前にもとおっしゃったが、具体的にいつからいつまでということは決まっているのか。
(外務大臣)今ちょっとそう(サミット前と)思っているだけで、具体的にいつということを申し上げる段階ではまだない。
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インド・パキスタン関係
(問)インド・パキスタンに関する福田官房長官とのやりとりでは、何か格段のご指示等はあったのか。
(外務大臣)特にないです。杉浦副大臣を今日派遣しましたということをお伝えしただけです。
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北方四島住民支援関係
(問)北方支援事業の関係で、国後島の友好の家の館長の方が、この度のビザなし交流に同行している記者に答えているのですが、友好の家の引き渡しの時に維持管理費の75%を日本側が負担するということになっているようですが、2001年、昨年の10月以降、一銭も支払われていない、日本側のお金が来ないというようなお話がありまして、このことについて大臣は把握されているでしょうか。
(外務大臣)私は何も聞いていませんので、それはちょっと聞いてみます、そういうことかどうか。そういうことかどうかというか、そもそも初めのところから(聞いてみます)。
(問)その点に関連して、島民の向こうの地区長の話の中、行政関係者の話の中でも、日本側が考えている領土返還とその支援というものを結びつける考え方に対しては否定的な意見も出ているのですが、今後、その人道支援、復興支援のあり方を考えるにあたって、どのようにそういった地元の意見というのを踏まえていかれるお考えでしょうか。
(外務大臣)尾身大臣がおっしゃられると思いますが、閣僚懇談会の時にお話があって、人道支援というのがそれなりに現地の方に非常に好感を持って受け入れられているというお話を頂きました。その意義というのは非常にあると私も思っていますし、尾身大臣の発言でそれが裏付けられたかなと思っています。
それからビザなし交流もこれも非常に良いということだと思います。住民の方は、それ
なりに日本に返って島が返還されるということについては、当然今と状態が変わるわけですから、それは不安が有り得るという気はします。私はそのご発言というのは直接聞いておりませんが、そういう不安の反映のご発言は有り得るかなと思いますけど。
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外務大臣臨時会見記録 (平成14年5月24日(水)09:25~ 於:院内控室)
閣議等
(大臣)今日の閣議は特段のご報告事項はありませんけれども、閣僚懇談会で、ワールド・カップ・サッカーについて話されました。外務省としては、これは何よりも安全確保が大事ですので、関連の情報を収集する、それから、韓国における邦人の保護、そういったことに全力をあげてきましたし、あげますということでございます。
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インド・パキスタン関係
(大臣)インドとパキスタンの国境が緊張度を増してきているので、日本としてもパキスタン、インド両方に働きかけたいと思っておりますし、場合によっては、私自身がそういうことをやりたいと思っています。
(問)働きかけを大臣ご自身でもとおっしゃられましたが、具体的にはどのような働きかけをなさるのでしょうか。
(大臣)どこまで私がやるかということは、例えば電話をかけるかも知れないとか、それは、電話を、受話器を取り上げて「ぱっ」とかけるわけにはいかないものですから、向こうがいらっしゃるかとか、色々アレンジが必要なので、必要なことを出来るだけ早くやりたいと思っています。
(問)インド、パキスタンの主張している部分が、言い分がそれこそ違うのだが、どうしたら両者のからみあった不和の状態が打開できるとお考えですか。
(大臣)とりあえず今の時点では、両方が自制をしなければいけないと思う。緊張が極限までいってしまうと大きな問題になりますからとにかく自制をして欲しいということを言おうと思います。
(問)大臣自身は、核戦争の可能性があるとお考えか。
(大臣)仮定の話なので、とにかくそうならないようにしてもらうということです。
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ワールド・カップ
(問)ワールド・カップの関係ですが、開幕間近に控えて、日韓の共催という意味で、今後の日韓関係に非常に良い影響をもたらすのではないかという見方が多いですけれども、大臣としては今後の日韓関係に与える外交上のメリットをどうお考えか。
(大臣)様々なメリットがあると思います。まず、一緒にやるその過程で、そういう一緒にやるという意識が両国の国民、上から下まで持つ、それがあるというのは非常に良いことだと思うのです。それから実際に人が大勢、両国間を往復しますから、それによって現地を見て理解が深まるということで、大変に良い効果があると思います。もちろんトップ、高円宮ご夫妻が行かれたり、上のレベルでの交流も非常に良いと思う。
(問)大臣御自身、観戦のご予定はまだないでしょうか。
(大臣)私はいくつか行きたいという希望は出しているが、特に決勝戦は行きたいと言っているのですが、日程上うまくいくかどうか分かりません。
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在瀋陽総領事館事件
(問)今日の閣議、並びに閣僚懇でですが、瀋陽の件で発生当初の閣議、閣僚懇では各閣僚から色んな意見が相次いだりといったこともあったかと思うのですが、今日、一応5人の出国を受け、そのことでの意見の開陳とか、大臣の話とかは全然なかったのでしょうか。
(大臣)ありませんでした。ワールド・カップの話で、相当時間を取りまして、それもみんなに短くしてくれということで言われていたものですから。それから瀋陽の事件自体が国際法上、人道上という話をしていて、人道上の方は、5人の方が出国をなさってこれは良かったと思っているのですが、話が終わったという話では全然ないものですから、この段階では、特に私からは申し上げませんでした。
(問)この間の会見でも時間が短かったので、いまひとつはっきりしなかったところがありまして、要するに残された事実認識の問題であるとか、再発防止の方が、5人の出国で一件落着ムードみたいなところもあって、棚上げにならないように、どういうふうにきちっと交渉していかれるおつもりなのか、具体的にお伺いできないでしょうか。
(大臣)事実認識の問題は、我々は同意がなかったといっている、向こうはあったといっている。意見が違うわけですね。この違いがあるわけですから、この点については、日中関係の、どなたかが大局を踏まえてとおっしゃいましたが、大局を踏まえて、これは毅然として、冷静に話をしていくということです。
(問)再発防止の方はいかがですか。
(大臣)これも、入っているだろうと思いますが。
(問)具体的にどういうレベルでいつから協議が始まるのでしょうか。
(大臣)それは、今まさに考えているところです。
(問)再発防止の方をということですね。全部を含めてですか。
(大臣)再発防止というのは、我が国の総領事館だけでやることももちろんありますし、中国とはこういう件については色々な話し合いはもちろん従来からもやっているわけで、そういった中での話もあるでしょう。いずれにしても、どうやって進めていくかとか、そういうことは、今まさにこれからということです。今考えているところです。
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鈴木議員関連
(問)政治家でない大臣に聴くのは恐縮ですが、鈴木議員の件で、北方支援の問題から端を発して問題となって、政治資金規制法の方の話ですが、昨日、事務所の地検の捜索が行われましたが、この点どういうふうにお感じか。
(大臣)外務省としては、政治資金規制法の話ですから、直接に関係がないのでコメントは控えたいと思います。
(問)国民の人々は意識する中で、別件ではありますが、外務省に端を発しているとか、出処進退もすごく気にしていると思うが、 直接関係ないというのではなく、その部分は何かしら感じる部分はないか。
(大臣)もちろん、今度の家宅捜索の件とは関係ないが、外務省の北方四島支援を巡っての問題で、関連の方が既に逮捕されたということについては、非常に遺憾だと思っています。それはそういうことですけど、今度の家宅捜索との関係では、外務省の話とは直接関係がない。
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外務大臣臨時会見記録 (平成14年5月22日(水)08:40~ (瀋陽事件に関する川口外務大臣の臨時記者会見)
冒頭発言
(外務大臣)わが国は、今回の瀋陽総領事館事件に関しまして、関係者の5名を第三国に出国をさせるように、今まで中国に申し入れて参りましたし、また、韓国とも緊密に協議をして参りました。
今日、中国側は、人道的な観点から、韓国政府の手配によりまして、関係者の5名を第三国に出国をさせるという措置をとりました。今回の措置につきましては、中国からは、21日の深夜内々通報を得ておりました。ただ人道的な観点から詳細が固まって、更にその5名が中国を離れるという見通しが確たるものになるまで、発表を控えさせて頂いたということでございます。
わが国は、これまで中国側に対しまして、関係者5名に対する人道上の要請が満たされることが最優先であるということを申し入れて参りまして、今回の中国側の決定に当たっては、このようなわが国の立場が配慮されたものだと考えます。
それから、中国側との事実認識の問題につきましては、日中関係の大局を踏まえまして、引き続き冷静に対処をしたいと考えております。
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質疑応答
(問)中国側からですね、21日の深夜内々通報があったということですが、これについてもう少し具体的に説明頂けますか。
(外務大臣)余りこれに付け加えることはないんですけれども、現地時間の21日の午後11時位内々通報が行われたということでございまして、いつ、と今申し上げましたけれども、誰から誰へというのでは外交ルートです。
(問)大臣は何時このことを聞いたのですか。
(外務大臣)私はそれから間もなくのころに阿南大使から聞きました。
(問)ということは本日の未明ということですか。
(外務大臣)そうです。
(問)日本政府は当初中国側に謝罪とそれから再発防止策を要求していた訳ですけれども、この覚悟に今も変わりはありませんか。
(外務大臣)先程申し上げましたように、事実認識、この問題については、日中関係の大局を踏まえて引き続き冷静に対処します。
(問)5人の亡命希望者の方ですが、この方達から日本政府として事情を聴取する予定はあるのか。また、機内でそのような試みをして中国当局に阻まれたという報道もあるようですが、その辺は如何でしょうか。
(外務大臣)機内でそういうことがあって阻まれたということは、私は承知していません。それから、直接お話を伺うということについては、今後時機を見ていきたいと思います。
(問)具体的にはマニラでという予定はあるのでしょうか。
(外務大臣)それは多分無いと思います。
(問)中国国務院新聞弁公室の趙啓正主任が、昨日の「アジアの未来」の会議で、瀋陽総領事館事件について、第1に、日本の副領事等の案内が無ければ中国側武装警察は、北朝鮮難民の行方が分かる訳がないと、第2には、日本政府は、中国のやり方に何ら不満があれば、今後は、中国政府は難民が日本の領事館等に踏む混む場合には口頭警告のみで対応するが如何か、という意見を述べていたが、これについて大臣のコメントは如何でしょうか。
(外務大臣)最初の点の事実認識の問題ですけれども、これは先程申し上げたように、日中関係の大局を踏まえて、今後冷静に引き続き対処したい。それから、2番目の点は、(総領事館等に)入ろうとしたときに口で警告をするということで考えていったらどうですか、という趣旨の質問ですか。
(質問者よりその通りである旨発言の後)大使館、在外公館の警備は中国の武装警察にやって頂いている訳でして、どういうやり方がということについては、中国側にご意見があれば、勿論承りたいと思っています。
(問)日本政府としては、5人の国籍を(間接的な形で)確認しているのか、また、今後大局的な見地で(中国側と)話し合いをするということですが、日本政府として何に焦点を絞るのか、またどこに重点を置かれるのかお聞きしたい。
(外務大臣)国籍については、今まで関係者というふうに申し上げていましたけれども、いろいろ報告書にも書いてありますが、それらしいという可能性については、そのように思っています。最終的に日本政府は直接にまだ、そういう意味では会っていない訳ですから、ご質問の意味がそういうことでしたら、それは、時機を見てということでお答えしたいと考えています。
それから事実関係、今後について何を焦点にということについては、今特に具体的に申し上げることは無いです。
(問)今後引き続き対処したいということですが、国際法上の問題が依然として大きな部分として残っているが、これについては、中国側が日本政府からの申し入れに対して引き続き対処しましょうという積極的な対応をしているのか、或いは中国側からの何らかの返答は(5人の)出国以後あったのか。
(外務大臣)今申し上げたことについては、日本側の考え方です。
(問)それについて、中国側のレスポンスはあるのですか。なければ(日本が)言っているだけで一方的な通行になってしまいますが。
(外務大臣)今の時点では、これは日本側が考えているということです。
(問)これまでの日本側の対応が、必ずしもスタート時点から最善のものではなかったということですが、この処分等、今回の事件の内部としてのけじめのつけ方ということについては、今の時点ではどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)おっしゃるように、これも私度々あちこちで申し上げましたが、初動の段階で色々反省をして今後改善すべき事はあると思いますね。それはこれからこの件について、ある程度目処がついた段階でやはり総括をして、どういう点を改善すべきかということを考えなければいけないと思っております。
また、処分とおっしゃられましたが、それについては、そういう過程で考えていくことだと思います。
(問)日本政府としての5人への事情を聞くことが、マニラでは難しいということでしたが、そうすると韓国でということになるのか、その件について韓国政府とはどういう協議をしているのか。
(外務大臣)今申し上げたこと以上のことは、この段階ではコメントを差し控えさせて頂きたいと思います。出来る段階では無いということです。
(問)マニラの出国後には、(コメントが)できるということでよろしいのでしょうか。
(外務大臣)それも含めて、マニラでは難しいだろうと申し上げたのですが、時機を見て実施をしたいと思っているということです。
(問)国際法上の問題では、阿南大使を含めた実質的な協議というものは中国側と行われていないと思うが、この部分について、例えば、相手方の王毅外務次官は今週中にもタイから帰国すると聞いているが、会談を呼びかける為の具体的なアクションを起こすお考えは無いのでしょうか。
(外務大臣)今ようやく5人の方が、中国を離れようとしているタイミングですので、先のことはこれからということです。
(問)5人の方が希望のアメリカではなくて、韓国に向かっているということについては、どのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)我々は、(5人が)韓国に向かっているということまで確認していません。
(問)いずれにしても、アメリカには向かっていないということについては。
(外務大臣)今解っているのはマニラに向かっているということです。
(問)アメリカに行く可能性はあるのか。
(外務大臣)私が申し上げられるのは、マニラに飛行機が向かおうとしているということです。
(問)その後のことは解らないということか。
(外務大臣)その後については、今コメントできる段階にありません。
(問)北京発マニラ行の飛行機には、日本の大使館の人も同乗しているという理解で宜しいでしょうか。
(外務大臣)北京からマニラまでは確認できないが廈門まででしたらそうです。
(会見終了後、マニラまで大使館員が同行していることを確認)
(問)今の関連で、どのようなレベルの方が乗っているのか、総領事のような人か。
(外務大臣)それは大使館の館員だと思います。
(問)先程来の米国か韓国かという話で、解らないという状況で、日本としては人道優先ということをずっと言い続けてきて、その辺の条件面というのは日本として満たされたと現時点で判断しているのでしょうか。
(外務大臣)5人の方の安全が大事であるので、今は申し上げられないということです。
(問)8日に事件が発生した後解放までに二週間ちょっとかかっているわけですが、その間交渉のやり方として政府の関与もしくは中国側の事実認識の対立点などを主張していた訳ですけれども、それが後段になって人道優先ということで、そういう細かい点には拘らなくてもいいという方針に転換したと思うのですが、そういった点も含めて、この二週間かかった点と政府の交渉のあり方についてどの様に評価されていますでしょうか。
(外務大臣)二週間かかったのが早かったか、長かったか、遅かったか、というのはいろいろな評価があると思いますが、これは今まであったようなどこかの国の大使館に人が入っていってという話では全くない訳ですね。今までとは大分性格の違った状況ですから、私はこのタイミングで中国がそういう措置をとったということが、やはり人道上の観点や国際社会の観点、それから日本が申し入れているといういうことについての配慮、ということについて中国が配慮したというということだと私は思います。
それからその交渉の仕方についてということですが、流れるべくして流れたのではないかと私は思っています。
(問)(この)事件が日中関係にどういう影響を与えると思いますか。
(外務大臣)中国も日本も、日中関係が非常に大事な二国間関係であるということを考えてそれで行動をしたと思っておりまして、このことが日中関係に影響を与えたとは私は思ってないです。
(問)中国側から連絡があった時の話なんですが、それは出国をさせますという連絡を受けるに日本側として留まったのか、それともそこで分かりましたという報告をされたのか、あるいはそういうことではなくて日本側としては出国前に是非話を聴きたいんだという様な何らかの意向を日本側として発言されたのか、そこはどういう状況だったのか。
(外務大臣)その辺については私は聴いていません。
(問)そこは割と大切な所なので何らかの形でご確認頂いて、後で是非教えて頂けますか。
(外務大臣)これは多分コメントを申し上げないということだと思います。私は今は聴いてないです。
(問)では認めたと受け取ってよろしいですか。中国政府からそういう話があったということで。
(外務大臣)わが国は人道上の観点というのが最優先の課題であるということでいた訳であり、まさにそれが最優先の課題であるという事です。
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外務大臣会見記録 (平成14年5月21日(火)08:40~ 於:院内ぶら下がり)
冒頭発言
(外務大臣)私から申し上げることは、ドイツのラウ大統領が日本にいらっしゃるということが決まったと言うことと、杉浦副大臣がESCAPの政府代表で行かれるという2つです。以上です。
(問)今残られたのは、どなたかとお会いになっておられたのですか。
(外務大臣)ある方と立ち話をしておりました。特に意味はありません。
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在瀋陽総領事館事件
(問)(瀋陽関係の)世論調査で事実関係について、中国側の主張と日本側の主張、どちらが正しいかと言うことについて、ほぼ拮抗していますが、わずかながら中国側の方が正しいという一部報道の世論調査結果が出ていますが、これについてどう思われますか。
(外務大臣)調査のポイントは、入ることについて同意があったか、ないかということなんですね。同意がなかったという日本側の主張については、いろいろとそれが(調査結果に)書いてないと言うのがあって、それがご心証に影響をしたのだと思うのですが、同意がなかったという事について、それに影響を与えるようなものではないんですね。ですから、その調査の趣旨と意味をきちんとご理解を頂ければ、もう少し数字は違うと思うのですが。
(問)中国側や民主党の調査で新たな事実関係が出てきて、それを日本側が追認するような形でいくつかありましたけれども、これについて外務省が意図的に隠しているのではないかと考えている人が7割ほどいるのですが、これについてはどうお考えですか。
(外務大臣)同じことになるのですが、外務省の調査は中国側の主張が「同意があった」といったものですから、それに反論をすると言うことであったわけです。そういうことに焦点を絞って作ったものですから、例えば握手をしたとか、知り合いがいれば握手をするのは当たり前で、我々の判断としては、なにもそれを(調査結果に)載せる必要もないということだったので、ポイントが何かと言うことをご理解いただきたいと思います。
(問)5人が中国政府から日本政府が身元等を確認する前に出国をしてしまった場合に、亡命先の意思等の確認の手段について検討は進んでおりますでしょうか。
(外務大臣)今、人道最優先と言うことを言っているわけですけれども、そういう具体的な態様について、どうのこうのというお話をすることは控えさせていただきたいと思います。
(問)ここ2、3日、日本側は随分柔軟な姿勢を示していると思いますが、中国側に変化の兆しはございますか。
(外務大臣)いろいろな方が、いろいろな事を中国側もおっしゃっていて、唐家セン外務大臣が「日中の大局に立って」ということもおっしゃっているわけで、今、交渉を実際にしている段階ですので、それ以上のことは控えさせて頂きたいと思います。
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外務大臣会見記録 (平成14年5月17日(金)08:53~09:00~ 於:院内ぶらさがり)
閣議
(外務大臣)私の方から申し上げるのは、テロ対策特措法の派遣が延長になったことだけです。
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瀋陽総領事館事件
(問)瀋陽の事件から10日目になりましたが、事態は膠着状態にあるのでしょうか。
(外務大臣)色々なことをやっていますけれども、今現在では、早期解決に向けて、努力をしている、最善を尽くしているところです。
(問)中国側は5人の身柄について、日本と交渉することはないとも言っていますが。
(外務大臣)今、動いていることの細かいことついては、申し上げることは差し控えさせて頂きたいと思います。
(問)中国当局側の発言を聞いていますと、「5人の扱い」とか「ウィーン条約の問題」とかを、日本側と十分協議しないままに、5人を出国させる可能性も高いと思うのですが、そのあたりは交渉にどのように臨んでいかれるのでしょうか。
(外務大臣)これは「人道上の観点」、「国際法上の観点」から中国と協議しながら、早期解決を目指して、冷静に、毅然として対応していくことに尽きると思います。
(問)民主党の調査団が現地(瀋陽)に行って、日中双方にヒヤリング等をしたところによると、連行された直後に、領事の方が電話を中国当局に掛けて、それは日本側は抗議をしたと言うのだけれど、中国側は感謝の内容であったという、食い違った話が出ているのですが、この電話のあったこと自体、先日の外務省の発表には載っていないわけですが、この間の「手紙」の件もありましたけれども、こういったことがポロポロ出てくるようであれば、日本外務省の大きな信頼性にも関わってくることと思いますので、その観点に関係なく、聞き取りをされた内容をもう一度、時系列で全部出されるべきではないでしょうか。
(外務大臣)「同意をした」、「同意をしない」ということに中心を置いて、あの調査を出したということなのです。従って、そういった目的のためですから、中国側とは認識が違うということですが、中国側とは協議をしていくということです。
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外務大臣会見記録 (平成14年5月14日(火)9:55~ 於:会見室)
閣議
(外務大臣)おはようございます。私の方から申し上げることは、あまりないのですけれども、以前お話をした浅井ガーナ大使、河村イラン大使、飯野フィジー大使の発令がありました。OECDの閣僚理事会に関する政府代表発令は、これは外務省からは植竹副大臣、経産省から平沼大臣の発令がありました。
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瀋陽総領事館事件
(問)昨日の外務省の調査報告を受けて、昨夜在京の中国大使館の方で、調査報告について、全面的に反論する内容に付いて発表がありましたが、これについてどういうふうに今後(対応されますか)。
(外務大臣)今日朝10時半から北京で小野領事移住部長が中国側と話を間もなくすることになっていますので、その場でお話をしていただくことになります。
総理が昨日言われましたように冷静に毅然と対処していくということです。
(問)これまでの両者の主張というのが幾つかの論点について全く食い違っているのですが、その点については、どういうふうに。中国側が了解するとは思えないのですが。
(外務大臣)私どもが把握している事実は、先程申し上げたとおりなんですね。そこはそういうことを申し上げて行きたいということです。
(問)96年に北朝鮮から脱出して瀋陽総領事館にはいったというミヤザキさんという方がいらっしゃるそうなんですが、そういう事実を大臣がご存知なのかということと、改めてお聞きしたいのですが、そういう形で総領事館がこういう人を確保したケースがある中で北朝鮮から逃げている方でその対応をしっかり取っていたのか。その2点についてお伺いしたい。
(外務大臣)96年とおっしゃいましたか。私が知っているのは前に一度何年か前に亡命事件があったということを聞いてますが、一回国会でそういう話があった。平成8年、96年に北京の日本大使館を訪ねてきた人物があって、北朝鮮の科学者であるということを明らかにして、韓国への亡命の意図を明らかにしたという事例はあったようです。それで亡命関係のことについては、昨日申し上げたかと思いますけれども、考え方としてどういう考え方で対応するか、そしてどういう考え方、どういう対処の仕方をするか。対処というか処置をするかということについての考え方を整理した紙がある。それは具体的に起こった時点でその内容によって対処の仕方が当然違う訳ですから、外務省、本省に連絡をしてそこで指示をして、というまあそういう対応ということですね。瀋陽の総領事館の場合に昨日もご質問に出ていましたけれど、警備が、これが総領事館で領事業務をやっていると観点からなかなか難しいことではあるのですけれど、このへんでやはり今後検討改善すべきところがあると思います。
(問)今の関連で言いますと、亡命者を受け入れについて官邸でも質問が出てていたみたいですが、受け入れ自体の規定がない。難民認定という枠の中でやっている訳で、そういうことについても日本は消極的であったと国際的に言われて久しい。そういうことがそういう対応の根本にあるのではないかとの見方もある訳ですけど、そのへんについては今後日本としてはどういうふうにしていくべきだと大臣はお考えですか。
(外務大臣)そこのあたりというのは、基本的な問題の一つだと私は思いますが、これはやはり政府全体、日本国全体としてやっぱり考えるべき問題だろうと思いますね。
今の法律の枠組と言うのは、それなりに機能をしているということですから、その枠組のあり方自体今おっしゃったことは、変えるべきではないだろうかというご質問だど受け取りましたけれども、それについては、やはり国全体日本人としてどう考えるかということから始まって、政府としてそれをどういう風に考えていくかという議論をしていく必要があると思います。
(問)今行われている自民党の外交部会で、かなり外務省の対応について仰々しい立場を崩さないですが、外務省の方で総領事等、大臣ご自身を含めた処分についてはどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)今回の対応の仕方自体について、特に初動の段階で情報の伝達の仕方等で国内の問題としては、問題があったと私は思います。それで処分というお話ですが、今大事なことはとにかく問題を解決することに全員が力をあわせてやるということに尽きると思っています。
(問)北朝鮮住民の亡命の件ですが、一部報道でフィリピン経由で第三国に出国という話も出ているようですが、もし仮にフィリピン経由という話があった場合には政府としてそういった意向を既にキャッチしているのかということと、また改めて韓国が最終的な行き先になるとしたら、政府としてどういったかたちで韓国の意向を受け止め、どういう判断をされるのかをお伺いしたいのですが。
(外務大臣)今、問題解決に全力を尽くしているというところですから、わが国の立場としては、引き渡しということを言ってるわけですけれども、人道上の観点、これが本人がどういうことを考えているかということも含めて人道上の観点が尊重されることが必要だというのはもう言うまでもないということです。今回総理からもご指示があったように冷静に毅然と対処すべきだということです。
(問)今の点に関連しまして、既に韓国側から日本側に対して、そうした場合については、韓国側としては受け入れますよという意向が伝えられているのか。
(外務大臣)昨日でしたか、官房長官がお話になったことが一つあるようですけれども、これは解決をしていくことが非常に大事で、人道上の観点は先程申し上げたように、尊重されるということも大事だし、わが国が今引き渡しを求めている。わが国の立場はそういうことです。
(問)質問にはお答えいただいてないようですが。
(外務大臣)していませんでしょうか。申し上げているつもりなんですけれども。
(問)その件について、中国政府側はフィリピンにそのようなかたちで接触したということは、日本政府としては把握されているのですか。
(外務大臣)今とにかく申し上げられるのは、わが国は引き渡しを求めているということと、問題の解決にあたって、人道上の観点は大事だとそういうことであります。
(問)そういう事実はあったのですか、そういうことを確認されているわけですか。
(外務大臣)そういう意味でしたら、その件については確認はしておりません。
(問)中国政府の方から、5人について北朝鮮に送還することはしないということが米国、韓国政府に伝えられているようですが、日本政府に対してそういう意向はまだ伝えられていないということか。
(外務大臣)(伝えられて)いないです。
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外務省職員に対する地検の捜査報道について
(問)佐藤前主任分析官の件ですが、「地検の方が捜査に」との新聞報道がありますが、鈴木宗男さんですとか支援委員会をめぐって、捜査の手が外務省職員の方におよびそうだという実態を受けて一言コメントを頂きたい。
(外務大臣)新聞でいろいろ書かれているということは承知をしております。どういう部分について、今捜査がどのような状況になっているかということについて、私は承知しておりませんので、コメントは差し控えたいと思います。
(問)報道されていることについては、国会でも取り上げられています。一昨年、イスラエルで行ったロシアの外交政策をテーマにした国際学会への参加費用を支援委員会から支払った。この支払いについては今の段階で大臣は支援委員会の目的に照らして不適切だったと思われますでしょうか。
(外務大臣)これも何回か申し上げましたけれども、支援委員会の当時のそのことについては、そういう判断があったということだと思います。それで、支援委員会の運営の予算の支出のあり方については、今までも申し上げているように、一番望ましい姿で行われていたかというとそれはそうではなかったという反省にたって今どういう改善が必要かということをご議論していただき、それを受けて中で検討していきたいと思います。
(問)この事例についても適切ではなかったということなのでしょうか。
(外務大臣)当時はそういう判断があったということですよね。それは最も望ましい姿ではなかったかもしれないけれども、当時はそのような判断があったわけですから。
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外務大臣会見記録 (平成14年5月13日(月)10:15~ 於:会見室)
冒頭発言
(外務大臣)5月8日に発生いたしました瀋陽総領事館事件につきまして、外務省は、小野領事移住部長を長として派遣して、11日から現地で13日まで調査をしていました。
今日は、その報告に基づきまして、外務省が調査結果をまとめましたので、それを発表させていただきたいと思います。
調査結果については、お手元に紙をお配りしていると思いますけれども、事実関係についてのポイントを申し上げさせていただきたいと思います。
三つありますけれども、一つは、先ず、総領事館の入口の中で女性二人と幼児1名が取り押さえられた際の状況について、中国側の武装警察官が最初に総領事館の敷地内に立ち入った際に、日本側が同意を与えたという事実は無いということです。
それから、二番目のポイントと致しまして、総領事館の査証の待合室というものが中にありますけれども、そこに入り込んだ男性2名が取り押さえられた際の状況について、武装警察官による総領事館内への立ち入り、査証待合室から総領事館敷地外の武装警察詰所、そこへ男性2名を連行していったこと、この何れについても日本側が同意を与えたという事実は無いということです。
三番目に、関係者の5名が連行された時の状況について、幼児を含む女性3名の総領事館敷地内からの引きずり出しと、男性2名の総領事館査証待合室からの連行及び同5名の武装警察詰所からの連行の何れについても、日本側が同意を与えたという事実はないということです。
以上が調査のポイントでございます。
総領事館の安全は総領事館と現地の警察の協力によって維持されるものであります。瀋陽において、武装警察は、総領事館の安全確保の任務に
就いている訳です。今回の事件では、この調査結果からも分かりますように、ウィーン条約に基づく公館の立ち入りに際し、必要な同意が無いまま、武装警察が立ち入ったということが問題であるということです。今後につきましてですけれども、今回の調査結果を踏まえて、武装警察官の総領事館立ち入り及び関係者5名の連行について、同意を与えていたという中国側の主張に毅然として反論をしていきたいと考えています。このため、瀋陽に出張している小野領事移住部長を北京に派遣をいたしまして、先方に対して、日本側の調査結果を説明させることとしています。その上で、国際法上及び人道上の観点から、毅然且つ冷静に対処しつつ、中国側との協議を通じ、本問題の早期解決に向けて全力を尽くす考えでおります。
また、調査の一番最後のところに付いていますけれども、今回の調査の結果、総領事館の対応についても、指揮面、指揮命令系統及び警備面に
おいて、種々の問題が明らかになった訳です。こうした問題点につきましては、猛省をした上で、今後、改善等を早急に講じていきたいと考えております。
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質疑応答
(問)幹部の派遣についてですが、小野部長ということなんですが、言われている副大臣の派遣についてどうお考えになっていらっしゃるか。
(外務大臣)それも含めまして、今後、中国側の対応も踏まえて探求したい。
(問)中国側の調査と、かくも何故開きが出ていると大臣はお考えになっているのか。
(外務大臣)それについてまさに小野部長に北京に行っていただいて、説明をして、中国側と話をしたいということです。
(問)早期解決というのは具体的に何を意味しているのか。
(外務大臣)私たちが言っているのは、引き渡しということ、これは私が言ったことですけれども、引き渡しということがありますし、それから、ウィーン条約の関係の事柄についても入っていますね。ですから、そういったことが解決をされるということですけれども、どういう形が解決の形かということについては、今我々は、日本側が申し上げていることについて、中国側にきちんと対応していただきたいということです。
(問)報告書の中で、一つは最終的には外の警察官詰所から、連行するのを阻止していた副領事がですね、上司の指示でそれ以上不測の事態を招くということで、阻止するのを諦めたという事が出ているが、それについては仕方がなかったものと考えているのか、それから、それをもって中国側が暗黙の了解を与えたという風に言っているのではないかと思われるが、その点についてはどう思われているか。それから、その前段では副領事の方が亡命を求めてきたという意識がなくて、ビザを申請しに来たかどうかを訪ねてそうではないと中国側に言われたということが出てきているが、その辺の対応振りについて大臣の感想をお聞きしたい。
(外務大臣)最初の方の、腕を広げて阻止をしていたのを腕を下ろしたというところですけれども、これは不測の事態に備えるということでして、中国側に対して、同意を与えたということを意味するものではないということです。実はこの後、中国側に抗議をしている訳でして、報告書の5ページの一番上の囲みのところですが、午後3時40分頃からというのがありますけれども、そこを見ていただいてもおわかりのように、それは合意をした、合意を与えたということではないということです。それから、一番最初のビザを申請したかということを聞いて、そうではないと言われた、ということですけれどもこの前にも申し上げたことがありますけれども、この総領事館に対してはビザを申請する方がいらっしゃるわけですけれども、その中でいろんな方がいらしてるわけですね、それでとっさにその状況、非常に混乱をした状況の下でその人たちが脱北者である、ということについて直ちに認識が持てなかったと。混乱の状況をお考えいただければそういうことだということでして、今の時点で考えればもう少し対応の仕方はあったんじゃないかということも感じますけれども、それはその状況でいろいろな人がいていろいろ騒ぎがあって自分が一
人でそこにいて、という状況、混乱を前提にお考えいただくと、非常にあがってしまっていた状態になっていたということはわからないでもない。
(問)ビデオを見ると、領事館員が抵抗していたと、警察官に反対していたという認識はまったく受けなくてですね、逆に何か帽子を拾って渡すなど非常に協力的な姿勢をとっている。なぜその時、警察官に対して「やめろ」「中止しろ」と領事館員は言わなかったのか。
(外務大臣)私もビデオを見ました時に、「何してるの?」という感じがあったんですが、それはこの人たちが脱北者であるという前提でまず見ていたので、それは当然そう思うということであったと思う。この時点では先程も言いましたようにいろいろな、今まで総領事館で問題があったり、入りたいという人がいたり、そういうことがあった状況の中で出てきてみたらば直ちに脱北者であることがわからなかったということをお考えいただければ、多少は理解をしていただけるかなと思いますけれども、ただ、先程言いましたように本件について藩陽の総領事館の様々な対応についていくつかのことをこの報告書で言っていますけれども、そういうことがあったということは否めない、意識面の問題点ということでこの総領事館の対応に対する問題点ということを言っていますけれども、当時は単なる喧嘩騒ぎ程度の認識にとどまっていたと、そういう意識が問題であったとそういうことだと思います。
(問)日本政府は謝罪の他に、5人の身柄の引き渡しを要求していますよね。中国側には一方で第三国への5人を出国させるという動きもあるやに聞いているが、そうなった場合日本政府としては、この中国側の措置を受け入れられるものなのでしょうか。
(外務大臣)おっしゃった、その第三国への出国ということについては私は承知をしていません。したがって確認はできませんけれども、私たちは今、我が国は5人の引き渡しということを中国に対して言っているわけです。したがいまして、そのおっしゃったようなことを前提にその場合はどうなるか、ということについてはお答えするのは差し控えたいと思いますけれども、大事なことは人道上の問題、人道上の観点が尊重されるということであるということは言うまでもありません。
(問)最後の問題点の所を見ますと、門が1メートル程開いていたのが警備上の不備だったということになるわけですが、武装警察官の進入を直接許した原因というのがここに集約されると読めるんですけれども、そういう認識で宜しいですか。
(外務大臣)もちろんその閉まっていたらば、最初から5名が入るということもなかったと言う意味で警備が問題だったということは言えると思いますけれども、それにつきるとか、そういうことではない、元々警備はきちんとすべきであった、これは総領事館の問題であったという風に考えております。
(問)北朝鮮からの亡命希望者に対して、日本政府はどういうスタンスでどういう風な対応をこれまでとってこられたのか、それともう一点、3月以降のスペイン大使館等の事件をふまえて、どのような措置を、強化策というのをとられていたのか、不測の事態と書かれているがこういったことも想定した上での何らかの対応策、大変緊張感の高いところですからそういった事前の策というのはこれまでうたれてきたんでしょうか。
(外務大臣)3月にスペイン大使館でしたでしょうか、そこに25名でしたか入るという話がありまして、それに基づきまして、その頃からですが、基本的なそういうことについての考え方についての紙というものは、更にその時点で対処ぶり或いは考え方ということは作ってあり、関係の公館にはそれを伝えてあるということです。それで、ただ今回の脱北者のことについては、中国側の武装警察と、それから、我が方の総領事館が不可侵であるということが侵害されたという事実を踏まえまして、更にそういったことについての考え方、或いは対処振りについて決定をいたしました。
(問)関係者5名が連行された際の状況ですが、この中で当初詰め所で入口を手で塞いで、制止をした。その次の段階で公使に問い合わせをした結果、物理的に押し止めることができないとの認識の元で無理はするなと、最終的には連行されても仕方がないと述べたとありますが、これはそうすると結果的に連行を容認したと受け止めていいのか。
(外務大臣)それは実はさっきご質問があったが、そういうことではない。同意をしたということではないということです。これはこの状況は、何度か武装警察官が5名を詰め所から出そうとする動きがあって、それをその度に押し戻すということがあった後、段々に緊迫をした状況になってきたということで、それについて、資料に書いてあるように物理的に押しとどめることができるかどうかということを上司に指示を仰いだ。実はこれは総領事館の敷地の外なので、そういう意味で厳密に言ってしまうとそこはウィーン条約の対象となる地域ではもはやないという状況もあるわけで、そういう緊迫をした情勢の中で無理をするなと。不測の事態が起こるということもあり得たわけで、そういう意味で上司の指示があったということですが、先程申し上げたように、それが同意をしたかというとそれはそうではない。それは直後のこの報告書の5ページに書いてあるような、3時40分頃から瀋陽の公安局、遼寧省の公安庁及び外事弁公室に同意なく館内に立ち入ったことについての国際法違反についての抗議と関係者の引き渡しについて申し入れを行ったという事実からもおわかりいただけるだろうと思う。
(問)最後に職員の方に意識面と指揮命令系統など問題点があったということですが、今日水野政務官も関係の方の処分をするべきだということを言われているようですが、大臣はこの点についてはどうお考えか。
(外務大臣)今、この問題の解決をするということが非常に大事だと私は思っています。
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外務大臣会見記録 (平成14年5月10日(金)10:15~ 於:会見室)
冒頭発言
(外務大臣)私の方から申し上げることは、ご案内のように、東チモールが20日に東チモール独立共和国として独立するので、その日付を以て承認をするということです。それから、人事の案件について、弁護士の浅井和子さんを駐ガーナ共和国大使にお願いするということで、14日、来週の火曜日に閣議の手続きを経まして、発令をする予定でございます。浅井さんは国際関係に非常に詳しい弁護士の方で、法曹界でずっと実績を積み重ね、国際問題にも造詣が深く、アフリカでも仕事をなさったことがおありでございます。TICAD3もございますし、アフリカ協力飛躍の年と位置づけておりますので、浅井さんのお力添えを、それからアフリカについての見識を頂きながら、アフリカについての仕事をしていただくということは、私としても非常にうれしく思います。元気な方です。これで、今までに猪口大使、渡辺経済局参事官と民間の方の起用を行って参りまして、3人目ということになります。
それから、14日テロ問題に関する日韓大使級会議が行われ、ワールドカップに向けて日韓でテロ対策の協力について議論をする予定でございます。私からは以上でございます。
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瀋陽総領事館事件
(問)瀋陽の件について、ビデオをご覧になられて、ビデオを見た後の感想と、亡命しようとした5人は一旦総領事館の敷地内に入っていることがわかったわけですが、外務省として事実関係をどのように認識されていますか。
(外務大臣)私もビデオを夕べ見させていただきました。もう少しきちんと見なければいけないと思いますが、一応全部総領事館の敷地内に入ったように私には見えました。この件については、今日閣僚懇談会で私から話をさせていただきましたし、終わった後、総理のお部屋で総理からもきちんと対応するようにとのご指示を頂きまして、取りあえず瀋陽の総領事館に1名、現地での対応についての調査、それから現在の対応について、派遣をするということで総理とお話をさせていただきました。これも今人選中でございますけれども、今日にでも然るべき者が決まると思います。それから、内部での対応について、これはマニュアルはあるわけですが、私は1回そのマニュアルを自分で見たいと思っていまして、それを見た上で、徹底を全公館に再度する、もちろん、もし必要な直すべきところがあれば直しますし、その上で実際の行動につながるような形で徹底をしたいと考えています。中国側の対応状況によってはさらに上の人間を北京に送ることも今後検討いたします。たまたま総領事館で総領事が大連での飛行機事故の関係がありまして、2人ほど連れて留守をしていたところでございまして、画面に映っていた3人のうち2人は中国人の方でいらっしゃって、1人だけが日本の方であったのですが、何も対応していなかったというわけではなくて、あそこで話はしていたということのようでございます。それで、中国側に対しては、日本側で調べるということを言ったということですけれども、中国側はそれを見切って連れていってしまったというふうに話を聞いております。それで3人とおっしゃいましたが、3人という数字が出たのは私はあまり認識しておりません。建物の中に入ったのが2人だという話は聞きました。
(問)今の話の中で、派遣する人の人選について、どのクラスの方を派遣される予定か。それと、事前に今回韓国のNGOの方がサポートしていたという話を聞いているのですが、彼らの話によれば、日米双方の外交当局に事前にこういった話は伝えたという一部の報道もあるのですが、そういったことについて、なかったとおっしゃるのですが、事実関係はどうなんでしょうか。
(外務大臣)総領事館に対してそういうことがあるという話が伝わっていたということは全くないと私は聞いています。これはきちんと全員に聞いたということでして、それでそういうことはなかったと私は聞いています。
(問)北京の大使館とか本省とか、外務省全体の中で。
(外務大臣)総領事館以外ですか。そこについて全員聞いたかどうかは知りませんが、私の理解しているところでは、そういう事前の通報は全くなかったと。また、派遣する人のクラスは、例えば領事移住部長とか、これは検討しますので、そうなるかどうか分かりませんが、あるいは審議官クラスとか。
(問)先ほど何も対応しなかったのではなかったという説明はありましたが。
(外務大臣)話をしていたということです。
(問)テレビで映っている限りは、3人の女性が外に出される際に3人の方がそれを見ておられましたが、テレビに映っていない、建物に入った男性2人を中国の警察官は堂々と入って連れ戻したと。それを要するに全くただ見過ごしていたということではないのですか。
(外務大臣)それは、総領事館で話を聞くからという会話をしたんだけれども、中国の武装警察が、有無を言わせずかどうかはまだ知りませんが、そう言ったにも関わらず連れていってしまったということだと承知しています。
(問)「話を聞くから、話を聞くから」と一緒になってついていったけれども、物理的に何も出来るわけではないからやむを得なかったと。
(外務大臣)連れていく前に総領事館で話を聞くから連れていくなということを言ったということです。
(問)そもそも連れていく前に複数の警察官が堂々と何十メートルも入って来るということに対して何のリアクションもしてなかったのではないかと我々からは見えるのですが。
(外務大臣)当然入っていく段階での話はあっただろうと思います。その入ってきた人たちが如何なる方々であるかということについてとにかくまず聞くということがこの場合先決問題でして、それをやるということを総領事館は考えていたのではないかと思います。
(問)それは順番が違うのではないですか。先決なのは中国の警察官が入ってくることを止めることではないですか。
(外務大臣)私もそう思います。ですからそこの辺りは、総領事が大連の事故の件で忙殺をされたという状況で起こった話ですので、きちんと然るべき人間が指揮を執るようにするということです。
(問)中国側が中に入っていって最初に入った2人を連れ戻す間、かなり時間があったかと思いますが、その間2人から事情を聞かれていたのか、どういう対応をしていたのか、保護をするようにもっと建物の奥に連れていくというようなことはなかったのか、その辺の対応はどうだったんでしょうか。
(外務大臣)総領事館の査証待合室に駆け込んだ人間をどこかさらに奥に連れていくと。
(問)あるいはその間事情を聞くとかですね。
(外務大臣)そういったことについての記述はございません。確認できません。
(問)亡命をしたいというような意思表示が彼らからその間にされたのでしょうか。
(外務大臣)それも確認できません。
(問)入ってきた2人はずっと座っていただけということでしょうか。
(外務大臣)そういう色々なことがあったということについての確認は今の段階ではできないということです。日本総領事館として話を聞きたいと言っていたにも関わらず、中国の公安当局が取り押さえて移動させないようにと日本総領事館員が言ったのですが、聞き入れなくて、結局瀋陽市の公安局に連行をされてしまったということです。入ってきたのが時間的に言いますと現地時間で2時頃、日本時間で3時頃、それで公安当局が5名を連れていったのが3時2分頃とありますから、大体1時間後には連れていったということです。
(問)その間入ってきた人たちから何か意思表示は。
(外務大臣)そこは今の時点では確認できません。今あったようなご質問については、私自身それも含めて話を聞きたいと思っています。
(問)そこからお話を聞くのは分かりますが、官邸で官房副長官とかが、総領事館の対応は悪かったと言っていますが、今の段階で大臣は総領事館のあの対応は悪かったと思いますか。
(外務大臣)基本的に、これは色々なことがありますが、私はもう少し違う対応がとれたはずだと思います。ただ1つ彼らの立場を分かってあげないといけないと思うのは、今まで色々な人が瀋陽の総領事館には、例えば日本に行きたいとか日本に連れていって欲しいということでお見えになっている方が相当にいらっしゃって、直ちに北朝鮮、これは未だに確認されていないわけですが、そういう方たちがいらしたかどうかについてのきちんとした区別が付いていなかった可能性はある、そういうことが非常に多く起こっていたということ、これは中国人の方ですが、という状況があったということも1つありますが、もっと違う対応ができたのではないかと私は思います。
(問)総理の指示をもっと具体的に言っていただけませんか。
(外務大臣)きちんと指示をするようにと、それでどういった対応をとるかということで取りあえず人を出すということはそこでご相談して決めました。それからその後の向こうの対応を見てさらにやるべきことは毅然とやっていくということです。
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外務大臣会見記録 (平成14年5月7日(火)8:50~ 於:官邸ぶら下がり)
閣議
(外務大臣)総理のご出張と私の出張について報告を閣議でいたしました。
(問)閣議のあと総理と少し残られてお話されたんでしょうか。
(外務大臣)私の出張の報告をいたしました。閣議では非常に短いことしか言えませんので。
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中東和平
(問)中東和平に関しまして、米国など四者による国際会議が夏に開かれると報道されたのですが、日本としてはこの会議にどういうような関わり方をしていくお考えでしょうか。
(外務大臣)日本として政治的なプロセスに関わっていくということは非常に大事だと思っています。テレビをちらりと見ていたら、パウエル国務長官が日本の協力をということを言ってますので、私は前に中東についてはこれからのステップとしてもいくつかのことを言ってますので、更に日本側としても考えを深めたいと思っていますし、そういった国際的な連携の中で相互補完的に何ができるかということをみんなで考えていく、ということだと思います。ヨーロッパに出張していたときにヨーロッパのお会いした方とは連携をしてやっていきましょう、という話をいたしました。
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日朝赤十字会談
(問)先月、赤十字会談ですが、赤十字間で出来ることの限界が見えたという指摘がありますが、今後日朝間、政府間をどう動かして行こうとお考えですか。
(外務大臣)限界とおっしゃっても、かなり前進をしたと思うのです。まず、行方不明者、拉致された方の調査の再開をということはきちんとしているわけですし、日本人妻の里帰りについても、夏ごろにという形で決まっているわけです。今後、引き続き会合をやるということになっていますので、これをベースに話がどんどん深まっていくのではないかと思います。その様子を見ながら、全体の話を検討していくのだと思いますが、まだ会談自体について私は直接には話を聞いていませんので、今申し上げたくらいの感じかと思っています。
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スーチー女史に対する行動制限の解除
(問)ミャンマーのスーチーさんが解放されましたが、日本政府として、円借款の再開等対応を考えていますか。
(外務大臣)バルーチャンについては、第2次を行う方針です。
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