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海外への情報発信 |
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海外広報 |
諸外国において、日本の外交政策のみならず社会や文化といった一般事情に対する国民の理解を深め、良好な対日認識を形成する観点から、外務省は海外における日本に関するイメージや関心の対象を調査・分析して各国別の広報戦略を策定し、効果的な情報発信に努めている。
2008年には、政府高官、国会議員、有力大学学長やシンクタンク所長等、各国における世論の形成に大きな影響力を有するオピニオン・リーダーを日本に招待し、政府関係者や有識者との意見交換等を通じて日本の政策や実情の紹介に役立てたほか、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)やG8北海道洞爺湖サミット等の機会をとらえて海外のテレビチームを招待し、日本の環境・気候変動問題への取組や一般事情を紹介する番組の制作を支援した。また、海外に日本の有識者を派遣し、日本の政治・経済や地球規模問題への取組等について政策広報の観点から講演会を行ったほか、在外公館によるメディアへの働き掛けなどを通じて日本に関する情報発信に努めた。
さらに、日本の外交政策や一般事情について幅広く紹介する印刷物資料や視聴覚資料を作成するとともに、インターネットを活用した海外への情報発信に力を入れている(注3)。
(2) |
諸外国における日本についての論調と海外メディアへの発信 |
2008年はTICAD IVやG8北海道洞爺湖サミットといった重要な首脳会合が日本で開催され、多数の海外メディアの関心が集中する機会をとらえて、戦略的、効果的な対外発信を行った。これにより、気候変動、開発・アフリカ問題等に関する日本の取組が世界各地で報道された。また、国内政治や日本のソフトパワーに関する海外報道も多数見られた。
日本の外交政策に対する国際社会の理解や支持を得るためには、海外メディアを通じた戦略的・効果的な対外発信が必要不可欠である。総理大臣や外務大臣の外国訪問等の重要な機会には、積極的に記者会見やインタビュー等をアレンジし、日本政府の立場や考え方について積極的な対外発信を行った。事実誤認に基づく海外報道に対しては速やかに反論することで正しい対日理解を促進したほか、海外メディア記者に対してきめ細やかな情報提供や取材協力を行った。また、海外のジャーナリストを招待し、対日理解の深化及びそれに基づく報道を促した。
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観光振興 |
観光立国の実現に向け、2010年には訪日外国人旅行者数を1,000万人にするとの目標を掲げ、2003年から官民一体となってビジット・ジャパン・キャンペーンが行われている。外務省は、2008年に発足した観光庁を始めとする関係省庁、地方自治体等と協力しつつ、在外公館を活用して日本の魅力を発信する活動、特に日本紹介ビデオやパンフレット、インターネットによる広報等を通じた外国人旅行者の訪日促進に積極的に取り組んでいる(注4)。さらに、政府全体として国際会議の開催・誘致推進に取り組んでおり、外務省では、在外公館による働き掛けなどを通じて積極的に誘致活動を支援している。
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日本文化発信プログラム |
日本文化発信プログラムは、2006年3月に開始された「我が国の発信力強化のための施策と体制」に関する海外交流審議会における審議及び2008年2月にまとめられた同審議会の答申において本件プログラムの新設が提言されたことなどを受けて創設された新規のプログラムである。その背景には、世界的なポップカルチャー人気の高まりの機運をいかし、日本文化や日本語を相手国市民と同じ目線で広めていくためのボランティアの派遣が有効との認識があった。
ボランティアの派遣対象国については、検討を行った結果、中・東欧諸国のうちEUへの加盟によって青年海外協力隊の派遣が行われなくなったハンガリー、ポーランド、ブルガリア及びルーマニアの4か国を対象とすることが決定された。総勢26名のボランティアは、派遣先の語学のみならず、日本語教授法、ポップカルチャーや伝統文化等の多様な研修を受けた上で2009年1月末にそれぞれの国に派遣された。2009年は、日本とポーランドとの間で国交樹立(国家承認)90周年、ブルガリア、ルーマニアとの間で外交関係再開50周年、ハンガリーとの間で外交関係開設140周年及び外交関係再開50周年を迎える。このような記念すべき年に、ボランティアを派遣することは非常に意義深く、これら4か国における日本理解者の育成や、日本との友好関係の基盤強化に寄与することが期待される。
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(注3) | 「外務省ホームページ(英語版)」(http://www.mofa.go.jp/)は、日本の外交政策に関する情報を、また「Web Japan」(英語、一部多言語)(http://webjapan.org/)では日本の一般事情を発信している。また、多くの在外公館でも独自のホームページを開設して、現地に密着した情報を現地の言語や英語で発信している。 |
(注4) | 具体的には米国、韓国、中国、シンガポール、タイ、カナダ、オーストラリア、欧州等、12の重点市場国・地域において、在外公館長を会長とするビジット・ジャパン・キャンペーン現地推進会を計18か所立ち上げて、外国人旅行者の訪日促進のための方策を検討している。また、在外公館施設を利用したセミナーや講演会の実施、海外における観光展や見本市等への出展、観光パンフレットの配布やビデオ上映等を通じて、日本の魅力のアピールに努めている。 |