第2節 成長の加速化

1. インフラの整備

アフリカにおける成長の加速化を促すためには、道路網や電力網に焦点を当てた広域インフラの整備が重要です。G8プロセスから生まれ、アフリカのインフラ開発について議論する代表的な枠組みであるアフリカ・インフラ・コンソーシアム(ICA)の第4回年次会合が2008年3月に東京で開催された際に、日本は、アフリカ全体に広がりを持つ広域インフラとして道路網および電力網の重要性を指摘し、議論を主導しました。広域道路網整備については、アフリカにおける成長の加速化のため、極めて重要であるとの共通認識が得られたほか、ハード面だけでなく、通関手続円滑化(ワン・ストップ・ボーダー・ポスト)などソフト面にも着目したアプローチも必要であるとの認識も得られました。また、未整備の道路(いわゆる「ミッシングリンク(missing link)」)を整備して道路網を連結していく必要性およびそれに向けて優先順位付けを行っていく必要性についても共通認識が得られ、優先順位付けについては、現在、アフリカ側においてどのような基準に基づいて行うべきか検討中との紹介がありました。

広域電力網整備については、アフリカの電力不足の現状、南部、東部、西部、中部にそれぞれ存在するパワープールを中心とした広域電力網整備を行う必要性について各参加者の共通認識が得られました。また、日本が提示した広域電力網整備に向けた6つの課題(①電源開発、②域内の連系送電線、③域間の連系送電線、④エネルギー効率改善、⑤地域共同体(RECs)などのキャパシティ・ビルディング、⑥域内加盟国の電力公社などの連携と協力)については参加者の基本的な賛同が得られました。

TICAD IVで採択された「横浜宣言」においても、広域インフラ整備の重要性が確認されています。日本は、このような広域インフラ網や農業生産性向上のための灌漑設備などを整備するため、世界銀行やアフリカ開発銀行とも協調しつつ、今後5年間で最大40億ドルの円借款を積極的かつ柔軟なやり方で供与することなどを通じ、協力していく考えです。また、道路網が円滑に人や物を運び、貿易・投資の促進につながるように、ワン・ストップ・ボーダー・ポスト支援などについても、積極的に取り組んでいく考えです。