2. |
文化外交 |
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文化事業 |
諸外国における日本の理解を深め、良好な対外関係を維持・促進するために、外務省では、在外公館や国際交流基金を通じて、日本の文化や価値観を紹介する事業を積極的に実施している。近年は、伝統芸術分野に加え、世界的に人気が急上昇しているアニメ・マンガ等のいわゆるポップカルチャーも文化外交の主要なツールとして活用している。
その一つとして、2008年から「アニメ文化大使」事業(注5)が始まった。これは、日本のアニメ作品を海外で上映し、日本アニメへの関心を日本そのものへの関心につなげることをねらいとしたもので、3月、「ドラえもん」に高村外務大臣から「アニメ文化大使」の就任要請書を手渡した。これに併せ、劇場版映画「ドラえもんのび太の恐竜2006」の字幕を英仏西中露の5か国語で制作し、2009年2月末までに、世界65都市で合計116回上映した。
![]() 「アニメ文化大使」ドラえもんが在インドネシア日本国大使館にて記者会見(6月17日、インドネシア・ジャカルタ) |
ほかにも、2007年に創設した「国際漫画賞」(The International MANGA Award)も第2回を迎え、第1回のおよそ2.5倍に当たる46の国と地域から合わせて368作品の応募があった。9月2日には第2回授賞式(注6)が行われ、国際漫画賞実行委員会の委員長である高村外務大臣から国際漫画賞最優秀賞が授与された。
また、5月には東京において、福田総理大臣と胡錦濤(こきんとう)国家主席の立ち会いの下、「文化センターの設置に関する日本国政府と中華人民共和国との間の協定」が、高村外務大臣と孟暁駟(もうぎょうし)文化部副部長との間で署名された。この協定は、国際交流基金及び中国文化部が相手国の首都に文化センターを設置することを相互に承認するもので、今後これらの文化センターを通じた交流活動の促進が期待される。
![]() 第2回国際漫画賞授賞式(9月2日、東京)における高村外務大臣(左)及び最優秀賞受賞者(右) |
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(2) |
人物、教育分野での交流 |
人物交流は、異なる文化間の相互理解を増進し、諸外国との関係を強化する上で重要な施策である。外務省は「21世紀パートナーシップ促進招へい」によって、将来各界で指導的立場に就くことが有力視される人々を世界各国から毎年400人以上招へいしているほか、政府要人から青年に至る多様な人々を対象とする招へい事業を実施し、日本に対する正しい理解の増進に努めるとともに、知日家・親日家の育成を積極的に推進している。
イ |
JETプログラム(注7) |
2008年には、米国、英国を始めとする38か国から4,682人の外国青年を招致した。1987年からの参加者は累計5万人以上となっている。
![]() JET参加者による授業風景(2008年) |
ロ |
留学生交流 |
日本の高等教育機関で学ぶ外国人留学生の在籍者数は、2008年5月現在12万3,829人、日本語教育機関で学ぶ就学生は2007年7月現在3万1,663人と過去最高の水準に達している。2008年に策定された「留学生30万人計画」の骨子を受け、外務省としても留学生交流の促進を支援しており、日本への留学を積極的に広報するとともに、留学生が日本での学業を終えて帰国した後も、母国において知日家・親日家として活躍できるよう、各国にある「帰国留学生会」に対する支援(注8)を行っている。
![]() 元日本留学者の集い(11月、東京) |
ハ |
スポーツ交流 |
8月から9月にかけて開催された北京オリンピック・パラリンピックが世界中の注目を集めたように、スポーツは国境・民族を越えて広く親しまれており、国際交流の手段として効果が高い。2016年東京オリンピック・パラリンピック開催実現に向け、外務省としても招致活動を支援しているほか、柔道・空手・剣道など日本の伝統スポーツを始めとしたスポーツ分野での交流によって、対日理解促進・親日家育成の一層の推進を図っている。
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(注5) | 180ページのコラムを参照。 |
(注6) | [第2回国際漫画賞最優秀賞] 作家名:劉雲傑(LAU WAN KIT)(中国・香港) 作品名:FEEL 100%(百分百感覺) [第2回国際漫画賞優秀賞](その他の優秀な3作品) 作家名:尹川(YIN CHUAN)(中国) 作品名:逝 作家名:Chezhina Svetlana Igorevna(ロシア) 作品名:Portrait 作家名:Alice Picard(フランス) 作品名:Okheania |
(注7) | JETプログラム:「語学指導等を行う外国青年招致事業」(The Japan Exchange and Teaching Programme)は、日本の小中学校・高校における外国語教育の充実や、地域の国際交流の発展を図ることを目的として、日本の地方自治体を始め、外務省、総務省、文部科学省及び(財)自治体国際化協会(CLAIR)が協力して実施している。1987年に開始。詳細はhttp://www.mofa.go.jp/jet (外務省)又はhttp://jetprogramme.org/ ((財)自治体国際化協会)を参照。 |
(注8) | 名簿・会報の作成、懇談会開催などの帰国留学生相互のネットワーク形成を支援し、留学生会が実施する日本文化紹介事業を支援している。 |