日本では、高度経済成長期に産業が発展した反面、公害が深刻化しましたが、環境対策に力を入れ、また、その後の石油危機を経て省エネ技術を発達させたことにより、今日ではこの分野で主導的な役割を果たすに至りました。特に、省エネでは模範となる経験を有しており、例えば家電製品を見ると、冷蔵庫の電力消費量は、この10年間で50%下がりました。冷蔵庫の普及率を考えると、これは大きな省エネ効果となります。また、日本の石炭火力発電効率を米国、中国、インドの3か国に普及させることができれば、そのCO2削減効果は日本一国の排出量に相当する13億トンになるのです。
2008年1月、福田総理大臣(当時)はダボス会議で発表した「クールアース推進構想」の中で、排出削減と経済成長を両立させ、気候の安定化に貢献しようとする開発途上国に対する支援として、5年間で、累計1兆2,500億円程度(おおむね100億ドル程度)の新たな資金を活用した「クールアース・パートナーシップ」を開発途上国との間で構築する旨表明しました。
具体的には、温室効果ガスの排出抑制と経済成長の両立について政策協議を経た開発途上国に対し、環境プログラム無償などの無償資金協力、技術協力など、あるいは国連開発計画(UNDP)など国際機関を通じ、2008年からおおむね5年間で累計2,500億円程度の支援を行い、また、各国の地球温暖化対策プログラムの実施などのために「気候変動対策円借款」を創設し、特別な低金利で最大5,000億円程度の資金供給を行います。さらに、日本の企業の関与する開発途上国における温室効果ガス削減プロジェクトに対し、国際協力銀行(JBIC)による出資・保証、日本貿易保険(NEXI)による貿易保険および補助金などにより、民間資金と併せて、5年間で最大5,000億円程度の資金供給を可能としています。
これにより、日本は省エネ努力などの開発途上国の排出削減への取組に積極的に協力するとともに、気候変動で深刻な被害を受ける開発途上国に対して支援の手を差し伸べ、開発途上国とも連帯を強化して地球規模の問題に取り組む考えです。具体的には、主に気候変動対応のための森林保全、防災(干ばつ、洪水対策など)などのプロジェクトや防災・適応計画立案に対する技術支援、クリーンエネルギーによる電化などの農村開発支援、省エネなど温室効果ガスの削減に対する円借款の供与などを行います。