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c)刑法を犯したと申し立てられ、あるいは訴追され、認定された児童が、尊厳及び価値に関する当該児童の意識を促進させるような方法であって、当該児童が他人の人権及び基本的自由を尊重することを促し、かつ当該児童の年齢を考慮し、その児童が(社会に)復帰し及び児童が社会において建設的役割を担うことがなるべく促進されることを考慮した方法で取り扱われる権利。(回答)
少年が罪を犯した場合については、以下のとおり成人とは異なる手続を定め又は措置を講ずることにより、その年齢を考慮し、将来社会において建設的な役割を担うことを促進するものとしている。1.少年に対する処分を決定するまでの手続
(1)少年が罪を犯した場合等については、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整を図るとの観点から、少年法等による措置を採ることが原則であり、刑罰又は保安のための拘禁を科すという体系にはなっていない(少年法第1条、第18条、第20条、第24条)。
(2)上記(1)の措置は、司法機関である家庭裁判所が第一次的に行うこととなっている(少年法第41条、第42条、第20条)。
(3)家庭裁判所の決定により、一定の場合、少年についても刑事手続に移行することがあるが、16歳未満の少年については刑事手続に移行できないこととなっており、少年の年齢を考慮している(少年法第20条)。
(4)少年院等への収容は14歳以上の少年が対象とされ、さらに年齢等により施設を異にする配慮がされている(少年院法第2条)。
(5)少年の勾留はやむを得ない場合に限定され、警察の留置場に勾留する場合であっても、隔壁等により成人の留置室とは分離された少年用の留置室に留置している。また、運動場、浴室、接見室等に向かう通路部分についても障壁等により成人の留置室とは遮断され、相互に姿が見えないように構造上の配慮を行っている。さらに、入浴、運動等の時間も少年と成人とでは別々にするなどして互いに接触しないように運営上の配慮を行っている。このように、少年と成人は完全に分離されて、少年は成人からの悪影響を受けないように保護されている。また、留置室は、その前面の下半分が不透明な板で遮断され、留置担当者が常時少年を監視できないようになっており、また、留置室内のトイレの周囲は壁で囲われているなど少年のプライバシー、羞恥心に配慮した構造となっている。
また、少年の処遇に当たっては、少年の被疑事実の内容、少年の性格、性別、年齢等を考慮して行っているところである。
一方、少年を拘置所等に勾留する場合についても、後記3(3)に記載のとおり、少年と成人の分離等に十分配慮している。
(6)少年の刑事事件手続についても、少年の被疑者又は被告人は、他の被疑者又は被告人と分離して、なるべく、その接触を避け、少年に対する被告事件は、他の被告事件と関連する場合にも、審理に妨げのない限り、その手続を分離しなければならないこととなっている(少年法第49条の第1項及び2項)。
(7)少年について罰金刑が言い渡された場合、換刑処分としての労役場留置はすることができない(少年法第54条)。
(8)刑に処せられた場合でも、仮出獄を可能とする経過期間が成人の場合より短縮されている(少年法第58条)。
(9)「少年のとき犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終わり、又は執行の免除を受けた者は、人の資格に関する法令の適用については、将来に向かって刑の言渡を受けなかったものとみなす」など、選挙権や公務員の資格等について、成人と比し有利な取扱いがなされている(少年法第60条)。
(10)少年審判手続は非公開とされ(少年法第22条第2項)、記録の閲覧、謄写について一定の制限が課され(少年審判規則第7条)、さらに、罪を犯した少年等についての実名報道等が禁止されている(少年法第61条)。2.捜査段階における配慮
少年事件の捜査に当たっては、個人の基本的人権を尊重しつつ、関係法令を厳守することに加え、少年の健全な育成を期する精神と少年の特性に関する深い理解をもって当たることとしており、特に、次のような配慮をしている。
(1)捜査の時期、場所、方法等について慎重に配慮し、少年の心情を傷つけることのないようにしている。
(2)犯罪事実の究明にとどまらず、少年の性行及び環境を調査し、非行の原因の究明に努め、その少年に最も適切な処遇の方法を講ずるようにしている。
(3)その少年の正確な年齢を確認し、少年法等の規定による少年年齢に応じた処遇に過誤のないようにしている。
(4)少年の事案について報道機関に発表する場合は、少年の氏名、学校名はもとより、これを推知させるような事項も明らかにしないようにしている。3.矯正施設での処遇
(1)少年鑑別所
少年鑑別所は、主として、観護の措置として送致された少年の身柄を確保するとともに、家庭裁判所の審判及び保護処分の執行に役立てるための少年の資質鑑別を実施することを目的とする。少年に対する処遇の基本方針は、その者を明るく静かな環境に置き、安心して審判を受けられるようにすることである。そのため、入所当初は原則として単独室に収容することとし、その後、集団生活が可能と判断され、共同室に収容する場合にも、年齢や身分、交友関係等の身上関係を総合的にしんしゃくして居室を指定するほか、規律の維持又は衛生上問題がないものについては、自弁物品の使用を認めるなど、少年の人権に配慮し、その尊厳及び価値を尊重した取扱いをすることにより、最大限、少年のプライバシー保護に努めている。
少年の処遇は、入所時の調査に基づいて計画的に行われ、入所時に少年に対し観護の措置について説示するとともに、所内生活への適応を促すために必要な事項を知らしめ、安心感と信頼感を与えた上で、運動、音楽、読書、テレビ視聴等の日課を実施して、少年の心情の安定に努めている。このような環境の中で、適切な行動観察を実施し、その結果を鑑別の基礎資料として有効に活用しつつ、少年の保護・矯正の具体的方法を示す鑑別結果通知書の内容の充実化を図ることにより、少年の問題性の除去並びに社会復帰の円滑化に資するよう努めている。(2)少年院
少年院における処遇は、明るい環境の下に、規律ある生活の中で、個々の少年の社会不適応の原因を除去するとともに長所を助成し、心身ともに健全な少年の育成を目的として行われる。少年院に入院した少年は、通常個室に収容され、落ち着いた環境の中で心身の状況等の身上に関する調査を行い、最も効果的な教育プログラムが作成される。その後、集団室での処遇に移行する場合があるが、その場合も個人用のロッカー、衣類・寝具、生活用品、学習用品等が給貸与され、必要に応じて自弁の物品の使用もできる等、少年のプライバシーを十分に尊重した環境を用意している。
少年院では、在院少年を社会生活に適応させるため、その自覚に訴え、規律ある生活の下に、矯正教育として教科教育並びに職業の補導、適当な訓練及び医療を授けるものとされている。
少年の処遇は、個々の少年の年齢、心身の発達の状況、非行の態様及び進度、家族関係等の保護状況、社会での交友の様子等を考慮しながら、社会生活に適応し、社会において建設的な役割を担えるようにすることを目的として、その少年に最もふさわしい教育プログラムを作成し、個別面接、集会活動等を積極的に取り入れた生活指導、中学校・高等学校教育及び大学入学資格検定等に係る教科教育、種々の資格取得が可能な職業補導、各種診療科目の医療措置、薬物乱用等の個々の問題性に対する問題群別指導等の処遇を実施している。
さらに、集団生活を通じて、他の者の人権や基本的自由を尊重しながら、社会生活において必要とされる他人との協調性を身に付けさせることや、社会生活における自己の役割を洞察させる指導等も併せて実施しており、人の尊厳及び価値についての意識の確立を促進している。(3)拘置所等
拘置監に勾留された少年については、少年法上、成人の被収容者と分離する必要があるため、なるべく単独室に収容し、成人との接触を極力控えることとなるよう配慮しているほか、少年のみで集団室に収容する場合にも、その者の犯罪内容、性格、年齢等を考慮して同一室に収容する者を決定するなど、各処遇場面において配意しており、少年のプライバシーについては、拘禁の目的に反したり、行刑施設内の規律及び秩序の維持に支障がない限り、十分に尊重しているところである。(4)少年刑務所
刑事罰を科せられたことにより、少年刑務所に収容された少年の処遇に当たっては、懲役刑の執行を受ける者につき、所定の作業を課すとともに、それぞれの対象者の年齢、実質的な心身の発達の状況、資質等を考慮に入れて、その対象者が社会生活に適応するために必要な生活指導、教科教育、職業訓練、医療措置等の処遇を行うこととしているが、その詳細は、暴力団からの離脱指導、視聴覚教材の活用や民間協力者との面接による生活指導等、義務教育未修了者に対する教科教育及び希望する者に対する通信教育制度等を活用した高等教育課程への就学支援、有用な資格・技術の取得を目的とした職業訓練の積極的な運用、心身の疾病や薬物中毒により医療措置を要する者に対する医療専門施設等での治療・処遇等である。
なお、集団室に収容する場合における少年のプライバシーについては、拘置監に収容されている者と同様に十分に尊重していることは言うまでもない。4.保護観察
保護観察は、犯罪を犯した人や非行に陥った少年を、通常の社会の中で生活させながら、その者に一定の遵守事項を守ることを義務づけ、これを守るように指導監督するとともに、就職を援助したり、社会・家庭生活等について助言するなどの補導援護を行うことによって、その改善更生を図ろうとするものである。なお、保護観察は保護観察所において実施される。
保護観察の対象となる少年には、主に以下の2種類がある。
○家庭裁判所の決定により保護観察に付された少年(少年法第24条1項1号、犯罪者予防更生法第33条1項1号)
○家庭裁判所の決定により少年院に収容され、一定期間矯正教育を受けた後、仮退院を許された少年(犯罪者予防更生法第33条1項2号)保護観察の措置は、本人の改善及び更生のために必要かつ相当な限度において行うものとし、その実施に当たっては本人の年齢、経歴、心身の状況、家庭、交友その他の環境等を十分に考慮して、その者にもっともふさわしい方法で行うことが意図されるほか、次のような配慮がなされている。
(1)特別遵守事項
家庭裁判所において保護観察に付された場合には、保護観察所の長が、少年院から仮退院を許す場合には地方更生保護委員会が、それぞれ一般遵守事項のほかに本人の問題、特性等を個別に勘案した特別の遵守事項を定めることとされているが、その設定に当たっては、本人が遵守することが可能で、かつ本人の自由を不当に制限しないよう配慮している。
(2)保護観察の内容
一部の保護観察少年については、社会奉仕などの課題を自ら選択させ、その遂行を援助して少年が社会において有用な役割を果たし得る自覚を持たせるように努めている。
(3)保護観察の期間
少年の保護観察の法律上の期間は、家庭裁判所において保護観察に付された場合も、また少年院を仮退院して保護観察に付された場合においても、原則として満20歳に達するまでであるが、実際においては、事案の内容、程度に応じ、一定の期間遵守事項を守るなど成績が良好な場合には、当該保護観察を早期に解除する運用がなされている。
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