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第21条第3回報告で述べたとおり、本条約に規定された権利は、憲法第21条第1項により保障されており、また、右権利に対する制限(破壊活動防止法第5条及び伝染病予防法第19条第1項第3号等)も、本条に合致した必要最小限のものとなっている。
第22条
法的枠組み
本条に規定する権利については、第3回報告で述べたとおり、関係国内法令によって保障されている上に、関係ILO諸条約を締結し、これを誠実に遵守しているところである。
労働組合
- (a)概要
特に、労働組合法は、「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより、労働者の地位を向上させること」を目的として、「労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選任することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること」、「並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成すること」を規定している(労働組合法第1条第1項)。
また、労働組合の組合員に対する使用者の不利益取扱いや使用者の労働組合に対する正当な理由のない団体交渉拒否及び使用者の労働組合に対する支配介入を不当労働行為として禁止し(同法第7条)、不当労働行為からの救済のため、公・労・使3者構成の独立行政委員会である労働委員会を設けている。
- (b)労働組合員の数、及び組織率
1995年の日本における労働組合数(単位労働組合)は、70,839組合、労働組合員数(単一労働組合)は、12,614千人。雇用者に占める労働組合員数の割合(推定組織率)は、23.8%である(労働組合数、労働組合員数及び推定組織率については、別表7)。
- (c)労働委員会における救済
労働者又は労働組合は、使用者の不当労働行為に対する救済を労働委員会に申し立てることができる。労働委員会は、審査の上、理由があると判断したときは、当該使用者に対して救済命令を発する。
労働委員会による不当労働行為救済手続は、裁判所による救済に加えて、労働者保護を更に進めるため、労働者又は労働組合がその意思によって救済を求めることができるようにした制度である。
別表7 労働組合数、労働組合員数及び推定組織率
年 労働組合数 労働組合員数 雇用者数 推定組織率 1995年 32,065
(70,839)12,614千人
(12,495千人)5,309万人 23.8%
労働省「労働組合基礎調査」(1995年6月末日現在) (注) (1)労働組合数、労働組合員数は、単一労働組合である。
( )内は、単位労働組合数及び組合員数である。
(2)雇用者数は、総務庁統計局「労働力調査」1995年6月分による。宗教団体に対する破壊活動防止法の適用
公安調査庁長官は、破壊活動防止法に基づき、1996年7月、宗教団体(オウム真理教)に対する解散指定の処分を公安審査委員会に請求した。
解散指定の処分は、暴力主義的破壊活動を行った団体が、継続又は反復して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがある等の同法に規定する解散指定の要件を満たしていると認められる場合に行われるものであり、本規約第18条及び第22条にいう、「法律で定める制限であって、公共の安全、他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要な制限」である。
(なお、同請求は、将来の危険性に関する立証が不十分であるとの理由で1997年1月棄却された。)第23条
民法の一部を改正する法律案要綱答申(選択的夫婦別氏制の導入、離婚原因の規定の整備)
法務大臣の諮問機関である法制審議会は、1991年から5年間にわたり民法の婚姻及び離婚に関する規定等の見直し作業をしてきたが、1996年2月に「民法の一部を改正する法律案要綱」を決定し、同大臣に答申した。
この答申は、婚姻及び離婚に関する現在の民法の規定が1947年に全面的に改正されてから既に約半世紀が経過し、その間に、婚姻及び離婚に関する国民意識や社会情勢に変化が生じたことを踏まえたものであり、その中で提案されている婚姻及び離婚法制に関する主な改正項目は、次のとおりである。
- (a)婚姻をすることができる年齢について、現行法では、男子は満18歳、女子は満16歳とされているのを改め、男女とも満18歳とする。
- (b)女子の再婚が禁止される期間について、現行法では、前婚の解消又は取消しの日から6箇月とされているのを改め、嫡出推定の重複を回避するために必要な最低限の期間である100日に短縮する。
- (c)夫婦が称する氏について、現行法では、夫婦は、婚姻の際の合意により夫又は妻の氏を称するものとされているのを改め、夫婦は、婚姻の際の合意により、夫若しくは妻の氏を称するか、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。
- (d)離婚の際に子の監護について必要な事項として面会・交流及び監護費用の分担に関する事項を定めるべきことを明らかにする。
- (e)離婚に伴う財産分与の目的及び考慮事情を明らかにする。
- (f)婚姻関係の回復しがたい破綻が裁判上の離婚原因であることを明らかにする。
第24条
本条に規定する権利の我が国における法的枠組み及びその享受の実態については、児童の権利に関する条約第1回報告のとおり。なお、本条約第3回報告審査に係る主要部分は、以下のとおり。
- (a)国籍を取得する権利(児童の権利に関する条約第1回報告第7条部分)
我が国の国籍法は、原則として父母両系血統主義を採用しており、出生の時に父又は母が日本国民であるときは日本国民となると規定している(国籍法第2条1号)。しかし、この主義を貫くと、我が国で出生した子が無国籍となる場合も生じうることから、これを防止するため、出生地主義を加味するという配慮をしている。すなわち、子が日本で生まれ、父母がともに知れないとき、又は父母が国籍を有しないときは日本国民となるとされている(国籍法第2条第3号)。
この措置によっても、限られた範囲で、なお、無国籍が生ずる場合があり得るが、国籍法第8条第4号により、日本で生まれ、かつ、出生の時から3年以上日本に住所を有するものについては、帰化によって日本国籍を取得することが可能であり、しかもこの場合は、帰化許可条件のうち、能力条件及び生計条件を要していないほか、住所条件も緩和されているので、日本国籍の取得が極めて容易になっている。
- (b)父母の一方又は双方から分離されている児童の父母との人的な関係等の維持の権利(児童の権利に関する条約第1回報告第9条部分)
父母の一方又は双方から分離されている児童とは、具体的には父母の一方若しくは双方又は児童自身が入国者収容所等に収容され又は入所している児童を指すと考えられる。入国者収容所においては、収容所(又は収容場)の保安上支障がない範囲内においてできる限りの自由が与えられており(出入国管理及び難民認定法第61条7)、面会、信書の発受等も基本的に認められている(被収容者処遇規則第34条、第37条)。
- (c)学校の規律(児童の権利に関する条約第1回報告第28条部分)
我が国では、体罰は学校教育法第11条により厳に禁止されているところであり、文部省では、この法律の趣旨が実現されるようにあらゆる機会を通じて教育関係機関を指導している。
また、法務省の人権擁護機関でも、体罰に関する情報を得た場合には、児童の基本的人権を擁護するという立場から、関係者から事情聴取する等して事実の調査を行い、その結果に基づいて、体罰を加えた教師及びその教師が所属する学校の長等に対し、人権思想の啓発(「説示」又は「勧告」)や再発防止の方策を要望する等の措置をとっている。更に、学校、地域社会等とも連携を図り、啓発活動を行っている。1994年、1995年における全人権侵犯事件数(それぞれ16,035件、16,296件)のうち、体罰事件の件数は、それぞれ89件、111件であった。第25条
本条に規定する権利の我が国における法的枠組みについては、第3回報告で述べたとおり。
第26条
嫡出でない子の相続分
- (a)政府の取組
嫡出でない子の法定相続分を嫡出である子のそれの2分の1としている我が国の民法の規定(第900条第4号ただし書)については、第3回報告の審査を踏まえて出された人権委員会の意見において、本条に適合しない旨のコメントが出されたところであるが、我が国としては、嫡出である子と嫡出でない子との法定相続分に差異を設けることが、直ちに嫡出でない子を不合理に差別するものとは考えていない。
しかし、相続制度の在り方は優れて立法政策上の問題であることから、相続をめぐる社会の状況の変化があれば、これに応じて、この制度を見直していく必要があることはいうまでもない。こうした観点から、我が国政府は、現在、嫡出である子と嫡出でない子の法定相続分を同等化する法改正を検討しているところであり、法務大臣の諮問機関である法制審議会が1996年2月に答申した「民法の一部を改正する法律案要綱」において、そのような改正方向が示されている。
なお、我が国の戸籍制度は、民法等の実体法が規定している国民の身分関係を正確に登録・公証することを目的とするものであるから、民法が法律婚主義を採用して嫡出である子と嫡出でない子との区別を設け、子の氏及び親権者のみならず法定相続分についても差異を設けているので、戸籍には嫡出である子と嫡出でない子との区別をそのまま記載する必要がある。このように、嫡出である子と嫡出でない子とを区別した戸籍の記載は、民法上の区別に基づく合理的な理由によるものである。
- (b)国民の意識
1996年に実施された世論調査の結果をみると、現行制度を維持すべきであるとする意見が全体の38.7%を占め、嫡出である子と嫡出でない子の相続分を同等化すべきであるとする意見は、25.0%とどまっている状況にあり、この制度の改正についての国民の意識が成熱しているとは言い難い。
同和問題
政府は、同和問題は憲法に保障された基本的人権に関わる重要な問題であるとの認識のもとに、3度にわたる特別措置法に基づき、これまで関係諸施策の推進に努めてきた。
この結果、1993年度に実施した同和地区実態把握等調査の結果からみても、物的な生活環境の改善をはじめ様々な面で存在していた較差は大きく改善された。一方、同和問題に関する国民の差別意識は、様々な創意工夫の下に教育及び啓発が推進されたきた結果、着実に解消に向けて進んでいるものの、結婚問題を中心に依然として根深く存在している。
現行の地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律は、1997年3月で失効することとされているが、同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在り方については、1996年5月17日に、同和問題に関する国の審議機関である地域改善対策協議会から意見が具申されたところである。政府は、この意見具申と与党における合意をも踏まえ、同和問題の早期解決に向けた今後の方策について、同年7月26日に閣議決定を行ったところである。その概要は第一に、現行の地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づいて実施している45種類の事業を一般対策に円滑に移行していくため、15事業について経過的な法的措置を講じ、その他の事業については、一般施策に工夫を加えるなどの措置を講じることとしている。第二に、差別意識の解消に向けた教育及び啓発の推進と人権侵害による被害の救済等の対応の充実強化については、「人権教育のための国連10年」に係る施策の積極的な推進、人権相談業務の活性化等を図ることとしている。第三に、行政の主体性の確立、同和関係者の自立向上、えせ同和行為の排除及び同和問題についての自由な意見交換のできる環境づくりに引き続き取り組むこととしている。第27条
アイヌの人々に関する施策
- (a)北海道ウタリ対策
1993年に北海道庁が実施した「北海道ウタリ生活実態調査」によれば、アイヌの人々の生活水準は着実に向上しつつあるが、なお一般道民との格差は是正されたとはいえない状況にある。このため、第3回報告で述べた「第3次北海道ウタリ福祉対策」に引き続き、「第4次北海道ウタリ福祉対策」(1995年~2001年)を推進し、アイヌの人々の生活水準の向上と一般道民との格差の是正を図っている。
日本政府は、引き続き第3回報告で述べたとおり、北海道庁が進めている右施策に協力し、これを円滑に推進するため、関係予算の充実に努めている。
- (b)ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会
内閣官房長官の要請に基づき1995年3月にスタートした「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」(伊藤座長)は、この4月に報告書を内閣官房長官に提出した。この報告書は、中世末期以降の歴史の中で、和人との関係で我が国固有の領土である北海道に先住していたと認められるアイヌの人々の固有の事情に立脚し、アイヌ語や伝統文化の保存振興等のため、今後可能な限り立法措置を含め特段の措置を講じること及びこれに伴い北海道旧土人保護法等を廃止することが望ましい旨述べている。政府は、この報告書を尊重し、その内容の詳細を検討の上、適切に対処する旨態度表明している。
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