b)弁護人その他の適切な支援を行う者と速やかに接触する権利を有し、裁判所その他の権限のある独立かつ公平な当局において、その自由の剥奪の合法性を争い、並びにこれについての迅速な決定を受ける権利を有する可能性。
(回答)
1.まず、条約第37条(d)の規定する「弁護人その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利」は以下のとおり確保されている。
我が国においては、憲法第34条及び第37条第3項を受けて、刑事訴訟法第30条第1項は、被告人及び被疑者に弁護人選任権を認めており、刑事訴訟手続の過程で拘留中の場合においても、弁護人を選任し、弁護人と連絡をとることが認められている。また、少年法第10条第1項は少年及びその保護者に附添人選任権を認めており、少年審判手続の過程で拘留中の場合においても、附添人を選任し、附添人と連絡をとることが認められている。
2.次に、条約第37条(d)の規定する「裁判所その他の権限ある、独立の、かつ、公平な当局においてその自由の剥奪の合法性を争い並びにこれについての決定を速やかに受ける権利」は以下のとおり確保されている。
(1)刑事訴訟法上、裁判官・裁判所が勾留に関して行った裁判に対して不服がある者は、起訴前、起訴後を問わず不服を申し立てて再審査を求めることができる(準抗告(同法第429条第1項第2号)、抗告(同法第419条))。また、再審査の結果に対し不服がある者は、憲法違反、判例違反を理由とする場合、最高裁判所に対し特別抗告ができる(同法第433条第1項)。
また、同法によれば、被告人は上訴権を有し(同法第351条第1項)、第一審の判決に対し訴訟手続の法令違反、法令の適用の誤り等を理由として高等裁判所に控訴できる(同法第372条、第377条ないし第382条、第383条、第384条、裁判所法第16条1号)ほか、憲法違反、最高裁の判例違反等を理由として最高裁判所に上告できる(刑事訴訟法第405条、第406条)。
(2)また、少年法は、保護処分の決定に対し、法令の違反、重大な事実誤認、処分の著しい不当を理由として抗告を認めており(同法第32条)、また、憲法違反、最高裁の判例違反等を理由とする再抗告をも認めている(同法第35条第1項)。
(3)さらに、人身保護法は、法律上正当な手続によらないで身体の自由を拘束されている者は同法の定めるところによりその救済を請求することができる旨規定している(同法第2条)。