開発途上国における地球温暖化対策を支援する仕組みとして、京都議定書の下で導入されたクリーン開発メカニズム(CDM)があります。CDMは、京都議定書にて温室効果ガス削減目標を定められている先進国などが、開発途上国と共同で温室効果ガス排出量削減・吸収に貢献する事業を実施し、開発途上国の持続可能な開発への貢献を図るとともに、その削減・吸収量をクレジット(排出枠)として得る仕組みです。CDMは開発途上国ではエネルギー分野などにおいて追加的な投資を確保し、日本にとってもクレジットを獲得する可能性のあるもので、日本としても必要に応じ、コベネフィット・アプローチに基づく途上国における環境汚染対策も進めつつ、CDMを通じた開発途上国支援を推進するとともに、国際ルールに従い、被援助国の同意を前提として、政府開発援助案件のCDM登録を積極的に推進していく考えです。
ただし、現行のCDMは、ある程度経済成長を遂げ、排出削減の余地が大きい開発途上国に集中して資金が多く流れる傾向のある仕組みともいえます。今後は地域的な偏りなく各国が資金を得られるよう検討を行う必要があります。また、開発途上国自身の排出削減努力にインセンティブを与え、これを促進するものとすることも重要です。