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人権・人道

J.利用可能な手段の最大限の範囲内でとられた児童の経済的、社会的、文化的権利を実現するための措置

児童のための社会的支出に向けられた予算

32.2000年度の我が国政府の一般会計予算(国債費を除く。当初予算ベース)は63兆218億円であり、この8.4%を占める約5兆2,688億円が青少年対策関係予算に割り当てられており、この条約に掲げられている児童の権利の実現に必要な資源が適正に配分されていると考えられている。
 このうち、健康関係分野では、健康増進及びスポーツ普及振興、母子保健対策のために約175億円が、教育関係分野では、学習活動の奨励、家庭教育の振興、学校教育関連施策、青少年の職業訓練等のために約3兆4,983億円が、社会サービス分野では、保育対策、母子福祉対策、心身障害児対策、児童手当、児童福祉施設整備等のために約7,283億円がそれぞれ割り当てられている。
 なお、以上の予算額は、児童を含む青少年の育成に直接的あるいは間接的に関わるものとしてまとめた予算である。また、その中には、全ての年齢者を対象としており青少年に関する予算部分を切り分けることが困難な予算を含んでいる。
 地方公共団体の予算内訳の詳細については、政府としてその全てを把握してはいないが、より現場に近い地方公共団体においても中央省庁における予算措置と同様、児童の権利条約第4条の趣旨に鑑み、児童のために利用可能な最大限の資源配分がなされているものと承知している。

児童関連予算の動向

33.内閣府が取りまとめている前述の「青少年対策関係予算」の動向は下表のとおりである。

(資料)青少年対策関係予算
年度 予算額(当初予算)(千円) 青少年対策関係予算(千円) 割合(%)
1996 58,729,726,369 5,155,480,507 8.8
1997 60,587,675,115 5,218,009,563 8.6
1998 60,406,363,032 5,177,290,727 8.6
1999 62,028,199,364 5,216,162,314 8.4
2000 63,021,711,948 5,268,780,743 8.4
*国債費を除く。
*1996年度「青少年対策関係予算」は特別会計を含む。

予算決定における「児童の最善の利益」への考慮

34.近年我が国で進行している少子化が、子どもの健全な成長へ悪影響を与えること等に鑑み、2000年度からの5カ年計画である「新エンゼルプラン」を策定した。
 新エンゼルプランは、保育サービス等子育て支援サービスの充実や仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備など少子化対策の具体的実施計画として策定されたものであり、このプランに基づき、保育サービスの充実や放課後児童クラブの推進など、児童と家庭関連に重点的な予算配分を行っている。

社会サービスの提供に関連し、地域・グループ間の不均衡の是正

35.新エンゼルプランに基づき保育所の低年齢児受入れの拡大や延長保育、休日保育の推進、放課後児童クラブの推進など保育サービス等子育て支援サービスの充実等の取り組みにより、全国的な子育て支援策の質及び量の拡充を推進している。

児童の経済政策から受ける不利な影響からの保護

36.(1)我が国では、児童の養育に係る社会給付として、児童手当と児童扶養手当がある。
 児童手当制度は、児童の養育に伴う家計の負担を軽減し、家庭生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健全な育成と資質の向上に資することを目的として、1972年度から実施されている。本制度については、2000年、最近の出生率の低下など、児童や家庭を取り巻く環境の変化を踏まえ、子育て家庭の経済的支援を目的として、支給対象年齢を義務教育就学前(6歳到達後最初の年度末まで)に拡大する改正が行われた。
 離婚による母子世帯等、父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について手当てを支給し、福祉の増進を図ることを目的として、児童扶養手当を支給している。
 児童手当と児童扶養手当の給付については、適用対象となる児童を監護する者等受給資格者の扶養親族等の有無及び数に応じて政令で定める所得制限限度額に従って支給されることとなっている。

(2)困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対する一般法として生活保護法があり、保護は、世帯を単位として、厚生労働大臣の定める基準により測定した需要に収入等が不足する部分を補う程度において行われる。生活扶助は、衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なものの範囲内において、住宅扶助は、住居、補修その他住宅の維持のために必要なものの範囲内において、金銭給付又は必要があるときは現物給付によって行われる。

(児童手当概要)
支給対象児童 第1子以降の児童
支給期間 義務教育就学前の児童
手当額(月額) 第1子、第2子  5,000円
第3子以降   10,000円
所得制限 415万円(4人世帯・所得ベース)
(2001年6月から)
特例給付 所得制限により手当を受けられなくなる被用者又は公務員のうち、所得が一定額以上の者について、事業主又は所属庁等の負担による児童手当と同額の給付が行われる。所得制限は574万円(4人世帯・所得ベース)(2001年6月から)
支給対象児童数 2,407,489人(2000年2月末日現在)

(児童扶養手当概要)
支給対象児童 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(障害児の場合は20歳未満)を監護、養育している生別の母子世帯等の母又は養育者
手当額(月額) 児童1人の場合
(全部支給)42,370円
(一部支給)28,350円(1999年4月から)
児童2人の場合 5,000円加算
児童3人の場合 1人につき3,000円加算
受給対象児童数 約102万人(2000年3月末日現在)

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