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トルコ |
トルコでは、エルドアン首相率いる公正発展党(AKP)の単独政権が2002年以来継続している。イスラム主義的な政党を前身とする同党は、国是である世俗主義の護持を掲げる国軍や司法等と一定の緊張関係にある。内政面では、3月に検察がAKPは憲法で定める世俗主義に反するとして同党の解党を求めて憲法裁判所に提訴したが、7月、同裁判所は同党を無罪ではないが、解党しないとの判決を下し、政局の大きな混乱はひとまず避けられた。外交面では、EU加盟に向けた取組を継続する一方、シリア・イスラエル間の間接交渉の仲介を始めとする周辺地域の安定に向けた積極的な外交努力も展開している。
日本とトルコとの関係では、6月、即位の礼を除き二国間公式訪問としては元首の初訪日となるギュル大統領の歴史的な訪日が実現し、伝統的に良好な両国関係は着実に進展している。
また、4月には両国の友好の原点である1890年のエルトゥールル号事件(注4)から120年の節目を迎える2010年に、「2010年トルコにおける日本年」を開催し、年間を通じて日本紹介や交流事業を行う準備のため、日本側で官民連携による実行委員会が発足した。
(注4) | エルトゥールル号事件:1887年に小松宮彰仁親王同妃両殿下が欧州訪問の帰途にオスマン帝国を公式訪問したことに対する答礼として、アブデュル・ハミト2世が特使としてオスマン提督を日本に派遣した際、エルトゥールル号が帰路、紀州・串本沖で沈没。乗組員581名が死亡したが、日本側官民挙げての手厚い救護により69名が救助され、日本の巡洋艦によりトルコに送還された事件。 |