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人権・人道

第11条

 契約上の義務の不履行は、民事上の責任を生ずるにとどまり、第3回報告で述べたとおり、右不履行が犯罪とされることはなく、従って何人もこれを理由として拘禁されない。

第12条

我が国の難民政策

(a)難民の取扱い及び手続

 1982年に我が国について難民条約及び難民議定書の効力が生じて以来、我が国はこれらの条約等に定める諸規定を誠実かつ厳正に履行しており、出入国管理及び難民認定法に規定する難民認定制度及び一時庇護のための上陸の許可制度並びにその運用は同条約等の内容に合致するものとなっている。

(b)難民条約上の難民

 1996年9月末までの難民認定事務の処理状況は以下の通り。
 受  理           1259人
 審査結果   取下げ   201人
       認 定   208人
       不認定   702人
       未処理   148人

(c)インドシナ難民

(i)インドシナ三国からの難民の我が国への定住受入れについては、1996年9月末までの定住総数は10,085人となっている。

(ii)ボート ・ ピープル
 いわゆるボート・ピーブルについては、1975年5月以来その上陸を認めてきたが、ボート・ピープルの急増に対応するため、1989年6月に開催されたインドシナ難民国際会議の合意を踏まえ、同年9月13日からいわゆるスクリーニング制度 (迫害から脱出した本来の難民と豊かな生活を求める経済難民とを区分するもの) として一時庇護のための上陸許可の審査を実施してきた。
 しかし、近年のインドシナを巡る政治経済情勢等の変化を背景とし、1994年2月に開催された同会議運営委員会の合意を踏まえ、同年3月5日から一時庇護のための上陸許可の審査を実施せず、一般の外国人と同様不法入国者として退去強制手続を執っている。ただし、これらのボート・ピープルから難民である旨の申出があった場合には、難民認定手続を開始することとしている。
 なお、1994年3月4日までに入国したボート・ピープルは、13,768人、同年3月5日以降1996年6月末までに到着したボート・ピープルは151人となっている。

第13条

退去強制

(a)外国人の退去強制の決定手続き

 外国人の退去強制については、その事由及び手続が、出入国管理及び難民認定法に規定されており、同法に基づき行われている。
 同法に定める退去強制手続は、予め退去強制事由を明確に定めておき、これに該当する者につき、その該当事実を確認するための手続であると同時に、退去強制事由に該当すると認定された者の異議申出制度をも組み込んだ制度となっている。詳述すれば、入国審査官によって退去強制事由に該当すると認定された者であっても、これに異議がある場合には、特別審理官に対して口頭審理を請求することができ、この口頭審理の結果やはり退去強制事由に該当すると判定された場合でも、これに異議があれば、さらに法務大臣に対して異議の申出を行い、法務大臣の最終判断を求めることができる仕組みとなっている。
 これらの手続は、いわゆる事前手続として、退去強制の決定に先立って行われるものであり、この間に退去強制が執行されることはない。このような三段階の手厚い事前手続の保障があることに加え、我が国の司法制度上、行政の決定についての訴訟を提起し、その適否を争うことができることになっており、上記のような退去強制手続を経て退去強制が決定されても、司法の救済を求めて争うこともできる仕組みになっている。
 なお、上記の口頭審理においては、容疑者に対して意見・弁解を述べ反論・反証する機会が与えられる。また、容疑者は代理人を選任することができ、代理人の助けを受けることができる。

(b)退去強制において例外的に自らが迫害を受ける可能性がある国に送還される場合

 入管法第53条第3項においては、被退去強制者の送還先国について、いわゆるノン・ルフールマンの原則(迫害を受ける国又は地域への外国人の送還は原則として行わない)が明文化されている。
 ただし、法務大臣が日本国の利益又は公安を著しく害すると認める場合、具体的には、法務大臣が日本国の安全にとって危険であると認める者及び1年を超える実刑に処せられた犯罪者等で社会にとって危険であると認める者については、ノン・ルフールマンの原則の例外が適用される。

第14条

 本条に関する我が国における法的枠組は、第3回報告で述べたとおりであるが、以下につき追加する。

必要的弁護事件制度

 被告人の権利を保護し、公判審理の公正を確保するため、一定の重大事件(死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件)については、弁護人がなければ、開廷及び審理の続行をすることができないこととされている。このような事件において、弁護人が出廷しないとき又は弁護人がないときは、被告人には国選弁護人が付される。

公判準備のための弁護側への証拠開示

 公判において検察官が証拠調べの請求をするときは、被告人又は弁護人は、あらかじめ、証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人についてはその氏名及び住居を知る機会、証拠書類や証拠物についてはこれを閲覧する機会がそれぞれ与えられており、検察官は、証拠調べの請求をする予定の証拠書類又は証拠物があるときは、第1回公判期日前に、なるべく速やかに閲覧する機会を与えることとされている。また、以上に加えて、裁判所は、証拠調べの段階において、一定の場合、個別的に検察官手持ちの証拠についての開示命令を発することができる。このように、被告人及び弁護人には、公判の準備をするために必要な証拠の開示を受ける十分な機会が保障されている。

民事訴訟法の改正

 民事訴訟手続に関し、我が国は、民事訴訟法を有しており、同法は、本条に適合した内容を有しているものである。
 しかしながら、同法のうち民事訴訟の手続を規律する部分は、1925年に全面的に改正された後は、数回にわたって部分的な改正が行われたのみであり、基本的には、1926年当時の民事訴訟手続の構造を維持したままになっている。同法制定当時から現在に至るまでの間の社会の変化や経済の発展等には著しいものがあり、これに伴って民事紛争も複雑、多様化していること等から、民事訴訟の手続についての現行法の規律が現在の社会の状況に適合するかどうかについては、種々の観点から疑問が提起されている。また、このことに関連して、裁判に時間がかかりすぎるなどの民事訴訟に関する様々な問題点や不満も国の内外から指摘されている。
 こうした状況の下で、法務大臣の諮問機関である法制審議会の民事訴訟法部会は、1990年7月、民事訴訟を利用しやすく、分かりやすいものとすることを目標として、民事訴訟手続に関する規定の全面的な見直しのための調査審議を開始した。同部会は二回にわたって法曹界、大学、経済団体、労働団体等関係団体に幅広く意見を照会するなど、慎重な作業を経て改正要綱案をとりまとめ、これに基づき、1996年2月26日、「民事訴訟手続に関する改正要綱」が法務大臣に答申された。同答申に基づき、同年3月12日に「民事訴訟法案」が国会に提出され、一部修正の上、同年6月18日成立した。同法は、公布の日である同年6月26日から起算して2年を超えない範囲において、政令で定める日から施行されることとなっている。
 新しい民事訴訟法における主な改正点は、以下のとおり。

(a)争点及び証拠の整理手続の整備

 争点及び証拠の整理を集中的に行うことを目的とする口頭弁論である「準備的口頭弁論」、現行の準備手続をより充実させた「弁論準備手続」、当事者の出頭なしに準備書面の提出等により争点及び証拠の整理をする手続である「書面による準備手続」という3種類の手続を設け、事案の性質、内容等に応じて適切な争点整理手続を選択して、早期に適切な争点等の整理をすることができるようにしている。

(b)証拠収集手続の拡充

 弊害が生じないように配慮しつつ、訴訟に必要な証拠の収集をし易くし、もって当事者の争点等の整理に向けた十分な準備をすることができるようにするため、文書提出命令の対象となる文書を拡充したほか、文書提出命令の手続を整備し、また、当事者が主張立証を準備するために必要な情報を直接相手方から取得することができるようにする当事者照会の手続を設けている。

(c)少額訴訟手続の創設

 30万円以下の金銭の支払を求める事件について、原則として一回の期日で審理を遂げ、即日判決の言渡しをすること、被告による任意の履行がされるよう、被告の資力等を考慮して、分割払や支払期限の猶予を命ずる判決をすることができるようにすること等を内容とする特別の訴訟手続を創設し、一般市民が訴額に見合った経済的負担で紛争の適正・迅速な解決を受けられるようにしている。

(d)最高裁判所に対する上訴制度の整備

 最高裁判所に対する上告について、上告受理の制度を導入し、最高裁判所は、法令の解釈に関する重要な事項を含まない事件については、決定で、上告を受理しないことができるようにした一方、決定手続で処理される事件について、許可抗告の制度を導入し、法令の解釈に関する重要な事項を含むものについては、法令の解釈の統一を図る見地から、高等裁判所の許可により、最高裁判所に抗告することができるようにし、最高裁判所が憲法判断及び法令の解釈の統一という重大な責務を十分に果たすことができるようにしている。

法律扶助制度

 第2回報告別添1で述べたとおり、憲法第32条に定められている「裁判を受ける権利」を保障する制度の一つとして、法律扶助制度がある。これは、貧困により民事訴訟を遂行することができない人々 (在日外国人を含む)のために、訴訟費用、弁護士報酬等を立て替えるものである。
 立替金は全額償還を原則としているが、相手方から金銭の支払いを得られないなど特別の事情がある場合には、償還を一時猶予し、又は免除している。法律扶助事業の主体となっているのは、1952年に日本弁護士連合会が設立した財団法人法律扶助協会であり、国は、同協会に補助金を支出し、業務を監督することにより、事業の適正な運営に努めている。
 法律扶助を行った件数は、年々増加する傾向にあり、1995年度における件数は、6,147件である(この他に、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災の被災者のための特別対策として1,373件の扶助を行っている。)。

第15条

 第3回報告で述べたとおり、憲法第31条は、罪刑法定主義を定め、同第39条において、遡及処罰の禁止を規定し、本条の権利を保障している。

第16条

 第3回報告で述べたとおり、憲法は、個人の尊重(第13条)、基本的人権の享有(第11条)、生命、自由及び幸福追求に対する権利(第13条)を規定し、また裁判を受ける権利(第32条)を定めて、最終的には司法的救済手段による個人の権利を保障している。

第17条

各種盗聴に対する規制及び現状

 第3回報告で述べたとおり、我が国では、電波法、有線電気事業法、電気通信事業法により通信の秘密及び個人情報が保護されている。警察では、通信の秘密及び個人情報の保護を侵害する犯罪の取締りに努めている。
 なお、電話盗聴については、電気通信事業法第104条及び有線電気通信法第14条により禁止されており、違反者は、刑事処罰を受けることになる。

行政機関の有する個人情報保護に関する実情

 第3回報告で述べたとおり、近時、「プライバシー権」の名において、肖像権、及び人の名誉・信用に係る過去の事実をみだりに知られない権利等が法的保護の対象とされつつある。これらの権利は、判例上、憲法第13条により認められる。
 右動き及び近年の個人情報の電子計算機による処理の進展に対応し、第3回報告で述べたとおり、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律が制定され、電子計算機処理に係る個人情報の取扱いに関する基本ルールを定めるとともに、何人にも自己に関する情報の開示請求権が認められており、訂正等の申出ができる。

第18条

宗教法人法改正の報告

 宗教法人法は、憲法に定められている信教の自由の保障と政教分離の原則を基本とし、宗教団体に法人格を付与し、宗教法人が自由でかつ自主的な活動を行うための物的基礎を確保することを目的とする法律として、1951年に制定されたものであり、宗教団体の監督や宗教活動の規制を目的とするものではない。
 同法は、制定当時の社会事情に基づいて制定されたものであり、その後の社会状況や宗教法人の実態の変化に適切に対応できない面が生じたため、宗教法人の目的を維持しつつ、社会状況や宗教法人の実態の大きな変化に対応するために、1995年、必要最小限の改正を以下のとおり行った。なお、同改正は、宗教法人の宗教上の事項に干渉、介入したり、新たに所轄庁に宗教法人を管理監督する権限を与えるものではない。

(a)広域的に活動する宗教法人に適切に対応するため、その主たる事務所の所在地以外の他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人の所轄庁を文部大臣とした。
(b)宗教法人がその目的に沿って活動していることを所轄庁が継続的に確認できるようにするため、宗教法人の事務所備付け書類を見直し、そのうち財務関係書類等の写しを所轄庁へ提出することを義務付けた。
(c)宗教法人のより民主的な運営と透明性の向上に資するため、信者等に事務所備付け書類等の閲覧請求権を認めた。
(d)所轄庁がその権限を適切に行使するための手続きを明らかにするため、裁判所に解散命令の請求をする等、所轄庁がその権限の行使の要件に該当すると認める場合、宗教法人に対して報告を求め、質問を行えるようにした。

 なお、宗教法人を設立しなくても、個人ないし団体が憲法で保障された信教の自由に基づき宗教活動を自由に行えることはいうまでもない。

労働者に対する思想信条に基づく差別の防止措置

 労働基準法第3条においては、使用者が、労働者の信条を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならないことを定めている。

第19条

表現の自由に対する規制

(a)教科書検定

 我が国では、学校教育法により、小・中・高等学校において教科の主たる教材として使用される教科書については、民間で著作・編集された図書について、文部大臣が教科書として適切か否かを審査し、これに合格したものを教科書として使用することを認める教科書検定制度が採用されている。
 小・中・高等学校の教育については、国民の教育を受ける権利を実質的に報償するため、(i)全国的な教育水準の維持向上、(ii)教育の機会均等の保障、(iii)適正な教育内容の維持、(iv)教育の中立性の確保、などが要請されている。
 教科書の検定は、上記の要請を実現するために、これらの観点に照らして、不適切と認められる内容を含む図書のみについて、主たる教材である教科書として発行することを禁ずるものにすぎず、表現の自由の制限は合理的で必要やむを得ない限度のものであり、この考え方は、1993年3月16日最高裁判所判決においても示されているところである。

(b)マスメディア(報道の自由)に対する規制

 本条に規定する権利は、第3回報告で述べたとおり、憲法第21条第1項により保障されている。報道の自由も同条により保障されている。
 報道の自由は、報道が放送による場合と新聞による場合とでは、異なった扱いを受けている。

(i)報道が放送による場合

 放送法は、放送番組の編集にあたって、(a)公安及び善良な風俗を害さないこと、(b)政治的に公平であること、(c)報道は事実をまげないですること、(d)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることという四つの番組準則によることを定め、更に「教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない」と規定して調和のとれた番組比率を要求している(同法第3条の2、1及び4項)。

(ii)報道が新聞による場合

 新聞報道を規制する法令はなく、新聞は自らが定めた「新聞倫理綱領」を指導原理として、新聞に課された社会的使命を果たしている。
 報道が正確な内容を持つためには、報道のための情報を集める取材の自由を保障することが必要があるが、取材活動が第三者の権利や公共の利益に抵触する可能性もある。取材行為の許されない限界として、判例(1988年5月31日最高裁判決)は「報道機関といえども、取材に関し他人の権利・自由を不当に侵害することのできる特権を有するものではないことはいうまでもなく、取材の手段・方法も贈賄、脅迫・強要等の一般の刑罰法令に触れる行為を伴う場合は勿論、その手段・方法が一般の刑事法令に触れないものであっても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙する等法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することのできない態様のものである場合にも、正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びるものといわなければならない」ことを明らかにしている。
 取材活動の制限に関する法令としては、公判廷における写真の撮影、録音又は放送は、裁判所の許可を得なければ、これをすることが出来ない」とした刑事訴訟規則第215条がある。

第20条

 本条1については、我が国は、国民の間に戦争に対する極めて強い否定的感情が存在しており、戦争宣伝が実際に行われることがほとんど考えられないとの状況にあることは、第3回報告のとおりである。右事情は前回審査以降変わっておらず、将来仮に、戦争宣伝行為による弊害の危険性が生じることとなれば、必要に応じ、表現の自由に十分に配慮しつつ立法措置を検討することになるであろうことも第3回報告のとおりである。
 本条2についても、第3回報告のとおり、現行法制により規制し得ない具体的な弊害が生じる場合には、公共の福祉を害しない限度において表現の自由に配慮しつつ、さらに立法措置を検討することとしている。
 なお、第2条で述べたとおり、我が国は、1995年12月に、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約に加入したが、「人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布」及び「人種差別の扇動」の処罰義務を規定した同条約第4条を、憲法の下における集会、結社及び表現の自由等の保障の重要性に鑑み、右保障と抵触しない限度で第4条(a)及び(b)の義務を履行する旨の留保を行った。


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