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A.教育(含む職業指導)(第28条) (a)幼稚園教育(就学前教育)
215.幼稚園は、幼児(3歳~5歳児)を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とした学校である。幼稚園は、就学前の幼児を保育することを目的としているため、義務教育ではないが、1994年現在、約6割の5歳児が幼稚園に入園している(保育所も含めれば全体の約9割の5歳児が幼稚園又は保育所のいずれかに通っている)。幼児期における教育の重要性を考慮すれば、希望するすべての3歳~5歳児が幼稚園教育の機会を与えられることが望ましく、このため、公立及び私立を通じて適切な幼稚園の整備に努めるとともに、幼稚園に就園する幼児の保護者に対して、その経済的負担の軽減を図ることを目的とした幼稚園就園奨励費を支給する事業を実施しており、幼稚園教育の一層の普及に努めている。
(b)義務教育(初等教育及び前期中等教育)
216.我が国では、満6歳から満15歳までの児童は、小学校及び中学校に就学することとされている。なお、我が国に在住する外国籍又は無国籍の児童には就学義務はないが希望すれば、同様の機会が与えられている。小学校は満6歳から満12歳までの児童に対し、心身の発達に応じて6年間の初等普通教育を施すことを目的としている。中学校は、満12歳から満15歳までの児童に対し、小学校における教育の基礎の上に心身の発達に応じて、3年間の中等教育を施すことを目的としている。217.国公立の学校における義務教育は無償であり、義務教育において使用される教科書は、国公立のみならず、私立の小・中学校の児童生徒に対しても、国が無償で給与している。また、市町村においては、経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対し、必要な援助を与えなければならないと定め(学校教育法第25条、第40条)、義務教育の円滑な実施を図ることとしている。国としては、「就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律」により、経済的理由によって就学困難な児童及び生徒について学用品を給与する等就学奨励を行う市町村に対し、国が必要な援助を与えることによって、義務教育の円滑な実施に資することとしている。これらの義務教育の無償などの措置については、外国児童に対しても同様にとられている。
なお、我が国においては、初等中等教育について、全国的に一定の教育水準を維持し、憲法で保障している教育の機会均等を実質的に確保するため、学校で編成する教育課程の基準を定めている。教科等の種類とそれに充てる年間の標準時間数等については、学校教育法施行規則(文部省令)で定めている。また、各教科等の教育内容については、学習指導要領(文部大臣告示)で大綱的な基準を定めている。(c)後期中等教育
218.高等学校は、高等普通教育及び専門教育を施す後期中等教育機関である。高等学校へは、学校教育法の下、中学校若しくはこれに準ずる学校を卒業した者又は監督庁の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められた者は、すべて性、人種、国籍等によるいかなる差別もなく、入学資格が認められている。
また、我が国では、必要な場合における財政的援助の提供として、育英奨学等これらに対する経済的な援助を行う等、後期中等教育の機会の確保のための適切な措置をとっているところであり、1995年現在、高等学校への進学率は約97%に達している。(d)高等教育
219.高等教育機関である大学への入学資格は、学校教育法により、高等学校を卒業した者若しくは通常の課程による12年の学校教育を終了した者又は監督庁の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められた者に対して、性、人種、国籍等いかなる差別もなく認められている。また、放送等を効果的に活用した新しい教育システムの大学教育を推進することによって、レベルの高い教育・学習の機会を広く国民に提供することを目的として、1983年に設立された放送大学では、テレビ・ラジオを中心とした多様なメディアを効果的に利用した高等教育を実施している。更に、優れた学生及び生徒であって、経済的理由により就学困難がある者に対し、日本育英会は、日本育英会法に基づき、学資の貸与を行っている。また、日本育英会のほか、地方公共団体、公益法人等においても奨学事業を行っている。更に、国公私立大学では、学生の経済状況等により、授業料の減免が行われている。
(e)教育及び職業に関する情報の利用
220.学校においては、生徒が自らの生き方、将来に対する目的意識を持ち、自分の意思と責任で進路を決定する能力・態度を身につけることができるよう、指導援助、すなわち、進路指導を行っている。進路指導を行うに当たっては、教育活動の全体を通じて生徒の能力・適性等について的確に把握するとともに、進路に関する情報の収集・活用や啓発的活動の実施などを組織的・計画的に行うことが重要であり、各種研修の実施、進路指導資料の作成等の施策を実施している。
221.また、公共職業安定所は、学校と協力し、学校の行う進路指導との有機的関連を保ちつつ、新規学校卒業者が、適性と能力に応じた職業選択ができるよう計画的な職業指導を行っている。その内容は、適性能力の把握と自己理解の促進のための一般職業適性検査、職業レディネス・テスト(中学校を除く)の実施、各種職業情報の提供、職業講話、職業相談の実施である。
(f)定期的な登校の奨励
222.我が国では、義務教育の不就学をなくすため、市町村教育委員会は義務教育相当年齢の児童生徒を学齢簿に記載し、その入学時に保護者に対し就学すべき学校を指定して通知している。また、校長が在学児童生徒の出席状況を把握し、適切な指導を行うとともに、正当な理由がなく、出席状況が良好でない場合には、市町村教育委員会から児童生徒の保護者に出席の督促を行うこととなっている。
223.一方、主として心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない(病気や経済的な理由によるものを除く)状況にある、いわゆる登校拒否の児童生徒数が年々増加している。政府では、この問題の解決のため、学校においては、一人一人の児童に対する理解を深め、個性を尊重し、指導を行うよう教育委員会を指導している。また、教員の資質能力の向上、教育相談体制の整備、家庭・学校・地域社会の連携の推進という観点から、各種の施策を推進している。
224.高等学校の中途退学については、政府としては、(i)生徒選択中心の教育課 程を編成するなど高等学校教育の多様化、弾力化、個性化の推進、(ii)「参加する授業」「分かる授業」の徹底等個に応じた手厚い指導を行うこと、(iii)積極的な進路変更を可能とするため転編入学の積極的受入れ、転校・転科許可の弾力化など開かれた高等学校教育の仕組みを整えること等の総合的、積極的な取組を行うよう教育委員会等を指導しているところである。また、生徒一人一人を大切にし、個性を生かす教育の推進、教員の資質能力の向上、教育相談体制の整備という観点から、各種施策を推進している。
(g)いじめ問題への対応
225.我が国では、昨今、児童生徒のいじめ問題が深刻化しており、いじめが関係したと考えられる自殺が発生するなど憂慮すべき状況にある。この問題は、児童生徒の人権にも関わる重大な問題であり、文部省では、「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識に立ち、学校においてその解決のため真剣に取り組むよう教育委員会等を指導している。また、児童一人一人を大切にし、個性を生かす教育の推進、教員の資質能力の向上、学校外の高度な専門家の学校への配置を進めるなど、教育相談体制の整備、家庭、学校、地域社会の連携の推進という観点から各種施策を推進しているほか、教育活動の全体を通じて、生命及び人権尊重の精神の指導の徹底を図っている。
また、この問題に対しては、他の関係省庁も連携して相談体制の充実や広報活動の強化を図るなどの施策を行っているところである。例えば、法務省の人権擁護機関においては、1996年度啓発活動重点目標を「子どもの人権を守ろうー「いじめ」/しない、させない、見逃さないー」と定め、学校、家庭及び地域社会とも連携を図り、全国的な啓発活動を展開している。更に、警察においても、いじめ事案の早期把握に努め、事案の真相究明の徹底による加害少年に対する適切な処遇を図るとともに、被害少年の性格、環境、精神的打撃の程度等に応じたきめ細かいフォローアップの実施等により、いじめ事案の早期解決と再発防止に努めている。(h)学校の規律
226.政府は、校則に関し、児童生徒等の実態、保護者の考え方、地域の実情等を踏まえ、より適切なものとなるよう引き続き配慮することについて、教育関係機関に通知したところである。また、我が国においては、学校において、教育上必要があると認められるときには、児童生徒に対し懲戒を加えることができるものとされているが、政府としては、懲戒を行うに当たっては、教育上必要かどうかの観点から慎重に検討して行うとともに、当該児童生徒から事情や意見を十分聴取する聴く機会をもつなど児童生徒の個々の状況に十分に留意し、その措置が単なる制裁にとどまることなく真に教育的効果を持つものとなるよう配慮することについて、教育関係機関に通知したところである。
227.我が国では、体罰は学校教育法第11条により厳に禁止されているところであり、文部省では、この法律の趣旨が実現されるようにあらゆる機会を通じて教育関係機関を指導している。
また、法務省の人権擁護機関でも、体罰に関する情報を得た場合には、児童の基本的人権を擁護するという立場から、関係者から事情聴取する等して事実の調査を行い、その結果に基づいて、体罰を加えた教師及び学校長等に対し、人権思想の啓発(「説示」又は「勧告」)や再発防止の方策を要望する等の措置をとっている。更に、学校、地域社会等とも連携を図り、啓発活動を行っている。1994年、95年における人権侵犯事件数(それぞれ16,035件、16,296件)のうち、体罰事件の件数は、それぞれ89件、111件であった。(i)国際協力
228.我が国は、教育の完全普及に関するアジア・太平洋地域事業計画(APPEAL)に協力して、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)に対して識字教育信託基金を拠出し(1995年度においては、70万ドル)、また、アジア・太平洋地域教育開発計画(APEID)の下で研修セミナーを開催するなど国際連合教育科学文化機関(UNESCO)事業への協力を行っているほか、ユネスコ・アジア文化センターの識字教材開発事業等への助成を行っている。これらの事業等により、開発途上国への我が国専門家の派遣、途上国からの専門家の受入れを積極的に行っている。更に、開発途上国における教育の普及のために(社)日本ユネスコ協会連盟が行う民間の国際協力事業に対し、種々の支援を行っている。
229.また、教育の分野では、開発途上国に対し、主として無償資金協力により小中学校・社会教育施設の建設、放送教育の拡充、教員の養成等をすすめ、また、教育機材供与等の文化無償協力を行っている。更に、1995年度には、国連児童基金(UNICEF)のアジア諸国に対する女児教育プロジェクトに対し、約100万ドルを拠出した。
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