外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 外交政策 過去の記録
過去の記録



第2章 国別計画の促進


 国際Y2K協力センターは当初から、その使命の成否は各国調整官の手にかかっていることを認識していた。世界各国で積極的なY2K問題対策を促進することがセンターの最初で最大の目標であった。各調整官が自国の対処を成功にうまく導けるよう各国の調整官に情報・人脈を提供し、支援することが、最優先事項であった。究極的には、国際Y2K協力センターのすべての活動がこの目標を達成するよう組み立てられていた。

 最初の業務は、可能なかぎり多数の国の調整官を特定し、結びつけ、調整官が最善の活動ができるようにすることなどであった。国際Y2K協力センターが業務を開始した1999年2月の時点では、センターは世界銀行の業務と98年12月の国連会議の参加者に提供された情報をもとに築かれた。しかし、この最初の国連会議に参加した120ヵ国のそれぞれで、問題認識の程度、対応の進捗状況は異なっていた。
 国際Y2K協力センターは、地域の機構や各部門の専門家に支えられ、人脈と電子的なコミュニケーションを使用し、現状の対応を強化し、出遅れた国をスピードアップさせた。

人的つながり

 「Y2K問題が世界に与えた教訓の核心は、あらゆる相互関係が成功の生命線であるという点である。個人同士の関係、組織同士の関係、国同士の関係は、それぞれが直面する課題に対し求められるものを支えうるほど強力でなければならない」…ジョン・スミス(ケニアY2K対策チーム)「Y2Kの教訓と未来への道路地図」

 国際Y2K協力センターは、各国国連代表部、各国大使館及び世界銀行と協力して、各国でもっとも適任な調整官を特定し、それぞれの積極的な参加を確保した。その後、国際Y2K協力センターのスタッフが直接、調整官と連絡し、センターの目的と活動を説明し、連絡先情報を確認した。国際Y2K協力センターは電子情報のネットワークを作り、各国の調整官とその代理がオンラインで登録できるようにし、それぞれの姓名、肩書き、事務所、住所、電話・ファックス番号、電子メールアドレスを提供した。この最初の電子情報収集作業によって、国際Y2K協力センターは人脈、経験及び各国調整官のインターネット使用環境を特定することができた。加えて、各国調整官に現地時間の正午に気象情報を提供するよう求め、報告に要する実際の時間を推し量ることができた。

 必要なすべての連絡先情報を得たのち、各国の調整官は、カマル大使の電子メールリストに加えられた。国際Y2K協力センターがメールリストの管理を開始した1999年3月の時点では、120ヵ国の代表が登録されていた。順調に進んだ電子ネットワーク登録と会議で集められた連絡先情報の結果、1999年6月の国連会議までには、メールリストには180ヵ国以上の代表名が掲載されていた。

 国際Y2K協力センターは、各国の調整官、経済界リーダー、Y2K問題専門家の間の連絡の緊密化をはかった。地域会合や全体会議あるいは電子メールを通して、各国の調整官はそれぞれの経験を共有し、相互依存に対する理解を深め、多くの場合、Y2Kによるリスクはおもに外部からの影響で、一部の国が他の国のY2Kリスクの命運を握っていることを認識した。国際民間航空機関(ICAO)といった各部門の国際機関のトップがリスクを特定し、早期の適切な対処を促した。最後に、Y2K専門家サービス(YES) の技術専門家が、修正、危機管理計画及びイベント・マネジメントに関する相互の知識を交換した。

 相互に協力しつつ作業を進めた各国は、それぞれの国の内部及び外部で発生すると予測されるリスクに基づいて、それぞれの計画を構築した。各国は近隣諸国と共同で危機管理計画を立案し、結束を固めた。たとえば、ホンジュラスとニカラグアは、一定期間、特殊な状況のもとで近隣のコスタリカとパナマに電力を依存しており、2000年に日付が変わる時に、両国が送電線への接続の遮断を、あるいは供給の増加を計画しているかどうかを知る必要があった。不測の事態はいずれも、電力の急変、供給停止を引き起こしかねなかった。これらの国は協議を重ね、共同でエネルギー部門の危機管理計画を策定し、問題を回避した。

 国際Y2K協力センターは、個別会合、地域会合、全体会議を通じ、また電話会議や電子メールで、各国の調整官との個人的な連絡を密にした。各国の調整官は政府の、ある場合には民間部門のさまざまなレヴェルに所属しているため人的つながりが重要であった。彼らの技術経験、管理経験、Y2K問題の経験のレヴェルは異なっていた。こうした経歴の相違を考慮し、国際Y2K協力センターのスタッフは、できるだけ多数の調整官と個人的な親近感を築き上げるよう努力し、調整官同士でもつながりができるよう努力をした。会議での顔を直接合わせた対話は、後の電子メールや電話による会話などで強化され、信頼感の堅固な基礎が作られた。こうした信頼関係により、機微を要する重要で高度な情報が得られ、共有でき、危機管理計画や緊急時対応計画が効果的なものとなった。国境をまたいでプロ集団の信頼と友好関係のネットワークができたことが、世界的なY2K問題の取り組みにおける今までにない成果であった。

世界的な電子コミュニケーション

 国際Y2K協力センターが各国の調整官を支援するのに使用した主な手段は、電子メールリストで、リストの全員がこれに書き込めるというものであった。180ヵ国の調整官とその代理者及び、ICAOなどの専門国際機関が電子メールリストに登録されていた。国際Y2K協力センターとリストの400名強に対するメール項目は次のとおりである。

 Y2K専門家サービス(YES)も、特定の問題や各国調整官の関心事項の調整に電子メールを使用し、マスターリストの一部を使った。各国の調整官は、オンライン上の専門家に対して、発電機の対応状況に関することからリアルタイムの時計とコンピュータ機能の関係に至るまで、あらゆる質問をすることが可能で、その解答をただちに得ることができた。

 電子メールの利用以外に、国際Y2K協力センターのホームページは各国の調整官が必要とする情報、ツール、連絡先を提供し、貴重な時間の節約に貢献した。掲載されているツールやテンプレートが正確で適切であることを確認したうえで、国際Y2K協力センターは、100件近い質の高いY2Kのサイトへのリンクを設け、これらを各国の調整官に勧めた。修正、埋め込むチップ、危機管理計画、緊急対応計画などに関する合計100近いツールやテンプレートが国際Y2K協力センターのホームページで利用できた。さらに、ホームページは、20以上の主要な組織とリンクされており、各国の調整官が最も適切な専門国際機関と連絡がとれるようになっていた。またホームページは重要部門についての情報提供の場としての役割を果たした。これについては第五章の「公開情報の共有」の項で詳しく述べることとする。

 最後に国際Y2K協力センターは、地域や部門ごとの特定の問題に対処するため各国や各地域との電話会議を幅広く利用した。ワークショップを計画し、メディア戦略を立案し、危機管理及び緊急対策計画を点検するのに電話会議が使われた。これらの電話による会議は世界各地の関係を強化し、相互の尊敬と信頼感を高めた。

 もちろん、すべてが電子メディアでなされたわけではない。地域会合及び全体会議では、リスク軽減冊子、危機管理計画CD-ROM、地域対応策ひな形などY2K問題に関する質の高い資料が各国調整官に無料で配付された。

地域支部

 1998年12月の国連会議において、参加者は相互調整を促進するため八つの地域支部をつくることを決定した。個人間の関係を発展させ、最善の方法を共有化させるため国際Y2K協力センターは、世界銀行の支援を得て、45の地域会議を開催した。初期の会議は意識の啓発、地域部門と作業部会の組織化、Y2K問題の専門家との討議に焦点があてられた。後半に入ると、会議は、危機管理計画策定努力を促し、各国間又は各部門間にまたがる問題に対処し、各国、各部門、各地域、世界レベルで最終的なイベントマネジメントを作った。

 各地域には地域調整官が配置された。地域調整官と地域支部は、対応状況に関する情報を発信し、議論するための要点を提供し、それを地域独自の必要性に応じて修正した。多くの地域がホームページを作った。各地域調整官がその地域と地域独自の必要事項をもっともよく理解していた。 地域調整官の発言が全体会議においてもっとも重要であった。また地域調整官は、報道機関に地域の活動や準備の正確な状況を説明するのに重要な役割を果たした。

 特定の地域の活動は第三章「地域協力への支援」で詳しく述べることとする。

セクター別専門知識(Sector Expertise)

 各国のY2K調整官の経歴はきわめて多様であった。彼らがこの仕事についた時は、現代社会がどのように機能するかについてどれほどの量を学ぶこととなるのかおそらく誰も見当がつかなかった。事実、Y2K問題がかかわるであろう全領域にわたる専門家は誰もいなかった。
 多くの国において、各国調整官は最初に政府サービスの提供にかかわる問題について調べ直した。政府関係者として、これは当然の第一歩であった。しかし、全員がすぐに、自国の重要な経済部門のY2K問題の対応状況にもっと関心を払うべきであることに気付いた。エネルギー、電気通信、航空・海上輸送などこれら重要部門において、各国の調整官は、すでに始められている作業にてこ入れする必要があった。また、それぞれの供給事業者を、自国及び世界全体のY2K問題の取り組みに組み入れる必要があった。各国の調整官を援助するため、国際Y2K協力センターは、各セクターの既存の組織と各セクターの専門家をY2K問題の地域会合及び全体会議に招いた。その目標は、各国の調整官が自国において重要部門の提供事業者を円滑に組織化できるように、各部門のY2K問題によるリスクに関する十分な情報と、進行中の国際的な取り組みの性質についての十分な情報をそれぞれ調整官に提供することであった。また、国際Y2K協力センターは、YESボランティア組織やインフォデブ計画による資金で派遣された技術援助チームなどの形で、各国の調整官に直接に各部門の専門家を投入した。

 特定の部門での活動は第四章「各部門間協力の強化」で詳細に述べることとする。

結果

 各国調整官の熱心な職務遂行がY2K対応が成功裏に終わった主な理由である。多くの場合、それぞれの政府の上司の支援、あるいは民間部門の支援を当初はほとんど受けずにその職務を与えられながらも、献身的に勤務した調整官に奉仕できたことは国際Y2K協力センターにとって名誉なことであった。この成功は、彼らが難局に対処し、世界的なパートナーシップの一端を担い、Y2Kバグに打ち破った彼らの力量と柔軟性の証しである。

BACK / FORWORD / 目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省