気候変動問題は、先進国、開発途上国を問わず、国境を越えて人間の安全保障を脅かす喫緊の課題であり、国際社会の一致団結した取組の強化が急務となっています。2007年11月、気候変動に関する政府間パネル(IPCC) (注1)の第4次評価報告書統合報告書が公表されました。この報告書では、各国が現在の気候変動の緩和政策および持続可能な開発を実践しても、世界の温室効果ガス排出量は今後数十年間増加し続け、温室効果ガスの排出が現在以上の速度で増加し続けた場合、21世紀にはさらなる温暖化がもたらされ、その規模は20世紀に観測されたものより大きくなる可能性が非常に高いと予測しており、この問題の深刻さと速やかな対応の必要性を示唆しました。
既に大雨の頻度の増加、海面水位の上昇、熱波による死亡、動植物の生息・生育地域の高緯度・高地方向への移動などの生態系の変化、媒介生物による感染症の発生などの地球温暖化に伴う気候変動によって生じる可能性のある影響が現れていると考えられており、今後も、地球温暖化の進行とともに、様々な影響が顕在化してくることが指摘されています。このように深刻さを増しつつある気候変動問題に対処するには多くの課題があります。国際社会では、とりわけ2012年に終了する京都議定書第一約束期間後、即ち2013年以降の次期枠組みに関する議論が大きな焦点となっています。