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(4)情報公開と広報
日本の外交において大きな役割を担う開発途上国への開発援助を進めていくに際して国民からの理解と支持を得ることは不可欠であり、そのために政府としてもODAに関する情報の一層の公開に取り組んでいます。
(イ)国内における積極的な広報と情報提供
ODAに関する情報提供及び日本のODA案件に接する機会を提供するための具体的な施策としては、ODA白書や外交青書をはじめとする政府刊行物の発行以外にも、以下のような取組があります。
[1]ホームページ・ODAメールマガジン
ODA関連のホームページにおいて情報公開の充実化を図っており、外務省、JICA、JBICなどのホームページでは、ODAに関する多くの情報をタイムリーに掲載するとともに、各ホームページ(注1)ともODAを分かりやすく紹介しています。
外務省は、ODAホームページに加え、ODAメールマガジンも発行しています。2005年3月24日現在で第63号まで発行され、この中では、経済協力に関わるタイムリーな話題や情報をご案内しているほか、在外にある日本大使館の館員や、青年海外協力隊員、シニア海外ボランティアなどが、実際の援助の現場で体験した話や援助にまつわるエピソードなどを紹介しています。なお、ODAメールマガジンはODAホームページを通じて随時登録を受け付けており、2005年3月18日現在10,262名以上の方が登録されています。
[2]ODAタウンミーティングの開催
ODAタウンミーティングは、ODAに関する市民対話の一環として、ODA改革を巡る動きなどを一般市民に紹介するとともに、ODA及びODA改革に対する国民の生の声を直接聴取することを目的に、日本全国各地で開催されています。2005年5月までに29回開催され、有識者、ODA戦略会議メンバー、外務省の省員と一般市民との間で忌憚のない意見交換を行っています。
[3]ODA民間モニターの派遣
ODA民間モニター事業は、ODAに関心を有する一般国民の方が実際の援助の現場に赴き日本のODA案件を直接視察することにより、ODAの意義・重要性について正しく理解していただくとともに、意見や感想などを提言していただくというものです。この事業は、1999年度から開始され、2004年度までに465名がアジア、アフリカ、中南米など22か国の開発途上国のODAプロジェクトなど361件を視察しました。参加者からは、ODAが開発途上国の発展・安定に役立っていることや援助の必要性について理解を深めたなどといった報告がなされています(注2)。これからも、こうした事業を通じて、ODAに対する国民の理解が一層進んでいくことを期待しています。
(ロ)国際社会に対する情報発信の強化
日本国内における広報に限らず、ODAを通じた日本の積極的な国際貢献については海外においても正しく認知され、評価されることが重要です。
日本は、従来より海外において日本の援助が正しく評価され、個々の案件が日本の援助によるものであることを周知すべく、署名式や引渡式に際してプレスリリースを発出するなど現地プレスの取材に協力したり、日本の援助物資に日章旗ステッカー(英語、アラビア語)やODAシンボルマーク・ステッカー(英語、フランス語、スペイン語、アラビア語)を貼付したり、看板を設置するなどしています。2004年度には、イラクのムサンナー県の水道局に対して日本が供与した給水車の側面に、日本とイラク両国の国旗とともに、現地の子ども達の間でも人気のある「キャプテン翼」のステッカーを貼付し、日本の援助をサッカー好きなイラクの人々に広く知ってもらうよう努めました(第II部表紙中央の写真参照)。

グローバルフェスタJAPAN2005におけるODAタウンミーティング「ODA民間モニターからの報告」の様子。
図表II-38 ODAタウンミーティングの開催状況(2004年度)

column II-22 ODAの現場を視察して
また、当該国に対する日本のODA政策やその成果について広く相手国国民に知ってもらうため、当該国向けにODA広報テレビ番組を衛星放送などを通じて放映しています。2004年度は、日本の50年にわたるODA供与を回顧しつつ、様々な分野での協力を紹介するテレビ番組「ASIAN TIDE」もアジア地域で放映しました。また、在外にある日本大使館は現地プレスに対して日本の援助現場視察をアレンジし、現地のメディアでも日本のODA案件が取り上げられるような機会づくりに努めています。さらに、在外公館が各種講演活動や英語・現地語によるホームページ・メールマガジンなどによる発信を行ったり、現地のJICA・JBICなどとも協力しつつ、日本のODAに関するさまざまな広報資料パンフレットを作成・配布しています。他の援助国を含む国際社会に対しても、日常の外交努力や国際会議における情報発信のほか、各種のシンポジウムやセミナーの開催やホームページを通じた情報発信に積極的に取り組んでいます。