E.条約の原則及び規定が司法決定の際に適用された例
10.法令等について児童の権利条約違反が当事者から主張された裁判例はいくつかあるが、児童の権利条約に違反する旨の判断を示した判例はこれまでのところない。
11.児童の権利条約に関する判例としては以下のようなものがある。
性的表現を有するコンピューターソフトを含むフロッピーディスクに関して、県知事が一定の図書等を有害図書として指定するなどし、有害図書類については、青少年に対する販売等が許されない旨を定めた条例が、憲法、児童の権利条約等に違反するか否か争われた例。(判決は、同条約が、未成熟な青少年の健全な育成に有害である図書類を全く無視して、青少年にあらゆる情報を受ける自由を保障することまで規定したものではなく、また、それを全て親権者等に委ね、如何なる事態に至ろうとも締約国が規制することを禁止したものと解釈することはできないことは明らかであり、更に同条約13条2項但書にいう「法律」は国会により制定される法律のみを指すものではなく、法律の範囲内において地方自治体の議会により制定される条例も含まれるので、本件条例は同条約に反しないとしている。)(1995年、福岡高裁宮崎支部)
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