外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 外交政策 人権・人道
人権・人道

25.特に家庭、矯正施設等において、体罰の法的禁止が完全に尊重されているか否かを示されたい。

(回答)
1.家庭
 我が国では、親権者には親権に服する子を監護教育する権利及び義務があり、子の監護教育の目的のため必要な範囲内で懲戒をすることが認められている(民法第822条)。しかし、ここでいう懲戒権の行使は社会通念上相当な範囲を超えるものであってならない。特に人身の自由は基本的人権の一つとして憲法の保障するところであり、本条約の趣旨に照らしても、児童の最善の利益を尊重する態度が必要である。以上の点から、法務省の人権擁護機関では、懲戒の方法・程度が社会通念上相当な範囲を超える、いわゆる体罰に当たるものは決して許されないものと認識し、体罰を受けた児童が法務省の人権擁護機関に被害救済を求めることができる制度を設けている。例えば、被害にあった児童等からの「申告」、新聞・雑誌からの「情報」を端緒として人権侵犯事件として調査を開始し、その調査結果に基づいて、虐待を行った者に対して、子どもを独立した人格として尊重するよう啓発を行い、再び虐待を繰り返さないよう説諭(説示)しており、説諭しても虐待が止まないときは、児童相談所に通報し、一時保護等の適切な措置を講じるよう要請している。
 なお、地域に密着した人権擁護委員の中から指名された「子どもの人権専門委員」は「子どもの人権相談所」、「子どもの人権110番」を開設し、法務局と連携の上、子どもの人権問題全般の解決に取り組んでいる。

2.矯正施設
 我が国の矯正施設において、少年に対する体罰は、公務員による拷問及び残虐な刑罰を禁ずる日本国憲法第36条の規定、公務員が職務を執行する上で法令に従うことを義務づける国家公務員法第98条第1項の規定、さらに、公務員の暴行陵虐行為を罰する刑法第195条の規定等に違反するものである。従って、少年の処遇に当たる矯正職員は、これらの規定を誠実に遵守して職務を執行している。仮に、矯正職員が被収容少年に対して違法な有形力を行使する事案が惹起されることがあれば、その矯正職員は国家公務員法に基づく懲戒処分等に付され(国家公務員法第82条)、場合によっては、当該矯正職員は刑法第195条により処罰されることとなる。
 なお、体罰等少年に対する残虐かつ非人道的な取扱いを行うことがないよう、各矯正施設、矯正職員の研修専門機関である矯正研修所及びその支所において職員に研修等を行っており、常日頃から職員の注意の喚起に努めている。

3.児童福祉施設
 我が国では、児童福祉法の規定に基づき、保護者のない児童等を入所させ、これを養護し、あわせてその自立を支援する児童養護施設をはじめ各種の児童福祉施設が設置されている。同施設内における体罰等については、児童の権利を擁護するため、児童福祉法に基づく児童福祉施設最低基準に新たに懲戒に係る権限の濫用禁止に関する規定を設けたところであり(1998年4月1日施行)、施設長がこの最低基準に違反し、懲戒に係る権限を濫用した場合には、厚生大臣又は都道府県知事は、改善命令又は事業停止命令を行うことができることとされている(児童福祉法第46条)。
 また、児童福祉法上、施設が児童福祉法等に違反したときは、都道府県知事は当該施設の認可を取り消すこともできることとされている(同法第58条)。
 なお、仮に施設職員による体罰があった場合に、それが刑法上の暴行罪や傷害罪等の構成要件に該当するときは、当然、刑法に規定された処罰の対象となる。

4.学校
 学校における体罰については、学校教育法第11条において厳に禁止されているところであり、また、児童に対する懲戒を行う際には教育上必要な配慮をしなければならないとされている(同法施行規則第13条)。仮に、このような法令に反した違法な懲戒が行われた場合には、校長又は教員が公務員法上の懲戒処分を受けることがあり(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)、体罰の態様が刑法上の暴行罪や傷害罪等の構成要件に該当するときは、当然、刑法に規定された処罰の対象となる。更に、体罰により児童が身体的、精神的苦痛を受けた場合は、民事上の損害賠償請求の手段もとりうる。
 また、文部省は、教師向けの生徒指導資料において児童に対する懲戒を行う際の留意点について示し、「生徒に懲戒権の措置をとる場合には、問題の背景など生徒の個々の事情にも十分留意し、当該措置が単なる制裁にとどまることなく真に教育的効果をもつものとなるよう配慮する」旨指導するなど、学校における懲戒が適切に行われるよう努めている。


BACK / FORWARD / 目次

外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省