32.23条の観点から、障害を持った児童を可能な限り社会に統合し、個人の発達をはかるため、政府によって取られた施策を示されたい。
(回答)
1.障害児関連福祉施策
障害を持つ児童に対する施設福祉施策としては、精神薄弱児施設、精神薄弱児通園施設、自閉症児施設、盲ろうあ児施設、難聴幼児通園施設、肢体不自由児施設、肢体不自由児通園施設、重症心身障害児施設等により、個々の障害児に応じ、介護サービスとともに、個人としての成長及び社会的自立を促進するための指導が行われており、国はこうした施設に対し、施設整備及び運営費の助成を行っている。
また、在宅の障害児に対しては、通園の方法により障害児に対し日常生活における基本的動作等の指導を行うデイサービス事業や、障害児施設職員等の障害児療育の専門家が障害児の家庭を訪問するなどして障害児の療育相談に応ずる事業、障害児を短期間障害児施設に預かり必要な療育指導を行う事業などがあり、こうした事業に対し、国は運営費の助成を行っている。
2.障害児教育
(1)国全体の長期的障害者施策を示した「新長期計画(1993年度ー2002年度)」及び「障害者プラン~ノーマライゼーション7か年戦略~(1995年度ー2002年度」において、盲・聾・養護学校や特殊学級における教育が、障害児の社会的自立に向けた基盤作りとして行われている。
(2)障害があることにより、通常の学校教育を受けることができない、あるいはその指導だけでは能力を十分に伸ばすことが困難な児童生徒については、その可能性を最大限に伸ばし、社会的な自立や参加を可能な限り実現するため、障害の種類・程度に応じた対応をしている。即ち、障害の程度の重い児童生徒については盲・聾・養護学校において、障害の程度が比較的軽い児童生徒については小・中学校の特殊学級において、障害に応じた教育課程、少人数の学級編制、専門性のある教職員、障害に配慮した施設設備等により適切な教育を行っているところである。
義務教育段階である盲・聾・養護学校の小・中学部については、障害の状態が重度であったり複合していることから通学が困難なものに対しては、教員を派遣して指導を行う訪問教育を実施してきているところである。1997年5月1日現在、訪問教育を受けている児童生徒数は、小学部1,815人、中学部1,069人である。
義務教育段階でない盲・聾・養護学校の高等部における訪問教育については、1997年4月より試行的に実施しており、32都道府県において164人が指導を受けているところである。
(3)また、障害児と小・中学生や地域社会の人々が活動を共にする交流教育も行われており、障害のある児童生徒の経験を広めるとともに、他の児童生徒や社会全体が障害のある児童生徒への理解と認識を深める上で大切であることから、その推進を図っているところである。
3.障害児関連雇用・職業訓練
障害者の雇用の促進等に関する法律、職業能力開発促進法等に基づき、公共職業安定所、障害者職業センター、公共職業能力開発施設等において、必要な調整を行った上で就業を希望するすべての障害者に対して職業指導、職業紹介、職業訓練等を実施しているところである。