第3章 分野別に見た外交 

【原子力の平和的利用:国際原子力機関(IAEA)による保障措置の強化・効率化】
 国際原子力機関(IAEA)保障措置(注15)は、国際的な核不拡散体制の実効性を確保する上でその中核をなす制度である。核不拡散体制の維持・強化を主要外交課題の一つに掲げる日本は、保障措置強化の分野でも積極的な貢献を行ってきた。特に、日本は、できる限り多くの国が保障措置の強化のための「追加議定書」(注16)を締結することが重要との認識の下、2002年12月に東京で開催された「IAEA保障措置強化のための国際会議」の成果を踏まえ、「追加議定書の普遍化」を積極的に推進してきた。また、2003年9月の第47回IAEA総会においては、保障措置予算を中心とする通常予算の大幅な増加が決定され、日本としても、保障措置の財政的基盤を確保することは、保障措置の強化に資するものと考え、この予算増を受け入れた。一方、日本は、保障措置の効率化も重視しており、従来型の包括的保障措置と追加議定書に基づく保障措置との合理的かつ有機的な統合を目指す「統合保障措置」(注17)の適用、それに伴う保障措置受入に伴う負担や経費の軽減の実現に向けて努力するとともに、IAEA事務局に対しても保障措置活動の一層の効率化と経費削減を求めてきている。

 

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