本編 > 第I部 > 第3章 > 第1節 > (1)「開かれた外務省のための10の改革」と「第2次ODA改革懇談会」
第3章 国民の支持と参加の拡大~さらなるODA改革の推進
ODA写真館[3]:植物遺伝資源センター計画 圃場(ほじょう)指導をする専門家(スリランカ:技術協力)
写真提供:国際協力事業団(JICA)
Summary
2002年に入り、わが国のODA改革はさらに加速した。
第1節 ODAを巡る厳しい国内状況と改革の加速化
Point
1. 厳しい経済財政状況と国内のODAに対する厳しい見方などを受け、わが国ODA予算は、98年度以降減少傾向。
2. 外務省は、2002年、透明性、効率性、国民参加をキーワードに様々なODA改革の具体策を発表、実施。
長引く経済不況と財政状況の悪化、厳しさを増す国民のODAに対する見方を受けて、ODA予算は98年度以降削減の方向にあり、特に2002年度のODA予算は、前年度比10.3%減という大幅な削減となりました。2003年度のODA政府予算案についても、前年度比5.8%減となり、この予算がそのまま成立すると、ODA予算は過去6年間で26.6%削減されることとなります。一方、第1章でも触れたように、欧米諸国は90年代には「援助疲れ」を見せていましたが、2002年になって相次いでODAの増額を表明しています。
図表I-29 わが国ODA予算と他の主要経費の推移(伸率)

ODAは国民の税金から成り立っており、その実施に当たっては、ODAへの国民の支持と理解を得ることが不可欠です。外務省は、ODAの意義やODAに関する国際社会の動向を、ホームページやタウンミーティングを通じてわかりやすく伝えるよう努力するとともに、国民の問題意識に応えるようODA改革を進めてきました。特に2002年は、川口外務大臣の就任の際に発表された「開かれた外務省のための10の改革」を皮切りに、透明性・効率性・国民参加をキーワードに様々なODA改革の具体策を発表・実施し、ODAの戦略性を高めるための取組にも着手しました。2002年に発表されたODA改革に関する提言等は、以下のとおりです。これらの提言等に盛り込まれた具体的な内容については、第2節以下で詳しく説明します。
(1)「開かれた外務省のための10の改革」と「第2次ODA改革懇談会」
川口外務大臣は就任直後の2月中旬に「開かれた外務省のための10の改革」(骨太の方針)を発表し、その柱の一つとしてODAの効率化・透明化を掲げ、その中で主に「透明性」向上を目的として、[1]在外公館におけるNGOからの意見の聴取や[2]第三者の参加を得た委員会による援助分野やプロジェクトの優先順位の決定、[3]外務省経済協力局幹部(評価担当)への外部の人材の起用、[4]適切な監査手法の導入を挙げました。この「10の改革」にODAが含まれたことでも明らかなように、「変える会」における議論、また、それを受けた外務省改革「行動計画」においてもODA改革が一つの柱となっています。
その後、2002年3月には、「第2次ODA改革懇談会」(外務大臣の私的懇談会、座長:渡辺利夫拓殖大学国際開発学部長)が透明性の確保、効率性の向上、国民参加をキーワードに「国民の心、知力と活力を総結集したODA」、「戦略をもった重点的・効果的なODA」、「ODA実施体制の抜本的な整備」という3つの柱からなるODA改革の具体的方策を最終報告として川口大臣に提出しました。
囲みI-27.2002年のODA改革を巡る一連の動き
囲みI-28.第2次ODA改革懇談会「最終報告」(要旨)