第4節海外への情報発信と文化外交 |
外交政策を効果的に展開するためには、各国の政策決定層に対する直接的な働き掛けに加えて、支持基盤となる各国の一般国民層を念頭に、情報発信や交流の促進を通じ、日本に対する関心を高め、好意的な印象の形成に努めることが重要である。特に、近年ではインターネットの普及等に伴い、外交政策に及ぼす世論の影響力が増大していることから、政府としては、海外広報を通じて、日本の外交政策や価値観に関する諸外国国民の理解の増進を図るとともに、多面的な日本の魅力を積極的に発信し、文化交流を促進することで、各国国民の対日イメージや親近感の向上に努めている。
外務大臣の諮問機関である「海外交流審議会」が2月に提出した答申は、対象国の国民や世論に直接働き掛ける「パブリック・ディプロマシー」の重要性を指摘するとともに、日本の発信力を一層強化する具体的施策として、外国人に対する日本語教育の拡充、ポップカルチャーを始めとする現代日本文化の活用、有識者層を対象とした取組の拡充等を提案している。このような観点を踏まえ、外務省は、3月に「ドラえもん」を「アニメ文化大使」に選任したほか、国際交流基金を通じた日本語普及事業に加えて、2009年1月に「日本文化発信プログラム」の下で草の根レベルでの日本語教育や日本文化紹介に従事するボランティアを中・東欧4か国に派遣するなど、様々な文化事業を展開している。また、国際世論への影響力が強い海外のオピニオン・リーダーを日本に招待して対日理解の促進を図るとともに、日本の有識者による各種国際会議への参加を支援し、効果的な政策発信に努めている。
2008年は、日本人のブラジル移住100周年に当たる「日本ブラジル交流年」(注1)や、インドネシアとの外交関係開設50周年を記念した「日本インドネシア友好年」(注2)として、それぞれの国との間で集中的に交流事業が行われた。また、開発途上国に対しては、国連教育科学文化機関(UNESCO(ユネスコ))等と協力しつつ、文化遺産の保存修復や人材育成を積極的に支援している。
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(注1) | 日本ブラジル交流年については、第2章第3節「中南米」を参照。 |
(注2) | 日本インドネシア友好年については、第2章第1節3.「東南アジア」を参照。 |