2.TICAD プロセス

(1)TICAD Ⅳフォローアップ

日本の対アフリカ外交は、TICADプロセスを基軸としており、2008年5月に横浜でTICAD Ⅳ注1を開催した。同会議では、多数の支援策が「横浜行動計画」として発出され、同行動計画の履行状況をモニターするフォローアップ・メカニズムが創設された。

2009年、日本は、TICAD Ⅳで打ち出した支援策を着実に実施するとともに、フォローアップ・メカニズムを適切に運用し、国際社会の対アフリカ支援を力強く推進した。

外務省アフリカ審議官組織に設置されたTICADフォローアップ事務局は、TICADプロセスに参画する開発パートナーから、「横浜行動計画」の進捗(ちょく)情報を収集し、2月の事務レベルのモニタリング合同委員会を経て、年次進捗報告書2008年版を作成・公表注2した。

また、3月には、南部アフリカのボツワナにて、第1回TICAD閣僚級フォローアップ会合を開催し、「横浜行動計画」の履行状況に加え、当時世界を席巻(せっけん)した金融・経済危機のアフリカへの影響と対応策を閣僚レベルで議論した。同会合には、68か国(うちアフリカから、48か国、37名の閣僚級が参加)、44の地域・国際機関、5のNGO、民間セクター等総勢約430名が参加した。日本からは、中曽根外務大臣、御法川信英外務大臣政務官が出席し、それぞれボツワナ政府及びTICAD共催者(国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行)とともに共同議長を務めた。また、福田特派大使(前総理大臣)が開会式で挨拶を行った。

同会合では、多くのアフリカ諸国から、日本のこれまでの「横浜行動計画」の履行状況及びTICAD Ⅳでの公約を必ず実行するとの決意表明が高く評価された。また、世界経済・金融危機がアフリカの経済成長及びMDGsの達成を後退させぬよう一層の支援の必要性が強調された。これを受け、麻生総理大臣は4月のG20ロンドン・サミット(於:英国)において、アフリカへの支援強化を各国首脳に呼びかけた。

(2)TICAD Ⅳの公約実現に向けて

日本は、第1回TICAD閣僚級フォローアップ会合後も引き続き、アフリカ向けODA倍増及び民間投資倍増支援等のTICADⅣの公約を実現するため、積極的に取り組んだ。

例えば、日本の支援策の具体化・実施に向け、アフリカのインフラ、農業、保健、教育、水・衛生等各分野で130件以上の協力準備調査を実施した。

また、アフリカとのビジネス促進のため、6月に、アフリカの観光開発に向けた官民の取組を議論する「第5回アフリカ・アジア・ビジネス・フォーラム(AABF Ⅴ)」をウガンダにおいて開催した。同フォーラムには、アフリカから29か国、アジア・中東から6か国の約330名が参加し、日本からは、橋本外務副大臣が出席した。

さらに、11月に東京にてアフリカ7か国注3の商工会議所会頭や投資促進公社代表などを招待した「第2回アフリカ貿易・投資促進シンポジウム」を開催したほか、10月の「アフリカ官民連携実務者セミナー」、2010年1月の官民連携実務者スタディ・ツアーのザンビア・モザンビークへの派遣等を通じ、官民連携具体化のための案件形成に資する取組を強化した。

アフリカ開発の国際的枠組み
アフリカ開発の国際的枠組み

(注1)外務省ホームページ「第4回アフリカ開発会議(TICADⅣ)」を参照。

(注2)外務省ホームページ「TICADⅣ進捗状況 TICADⅣ年次進捗報告書2008年版」を参照。

(注3)ベナン、ガボン、コートジボワール、ジブチ、マラウイ、ルワンダ、ジンバブエ。