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外務大臣会見記録 (平成12年12月22日(金)15:55~ 於:於会見室)(外務大臣)只今来年度予算の大臣折衝が終わったので、ご報告を申し上げる。
今回の大臣折衝で、定員の増員73名が了承された。この結果、平成13年度の外務省の定員は、5329名となる。また、小渕前総理のイニシアティブで国連に設置された「人間の安全保障基金」に対する拠出金については、15億円の増額が認められ、総額77億円となった。この結果、外務省予算総額は7634億円、対前年度比1.4%減となった。ODAについては、皆様に何度かご説明を申し上げて参ったが、結果は政府全体として対前年度比3%減、外務省予算については対前年度比0.3%減の5565億円となった。外務省のODA予算については、九州・沖縄サミットのフォローアップ等政策的な配慮もある。政策実施に必要な予算は、これで何とか確保できたと考えている。引き続き、ODA事業の中身の精査、効果的・効率的な実施に努めたいと思っている。
機構については、局長レベルの折衝の結果、アフリカ審議官が認められた。更に、在スロヴァキア大使館の設置が認められることとなった。併せてご報告させていただく。
大変厳しい財政状況の下である。今年は、九州・沖縄サミット等の実施についての予算があったが、これらが落ちたこともあり、それらも含めてこの数字になった。21世紀初頭の外交を進める上で、十分ご配慮もいただいていると思っている。この予算の下で最善を尽くしたい。ご報告は以上である。
外務大臣会見記録 (平成12年12月22日(金)10:48~10:07 於:本省会見室)(外務大臣)私(大臣)自身のことだが、先般発表したロシア訪問について、先方との調整がつけば、明年1月7日に出発し、ロシア訪問に先立ち、湾岸諸国、及びスウェーデンを訪問したいと考えている。詳細な日程についてはまだ調整中であり、固まり次第報告する。湾岸諸国については、サウジアラビア、カタール、ア首連、クウェートを訪問し、各国要人との会談を行いたいと考えている。要人との会談を通じて、21世紀における日本と湾岸諸国との関係強化について意見交換をするとともに、いわゆる文明間の対話といった考えに立った新しい協力のあり方を模索していきたいと考えている。春以来、イスラム研究会を発足させ、色々な作業をしてきたことを踏まえて、先方とできれば少し違った角度から、これまでの色々な首脳同士の話し合いをもちろん踏まえて、さらに一歩進んだ話し合いが出来ればと考えている。スウェーデン訪問では、日・EUトロイカ外相協議を実施したいと考えている。これも今年の1月、日・EU関係について、私(大臣)から仏において発言をしてきたところだが、これを踏まえ、明年からの10年間を「日欧協力の10年」とすることに日・EUの首脳会談でも合意しており、それをさらに進める上で協議をしたいと考えている。
(問)大変長く出張される予定だが、2期目を迎えた新たな河野外交として、全体を通して、こうした訪問にしたい、というのがあれば教えていただきたい。
(外務大臣)もちろん我々がもっとも重点を置いているのは日米関係であるが、現在の段階では、まだ米側が新政権発足の準備中ということである。他方、日露の関係は、ブルネイの首脳会談を踏まえれば、当然できるだけ早く先方と話し合わなければならないということもある。そうしたことを考えながら、1月に私(大臣)としては、どういう地域に出かけるのがいいか考えた。現在、今年の夏以降、アジアの国々とはかなり細かく何回もやりとりがあることも考えれば、やはり21世紀の日本を考え、新しい外交の相手先として、一つは湾岸諸国、もう一つはヨーロッパと言うことを考えている。もちろん、私としてはオーストラリアとの関係も少し間があいていると思っており、日豪関係もどういうふうにしていくかということも考えなければならない。色々考えると、日程自体は長くなるが効率的によりよく我々の考えを説明し、先方の考え方を聞くというのが大事という国を考えれば、今回のような計画が一つの結果となる。
(問)サウジアラビアについては、アラ石問題の時に政治間の交流はない、少ないということでなかなかうまくいかなかった経緯があったが、その点、今回の訪問についてはどうお考えか。
(外務大臣)もちろんそういうことも 頭に入っているが、湾岸諸国と我が国の21世紀の新しい時代の交流というものは、石油によってつきあいをするというにとどまらない、むしろ政治的な問題、文化交流の問題、そして経済的な交流の問題と思う。湾岸諸国も石油だけで経済を支えるということから、もう一つ新しい段階に入ろうとしているわけで、そうしたことにも、十分話し合いをしてくる必要があるだろうと思っている。
イラクに対する制裁に関連した措置
(外務大臣)本日の閣議において、イラクに関する閣議了解があり、いわゆるオイル・フォー・フード計画の我が国における円滑な実施についての了解を確認した。これは、イラクに対する制裁措置を維持しながら、我が国として所要の措置をとることについて閣議で了解したものである。従って、我が国の対イラク制裁自体を緩和するものではない。この詳細については、事務方から資料を提供させたい。
ユーゴに対する制裁解除
(外務大臣)もう一点、ユーゴに対する制裁解除も本日の閣議で了解された。我が国はユーゴにおける民主的な変化に鑑み、平成10年6月より我が国がユーゴに対して実施してきた制裁措置を解除することを正式に決定した。ユーゴにおいては10月の政権交代以来、コストニッツア政権が順調に国際社会への復帰をすすめ、政権の基盤を固めつつある。制裁の解除は、同政権のこうした方向性を後押しすることにもなろうかと思う。欧米諸国もユーゴに対する制裁解除を行う方針で一致している。一方でミロシェヴィッチ前ユーゴ大統領、及び同氏の関係者に対する資金凍結及び査証発給停止については、欧米諸国も制限を維持するとの方針であり、我が国としても国際協調の観点から、ミロシェヴィッチ前ユーゴ大統領、及び同氏の関係者に対する資金の凍結措置を確保するための措置をあわせてとることにしている。尚、我が国はミロシェヴィッチ前ユーゴ大統領、及び同氏の関係者に対する査証発給停止は、もう既に実行している。本日、こうした閣議におけるを決定したが、時あたかも、明日23日にはコスタニッツア新政権誕生後はじめてのセルビア共和国議会選挙がおこなわれる。この選挙結果についても、我々は注目したい。
閣僚懇談会(戦略的外交、閣僚の外国訪問、日韓閣僚懇談会)
(外務大臣)閣僚懇談会において官房長官からも発言頂いたが、新たな世紀を迎えるに当たって、森内閣として、閣僚各位の御協力を得ながら、戦略的というか、計画的というか外交を展開するという意図のもとに、総理の指示も頂きながら、官房長官にとりまとめをお願いし、これまでハイレヴェルの、いわゆる閣僚クラスがなかなか訪問する機会がなかった国や地域に閣僚の方々に少し力添えを頂き、手分けして重点的にこうした国や地域を訪問していただきたいということを官房長官から閣僚懇で発言いただいた。各閣僚は、年明け1月になると思うが、1月に時間的余裕のある閣僚、また我々が考えている先方との関係のある、あるいは問題を抱えている閣僚の方々に、そうした地域を訪問していただくということになると思う。今日はこうしたことを各閣僚に申し上げた。もちろん閣僚によっては、省庁の統合その他で1月は、それの整理やなにかで手が放せない方もいらっしゃるだろうし、あるいはそれ以外にも1月中に色々な行事を抱えている方もいると思うが、そうしたことを十分調整の上、実行可能な方がおられればお願いしたいと思う。総理はアフリカ訪問されるし、私(大臣)は湾岸諸国、及びロシアを訪問する。私(大臣)が聞いているところでは、法相がアジア地域を出張になる予定があると聞いているし、1月後半には、橋本大臣もヨーロッパ出張の予定があるというふうに、まだ正式ではないが漏れ聞いている。こうしたことなども踏まえて、こうした出張を展開して頂くということも考えている。
(問)他の閣僚に行ってもらいたい国にオーストラリアも含まれるのか。
(外務大臣)オーストラリアは、実は日豪閣僚会議という定期的にやるスキームがあって、日本が出かけていくという順番になりながら、今年はサミットその他で出られなかったわけである。これはいずれにせよ適当な時期に外務大臣の豪訪問は考えねばならない。
(問)他の閣僚に行ってもらいたいというのは、どういう地域を念頭においての発言か。
(外務大臣)今、調整中だからもう少し待ってほしい。
(問)毎年開催してきて、今年は日本開催のはずである、見送られた日韓閣僚懇談会はどうなっているか。
(外務大臣)今年は、ASEMがあったり、後半になってアセアンがあり、アセアン+3があり、首脳同士の行き来が頻繁にあったということもある。これはいずれにせよ行わなければならない。年を越してしまうわけだが、考えねばならない。
(問)年明け早々ということか。
(外務大臣)具体的に1月と申し上げるところまで詰めていない。
外務大臣会見記録 (平成12年12月19日(火)10:35~10:45 於:本省会見室)(外務大臣)閣議は行政改革推進本部の設置について、総理及び担当大臣からそれぞれご発言があった。2005年までをひとつの目途として計画的、集中的な実施を行うつもりである旨述べられた。総理を本部長、担当大臣が本部長代理、そして全国務大臣が参加をすると同時に人事院総裁及び公正取引委員会委員長の出席を求める。必要に応じて有識者の参加を求める、あるいは意見の開陳という考えが述べられた。
大臣のロシア訪問
(外務大臣)自分(大臣)のロシア訪問であるが、クラスノヤルスク合意の精神に基づいて2000年末までに平和条約締結のため全力を尽くすという双方の合意に基づきこれまで交渉を行ってきた。従って、自分(大臣)としては年内のロシア訪問について強い希望を持っていたが、双方それぞれの日程が合致しなかったため、結局明年1月16、17日にロシアを訪問するということで合意した。明年1月16、17日両日のロシア訪問においては、イワノフ外務大臣と会談を行うわけであるが、これはブルネイにおける日露首脳会談の際の首脳間の合意を踏まえ、この合意を実現すべく努力をしていくと言うことになると思う。11月上旬の日露外相会談、11月30日、12月1日に行われた日露専門家会合の結果を含め、これまでの日露間の話し合いを基礎として、双方外務省との間で更に交渉を行い、前進を計りたいと考えている。そして先程申し上げたようにブルネイでの首脳会談の合意を実現するための準備をしたいと考えている。
(問)大臣の年内のロシア訪問が見送られたことで、最終的に2000年内の平和条約の合意が不可能になったわけだが、こうした事態をどう受け止め、原因はどういうことだと考えるか。
(外務大臣)クラスノヤルスク合意があり、その精神に対して双方懸命な努力を行ってきたが、残念ながら四島の帰属に関する合意は2000年中にはできなかったわけである。しかし自分(大臣)はまだこの問題については引き続き話し合いをしていく、当然双方はそう考えており、なんとしても問題を解決して、四島の帰属についても答えをきちんと出して、平和条約を締結するということが双方の利益であるという点については合意があるので、今しばらくの時間を貸していただきたいと考えている。
(問)日本側として、新たな目標期限を定めるということは交渉にとって意味があると思うか。
(外務大臣)自分(大臣)は少なくとも2000年という期限を定めたクラスノヤルスク合意は、非常に意味があったと思う。そうした期限があったればこそ、非常に濃密な議論をすることができた。そういう意味で、期限を区切るというのは一つの考え方である。しかしそれについてはプラスの部分とそうでない部分があるとロシア側は考えているようである。これについては引き続き話し合いを持っていきたい。
(問)ロシア側はプラスとマイナスがあると考えているとのことであるが、日本側は期限をもうけたいということか。
(外務大臣)期限を切って交渉することで、非常に濃密な議論ができるという経験をしたと申し上げたわけある。できれば期限を切って話し合いができれば、これもまた一つの意味があると、しかし必ずしもプラス部分ばかりではないというロシア側の話もよく聞いてみる必要はある。
(問)日本側がマイナス部分として、具体的に想定しているものはあるのか。
(外務大臣)一つの目途を決めて、そこに集中するということから、精密な議論が時間が足りないばかりにできないということがあるとすれば、それは問題であると思う。
米新政権における日米関係
(外務大臣)米国ブッシュ政権は、国務長官としてコーリン・パウエル氏をあてることを発表した。自分(大臣)も心から祝意を述べるべく電報を打たせていただいた。パウエル氏はご承知の通り、レーガン、ブッシュ、クリントンのそれぞれの政権下において、国家安全保障担当大統領補佐官あるいは統合参謀本部議長といった要職を務められた。記憶に新しいところであるが、湾岸危機においても大きな役割を担われたわけである。こうした経験豊かな方と日米関係について話し合いをしていくことを嬉しく思っている。パウエル氏は受諾演説の中で同盟諸国との関係を米国外交活動の基軸にすえるということを明らかにしている。これはアジア太平洋地域においては日米双方が互いに協力し合って、日米同盟関係を強化発展させていくという考え方を持っておられるというふうに我々は受け止めており、大変心強く十分に協議を行っていきたいと思っている。先方と直接いつ会うかという時期については、まだ何の予定も決めていないが、双方の準備が整えば、今後の日米関係を相談しつつ、十分な話し合いを持ちたいと思っている。そして、アジア太平洋ひいては世界の繁栄にとって重要な二国間関係というものを作り上げていきたいと考えている。
外務大臣会見記録 (平成12年12月15日(金)10:40~10:55 於:本省会見室)(外務大臣)本日は、閣議の前に安保会議及び月例経済報告があった。安保会議は中期防衛力整備計画を審議して結論は閣議に諮って了承された。月例経済報告は先月とほぼ同様の認識と言う報告があった。
閣議の模様
(外務大臣)閣議は予定の案件を処理した。
「我が国の軍縮外交」の発刊
(問)昨日の自民党の外交関係合同会議において大臣が発表された「我が国の軍縮外交」というものに異論が出て出版が先送りなるといわれているが、そのことについてどのように思われるか。
(外務大臣)それは私どもの手続きに不十分な点があり、やり直すという事になった。
(問)それに関連して、当初の予定であれば年内に発行ということであったが、これはいつ頃になりそうか。
(外務大臣)これはまだいつ頃になるかは申し上げられない。もう少しきちんと検討したいと思う。
(問)そういった事まで与党内に根回しをしなければならないのか。
(外務大臣)今回の問題はその内容について異論があった訳ではないと思う。その内容はご存じの通り、これまでの実績を報告するという内容であり、これはこれまでの国際会議その他での発言あるいは国際会議での合意、更に我々(外務省)がどのような意向で行って来たかと言うようなことが書いてあるわけで、内容についての問題ではないと理解してる。但し、手順について少し段取りが悪かったということで、自分(大臣)はそんなに大きな問題だとは思わない。これは手順の問題であったと思う。
(問)このことに関連して、これからはあらゆる問題を全て党(与党)の方で諮って行くことになるのか。
(外務大臣)これまでも諮ると言うよりは、事前に説明をするということはしばしばあったわけで、日々外交については、政府の専管・専攻事項であるので外務省として判断をして遂行をしていくことは当然のことである。
外務大臣のロシア訪問の日程
(問)大臣のロシア訪問の日程はいつ頃になるか。
(外務大臣)ロシア訪問については、私どもの方は、準備は出来ていると先方に伝えており、先方と日程調整を行っている段階である。双方それぞれの大臣が動くので、なかなか双方がモスクワで会えるという日程を取るのに時間がかかっているという状況である。作業中であると理解して頂きたい。
(問)年内も残りわずかであるが、来年にずれ込む可能性はあるのか。
(外務大臣)それはまだ分からない。先程申し上げた通り作業中である。
(問)昨日の報道各社のインタビューにおいて、橋本大臣が領土問題について国境を確定した上での二島先行返還が、結局、二島で終わるなら容認出来ないというような発言をされていたが、こういった話は閣内でも橋本大臣と総理もしくは河野大臣と話をされているのか。
(外務大臣)これはくり返し申し上げているが、我が国政府の基本的な考え方は四島の帰属を解決してから平和条約を結ぶと言うことが基本的な考え方であるので、その考え方は内閣として皆が了解しているということである。勿論、橋本大臣もそういうことを言っておられると思う。
(問)皆が了解しているということは改めて議論しないということか。
(外務大臣)基本的な考え方であるので、議論をすべきことではないと思う。
(問)橋本大臣と個別に協議を行ったか。
(外務大臣)橋本大臣とはよく話をしているので、色々な話をするが、問題を提起してテーブルを挟んで協議したということではない。橋本大臣は元総理であるから十分に理解されている。
(問)閣議後、橋本大臣と残られて「領土問題」について話をされたのか。
(外務大臣)本日は一般的な話をしただけである。
普天間基地の移転
(問)昨日、米国の新政権がはっきりしたわけであるが、新政権になって沖縄の普天間の移転のスケジュールが変更される可能性について大臣はどのように考えているか。また、その件について橋本大臣と分析されているか。
(外務大臣)いいえ。新政権とは言うものの国務長官も国防長官も決まっていないので、現在は依然として従来のスタッフがされているわけであるから、今直ちにそういう影響があるとは思っていない。しかし、ご承知の通り共和党に近いに人たちが色々集まって研究をされたと伺っている。米国というのは色々なシンクタンクみたなものがあって色々な研究があるから、その中のどれをとるか、あるいはそういった物が影響を与えるか否かをこれから良く見ていかなくてはいけないと思う。新政権にその考え方を我々が聞くというか知るというか、そういった作業はしなくてはならないと思う。
外務大臣会見記録 (平成12年12月14日(木)11:30~ 於:本省会見室)(外務大臣)先程ゴア副大統領がテレビ演説をされ、自らの敗北を認められ、ブッシュ知事の当選をお祝いするとの発言が行われた。間もなくブッシュ知事ご自身の会見も行われるものと思われるが、これによってブッシュ知事の当選が確定をしたと考えるので、会見をさせていただく。まず最初に、私(大臣)は今回のゴア副大統領の決断は大変難しい決断であっただろうと思うが、同じ政治家として国民の和解の精神を重視し、米の民主主義のために尽くそうとするこのゴア副大統領の決断・発言を高く評価し、敬意を表したいと思う。この副大統領の発言は国家の将来を考え、指導者の発言というふうにも私(大臣)は受け取っており、敬意を表したい。ここにブッシュ知事が米の次期大統領に当選をされたことを心からお祝い申し上げたいと思う。ブッシュ知事はテキサス州知事として、卓越した指導力を発揮してこられたと承知をしており、今後、円滑に政権移行が図られることを期待をしている。これも、先程のテレビ演説等を伺うと、早急に実現をするものと思われ、確信をしている。(ブッシュ知事は)、様々な課題に直面をしているこの21世紀の国際社会においても、優れた指導力を発揮されることを期待している。日米関係については、選挙戦の中でも日米同盟関係というものをしばしばその強化にふれた演説をしてこられた。我が国にとっても、日米同盟関係というものは、繰り返し申し上げているように、外交の基軸でもあり、アジア・太平洋の安定と平和の要であるというふうに考える。今後の国際社会が様々な問題に直面をする中で、米の役割は引き続き重要であると考える。我々としても新政権との間に緊密な協力関係を構築して、アジア・太平洋さらには世界の平和と繁栄に貢献をしてまいりたい。心からブッシュ知事の当選にお祝いを申し上げたい。
(問)ブッシュ新政権となり共和党政権になるわけだが、現時点ではまだ言えないことも多いだろうが、今後の日米関係とか、米の対外政策全般をどのようにみてるか、また期待しているか。
(外務大臣)まだ、大統領として、これからそのスタッフを選考されて、これから作り上げるところであるから、具体的なことを申し上げる段階ではないが、先ほど申し上げたように、ブッシュ知事は大統領候補としても、しばしば日米の同盟関係の強化という点にふれてこられた。また、過去の実績をみても、共和党政権の政策は、我々としては承知をしているから、先方(米)が新体制が整えば十分に話し合いたく準備をしたいと思っている。
(問)新大統領の選出に時間がかかったことが、新体制の弱体化につながるのではないかとの見方が出ているがどうか。
(外務大臣)これも、これからブッシュ大統領の演説の中にふれられるかも知れないが、ゴア副大統領演説の中には、自分たちは米は弱体化しているのではないとはっきり言われている。党派の争いではなくて愛国心、国を大事にしていかなければならないということを説かれた。私(大臣)はこの精神というものは多くの米国人が持つ気持ちだと思う。そういう意味で私(大臣)はこれが弱体化につながるとは思っていない。
(問)来年1月20日に就任式が行われるが、早い段階での外相自身の訪米あるいは総理の訪米、これからの外交日程にのせる可能性はどうか。
(外務大臣)日米関係を考えれば、米側の新体制が整えば、双方の都合のいい時期に首脳同士の会談が行われる、あるいは国務長官、外務大臣レベルの会談が行われるのが望ましいと思っているが、今の段階ではいつになるかとは言えない。
(問)首脳あるいは外相レベルでどういったテーマについて米側とすりあわせをしたいと考えるか。
(外務大臣)基本的には米新政権が何を重点にしているかをよく伺わねばならないが、現在の日米関係は特定の問題、それから日米間だけの問題しか話題がないわけではない。現在の日米関係は相当グローバルな問題についても話し合うだけの双方の関係ができあがっているし、双方それぞれに役割を果たすという気持ちもある。例えば、アジアの問題もそうだし、それはただ単にアジアだけではなく、もっとグローバルな問題についても話し合うということも十分あり得る。
(問)ブッシュ政権になり、日本に対して安全保障面での役割についてより一層の強化を求められるのではないかとの見方があるがどうか。また、沖縄の問題は、新政権になって、外務大臣としてどう取り組んでいくか。
(外務大臣)あまり急いで考えない方がいい。これからじっくり考えていく。米の考えも固まっていくだろうから、それに対応していく。
(問)一連の混乱の経緯をどう見ていたか所感を伺いたい。つまり、米の民主主義の強さを見せてきたのか、あるいは逆なのか。一方で急速に進むと見られていた朝鮮半島を巡る動きが一時的にしぼんで、一方で米がこうした混乱状態になっても何かの軍事的緊張がどこかで起こることもなく、現在の世界の様子の一面をみせた騒動だったようだが。
(外務大臣)5週間にわたるこうした時間の経過はあったが、最終的に共和党・民主党双方が、米を考え、米が果たすべき国際社会の役割を考え、しっかりとひとつになるということを明確にしたというのは、大激戦の決着としては強い意志を感じた。しかも混乱とは言うものの、ルールを無視したものではなく、ひとつひとつがルールにのって物事が進んでいく、しかしそれによって時間が必要ではあった。
(問)ブッシュ陣営はこれまでクリントン政権が日本軽視・無視という対日政策を非難してきたが、大臣はこれまでの発言をどう総括され、今後の共和党政権に何を期待するか。
(外務大臣)クリントン政権が日本を無視したとか軽視したとは思っていない。十分に米も問題によって日本の役割を期待していたし、そのために日米関係の連絡が極めて緊密に行われていたと思っている。選挙だから色々なことをお互いに言い合うことはあると思うが、これまでの日米関係が軽視された、無視された日米関係だとは思っていない。今後、日本が国際社会にどういう役割を果たすか、それについて米とどう協力していくかという問題については、むしろ我々も米に対して提案をし、主張することは主張する、米もそれに応えるというそういう関係もできてくるだろうと思う。
外務大臣会見記録 (平成12年12月12日(火)10:25~ 於:本省記者会見室)(外務大臣)ご質問を頂く前に、自分(大臣)からフジモリ前大統領の国籍問題について、1点発言させていただく。
我が国政府は、フジモリ前大統領が期間未定としながらも当面我が国への滞在を希望していることを受けて、その在留資格につき検討してきた。その一環として日本国籍の有無につき調査をしてきたところ、今般我が国の関連法規に照らし、日本国籍を有することが法務省により確認された旨の連絡を受けた。このことにより、同前大統領の我が国滞在について法的問題は存在しないことが確認されたことになる。フジモリ前大統領の辞任を巡り、ペルーにおいて種々の動きが見られることは承知しているが、本件はペルーとフジモリ前大統領との間の問題であり、我が国政府が関与すべき立場ではないと考えている。本件に関連し、ペルー政府より我が国政府に何らかの要請がある場合には、我が国国内法に照らし対応を検討することとなると思う。
なお、これまでも申し上げているが、我が国はペルーの憲法に則り民主的に成立した同国政府を支持するという立場であり、今後とも、同国よる民主化及び各種社会開発への努力については、引き続き支援していく考えである。自分(大臣)の方から申し上げることは以上である。(問)フジモリ前大統領から、今後どうしたいのか等の表明はあったのか。また、仮にペルー政府から身柄の引き渡しを求められた場合に日本政府としてはどのように対応するのか。
(外務大臣)先ほど申し上げたとおり、フジモリ前大統領の意思、考え方を我々としては考えなくてはならないが、長い将来どうなさるかということは自分(大臣)は聞いていない。また、身柄の問題については、はっきりと日本国籍を有している、つまり日本人であるということであるから、日本の国内法令に照らして行うべきであると考えている。
(問)フジモリ前大統領は日本国籍を有しているが、ペルーの国籍も有している。二重国籍の問題はどうなるのか。
(外務大臣)ペルーの国籍の問題は我々が申し上げることではない。
(問)今回、(国籍が)確認されたことについて、いつ、誰からフジモリ前大統領に連絡をしたのか。また、その時のフジモリ前大統領の反応如何。
(外務大臣)法務省が行うものと承知。
(問)日本人として日本に滞在する場合に、ペルー国籍を持ったまま滞在することは問題はないのか。
(外務大臣)我々は二重国籍かどうかを申し上げる立場にはないのであって、フジモリ前大統領が日本国籍を有しているいうことで、日本の国内法に照らしてこれからは対応するということである。
(問)法務省からは、何日付の文書で連絡があったのか。また、ペルー政府から身柄引き渡し要求があった場合に、国内法とは「逃亡犯罪人引渡法」であると考えるが、(右法規によれば)日本人は引き渡しが出来ないとなっているが、そう解釈して良いか。
(外務大臣)法務省からの連絡については、後ほど事務的に連絡をさせて頂く。(その後貼り出しとして、「法務省より12月11日付文書をもって、同日夕刻、当省に連絡があった」旨連絡。)また、日本とペルーとの間にはそうした引渡しの二国間条約はない(ので、そう理解していただいて結構である。)。
(問)再度お伺いするが、今後フジモリ前大統領がどうしたいかということは、外務省としては聞いていないということでよいか。
(外務大臣)フジモリ前大統領の今後については、現時点では日本に滞在することは法的に問題がないことが確認されたわけである。これを踏まえてフジモリ前大統領が今後具体的にどうしたいかは、我々は承知していない。
日露関係
(問)大臣は最近、いろいろなところで「四島一括返還の方針は変わらない」と言われているが、これに対してロシア側から、「日本側は原則論に戻るのか」というような問い合わせがハイレベルな外交ルートで来ているようだが、これについてはどうお考えか。
(外務大臣)自分(大臣)は先般の記者会見、また最近九州でもそういった発言をしているが、もう一度正確に申し上げておきたい。我が国政府としては四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの立場に立っており、この立場、考え方は全く変わっていない。自分(大臣)としても11月の日露外相会談ではAPECの首脳会談を成功させるための良い準備をしたと、モスクワの会談では申し上げたと思う。この基本的な立場は繰り返し申し上げているものである。正確にご承知おき願いたい。
(問)「四島一括返還」と「四島の帰属問題を解決してから平和条約の締結する」というのは差があると思うが。
(外務大臣)四島の帰属問題を解決して、平和条約を締結するというのが我が国の一貫した原則、主張である。
(問)大臣や官房長官がこれまで何度か「四島一括返還の立場は変わらない」と発言されているがこれは間違いであるのか。
(外務大臣)自分(大臣)はどこかでそういったことを申し上げただろうか。みなさんのご記憶をたどっていただきたいと思うが、「四島の帰属の問題」ということをずっと申し上げてきたつもりである。
(問)官房長官や総務庁長官(組閣前であるが)と、外務省の立場とは違うということであるのか。
(外務大臣)「四島の帰属」ということを申し上げているのであって、その「四島の帰属」についての希望というか個人的な考えはあったかと思う。一言申し上げておけば、自分(大臣)もどこかで一度「一括返還」ということを申し上げたことがあると注意をいただいたが、自分(大臣)の主張は、我が国の外交方針は四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということである。これは国会答弁でも一貫して申し上げている。
(問)四島の帰属問題を解決して平和条約の枠内で、二島先行返還ということも考えているのか。
(外務大臣)これまでも様々な議論をしているが、我が国の考え方が先方の理解を得られるよう努力をする、ということが重要だと思っている。
(問)先週開かれた「サハリンフォーラム2000」という会合の場で、木村汎教授がプーチン大統領の名をかたって、「プーチン大統領は二島返還を餌に平和条約締結を目指している」という文書を出席者に配った。その行為に対してロシア政府が日本大使館に対して抗議をしてきたという事実があるが、報告は受けているか。
(外務大臣)民間の学者の方の話であり、これは外務省が関知するところではないが、今お話のようなモノの書き方、言い回しについてはロシア側の相当高いレベルから不快感が表明されているということは承知している。自分(大臣)としては、日露関係が改善の方に動いている非常に重要な時期であるから、一般論として申し上げれば、オピニオン・リーダー的な存在の方から相互理解、考え方に水を差すような発言というのはいかがなものかと思っている。自分(大臣)としてはむしろ、両国関係というのが健全な形で進むような発言が望ましいと思っている。これは先程申し上げたように民間の方の発言であるから、それについて我々がこれ以上のことを申し上げるのはいかがなものかと思う。また事務当局にはもう少し詳細を調査するように指示はしている。日露間というのは今、クラスノヤルスク合意その他を踏まえて両国関係を改善するための努力がなされているわけで、そのためには様々な考え方、様々な場面での努力が必要になってくるはずである。これまでも、先輩もそうであったし、自分自身も苦心をし苦労をし、そういった苦心苦労を積み上げながら難しい交渉を何とかして解決に向けて動かしたい、そう考えているわけである。先般のモスクワ訪問の際にもロシア側に対して、様々なアイディアを出して最大限の努力をしていかなくてはならないと申し上げてきたところである。
(問)大臣のロシア訪問については、年内を視野に入れてとの先の状況から変化はあるのか。
(外務大臣)年内を視野に入れてと前々から申し上げていたが、その根拠はブルネイにおける首脳会談での両国首脳がイルクーツク訪問ということで合意したということを受けて、その準備という意味もあるため、自分(大臣)はそう申し上げてきたわけである。自分(大臣)としては今でもロシア側が受け入れるのであれば、もちろん年内にも行く用意はある。ただ、ずっと申し上げているが外交日程であるから先方外務大臣にもいろいろと日程があるだろうし、そうしたことについて両国事務当局が協議をして、双方の都合のいい時期を見つけなくてはならない。ただ自分(大臣)の方からは、これまでの首脳レベルの話もあるし、行く用意はあると先方には伝えてある。先方からもそれを受け入れる準備ができれば、いつでも実行できるということになっている。
(問)現状ではロシア側は年内は難しいと伝えられてきているのか。
(外務大臣)今協議をこちら側からも呼びかけており、結論が出ているとは承知していない。
外務大臣会見記録 (平成12年12月8日(火)10:30~ 於:本省記者会見室)(外務大臣)今朝は閣議の前に安保会議、閣議の後はWTOに関する懇談会があった。いずれも結論を見ているということではない。それぞれが、それぞれの立場から発言があった。安保会議及びWTO懇談会に関しては、官房長官からまとめて発言があるので省略させて頂く。閣議は予定された議題が了承された。
外務大臣会見記録 (平成12年12月5日(火)21:30~ 於:本省会見室)(外務大臣)今回の改造にあたり引き続き外務大臣を務めるように指示があったので、お引き受けした。クラブの皆さんには引き続きご鞭撻を頂きたい。
今後の「河野外交」
(問)引き続き外交をになわれることになったが、「河野外交」とは何かということをご自身で定義していただきたい。
(外務大臣)自分で定義することは非常に難しいことではあるが、自分(大臣)が心がけていることは、その目的とするものは、ひとつはアジア・太平洋、つまり近隣諸国との関係をより良くするということが重要であると思っている。中身はすでにご承知であると思う。二つ目は軍縮・不拡散である。これは日本外交の極めて重要な主張でなければならないし、その主張を実現するために努力をしなければならないと思う。三つ目は文化あるいは芸能・芸術。そういったものをお互いに理解し合える国と国との関係というものを大事にしていきたいと考えている。そうしたことを目的にこれからも外交に取り組みたいと思っているが、それらを進めていく上で、最も大事だと思うことは信頼である。自分(大臣)は信頼を非常に大事な柱として外交活動を進めていきたいと思っている。
日露平和条約交渉及び総理、外相訪ロ
(問)ロシアとの平和条約締結交渉であるが、先のモスクワでの専門家協議を踏まえ、外相及び総理の訪ロということになると思うが、今のところの見通しについて伺いたい。
(外務大臣)クラスノヤルスク合意があり、日露間は大変に精力的に平和条約締結のための努力、つまり四島帰属問題について議論をしている。ご承知の通り総理・プーチン大統領との会談も繰り返し長時間わたり行われており、自分(大臣)とイワノフ外相との間のやり取りも数次にわたって行っている。また、専門家、事務レベルと様々なレベルで協議が行われており、なんとか20世紀中にということで、懸命に作業が行われている。残された日数はそう多くはないが、残された日数の中で更に作業を進めたいと思っている。従って、先般の局長レベルの協議を踏まえて、帰国した人から報告を聞き、詳細に分析を行っている。年内訪ロを視野に入れて、その時期について考えなければならないと申し上げるべきであると思う。これは先方のイワノフ外相も日程的にいつでも良いというわけにはいかないので、わが方も検討が終わり、準備ができ、なおかつ先方との間に会談の時期その他の設定が進めばと考えている。自分(大臣)の心づもりとしては年内も視野に入れて訪ロについて考えたいと思っている。当然のことではあるが、総理によくご説明をして、総理の指示もいただき進めたいと考えている。
(問)大臣の訪ロに関して、年内も視野に入れてということであるか。
(外務大臣)裏返せば、年内はないということではない。
(問)年内とは限らないという意味でもあるのか。
(外務大臣)然り。年内とは限らないが、年内かもしれないということである。
(問)年内とは限らないということは、大臣が訪ロしなければその後の総理の訪ロも無いということであるか。
(外務大臣)総理のイルクーツクでの首脳会談については、ブルネイで首脳会談を既に行っているわけで、後は、その時期をいつにするかということである。その時期が意味のある時期でなければならないと考える。その首脳会談の意味をどのように持たすかというために、現在、一生懸命作業しているという状況である。従って、ここは本当に年内はあるとか無いとかは申し上げる場面ではない。年内もあるかもしれないし、あるいは年を越すかもしれないと言うことである。
(問)クラスノヤルスク合意は、年末までと言うことで、仮に年を越したもそれが一ヶ月とか二ヶ月という話であれば、そこにこだわる必要はないという意味か。また、年内に他に何かしらの形をつくらなけば行けないと考えているのか。
(外務大臣)現在懸命に作業しているわけであるから、その作業を出来る限りやって行きたいと考えている。
日朝国交正常化交渉
(問)日朝国交正常化交渉であるが、10月末に行われた第10回本会談から次の交渉の日程も確定していないが、その辺の見通し及び打開の模索というのはどのように考えておられるか。
(外務大臣)打開とおっしゃるが、別にデッドロックに乗り上げているわけではない。先般の会談のなかで、次回は双方の準備が整った時点で次の会談を行うということになっているわけで、先方も準備があると思うし、わが方にはわが方の準備があるので、こうした準備を整えて次の会談に臨みたいと思っている。その会談がいつになるかということを申し上げる段階には来ていないのが現状である。
沖縄米軍基地問題
(問)橋本元総理が沖縄・北方担当相になられて、米軍の普天間基地の移設問題は今後は橋本大臣を中心に行われていくのか。
(外務大臣)基地の問題は防衛施設庁が具体的な作業を行わなければならないし、日米関係については外務省がやらなけれならない。ただ橋本大臣は何といっても普天間移設の時の首脳会談で合意をした当事者でもあられるわけであり、しかも今回は沖縄担当になられたので、その大臣の力を借りるということは当然のことであると考える。
外務大臣会見記録 (平成12年12月5日(火)10:30~ 於:本省会見室)(外務大臣)今朝の閣議において辞表を提出してきた。辞表は全大臣の辞表が取りまとめられた。総理から「改革に向けて一緒に努力ができた。20世紀の締めくくりを担当することとなったことを自分(総理)としては、 皆さんと一緒に仕事が出来たことを喜んでいる」旨の発言があった。また、「続総務庁長官、扇建設大臣 には連立に参加をしていただき、(連立を)支えていただき感謝する」旨の挨拶があった。今朝の閣議は 以上の通りであった。
質疑応答
(問)節目として、大臣在任中の期間の中で一番力を入れたこと、印象に残っていることを1つお教えいただきたい。
(外務大臣)外交問題を担当しているので、一つ、二つというわけにはいかない。世界中で様々な問題が起こっており、それについてできる限りの日本の立場、日本が行える国際社会に対する貢献を考えてきた。
対中国・対韓国等近隣諸国との関係も自分(大臣)なりにできる限りの意をつくしてきたつもりである。また、まだまだ緒についたばかりであるが対北朝鮮もあり、こうした近隣諸国との関係等十分注意を払って進めていかなければならない問題もあるが、これについて自分(大臣)としては懸命に努力してきたという自負は持っている。
また、ASEANの国々との間で、外相レベルであるが、かなり十分な意思の疎通が図れるようになってきたと思う。ASEANの国々は経済的な問題、政治的な安定の問題等それぞれが抱えている問題があるが、それに対して日本のサポートを必要としており、更にそうしたことが続けられれば良いと思う。
なんと言っても一番大きな柱は日米関係である。これは沖縄サミットを中心として日米間が十分お互いを理解し、配慮すべきところは何かということについてお互いを知ることが出来たと思っている。
日露の問題についてはクラスノヤルスク合意があるので、それに従って懸命に努力してきたつもりであり、この努力はまだ続いている。森総理とプーチン大統領の関係を考えても、更に突っ込んだ話し合いが出来る可能性が十分あると思っている。
国際社会の中では中東問題、或いはバルカン問題、これは欧米諸国の最も関心が高く、国際社会としても十分考えなければならない問題である。これらの問題についてもヨーロッパの国々から日本に対する期待が寄せられており、これは単なる期待ではなく十分日本からも意見を聞くという姿勢が出てきている。
外務大臣会見記録 (平成12年12月1日(金)09:35~09:45 於:本省会見室)(問)ロシアでの協議に関し、二島返還論について日露間で立場が違っているとの報道が出ていたりしているが、これについて、どのような報告を受けて、大臣はどのようにお考えか。
(外務大臣)昨日・今日とまだ議論が続いているので、まとまった報告は受けていない。まだ、話し合いはまだ続いているということである。
(問)前に、二島先行返還論というのがあり、それについて大臣は提案されていないと述べていたが、56年宣言の解釈の違いについてズレがあると報道され、大臣も承知されていると思うが、これについてどう思われるか。
(外務大臣)56年宣言についても今回少し議論をするかもしれない。それについても先方から何から話があれば、協議の中に入っているかもしれません。日本側は、これまでもプーチン大統領との首脳会談等をうけて、これについてはそれなりに、歴史的な事実としてきちんと受け止めている。我々の方からこれについて解釈の違いがあるというような気持ちは持っていない。
(問)ロシア側の見方として、四島問題の話し合いをするなら四島は終わっているけれども、二島にするならそれは最終決着であるという報道もあるが、どう考えるか。
(外務大臣)ロシア側がどういう言い方をしているのかまだ報告を受けていないので、今回の協議の中でロシア側が平和条約へのプロセスをどういう風に考えているのかまだよく分からない。個別細切れにここはどうだ、これはどうだという議論は今はあまり意味がない。
(問)大臣ご自身イワノフ外相と領土問題について突っ込んだ話をされてきたが、その過程で56年宣言について、どうも先方の解釈は違うという風に感じたことはこれまであったか。
(外務大臣)いろいろな話をして、まだまだこれから今申し上げたようにどのように一つにまとめていくかはこれからの話であるから、この時点で評価をしたり、どこが違う・違わないという話をすることは私は今控えさせてもらう。
防衛庁の防衛省への格上げ
(問)防衛庁が防衛省に昇格した場合、安全保障政策が防衛省の方で議論されるようになるという見方もあるが、どう考えるか。
(外務大臣)これは今いろいろ与党の中でも議論があるということは聞いているが、行政改革の中で、今回は防衛庁のままでいくということで話は一応の決着をみているという風に聞いており、それ以上のことを私、外務大臣が申し上げることは適当でないと思う。
フジモリ・ペルー前大統領の動向
(問)フジモリ・ペルー前大統領に関し、火曜日の閣議後の会見でいくつかご説明頂いたが、その後の推移と現状を伺いたい。
(外務大臣)フジモリ氏については将来はともかく現在どうしたいのか、例えばどこかへ出国したいと考えているのか、あるいはもう暫く日本にいたい、その日本に留まりたいという気持ちが何かをするための準備の期間だけ滞在したいのか、まだどういうことなのかはっきりしていない。そうしたご自身のご希望をよく確認した上で、我々としてはできるだけ速やかに一つ一つの問題をクリアしたいと思う。
(問)前回の会見に於いて保岡法務大臣はフジモリ氏の取り扱いについて外交上の問題であると述べたが、国籍の判断についても外務省の判断を重視しているようだったが、どうお考えか。
(外務大臣)繰り返して申し上げるが、国籍の問題は法務省の問題であることははっきりしている。これは法務省も認めている。この作業は法務省でやらなければ外務省はできない訳であり、このことは法務省でやって頂かなければならないと法務大臣に直接話をしたし、法務省もそう言う風に受け取っている。法務省があの時述べたのは、どういう風に、どの時点でやるか、明らかにするかは外交的問題があるとすれば相談しながらやらなければならないといことだっだ。これは国籍の問題はあくまで一義的には法務省が確認することができる役所であるということを申し上げた次第である。
(問)一義的には法務省の問題であるが、相談をしながら一つ一つの問題をクリアしたいということは、何らかの政治的決断もありうるということか。
(外務大臣)これは川島次官からも申し上げたが、これは政治的にというよりも法律的に処理をするということが大事ではないかと思っており、法律的な処理を一つずつ確認をして進めていくことがこの際は重要であると考える。
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