24.第37条(a)の観点から、児童に対する拷問その他の残酷な、非人間的なあるいは下劣な扱い又は処罰を防止し、禁止するための計画されたあるいは既にとられた法的な又はその他の施策に関する情報を述べられたい。
また、この観点から、39条の規定履行のために割り当てられた資源について示されたい。
(回答)
1.憲法13条は「すべての国民は個人として尊重され、生命、自由及び幸福追求に対する国民の福祉については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」としており、同法36条は「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁止する」とし、また同法38条1項は「何人も自己に不利益な供述を強要されない」と定めている。この憲法の下にあって、刑法は、公務員職権濫用(193条)、特別公務員職権濫用(194条)、特別公務員暴行陵虐(195条)等の罪を定め、裁判、検察、警察、行刑等の職員が、刑事被告人、法令により拘禁されている者に対し暴行、陵虐行為を行うことを刑罰をもって禁止しているとともに、公務員が他人に義務のないことをさせたり、また権利を妨害することを処罰することとしているほか、被収容者に対して違法な有形力を行使する事案が惹起されることがあれば、それらの事案に対しては、国家公務員法及び地方公務員法に基づく懲戒処分等に付されることとなる。
刑事手続においては、憲法38条2項は「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く勾留若しくは拘禁された後の自白はこれを証拠とすることができない」とし、また刑事訴訟法319条1項は「強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑いのある自白は、これを証拠とすることができない」として、任意性に疑いのある自白を排除し、このような行為が行われることのないように証拠法の面からも保障している。
2.なお、少年審判手続についてみると、刑法の公務員職権濫用罪(193条)の主体には、家庭裁判所の調査官などが含まれ、特別公務員職権濫用罪(194条)及び特別公務員暴行陵虐罪(195条)の主体には家庭裁判所の裁判官が含まれる。また非行事実の認定に当たっては任意性に疑いのある自白は排除される。
捜査機関における取調べに当たっては、常に任意性の確保に努めつつ、関係法令に従った適正手続きにより、事案の真相、真実の発見に努めている。特に、少年については、少年の年齢、性格、経歴等を勘案し、少年の特性や心情に配慮した取調べを行っている。
このように、憲法の精神は少年審判手続にも及んでいると解されるので、我が国においては、いかなる児童も拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けないように保障されている。
3.この他、「子どもの人権専門委員」が、「子どもの人権相談所」、「子どもの人権110番」を開設して児童の人権相談に応じているが、ここで児童が非人道的な扱いを受け、その人権が侵害されているおそれがあると認める場合には、法務局と連携・協力して適切な措置を講じている。(「子どもの人権専門委員」の予算等に関する詳細な情報については設問7の回答参照)。